Microsoft Word - 19年度(行情)答申第183号.doc

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の補正書 において, 審査請求の趣旨を この開示請求は本人の給与のみずましにかかわる書面である為 としているが, 原処分を取り消し, 本件対象保有個人情報の開示を求めている審査請求として, 以下, 原処分の妥当性について検討する 2 原処分の妥当性について (1) 給与所得の源泉徴収票について給与所

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異議申立てしていますが, 協会 ( 原文ママ ) として黙認しています 本件に関しても, 諮問庁は国のトップなのだから, もっともっと労働問題に積極的に取り組み, 労基法厳守で, 場合により, 行政処分すべきである 警察なら, スピード違反すれば即行政処分されますが, 労基法では, 基本強い行政処分

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

諮問庁 : 防衛大臣諮問日 : 平成 28 年 2 月 25 日 ( 平成 28 年 ( 行情 ) 諮問第 192 号 ) 答申日 : 平成 29 年 1 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 行情 ) 答申第 694 号 ) 事件名 : 洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準 運用上の留意事項等に

諮問庁 : 国立大学法人長岡技術科学大学諮問日 : 平成 30 年 10 月 29 日 ( 平成 30 年 ( 独情 ) 諮問第 62 号 ) 答申日 : 平成 31 年 1 月 28 日 ( 平成 30 年度 ( 独情 ) 答申第 61 号 ) 事件名 : 特定期間に開催された特定学部教授会の音声

録された保有個人情報 ( 本件対象保有個人情報 ) の開示を求めるものである 処分庁は, 平成 28 年 12 月 6 日付け特定記号 431により, 本件対象保有個人情報のうち,1 死亡した者の納める税金又は還付される税金 欄,2 相続人等の代表者の指定 欄並びに3 開示請求者以外の 相続人等に関

19 条の4 第 2 項の規定により, 特別職の公務員であるから, 本件不開示情報は, 公務員としての職務遂行情報であり, 精神保健指定医が, 客観的な生体検査もなく, ただその主観に基づいて, 対象者を強制入院させることができるという性質の資格であること, 本件開示請求に係る精神保健指定医らが対象

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第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件事案の概要本件は, 審査請求人が平成 29 年 8 月 29 日付けで法人文書の開示請求を行ったことに対し, 同年 9 月 29 日付け千大総第 307 号により, 法人文書の一部を不開示とする開示決定等処分 ( 処分 1) を行ったところ, 審査請求が提起された

っている以上, 被面接者においてそもそも特別な対応策を採る必要はないといえる ウよって, 本件対象文書の不開示部分は法 5 条 6 号に該当しないといえる (2) 意見書 ( 添付資料省略 ) ア裁判官の場合, 新任判事補志望者カードの全部が開示されている ( 資料 1) ことからすれば, 検事に関

おいて開催されていた法の制度運営に関する検討会の報告 ( 平成 17 年 3 月 29 日 ) では, 法の運用に関する改善措置として, 理由付記に関して 特に, 文書不存在を理由とする不開示決定については, 例えば, 請求対象文書をそもそも作成 取得していない, 作成したが保存期間が経過したので廃

問にさらされることはむしろあるべき姿であり, それによって一層公益の増進に資するともいえる 特に, 本件のような面接試験の場合には, 試験結果の開示が, 面接試験以外の事由で受験者を選抜したのではないことを示すといった効果もあり, 面接試験が適正に行われることを確保するに大きく資すると言える したが

基づき, 平成 27 年 9 月 29 日付けで, 特定労働基準監督署( 以下 特定署 という ) へ特定日までに提出された特定事業場の就業規則, 就業規則届及び意見書 36 協定書, 同月 30 日付けで, 特定署に提出された特定事業場の36 協定書 3 年分 に係る開示請求を行った (2) 三重

諮問庁 : 株式会社日本政策金融公庫諮問日 : 平成 28 年 2 月 8 日 ( 平成 28 年 ( 独個 ) 諮問第 3 号 ) 答申日 : 平成 28 年 4 月 27 日 ( 平成 28 年度 ( 独個 ) 答申第 1 号 ) 事件名 : 本人に関する融資審査の検討資料の不訂正決定に関する件

ありどのような証言がなされたのか ( 請求人にとって虚偽と思われる証言が無いか等 ), また産業医が本人の意見を聞かずにどう判断し診療録に記載したのかを知る権利が請求人にはあると考える 3 請求人については, 特定理由等から特定機関等が千葉大学に対して診療録の開示を求める可能性もあり得るが, 千葉大

査請求人 ) が 平成 5 年分所得税確定申告書 ( 以下 本件請求保有個人情報 1 という ) の開示を求めるものである 処分庁は, 本件開示請求に対し, 本件請求保有個人情報 1は文書保存期間 (7 年 ) が満了し, 既に廃棄しているとして, 平成 27 年 12 月 2 2 日付け特定記号第

消費者庁にも苦情相談を行い, 今にも消費者庁が動くであろうこと等を話し, 異議申立人に謝罪及びデータ削除を求めているとのことであった 当初監察部は, 異議申立人に謝罪に応じるよう促したが, 異議申立人が使用しているデータは, 登記事項証明書記載のデータと同一であり 法 を犯していないので謝罪には応じ

て本学が過去に公表した内容は除く ) 及び 3 当該事故に係る診療科, 機構への報告日その他報告内容に係る情報として事務担当者が加筆したメモ について全部開示を求める 少なくとも患者, 医師の個人情報に係らない部分については開示すべき そもそもこの報告書は同じような事故が起きないようにするために医師

1 本件審査請求について (1) 本件審査請求に係る開示請求は, 法に基づき, 処分庁に対し, 本件対象文書の開示を求めたもの ( 以下 本件開示請求 という ) である (2) 本件開示請求を受けて, 処分庁は, 本件対象文書を作成しておらず不存在として, 不開示決定 ( 原処分 ) を行った (

の対象として 人事院事務総長引継書 を特定し, 同年 9 月 29 日付け行政文書開示決定通知書を審査請求人に送付した 2 審査請求人が主張する本件審査請求の趣旨及び理由審査請求人は, 事務引継書が1 名分しか存在しないという決定は不自然である, 他の職員についても事務引継書がなければ, 前任者から

ウ 特定個人 a に訂正してほしいとは, 私は書いてない これも日本年金機構の単純ミスなのか? それとも他に理由があるのか? 事実に基づいて, 説明を求める 私の公共職業安定所における氏名は, カタカナの 特定個人 b のスペースなしで管理されている 私の資格画面も氏名欄はカタカナである 国民年金保

無い (3) 特定市が振興協会会長 Aと市教育委員会とで一体に推進した当該文化事業は事業の実施前と実施後のまちの変化における事業の効果について国への報告義務があり, 公正に適法に事業を行う責務の存在は当該文化事業の目標の1は中心市街地の賑わいの促進にあって中心市街地活性化ソフト事業であって公開されて

警備の下にあり 仮に本件対象文書が開示されたとしても院内への不法な侵入及び院内での不法な活動は困難であり 犯罪の予防 鎮圧等に支障を及ぼすとは考えられず 合理性を欠いている したがって 本件対象文書は法第 5 条第 4 号には相当せず 規程第 4 条第 3 号に定める事務局不開示情報に該当しないこと

業務 とあるが, 当該支払の一時差止めに係る決定を除く と, されている すなわち, 決定に係る業務は, 事業管理課長である ウその決定に係る文書及びデータは存在する 事業管理課長の決定により, 年金機構は, 障害者の年金給付を一時差し止めるための電算処理をしている事実がある そして, その事実から

り公表されないことが日米両政府間で合意されており, これを公にすることは, 米国との信頼関係が損なわれるおそれがあると認められることから, 法 5 条 3 号に該当するため不開示とする決定 ( 原処分 ) を行った (3) これに対し, 異議申立人は, 国土交通大臣に対して, 原処分の取消しを求めて

く, 未支給年金受給権者の個人情報の開示を求めているとして, 法 12 条 自己を本人とする開示を請求することができる に当たらないため, 開示することはできないことを伝え, 取り下げの意思を確認した しかしながら, 異議申立人は, 不開示である旨の正式な回答がほしいとして, 開示請求を続けたもので

として本件対象文書にかがみを加えたものを特定した 本件開示請求に対しては, 法 11 条に規定する開示決定等の期限の特例を適用し, まず, 平成 27 年 4 月 20 日付け防官文第 6779 号により, かがみについて開示決定を行った後, 同年 9 月 3 日付け防官文第 号により

理の手引 は, 開示の実施においては, 行政文書をありのまま開示する (23 枚目 ) として, 原則として加工はしない ( 同上 ) としている したがって本件対象文書の電磁的記録の開示に当たっては, 当該電磁的記録をそのままのデータ形式で開示すべきである また, 同様な趣旨で本件対象文書の電磁的

0 月 22 日現在, 通帳紛失の総合口座記号番号 特定番号 A-B~C 担保定額貯金 4 件 ( 特定金額 A): 平成 15 年 1 月 ~ 平成 16 年 3 月 : 特定郵便局 A 預入が証明されている 調査結果の回答書 の原本の写しの請求と, 特定年月日 Aの 改姓届 ( 開示請求者本人

これを公にした場合には 政府の情勢認識 関心事項 情報収集能力等が明らかとなり 又は推察されると認められる したがって 当該不開示部分を公にすることにより 我が国の安全が害されるおそれ 又は公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき 相当の理由があるとして法 5

(Microsoft Word - 06 \223\232\220\\\217\221\201i\214\210\222\350\201j.doc)

Microsoft Word - 20年度(行情)答申第585号.doc

( 別紙 ) 答申 : 行文第 24 号 諮問 : 行文第 24-1 号 答申第 1 審査会の結論実施機関が行った本件不開示決定処分については適正であったと認める 第 2 諮問事案の概要 1 行政文書の開示請求異議申立人は 平成 24 年 5 月 7 日 奈良市長 ( 以下 実施機関 という ) に

11総法不審第120号

答 申 第 1 審議会の結論名古屋市長 ( 以下 実施機関 という ) が 本件異議申立ての対象となる保有個人情報を一部開示とした決定は 妥当である 第 2 異議申立てに至る経過 1 平成 23 年 12 月 21 日 異議申立人は 名古屋市個人情報保護条例 ( 平成 17 年名古屋市条例第 26

1 審査会の結論平成 30 年 1 月 12 日付けで審査請求人が行政文書公開請求した 深沢地域整備事業に関し J R 東日本の要望 条件 要請 意向等の文書 ( 復命書含む ) 及び前記の記載がある文書 に対して実施機関鎌倉市長が平成 30 年 3 月 12 日付けで行った行政文書一部公開決定処分

非常に長い期間, 苦痛に耐え続けた親族にとって, 納得のできる対応を日本政府にしてもらえるよう関係者には協力賜りたい ( その他は, 上記 (2) と同旨であるため省略する ) (4) 意見書 3 特定個人 Aの身元を明らかにすること及び親子関係の証明に当たっては財務省 総務省において, 生年月日の

文書の探索が不十分であるか, または, 対象文書を情報公開の適用除外か解釈上の不存在と判断することが違法である 本件不開示情報は, いずれも, 法 5 条各号に該当しないか, 例え該当したとしても, 開示を定めたただし書き全てに該当する 本件不開示情報は, いずれも, 法 7 条に該当する とくに,

第一審査会の結論 豊中市教育委員会が行った 内部公益通報に係る調査の実施について ( 報告 ) を不 開示とした決定は妥当ではなく 別紙に記載した部分を除き開示すべきである 第二審査請求の経過 1 開示請求審査請求人は 平成 25 年 7 月 17 日 豊中市情報公開条例 ( 以下 条例 という )

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取得に対しては 分割前の当該共有物に係る持分割合を超える部分の取得を除いて 不動産取得税を課することができないとするだけであって 分割の方法に制約を設けているものではないから 共有する土地が隣接している場合と隣接していない場合を区別し 隣接していない土地を一体として分割する場合に非課税が適用されない

情報公開答申第733号本文(諮問第923号)

(1) 農林水産省の事務官である特定個人 Aが職務上作成した行政文書で公にできる行政文書は存在するはずであり, 公開しなければならない ( 諮問第 551 号 ) (2) 本来であれば, 開示できる文書が存在しない, 存否応答しない, 不存在と, 文書の性質によって, 処分内容が異なるはずである 特

諮問庁 : 国土交通大臣諮問日 : 平成 30 年 9 月 26 日 ( 平成 30 年 ( 行情 ) 諮問第 424 号 ) 答申日 : 平成 31 年 3 月 29 日 ( 平成 30 年度 ( 行情 ) 答申第 554 号 ) 事件名 : 不動産鑑定士に対する懲戒処分について に係る決裁文書の

ている しかしながら 本件処分は条例の理念と条文の解釈運用を誤った違法なものであり 取り消されなければならない ⑶ 条例第 7 条第 1 項本文は 個人情報の外部提供の原則禁止を規定している また 同条同項ただし書の趣旨は 単に外部提供の原則禁止規定を解除したにとどまる すなわち 当該法令等が存在す

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

11総法不審第120号

が成立するが 本件処分日は平成 29 年 3 月 3 日であるから 平成 24 年 3 月 3 日以降 審査請求人に支給した保護費について返還を求めることは可能であ る 第 3 審理員意見書の要旨 1 結論本件審査請求には理由がないので 棄却されるべきである 2 理由 (1) 本件処分に係る生活保護

子ファイルを紙に出力する際に, 当該ファイル形式では保存されている情報が印刷されない場合が起こり得る これと同様に当該ファイル形式を他のファイル形式に変換する場合にも, 変換先のファイル形式に情報が移行しない場合が設定等により技術的に起こり得るのである 本件対象文書が当初のファイル形式を変換して複写

別紙 答申 1 審査会の結論 委託事業者の企画提案書 及び 選考会議の資料 について行われた部分公開の決定は 妥当である 2 異議申立ての趣旨 (1) 異議申立人 ( 以下 申立人 という ) は 神戸市情報公開条例 ( 以下 条例 という ) に基づき 以下の公開請求 ( 以下 本件請求 という

ら退去を迫られやむを得ず転居したのであるから本件転居費用について保護費が支給されるべきであると主張して 本件処分の取消しを求めている 2 処分庁の主張 (1) 生活保護問答集について ( 平成 21 年 3 月 31 日厚生労働省社会援護局保護課長事務連絡 以下 問答集 という ) の問 13の2の

第1 審査会の結論

エーシーニールセン・コーポレーション株式会社 個人情報保護方針

11総法不審第120号

11総法不審第120号

7 平成 28 年 10 月 3 日 処分庁は 法第 73 条の2 第 1 項及び条例第 43 条第 1 項の規定により 本件不動産の取得について審査請求人に対し 本件処分を行った 8 平成 28 年 11 月 25 日 審査請求人は 審査庁に対し 本件処分の取消しを求める審査請求を行った 第 4

保険業務に係る情報提供料は 請求人の事業に基づいた収入であるとは いえない 第 4 審理員意見書の結論 本件各審査請求は理由がないから 行政不服審査法 4 5 条 2 項によ り 棄却すべきである 第 5 調査審議の経過 審査会は 本件諮問について 以下のように審議した 年月日 審議経過 平成 30

う 9 枚の行政文書 及び開示すべきとされた 別紙に掲げる部分 の全て について, 民事裁判管轄権に関する日米合同委員会合意関連文書 ( 以下 文書 1 という ) 及び 合意に係る日米合同委員会議事録 ( 以下 文書 2 という ) を特定し, 前者を開示, 後者を不開示とする各決定 ( 原処分

大情審答申第 号

ウ商業地等である 町の土地の平成 28 年度分の固定資産税の課税標準額は 法附則第 18 条第 5 項及び第 25 条第 5 項の規定により 課税標準となるべき価格に0.7を乗じた額となる なお 岐阜市税条例 ( 昭和 25 年岐阜市条例第 14 号 以下 条例 という ) においては これと異なる

書のみが公開されており, 設計書は事前にも事後にも公開されていない 設計書が公開されていないことにより, 測量業務における加減率 ( 耕地, 村落地, 準市街地, 市街地, 過密市街地等のどれに該当するかによる人員や作業時間 ) が不明であり, また, 測量の変化率の諸条件係数 ( 傾斜区分, 視通

答申第693号

処分済み

横情審答申第 1534 号 平成 3 0 年 11 月 15 日 横浜市長林文子様 横浜市情報公開 個人情報保護審査会 会長 藤原靜雄 横浜市個人情報の保護に関する条例第 53 条第 1 項の規定に基づく諮問 について ( 答申 ) 平成 29 年 5 月 1 日総職健第 86 号による次の諮問につ

Taro-答申第64号

ターの上司職員に隠匿 ( 隠滅 ) され送付がない為に, 法律に基づいた開示請求により送付をして頂きたいための開示請求であるが, 平成 19 年 10 月 22 日現在, 通帳紛失の郵便貯金 : 総合口座 特定番号 A ( 担保定額定期 : 枝番特定番号 B~Cを含む ):( 口座名義人 ) 開示請

11総法不審第120号

答申第203号(公表用)

個人情報保護規程

平成25年2月 日

控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し

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総務省が所管する地方税法ではなく 財務省が所管する国有財産法の適用を受けるとのことであり 実施機関の本件決定は失当である (2) 本件は 国税庁からの教示による公文書公開請求であり これを実施機関が非公開決定するとは言語道断である (3) 尖閣諸島の国有化は 日本と中国の外交問題に発展していることも

ないことから明らかである イ全体設計書が請負業者の承諾もなく変更され 当初の全体設計書とは異なる工事完成後の出来形数値が記載された全体設計書が会計検査時に用いられており 違法がある ウ全体設計書の保存期間は10 年間とされているが 入札に供した全体設計書が廃棄されていることについて違法がある エ低入

ださい との付記があったことから, 処分庁が行政文書の特定を容易にできるよう, 審査請求人において法人設立時に提出されたものと思われる行政文書の名称を列記して記載したところである 本件請求を受けて, 処分庁は, 補正を要する事項があるとして, 平成 27 年 11 月 17 日付け特定記号第 136

1 審査会の結論 平成 28 年度市民税 県民税の賦課決定処分 に係る審査請求は棄却する べきであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要南区長 ( 以下 処分庁 という ) は 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 以下 法 という ) 第 24 条及び第 294 条並びに横浜市市税

2 当事者の主張 (1) 申立人の主張の要旨 申立人は 請求を基礎づける理由として 以下のとおり主張した 1 処分の根拠等申立人は次のとおりお願い書ないし提案書を提出し 又は口頭での告発を行った ア.2018 年 3 月 23 日に被申立人資格審査担当副会長及び資格審査委員長あてに 会長の経歴詐称等

処分済み

横浜市情報公開・個人情報保護審査会答申

個人情報の取り扱いに関する規程

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処分済み

して 当審査会に対し諮問をした 以上の事案の経緯は 諮問書 審査請求書及び懲戒処分書から認められる 2 関係する法令等の定め (1) 司法書士に対する懲戒及びその手続についてア法 47 条は 司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

1 審査会の結論 平成 29 年度市民税 県民税税額変更処分 に係る審査請求は棄却するべ きであるとの審査庁の判断は妥当である 2 事案概要緑区長 ( 以下 処分庁 という ) は 平成 29 年 6 月 1 日 審査請求人に対して 平成 29 年度市民税 県民税賦課決定処分 ( 以下 先行処分 と

厚生局受付番号 : 九州 ( 受 ) 第 号 厚生局事案番号 : 九州 ( 国 ) 第 号 第 1 結論昭和 50 年 4 月 30 日から昭和 51 年 4 月 1 日までの請求期間 昭和 51 年 4 月 1 日から昭和 53 年 4 月 1 日までの請求期間 昭

11総法不審第120号

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達したときに消滅する旨を定めている ( 附則 10 条 ) (3) ア法 43 条 1 項は, 老齢厚生年金の額は, 被保険者であった全期間の平均標準報酬額の所定の割合に相当する額に被保険者期間の月数を乗じて算出された額とする旨を定めているところ, 男子であって昭和 16 年 4 月 2 日から同

ついて その取消しを求めるというものである (2) 異議申立ての理由異議申立人が 異議申立書及び意見書で主張している異議申立ての主な理由は 次のように要約される ア異議申立書における主張異議申立人の配偶者が一方的に有り得ない夫婦間暴力の被害申告 ( 以下 虚偽 DV 被害申告 という ) を 警察署

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

債務のうち所定の範囲内のものを当該事業主に代わって政府が弁済する旨規定する (2) 賃確法 7 条における上記 政令で定める事由 ( 立替払の事由 ) として 賃金の支払の確保等に関する法律施行令 ( 昭和 51 年政令第 169 号 以下 賃確令 という )2 条 1 項 4 号及び賃金の支払の確

個人情報の保護に関する規程(案)

PowerPoint プレゼンテーション

平成14年7月3日

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

11総法不審第120号

Transcription:

諮問庁 : 内閣総理大臣諮問日 : 平成 19 年 2 月 5 日 ( 平成 19 年 ( 行情 ) 諮問第 38 号 ) 答申日 : 平成 19 年 8 月 7 日 ( 平成 19 年度 ( 行情 ) 答申第 183 号 ) 事件名 : 平成 17 年 4 月から平成 18 年 9 月までの内閣官房報償費に係る支出負担行為即支出決定決議書等の一部開示決定に関する件 答申書 第 1 審査会の結論以下の文書 ( 以下 本件対象文書 という ) につき, その一部を不開示とした決定については, 審査請求人が開示すべきとする部分を不開示としたことは, 妥当である 1 内閣官房報償費 ( 平成 17 年 4 月から平成 18 年 9 月まで ) に係る内閣官房長官から内閣府大臣官房会計課長への請求書 ( 支出計算書の証拠書類 ) 2 1を受けて作成された支出負担行為即支出決定決議書 ( 支出計算書の証拠書類 ) 3 1を受けて作成された支出計算書 4 具体的な使途の分かる支出関係書類第 2 審査請求人の主張の要旨 1 本件審査請求の趣旨本件審査請求の趣旨は, 行政機関の保有する情報の公開に関する法律 ( 以下 法 という )3 条の規定に基づく本件対象文書の開示請求に対し, 平成 18 年 11 月 20 日付け閣総会第 291 号により内閣総務官 ( 以下 処分庁 という ) が行った一部開示決定 ( 以下 原処分 という ) について, その取消しを求めるというものである 2 本件審査請求の理由審査請求人の主張する審査請求の理由は, 審査請求書及び意見書によると, おおむね以下のとおりである (1) 審査請求書ア行政文書開示請求審査請求人は, 平成 18 年 10 月 19 日, 法に基づき, 内閣官房報償費 ( 平成 17 年 4 月から平成 18 年 9 月まで ) に係る内閣官房長官から内閣府大臣官房会計課長への請求書 ( 支出計算書の証拠書類 ) 等の開示請求を行った その際, これらには, 以下に例示するものが含まれているものと思われるので, 漏れのないよう開示をお願いする (1)1 金銭出納帳, - 1 -

2これを整理した月別の収入 支出表,3 目的別の分類表,(2) 分類としては, 例えば,1 会議費,2 飲食費,3 国会対策費,4 交際費, 5 パーティー ( 政治家の 励ます会, 出版記念, シンポジウム 等, 政治家への政治資金の支出 ),6 長官室手当, 秘書官室手当, 同窓会費, せん別, 香典, 背広, 商品券, 手土産 など私的費用への支出 と付記しておいた イ原処分当該開示請求に対して, 処分庁は, 平成 18 年 11 月 20 日, 具体的な使途の分かる支出関係書類 については全部不開示とし, 支出計算書については部分的に不開示とする処分を行った 処分庁は, このうち前者の文書に係る不開示理由として, 内閣官房報償費は, 事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため, 当面の任務と状況に応じ, その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり, このような報償費の性格上, その具体的な使途に関する文書を明らかにすることは, 事務の円滑かつ効果的な遂行に支障を及ぼすおそれがあり, 法 5 条 6 号に該当する, また, 報償費の具体的な使途には, これを明らかにすることにより, 他国等との信頼関係が損なわれるおそれ, 他国等との交渉上不利益を被るおそれがあるものがあり, 法 5 条 3 号にも該当する としている ウ前者の文書に係る不開示処分の違法性しかし, 前者の文書に係る不開示処分は, 以下に記述する理由で違法である ( ア ) 法 5 条 6 号に該当するとは思われない ⅰ 内閣官房報償費の使途には, 法 5 条 6 号イないしホの情報が含まれているとは到底思われない 現に, 前者の文書に係る不開示理由もこれらに該当するとは明示してはいない ⅱ 処分庁は, 前者の文書に係る不開示理由は法 5 条 6 号柱書きの情報に該当すると言いたいのであろうが, 内閣官房報償費の使途には, このような情報が含まれているとは到底解釈され得ないし, また現に該当する情報があるとは思われない ⅲ 法の目的は, 国民主権の理念にのっとり, 行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により, 行政機関の保有する情報の一層の公開を図り, もって政府の有する諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに, 国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資すること ( 法 1 条 ) である以上, 不開示情報は, 行政機関がし意的に拡大して解釈することのないよう, 法 5 条 1 号から6 号までの規定を通じて, そ - 2 -

の内容及び範囲をできるだけ限定し, かつ明確にしている したがって, 法 5 条 6 号の不開示情報も, 実質的には同号イからホまでの情報に限定されると解釈するか, 又は, 同号イからホで挙げられるものを例示にすぎないと解するとしても, 同号柱書きの情報については, 同号イからホで挙げられているものに極めて類似する情報に限定されると解釈するしかない そうすると, いずれにせよ, 内閣官房報償費の使途には, 同号柱書きに該当する情報が含まれているとは思われない ⅳ 例えば, 会議費, 飲食費, 国会対策費, 交際費, パーティー ( 政治家の 励ます会, 出版記念, シンポジウム 等, 政治家への政治資金の支出 ), 長官室手当, 秘書官室手当, 同窓会費, せん別, 香典, 背広, 商品券, 手土産 など私的費用への支出についての情報は, 法 5 条 6 号イからホまでの情報には該当しないし, 柱書きにも該当しない ⅴ したがって, 具体的な使途の分かる支出関係書類 には, 法 5 条 6 号に該当する情報は含まれているとは思えないから, 当該文書に係る不開示処分は違法である ( イ ) 法 5 条 3 号に該当するとは思われない ⅰ 内閣官房報償費の使途には, 公にすることにより, 国の安全が害されるおそれ, 他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ 又は 他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ がある情報が含まれているとは到底思われない ⅱ 例えば, 会議費, 飲食費, 国会対策費, 交際費, パーティー ( 政治家の 励ます会, 出版記念, シンポジウム 等, 政治家への政治資金の支出 ), 長官室手当, 秘書官室手当, 同窓会費, せん別, 香典, 背広, 商品券, 手土産 など私的費用への支出についての情報が, 法 5 条 3 号に該当するとは到底解され得ない ⅲ したがって, 具体的な使途の分かる支出関係書類 には, 法 5 条 3 号に該当する情報は含まれているとは思えないから, 当該文書に係る不開示処分は違法である ( ウ ) 法 5 条 6 号又は3 号に該当する情報が含まれていたとしても, 部分開示がなされるべきである ⅰ 具体的な使途の分かる支出関係書類 には, 前述のように, 法 5 条 6 号又は3 号に該当する情報が含まれているとは思えないが, たとえいずれかの情報が含まれていたとしても, 全面的に不開示とする処分は, 明らかに違法である - 3 -

ⅱ 法 5 条 6 号又は3 号に該当する情報が含まれているのであれば, その部分を墨塗りにし, それ以外の情報については, すべて開示すべきである ⅲ これにつき, 法 6 条 1 項は, 行政機関の長は, 開示請求に係る行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合において, 不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは, 開示請求者に対し, 当該部分を除いた部分につき開示しなければならない と規定しているから, 具体的な使途の分かる支出関係書類 についても, この規定に基づき, 部分開示が行われるべきである ⅳ なお, 法 6 条 1 項ただし書は, 当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは, この限りでない と規定しているが, 具体的な使途の分かる支出関係書類 には, 内閣官房長官の氏名, 支出金額, 支出年月日など 有意の情報 が記録されていると予想されるので, 当該ただし書は適用できない ⅴ 部分開示が可能であるにもかかわらず, そのような処分がなされないのは 毎月, 1 億円 ( 一部それとは異なる金額のときもある ) の内閣官房報償費が何件に分けられて支出されているのか, 一回の支出でいくらの金額が使われているのかなどの事実そのものが機密である との理解に基づくからであろうが ( 電話で話をすると, その旨の説明がなされている ), それは, 法に根拠があるわけではないから, 法に基づく運用とは言い難く, 明らかに違法な運用である ⅵ 例えば, 会議費, 飲食費, 国会対策費, 交際費, パーティー ( 政治家の 励ます会, 出版記念, シンポジウム 等, 政治家への政治資金の支出 ), 長官室手当, 秘書官室手当, 同窓会費, せん別, 香典, 背広, 商品券, 手土産 など私的費用への支出についての情報までもが, そのような理由で全面不開示となるのは, 国民が内閣官房長官の税金の無駄遣い, 違法又は不当な支出を監視する途を完全に閉ざすものである それらの情報は, 地方のいわゆる情報公開条例に基づけば開示される情報であるにもかかわらず, それが国の法であれば全面不開示とされるのは, あまりにもし意的な運用で, 違法である ⅶ したがって, たとえ 具体的な使途の分かる支出関係書類 に法 5 条 6 号又は3 号に該当する情報が含まれていたとしても, そのような場合には, 法 6 条 1 項に基づき部分開示がなされるべき - 4 -

であるから, 当該文書については全面不開示としている点で違法である (2) 意見書ア本件審査請求に係る文書本件審査請求に係る文書は, 平成 18 年 11 月 20 日付け閣総会第 291 号において不開示とされた 具体的な使途の分かる支出関係書類 ( 出納管理簿, 支出決議書, 報償費支払明細書及び領収書等 ) である イ法 5 条 6 号及び3 号を解釈するに当たって ( ア ) 法の解釈の指針 ⅰ 法 5 条 6 号及び3 号を解釈するに当たっては, 国民の知る権利, 国民主権の理念, 日本国憲法 91 条の規定の趣旨及び政府の説明責任を踏まえて, 不開示情報が, 諮問庁を含め政府のし意的な判断で不当に拡大しないよう限定すべきである ⅱ 国民には日本国憲法 21 条により 知る権利 が保障されている 法には 知る権利 が文言上明記されてはいないものの, 実質的には 行政文書の開示を請求する権利 ( 法 1 条及び3 条 ) として具体化されていると解すべきである ⅲ 日本国憲法が国民主権主義を採用していることは周知のことである 法は, その1 条で, 国民主権の理念にのっとり, 行政文書の開示を請求する権利につき定めること等により, 行政機関の保有する情報の一層の公開を図り と規定している ⅳ 日本国憲法 91 条は, 内閣は, 国会及び国民に対し, 定期に, 少くとも毎年一回, 国の財政状況について報告しなければならない と規定している ⅴ 政府には, 国の支出を含め財政状況について説明責任がある 法は, その1 条で, 政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに, 国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする と規定し, その5 条で, 行政文書の開示義務 を規定している ⅵ よって, 政治的都合やし意的判断により不開示情報を拡大し, 法に基づく情報公開に不開示の 聖域 をつくるべきではないから, 法 5 条 6 号及び3 号の不開示情報については, 行政機関がそれを自らの政治的都合やし意的判断で拡大することのないよう, 限定的に解釈すべきである ( イ ) 法 5 条 6 号の不開示情報は限定して解釈すべきである ⅰ 上記 ( ア ) における理由により, 法 5 条 6 号の不開示情報は, - 5 -

そこで列挙されているイからホの情報に限定して解釈すべきである ⅱ 法 5 条 6 号の不開示情報は, このように限定列挙と解すべきであるが, 条文の形式の点から例示であると解するのが妥当であるとしても, 同号柱書きの不開示情報については, 同号イからホまでで挙げられているものに極めて類似する情報に限定されると解すべきである ウ 具体的な使途の分かる支出関係書類 の全部又は一部が不開示情報に該当しない理由 ( ア ) 法 5 条 6 号イないしホには該当しない ⅰ 諮問庁は, 当該文書が法 5 条 6 号イないしホに該当すると説明してはいない ⅱ 審査請求人も, 当該文書が法 5 条 6 号イないしホに該当しないと解するのが相当であると考える ( イ ) 法 5 条 6 号柱書きにも該当しない ⅰ 諮問庁は, 法 5 条 6 号は不開示情報を例示しているにすぎないと説明しているが, それは, 上記の理由により, 同号が不開示情報を限定列挙しているものと解すべきであるから, その解釈を誤っている ⅱ また, たとえ法 5 条 6 号が不開示情報を例示していると解するのが相当であるとしても, 不開示情報は, 同号イからホまでに極めて類似する情報に限定して解すべきであるが, 諮問庁は, 当該文書が, そのように限定される情報に該当するとの説明を一切行っていない これは, 諮問庁が, 不開示情報を同号イからホに極めて類似する情報に限定する解釈 運用を行っていないからであろう ⅲ 支出当時に使途が公開されると 当該事務又は事業の適正な遂, 行に支障を及ぼすおそれがある としても, 既に支出されているのであるから, 当該 おそれ はない ( ウ ) 法 5 条 3 号にも該当しない ⅰ 諮問庁は, 理由説明書で, 当該文書が法 5 条 3 号に該当するとの説明を行っていない ⅱ 内閣官房報償費の使途には, 公にすることにより, 国の安全が害されるおそれ, 他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ 又は 他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれ がある情報が含まれているとは到底思われない ⅲ したがって, 具体的な使途の分かる支出関係書類 には, 法 5-6 -

条 3 号に該当する情報が含まれているとは思えない ⅳ 支出当時に使途が法 5 条 3 号に該当していたとしても, 既に支出されているのであるから, 同号には該当しない ( エ ) 不開示情報が含まれているとしても, 法 6 条 1 号による部分開示が行われるべきである ⅰ 以上説明したように 具体的な使途の分かる支出関係書類 は,, 法 5 条 6 号にも3 号にも該当しないが, たとえ両者あるいはそのいずれかに該当する情報が含まれているとしても, 法 6 条 1 項の規定がある以上, 全面不開示は違法であるから, 部分開示をすべきである ⅱ 内閣官房長官の氏名, 支出された年月日, 支出金額などは, それ自体, 法 5 条 3 号又は6 号に該当する情報とは到底解されない ⅲ 支出先及び使途についても, 原則として, 法 5 条 3 号又は6 号に該当する情報とは解されない ⅳ 例えば, ある野党の機関紙が過去に内閣官房報償費として支出されていたと報じた, 会議費, 飲食費, 国会対策費, 交際費, パーティー ( 政治家の 励ます会, 出版記念, シンポジウム 等, 政治家への政治資金の支出 ), 長官室手当, 秘書官室手当, 同窓会費, せん別, 香典, 背広, 商品券, 手土産 など私的費用への支出についての情報は, 地方における情報公開条例であれば当然に開示される情報であり, 法 5 条 6 号又は3 号に該当するとは到底解されないから, 印影以外はすべて開示すべきである このような情報が開示されなければ, 地方における情報公開条例の運用は後退しかねない エ過去の情報公開審査会 ( 現情報公開 個人情報保護審査会 以下 審査会 という ) 答申等との関係諮問庁の理由説明書によると, 審査会の過去の答申 ( 平成 15 年度 ( 行情 ) 答申第 275 号等 以下 先例答申 という ) を理由に, 全面不開示が妥当であり, かつ, その判断を基礎付ける諸事情は現在も何ら変わらないと説明するが, それは, 以下のような理由により失当である ( ア ) 先例答申は, 上記の理由により, 法の解釈 運用を誤ったものである ( イ ) 毎月 1 億円 ( 年間約 12 億円 ) の内閣官房報償費の使途については, それを 聖域 にし, 情報公開の闇にすることで, 国民の目の届かないところに置くというのは, 情報公開のための法を情報秘匿のための法と解釈 運用するに等しいので, 先例答申は, 法の解釈 - 7 -

運用を誤ったものである ( ウ ) たとえ先例答申が当時妥当であったとしても, その後, 事情の大きな変化があると認められるがゆえに, 先例答申の立場は見直されるべきである すなわち, 先例答申後, いくらまじめに働いても生活保護水準以下の生活を強いられるワーキングプアが国民の間に生み出され, いわゆる格差社会が大きな社会問題になり始め, そのことが国会でも大きく取り上げられるようになっており, そのため, 国民の間でもマスコミでも, 税金の使途については厳しい目で監視されるようになっている このように事情の大きな変化がある以上, 毎月 1 億円 ( 年間 12 億円 ) もの内閣官房報償費の使途については, これを 聖域 にせず, 公開して国民の知る権利に応えるべきであるし, また, 法は, その1 条で, 国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする と規定している以上, 内閣官房報償費の使途の是非, 当否については, 国民の判断に委ねるべきである ( エ ) したがって, 先例答申の立場は, 法の解釈 運用を誤ったものとして, あるいは, 当時とは事情が大きく変化したとして, 根本的に変更されるべきである ( オ ) また, 諮問庁の理由説明書は, 内閣官房報償費の使途を明らかにできない旨は, 国会においても政府として統一的に答弁している と言うが, それは, 全面不開示にする法的理由としてはふさわしいものではない ( カ ) 内閣官房報償費が, 例えば, 過去のように, 会議費, 飲食費, 国会対策費, 交際費, パーティー ( 政治家の 励ます会, 出版記念, シンポジウム 等, 政治家への政治資金の支出 ) 等として支出されていることが明らかになれば, 税金の無駄遣いあるいは違法な支出が行われてきたとして国会で追及されるが, これを回避するために政府が統一的に答弁をしているのではないか, と勘ぐられても仕方がない 国民を愚ろうするかのような法解釈 運用は厳に慎まなければならない それゆえ, 国会における政府の統一的答弁を全面不開示の理由にすることは, 法的にも政治的にも不当である オ結語以上により, 原処分は取り消され, 全面開示又は部分開示がなされることが相当である 第 3 諮問庁の説明の要旨 1 本件審査請求に係る文書本件審査請求に係る文書は, 閣総会第 291 号において不開示とされた - 8 -

内閣官房報償費の支出関係書類 ( 出納管理簿, 支出決議書, 報償費支払明細書, 領収書等 ) である 以下, 支出関係書類の不開示情報該当性について検討を加える 2 支出関係書類の不開示情報該当性について内閣官房報償費は, 国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため, 当面の任務と状況に応じ, その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費である そして, 支出関係書類については, 内閣官房報償費の具体的な使途に係る情報が機微にわたるものであることから, 万一の情報漏れを防ぐため, 総理大臣官邸内において厳重に管理保管が行われており, さらに, 会計検査に際しては, 使途を明示し多数の者を介して行われる一般的な証明方法によることは適当ではないため, 会計検査院から要求があったときに証拠書類を提出する簡易証明が特に認められている このような内閣官房報償費の性格にかんがみれば, 仮に支出関係書類が部分的にであっても公にされ, 内閣官房報償費の使途に係る情報が明らかになった場合には, 内政, 外交等の事務の円滑かつ効果的な遂行に重大な支障を及ぼすおそれがあり, 支出関係書類は法 5 条 6 号に該当する また, これを公にすることにより, 他国等との信頼関係が損なわれるおそれ, 他国等との交渉上不利益を被るおそれもあるから, 支出関係書類は法 5 条 3 号にも該当する 以上より, 支出関係書類は全体として法 5 条 3 号及び6 号に該当し, これを不開示とするべきである 3 法 5 条 6 号の解釈に係る主張について審査請求人は, 法 5 条 6 号のイないしホに支出関係書類は該当せず, 原処分は違法であると主張する しかしながら, 法 5 条 6 号は, 国の機関が行う事務又は事業に関する情報であって, 公にすることにより, 当該事務又は事業の性質上, 当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものは不開示とするべき旨を包括的に定めているのであって, 同号イないしホについては例示的に列挙されたものと解すべきであるから, 審査請求人の主張は当たらない 4 先例答申等との関係なお, 内閣官房報償費の使途に係る文書については, これを全面不開示とすることが妥当である旨は, 既に先例答申においても正当として是認されているところであり, これらの先例答申の判断を基礎付ける諸事情については, 現在においても何ら変化していない また, 内閣官房報償費の使途を明らかにできない旨は, 国会においても政府として統一的に答弁しているところである - 9 -

5 結語以上より, 原処分は維持されるべきであり, 審査請求については, これを棄却するのが相当である 第 4 調査審議の経過当審査会は, 本件諮問事件について, 以下のとおり, 調査審議を行った 1 平成 19 年 2 月 5 日諮問の受理 2 同日諮問庁から理由説明書を収受 3 同年 3 月 8 日審査請求人から意見書を収受 4 同年 5 月 9 日審議 5 同年 6 月 18 日本件対象文書の見分及び諮問庁の職員 ( 内閣官房内閣総務官ほか ) からの口頭説明の聴取 6 同年 7 月 4 日審議 7 同年 8 月 3 日審議第 5 審査会の判断の理由 1 本件対象文書について本件対象文書は, 平成 17 年 4 月から平成 18 年 9 月までの内閣官房報償費に係る, 内閣官房長官から内閣府大臣官房会計課長への請求書, 支出負担行為即支出決定決議書, 支出計算書及び支出関係書類である 原処分においては, このうち, 請求書及び支出負担行為即支出決定決議書についてはそのすべてが開示され, 一方, 支出計算書についてはその一部が, また, 支出関係書類についてはそのすべてが, それぞれ不開示とされている なお, 内閣官房報償費とは, 国の事務又は事業を円滑かつ効果的に遂行するため, 当面の任務と状況に応じ, その都度の判断で最も適当と認められる方法により機動的に使用する経費であり, 具体的な使途が特定されない段階で国の会計からの支出が完了し, その後は基本的な目的を逸脱しない限り取扱責任者である内閣官房長官の判断で支払が行われるとともに, その使用は, 内閣官房長官という政治家による政治的な判断の下で決定されるという特殊な性格を有していることが認められる 2 不開示情報該当性について審査請求人は, 原処分において不開示とされた部分のうち, 内閣官房報償費の支出関係書類について開示を求めているので, 以下, 当審査会において当該文書を見分した結果に基づき, その不開示情報該当性を検討する (1) 支出関係書類の構成について当審査会において支出関係書類を見分したところ, 当該文書は, 内閣官房報償費について, 国の会計からの支出が完了し, 取扱責任者である内閣官房長官の手元に渡ってから, 内閣官房長官が自らの判断により支払を行う際に作成される文書であり, 具体的には, 出納管理簿, 支出決 - 10 -

議書 ( 政策推進費受払簿及び支払決定書に細分化される ), 報償費支払明細書及び領収書等で構成されていることが認められた なお,1 出納管理簿は, 内閣官房長官が国庫からの支払を受ける都度又は役務提供者等への支払を行う都度記帳される文書,2 支出決議書のうち政策推進費受払簿は, 内閣官房報償費のうち政策推進費 ( 施策の円滑かつ効果的な推進のため, 内閣官房長官としての高度な政策的判断により, 機動的に使用することが必要な経費 ) について, その受払を記録する文書,3 支出決議書のうち支払決定書は, 内閣官房報償費のうち政策推進費以外の調査情報対策費 ( 施策の円滑かつ効果的な推進のため, その時々の状況に応じ必要な情報を得るために必要な経費 ) 及び活動関係費 ( 政策推進費及び調査情報対策費に係る活動が円滑に行われ, 所期の目的が達成されるよう, 当該活動を支援するために必要な経費 ) について, 役務提供者等への個々の支払の都度, 当該支払の確認を行うための文書,4 報償費支払明細書は, 使途を目的別に分類した上で, 毎月の支払額を記載した文書であり, 計算証明のため会計検査院に提出されているもの,5 領収書等は, 役務提供者等への支払が行われる際に, 支払の確認のため収受等を行っているものである (2) 不開示情報該当性について諮問庁は, 内閣官房長官による優れて政治的な判断に基づき執行されるという内閣官房報償費の性格上, 支出関係書類を公にすることでその具体的な使途が明らかとなれば, 内閣官房報償費の機動的な運用を損ない, 内政, 外交等の円滑な遂行に重大な支障を及ぼすおそれがあるとともに, 他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあることから, 当該文書は, 法 5 条 6 号及び3 号の不開示情報に該当し, 万が一の情報漏れを防ぐため, 総理大臣官邸内において厳重に管理 保管し, さらに, 会計検査に際しては, 他の経費と異なり, 使途を明示し多数の者を介して行われる一般的な証明方法によることが適当でないとして, 会計検査院から要求があったときに証拠書類を提出する簡易証明が特に認められていること等, 極めて特殊かつ機微な情報として特別な取扱いを行っていると説明する 当審査会において, 支出関係書類に含まれる個々の文書を見分し, 精査したところ, これらの文書には, 内閣官房報償費の使途, 支払相手方等に関し個別具体的な記載がなされており, その内容が機微にわたることが認められ, その中には, 公にすることにより, 他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があると考えられるものが認められた - 11 -

また, これらの文書については, 仮に使途等に関する直接的な記載に係る部分を除いて開示したとしても, 特定時期における文書の作成量が, 当該時期における内閣官房報償費の三つの目的類型 ( 政策推進費, 調査情報対策費及び活動関係費 ) ごとの使用量や支払件数に応じているという状況から, 当該時期の内政 外交状況と照らし合わせること等により, その使途を推測させることとなる事情が認められた 上記諸事情及び当審査会の実際の見分に基づく検討を併せ, 総合的に勘案すれば, 内閣官房報償費の支出関係書類を一部でも公にすることにより, その機動的な運用を損ない, その結果, 事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあり, また, 他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があると認められることから, 当該文書は, 法 5 条 6 号柱書き及び3 号の不開示情報に該当すると認められる 3 審査請求人の主張について審査請求人は, 法 5 条 6 号の不開示情報は, 公にすることにより同号イないしホのおそれがある情報に限定される旨主張しているが, 同号イないしホは, 各行政機関に共通的に見られる事務又は事業に関する情報について, 公にすることによる典型的な支障を挙げたものであって, これら以外の事務又は事業に関する情報についても, 公にすることにより当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるのであれば, 同様に同号柱書きの不開示情報に該当するのであるから, 審査請求人の当該主張は採用できない また, 審査請求人は, 支出関係書類について, 法 6 条 1 項による部分開示をすべき旨主張しているが, 上記のとおり, 当該文書についてはその一部でも公にすることにより法 5 条 6 号柱書き又は3 号のおそれが生じるのであるから, 法 6 条 1 項による部分開示はできない さらに, 審査請求人はその他種々主張するが, いずれも審査会の上記判断を左右するものではない 4 本件一部開示決定の妥当性について以上のことから, 本件対象文書につき, その一部を法 5 条 3 号及び6 号に該当するとして不開示とした決定については, 審査請求人が開示すべきとする部分は同条 3 号及び6 号柱書きに該当すると認められるので, 不開示としたことは妥当であると判断した ( 第 2 部会 ) 委員寳金敏明, 委員秋田瑞枝, 委員橋本博之 - 12 -