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4 節溶接 1. 概要 溶接 は 材と材 ( 主として金属材料 ) をつないで もの ( 製品または構造物 ) を作り込む大切な接合技術の一つです 接合技術にはこの他 ファスナーやボルト ナットのような 機械的継手 やいわゆる のりづけ といった 接着 などがありますが 適用範囲の広さ 接合部の安全性 信頼性 内容物に対する気密性 ( 洩れないこと ) および経済性 ( コスト ) 等々いずれをとっても 溶接 に優位性があります 溶接 が何時頃から人類に役立つ技術として用いられてきたかに関しては 数千年前の古代文明発祥の時代に遡り 宝飾製品や宝剣の類にハンダやろう付け溶接 鍛接 ( 加圧溶接の一種 ) などが使われていたことが分かっております しかし 近代工業発展への寄与という観点で言えば 19 世紀末から 20 世紀半ばにかけその実用化が確立された各種アーク溶接と抵抗溶接が基本的なものと言えます 今日 主要産業において普遍的に活用されているのはこれらの溶接法ですが その他にも様々な熱源の適用により新溶接技術が幅広い分野に浸透しており 溶接 は今後ともその発展が期待される要素技術であります 我々の周りにある設備も多く溶接が用いられています 又 日常の設備保全においても溶接が多用されています 我々に馴染みの多い溶接法についてその特徴 溶接欠陥の種類と原因 検査方法などについて概観したいと思います 2. 主な溶接方法と特徴 2-1 被服アーク溶接被覆アーク溶接法は 溶接電源の片端子に溶接用ケーブルで接続された被覆アーク溶接棒と もう一方の片端子に溶接用ケーブルで接続された被溶接物である金属母材との間に電圧をかけアークを発生させます この金属アークは高温 ( 約 5000~6000 ) を集中的に発するので溶接棒のアーク端部とその直下の母材表層部を瞬時のうちに溶融して溶接金属を形成します この溶接金属は直ちに凝固を始め 数秒のうちに固体の溶接金属となります 図に示す被覆アーク溶接法の原理からわかるように 溶接棒は金属心線と被覆剤からなっており 金属心線は溶融して溶接金属の大部分を形成します 被覆剤は各種の金属酸化物 炭酸塩 合金鉄 有機物などの粉体原料を調整配合し 固着剤を添加して高圧成形後 乾燥固化したものです 被溶接物である金属母材の溶接端部は 健全な溶接部が得られるように適切な加工が施されるのが普通です 加工形状は母材の板厚や継手形状によって異なり I 形 V 形 U 形 K 形 X 形などがあります また 被覆剤の主な機能は次のとおりです 被覆剤の利点は次のとおりです アークの発生を容易にし アークを安定化する ガスを発生して 溶接金属への大気の侵入を防止する スラグを形成して溶接金属の表面を大気から保護する 溶接金属の脱酸 清浄化作用を行う 溶接金属の化学組成 機械的性質を調整する

2-2 メタルイナートガス溶接 (MIG) 溶接が開始されると 溶接ワイヤが連続的に送給され 溶接ワイヤと母材間に発生したアークが持続されて 溶接が進行します 溶接ワイヤはアークを発生する電極であると同時にそのアーク熱によって自らも溶融して溶接金属を形成していきます この際溶接トーチ先端部のノズルより流出するシールドガスによ溶接金属を遮蔽し 大気の悪影響を防ぎます 溶接ワイヤにはソリッドワイヤやフラックス入りワイヤが使用されます この場合溶接作業性や溶接金属の機械的性質に相違が生じますが 前述した技術内容は同じです また マグ (MAG) 溶接 という用語は近年シールドガスの種類 特性を考慮したもので 溶接法としての原理はミグ溶接や炭酸ガスアーク溶接と同じです

CO 2 Ar と CO 2 との混合ガスなど 酸化性のシールドガスを用い 溶接ワイヤを電極とするアーク溶接を MAG 溶接と言う MAG 溶接の利点は次のとおりです 溶着速度が大きいので溶接を早く仕上げることができる 溶着効率が高いので溶接材料を節約することができる 溶込みが深いので母材の開先断面積を減らすことができる 2-3 イナートガス溶接 (TIG) TIG 溶接法の原理に示すとおり アルゴン雰囲気中でタングステン電極と母材との間にアークを発生させ そのアーク熱によって溶加棒および母材を溶融して 溶接する方法です TIG 溶接は通常 溶接トーチと溶加棒とをそれぞれ手で操作して行いますが スプールに巻いた溶加ワイヤを自動的に送給して溶接トーチも自動送りする自動ティグ溶接法も実用化されています TIG 溶接は 溶加棒を溶接する母材に近似した化学成分と機械的性質を持った裸線材を主として用いますが 特殊な用途には 細径線をよりあわせた溶加棒やフラックス入りティグ溶加棒も用いられる タングステン電極棒は 一般に 純タングステン ( 交流電源用 ) が用いられます 溶接電源には交流 ( アルミニウム アルムニウム合金 ) と直流 ( 鉄鋼材料 ) 両方用いられます TIG 溶接の利点は次のとおりです アークによる母材の溶融操作と溶加棒の溶融操作が独立して行えるので 溶込みや溶着量の調整が容易である 不活性ガスによるシールドを十分行えば 大気による溶接金属の酸化 窒化を防ぐことができる スパッターの発生がない フュームの発生が少ない

2-4 その他の溶接 ⅰ レールのエンクローズ溶接 ⅱ. スタッド溶接スタッドと呼ばれるピン ( ネジなど ) を専用ガンに取り付けて 母材に押し当ててスイッチを入れると 専用ガンと専用溶接機によって短時間 ( 軸径 19 ミリで約 1 秒程度 ) で自動的に溶接が行われる溶接方法 パドルチップの固定ボルトの植付けに用いられました 通常セラミックのフェルールを使用して溶融プールを作ります 主として建設業界で使用されています フェルールを使用する事によって外気からの遮断を行い より安定した深いナゲットを生成できます

3. 施工管理溶接施工管理には次に示す事項があります 我々 施工主として管理上 特に注意しなければならないのは事業所内の溶接作業における安全管理と環境管理です 3-1 材料管理使用されている鋼材 溶接材料 ( 溶接棒 溶接ワイヤ シールドガス ) が設計図書通りか施工に先立ち管理する 鋼材 溶接方法が複数存在するときには誤用の無いように十分管理する必要があります 3-2 環境管理 ⅰ 湿度溶接は湿度を嫌います このため雨天等高湿度下における溶接作業は厳禁です 特に低水素系の溶接棒を使用した場合は相対湿度によって作業が制約されます 我々は少なくとも雨天における作業を行わないよう注意する必要があります その他 強風下の作業も注意が必要です 特に MIG MAG などシールドガスを用いる溶接では風防設備などを用意し万全を期す必要があります ⅱ. 安全衛生溶接の際に発生する粉じん ( 溶接ヒューム ), ガス, 有害光線, 光熱, 騒音等によって著しく汚染されており 注意を要します その中でも溶接ヒュームについては人体に対する影響が現れにくく且つ深刻です WES 9007( 溶接作業環境管理基準 ) で定める管理濃度 3mg/m 3 以下での環境濃度管理が大切です WES で定める管理濃度は 炭素鋼を対象に設定したものでめっき鋼, ステンレス鋼, 高合金鋼等についてはさらに厳格な数値による環境管理が必要になります 3-3 溶接条件管理溶接接合部の強度や靭性は溶接条件 ( パス間温度 電流 電圧 速度等 ) により低下し鋼材の引張強さの規格値を満足できないことがあります このため 使用鋼材の引張強さに適合するように溶接入熱 パス間温度を選択しなければなりません 参考 : 鋼材 溶接材料と溶接条件 ( J I S Z 3 3 1 2 : 1 9 9 9 ) YGW-11 YGW-18 : CO2 ガス /YGW-15 YGW-19 : Ar + CO2 混合ガス ⅰ. パス間温度 ( 溶接を開始する時の温度 ) 管理パス間温度が一定以上に上昇した状態が続くと熱影響部の組織の疎粒化 軟化等 溶接部のじん性が低下します ( 粘り強さがなくなる ) パス間温度を保持するために溶接作業中に休憩する若しくは溶接部位を変えて 温度上昇を抑える必要があります a. 測定位置温度測定位置は 開先面を原則とするが測定器の種類により板側とします

溶接線方向は溶接線の中央部を原則とします b. 測定方法測定は 接触式表面温度計 非接触式温度計 温度チョーク等にて行います 溶接後の確認では 示温材 ( 塗料 クレヨン ラベル等 ) にて行います ⅱ. 入熱管理入熱は下記の式によって求めます 電流 電圧はメーターから読み取り 1パスごとのアークタイムより求めます H : 入熱 (J/ cm ) H=60 E I /v E : アーク電圧 (V) I : 溶接電流 (A) v : 溶接速度 ( cm / 分 ) 過大なウィビングは入熱量が大きくなるので 開先寸法が20mm 以上の時は多パスにて溶接を行うのが望ましいです 入熱の測定例 溶接入熱が大きいと溶接部の強度が低下します ( 脆化 もろくなる ) Y G W 11 の場合 400N 級 :40,000J 490N 級 :30 000J Y G W 18 の場合 490N 級 :40,000J 溶接入熱量に影響する要因は溶接速度であるため 溶接ワイヤー径を細くし 過大なウィービングを避けることが重要です ( ビード幅が20mm 以上は過大です ) 3-4 安全管理溶接作業における独特の危険 有害要素として以下の項目が挙げられます ⅰ. 感電設備的な重要安全対策として少なくとも 漏電遮断器及び 電撃防止装置が装備された溶接機 ( 交流アーク ) の使用を確認してください ⅱ. ヒューム 有毒ガス ⅲ. 火傷

4. 溶接検査 検査 とは 一般に もの が安全で安心なものかを調べることですが 溶接 には 検査 査 ) と非破壊試験 ( 検査 ) があります 後者の 非破壊検査 は 読んで字のごとく ものを壊さないで表面および内部の傷の有無やその程度を知り 基準や規格に照らして合否を定める 試験方法です 不良材料や加工不具合の見極め ( 製造時の検査 ) に加えて 使用中の劣化 損傷検出 ( 保守検査 ) などに適用される極めて重要な技術として位置づけられています この 非破壊検査 には 大別すると 主として表面の傷検出に適した手法である 外観検査 ( 目視検査 ( 略称 VT) 浸透探傷 ( 略称 PT) 磁粉探傷 ( 略称 MT)) と 内部の傷検出に適した 超音波探傷 ( 略称 UT) 放射線探傷 ( 略称 RT) が挙げられます しかし 検査 に当たって最も重視されるべきは お医者さんの面接診断 ( 触診 ) と同様に 目視をはじめとして五感機能を働かせて実施する 外観検査 (VT) であります 検査対象や目的に応じて PT MT UT RT が適宜選択されますが これらによる検査結果を補完的に用い総合的に判断される 検査 が望まれます 4-1 非破壊検査 ⅰ. 外観検査溶接部の外観検査では以下のような項目について検査します のど厚 余盛の高さ 割れ アンダーカット ビードの不整 オーバーラップ ピット アークストライク アンダーカット及びビードの不整横割れ ( 板厚 40mm サブマージ溶接 ) アークストライク ( 材質 :SUS, 約 100 倍 )

ⅱ. 放射線透過試験試験部を経てフィルム面上に到達する放射線の量は試験部の材料密度により変化し 材料の密度が大である程明るく 密度が小である程暗くなります この性質を利用してフィルムの明暗により試験体の形状或いは溶接部中のキズ 異物質を検出します ⅲ. 超音波探傷検査超音波が物体中を伝搬する時 その伝搬経路に障害物が存在すると超音波は反射します この性質を利用し試験体内部の傷を検出する方法です ⅲ. 浸透探傷試験キズの中に液体をしみ込ませた後 この液体だけを試験体表面に吸い出し 試験体表面に液体による拡大模様を形成させる事により表面に開口したキズを検出する方法です

ⅳ. 磁粉探傷試験試験部試験体を磁化し キズによる漏洩磁束に微細な磁粉を吸着させ磁粉模様を形成させることによりキズの有無を調べる方法です 5. 溶接欠陥と原因 5-1 アンダーカットアンダーカットは この欠陥は 溶接電流が大きく アーク等によって掘られた溝が大きくなるのに対し 溶接金属の供給が間に合わずに不足する結果 ビード止端部で溝状になった状態を言います ⅰ. 原因 溶接条件 ( 溶接速度や溶接棒の保持角度 ) の不適性 溶接電流が高い など ⅱ. 一般的対策 溶接条件の改善 ( 特に溶接速度を遅くする ) 溶接電流の改善 など 5-2 オーバーラップオーバーラップは アンダーカットと正反対のものであり 溶接電流が大きく 溶接金属が過剰で ビード止端部で溢れ出た状態を言います ⅰ. 原因 溶接条件 ( 溶接速度や溶接棒の保持角度 ) の不適性 溶接電流が低い など ⅱ. 一般的防止対策 溶接条件の改善 ( 特に溶接速度を速くする ) 溶接電流の改善 など 5-3 スラグ巻込みスラグ巻込みは ビードや溶融池を保護するために生成したスラグが 凝固時に溶接金属中に巻込まれた状態を言います ⅰ. 原因 多層溶接部において 前層溶接時に生成したスラグの除去不完全 継手形状等の不適正 など ⅱ. 一般的防止対策 前層の溶接時に生成したスラグの完全除去 継手形状の改善 など

5-4 ブローホール ピットブローホールは 溶着金属の中に発生する球状の空洞 ( 気孔 ) のことです 溶接中に 多くの酸素 水素 窒素などのガスを吸収し それらのガスが表面に浮き上がる前に凝固することによってできる空洞 ( 気孔 ) がブローホールになります 表面に開口したものをピットといいます ⅰ. 原因 溶接棒や開先面( 継手部 ) に付着している錆, 水分, 油脂分, ペンキ等からのガス生成 蒸気圧の高い亜鉛めっき( 融点 : 約 440 ) からのガス生成 シールドガスのシールド不良による外気の巻込みによるガス生成など ⅱ. 一般的防止対策 継手部の洗浄( 脱スケール等 ) の徹底 溶接棒の乾燥の徹底 亜鉛めっきの研削等による除去 シールドガスの流量確認 屋内作業の実施{ シールドガスは 2m/s 以上の風量 ( 煙草の煙がなびく程度 ) で吹き飛ばされるため 風の強い日等では 屋外作業が困難である } など 5-5 溶込み不良この欠陥は 完全に溶け込まなければならない部分において 溶け込んでいない部分が存在している状態を言います ⅰ. 原因 溶接条件( 溶接速度や溶込み量に影響を及ぼす電流値 ) の不適正 開先面の開先角度の不適性( 狭いとき ) など ⅱ. 一般的防止対策 開先面の角度変更( 大きくする ) 溶接条件の改善など 5-6 溶接割れこの欠陥は 水素 凝固 収縮に伴う残留応力 硬化組織の三要素が重畳することで 溶接金属部や熱影響部等に生じるき裂 ( 割れ ) を言います 溶接割れは 静的強さ 構造物の延性 疲れ強さ 脆性破壊 腐食 応力腐食割れ 腐食疲れなどの溶接部の性能に影響を及ぼしうる最も重大な溶接欠陥の一つです ⅰ. 原因 溶接棒や開先面に付着している水分等の熱分解による水素の生成と 母材中への侵入冷却速度の不適正によるマルテンサイトの生成 ( 硬化 ) 凝固 収縮に伴う残留応力の発生 溶接希釈による溶接金属への合金元素や炭素の拡散における焼入れ性の向上( マルテンサイト相の生成 ) など ⅱ. 一般的防止対策 溶接棒や開先面の清浄化及び乾燥 余熱 後熱の実施 応力除去焼鈍の実施 溶接条件の改善( 特に溶込み量 ) など