事業事前評価表

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護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部法 司法チーム 1. 案件名国名 : ブラジル連邦共和国案件名 : ( 和文 ) 地域警察活動普及プロジェクト ( 英文 )Project on Nationwide Dissemination of Community Policing 2. 事業の

事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

研究は重要項目とされている 本事業は CERMEL と長崎大学の共同研究を通じて 1 対象地域におけるウイルス感染症の流行状況の解明 2 新規に同定されたウイルスの性状解析 3 公衆衛生対策上優先度の高いウイルスに対する診断法の開発を行い ガボン側研究機関のウイルス感染症研究開発の能力向上に貢献する

事業事前評価表

事業事前評価表

事業事前評価表

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

事業事前評価表

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 SATREPS) 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名 ( 科学技術 ) 食料安全保障を目指した気候変動対応策としての農業保険における損害評価手法の構築と社会実装英名

事業事前評価表

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事業事前評価表 国際協力機構地球環境部環境管理第一チーム 1. 案件名 国名 : パキスタン国案件名 : 和名パンジャブ州上下水道管理能力強化プロジェクト英名 Project for Improving the Capacity of WASAs in Punjab Province 2. 事業の背

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部運輸交通 情報通信グループ 1. 案件名国名 : バングラデシュ国案件名 : 和名橋梁維持管理プロジェクト 有償勘定技術支援 英名 Bridge Management Capacity Development Project 2. 事業の背景と必要性

事業事前評価表

Microsoft Word - 事前評価

事業事前評価表

2008年6月XX日

事業事前評価表

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事業事前評価表

評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

事業事前評価表 1. 案件名 ( 国名 ) 国際協力機構南アジア部南アジア第四課 国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 貧困削減戦略支援無償 ( 教育 ) (Poverty reduction efforts) 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における初等教育セクターの現状と課題バン

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部資源 エネルギーグループ第二チーム 1. 案件名国名 : ザンビア共和国案件名 : 和名ザンビアにおける鉛汚染のメカニズムの解明と健康 経済リスク評価手法および予防 修復技術の開発英名 The Project for Visualization of

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(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

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るための HIV 予防という マダガスカルの開発ニーズに合致していた 事前評価時における日本の援助方針との整合性 2006 年の日本とマダガスカルの経済協力政策対話に基づく 健康状態の改善を含む 農業 漁業 農村開発に向けたインフラの維持と人材開発を重点とする 日本の援助方針に合致していた 評価判断

~この方法で政策形成能力のレベルアップが図れます~

事業事前評価表 ( 地球規模課題対応国際科学技術協力 (SATREPS)) 農村開発部農業 農村開発部第二グループ 1. 案件名国名 : スーダン共和国案件名 : 和名ストライガ防除による食料安全保障と貧困克服英名 The project for development of counter mea

令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

第 4 章 プロジェクトの妥当性の検証 4-1 プロジェクトの効果本計画の実施後 レ 病院母子棟とクリニックが ホ 国側によって適切に運営されることにより 以下に示すように病院網が拡充される 図 4-1 第 3 保健地域の現状のリファラル システム 三次医療 国立病院 マ 病院 * 低次疾病患者の集

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政府説明資料

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

MDG Report 2014

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

自己点検・評価表

平成18年度標準調査票

Microsoft Word - MMR事業事前評価表.doc

類似業務対象国 / 類似地域語学の種類 保健分野にかかる各種評価調査 ドミニカ共和国 / 全途上国 英語または西語 5. 条件等 (1) 参加資格のない社等 : 特になし (2) 必要予防接種 : 特になし 6. 業務の背景ドミニカ共和国においては 妊産婦死亡率 ( 出生 10 万対 ) が 240

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

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政府説明資料

支援 及び 不均衡の是正と安全な社会造りへの支援 の中で重点分野として掲げており また JICA も国別分析ペーパーの協力プログラムにおいて 首都圏の都市基盤整備プログラム や 地方開発 拠点都市圏整備プログラム の中で開発課題として位置づけている 上水道セクターにおいては 日本は下記 3.(9)

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

平成21年1月15日版

Microsoft Word - 事前評価表最終版0623final.doc

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愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お


介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

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[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

⑴ 政策目的本件は, 我が国において開発資金のための国際連帯税 ( 国際貢献税 ) を導入し, 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 等, 国際的な開発目標の達成に対応 貢献するために, 世界の開発需要に対応し得る幅広い開発資金を調達するもの これは, 外務省政策評価, 基本目標 Ⅵ 経済協

SATREPS 公募説明会資料 2018 年 9 月独立行政法人国際協力機構 (JICA) 社会基盤 平和構築部国際科学技術協力室 1

Microsoft PowerPoint 榔本è−³äººè³⁄挎.pptx

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平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

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「標準的な研修プログラム《

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事業事前評価表

と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

評価調査結果要約表

政府説明資料

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

01 【北海道】

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架鉄道三路線 ( うち 二路線は軽量 ) の総延長は 50km にとどまっている 首都圏南方については マニラ市ツツバンからカブヤオ市ママティッドまでの区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみである 首都圏北方は 居住エリアが拡大しているものの 十分な公共交通手段が確保されていないた

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

2 経口移行加算の充実 経口移行加算については 経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食 嚥 下機能を踏まえた経口移行支援を充実させる 経口移行加算 (1 日につき ) 28 単位 (1 日につき ) 28 単位 算定要件等 ( 変更点のみ ) 経口移行計画に従い 医師の指示を受けた管理栄養士又

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

めて整備され 文化大革命期の制度の断絶を経て 1980 年代に復活し 徐々に適用対象が拡大されてきた しかし 農村部は一貫して適用対象から外れ 1980 年代の後半に漸く農村部のみを対象にした養老保険制度が一部の豊かな農村を対象に開始された その後中国政府は農村部の養老保険制度の確立を重視してきた

文部科学省セミナー 国際協力機構における大学との連携(国際協力機構)

(2) 当該国における保健医療セクターおよび科学技術セクターの開発政策と本事業の位置づけ インドネシア保健省は 国家長期保健開発計画 およびその具体的な施策となる 保健セクター戦略計画 において感染症対策を重点項目の一つに位置づけている また インドネシア研究

新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

2013 年度 統合実習 [ 表紙 2] 提出記録用紙 5 実習計画表 6 問題リスト 7 看護過程展開用紙 8 ( アセスメント用紙 1) 9 ( アセスメント用紙 2) 学生証番号 : KF 学生氏名 : 実習期間 : 月 日 ~ 月 日 実習施設名 : 担当教員名 : 指導者名 : 看護学科

持続可能な教育の質の向上をめざして ~ 教員の多忙化解消プラン に基づく取組について ~ 平成 30 年 3 月 愛知県教育委員会

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

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事業事前評価表 国際協力機構人間開発部保健第一チーム 1. 案件名国名 : ボリビア多民族国家案件名 : 和名医療技術者養成システム強化プロジェクト英名 Project of strengthening the pre-service education system for co-medicals 2. 事業の背景と必要性 (1) 当該国における保健セクターの現状と課題ボリビア多民族国 ( 以下 ボリビア という ) は 中南米地域において最下位のハイチに次いで基礎的な保健指標が悪く 特に妊産婦死亡率 ( 出生 10 万対 200) および 5 歳未満児死亡率 ( 出生千対 39) の高さが顕著である (WHO, 2013) 1980 年代にプライマリーヘルスケアや各種疾病対策など地域レベルでの活動が世界的に重視されるようになり ボリビア政府も 第一次医療施設への住民のアクセス改善 を重点課題として取り上げ 地域保健医療サービスの改善が図られた 2000 年代からはミレニアム開発目標 (Millennium Development Goals:MDGs) の達成に向けて 母子の健康改善に焦点を当てた取組みを強化した またボリビア政府は 多文化 コミュニティを尊重しつつ住民自ら主体的に疾病を予防することに焦点をあてたヘルスプロモーション戦略と 住民自身の保健医療活動の参加を含むプライマリヘルスケア戦略という 2 つの健康戦略の基本概念を融合した 多文化コミュニティ家庭保健政策 (Salud Familia Comunitaria Intercultural:SAFCI 以下 SAFCI 政策 ) を立案し 推進している SAFCI 政策のもと地方 農村部を中心に住民に近い基礎的保健サービス全般の改善に取り組み一定の成果を上げている一方で 冒頭で述べたとおり保健指標が悪いなどの課題も残されている その要因の一つとして 一次医療施設 ( 保健センターや保健ポストなど ) に勤務する医療技術者 ( 看護師 准看護師等 ) の大半が 卒前教育で保健省の技術規則やガイドラインに基づく実践的訓練を受けていないことが挙げられる そこでボリビア政府は我が国に対し 地域保健を担う人材の育成を目的として 国立ラパス公衆衛生校及びコチャバンバ県にある国立日本 ボリビア医療技術者養成校並びに全国の医療技術者養成校による卒前の技師養成能力強化を図る技術協力を要請した (2) 当該国における保健セクターの開発政策と本事業の位置づけ 2000 年以降のボリビア歴代政権は 母子を取り巻く厳しい保健 衛生環境や MDGs を踏まえ 母子保健分野を保健セクターの最重要課題としてきた 現政権では SAFCI 政策に沿って 我が国の協力により形成された 住民が主体的に展開することが可能な 予防と住民参加を重視したヘルスプロモーション活動 の手法 (Fortalecimiento de las redes de salud:forsa 以下 FORSA 手法 ) の普及とその実践を現場で担う保健医療人材の育成を強化する国家事業を 国際機関 二国間援助機関の支援のもと計画 試行している 本事業は 保健指標が悪い地方 農村で適切な基礎的保健サービスを提供できる医療技術者の育成システムの強化 及び国家 1

ガイドラインに基づいたヘルスプロモーションを実践できる医療技術者の育成 輩出を支援するものである 従来の卒後教育の支援に対し本事業は卒前教育を対象とし ボリビア政府の保健政策実現の一助を担う事業として位置付けられる (3) 保健セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績我が国は 対ボリビア多民族国国別援助方針の事業展開計画 (2015 年 4 月 ) において 重点分野 人材育成を中心とした社会開発 の中に開発課題 保健医療サービス普及強化 を定め 人材不足 保健医療サービス及びマネジメントの質の面で課題が残る現状を踏まえ 同国における保健人材の育成を支援していくとしている 本事業は右開発課題に合致する JICA 国別分析ペーパー (JCAP) においては 重点分野 社会的包摂の促進 のうち 協力プログラム 保健医療システム強化プログラム に位置づけられる (4) 他の援助機関の対応米州開発銀行は 包括的な貧困削減プロジェクト (PEEP)Ⅱ(2015 年 ~2020 年 ) を実施し 各県で一次 二次保健施設を対象とした施設 機材整備及び保健人材育成 並びに保健省の条件付き現金給付制度への財政支援を行っている 国連人口基金 (UNFPA) は 保健医療施設に配置されている産婦人科医及び看護師 准看護師に対するリプロダクティブヘルス 性暴力分野での研修を支援している また 未だ計画段階ではあるが 汎米保健機構 (PAHO) UNFPA UNICEF が連携 協調し コチャバンバ県にある国立日本 ボリビア医療技術者養成校において看護中等技師を対象とした卒後教育を実施する計画があり 対象テーマは リプロダクティブヘルス 性暴力 若年妊娠等に対する対策となる見込みである 本事業では 他の援助機関の協力と重複するものはなく 上記の卒後教育に対する支援が実施される場合 卒後教育と本事業が対象とする卒前教育のそれぞれのカリキュラムや教材の共有といった連携が期待できる 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は 全国 9 県 12 校の国立医療技術者養成校において 現行のカリキュラム改訂手法の構築 教員用指導書と学生用教材の開発及び教員の持続的な指導能力向上に係る仕組み作りを行うことにより 医療技術者養成システムの整備を図り もって全国 9 県 47 校の私立 提携校を含めた全ての医療技術者養成校において質の高い医療技術者の輩出に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 プロジェクトサイト : 国立ラパス公衆衛生校 国立日本 ボリビア医療技術者養成 1 校 (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ) 1 医療技術者を養成する公的機関として ラパスの国立ラパス公衆衛生校とコチャバンバの日本 ボリビア国立医療技術者養成校の 2 校があり 両校は他県の医療技術者養成校 ( 国立 私立 提携校 ) を技術的に指導 監督を行う責務を負う上位の医療技術者養成校である さらに両校は カリキュラムの改訂 教員用指導書 学生用教材の作成等の作業を行う役割も有することから 本事業における活動の中心は両校で行うが プロジェクト期間中に直接の管轄下である国立の医療技術者養成校にも反映されることを目指す そのため プロジェクト目標のターゲットである直接受益者は全国 9 県 12 校の国立医療技術者養成校の教員と学生とする 2

直接受益者 : 全国 9 県 12 校の国立医療技術者養成校 (5 職種 2 ) の教員 ( 約 60 名 ) 学生( 約 400 名 ) 最終受益者 : 全国 9 県 47 校の私立 提携医療技術者養成校 (5 職種 ) の教員 ( 約 200 名 ) 学生( 約 2,000 名 ) を含む全ての医療技術者養成校の教員 学生 (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ) 2016 年 10 月 ~2020 年 10 月を予定 ( 計 48 ヶ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ) 約 3.9 億円 (6) 相手国側実施機関保健省 国立ラパス公衆衛生校 国立日本 ボリビア医療技術者養成校 (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 1 専門家派遣 ( 総括 業務調整 / 研修計画 ヘルスプロモーション / 住民参加 疫学 保健教育教授法 リプロダクティブヘルス 公衆衛生 媒介中対策等 ) 2 在外事業強化費 3 研修 ( 地域保健分野など 日本及び / または第三国研修 ) 4 機材供与 ( 研修用機材 ) 2) ボリビア国側 1 カウンターパートの配置 プロジェクト ダイレクター プロジェクト マネジャー 2 プロジェクト専門家用の執務スペース 光熱費 執務備品等の確保 提供 3 ローカル運営経費 4 カウンターパートの人件費及び旅費 (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1 カテゴリ分類 :C 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業による環境への影響等はない 2) ジェンダー 平等推進 平和構築 貧困削減本案件は 医療技術者養成校の養成システムの強化を通して 養成校の学生 (7 割が女性 ) の能力強化を行うものであり 卒業後の中長期的な観点から自身の生活や人生を決定する能力の開発が期待されることから 女性のエンパワーメントに貢献するものと考えられる (9) 関連する援助活動 1) 我が国の主な援助活動 技術協力プロジェクト ( カッコ内は協力期間 ) 1 サンタクルス県地域保健ネットワーク強化プロジェクト (2001 年 -2006 年 ) 2 地域保健システム向上プロジェクト (2007 年 -2012 年 ) 3 権利 多文化 ジェンダーに焦点をあてた村落地域保健ネットワーク強化プ 2 ボリビアに存在する 11 職種の中等技師 ( 高卒レベルの医療技術者 ) のうち コミュニティにおけるヘルスプロモーション活動を中心となって実施する看護中等技師 栄養中等技師 環境保健中等技師 保健統計中等技師 媒介虫対策中等技師の 5 職種を本案件の対象とする 3

ロジェクト ( コチャバンバ県 )(2007 年 -2011 年 ) 4 ラパス県農村部母子保健に焦点をあてた地域保健ネットワーク強化プロジェクト (2010 年 -2014 年 ) 5 ポトシ県母子保健ネットワーク強化プロジェクト (2013 年 -2017 年 ) 6 オルロ県母子保健ネットワーク強化プロジェクト (2016 年 -2020 年 ) 無償資金協力 ( カッコ内は E/N 締結年度 ) 1 コチャバンバ母子医療システム強化計画 (2002 年 ) 2 ベニ県南部保健医療施設改善計画 (2005 年 ) 2) 他ドナー等の援助活動 2.(4) に記載の他機関の援助活動の他 PAHO は ボリビア政府が取り組む保健人材育成に係る技術支援を行っており ベルギー技術公社と連携し国立サンアンドレス上級大学医学部で SAFCI 家庭医の人材養成を支援している また 2012 年に実施された看護中等技師のカリキュラム改訂に対しても支援を行った 本事業で取り組むカリキュラム改訂手法の構築においても カリキュラム改訂支援の実績とノウハウを有する PAHO との連携が予定されている 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標と指標上位目標 : 全国すべての医療技術者養成校において 質の高い医療技術者 (5 職種 ) が輩出される 指標 1: 全国 (9 県 ) の私立 提携校を含めたすべての医療技術者養成校 (47 校 ) において すべての学生が 4 つの優先教科 3 についての卒前教育を受ける 指標 2: 卒業時に 予防と住民参加型に焦点を当てたヘルスプロモーション活動 を実施することに対する学生の自己効力感 4 が向上する 2) プロジェクト目標と指標プロジェクト目標 : 国立ラパス公衆衛生校及びコチャバンバ県日本 ボリビア国立医療技術者養成校を含めた全国 (9 県 ) すべての国立医療技術養成校 (12 校 ) にて 保健政策に基づいた基礎的保健サービスを提供できる医療技術者 (5 職種 ) の養成システムが整備される 指標 1: 改訂されたカリキュラムが使われる課程 ( コース ) の数が増加する 指標 2: プロジェクトによって標準化された教員用指導書 学生用教材が使われる課程 ( コース ) の数が増加する 指標 3: 改訂されたカリキュラムをもとに 4 つの優先教科に関する指導能力が改善した教員の数が増加する 3) 成果成果 1: 現行の保健政策と整合性が確保されたカリキュラム内容となるように定 3 多岐にわたるカリキュラムの中から ボリビアの重点課題である母子保健とコミュニティにおけるヘルスプロモーション活動に関連する 4 つの教科 すなわち 住民参加型ヘルスプロモーション 参加型調査手法 地域保健診断 リプロダクティブヘルス 疫学的サーベイランス を優先教科として本事業の対象とした 4 自己効力感を図る具体的な項目としては 対象コミュニティの住民代表者の組織化 活動計画の策定 ヘルスプロモーション活動の実施 活動 成果のモニタリング 評価 など FORSA 手法による住民参加型ヘルスプロモーション活動を実施する際の主要な実施能力について測定することを想定する 4

期的にカリキュラムが改訂される手法が構築される (5 職種のカリキュラムを対象とする ) 成果 2: 改訂されたカリキュラムに基づき医療技術者養成校が使用する教員用指導書 学生用教材が現行の保健政策の内容に沿って 更新 開発及び標準化される (4 つの優先教科を対象とする ) 成果 3: 医療技術者養成校の教員の指導能力を継続的に向上させるシステムが構築される (4 つの優先教科を対象とする ) 5. 前提条件 外部条件 ( リスク コントロール ) (1) 前提条件全国の国立校 特に国立ラパス公衆衛生校及びコチャバンバ県にある国立日本 ボリビア医療技術者養成校の教職員が カリキュラム改訂 指導書 指導用教材改訂に賛成する (2) 外部条件 1)SAFCI 政策 特に FORSA 手法の実施を国の保健政策として実施することが変更されない 2) 全国の国立校 特に国立ラパス公衆衛生校及び国立日本 ボリビア医療技術者養成校において 指導教員 教員が多数退職しない 6. 評価結果本事業は ボリビア国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用我が国の保健分野における協力の実施過程から得られた以下の教訓や好事例は 本事業で活用される予定である (1) 類似案件の評価結果中米カリブ地域 / 看護基礎 継続教育教科プロジェクトにおいては 過去の類似プロジェクト ( メキシコ パラグアイ ) で育成された第三国人材を活用した これにより日本人専門家と比較して経費の効率性が向上し また受益国の参加者にとっても同じ言語による効果的な指導が受けられ 同様の環境に置かれた国の人材から指導を受けることで より高い事業効果が認められた (2) 本事業への教訓 ( 活用 ) 本事業においても 過去の類似プロジェクトにおいて育成された第三国人材を積極的に活用することで 案件運営の効率性及び有効性を高めることが期待される また ボリビア国内において実施されてきた地域保健案件に従事した人材についても積極的に活用していくことが計画されている 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 4ヶ月後ベースライン調査事業終了 6ヶ月前エンドライン調査事業終了 3 年後事後評価以上 5