茶舘茶芸のきまりと関連知識

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(3) 玉露他茶種に比べて苦渋味成分であるタンニン量がやや少ないが 苦み成分の代表であるカフェインは多い特徴がある そのため アミノ酸類は溶出するが カフェインをはじめとした苦渋味成分が溶出しにくい低温の湯で淹れることがポイントとなる 玉露 濃い緑で艶がある茶葉が特徴 (4) 番茶 ( 玄米茶 焙じ

筝で社会に貢献しよう !

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習う ということで 教育を受ける側の 意味合いになると思います また 教育者とした場合 その構造は 義 ( 案 ) では この考え方に基づき 教える ことと学ぶことはダイナミックな相互作用 と捉えています 教育する 者 となると思います 看護学教育の定義を これに当てはめると 教授学習過程する者 と


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統 合 ( 予 定 ) 日 店 番 号 統 合 店 店 番 号 継 承 店 電 話 番 号 H ( 月 ) 917 下 馬 支 店 78 世 田 谷 支 店 (03) H ( 月 ) 19 世 田 谷 通 支 店 597 経 堂 支 店 (03)3425-

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教科 : 地理歴史科目 : 世界史 A 別紙 1 (1) 世界史へのいざない 学習指導要領ア自然環境と歴史歴史の舞台としての自然環境について 河川 海洋 草原 オアシス 森林などから適切な事例を取り上げ 地図や写真などを読み取る活動を通して 自然環境と人類の活動が相互に作用し合っていることに気付かせ


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36 東 京 私 桜 美 林 大 学 大 学 院 心 理 学 研 究 科 37 東 京 私 大 妻 女 子 大 学 大 学 院 人 間 文 化 研 究 科 38 東 京 私 学 習 院 大 学 大 学 院 人 文 科 学 研 究 科 39 東 京 私 国 際 医 療 福 祉 大 学 大 学 院 医

中 等 野 球 編 [9 大 会 登 録 人 ] 岡 村 俊 昭 ( 平 安 中 学 京 都 ) 98( 昭 0) 第 回 優 勝 大 会 平 安 中 学 - 松 本 商 業 未 登 録 平 安 中 学 -0 平 壌 中 学 右 翼 99( 昭 0) 第 回 選 抜 大 会 平 安 中 学 0- 海

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項目評価規準評価方法状況 C の生徒への対応 関心意欲態度 1 自の考えを持ち 積極的に交流 討論している 2 自らの言葉で 中学生にかりやすく紹介文を書こうとしている 交流 討論で得た仲間の意見を取り入れて 自らの考えを深めるよう促す 参考例を示したり 書き出しを例示したりして 参考にするように指

同 上 5,000 山 奥 町 山 奥 自 治 会 同 上 行 政 管 理 室 同 上 40,000 三 万 谷 町 自 治 会 同 上 行 政 管 理 室 同 上 5,000 田 尻 町 自 治 会 同 上 行 政 管 理 室 同 上 95,000 間 戸 自 治 会 同 上 行 政 管 理 室


一 Tottori College 剛 いたといわれてい 学術的には, 荘晩芳が紀元前 2737 に茶樹が中国で発見されたという研究を発表し 粉末にして, それを沸騰したお湯の なかに入れて飲 む. この飲み方は, 漢の時代とあまり変わらない. てい また, さらに紀元前 770 年には周公の 爾

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人間科学研究 VoL I8,No.2 (2005) らず たとえばタイ北部チェ ンマイの食用茶 ミエ うと思われる ン のように 人類が最初に口にした茶は じっは 食べるお茶であったといわれている匚守屋毅 1992: 宋王朝は 文治国家であった そのため 周辺の 異民族より軍事力が劣っていた こうし

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

調査本編 現在コーヒーにこだわっている人は 約 4 人に 1 人 25.3% 年々増加傾向に 現在は若い世代ほどこだわり派を自認 過去は上の世代程こだわっている人が多い傾向 自宅でコーヒーを飲むことのある 300 名の男女に 現在コーヒーにどの程度こだわっているのかを聞きました こだわりがある こだ

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(2) 新 宿 発 着 ホリデー 富 士 山 号 を 運 転 します ホリデー 富 士 山 1 号 ホリデー 富 士 山 2 号 新 宿 8:14 河 口 湖 10:26 河 口 湖 16:00 新 宿 3 月 1 日 ~6 月 28 日 17:59 3 月 日 18:04 3 月 14

那 覇 市 43,330 17, ( 旧 那 覇 ) 9,675 3, ( 旧 真 和 志 ) 19,075 7, 松 尾 泉 崎 1, 古 波 蔵 販 売 C 開 南 国 場 5

4. タブレット端末の利用状況 ( 利用機材の内容と利用のねらい ) ハードウェア機材名 :ipad ねらい : 水が流れる様子や地形が変化した様子を確認できるよう 動画で撮影し記録する 上流 中流 下流それぞれの様子が撮影できるよう ipadは3 台準備する 機材名 :ENVY110( 複合印刷機

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表 別 1-1 樋 門 ( 管 ) 一 覧 表 (1) 横 縦 延 長 ~ 連 完 成 年 度 札 幌 河 川 事 務 所 石 狩 川 左 岸 KP2.7 直 轄 区 間 渡 船 場 樋 門 ~1 S57 札 幌 河 川 事 務 所 石 狩 川 右 岸 KP1.0 直 轄 区

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茶を通して日本の文化を考える 1 2 自己紹介 茶の話 2-1 茶のイメージ 2-2 茶の木を知っていますか? 2-3 茶の種類 ( 緑茶 烏龍茶 紅茶 ) 2-4 どんな国で茶は作られているの? 2-5 日本人はやっぱり日本茶 茶の淹れ方 実演 茶と私の生活 自分に合った 茶葉探し 有

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第 2 問 A 問題のねらいインターネット上の利用者の評価情報やイラストを参考に場面にふさわしい店を推測させることを通じて, 平易な英語で書かれた短い説明文の概要や要点を捉えたり, 情報を事実と意見に整理する力を問う 問 1 6 友人, 家族, 学校生活などの身の回りの事柄に関して平易な英語で書かれ

第 2 問 歴史上, 政治権力にとって宗教をどう扱うかは統治における重要な問題であり, 世界各地の政治権力は宗教に対してさまざまな政策を実施してきた 世界各地の政治権力の宗教政策に関する以下の設問に答えなさい 解答は, 解答欄 ( ロ ) を用い, 設問ごとに行を改め, 冒頭に⑴~⑶の番号を付して記

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7 題材の評価規準ア音楽への関心 意欲 態度 イ音楽的な感受や表現の工夫 ウ表現の技能 エ鑑賞の能力 題 材 の 評 価 規 準 日本の伝統的な音楽や和楽器に興味 関心をもち, 聴いたり表現したりする学習に, 主体的に取り組もうとしている 日本の旋律の特徴や歌詞の情景を感じとり, それらを生かした表

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大 手 2 丁 目 大 手 3 丁 目 大 畑 町 大 宮 1 丁 目 273

Transcription:

第 2 講茶文化基本知識 于良子 ( 中国農業科学院茶葉研究所副教授 ) 一 茶文化の概念 茶文化 という言葉は 20 世紀 80 年代に最初に出現した しかし 中国の茶文化の歴史は長い 早くに唐以前に茶事に関連する史料が出現している 神農食経 には 苦茶久服, 有力悦志 ( 苦い茶を長く服用すれば 力が出て 志にも良い ) という記述があり 桐君録 には 煎飲令人不眠 ( 煎茶して飲むと人を眠らせない ) とあり 茶の中の脳への興奮作用を説明している 桐君録 は後漢時代の薬本であるが 本の中ではほとんど茶を飲み物として扱っている 漢の時代になって 茶の保健効能が 日に日に重視されるようになり 文献の記載も多くなっている 王褒の 僮約 等の史料からも 漢代には茶葉はすでに商品となっていたことが認められる 魏晋南北朝時代には 飲茶の風習は 長江中流 下流にまで伝わり 茶は日常の飲料 宴会 接待 祭祀にも使われていた 茶文化の形成は魏晋時代で 唐代に盛んになり 最盛期は北宋 南宋の時代である 元 明 清代になると 茶の種類と飲用の習慣が次第に変化したため 茶文化の内容もさらに豊富になった 茶文化の定義は広義と狭義に分けられる 広義の論者は 茶文化は人類が社会歴史の発展の中で作り出してきた茶に関連する物質的財産と精神的財産を合わせたもの と考えている 狭義の論者は 茶文化は茶葉を主体とし 茶を嗜む活動を中心とし 民族的風情 審美の情緒 道徳精神 価値観を表した大衆の生活文化 と認識している 茶文化の基本的構造 : 茶文化は 大衆生活文化として 物質的な実用性の方面 礼儀の習慣としての方面 精神の修養という方面から構成される 茶文化の特徴 : 茶文化の基本的な特徴は 主に兼用性 流動性 多元性 階層性 地域性

民族性にわけられる 伝統的茶文化とは 20 世紀以前の茶文化を実践する過程を指し その方向は社会が発展していく背景と基本的に一致している これは茶文化に対して認識されている前提 基本である 茶文化の機能 : 茶文化は中華民族の伝統文化で 中国人の一種の生活方式であり 行動の準則と価値観を体現している 茶文化の機能は広範囲に 社会 生活の各方面に浸透している 例えば 茶で礼儀を示し 仁愛の精神を尊ぶ 茶で友人と会い 友情を深める 茶で遊び レジャーを楽しむ 茶で情を寄せ 芸術文化を創造 茶で節約する 茶で精神を修養する がある 二 中国古代茶書の要点古代茶書は 真実として中国茶葉発展の過程 中国茶道 茶礼 茶芸 茶習俗等の伝統文化の形成と変化を記録している 茶書の作者には 皇帝や皇室の人間もいれば 朝廷官吏もおり さらには知識人や平民もいる 茶書の作者の中には 社会各界の人物がいる 古代茶書には 中国茶文化のそれぞれの歴史段階における発展の状況 特徴と成功が記録されている ( 一 ) 唐代茶書 1 陸羽 茶経 茶経 の中の文化精神: 茶経 の主な内容は 一之源 ; 二之具 ; 三之造 ; 四之器 ; 五之煮 ; 六之飲 ; 七之事 ; 八之出 ; 九之略 ; 十之図 その中で茶葉の歴史について記述されているのが 七之事 である 陸羽が 茶経 の中で 茶は 最宜精行俭德之人 ( 行いが 素晴らしく つつましい徳のある人にもっともふさわしい飲みもの ) と触れているのが 茶人精神に対する最初の記述である 茶経 の中の茶に対する審美観: 陸羽は 茶経 の中で 茶具の選択に対して 実用的であるだけでなく 審美価値を持つように要求している 彼は 益茶 ( 茶に益がある ) の原則を提案している 邢瓷白而茶色丹, 越瓷青而茶色绿 ( 邢の白磁は 茶の色を紅くするが 越の青磁は 茶の色を緑にする ) 彼は越窯の青磁茶碗を使用するのが好きだった

茶経 の中で述べられる煮茶に用いる容器: (1) 火起こしの道具 : 風炉 ( 三束の鼎 ) 灰承( 灰うけ ) 等 (2) 煮茶用具 : 交床 ( 釜敷 ) 竹夹( 箸 ) (3) 烤茶 碾茶 と 量茶 用具: 夹 ( はさみ ) 紙嚢( 紙袋 ) 碾 ( 薬硯 ) 拂末( 羽箒 ) 羅合( 蓋物 ) 則 ( 茶杓 ) (4) 水を入れ 濾過 汲み取る用具 : 水方 ( 水指 ) 瓢 ( 柄杓 ) 熟盂( 湯冷まし ) (5) 盛塩 取塩用具 : 鹺簋 掲 ( 竹製塩入れ ) (6) 飲茶用具 : 碗 ( 茶碗 ) 札( たわし ) (7) 器の盛りつけ セット用具 : 畚 ( 碗籠 ) 具列( 茶棚 ) 都籃( 竹籠 ) (8) 清潔にするための用具 : 滌方 ( 建水 ) 滓方( 茶殻入れ ) 巾( 茶巾 ) 茶経 の中の茶葉栽培製造に対する論述: 陸羽は 茶経 の中で 茶樹の成長に適する土壌は 一般的には砂の壌土が良いと認識していた 茶経 は唐代の餅茶の製造過程を 採之 蒸之 搗之 拍之 焙之 穿之 封之 ( 採る 蒸す 潰す たたく 炙る 封じる ) と記述している 茶経 における唐代の煮茶過程: 炙茶 ( 茶を焙る ) 碾茶( 茶を粉状にする ) 羅茶( 茶を篩う ) 擇水( 水を選ぶ ) 煮水煎茶( 最初に沸騰したら 塩で味を調整 2 回目に沸騰した時に 水を汲み 湯环激汤心 量をはかった茶を湯の中心に入れて 茶湯が沸騰するのを待つ ) 各茶碗に茶を均等にわける 茶経 が評価する水質: 其水, 用山水上, 江水中, 井水下 其山水, 揀乳泉石池漫流者上 ; 其瀑涌湍濑勿食之, 久食令人有頸疾 又多別流于山谷者, 澄浸不泄, 自火天至霜降以前, 或潜龙蓄毒于其间 饮者可决之, 以流其悪, 使新泉涓涓感, 酌之 其江水取去人遠者, 井水取汲多者 ( 茶に使う水は 山水を用いることを上とし 川の水を中 井戸の水を下とする その山水は 乳泉 石の隙間からゆっくり流れるのを選ぶのが一番良い 流れが急で激しい山水は 飲んではならない これを長く飲むと 首に病気が起こる またいくつもの支流が山谷に流れこんでいるところの水は 停滞しており蓄積されてしまう 暑い夏から霜降まで以前 龍が毒素を水中に蓄える期

間である もしこの水を飲用することを決めたなら まず水の流れる口をつくり 悪い水を流れさせ 新しい泉の水を流れ込ませたものが 飲むことができる 川の水については 人のいるところから遠いところで汲む 井戸の水は 人が良く利用しているところで汲む 2 張又新 煎茶水記 唐代張又新 煎茶水記 は 煎茶に用いる水を専門的に記述 評論した本である その味わった水は 20 種類あり 味によって優劣をつけた 張又新は本の後書きで 特に 夫茶烹于所産処, 无不佳也, 盖水土之宜 离其処, 水功其半 ( 茶が生産された場所ところの水を使用して 効果の悪いものはない これは 水と土の相性による 水が良くても 遠いところへ運べば その効能は半分になってしまう ) と触れている 煎茶水記 は 陸羽が評価する天下 20 泉にランク付けを行っている 天下第一泉 として廬山康王谷の水を評価しており 無錫恵山寺の石泉水を 天下第二泉 としている ( 二 ) 宋代茶書 : 1 宋の徽宗 大観茶論 宋の徽宗皇帝趙佶の 大観茶論 は 中国の歴史上唯一皇帝によって書かれた茶書である 主に宋代団茶のつみ取り方と点茶の工程 道具を記述している 内容は 当時の蒸青団茶の産地 つみ取り方 製造方法 品質等に対して 詳細に論述している その中で 採摘之精 制作之工 品第之勝 烹煮之妙 という神髄について触れている 大観茶論 が紹介する宋代の点茶の器 皿 : 茶焙 茶籠 砧 ( まな板 ) 椎 茶鈴 ( 茶を焙るのに使用 ) 茶碾 ( 茶を砕く ) 茶羅 ( 篩い ) 茶盞 ( 茶杯 ) 茶匙 湯瓶 大観茶論 の中で記載されている宋代の点茶の過程は以下の通り: 炙茶 ( 炭火で焙る ) 碾茶 ( 茶を粉状にする ) 羅茶 ( 絹羅を用いて茶を篩う ) 候湯 ( 水を選び 沸騰させる ) 熁盞 ( 湯で茶盞を洗う ) 点茶 ( 沸騰した湯で入れる ) 2 蔡襄 茶録

蔡襄は北宋時代の茶学者で 有名な法家でもあり 蘇軾 黄庭堅 米芾と共に 宋四家 と讃えられた 茶録 は宋代の点茶過程と使用する器具について専門的に記述した著書で 学問本としても茶学としても相当高い位置にあるものである 茶録 の上篇で論じられている茶の内容は 以下の通り 色 香 味 藏茶 炙茶 碾茶 羅茶 候湯 熁盞 点茶 下篇で論じられている茶器の主な内容は 以下の通り 茶焙 茶籠 砧椎 茶鈴 茶碾 茶羅 茶盞 茶匙 湯瓶 ( 三 ) 明代茶書 1 許次紓 茶疏 明代に許次紓が自らの経験と会得したものをまとめて書いたのが 茶疏 である 茶疏 は明代散茶のつみ取り 炒る方法 撮泡法 ( 茶葉を茶壺に入れて 湯を入れる泡茶法 ) の飲み方もまとめている 本の中に 産茶 今古制法 採摘 炒茶 制法 收藏 置頓 ( 置き場所 ) 取用 包裹 ( 包装 ) 日用置頓 ( 日常の置き場所 ) 擇水 ( 水の選択 ) 貯水 舀水 ( 水を汲む ) 煮水器 火候 ( 火加減 ) 烹点 秤量 湯候 ( 湯加減 ) 洗茶 等の 36 則があり, 詳細な論述で 心得が述べられている 2 張源 茶録 明代 茶録 の作者は張源 茶録 は全部で 1500 文字 それぞれ 採茶 ( 茶の摘みとり ) 造茶 ( 茶の製造 ) 辨茶 ( 見分け方 ) 藏茶 ( 保存法 ) 火候 ( 火加減 ) 湯辨 ( 湯加減 ) 湯用老嫩 ( 湯を沸騰させる長さ ) 泡技 ( 湯の注ぎ方 ) 投茶 ( 茶葉の入れ方 ) 飲茶 香 色 味 点染失真 茶変不可用 ( 茶が変化すると使えない ) 品泉 ( 泉の水のみかた ) 井水不宜 ( 井戸水は茶に宜しくない ) 貯水 ( 水の保存 ) 茶具 茶盞( ちゃさん ) 拭盞布 ( 茶盞を拭く布 ) 分茶盒 ( ちゃいれ ) 茶道 の 23 則に分かれている ( 四 ) 清代茶書: 程淯 ( テイイク ) 龍井訪茶記 清代 程淯の 龍井訪茶記 は 土の性質 栽培 育てる 茶摘み 炒る 烹瀹 香りと味 保存 生産額 特色 の 10 項目に分かれている その中の 龍井茶を扁形茶に精製する炒り方の記載は 龍井茶の扁形の炒り方に関する最初の記述である

三 茶と文学 書画 芸術 1 漢印の中の 茶 長沙の馬王堆から出土した前漢の 滑石印 ( 鑿印の一種 ) 茶陵 は 茶文化に対して 高度な研究価値がある 張茶 は漢篆 ( 印篆 ) 円形白文印は 現存する史料の中で比較的早期の茶字の印である 2 普杜育 荈賦 中国で最も早く茶について歌われた詩が 晋代の 荈賦 である 荈賦 の中で 言われている高山に生えている 奇妙な荈茶 こそ 茶 である 杜育は 荈賦 の中で 沫沈華浮, 焕如積雪, 煜若春敷 ( 泡が沈み 華が浮かぶ様子は 積雪のように美しく まるで春の草が敷き詰められているようである ) と詠い 茶湯の形態 色彩の美しさを形容している 荈賦 では 弥谷被崗 の茶栽培の規模 秋茶の栽培の様子 陶磁器に良い茶 沫沈華浮 ( 泡が沈み 華が浮かぶ ) という茶湯の特徴 これらについて初めて触れた 以上 4つの初めての中国茶文化発展史における意義は大きい 3 唐代懐祖 苦笋帖 草書 苦笋帖 は 懐祖の私信であり 現存する最も古い仏門の茶事書法の 作品になる その中で 彼は茶を飲む愛好について表現している 4 唐代李白 玉泉仙人掌茶 茶の詩を読むのは唐代から始まった 唐代以前は 詩歌を詠む中で 茶に触れるのみであった 唐代で最も古い茶の詩は おそらく李白の 答族侄僧中孚贈玉泉仙人掌茶並序 の詩である 李白が言う玉泉仙人掌茶は 湖北省当陽の玉泉寺で生産された 李白が詩の序言の中で 玉泉寺の真公は いつもこれを摘んで 飲んでいる 年は 80 余り 顔の色は桃の花のようだ と述べている 李白は 親戚の僧侶 中孚が送った仙人掌茶を受け取ったので 詩を作り 感謝の気持ちを表した 5 唐代皎然 飲茶歌消崔石使君 詩 飲茶歌消崔石使君 ( 飲茶の歌 崔石使君を詠む ) の作者は 皎然 詩 の中で 渓茶 ( 産地 : 浙江省嵊州 ) を爽やかな味わい深い香りと 甘露酒のよ

うな味だと褒め称え その中の 一飲滌昏寐 ( 一度飲めば眠気が覚め ) 再飲清我神 ( 再び飲めば自分の心が清らかになり ) 三飲便得道 ( 三度飲めば物事の道理を知ることができ ) は 廬仝の 飲茶歌 と異曲同工になっている 6 唐代廬仝 走筆謝孟諌議寄新茶 廬仝の 走筆謝孟諌議寄新茶 は 俗に 七碗茶 詩と呼ばれている その詩句は 一碗喉吻潤, 二碗破孤悶, 三碗捜枯腸, 惟有文字五千巻, 四碗发轻汗, 平生不平事, 尽向毛孔散, 五碗肌骨清, 六碗通仙灵, 七碗吃不得也, 唯觉两腋习习清风生 ( 1 杯目の茶を飲むとのどや唇がうるおい 2 杯目ではひとりさびしい愁いがなくなる 3 杯目を飲むと枯れた心をさぐってみると 五千巻の文字があるばかりで 何の邪心もない 4 杯目で軽く汗がでると 平時の不平は毛穴から飛散してしまう 5 杯目では肌も骨も清らかになり 6 杯目の茶を飲むと仙人や神霊に通じたように感じる もはや7 杯目を飲む必要はない ただ両脇にシウシウ ( 習習 ) と清らかな風を感じるのみである ) この歌は今も詠唱されている 7 唐代劉兎錫 西山蘭若試茶歌 西山蘭若試茶歌 で歌われているのは 斯須炒成滿室香, 便酌砌下金沙水 ( 炒ると部屋に香りがみちるたら 金沙水を汲む ) 詩の中から 茶摘み 炒り 煎茶する様子を知ることが出来る 当時は 蒸青法で団餅茶を製茶する以外に 炒青方で散茶を精製し 直接煎じて飲んでいた 8 唐代李郢 茶山貢焙歌 この詩は主に 貢茶を行う民を監督する様子を描いている 十日王程路四千 ( 10 日間の朝廷への路 4000 ) 到時須及清明宴 ( 到着は 必ず清明の宴に間に合わなければならない ) をと 労役の負担の大きさをいきいきと描いている 詩人は 貢茶の労役者に対し 心からの同情を抱いていた 9 宋代蘇軾の 汲江煎茶 蘇軾は 茶を沸かす時の水の温度に対して 十分に研究を行い 把握してい

た 詩の中で 活水還須活火烹 自臨釣石取深清 ( 活水は必ず火にかけなければならず 自ら岩から汲み取ると趣きがある ) と触れている 詩人が沸かす水は やはり自ら 釣石のそばで深いところから汲んできたもので 火で沸騰させたものであるべきだ と述べている 10 宋代陸遊 雪後煎茶 雪後煎茶 の作者は 陸遊 詩の中で 雪液清甘漲井泉 自携茶灶就烹煎 ( 雪どけ水で清く甘いのが 泉に集まる そこで 自ら茶を携えて かまどで煮て 煎茶する ) と詩人が茶を入れる水えらびが 常にどこでも 情緒あふれるものであったことを描いている 陸遊にとって 茶を愛し 茶を楽しむことが 生活と創作活動に必要であった 11 宋代欧陽修の 陸文学伝 陸文学伝 は重要な茶葉の史料であり 珍しい書法の逸品でもある 12 元代虞集 次鄭文原遊龍井 烹煎黄金芽, 不取谷雨後 ( 黄金芽を炒るならば 谷雨後の茶葉を取ってはならない ) 虞集の詩文と生涯の中で茶と関連するものは多くないが 彼のこの詩には 龍井茶褒め称える先駆け的作品で 中国銘茶史の中でも非常に有名である 13 明代 唐寅 事茗図 唐寅 ( 唐伯虎 ) は 詩 書 画いずれも優れており とくに絵画での成功が顕著である 事茗図 は 伝統的な中国文化の清華を濃縮しており 非常に価値ある作品と言える 14 明代文徵明 恵山茶会図 この絵は明代の代表的な作品で 明代文人の飲茶の雰囲気を表現している 描かれているのは 山腹の松の影で 2 人が語り合い 1 人の少年が 山道に沿って下る途中で あずまやの中では 2 人が井戸を囲んで座り 茶を立てるかまどのそばにもまた 2 人 そこには銅の鼎や石の銚子の類が並べられ 傍で子どもが湯を沸かしている そういう風景である 山水画の美しさ 優雅で味わいのある麗しさを表現している

15 清代李鱓 壺梅図 李鱓が創作した茶詩絵画には主に 壺梅図 と 煎茶図 等がある 16 清代 虚谷 茶壺秋菊 清代以降 茶を題材にした絵画に形式上の大変革があらわれた 花卉を使用して表現するようになったことだ 茶壺秋菊 と 菊華 の作者は虚谷で その作品から虚谷が茶を味わうことを 菊の鑑賞の中に組み入れるのを好んでいたことがわかる 清代呉昌碩 品茗図 等花卉で茶事を表現する画家が多くなり 有名な画家には 呉昌碩 虚谷 李蝉 蒲華等がいた 呉昌碩の 品茗図 には 梅俏春雪活水煎, 山中人兮仙乎仙 ( きれいな梅を見ながら 春の雪解け水で煮ると 山の中の人々は仙人になったように陶酔できる ) との前文がある 表現しているのは画家が梅を観賞し 茶を味わう趣きである 清代の書画篆刻の中で 茶事の篆刻 印章が最も多いのが呉昌碩である 茶禅 茶村 等の屋号の印がある その作品は 力強く 古風かつ質朴で 重みも流暢さを失っていない 18 豊子恺 人散後 一鈎新月天如水 漫画の中の茶事内容は 言葉は簡潔であるが 意は尽くされており 生き生きとしておかしみがあり 味わい深いという特色がある 数筆ながらも興趣は十分である その中で 現代画家の豊子恺の作品が最も有名である 例えば 人散後 一鈎新月天如水 等 19 小説の中の茶小説という文学スタイルで茶事を記述 描写している作品は古代の時点で既に存在している 茶と文学の結合であり 水滸伝 金瓶梅 儒林外史 紅楼夢 等の多くの作品の中で表現されている 中国 4 大古典名著の中で茶事を最も多く描写しているのが 紅楼夢 である 小説の中で茶について言及しているところが 260 ヶ所あり 茶について詠った詩や連句は 10 首以上ある 昔の人は 紅楼夢 には茶葉の香りでいっぱいだ とも述べた 春茶 は現代の茶農家の生産 生活を題材とした長編小説である 現代の茶人を題材とした長編小説には王旭峰の 茶人三部曲 がある 第 1 部 南方

有嘉木 第 2 部 不夜候 第 3 部 築草為城 から成る 20 歌舞 戯曲の中の茶早く元代に 茶事活動は劇作家の筆の下 出現している 明代 湯顕祖の 牡丹亭 の中には 春に茶を摘むシーンが登場する 鳴男乙記 喫茶 尋親記 茶坊 水浒記 借茶 玉簪記 茶敘 風筝誤 茶園 等 多くの古典戯曲の中に茶事が登場している 現代劇の中で最も有名なのが 老舎が 1957 年に創作した話劇 茶舘 である これも現代中国話劇舞台の中で最も優れた作品の一つである 彼は独特の芸術手法で 清末から民国にかけての 50 年の茶舘の変遷を話劇のスタイルで生き生きと表現している 脚本は 旧社会の縮図を表現しただけでなく 昔の北京の茶舘の風習を表現している 他にも曹禺の 北京人 や郭沫若の 孔雀胆 等がある 江西 福建 浙江 湖北 四川省など漢民族の中にも 茶摘みの調べ 等の歌やメロディーがある 他にも 茶灯 ( またの名を 採茶灯 茶歌 採茶 茶籃灯 壮採茶 等ともいう ) という一種の民間に伝わる舞踏もある これは 福建 広西 江西 安徽省等で流行した 茶摘み劇は 直接茶摘みの歌や踊りから発展したもので 民間の 花灯劇 ( 雲南 貴州 広西 福建各省などで広く行われる地方劇 ) や 花鼓劇 ( 湖北 湖南 江西 安徽各省などで広く行われる地方劇 ) のスタイルと結合し 両者が互いに影響しあって 常に発展している 茶摘み劇は 戯曲になり その調子の名称を 採茶歌 という 現代の比較的有名な劇に 浙江省の音楽家周大風が詞と曲を創作した 採茶舞曲 がある 歌は 江南地方の越劇や灘簧 ( 江蘇 浙江省の沿岸地方で広く歌われている歌の節 ) の音調と結合し 江南の茶のふるさとの山水風景と茶を摘み取る女の子の労働風景を表現し これは広く伝わった 四 茶の広がり新唐書 陸羽伝 には 回紇入朝, 始駆馬市茶 ( ウイグル族の祖先が朝廷に入ると 馬と茶の貿易が始まった ) との記載があり 茶と馬の交易が唐代に始まったことがわかる 宋代西北地区の少数民族は 茶なしでは生きていけない という状況にあり 一方で中原王朝は馬を重要な交通と戦争の道具としていたため 茶馬交易 を行うことは お互いの需要に見合っていた 中国古代の 茶馬交易 は 1000 年近く行われていた 歴史上 中国茶は 僧侶や使臣 貿易を以外でも シルクロード を通じて 国外へ伝わった

唐代 徳宋年間 日本の僧侶 空海と最澄が茶と茶の種を日本へ持ち帰った 北宋時代には 日本の僧侶 栄西が中国に留学し 帰国後 喫茶養生記 を書いて 飲茶の習慣を日本で更に普及させた 明代の航海家 鄭和は 茶と茶文化を持って 南アジア諸国やアフリカ等へ赴いた 13 世紀 日本の聖一国師 ( 円爾弁円 ) 南浦昭明が余杭径山寺へ留学し 径山寺の茶を摘み技術 飲茶方法 飲茶の礼儀などを日本へ持ち帰った 禅師 高僧などの先駆けが推進する中で 中国の飲茶方法と礼儀は 日本の寺院で大きく広まり 後に上流社会 民間にも次第に広まるようになった 15 世紀中葉には 奈良寺の高僧 村田珠光が 僧侶の間で流行している中国の飲茶の習慣と礼儀を基本に 日本の民族文化を融合させて 日本茶道を確立した 日本茶道とは 茶を立てる技術 飲茶の方法 敬茶 ( 茶をすすめる ) の礼儀と礼儀教育と道徳の修養を内容とする一種の礼儀を極める茶会を指す 最も早く 寺院の中で行われ 儀式は 荘厳で 後に民間に伝わってからも 茶庵の中で行われた 千利休は 日本で茶道の集大成を行った人物と言われている 栄西が留学を終えて 帰国後 日本で飲茶の習慣を普及させた 現在の日本茶道には 裏千家 表千家 武者小路千家等がある 日本茶道の主要なこころは 和 敬 清 寂 である 和 と 敬 は 人々が相互に尊敬し 仲睦まじくしていくことを表現している 清 寂 は 環境が美しく 優雅であり 飲茶を行う人間は世俗の欲望を捨てなければならないことを表現している 中国儒家の礼制思想が韓国に与えた影響は大きい 儒家の中庸思想は 韓国の 茶礼 の中に入り 中正 の精神を形成した この精神は 人の性格が形成される中で 最も重要な要素であり 消極的を積極的な 悲観的を楽観的な生活態度にさせるものである 韓国 茶礼 の主旨は 和 敬 倹 真 である 和 はすなわち善良な心 敬 は互いに敬い重んじる精神 倹 は生活が質素 清廉であること 真 とは心 気性に誠意があること 人の人との間で 誠意を持って応対できることを指す