このホワイトペーパーは情報提供のみを目的として作成されたものであり 誤字脱字や不正確な技術情報が含まれている場合があります 本書の内容は作成時点のものであり その内容について明示または黙示にかかわらずデルはいかなる責任も負いません 2012 Dell Inc. All rights reserved

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Transcription:

SQL Server とインテル PCIe SSD ストレージ搭載 Dell PowerEdge R720 によるハイパフォーマンスな OLTP データベースの構築 このテクニカルホワイトペーパーでは Dell PowerEdge R720 サーバが SQL Server データベースの OLTP パフォーマンスにもたらすメリットについて説明します Jisha J デルデータベースソリューションエンジニアリング 2012 年 3 月

このホワイトペーパーは情報提供のみを目的として作成されたものであり 誤字脱字や不正確な技術情報が含まれている場合があります 本書の内容は作成時点のものであり その内容について明示または黙示にかかわらずデルはいかなる責任も負いません 2012 Dell Inc. All rights reserved. デルおよびその関連会社は 誤植 入力ミスによる間違い または写真に関する誤りや遺漏について一切の責任を負いません デル デルのロゴ および PowerEdgeはDell Inc. の商標です インテルとXeonは 米国およびその他の国におけるIntel Corporationの商標です Microsoft Windows SQL Server およびWindows Serveは Microsoft Corporationの米国およびその他の国における商標または登録商標です 本書では 上記以外の商標や名称が該当のマークおよび名称の権利を有する団体またはその団体が所有する製品を示すために使用されている場合があります 上記記載以外の商標や会社名は 一切デルに帰属するものではありません 2012 年 3 月 Rev 1.0 ii

目次 エグゼクティブサマリー... 5 はじめに... 5 Dell PowerEdge R720 の概要... 5 プロセッサー... 9 メモリ... 9 フロントローディング式の PCIe SSD による内蔵ドライブのサポート... 10 PowerEdge R720 で期待できるデータベースのパフォーマンスの向上...11 前世代 2U サーバとのパフォーマンスの比較...11 テスト方法... 11 テスト構成... 11 テスト結果と分析... 14 サーバベースの PCIe SSD ドライブとそれがデータベースのパフォーマンスにもたらす影響...17 テスト構成... 19 PCIe SSD ドライブへのユーザーデータベース配置... 19 PCIe SSD ドライブへの Temp データベースファイルとユーザーデータベースログの配置... 23 結論...24 付録 A...26 表 表 1. 第 12 世代 PowerEdge と第 11 世代 PowerEdge を比較した場合のお客様のメリット 7 表 2. メモリチャネルあたりの DIMM 実装数とサポートする RDIMM の動作速度...10 表 3. PowerEdge R710 と PowerEdge R720 のテスト構成の比較...13 表 4. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 テスト結果の注目すべき項目...16 表 5. PCIe SSD 搭載 PowerEdge R720 のテスト構成の詳細...19 表 6. SQLIO テストパラメータ...26 図 図 1. PowerEdge R720... 6 図 2. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 - 1 秒あたりのトランザクション数...14 図 3. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 応答時間...15 図 4. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 プロセッサー使用率...16 図 5. PCIe SSD のパフォーマンス : 1 秒あたりのトランザクション数...20 図 6. PCIe SSD のパフォーマンス : アプリケーションの応答時間...21 iii

図 7. PCIe SSD のパフォーマンス : CPU 使用率...22 図 8. PCIe SSD のパフォーマンス : ディスクの平均アイドル時間...23 図 9. 前世代のサーバと比較して PowerEdge R720 が達成したデータベースのパフォーマンス向上...24 図 10. PCIe SSD ドライブの使用によって達成されたデータベースのパフォーマンス向上...25 図 11. SQLIO 結果の比較 : OS RAID( ミラー化されたディスク ) 構成の場合と OS RAID 構成でない場合の比較 350 GB PCIe SSD ドライブ 4 台を使用...26 iv

エグゼクティブサマリー デルは先ごろ 優れたパフォーマンスを提供する PowerEdge R720 をはじめとする 次世代サーバを発表しました PowerEdge R720 サーバは強力なプロセッサーをサポートし 大容量メモリとフロントローディング式の PCIe SSD を搭載しており 高いパフォーマンスが求められるアプリケーションに最適です Microsoft SQL Server は最も有名なデータベースの 1 つであり パフォーマンスを重視する世界中のアプリケーションが SQL Server 上で稼働しています SQL Server データベースで稼働するアプリケーションは この高性能なサーバをバックエンドとして使用することで さまざまなメリットが得られます このホワイトペーパーでは PowerEdge R720 が標準的なデータベースのワークロードにもたらすパフォーマンス上のメリットについて紹介します CPU のパフォーマンスと PCIe SSD のパフォーマンスは 特定のオンライントランザクション処理 (OLTP) テスト構成を使用して評価しています はじめに 今日の業界では すべてのデータセンター製品に高い効率性が期待されています パフォーマンスと 性能を最適化するための要件も この数年間で飛躍的に増加しています 最高のデータセンター製品 を求めるお客様の要望を受けて デルなどの大手企業は毎年 より優れた製品を開発しています また ハイパフォーマンスのデータベースを実現する効率性の高いハードウェアに対するニーズも 日 ごとに高まっています 現在のデータセンター製品は 高いワークロードを想定した設計によって 優 れたパフォーマンスと運用効率を提供することができます このように効率性の高いハードウェア製品 が エンタープライズスタックのソフトウェアコンポーネントに最適なバックエンドを実現します デルは先ごろ データセンター全体の効率を最適化することを目指した次世代エンタープライズサーバ を発表しました このホワイトペーパーでは デルが提供するこの最新の 2U サーバを SQL Server データ ベース環境に使用することで得られるパフォーマンス上のメリットについて説明します Dell PowerEdge R720 の概要 Dell PowerEdge R720 は パフォーマンスと拡張性を重視したミッドレンジの 2S 2U ラックサーバです PCIe SSD カードによって非常に優れたストレージパフォーマンスを提供し 10GbE のサポートによって 広帯域幅のネットワーク I/O をサポートする 高性能のサーバです 5

図 1 は PowerEdge R720 サーバの前面を示しています 図 1. PowerEdge R720 6

PowerEdge R720 の主なテクノロジーの拡張と旧世代サーバとの比較は 表 1 の通りです 表 1. 第 12 世代 PowerEdge と第 11 世代 PowerEdge を比較した場合のお客様のメリット 第 12 世代 PowerEdge R720 新しいインテル Xeon プロセッサー E5-2600 番台 第 11 世代と比較した場合のお客様のメリット より効率的で高速な計算結果 ライフサイクルコントローラ搭載 idrac7 エージェントレスな監視 交換パーツの自動アップデート 稼働時間の最大化 オフライン状態になってもサーバを監視 メンテナンス時間の削減 ネットワーク付属カード (NDC) およびセレクトネットワークアダプタ (SNA) お客様のニーズに合わせてカスタマイズされたネットワークファブリック スイッチ非依存のパーティショニング ベンダーロックインがない 投資保護 : 準備ができたときにアップグレード VM 間でリソースを柔軟に割り当て フロントローディング式でホットスワップ対応の PCIe SSD ドライブ データを素早く情報に変換 ( 従来の SSD を最大 3 倍上回るパフォーマンス )1 PowerEdge RAID コントローラ (PERC) H710P/H810 による業界トップクラスの IOPS 旧世代の PERC より優れたパフォーマンス ドライブを素早く交換 ミラーの分割 適正サイズの PSU 電力効率を高めてコストを削減 電源モニタリング ( オプションの上限設定 ) 冷却コストを抑制 R720 内蔵 GPU 仮想デスクトップインフラストラクチャ (VDI)/ ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) のパフォーマンスが向上 メモリ 構成を最大限の密度でより柔軟に構築して RAS 機能を実現 妥協なしの仮想化 オーダーと構成が容易 7

1 PCIe SSD Storage, SNIA, by Gary Kotzur, Dell Inc.(Gary Kotzur 著 PCIe SSDストレージ SNIA Dell Inc.) snia.org/sites/default/education/tutorials/2011/fall/solidstate/garykotzur_pcie_ssd_storag e.pdf. 8

以下のセクションでは PowerEdge R720 サーバの主なコンポーネントと機能について説明します プロセッサー Dell PowerEdge R720 は最新のインテル Xeon プロセッサー E5-2600 ファミリー (Sandy Bridge-EP アーキ テクチャ ) プロセッサーをサポートし 多彩な機能を提供します そうした機能の 1 つが 広帯域幅の ソケット間通信を可能にする QuickPath Interconnect(QPI) リンクです プロ セッサーあたり最大 8 つの実行コアをサポートし 各コアが最大 2 つのスレッドをサポートするため プ ロセッサーあたり最大 16 スレッドをサポートできます ( ハイパースレッディングを使用した場合 ) こ のプロセッサーは すべてのコアで共有する最終レベルキャッシュ (LLC) を最大 20 MB( コアあたり最 大 2.5 MB) までサポートします メモリ Dell PowerEdge R720 は ECC 付きの DDR3 DIMM( アンバッファード DIMM(UDIMM ECC) レジスタード DIMM(RDIMM) 負荷低減 DIMM(LRDIMM)) をサポートしています シングル デュアル およびクア ッドランクの DIMM をサポートしています 電圧は標準と低電圧の 2 つをサポートしています 1.5 V の標 準 DIMM 電圧は最大 1600 MHz までの速度に対応し 1.35 V の低電圧は最大 1333 MHz までの速度に対応しま す CPU あたり最大 12 DIMM を実装でき デュアルソケット構成では最大 24 DIMM を実装できます R720 には CPU あたり 4 つのメモリチャネルがあり 各チャネルが最大 3 つの DIMM をサポートします 現時点で は 最大 768 GB のメモリ容量をサ ポートします 動作速度は DIMM のタイプ DIMM の容量 およびチャネルあたりの DIMM 実装数に応じて 1600 MHz 1333 MHz 1066 MHz および 800 MHz をサポートしています 表 2 は メモリの DIMM 実装数と 動作電圧 1.5 V でサポートするメモリの動作速度を示しています 9

表 2. メモリチャネルあたりの DIMM 実装数とサポートする RDIMM の動作速度 チャネルあたりの DIMM 実装数 1.5 V の動作電圧でサポートするメモリの動作速度 チャネルの DIMM 最高ランク 1 1600 1333 1066( クアッドランクは 1066 800) クアッドランク 2 1600 1333 1066( クアッドランクは 800) クアッドランク 3 1066 800 デュアルランク フロントローディング式の PCIe SSD による内蔵ドライブのサポート R720は オプションのフレックスベイなしで3.5インチSAS SATA およびニアラインSASドライブを最大 8 台サポートします オプションのフレックスベイを使用すると 2.5インチSAS SATA ニアラインSASドライブ およびPCIe SSDドライブを最大 16 台サポートできます PCIe SSDドライブのサポートにより PowerEdge R720 内で高いストレージIOPSを実現できます 第 8 世代のすべてのPERC(PowerEdge RAIDコントローラ ) コントローラは ハードウェアRAID 機能とその他のさまざまなRAIDオプションを提供して 信頼性の高い構成を可能にします PERC H710PおよびH810コントローラは SAS/SATAディスクにより高い IOPS(Input Output Operations per Second) を実現し R720サーバ内で優れたパフォーマンスを提供します 10

PCIe SSD ドライブと 標準的なデータベースワークロードで確認されたパフォーマンス向上の詳細につ いては このホワイトペーパーの サーバベースの PCIe SSD ドライブとそれがデータベースのパ フォーマンスにもたらす影響 のセクションで説明します PowerEdge R720 の機能の詳細については Dell.com/PowerEdge を参照してください PowerEdge R720 で期待できるデータベースのパフォーマンスの向上 第 12 世代の PowerEdge サーバには アプリケーションのパフォーマンスを向上させる可能性のある高性 能なコンポーネントが搭載されています データベースアプリケーションは パフォーマンスが極め て重要な要素となるアプリケーションカテゴリの 1 つです データベースアプリケーションには それ ぞれクライアントの要求を満たすために必要な特定のパフォーマンス要件があります 例えば OLTP ( オンライントランザクション処理 ) アプリケーションにとっては TPS(1 秒あたりのトランザクショ ン数 ) と応答時間の向上によるメリットがありますが OLAP( オンライン分析処理 ) では より高度 なデータベーススループットが求められます PowerEdge R720 は 広帯域幅のプロセッサー 大容量 メモリ および卓越したストレージパフォーマンスと大容量を備え データベースアプリケーション に最適なサーバです このホワイトペーパーでは 標準的な SQL Server 2008 R2 データベース構成を使用して PowerEdge R720 が提供できるデータベースパフォーマンスを評価します ここで評価する範囲は OLTP のワークロー ドに限定し OLAP/DSS Exchange など 他のワークロードについては言及しません 本書の後半では OLTP データベースのワークロードに PowerEdge R720 を使用した場合の パフォーマンスへの影響について詳しく説明します 前世代 2U サーバとのパフォーマンスの比較 PowerEdge R720 を使用すると前世代の PowerEdge R710 と比べてどの程度パフォーマンスが向上するかを見るため デルの研究所で PowerEdge R710 と R720 のパフォーマンスを比較するテストを行いました この比較実験のテスト方法 詳しい構成 および見解については この後のセクションで説明します テスト方法 テストは PowerEdge R710 と R720 のプロセッサーの性能を評価できる設計にしました OLTP テストツー ルを使用して クライアントマシンの TPC-E ストレスワークロードをシミュレーションしました PowerEdge R710 と PowerEdge R720 の両方に対して同一のテストベンチマークを実行しています テスト構成 ハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの詳細は表 3 に示す通りです PowerEdge R710 には サ ポートするプロセッサーの中で最もパフォーマンスが高いプロセッサーと 可能な限り最大のメモリ容 量を搭載しています これにより ディスクのバックエンドに大きなボトルネックを生じることなく CPU に最大限の負荷を与えることができました PowerEdge R720 のテストに必要なメモリ容量は メモリ 実装ガイドラインに基づいて決定し メモリ速度で最大の 1600 MHz を達成できるようにしました 実装 11

されたメモリ容量は 128 GB で これは R710 のメモリ容量 144 GB よりも少なくなっています いずれにし ても このワークロードでは R720 のメモリまたはディスクにはさほど大きなボトルネックが生じないこ とが実証されました 12

表 3. PowerEdge R710 と PowerEdge R720 のテスト構成の比較 コンポーネント PowerEdge R720 PowerEdge R710 サーバ BIOS 0.3.35 6.1.0 メモリ (RAM) 128 GB(16 GB DDR3 1600 MHz DIMM x 8) 144 GB(8 GB DDR3 1333 MHz DIMM x 18) サポートされる最大メモリ容量 プロセッサー 8 コアインテル Xeon 2690 (Sandy Bridge) プロセッサー @2.7 GHz x 2( ハイパースレッディング対応 ) 6 コアインテル Westmere X5690 プロセッサー @3.47 GHz x 2 ( ハイパースレッディング対応 ) ホストバスアダプタ Qlogic 8 Gbps QLE2562 デュアルポート HBA x 2 Qlogic 8 Gbps QLE2562 デュアルポート HBA x 2 外部ストレージ PowerVault MD3620F(15,000 RPM SAS 6 Gbps 146 GB ディスク x 24) x 1 PowerVault MD3620F(15,000 RPM SAS 6 Gbps 146 GB ディスク x 24) x 1 オペレーティングシステム Microsoft Windows 2008 R2 SP1 Microsoft Windows 2008 R2 SP1 データベース Microsoft SQL Server 2008 R2 SP1 Microsoft SQL Server 2008 R2 SP1 データベースサイズ 500 GB 500 GB データベースリカバリモデル フル フル テストのワークロード TPC-E ベンチマーク (OLTP) TPC-E ベンチマーク (OLTP) 外部ストレージに 500 GBのテスト用データベースを構成しました このデータベースは 2つの個別の論理ドライブ ( それぞれディスク10 台のRAID 10で構成される2つのLUN) 上に格納された2つのデータファイルと 別のRAID 1 LUN 上に格納された1つのログファイルで構成されています この2つのLUNには tempdbファイルも配布されています テスト用のワークロードにはTPC-Eを選択しました これは 処理されるトランザクションがCPUの処理能力を大量に必要とするためです メモ : TPC-Eは TPC-Cとは大きく異なり はるかに大量のI/OとCPUの処理能力を必要とするワークロードです そのため パフォーマンスの数値をTPC-Cのワークロードと比較することはできません 13

テスト結果と分析 負荷テストの実施結果は 特定の TPC-E ワークロードに対して PowerEdge R720 が R710 よりも高いパフォーマンスを発揮することを示しています 図 2 は R720 と R710 の 1 秒あたりのトランザクション数 (TPS) を比較したものです 図 2. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 - 1 秒あたりのトランザクション数 このワークロードでは R720 の TPS が R710 よりも 1.5 倍高くなっています また このグラフを見ると R720 は負荷が高くなっても TPS を一定して 105 に維持できることが極めて明らかです 14

図 3 は ワークロード処理中に観察されたアプリケーションの応答時間を示しています 図 3. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 応答時間 応答時間の数値を見ると R720はR710よりも応答時間が短いために 高いTPSを達成できるということが分かります R720のアプリケーション応答時間は 同一構成のR710よりも最大 30 % 高速になっています 前述の通り R710は可能な限り最大のメモリ容量 (144 GB) で構成され R720には1600 MHz(R720でサポートされる最大のメモリ速度 ) 128 GBのRAMが実装されています 15

図 4 は テスト実行中のシナリオに応じたプロセッサー使用率を示すものです R710 では ユーザー数が 110 になったときにプロセッサー使用率が 100 % に達しましたが R720 では 250 ユーザーになるまでプロ セッサー使用率が 100 % に達することはありませんでした 図 4. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 プロセッサー使用率 その他の注目すべき主なテスト結果は 表 4 の通りです 表 4. R720 と R710 のパフォーマンスの比較 テスト結果の注目すべき項目 パフォーマンス変数 PowerEdge R720 構成 PowerEdge R710 構成 最小最大平均最小最大平均 バイト / 秒 (KBps) 102 203 183 96 138 128 行 / 秒 2738 5476 4943 2577 3718 3466 平均値では 特定のデータベースワークロードに対する1 秒あたりのバイト数も1 秒あたりの行数も PowerEdge R720のほうが約 43 % 高くなっています まとめると PowerEdge R720は 最高のパフォーマンスを提供する最新のプロセッサーと高速メモリをサポートしており そのために特定のデータベースワークロードに対してはR710より高いパフォーマンスを発揮できます 16

サーバベースの PCIe SSD ドライブとそれがデータベースのパフォーマンスにもたらす影響 SSD( ソリッドステートドライブ ) では 従来のハードドライブで使用されているメカニカルメディアで はなく NAND フラッシュメモリチップを使用してデータを保存します SSD には可動部品が一切ないた め 非常に低レイテンシのディスクアクセスが可能です 従来の SSD では 機械式ドライブをサ ポートできるインターフェイスが使用されていました しかし現在の PCIe ベースの SSD 23 では特定のドラ イバを使用し 高速の PCIe インターフェイスを介した通信によって 複数のメモリチャネルに接続しま す そのため 従来の最速ストレージアレイと比べても低いレイテンシでアクセスできます PCIe SSD は 極めて低いレイテンシを必要とするデータベースアプリケーションや 大量のランダムな読み取り / 書き込み処理を生成するデータベースアプリケーションに 大きなメリットをもたらします PowerEdge R720 は このハイパフォーマンスの PCIe SSD ドライブをサポートしているため 優れたスト レージスループットを提供することができます R720 は前面のドライブベイに SAS/SATA ニアライン SSD に加え PCIe SSD ドライブを最大 4 台搭載できます フロントローディング式のこの PCIe SSD ドライブ は 市場の他の PCIe SSD ベンダーの製品よりも柔軟性に優れ ( ホットプラグ対応 ) 価格も低くなって います SQLIO を使用すると 350 GB の PCIe カード 4 枚で ランダムの 8K 読み取りの 1 秒あたりの I/O 処理数 (IOPS) は 600,000 IOPS 以上 ランダムの 8K 書き込み IOPS は 400,000 IOPS 以上となりました PCIe SSD ドライブを使用した場合に I/O 負荷の高いデータベースのワークロードにどのようなメリットが あるかを分析するため 一連のテストを行いました このテストには 前述の R710 との比較テストの場 合よりもメモリ容量が少ない構成を選択しました SQL Server では データベースのバッファを削減し てディスクのバックエンドで使用できる I/O を増やすため 推奨メモリは 8 GB に制限されていました 現時点では PCIe SSD でサポートしているのはソフトウェア RAID のみです ドライブ上で負荷が高くな るとパフォーマンスの低下が見られため PCIe SSD カード上ではソフトウェア RAID を使用しないことを 推奨します 詳細は付録 A を参照してください 可用性を高めるには データベースミラーリングな ど アプリケーションレベルの高可用性ソリューションをシステムに合わせて構成することを推奨しま す 本書ではこの後 PCIe SSD 階層にさまざまなデータベースを構成した場合のパフォーマンスへの影響について説明します 2 http://searchsolidstatestorage.techtarget.com/tip/is-pcie-ssd-right-for-you-deploying-pci- 17

Express- SSD-devices 3 http://searchstorage.techtarget.co.uk/feature/pcie-ssd-what-it-is-and-how-you-can-use-it 18

テスト構成 PCIe SSD パフォーマンステスト用に選択したシステムのテスト構成は 表 5 の通りです 表 5. PCIe SSD 搭載 PowerEdge R720 のテスト構成の詳細 コンポーネント PowerEdge R720 の詳細 サーバ BIOS 0.3.35 メモリ (RAM) 16 GB@1600 MHz(8 GB DDR3 DIMM x 2) ( ディスクで使用できる I/O を多くするため SQL のメモリは 8 GB に制限されている ) プロセッサー 8 コアインテル Xeon 2690 プロセッサー @2.7 GHz x 2 ( ハイパースレッディング対応 ) ホストバスアダプタ Qlogic 8 Gbps QLE2562 デュアルポート HBA x 2 外部ストレージ内蔵 PCIe SSD オペレーティングシステムデータベースデータベースサイズデータベースリカバリモデルテストのワークロード PowerVault MD3620F(15,000 RPM SAS 6 Gbps 146 GB ディスク x 24) x 1 350 GB Micron Real SSD ドライブ x 4 ファームウェア - B1390008 ドライバ - 6.24.0.8 Microsoft Windows 2008 R2 SP1 Microsoft SQL Server 2008 R2 SP1 500 GB フル TPC-E ベンチマーク (OLTP) PCIe SSD ドライブのパフォーマンスを最適に活用するためには アプリケーションと I/O の動作について非常に詳しい知識が必要です ワークロードを慎重にテストして 最適な PCIe SSD ストレージの候補を選定する必要があります 今回のテストでは PCIe SSD 階層に以下のデータベースコンポーネントを配置して パフォーマンスへの影響を調べましました 1,5000 RPM の SAS を搭載したバックエンド構成 ( ディスク 24 台の MD3620F) にも同じ TPC-E データベースワークロードを実行して 結果を比較しました PCIe SSD ドライブへのユーザーデータベース配置 ユーザーデータベース用のデータファイルは SSD 階層に配置する候補の 1 つとなります 小規模なデータベース全体を PCIe SSD に配置することをお勧めします 大規模なデータベースの場合には そのデータベースの中で最も I/O 負荷が高いコンポーネントを特定してそれを SSD に移行し アプリケーションパフォーマンスを高めます SSD に配置する候補を判断するときには クエリの動作も重要な要素となります 19

今回のテストでは 以下のデータベースコンポーネントが PCIe SSD 階層に含まれています すべてのユーザーデータファイルを SSD 階層に移行しました ( データベースログファイルお よび tempdb ファイルは 従来のストレージに格納されています ) 最もアクセス頻度が高いデータサブセットを特定するために クエリの動作を分析しました その結果 Trade テーブルがワークロードの中で最も I/O 負荷の高い構造であることが分かりま した このデータサブセットを PCIe SSD 階層に移行して ドライブに及ぼすメリットを分析し ました このテーブル全体で データベース全体のサイズの約 43 %( 約 200 GB) を占めます 図 5 は PCIe SSD バックエンドでの移行によって達成された TPS の向上を示しています 図 5. PCIe SSD のパフォーマンス : 1 秒あたりのトランザクション数 PCIe SSDレイヤを設けてそこでデータベースファイルをホストするようにすると TPSが2.7 倍に向上しました アクセス頻度の高いデータをPCIe SSDに格納するハイブリッド方式では データベース全体をSSD ドライブに格納した場合よりさらに高いTPSが得られました これはおそらく ハイブリッド方式の場合はPCIe SSDと従来のデータLUNの両方のメリットがTPSに反映されるためであると思われます また PCIe SSD 階層を設けることにより 他の従来のデータLUN( やはり外部ストレージ上にある ) の負荷も軽減され それがTPSの数値の向上に役立っています 20

アプリケーションの応答時間にも 明らかに同様の傾向が見られます 図 6 は テスト実行中に観察されたアプリケーションの応答時間を示しています 図 6. PCIe SSD のパフォーマンス : アプリケーションの応答時間 PCIe SSD レイヤによって 全体的なアプリケーションの応答時間が従来のドライブより最大 120 % 向上していることが分かります 注目すべきもう 1 つの重要な傾向は すべてのデータが SSD ドライブに格納されている場合 ユーザー数 が 20 以上になると TPS がそれ以上向上しなくなるということです ハイブリッド方式の場合には 30 ユー ザーから TPS の平板化が見られます 一方 データが従来のストレージに格納されていると 概ね 20 ユー ザーから TPS が平板化します その理由は ワークロードが大量の CPU 処理能力を必要とするだけでなく ディスク I/O の負荷も高い性 質のものであるためです 20 ユーザーに達すると ワークロードは CPU への負荷よりもディスクへの負 荷のほうが大きくなります 20 ユーザー以上になると データベースのバッファにより 大量の読み取 りが必要なトランザクションのボトルネックが CPU へと移行します このデータポイントを超えると サーバ上の CPU へのプレッシャーと I/O へのプレッシャーが高まり TPS が平板化します この場合 初期の段階ではディスクがシステム全体の TPS のボトルネックとなっていま すが その後 パフォーマンスによるメリットが CPU とディスクの両方に移行します PCIe SSD ドライブ はディスクのボトルネックを効率的に軽減するため CPU への負荷が少ないワークロードなら PCIe SSD のパフォーマンスによって最大限のメリットが得られます 21

図 7 は このような場合の CPU 使用率を示しています 図 7. PCIe SSD のパフォーマンス : CPU 使用率 図 7 を見ると ワークロードによるディスクのボトルネックが CPU 使用率低下の原因となっているこ とが明らかです PCIe SSD ドライブは CPU へのプレッシャーを高めるディスクのボトルネックを 高い IOPS 性能によって解消します 22

図 8 は テスト実行中に観察されたデータディスクのアイドル時間を示しています 図 8. PCIe SSD のパフォーマンス : ディスクの平均アイドル時間 すべてのデータが従来のディスクに格納されている場合には ディスクの使用率はほぼ 100 % となりま す ハイブリッド方式では PCIe SSD ドライブを 30 % 使用することにより ディスク全体のビ ジー時間が 100 % から 38% に低下しました これは PCIe SSD ドライブがデータ要求を高速に処理できる ことを示しています PCIe SSD ドライブへの Temp データベースファイルとユーザーデータベースログの配置 テストに使用した特定のワークロード ( 読み取り負荷が高い ) では Temp データベースファイルと ユーザーデータベースログファイルには データファイルディスクほどプレッシャーはかかりません でした そのため Temp DB ファイルとログファイルを PCIe SSD に移行しただけではパフォーマンスの 向上は特に見られませんでした 挿入 更新 ソートなどを頻繁に行うタイプのワークロードであれ ば PCIe SSD のパフォーマンスによるメリットを得られる可能性があります SSD を使用すると アプリケーション用にハイパフォーマンスのディスクバックエンドを実現できる可能 性がありますが アプリケーションのボトルネックが CPU ネットワーク 他のデータディスクなど 別 のデータベースレイヤに存在する場合には SSD が提供する最大限のパフォーマンスを完全に実現するこ とができないこともあります そのため PCIe SSD のパフォーマンスがもたらす真のメリットを確実に 得るためには PCIe SSD を実装する前に現在の環境を徹底的に分析することを推奨します 23

結論 データベースのパフォーマンステストでは PowerEdge R720を使用すると 前世代のR710サーバを使用した場合に比べてパフォーマンスに大きな影響がもたらされることが分かりました テストで得られた 特定のTPC-Eデータベースワークロードに対するPowerEdge R720の最大のデータベースパフォーマンス値の概要を 図 9に示します 図 9. 前世代のサーバと比較して PowerEdge R720 が達成したデータベースのパフォーマンス向上 24

PowerEdge R720 がサポートするハイパフォーマンスの PCIe SSD ドライブは データベースによって発生す るディスクのボトルネック解消に非常に役立つ場合があります 特に PCIe SSD は OLTP ワークロードに大 きなメリットをもたらす可能性があり 高い IOPS(1 秒あたりの I/O 処理数 ) と極めて低いレイテンシを提 供します データベース構造の格納に PCIe SSD ドライブを使用した場合に観察されたパフォーマンスへの 影響については 図 10 にその概要を示します 図 10. PCIe SSD ドライブの使用によって達成されたデータベースのパフォーマンス向上 まとめると PowerEdge R720は 高性能なCPUのサポート 大容量メモリ および高速 DIMMによってデータベースを高速に処理できる 高性能なサーバです フロントローディングの高速なPCIe SSDにより 極めてハイパフォーマンスのデータベースアプリケーションを効率的にサポートします PowerEdge R720(PCIe SSD 搭載 ) をデータベースサーバとして使用した場合の主なメリットは 以下の通りです データベースTPSの向上 データベース応答時間の短縮 25

付録 A 図 11. SQLIO 結果の比較 : OS RAID( ミラー化されたディスク ) 構成の場合と OS RAID 構成でない場合の比較 350 GB PCIe SSD ドライブ 4 台を使用 表 6. SQLIO テストパラメータ スレッド 4 IO タイプ ファイルサイズ ランダム 51,200 MB 時間 30 26