前書き ucosminexus Service Platform ucosminexus Service Architect ucosminexus Application Server は 経済産業省が 2003 年度から 3 年間実施した ビジネスグリッドコンピューティングプロジェクト の技術開発の成果を含みます 商標類 ABAP は SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です Eclipse は 開発ツールプロバイダのオープンコミュニティである Eclipse Foundation, Inc. により構築された開発ツール統合のためのオープンプラットフォームです IIOP は OMG 仕様による ORB(Object Request Broker) 間通信のネットワークプロトコルの名称です iway および iway Software は,Information Builders, Inc. の米国およびその他の国における登録商標です Java 及びすべての Java 関連の商標及びロゴは 米国及びその他の国における米国 Sun Microsystems, Inc. の商標または登録商標です MyEclipse は 米国 Genuitec 社の商品名称です mysap は SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です Oracle は 米国 Oracle Corporation 及びその子会社 関連会社の登録商標です R/3 は SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です SAP は SAP AG のドイツ及びその他の国における登録商標または商標です SAP NetWeaver は ドイツおよびその他世界各国における SAP AG の商標または登録商標です SOAP(Simple Object Access Protocol) は 分散ネットワーク環境において XML ベースの情報を交換するための通信プロトコルの名称です UNIX は X/Open Company Limited が独占的にライセンスしている米国ならびに他の国における登録商標です WebSphere は 米国における米国 International Business Machines Corp. の登録商標です Windows は 米国およびその他の国における米国 Microsoft Corp. の登録商標です Windows Server は 米国 Microsoft Corporation の米国及びその他の国における登録商標です その他製品名などの固有名詞は各社の商品名 商標および登録商標です i All Rights Reserved. Copyright 2009, Hitachi, Ltd.
はじめに このドキュメントでは エンタープライズサービスバスを備えたプロセス統合基盤ソフトウェア Cosminexus サービスプラットフォームと SAP AG( 本社 : 独ワルドルフ 最高経営責任者 : へニング カガーマン / 以下 SAP) の E RP パッケージの連携について解説を行い また 実際に Cosminexus サービスプラットフォームから ES を呼出す手順について紹介するもので 次の基準にもとづいて記述しています 1. 対象とする読者 Cosminexus サービスプラットフォームと SAP の ERP パッケージを連携してサービス統合システムを開発する立場にある業務 SE を対象としています 本書によって Cosminexus サービスプラットフォームと SAP の ERP パッケージの連携に関する基礎知識を習得することができます 2. 対象とする製品 Windows Server 2003 または 2008 ucosminexus Service Architect 08-10 および ucosminexus Service Platform 08-10 mysap ERP または SAP ERP 6.0 SR3 または SAP R/3 と次の iway Business Service Provider および iway Application Systems Adapter for SAP ERP < 本書での表記 > BAPI: Biometric Application Programming Interface BPEL: Business Process Execution Language BPM: Business Process Management CRM: Customer Relationship Management DBQ: Database Queue ECC: ERP Central Component ERP: Enterprise Resource Planning ES: Enterprise Services ESB: Enterprise Service Bus IDoc: Intermediate Document MQ: Message Queue RFC: Remote Function Call SCM: Supply Chain Management SOA: Service Oriented Architecture WSDL: Web Service Definition Language XML: Extensible Markup Language ii
Contents 1. 予備知識... 1 1.1 Cosminexusサービスプラットフォーム... 1 1.2 SAPのERPパッケージ... 5 1.3 CosminexusとSAP ERPの連携... 7 2. 連携パターン... 8 2.1 一般的な連携パターン... 8 2.2 その他の考えられる連携パターン... 10 3. ESの利用例... 11 3.1 想定パターン... 11 3.2 環境構築... 12 3.3 ESを使った例題... 13
1. 予備知識 1.1 Cosminexusサービスプラットフォーム Cosminexus サービスプラットフォームは BPEL 準拠のビジネスプロセス管理 (BPM) とサービスをメッセージで連携するエンタープライズサービスバス (ESB) でワンストップサービスを実現するためのミドルウェアです 製品構成は大きく二つにわけられます ビジネスプロセス管理 エンタープライズサービスバスおよび標準 接続用途ごとに用意されたオプションおよびゲートウェイ それぞれの製品構成について説明します 1.1.1 ビジネスプロセス管理 エンタープライズサービスバスおよび標準 次の二つの製品が Cosminexus サービスプラットフォームの基本構成になります ucosminexus Service Architect Eclipse プラットフォーム上で動作する開発環境 ucosminexus Service Platform J2EE プラットフォーム上で動作する実行環境 多様なサービスと連携 ( サービス連携機能 ) Web サービス 既存システム ( ホスト ucosminexus OpenTP1 ほか ) データソース (DB ファイル ) ほか BPM/ESB 基盤開発環境 ucosminexus Service Architect File DB サービス定義画面 サービス接続 / メッセージルーティング サービス呼出 ビジネスプロセス (BPEL) データ変換 サービス呼出 ビジネスプロセス定義画面 詳細設計ドキュメント リクエスト受付 SOAP WS-Reliability BP 呼出 BPM/ESB 基盤 ucosminexus Service Platform データ変換定義画面 サービス利用者 サービスリクエスタ (Servlet 等 ) 実行履歴 障害発生時 実行履歴を利用して利用者がリクエストを再投入することなくエラー発生サービスからプロセスを再開可能 ビジネスプロセス設計者 / 実装者 図 1.1-1 Cosminexus サービスプラットフォームの基本構成 ESB 上で動作するを介して さまざまなプロトコルのサービスとの接続を可能にします また BPEL 準拠のビジネスプロセス管理により 業務の流れに沿って 複数のサービスを自動的に呼び出し ワンストップサービスを可能にします 1
基本構成に含まれるは 次のプロトコルをサポートしています SOAP SOAP を利用すると ESB への受付と ESB からの呼び出しの同期型通信が可能です ESB を任意の WSDL で定義した Web サービスとして呼び出したり ESB から任意の WSDL で定義した Web サービスをリモートで呼び出したりすることができます RMI-IIOP EJB を利用すると ESB への受付と ESB からの呼び出しの同期型通信が可能です ESB を固定インタフェースで定義した Session Bean で呼び出したり ESB から任意のインタフェースで定義した Session Bean をリモートで呼び出したりすることができます SQL DB を利用すると ESB から RDB への接続が可能です SQL 定義を利用して ESB 内のデータと RDB のマッピングを実現しています DBQ DBQ を利用すると データベースをキューとして ucosminexus TP1/Server Base Enterprise Option と J2EE との間で 非同期型のメッセージ送受信が可能です WS-Reliability WS-R を利用すると 標準化団体 OASIS で標準化された インターネット向けのオープンな非同期通信プロトコルを利用して メッセージ送受信が可能です Web サービス (Cosminexus, 他社システム ) EJB (Cosminexus) DB (HiRDB, Oracle) ucosminexus TP1/Server Base Enterprise Option WS-Reliability 対応システム (Cosminexus) SOAP RMI-IIOP SQL DBQ WS-Reliability SOAP EJB DB DBQ WS-R ビジネスプロセス (BPEL) ucosminexus Service Platform 図 1.1-2 標準 なお 非同期通信で非 XML メッセージを扱う場合は オプション製品の ucosminexus 日立コード変換を利用して データ変換エンジンの中で 文字コード変換を行います 2
1.1.2 接続用途ごとに用意されたオプションおよびゲートウェイ 基本構成に含まれる以外に接続用途ごとに用意されたオプションとゲートウェイを利用して 既存システムとの連携が可能です プロトコル ファイルプロトコル次のオプション製品が提供するファイルを利用すると ESB からファイルの読み書きが可能です ucosminexus Service Adapter for Flat Files MQ プロトコル次のオプション製品が提供する MQ を利用すると ESB から MQ プロトコルを介しての接続が可能です ucosminexus Service Adapter for Message Queue TP1/RPC プロトコル次のオプション製品が提供する OpenTP1 を利用すると ESB から TP1/RPC プロトコルを介しての接続が可能です ucosminexus Service Adapter for TP1 アプリケーション ERP システム次のオプション製品を利用することにより 既存 ERP 資産を活用したシステム間連携を実現します SAP R/3 および Oracle E-Business Suite (Oracle EBS) をサポートしています iway iway は iway Business Service Provider と接続対象の ERP システムごとに用意された次のを組み合わせて使用します iway Application Systems Adapter for SAP ERP iway Application Systems Adapter for Oracle Applications Object Wrapper システム次のオプション製品が提供する Object Access を利用すると 既存の Object Wrapper システムで動作する業務処理をサービスとして利用できます ucosminexus Service Adapter for Object Access レガシーゲートウェイ次のオプション製品を利用することにより メインフレームや ucosminexus Open TP1 システムから ESB に対してメッセージを送受信できます プロトコルと異なり ゲートウェイサーバを仲介して ESB と接続します ucosminexus TP1 Gateway ucosminexus TP1 Gateway for Message Queue 3
ファイル ucosminexus OpenTP1 MQ システム (TP1/Message Queue, WebSphere MQ, 日立ホスト ) 日立ホスト他社ホスト SAP ERP Oracle EBS WebSphere MQ TP1/RPC レガシーゲートウェイ Object Wrapper RFC, BAPI, IDoc Interface Tables, Concurrent Programs, Oracle API MQ ファイル OpenTP1 Object Access iway MQ ビジネスプロセス (BPEL) ucosminexus Service Platform XML バイナリ変換 EBCDIK/KEIS Unicode 変換もサポート 図 1.1-3 オプション iway とゲートウェイ製品を除き オプションを利用するためには 別途 実行環境製品と対応するオプションの開発環境製品が必要となります また 非 XML メッセージを扱う場合は オプション製品の ucosminexus 日立コード変換を利用して データ変換エンジンの中で 文字コード変換を行う必要があります 4
1.2 SAPのERPパッケージ SAP R/3 mysap ERP および SAP ERP 6.0 ( 以下 SAP ERP) は ERP 市場最大手のソフトウェアメーカーである SAP の ERP パッケージです 自社のソフトウェアを中心に各種サービスを提供するソリューションベンダーであり 近年では SOA 市場におけるミドルウェアにも手を広げています ここでは 次の二つの点について 説明します SAP ERP の歴史 SAP ERP との連携方式 1.2.1 SAP ERPの歴史 SAP R/3 Windows や UNIX のオープンプラットフォームで動作するクライアントサーバ型のシステムであり 1992 年に公式発表されました SAP R/3 は ABAP と呼ばれる SAP 独自のプログラム言語で実装されており 財務会計 管理会計 販売 在庫購買 生産計画 / 管理などの業務に必要なモジュールをほとんど備えています 企業のビジネスプロセスをこのパッケージにあわせられない場合 つまり パッケージに予め用意されている機能では満足できない場合は 追加開発 ( アドオン ) する必要があります なお SAP R/3 Enterprise 4.7 が SAP R/3 の最終バージョンになり それ以降は SAP ERP の基盤として SAP NetWeaver を採用し アーキテクチャを大きく変更しました mysap ERP SAP R/3 の後継製品 mysap ERP が 2004 年にリリースされ 統合アプリケーションプラットフォーム SAP NetWeaver を基盤にした新しいアーキテクチャに刷新されました このタイミングで Web サービスへの対応もされ RFC イネーブルされた汎用モジュールを Web サービス化できるようになりました mysap ERP では CRM や SCM などを含む Business Suite を提供しており 従来の R/3 の部分については ECC(ERP Central Component) 5.0 としてモジュール提供されました なお ECC の実装言語は ABAP のままで ECC の基盤である SAP NetWeaver も ABAP で実装されています SAP ERP 6.0 2006 年に SAP ERP Central Component(ECC) のバージョンを 6.0 とし 基盤の SAP NetWeaver のバージョンは 7.0 となりました また 機能拡張パッケージとして Enhancement Package を組み込むことにより 再定義された Web サービス Enterprise Services (ES) が利用できるようになりました この Web サービスは RFC イネーブルされた汎用モジュールとはインタフェースが異なっています 5
1.2.2 SAP ERP との連携方式 SAP R/3 の時代から サードパーティのアプリケーションと SAP ERP を連携するため 次のようなインタフェースを提供していました RFC IDoc BAPI RFC は Remote Function Call の略で 呼出元と異なるシステムで動作する汎用モジュールをさします SAP ERP に入ってくる方向をインバウンド SAP ERP から出ていく方向をアウトバウンドと呼んでいます 外部のシステムから SAP ERP を呼ぶ場合には C C++ や Java TM の実装言語をサポートしたライブラリを使って呼び出します IDoc の場合は EDI システムとの連携を主とした IDoc(Intermediate Document) と呼ばれる構造化されたデータを交換するためのインタフェースになります 一方 BAPI は Business API と呼ばれるビジネスオブジェクトを意識したインタフェースになっています これらのインタフェースは 同期または非同期でリアルタイムに連携するためのインタフェースとなります 上記のようなアプリケーションインタフェースとは別にバッチインプットと呼ばれる連携インタフェースがあります これは バルクデータを転送するための 主な連携方法となります このインタフェースは リアルタイムに近いデータ転送には不向きで 通常バッチでのデータ転送に利用されます リアルタイムに SAP ERP と連携するためには RFC/IDoc/BAPI などのインタフェースを使って C/C++ や Java で連携部品を開発する必要があります これを避けるために 通常はプレビルドされた SAP を購入し ノンプログラミングで外部接続を実現しようとします Cosminexus サービスプラットフォームでは アイウェイ ソフトウェア日本支社との協業により プレビルドされた SAP として iway を提供しています iway を導入することにより 連携部品を開発することなしに SAP ERP と接続することができるようになります mysap ERP がリリースされてからは ABAP で開発された RFC イネーブルされた汎用モジュールを Web サービス化することができるようになりました このため 連携部品の開発は不要になっています また SAP ERP6.0 の Enhancement Package でプレビルドされた Web サービス (ES) を利用することができ より便利になっています 6
1.3 Cosminexus と SAP ERP の連携 Cosminexus サービスプラットフォームと SAP ERP の連携のメリットについて 説明します 既存の ucosminexus OpenTP1 システムの活用 1.3.1 既存のuCosminexus OpenTP1 システムの活用今後のエンタープライズシステムを ERP パッケージに置きかえたり Java アプリケーションで新規開発したいというニーズがあります 一方 ucosminexus OpenTP1 で開発した COBOL や C で開発した業務システムが数多く残っており 既存資産を全て刷新するには 設計難易度が高く リスク ( 費用 業務移行等 ) も大きいといった悩みがあります このような場合 既存資産を活かしつつ 段階的にシステムを刷新するために エンタープライズバスを利用することができます Cosminexus サービスプラットフォームは ucosminexus OpenTP1 システムとの連携の親和性がよく 段階的にシステムを最適化するのに適した製品といえます 7
2. 連携パターン ここでは SAP ERP との連携パターンを分類して 適用する Cosminexus サービスプラットフォームのシステムの 構成について説明します 2.1 一般的な連携パターン SAP ERP との連携を検討する場合 次の二つに分類して 連携システムの構成を考えます ここでは それぞれの場合のシステム構成について 説明します Web サービスのインタフェースを装備しない SAP ERP との連携 Web サービスのインタフェースを装備した SAP ERP との連携 2.1.1 Web サービスのインタフェースを装備しない SAP ERP との連携 SAP R/3 は Web サービスのインタフェースを装備していません このような場合 iway を利用して Cosminexus サービスプラットフォームとの連携システムを構築できます 実行環境 状態管理実行履歴 OS:Windows Server 2003 ucosminexus Service Platform データベース (HiRDB,Oracle) 顧客検索 OpenTP1 ビジネスプロセス 見積作成 iway SOAP SOAP iway Business Service Provider iway Application Systems Adapter for SAP ERP SAP JCo レガシーゲートウェイ 開発環境 OS:Windows XP など ucosminexus Service Architect 生産管理システム ( レガシーシステム ) 顧客管理システム (ucosminexus OpenTP1) 販売見積サービス (SAP R/3) クライアント ビジネスプロセス定義サービスの関連付けデータ変換定義 図 2.1-1 iway を使った連携例 8
Cosminexus サービスプラットフォームと iway は内部で SOAP プロトコルを経由して接続します 接続定義に必要な WSDL は iway が動作するサーバに Web ブラウザでアクセスして取得します 図 2.1-1 は Cosminexus サービスプラットフォームから SAP ERP を呼び出す例となっていますが SAP ERP から Cosminexus サービスプラットフォームを呼び出すことも可能です なお SAP ERP との連携は RFC IDoc または BAPI インタフェースで利用できる範囲となります 2.1.2 Web サービスのインタフェースを装備した SAP ERP との連携 mysap ERPやSAP ERP 6.0 は Webサービスのインタフェースを装備しています 1 このような場合 iwayを利用しなくても Cosminexusサービスプラットフォームとの連携システムを構築できます 実行環境 OS:Windows Server 2003 や UNIX サーバなど 状態管理実行履歴 ucosminexus Service Platform データベース (HiRDB,Oracle) ビジネスプロセス 顧客検索 OpenTP1 見積作成 SOAP レガシーゲートウェイ 開発環境 OS:Windows XP など ucosminexus Service Architect 生産管理システム ( レガシーシステム ) 顧客管理システム (ucosminexus OpenTP1) 販売見積サービス (SAP ERP 6.0) クライアント ビジネスプロセス定義サービスの関連付けデータ変換定義 図 2.1-2 iway を使わない連携例 Cosminexus サービスプラットフォームと SAP ERP は SOAP プロトコルで直接接続します 接続定義に必要な WSDL は SAP ERP から取得します 図 2.1-2 は Cosminexus サービスプラットフォームから SAP ERP を呼び出す例となっていますが SAP ERP から Cosminexus サービスプラットフォームを呼び出すことも可能です 1 ES を利用しない場合は 連携したいサービスに関して RFC イネーブルされた汎用モジュールを Web サービス化できることを事前に確認してください 9
なお SAP ERP に Web サービス経由で接続するためには ABAP で開発された RFC イネーブルされた汎用モジュールを Web サービス化したり プレビルドされた Web サービス (ES) を利用するために Enhancement Package をインストールしたり また その他の方法で SAP ERP が提供する Web サービスが利用可能な状態にしておく必要があります 2.2 その他の考えられる連携パターン 最新の SAP ERP は Web サービスをサポートしており iway を導入しなくても接続できるようになりました しかし 次のような場合 開発および運用コストの面で iway を利用することも考えられます Oracle E-Business Suite との連携 SAP R/3 から最新の SAP ERP へのバージョンアップ 2.2.1 Oracle E-Business Suiteとの連携グループ会社あるいは部門ごとでベンダの異なる ERP を導入しており 全社的にシステム統合をしたい場合があります 対象となる ERP として SAP ERP と Oracle E-Business Suite があった場合 連携する Web サービスの運用を iway に集約するということが考えられます 2.2.2 SAP R/3 から最新のSAP ERPへのバージョンアップ 2.1.1 のシステム構成で既に運用を開始した後 SAP ERP をバージョンアップする場合があります 最新の SAP ERP では Web サービスをサポートしており iway は不要となります しかし iway を不要にして直接 SAP ERP へ Web サービスで接続する場合 連携システム側の接続インタフェースが変更になり 連携システム側に改修が必要となります このような場合 iway を継続利用することが考えられます 10
3. ES の利用例 ここでは Cosminexus と SAP ERP との連携において Cosminexus サービスプラットフォームから SAP の ES を 呼び出す場合の利用例について簡単に説明します 3.1 想定パターン このパターンでは サービス リクエスタから SOAP プロトコルで ESB に接続後 SOAP を介して SAP ERP 上の ES のオペレーションを呼び出し ビジネスプロセスで決められたシナリオを実行します サービスリクエスタ SOAP 受付 ビジネスプロセス SOAP SAP ERP 6.0 ES (Enterprise Services) サービスオペレーション SOAP ライブラリ ( 凡例 ) ucosminexus Service Platform 要求 応答の流れ データベース (HiRDB,Oracle) SAP ECC 6.0 SAP NetWeaver ユーザによるインタフェースやフローの設計 開発が必要なモジュール 自動生成されるモジュール 図 3.1-1 パターンの構成例 11
3.2 環境構築 3.2.1 Cosminexusサービスプラットフォームの環境構築想定パターンでは 開発環境としてuCosminexus Service Architect 08-10 2 また 実行環境として ucosminexus Service Platform 08-10 が必要です テスト デバッグの目的であれば ucosminexus Service Platformは必要ありません サービス リクエスタは MyEclipseが提供するWebサービスエクスプローラのような Webサービスクライアントのツールで代用するか ユーザプログラムを開発してください サービス リクエスタを開発するためには SOAPのクライアントのライブラリが必要です ucosminexus Service ArchitectやuCosminexus Service Platformに同梱されているライブラリを利用することができます 3.2.2 SAP ERP 6.0 の環境構築 ES は最新の SAP ERP 6.0 でサポートされています ただし 本ドキュメントを執筆する時点 (2009 年 11 月 ) では Enhancement Package を別途インストールする必要がありました SAP ERP 6.0 を構築する前に ES が利用可能か確認してください 環境構築後 Web サービスとして利用するためには 追加で次の設定が必要になります 1) Web サービスを管理するための soamanager トランザクションの設定 2) Web サービスのインタフェース (wsdl) の閲覧のための設定 3) 接続対象の Web サービスに対するエンドポイントの設定 soamanager トランザクションがサポートされていない場合は wsconfig トランザクションで代替できます 2 08-10 に対して 最新のパッチを適用してください 12
3.3 ESを使った例題 3.3.1 概要 SAPがビジネススイート製品の一部として提供している最新のES 定義が収められたWebサイトES Workplaceにアクセスする場合の呼出し手順をご紹介します 3 ES Workplace 上では 業務知識なしでも ESを試せるように いくつかのESを "Simple Sample" という外部から利用できる形で公開しています その中の CREATE SALES ORDER BASED ON SALES HISTORY というシナリオを利用します 以下 CREATE SALES ORDER BASED ON SALES HISTORY と呼ばれる Simple Sample について 簡単に説明します このサンプルは 既存の受注書 (Sales Order) を使って 新しい受注書を作成するシナリオになっています 1. 最初に Find Sales Order Basic Data by Buyer and Basic Data という ES を呼び出し 購買者 ID によって 過去の受注書を検索します 2. 次に 受注書を選択した後 Read Sales Order_V1 という ES を呼び出して 受注書の詳細情報を取得します 3. 最後に 取得した受注書の受注パラメータを変更し Create Sales Order という ES を呼び出して 新しい受注書を作成 登録します 3.3.2 連携手順例 次の手順で連携シナリオを実装します 1. 次の ES の WSDL を取得します Find Sales Order Basic Data by Buyer and Basic Data Read Sales Order_V1 Create Sales Order 2. 上記の WSDL を使って ES に接続するを定義します 3. シナリオにしたがって ビジネスプロセスを定義します これで完了です 3 ES Workplace の URL は http://esworkplace.sap.com になります 今回の実機確認では Simple Sample のシナリオ確認後 Enterprise Serivce が利用できるローカルな環境を作って 接続確認しています 13
(1) ES の WSDL の取得 ES Workplace で接続テストする場合は ES Workplace のトップページから Simple sample applications for enterprise services consumption Create Sales Order Based On Sales History Enterprise Services Used へ辿っていって 各サービスの WSDL を取得します ローカルの SAP ERP 環境より WSDL を取得する場合は soamanager トランザクションを使って WSDL を取得します 検索キーは Web サービス定義名で 次の表の通りです 表 3.3-1 ES に対応する Web サービス定義の検索キー ES Web サービス定義名 Find Sales Order Basic Data by Buyer ECC_SALESORDER005QR and Basic Data Read Sales Order_V1 ECC_SALESORDERERPV1001QR Create Sales Order ECC_SalesOrderCRTRC (2) の定義 (1) で取得した三つの WSDL より それぞれを定義します の定義は WSDL を入力とするだけで 自動で生成されます 次の図 3.3-1 は Cosminexus サービスプラットフォームの開発環境の定義画面です 図 3.3-1 定義例 14
(3) ビジネスプロセスの定義 シナリオにしたがって ビジネスプロセスを定義します ビジネスプロセスの定義は次の三つのステップで構成されます 1. ビジネスプロセスの受付パラメタを定義する 2. ES のサービス呼出と その呼び出し順序を定義する 3. ES のサービスの入力パラメタとビジネスプロセスの応答パラメタを定義する 次の図 3.3-2 は Cosminexus サービスプラットフォームの開発環境のビジネスプロセス定義画面です これで 連携シナリオは完了です 図 3.3-2 ビジネスプロセス定義例 (4) 接続確認今回は サービス リクエスタを MyEclipse の Web サービスエクスプローラで代用して 接続確認しました ビジネスプロセスの呼び出しに定義した WSDL を指定して Web サービスエクスプローラを起動します 起動後 入力値を指定して実行すると 画面上に結果が表示されます 15
図 3.3-3 接続確認結果 16
おわりに このドキュメントでは Cosminexus サービスプラットフォームと SAP ERP の連携について解説しました また 実際に Cosminexus サービスプラットフォームから ES を呼出す手順について Simple Sample を使って紹介しました
2009 年 12 月第 1 版発行お問い合わせ先 : 株式会社日立製作所ソフトウェア事業部販売推進部 cosminexus-s@itg.hitachi.co.jp Cosminexus と SAP ERP パッケージの連携 - 連携方法のご紹介 インターネットで製品情報をご覧いただけます http://www.hitachi.co.jp/cosminexus/ http://www.cosminexus.com/