VOC 排出抑制セミナー H30.2.2 東京都における大気環境の現状と課題 東京都環境局環境改善部化学物質対策課 1
内容 1 都内の大気環境 2 VOC 対策の取組 3 VOC 対策の課題 2
人の健康の保護及び生活環境の保全の上で維持されることが望ましい基準 行政上の政策目標 光化学オキシダント (Ox) 微小粒子状物質 (PM 2.5 ) 二酸化硫黄 (SO 2 ) 一酸化炭素 (CO) 浮遊粒子状物質 (SPM) 二酸化窒素 (NO 2 ) 環境基準 1 時間値 0.06ppm 日平均値 35µg/m 3 (98% 値 ) 年平均値 15µg/m 3 1 時間値 0.1ppm 日平均値 0.04ppm(2% 除外値 ) 8 時間値 20ppm 日平均値 10ppm(2% 除外値 ) 1 時間値 0.20mg/m 3 日平均値 0.10mg/m 3 (2% 除外値 ) 日平均値 0.06ppm(98% 値 ) 3
100% 東京都の大気環境基準達成率 46 局 /47 局 80% SO 2 NO 2 SPM 20 局 /31 局 40 局 /47 局 60% 40% 20% PM 2.5 光化学オキシダント 2 局 /16 局 3 局 /45 局 3 局 /46 局 0% 1988 1991 1994 1997 2000 2003 2006 2009 2012 2015 年度 4
化学スモッグ通発生時常時光化学オキシダントの影響 光化学オキシダント 都庁舎からの眺望 オゾン ( O 3 ) を主成分とする有害物質光 健康影響 目や喉への刺激 呼吸が苦しい めまい 頭痛 農作物 植物被害 葉の変色 収量の減少 5
光化学スモッグ注意報の発令基準等 発令基準等 段階 学校情報 発令の基準 オキシダント濃度 0.10ppm 以上で継続するとき 緊急時協力工場 事業場 予報高濃度汚染が予想されるとき燃料使用量の削減要請 注意報 警報 重大緊急報 オキシダント濃度 0.12ppm 以上で継続するとき オキシダント濃度 0.24ppm 以上で継続するとき オキシダント濃度 0.40ppm 以上で継続するとき 措置 通常の燃料使用量より 20% 程度削減勧告 通常の燃料使用量より 40% 程度削減勧告 通常の燃料使用量より 40% 以上削減命令 一般 屋外になるべく出ない 屋外運動は差し控える 被害にあったときは保健所に届け出る 連絡方法 発令地域区分 ( 都内 8 地域 ) 6
光化学スモッグによる健康被害 環境局 HP を拡大 http://www.kankyo.metro.t okyo.jp/basic/publications/ scenery/air/film_02.html 昭和 49(1974) 年夏大田区または世田谷区あたり昭和 45(1970) 年 7 月 校庭で運動中の高校生が 目がチカチカする 喉が痛い 胸が苦しいという症状を訴え 治療をうけるという事件が発生しました 全国最初の光化学スモッグによる被害です その後 子供たちを中心に 被害は各地に広がりました 上の写真は 七夕の短冊でしょうか こうかがくすもっぐをなくしてほしい など 子供たちの切実な想いが伝わってきます 下の写真には 症状が重く 酸素吸入をうける子供が写っています 写真が撮影された頃 光化学スモッグは 子供たちの健康に 重大な影響を与えていました なお 光化学スモッグ警報は昭和 51 年以降 1 日も発令されていません 7
注意報発令日数(日害届出数(人)光化学スモッグ注意報発令日数等 25 500 棒グラフ :[ 左目盛 ] 20 折れ線グラフ :[ 右目盛 ] 400 H24 H26 H28 15 300 10 200 5 100 0 0 ( 東京都内分 ) 8
内容 1 都内の大気環境 2 VOC 対策の取組 3 VOC 対策の課題 9
PM 2.5 光化学オキシダントと VOC SPM 太陽 オキシダント (Ox) PM2.5 紫外線 二次有機粒子 二次粒子 一次粒子 二次粒子 一次粒子 揮発性有機化合物 (VOC) 窒素酸化物 硫黄酸化物 人為起源 自然起源 火山 黄砂 植物等 10
揮発性有機化合物 VOC とは? Volatile Organic Compounds の略 トルエン キシレン IPA 酢酸エチル等 ( 工業用途の主なもので約 200 種類 ) 印刷時のインキ 湿し水 洗浄剤 塗料溶剤 ( シンナー ) 接着剤等に含まれる 物を溶かす力 ( 樹脂 油汚れなど ) 乾きやすさ ( さまざまな沸点の成分を配合して調整が可能 ) 入手しやすさ ( 価格 供給が安定 ) 11
大気汚染防止法での VOC 規制対象 VOC( 総体的な定義 ) 大気中に排出 飛散した時に気体である有機化合物 粒子状物質及びオキシダントの生成に寄与しない物質 (CH 4 HCFC-22 など 8 物質 ) を除く 沸点などの物性による定義や 具体的な物質名は示されていない 排出基準を ppmc で定めている VOC の測定では 排出口で複数成分の混合ガスを測定する場合が多く 全成分を一度に測定し ひとつの濃度として表示するため ppmc を用いる 測定技術上 沸点は考慮できない ただし 使用量 排出量等の統計や調査では一定の定義が必要なため 例えば日本塗料工業会では 沸点 260 以下の VOC を調査対象としている 12
都内の VOC 排出量推計 (5 年ごとに推計移動発生源 民生部門を含む ) 航空機 船舶 2% 建設機械 1% 移動発生源 17% 一般家庭 オフィス 16% 自動車 15% 燃焼系固定発生源 4% ボイラー等 4% その他 1% 接着剤 5% 金属表面処理 1% ( 工場内塗装 8%) 2010 年度 69.7 千 t/ 年 クリーニンク 6% ( 工場外塗装 13%) 給油等 14% 蒸発系固定発生源 63% 塗装 21% 印刷 15% 蒸発系固定発生源燃焼系固定発生源移動発生源一般家庭 オフィス塗装 ( 工場内 ) 塗装 ( 工場外 ) 印刷給油等クリーニング金属表面処理接着剤 ( 工場内 ) 接着剤 ( 工場外 ) その他ボイラー等自動車建設機械航空機 船舶民生部門家庭用塗料 接着剤 13
東京都における VOC 対策の体系 Ⅰ 法 条例による規制等 大気汚染防止法 東京都環境確保条例 Ⅱ 自主的取組の推進 揮発性有機化合物の排出濃度規制事業者による自主的取組 排出防止設備の設置義務化学物質適正管理制度 ( 都版 PRTR) 自主的取組への技術支援 1VOC 対策ガイド 工場内編 の作成 2VOC 対策アドバイザーの派遣 3 セミナーによる VOC 排出抑制策の普及 低 VOC 製品の普及 啓発 14
大気汚染防止法における VOC 規制 排出規制 ベストミックス 排出の規制と事業者が自主的に行うVOCの排出及び飛散の抑制のための取組とを適切に組み合わせて 効果的な VOCの排出及び飛散の抑制を図っていく制度 ( 強制的 限定的 ) 一定規模以上の排出施設に対し VOC の排出基準を設定 ( 大気汚染防止法第 17 条の 3) 自主的取組 ( 自主的 広範囲 ) すべての事業者の責務として VOC の排出抑制に努めることを規定 ( 大気汚染防止法第 17 条の 4 関連 ) ( 大気汚染防止法第 17 条の 14 関連 ) 15
東京都条例における VOC 規制 排出防止設備設置義務 貯蔵施設及び出荷施設における蒸発防止設備の設置 ( 国の VOC 規制より対象が広い ) 化学物質適正管理制度 ( 都版 PRTR) 化学物質管理制度を活用した VOC 対策 ( 国の PRTR 制度と異なり 対象物質の VO C を独自に設定 取扱量小規模も対象 ) 有害ガス ( 規制基準 構造維持管理基準 ) も参照のこと 16
自主的取組への技術支援 1VOC 対策ガイド 工場内編 工場内塗装 印刷 金属等脱脂洗浄クリーニングの 4 分野を対象とした対策技術の解説書 中小事業者が導入しやすい抑制策を中心に 工程改善 原材料転換 処理装置の導入に分けて解説 概ねの VOC 削減効果やコスト等を提示 17
自主的取組への技術支援 2VOC 対策アドバイザー 都に登録された民間専門家が要望のあった事業所を直接訪問 VOC 排出抑制に関して事業所にあった内容をアドバイス 18
3VOC 対策セミナー 主な内容 自主的取組への技術支援 VOC 対策の意義 VOC 排出抑制技術 事業者及び業界団体の取組事例 対策によるメリット 19
VOC 排出量の推移 ( 全国 ) ( 万トン ) 150 141.0 45% 減 52% 減 100 108.6 106.4 100.4 90.0 82.2 77.2 74.3 72.1 71.9 69.8 68.4 50 0 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 データ出典 : 平成 28 年度揮発性有機化合物 (VOC) 排出インベントリ作成等に関する調査業務報告書 ( 平成 29 年 3 月 )( 環境省 HP 掲載 ) ( 年度 ) 20
VOC 排出量等の推移 ( 都条例に基づく報告集計 ) ( トン / 年 ) 10,000 (%) 100 8,000 80 6,000 4,000 68% 減 24% 減 60 40 2,000 20 0 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 VOCの排出量その他の排出量 VOCの占める割合 0 ( 年度 ) データ出典 : 都内事業所における適正管理化学物質の環境への排出量等について ( 平成 27 年度実績 ) ( 平成 29 年 3 月 )( 東京都環境局 HP 掲載 ) 21
内容 1 都内の大気環境 2 VOC 対策の取組 3 VOC 対策の課題 22
VOC 対策の目標 排出量削減に関する数値目標 (2010 年達成 取組は継続 ) 国 都 2010 年度の時点で 蒸発系固定発生源からの VOC 排出総量を 2000 年度比で 3 割程度抑制 大気汚染防止法施行通知 (2005) 2010 年度の時点で 蒸発系固定発生源からの VOC 排出量の 30% 以上を削減 (2000 年度比 ) 10 年後の東京 実行プログラム 45% 削減し達成 42% 削減し達成 環境の改善に関する目標 都 2020 年度までに 光化学スモッグ注意報発令日を 0 日とする 東京都環境基本計画 2016 目標 対策継続中 23
夏季 VOC 対策の広域展開 (9 都県市 ) 24
東京都が掲げる政策目標 ( 大気環境 ) あるべき姿東京都環境基本計画 2016 世界の大都市で最も水準の高い良好な大気環境が実現されている PM 2.5 や光化学オキシダントの濃度が十分に低減され 快適な大気環境が実現されている 目標 2024 年度までに PM 2.5 の環境基準達成率を 100% に向上 2020 年度までに 光化学スモッグ注意報の発令日数をゼロ 2030 年度までに 全ての測定局における光化学オキシダント濃度を 0.07ppm 以下とする ( 年間 4 番目に高い日最高 8 時間値の 3 年平均 ) 25
東京都環境基本計画 2016 26
光化学オキシダント PM 2.5 検討会 平成 20~23 年度微小粒子状物質 (PM 2.5 ) 検討会 平成 15~16 年度光化学オキシダント調査検討会 平成 29~30 年度微小粒子状物質 (PM 2.5 ) 検討会を再開 都内の光化学オキシダント PM 2.5 の実態把握 削減対策等について専門的な見地から学識経験者の意見を聴くために設置している専門家会議 27
都環境局が発信している関連情報 光化学スモッグ注意報等が発令された際にメールでお知らせ 環境局メルマガ 東京都環境局メルマガ 検索 東京都環境局ツイッター 検索 東京都環境局 Facebook 検索 ご清聴ありがとうございました 28