中小企業向けシスコ製品の特徴について Feb 06, 2009 ルータ編 : 第 2 回 Cisco 881, 861 Yamaha RTX1200 本資料は シスコ製品を販売する営業担当者向けの参考資料として作成したものです 本資料の内容は 公開されている情報および弊社が実施した検証テストの結果に基づく 弊社独自の見解を示しています 合同会社ティー エヌ シー ブレインズ 1
目次 実環境性能の比較 ケース1: 優先トラフィックの保護 参考 : ルータの実環境性能テスト結果 参考 :DOS アタックからの耐性比較 運用 管理の容易性 ケース 2: エンドユーザー自身によるネットワークの構築と運用 ルータと無線 LAN の統合 ケース 3: 仮設オフィスとの LAN 接続 参考 :802.11n vs.11g 性能比較 グリーン IT への対応 参考 : ルータの消費電力測定 Cisco 881/861 の優位点 : まとめ 2
実環境性能の比較 ケース1 : 優先トラフィックの保護 A 社では情報系 / 基幹系とVoIPの統合 WANを構築するため 大手通信事業者が提供するIP- VPNサービスの優先制御オプションを利用した しかし テストで大量のトラフィックを流したところ 優先されるべき基幹系データやVoIPのパケットが破棄されてしまうことが解った 通信事業者へクレームをつけたところ IP-VPNで優先制御が働くのは 網から顧客方向 だけであり 顧客から網方向 へ契約以上の帯域が流入した場合には対象外であるとの回答であった 優先制御が働くケース 優先制御が働かないケース IP-VPN 網 IP-VPN 網 3
実環境性能の比較 ケース 1: 優先トラフィックの保護 対策 : ルータの階層型 QoS 階層型 QoS 機能を持ったルータを使用し 契約帯域にあわせた帯域制御と優先制御を実行することで 重要なトラフィックを保護することが出来ます 例 : アクセス回線は FastEthernet (100Mbps) を使用し 契約帯域は 20Mbps の場合 企業ルータ IP-VPN 網 階層型 QoS ( 帯域制御 + 優先制御 ) 物理帯域 : 100Mbps 契約帯域 : 20Mbps 最大トラフィック量を 20Mbps に制限しながら ( 帯域制御 ) 重要なトラフィックを優先して送信する ( 優先制御 ) ここで 重要なパケットが破棄されないようにする 4
実環境性能の比較 参考 : ルータの実環境性能テスト結果 測定項目 IP 転送 (QoS 無し ) Yamaha Yamaha Cisco Cisco Cisco RTX1100 RTX1200 1812J 881 861 120Mbps 180Mbps< 180Mbps 180Mbps 170Mbps 階層型 QoS 利用不可利用不可 180Mbps* 160Mbps* 利用不可 ルータとIPスループット測定器をFE(100Mbps) で接続した場合の測定結果 数字は全て双方向スループットの合計値を示す インターネットを流れるトラフィックの平均パケット長 (354Byte) で測定 * 最大スループット計測時に 優先トラフィックが破棄されていないことも確認 考察 ほとんどの企業ネットワークにおいて WANへのアクセス回線はFastEthernet(100Mbps) 以下であり フレームギャップなどのオーバーヘッドを除いた利用可能帯域は最大 90Mbps 程度となるため ルータに求められる処理能力は最大で双方向約 180Mbpsです 従って 階層型 QoS( 帯域制御 + 優先制御 ) を 180Mbps 程度のスループットで実行する能力が重要であり Cisco 1812JとCisco 881は この要件を満たしています 5
実環境性能の比較 参考 :DOS アタックからの耐性比較 インターネットでは 法人をターゲットとした DOS アタック ( 大量のトラフィックを送信することで ネットワークの利用を妨害する攻撃 ) や それにともなう脅迫事件が発生しています 強固なITシステムを構築するため ルータなどのネットワーク基盤機器にはDOS 攻撃への高い 耐性が求められます DOS アタックのシナリオについては 前回 (2008 年 11 月 14 日 ) 作成 ルータ編 のケース 4 を参照のこと Telnet アクセス SNMP 監視データ転送への影響 Yamaha RTX1100 支障あり監視不能パケット損失あり Yamaha RTX1200 支障なくアクセス可問題なしパケット損失あり Cisco 1812J 支障なくアクセス可問題なし影響なし Cisco 881 支障なくアクセス可問題なし影響なし Yamaha RTX1200はRTX1100よりも処理性能が高いため 今回のテスト負荷 (100Mbpsの DOSアタック ) に対する耐性は向上したが 本来 DOSアタックの影響を受けないはずの逆方向トラフィックでもパケット損失が発生しました Cisco IOS は アクセスリストを設定することによって CPUに過度な負担をかけずに不要なトラフィックを破棄しました 6
運用 管理の容易性 ケース 2: エンドユーザー自身によるネットワークの構築と運用 B さんは従業員 8 人の税理士事務所に勤務しており 一番若いというだけの理由で IT システムの 管理を任されている 今回 社長からの指示で ネットワーク構築を行うことになった 主な要件は以下のとおり 事務所および社長の自宅にLANを構築し インターネットVPNで接続する (IPSec-VPN) 他の社員も自宅から事務所のサーバーへ接続できようにする ( リモートアクセスVPN) PCを自宅へ持ち帰った際に設定を変えたくない (DHCPによるアドレス配布) 事務所からはインターネットへのアクセスも可能とする (FW,, NAT) ) 事務所のアクセス回線はBフレッツを使用 (PPPoE) Bさんは これらの設定を自力で行うことができるでしょうか? Cisco Configuration Professional Cisco Configuration Professional(CCP) は Cisco IOS が持つ豊富な機能を GUI による操作 で設定 管理するためのツールであり Ciscoのホームページから無償で配布されています またCCPには 画面の指示に従うだけで基本的な設定を行うことが出来るウィザードや ステッ プバイステップで設定方法を解説した日本語マニュアルがありますので 誰でも簡単にネット ワークを構築 管理することが出来ます 7
運用 管理の容易性 CLIとGUIの比較コマンドライン (CLI) のメリット 慣れると素早い操作が可能 同じ設定を多数のデバイスに投入する場合に コマンドのコピコマンドのコピー & ペーストで効率よく作業できる 設定ファイルをテンプレート化し 多数の作業者で共有することが出来る GUI のメリット コマンドを覚える必要がないので 初めて使う機種 機能でも簡単に操作できる 意味のわからないコマンドを使う不安がない タイプミスによる間違った操作や設定漏れのリスクが少ない Cisco IOS 適切な操作方法を選んで使う CCP Yamaha ルータの GUI Yamaha の法人向けルータ (RTX1100, RTX1200) は 基本的に GUI での設定をサポートしていません 補助的な管理ツールはありますが 実際のネットワーク構築で利用することは想定されていません ( 以下 YamahaのHPより引用 ) すべての機能をGUIによる設定で行うことはできません ネットワーク構築時では 基本的にはコンフィグによる設定で行ってください 8
運用 管理の容易性 CCP による 見えるネットワーク 化 (CCP 画面キャプチャ例 ) プロトコル種別毎のトラフィック統計情報を取得し グラフ表示 各種 VPN トンネルのステータスやトラフィック統計情報をグラフィカルに表示 ネットワークを安全に保護するためのセキュリティ監査機能 ( 推奨セキュリティ設定との比較チェック ) 9
ルータと無線 LAN の統合 ケース 3: 仮設オフィスとの LAN 接続 C 社は陶器の製造と販売 卸売を行う企業である このたび 一部の商品について生産拠点を海外へ移転することになり 旧式の製造ラインを停止するとともに営業部門や管理部門のスタッフ増強を行うことになった この改変により既設の営業オフィスが手狭になるため 同一敷地にある工場内の空きスペース を仮設オフィスとして活用したい 経営者は 今後も市場環境の変化にあわせたスピーディーな組織改変が出来るよう 柔軟な ネットワーク基盤の構築を望んでいる 802.11n 対応無線 LAN ルータの活用 WAN 11n 無線 LAN 機能対応ルータにアップグレード 営業オフィス仮設オフィス ( 工場内 ) 802.11n 無線無線接続なので 移動や拡張が容易 ルータ間を無線で接続 10
ルータと無線 LAN の統合 参考 :802.11n vs.11g 性能比較 (Cisco 881W による測定 ) 弊社オフィスにおける 2.4GHz 帯を利用した 11n と 11g の通信速度測定結果 無線 LAN の通信速度は電波環境によって大きく変動する可能性があります 本テスト結果は弊社オフィス環境での測定値であり 11n と 11g の相対的な差異にのみ着目してください 測定場所 AP からの距離 11n 通信速度 [Mbps] 11g 通信速度 [Mbps] A 地点 : オフィス内 1m 55.1 19.8 B 地点 : オフィス内 10m 47.3 13.7 C 地点 : オフィス外 15m 56.7 8.1 D 地点 : オフィス外 15m 21.8 6.1 E 地点 : オフィス外 30m 16.2 3.0 A 地点の通信速度を基準とした場合の各地点の比率 11n は通信速度が速いだけでな A 地点 B 地点 C 地点 D 地点 E 地点 く 電波環境が悪化した場合の 11n 100% 85% 103% 40% 29% 影響を受けにくい 遮蔽物の多い工場や倉庫など 11g 100% 69% 41% 31% 15% 電波条件の良くない場所でも 安定した通信が期待できる 11
ルータと無線 LAN の統合 参考 :802.11n vs.11g 性能比較 (Cisco 881W による測定 ) 測定場所の概略 E 地点 コンクリート壁 D 地点 A 地点 B 地点 オフィス 木造 2 階建 AP C 地点 測定方法 APと有線で接続された PCと 無線接続用のPC にスループット測定ツール (iperf) を導入 無線接続用 PCを移動しながら 速度計測を実施 10 秒間の測定を3 回実施した平均値を測定結果として採用 本テストは AP からの距離や遮蔽物の有無と通信速度との関連性を調査するものではありません 同条件での11nと11gの相対的な違いを調査することのみを目的としています 無線 LANの通信速度は 外来の電波との混信を含めた様々な要因によって左右されますので 今回のような簡易なテストだけでは 各測定ポイントにおける通信速度の妥当性を判断することは出来ません ( 例えば C 地点とD 地点では APからの距離が等しいにも関わらず 通信速度に大きな差異が生じていますが この原因を類推することは本テストの範疇ではありません ) 12
グリーン IT への対応 参考 : ルータの消費電力測定 京都議定書における日本の目標値は 基準年である 1990 年に対して温室効果ガスを6% 削減 することですが 実際の排出量は削減どころか大きく増加してしまっており 中でも突出しているのがITなどをフル活用しているオフィス分野です 経済産業省の調査結果によると 2025 年にはインターネットを流れるデータ量は今のタ量は今の100~ 200 倍に達し ネットワーク機器の電力消費は2006 年時点の13 倍に増加してしまいます このような状況をうけて東京都では 2008 年 6 月に環境確保条例が改正され 2010 年度から一 定の条件に該当する法人やテナントビル所有者に対して CO2 削減が義務化されます 測定結果 Yamaha RTX1200 Cisco 881W ( 無線 AP 付 ) 消費電力 ( 測定値 ) 13 [w] 13 [w] Cisco 861 6 [w] 入力電圧 :AC100V 全てのインタフェースをリンクアップさせた状 態で測定 RTX1200のISDNポートは未使用 AP 機能は電波出力を停止した状態で測定 Cisco 881および861はグリーンITの要件を見据えた低消費電力デザインが採用されており 881W( 無線 AP 付モデル ) が競合他社の単機能ルータ製品と同等の消費電力タ製品と同等の消費電力 861 は半分以下の消費電力でした 13
Cisco 881/861 の優位点 : まとめ 実環境性能の高さ 100MbpsまでのWANアクセス回線をフルに活用できるIP 転送性能 (Cisco 881: 180Mbps, Cisco 861: 170Mbps) 重要な通信を確実に保護するために必要な 帯域制御と優先制御の階層的な実行が可能であり 階層型 QoS 利用時でも性能低下が少ない (Cisco 881) DOS アタックを受けた場合にも運用 管理機能に影響を与えない堅牢な Cisco IOS を搭載 運用 管理の容易性 コマンドラインでの操作 (Cisco IOS) と GUI での操作 (CCP) がサポートされており どちらの方法でも運用 管理に関する全ての設定や状態確認機能が利用できるため 状況に応じた適切な操作方法を選択して利用できる どちらの操作方法も無償で提供される 有線 LAN と無線 LAN の統合 無線 LAN のアクセスポイント機能を内蔵したモデル (Cisco 881W, 861W) が用意されており 容易に有線 LAN と無線 LAN を統合できる 電波環境の良くない場所でも影響を受けにくい 802.11n を利用できるので 従来は配線が難しかった場所や 頻繁に移動する場所でも無線を利用した LAN 構築が可能 低消費電力設計 省エネ設計と言われている国産ルータよりも 更に消費電力が少ない 14
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