MEASUREMENT TIPS Volume 9, Number 1 事例 : 移動中のデータの捕捉とダウンロード データ収集は 地面から高く離れた風力タービンから 地下に設置された動力計ラボまで あらゆる場所で行われる可能性があります さらに一部のデータ収集測定では 使用する測定器の位置が定期的に変わる移動測定が必要になります データ収集測定器の場所が移動すれば インタフェースの場所も移動します このような場合は 測定システムとの柔軟な通信方法を備えていることが重要になります LXI(LAN extensions for Instrumenation) 測定器と業界標準の無線 LAN インタフェースを組み合わせれば これらの移動データ収集の問題に対するソリューションが得られます IEEE 802.11 により仕様化された無線 LAN 規格は成熟期に達し 現在では信頼性の高い セキュアな高速インタフェースが提供されています 信頼性の高い無線通信が必要な場合は データ収集アプリケーションでこれらのソリューションを活用できます 車両に無線 LAN ベースのデータ収集システムを搭載すれば データの捕捉とダウンロードが定期的に行えます 例えば 高速トラック試験では 車両の温度を捕捉し 解析のために中央コンピュータにダウンロードする必要があります Agilent 34972A を使用すれば さまざまな温度を測定するためのシステムを車両に搭載できます さらに 34972A には LAN インタフェースが標準装備されているため 無線 LAN ですぐに通信が行えます 試験コースでの長時間の走行後 保守ステーションに入ると無線 LAN 接続が再確立され データを中央コンピュータにダウンロードできま す ダウンロードが完了した後 ドドライバはコースに戻って テスト ドライブを継続できます
データのセキュリティ 10 年間に及ぶ実環境のフィールド テストと改良の結果 802.11n の暗号化手法は成熟期に達し 信頼性が非常に高まりました 最新の暗号方式 (WPA2) では AES(Advanced Encryption Scheme) コード化が使用されています AES については世界各国で慎重な調査が行われ その有効性から多くの行政機関が AES を採用しています 無線システムのトポロジー 無線システムのトポロジーには多くの方法があります 正しいトポロジーの選択は ニーズと使用可能なハードウェアに依存します 無線インタフェースの中心となるのが アクセス ポイント ( 通常は無線ルータ ) です ルータは 無線サブネット ( セル ) を管理するために IP アドレス ドメイン名を割り当て ローカル ネットワークとワイド エリア ネットワークを分離します 無線ルータは ネットワークの無線側と有線側に接続されたクライアントに IP アドレスを割り当てます 図 1 にこのネットワークの例を示します このトポロジーは 複数の測定器を一台の無線ルータで制御する場合に有効です 図 1. 無線対応コンピュータと一台の無線ルータを使用する構成 LXI 図 2 は 2 番目に有効なトポロジーを示したものです この場合は 複数のユーザが複数の分散した測定器をモニタ / 制御する必要があります このタイプのトポロジーは 複数の温度チャンバを持つ環境テストで使用されます 各チャンバに Agilent 34972A データ収集 / スイッチ ユニットなどのデータ収集ユニットがあります 図 2 に示すトポロジーを使用すれば データ収集システムへの通信アクセスを従来の LAN ケーブルの配線なしで簡単に実現できます 無線ブリッジにより 有線 LAN デバイスと無線ネットワーク間のシームレスな相互接続が可能になります 無線ブリッジは ルータと同様に すべての主要無線機器メーカから入手することができます LXI 図 2. 一台の無線ルータと 複数の PC および無線ブリッジを使用する構成 2
無線データ収集ネットワークの構成 無線データ収集ネットワークを構築するには 最初に無線ネットワーク トポロジーを選択します すべての測定システムを 1 つのエリア内の共通の場所に設置できる場合は 図 1 に示すようなトポロジーが適しています この場合は 1 台のルータと無線対応のコンピュータが必要になります 測定システムが広いエリアに分散している場合は 図 2 に示すトポロジーの方が適しています 最初は無線データ収集ネットワークの構成が難しく感じるかもしれませんが 無線 LAN 機器メーカでは構成に役立つドキュメントやツールを用意しています 例として Agilent 34972A データ収集 / スイッチ ユニットと通信するために無線セルを構成する手順を示します ここでは WRT610N Linksys 802.11n ルータと WET610N 無線ブリッジを使用します 図 2 に示す無線ネットワークと同様のネットワークを構成します コンピュータは無線対応で WRT610N 無線ルータによって作成されたセルに接続します WET610N 無線ブリッジは 34972A に接続します 測定のヒント 無線 LAN のセキュリティを確保するには : WPA2-AES 暗号化を選択します 13 文字以上のランダムな文字を使用してキーを作成します SSID ブロードキャストをオフにします ルータの管理者ログイン名とパスワードをメーカのデフォルトから変更します 以下に 無線データ収集ネットワークを手動で構成するために必要な手順を示します 1. 無線セルを作成するためのルータの構成 無線ルータをコンピュータにイーサネット ケーブルでダイレクト接続します 無線ルータの IP アドレスを決定し その ( 内蔵 )Web サーバのホームページをオープンします IP アドレス ログイン名 パスワードは メーカのドキュメントに記載されています ルータの Web サーバのホームページを使用して 無線ルータの設定を構成します ( 図 3 を参照 ) 固有の SSID(Service Set Identifier) を作成します セキュリティ モード (WPA2-AES など ) を選択し 暗号化パスフレーズ ( キー ) を入力します 設定を保存し イーサネット ケーブルを外し 無線セルの中心となるルータを移動します 3. 無線セルに接続するための PC 無線インタフェースの設定 PC の無線インタフェースの構成ユーティリティをオープンします SSID セキュリティ モード および無線ルータと同じ暗号化パスフレーズを設定します 4. 34972A データ収集インタフェースの検証 ルータ ブリッジ 34972A の電源を入れます ルータ DHCP のサービスが PC と 34972A にアドレスを割り当てるために必要な時間を考慮してください PC で Web ブラウザをオープンし 34972A の IP アドレスを入力します 5. 他の LXI システムの場合と同様に お気に入りのアプリケーション ソフトウェアを使用 無線 LAN ネットワークでも 一般的な LAN のツールや手法が使用できます 2. 無線セルに接続するための無線ブリッジの構成 無線ブリッジをコンピュータにイーサネット ケーブルでダイレクト接続します 無線ブリッジの IP アドレスを決定し その Web サーバのホームページをオープンします 無線ルータと同じように無線ブリッジの設定を構成します 無線ルータに合わせて SSID を設定します セキュリティ モードを選択し 無線ルータに合わせて暗号化パスフレーズを設定します 設定を保存し ブリッジからイーサネット ケーブルを外します 34972A の近くのブリッジの場所を特定し イーサネット ケーブルをブリッジから 34972A に再接続します 3
図 3. 内蔵 Web サーバを使用した無線ルータのセットアップ ( セキュリティ ウィンドウを表示 ) 無線ルータおよびブリッジの構成の詳細については メーカのドキュメントを参照してください ほとんどの無線ルータには 何百もの設定オプションがあります 大部分のオプションは デフォルト設定のままでかまいません 以下に 覚えておく必要のあるいくつかの重要な設定を示します 誰かが LAN ケーブルをルータに物理的に接続して 設定を表示するのを防ぐには ( メーカのデフォルトの ) ログイン名 / パスワードを 自分しか知らない新しい固有のパスワードに変更します 図 4. LAN 上の Agilent Connection Expert(ACE) 測定器 無線ネットワークを構成して稼動中の場合は 標準 LAN ツールを使用して 34972A に接続し 通信を行うことができます イーサネット ケーブルと無線接続のどちらを使用しても アプリケーション ソフトウェアを使用できます SSID(Service Set Identifier) を覚えやすい固有の名前に設定します さらにセキュリティを強化するために ルータの SSID ブロードキャストをオフにします デフォルトでは ルータが SSID を定期的にブロードキャストするために 無線クライアントが使用可能な無線セルを識別できます この機能は喫茶店や空港では便利ですが 専用の無線セルの場合は SSID のブロードキャストは不要です セキュリティを最大限に高めるには WPA2 AES 暗号化方法を選択し 強固なパスフレーズを使用します 強力な 攻撃を受ける可能性を減らすには 13 文字以上のランダムな文字を使用してパスフレーズを作成します 図 3 では WPA2 モード AES 暗号化 強固なパスフレーズが設定されています Agilent I/O Connection Expert(ACE) などのツールを使用すれば 無線ネットワーク上に存在する測定器を自動的に検出できます 図 4 は Agilent 34972A 34980A L4534A が検出された I/O ライブラリを示したものです どの測定器が無線ネットワーク上に存在し どの測定器が有線ネットワーク上に存在するかを特定することはできません 有線 LAN インタフェースで使い慣れた LAN ツール / 手法が 無線 LAN インタフェースでも同様に使用できます 4
IEEE 802.11 無線 LAN 測定器の通信に標準の IEEE 802.11 無線 LAN を使用すれば 製品の開発 セキュリティ 製品の信頼性に多くのエンジニアリング時間を割り当てることができます 使いやすい LXI 測定器ツールにより 無線ネットワークの構成と操作が簡素化します Agilent 34972A LXI データ収集 / スイッチ ユニットを無線ブリッジと組み合わせれば 無線 LAN ネットワークにシームレスに接続できます 分散する無線測定器との通信が必要な場合は 802.11 無線 LAN と 34972A などの LXI 対応測定器を使用してデータ収集システムを作成できます 参考資料 History of 802.11 security, by Jesse Walker, Communications Technology Lab, Intel Corporation IEEE 801.11, ウィキペディア ( 無料百科辞典 ) Testing 802.11n, by Fanny Mlinarsky, Octoscope 図 5. Agilent 34972A LXI データ収集 / スイッチ ユニット 5
Agilent のスケーラブルな DAQ およびスイッチング ファミリ NEW 34972A 34970A 163M/s 22300/s 300 V 10 V 24 V IO LAN USB GPIB RS-232C 8 USB 15 34980A 221000/s 300 V LAN USB GPIB 16 Agilent のスケーラブルな DAQ およびスイッチング測定システム ファミリの詳細については www.agilent. co.jp/find/dataacquisition をご覧ください アジレント テクノロジー株式会社本社 192-8510 東京都八王子市高倉町 9-1 契約販売店 www.agilent.co.jp/find/channelpartners 計測お客様窓口 9:00-18:00 TEL 0120-421-345 (042-656-7832) FAX 0120-421-678 (042-656-7840) Email contact_japan@agilent.com 電子計測ホームページ www.agilent.co.jp 記載事項は変更になる場合があります ご発注の際はご確認ください Agilent Technologies, Inc.2010 Published in Japan, January 25, 2010 5990-5072JAJP 0000-00DEP