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道路橋における既製コンクリート杭の 現場溶接継手作業要領 平成 24 年 3 月 社団法人コンクリートパイル建設技術協会

目 次 はじめに 2 1. 溶接継手の使用 2 2. 施工要領 3 3. 溶接準備 3 4. 溶接作業 7 5. 検査及び記録 14 6. 溶接完了後の温度 18 7. 感電 電撃事故の防止 19 1

はじめに < 適用範囲 > 本要領は, 道路橋における既製コンクリート杭の現場溶接継手を対象とする 本要領に記載されていない事項については, 道路橋示方書, 杭基礎施工便覧及び JIS A 7201 ( 遠心力コンクリートくいの施工標準 ) に準ずるものとする < 溶接継手 > 溶接継手は手溶接 ( 被覆アーク溶接 ), 半自動溶接 ( ノンガスアーク溶接, 炭酸ガスアーク溶接等 ), 全自動溶接へと開発が進んでおり, 全自動溶接においては溶接工の技術や経験によらず, 知識があれば操作できるように機械化が進められている しかし, 溶接継手の強度は, その構造によることはもちろんであるが, 溶接工の技量, 溶接材料の選定及び溶接方法によってその品質に大きな差が生じるので, 溶接工にたよらず, 工事関係者は溶接作業の重要性をよく認識し, 十分な管理を行うことが必要である 溶接技術の詳細については各種の文献に譲ることにして, ここでは既製コンクリート杭の溶接作業の主な要領と管理のポイントについて述べる 1. 溶接継手の仕様 溶接継手には従来, 端板式と円筒式の2 種類があったが, 現在では ( 社 ) コンクリートパイル建設技術協会によって端板式の継手仕様に統一され, 製造される既製コンクリート杭は端板式となっている 継手の材質は JIS G 3101( 一般構造用圧延鋼材 ) に規定する SS400または JIS G 3106( 溶接構造用圧延鋼材 ) の規格に適合した SM400A, SM400 B, SM400 C 等を使用している 開先の形状は, 図 -1に示すように端板幅( 杭肉厚幅 ) に対する U 型の部分溶け込み溶接である 図 -1 開先形状の例 2

2. 施工要領 溶接継手の施工概要を図 -2 に示す 溶接機器の選定 溶接準備 溶接棒 ワイヤの選定 溶接棒 ワイヤの保管 溶接技能者の確認 気温と天候 仮付は行なわれない場合もある 下杭の打止め 上杭の建込み 仮付 溶接 検査 杭施工 設置高さの確認 溶接部の清掃 建込み治具の取付け 溶接電流アーク電圧溶接速度運棒法 の確認 溶接部温度 足元の確保 図 -2 溶接施工の概要 3. 溶接準備 ここでの溶接準備とは溶接形式及び開先形状に適合する溶接機器, 溶接棒や溶接ワイヤの選定, 及びそ の保管, 並びに溶接工の選定をいう 3.1 溶接機 溶接機は溶接棒及び溶接ワイヤに必要な電流を安定して供給できるもので, アーク電圧の制御の良いも のが望まれる なお, キャブタイヤケーブルは手溶接, 半自動溶接いずれの場合も, 温度上昇が大となら ないような断面積を有し, 絶縁が確実なものを用いる 溶接用キャブタイヤ電線の距離と寸法 ( 断面積 ) の関係を表 -1 に示す 表 -1 溶接用キャブタイヤケーブルの距離と寸法 ( 断面積 mm 2 の場合 ) 距離 m 電流 Amp 20 30 40 50 60 70 80 90 100 100 38 38 38 38 38 38 38 50 50 150 38 38 38 38 50 50 60 80 80 200 38 38 38 50 60 80 80 100 100 250 38 38 50 60 80 80 100 125 125 300 38 50 60 80 100 100 125 125 350 38 50 80 80 100 125 400 38 60 80 100 125 450 50 80 100 125 125 500 50 80 100 125 550 50 80 100 125 600 80 100 125 ( 備考 ) 本表は直流を用い電圧降下 4V 以下の寸法 ( 単位 mm 2 ) であり, 交流の場合は 1 段上の寸法を使用する 3

3.2 溶接棒及び溶接ワイヤの選定 溶接棒及び溶接ワイヤの選定に当たっては, 母材の性質, 板厚, 継手の構造及び溶接姿勢等を考慮して選定しなければならない 母材すなわち溶接式継手の材質からの溶接棒の選定は, 母材の性質を満足させるものでなければならない 母材には主に JIS G 3106( 溶接構造用圧延鋼材 ) に規定される SM400 A, SM400 B または SM400 C の規格品を使用しているので, 手溶接の場合の溶接棒としては JIS Z 3211( 軟鋼, 高張力鋼及び低温用鋼用被覆アーク溶接棒 ) に規定される E4319または E4316-H15を使用する また, 半自動溶接で使用する溶接ワイヤとしては JIS Z 3313( 軟鋼, 高張力鋼及び低温用鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ ) に規定される T430TX-XNX- XXX,T490TX-XNX-XXX,T490TX-XNX-XXX-U,T492TX-XNX-XXX, T49TX-XNX-G を使用する 溶接棒や溶接ワイヤの径は, 端板式の溶接継手では開先角度が約 30 前後であることから, 手溶接の場合,1 層目はφ4mm 以下のものを用いる また, 半自動溶接の場合, ワイヤ径はφ1.6~φ3.2mm を用いることを標準とする 3.3 溶接棒及び溶接ワイヤの保管 溶接棒または溶接ワイヤは, 湿気のない場所に保管する 現場では長期間保管したものや梅雨期に使用したものは, 使用に先立ち確認して, 吸湿しているものは乾燥器などで強制乾燥を行う 溶接棒や溶接ワイヤが吸湿すると心材が錆び, いくつかの溶接欠陥を生じさせる またフラックス入りワイヤではフープ材の内側に結露を起こし, 溶込み過大, アンダーカット, ピット, 水素ぜい化または割れ等の欠陥となって溶接部の材質が低下する 特に吸湿は低水素系の溶接棒では注意が必要であり, 通気が良く湿気の少ない場所に保管しなければならない 吸湿した場合は 吸湿部分を破棄または乾燥器等で乾燥させる必要がある 吸湿しているかどうかの簡単な判定方法には以下に示す方法がある 音で確かめる ( 吸湿していると鈍い音がする ) 曲げるとよく曲がる ( 吸湿しているとフラックスの剥離が少ない ) アークを出した後, 鉄板上に置く ( 吸湿していると鉄板に水適が残る ) 溶接中のスパッタの発生状況 ( 吸湿していると大粒なものが多量に発生する ) 4

3.4 溶接技能者 溶接技能者は以下のうち, いずれかの資格または同等以上の技能を有するものとする 手溶接を行う場合は JIS Z 3801( 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) による,A-2H 程度の資格を有し, 技量証明書を監督員に提出し承諾を受けた者 半自動溶接を行う場合は JIS Z 3841( 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) による SS-2H 程度の資格を有し, 技量証明書を監督員に提出し承諾を受けた者 全自動溶接を行う場合は JIS Z 3841( 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) による SS-2F 以上の資格を有し, かつ全自動溶接に1 年以上従事し, 技量証明書, 工事経歴書を監督員に提出し承諾を受けた者 現場条件に即した基礎杭としての溶接資格である WES 8106( 基礎杭溶接技術者の資格認証基準 ) を推奨資格とする (FP-SS-2P の資格 ) JIS Z 3841,JIS Z 3801 の溶接技術検定試験の種類を表 -2 に示す 表 -2 溶接技術検定試験の種類 JIS Z 3841 ( 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) JIS Z 3801 ( 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) 継手の種類 板の突合せ溶接 試験材料の厚さ区分 mm 薄板 ( 板厚 3.2) 中板 ( 板厚 9.0) 開先形状裏当て金の有無 (i) I 形または V 形 技術検定試験の種類 溶接姿勢 N 下向 (F) SN-1F 立向 (V) 横向 (H) 上向 (O) 溶接方法および記号セルフシールドアークマグ溶接組合せ溶接溶接 SN-1V SN-1H SN-10 V 形 A 下向 (F) SA-2F SS-2F 立向 (V) SA-2V SS-2V 横向 (H) SA-2H SS-2H 上向 (O) SA-2O SS-2O H 下向 (F) SN-2F SC-2F 継手の種類 板の突合せ溶接 試験材料の厚さ区分 mm 薄板 ( 板厚 3.2) 中板 ( 板厚 9.0) 開先形状裏当て金の有無 (i) I 形または V 形 技術検定試験の種類 溶接姿勢 溶接方法および記号被覆アークティグ組合せガス溶接溶接溶接溶接 N 下向 (F) N-1F T-1F G-1F 立向 (V) N-1V T-1V G-1V 横向 (H) N-1H T-1H G-1H 上向 (O) N-10 T-10 G-10 V 形 A 下向 (F) A-2F 立向 (V) 横向 (H) 上向 (O) A-2V A-2H A-2O H 下向 (F) N-2F C-2F 立向 (V) SN-2V SC-2V 立向 (V) N-2V C-2V 横向 (H) SN-2H SC-2H 横向 (H) N-2H C-2H 厚板 ( 板厚 19.0) 上向 (O) SN-2O SC-2O V 形 A 下向 (F) SA-3F SS-3F 立向 (V) SA-3V SS-3V 厚板 ( 板厚 19.0) 上向 (O) N-2O C-2O V 形 A 下向 (F) A-3F 立向 (V) A-3V 横向 (H) SA-3H SS-3H 横向 (H) A-3H 上向 (O) SA-3O SS-3O 上向 (O) A-3O H 下向 (F) SN-3F SC-3F H 下向 (F) N-3F C-3F 管の突合せ溶接 (1) 注 薄肉管 ( 肉厚 4.9) 中肉管 ( 肉厚 11.0) 厚肉管 ( 肉厚 20 以上 ) I 形または V 形 V 形 V 形 立向 (V) SN-3V SC-3V 横向 (H) SN-3H SC-3H 上向 (O) SN-3O SC-3O N 水平および鉛直固定 (P) SN-1P A 水平および鉛直固定 (P) SA-2P SS-2P N 水平および鉛直固定 (P) SN-2P SC-2P A 水平および鉛直固定 (P) SA-3P SS-3P N 水平および鉛直固定 (P) SN-3P SC-3P A: 裏当て金を用いる N: 裏当て金を用いない 5 管の突合せ溶接 (1) 注 薄肉管 ( 肉厚 4.9) 中肉管 ( 肉厚 11.0) 厚肉管 ( 肉厚 20 以上 ) I 形または V 形 V 形 V 形 立向 (V) N-3V C-3V 横向 (H) N-3H C-3H 上向 (O) N-3O C-3O N 水平および鉛直固定 (P) N-1P T-1P G-1P A 水平および鉛直固定 (P) A-2P N 水平および鉛直固定 (P) N-2P C-2P A 水平および鉛直固定 (P) A-3P N 水平および鉛直固定 (P) N-3P C-3P A: 裏当て金を用いる N: 裏当て金を用いない

技能資格者の資格記号の区分は JIS Z 3841( 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) 及び JIS Z 3801( 手溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) に示されており, 継手の種類, 試験材料の板厚, 裏当て金の有無, 溶接姿勢などによって区分される 表 -3に, その区分と記号及び JIS の抜粋を示す 資格の表示と区分例 半自動溶接 SS-2H 溶接姿勢 ( 水平 ) 板厚 (9.0) セルフシールドアーク溶接 手溶接 A-2H 溶接姿勢 ( 水平 ) 板厚 (9.0) 裏当て金有り 表 -3 JIS Z 3841( 半自動溶接技術検定における試験方法及び判定基準 ) の見方 開先形状 Ⅰ 型 V 型 裏当て金の有無 溶接姿勢 A 当て金を用いる F 下向き N 裏当て金を用いない H 横向き V 立向き O 上向き 溶接方法 SN SA SS SC マグ溶接裏当て金無し炭酸ガス並びに炭酸ガスとアルゴンの混合ガスなど酸化性シールドガスを用いて行うアーク溶接の総称 マグ溶接裏当て金有り セルフシールドアーク溶接フラックス ( 溶融金属を大気から遮断して, 酸化や窒化を防止するとともに, 精錬して酸化物その他の有害物を溶融金属から分離する目的で用いられる粉末状, またはペースト状材料 ) 入りワイヤを用いて, 外部からシールドガスを用いずに, ワイヤ自身が大気をシールする溶接 ノンガス溶接とも呼ぶ 組合せ溶接始めの 1~3 パス ( 但し厚みは 6mm 以下 ) を TIG 溶接で行い, その後をマグ溶接で行う溶接のことをいう 溶接資格と適用材料厚み 試験材料の厚み クラス 1 は板厚 3.2mm で試験する クラス 2 は板厚 9.0mm で試験する クラス 3 は板厚 19.0mm で試験する その各々の資格に適用される板厚は, 一般に試験板厚の半分の板厚から 2 倍の板厚の範囲までと言われている 従って例として SN-2F のマグ溶接基本級の所有者は, 板厚さ 4.5mm から 18mm 程度までが目安となる 6

4. 溶接作業 4.1 下杭の打止め高さ 下杭は, 溶接作業が容易に行なわれるように施工地盤から溶接作業がしやすい高さを残して打止める 一般的には, 地盤または足踏み板などから 1.0~1.5m 程の高さとする ( 図 -4) (a) 打込み杭工法等 図 -4 下杭の打止め高さ (b) プレボーリング杭工法等 4.2 開先部の確認及び清掃 継手部が運搬中, または打込み等によって変形が生じた場合は, 溶接開先部をガウジング, グラインダー等で設計寸法に修正 加工しなければならない また, 開先部のサビ, 結露, 泥土, 油脂, ペンキまたはセメントペースト等は溶着金属中に有害ガスや非金属介在物を生じさせ, ブローホール, スラグの巻き込み, ピット等の有害な欠陥となるのであらかじめ良く清掃し, 除去しておく 特に埋込み工法の場合は, 泥水等で開先部が汚れているので, 表面から溶接欠陥を生じさせる恐れもあるものを除去した後, ガス炎等で十分乾燥させ, さらにワイヤブラシ, チッピングハンマ, グラインダー等で清掃してから溶接作業を行うことが重要である 4.3 継手部のセット 上杭のセットは, 上杭と下杭の軸線が同一線上になるように, 下杭の頭部に継手案内治具を取り付けて行う 案内治具の例を図 -5に示す なお, 開先部の目違い及び隙間があると, 溶接欠陥を生じやすく強度が低下するため十分な配慮が必要である 継手開先部の目違い量は 2mm 以下, ルート間隔 ( 目 開き ) は 4mm 以下とする ( 図 -6) 図 -5 案内治具の例 7

(a) 目違い (b) ルート間隔 ( 目開き ) 図 -6 継手接続の許容値 4.4 溶接環境と溶接条件 1) 溶接時の気温と天候 溶接作業は屋外で行われるため, 気象条件によって, 溶接継手の強度に悪影響を与えるので, 以下 の気象条件ではその対応を講ずることが必要である a. 気温が +5 以下の場合, 溶接を行ってはならない ただし, 気温が 10~+5 の場合で, 溶接部から100mm 以内の部分がすべて +36 以上に予熱されている場合は差し支えない b. 降雨, 降雪で母材が濡れているとき, または毎秒 10m 以上の風が吹いているときは, 溶接を行ってはならない ただし, 溶接部が天候の影響を受けないような十分な処置を行う場合は, 責任技術者の承認を受けて溶接を行うことができる なお, 強風に対する防護の例を図 -7 に, 急な降雨に対する防護の例を図 -8 に示す 8

図 -7 強風時の防護例 図 -8 急な降雨時の防護例 9

2) 溶接条件 1 溶接条件とその影響下記に示す溶接条件は, 継手の品質に大きな影響を及ぼすため, 十分な配慮を行って作業を行なわなければならない 溶接条件 溶接電流アーク電圧 ( アークの長さの適否に関係する ) 溶接速度運棒法パス間の清掃ビート継ぎ目の処理ビート始終部の処置層間温度の確保 予熱を行なわない場合 溶接開始点の母材は大気の温度と同じであるので, 大きな電流を与えな いと溶込みは不足する しかし, あまり大きい溶接熱を与えると収縮応力が大きくなったり, スラ グの巻込みを生じるので注意が必要である 一方, 溶接終了点は急冷されるため割れが生じやすく 注意する 従って,1 層目の溶接に関しては, 十分な溶込みの得られる方法で行った方がよい 表 -4 に溶接電流, 表 -5 にアーク長さの諸条件と溶接部の影響を示す 多層溶接では 1 層目の溶接が終了後, その層のスラグやスパッタを完全に除去し, 次層の溶接を 行うようにする 表 -4 溶接電流の諸条件と溶接部の影響 溶接電流が強すぎる場合 溶接電流が弱すぎる場合 1. アンダーカットができやすい 1. オーバラップができやすい 2. スパッタが多くなる 2. 溶込み不良となる 3. 溶接棒が赤熱して溶込みが悪くなる 3. スラグ巻込みができやすい 4. スラグのかぶりが悪くビート外観が悪い 4. ビート幅が狭く盛上がる 5. 溶接部が過熱され, ぜい化する 5. 溶接棒の溶融速度が遅い 6. 割れ, ブローホールが生じる 備考一般に立向溶接では, 下向溶接の電流の 20~30% 減, 上向溶接では 10~20% 減が適当である 表 -5 アーク長さの諸条件と溶接部の影響 長すぎる場合 短かすぎる場合 1. ビートの幅が広くなる 1. ビートの幅がせまくなる 2. ビートの余盛が低い 2. ビートの余盛が高くなる 3. アークの集中が悪くなる 3. アークがショートする 4. 溶接金属の酸化 窒化がおこり性質を悪くする 4. 溶込み不足を生ずる 5. スラグ巻込みを生じやすい 5. ビート外観が悪くなる 6. 溶込み不足を生ずる 6. スラグ巻込みを生ずる 7. アンダーカット, オーバラップを生じやすい 備考アークの長さは, 使用溶接心線直径と等しくする 10

その他の溶接作業時の留意点は以下のとおりである 1 層目の溶接では溶込みを深くするため, 電流を所定の値に保ち電圧は極力低目とする トーチ は図 -9 に示すように, 溶接進行方向に 0~45 に傾け, ワイヤは図 -10 に示すねらい位置及びトーチ 角度にする 溶接は, ルート保持ビードの中央からスタートし, 以下の事項に注意して作業する ⅰ) トーチは溶接進行方向の反対側に傾けないこと これを誤るとスラグの巻き込み, 融合不良, ブローホール等の欠陥が生じやすくなる ⅱ) ワイヤの突出し長さは,30~50mm とする 突出し長さが短すぎると気孔が発生しやすくなる ⅲ) ビート継ぎの際は, 前ビートの終端部でアークを発生させ, 約 20mm バックステップする ⅳ) 多層溶接の場合, 前層のスラグを完全に除去してから次の溶接作業を行う のど厚 上杭端板 下杭端板 アークの長さ 図 -9 トーチ角度 図 -10 ワイヤのねらい位置 11

2 溶接部の主な欠陥と防止対策溶接部には各種の欠陥が生じる場合があるので, 溶接作業前には継手の状態, 仮付け時の上下杭の接合の良否, 開先の清掃, 溶接器具の整備, 溶接棒の乾燥状態, 溶接中は電流の調整, 不純物の混入等に注意する 溶接終了後, 外観検査等で重大な欠陥を発見した場合には, その箇所をグラインダー, またはガウジング等で完全に削り取り, 再溶接して補修をする 表 -6に溶接欠陥の種類と対策を示す 表 -6 溶接欠陥の種類と対策 欠 陥 原 因 対 策 1. 溶接速度が速すぎるとき または遅すぎるとき 2. 溶接電流が低いとき 3. トーチ角度及びねらい位置が不適当なとき 1. 溶接速度を適正にし, スラグが先行しないようにする 2. 電源 500A を用いるため, 使用率を考えて最大電流 450A 程度が適正である 3. トーチ角度を 20~30 に保ち, のど部を十分溶かし得るねらい位置とする 1. スラグ除去が不完全なとき 2. 運棒速度が遅すぎるとき 3. トーチを前進法で溶接したとき 1. 前層のスラグは完全に除去する 2. 電流をやや高くし, スラグが先行しない速度にする 3. トーチを後退法 (0~45 ) で溶接する 1. アーク電圧が高すぎるとき 2. 継手部に水分, 不純物が混入したとき 3. 溶接ワイヤが吸湿しているとき 4. ワイヤの突出長さが短いとき 1. 溶接ワイヤが吸湿しているとき 2. 継手部に水分, 不純物が混入したとき 3. 電流 電圧が不適当なとき 1. 溶接電流が高すぎるとき 2. トーチ角度及びねらい位置が不適当なとき 3. 溶接速度が速すぎるとき 4. アーク電圧が高すぎるとき 1. 溶接電流が低すぎるとき 2. 運棒速度が遅すぎるとき 1. 適正なアーク電圧 26~30V を使用する 2. 溶接前に開先部の清掃を十分に行い水分, 泥土, 油脂, ごみ, さびなどを完全に除去する 3. 溶接ワイヤの保管を完全に行い, 使用の際, 再乾燥する 4. ワイヤ突出長さを 30~50mm の適正長さにする 1. 溶接ワイヤの保管を完全に行い, 使用の際, 再乾燥をする 2. 溶接前に開先部の清掃を十分に行い水分, 泥土, 油脂, ごみ, さびなどを完全に除去する 3. 標準溶接条件の範囲で行う 1. 最終層の電流を 350~400A の範囲に下げる 2. トーチ角度を 0~15 に保ち, ねらいは上杭開先面からアークを発生させないようにする 3. 溶接量が不足しないよう速度を遅くする 4. アーク電圧を 26~28V に下げる 1. 溶接電流を上げて, 運棒速度を速くする 2. 運棒速度を速くする 1. 継手部に水分, 不純物が混入したとき 2. 熱影響部が硬化ぜい化したとき 3. 溶接ワイヤが吸湿しているとき 1. 溶接前に開先部の清掃を十分に行い, 水分, 泥土, 油脂, ごみ, さびなどを完全に除去する 2. 予熱を行う 3. 溶接ワイヤの保管を完全に行い使用の際, 再乾燥する 12

3 半自動溶接による溶接条件 半自動アーク溶接による溶接条件例を表 -7 に示す 表 -7 半自動アーク溶接条件例 のど厚 a mm 12 以上 形状パス数 1 電流 A 電圧 V 溶接速度 cm/min 2 350~420 26~30 25~35 7~12 未満 3 1 350~420 25~30 26~30 2 350~400 25~35 備考 1. ワイヤ径 : 直径 3.2mm, 電流の種類 : 交流 2. 表面は, なるべく平滑になるよう余盛りはできるだけ少なく盛ること 3. 溶接部には, ピット, アンダーカット, オーバーラップなどの有害な欠陥があってはならない 4. ビートの終端のクレータ処理は, 十分に行う必要がある 5. ビートの継目は, 戻し溶接などの適当な処置をして有害な欠陥がでないようにする 13

5. 検査及び記録 5.1 外観検査の主な判定基準 溶接部の検査には, 内部欠陥に対する検査や外観による検査がある 既製コンクリート杭の場合, その継手構造から放射線透過試験や超音波探傷試験のような, 溶着金属内部の非破壊検査ができないため, 主に外観検査や, 浸透探傷試験によっている 溶接部の外観検査は, 溶接各層ごとにスラグ, スパッタの除去確認, われ, ピットの有無等を確認し, 各層ごとに必要事項を溶接施工記録表 ( 表 -11) に記載し写真を撮る なお不良個所が生じた場合は, その内容を溶接施工記録表 ( 表 -11) に記載し, その部位の補修前後を写真撮影 記録する また 表面の割れやピットなどのほか 余盛り高さ アンダーカットの深さ などがある これらの基準には, 下記に示す許容値のほか, それらの長さや全長に対する欠陥部の延長の割合なども合わせて考慮する必要がある これらの検査は,WES 7601( 基礎杭打設時における溶接作業標準 ) に定められた試験に合格した 基礎杭溶接管理技術者 が行なうものとし, 判定基準の例を表 -8に示す 表 -8 判定基準の例 項目図出典許容値 mm 開先の目違い JIS A 7201 ( 遠心コンクリートくいの施工標準 ) a 2 ルート間隔 ( 目開き ) JIS A 7201 ( 遠心コンクリートくいの施工標準 ) b 4 余盛り高さ WES 2031 ( 溶接継手の外観検査方法 ) 建築工事監理指針 h 3 アンダーカット WES 2031 ( 溶接継手の外観検査方法 ) e 0.5 14

5.2 溶接部の非破壊検査 1) 概要目視による外観検査では, 溶接部の内部欠陥は表面に開口していない限り発見できない また, 表面の微小な割れなども, 目視や拡大鏡による外観検査で検出することは困難である このため, 非破壊検査が必要になる 既製コンクリート杭の継手溶接部の検査に用いられるものは, 前述したように一般的には浸透探傷試験 (PT: 一般にカラーチェックと呼ばれている ) であり, 表面に開口した割れやピンホールの検査に適している 2) 浸透探傷試験の頻度及び資格者浸透探傷試験は全溶接箇所の最終層を対象に WES 7601( 基礎杭打設時における溶接作業標準 ) に定められた試験に合格した 基礎杭溶接管理技術者 が行ない, そのうち20% は JIS Z 2305( 非破壊試験 - 技術者の資格及び認証ー ) に定められた試験に合格した 非破壊試験技術者 が行なうものとし, 試験状況の写真を撮影, 記録する 3) 浸透探傷試験の検査手順 浸透探傷試験の検査手順 ( 溶剤除去性 ) を表 -9 に示す 表 -9 浸透探傷試験の検査手順 ( 溶剤除去性 ) 手順 溶剤除去性 操作内容 1 前処理 検査面に油分が付着している時は, 予め洗浄液を吹き付けて表面及び欠陥内の汚れを溶剤除去し, 次いで充分に乾燥させる 2 浸透処理 3 除去処理 4 現像処理 5 観察 検査面に浸透液を適用し,5~20 分放置すると浸透液が欠陥内まで沁み込む 適用方法は, 浸漬法, スプレー法, 刷毛塗り法による 検査面上の浸透液を布片で拭き取り, 次いで洗浄液を沁み込ませた布片で残りの浸透液を拭き取る 検査面に現像液を適用し, 形成された現像液膜が欠陥内の浸透液を吸い上げる 適用方法は, スプレー法, 刷毛塗り法等による 吸い上げられた浸透液は, 白色の現像液膜上に赤色の指示模様を形成する 6 後処理 必要に応じて, 試験体表面の現像剤を拭き取り及びブラシ等で除去し, 更に洗浄液にて欠陥内部の浸透液を除去する 15

4) 判定従来は, 表 -10に示す通り JIS Z 2343( 非破壊試験 - 浸透探傷試験 -) で欠陥等級が決まっていたが, 1992 年の JIS 改定で, 欠陥指示模様の等級分類は, 現状では利用された例がない との意見で削除された 合否の判定基準は, 目的物の重要性により設計者が独自に判断することになり, 表 -10の等級分類がなくなった しかし, 構造物の判定は, 一般的に割れについては存在すれば不合格, 円状欠陥は下記例の2 級以上が合格と言うことが通例になっている 表 -10 JIS Z 2343 等級分類 \ 種別 1 種 1 級 2mm 以下 円状欠陥の等級分類 2 級 2mm を超え 4mm 以下 3 級 4mm を超え 8mm 以下 4 級 8mm を超えるもの : 動的応力を受ける材料や溶接部, 及び静的応力を受ける試験品のうち, 特に高い応力をうけるもの 5.3 記録 溶接部の外観検査や非破壊検査の結果を次ページに示す記録表 ( 表 -11) に記載する 16

表 -11 溶接施工記録表 溶接施工記録表 工 事 名 施 工 会 社 名 COPITA 溶接シート平成 24 年 3 月版記録者氏名 : 杭寸法 ( 外径 長さ ) φ L= m 本継 番号 ( 基礎 杭 継手 ) No 杭の下杭 + 中杭中杭 + 中杭中杭 + 上杭 施工条件 気象条件 継手条件 溶接条件 日 時 天 候 気 温 ( 5 ) 風 速 ( 10m/sec ) 開先の目違い ( 2mm ) ル ー ト 間 隔 ( 4mm ) 溶 接 方 法 溶 接 機 溶 接 材 料 溶 接 棒 又は ワ イ ヤ 電 流 電 圧 溶 接 部 温 度 ( 200 ) 年月日 ( ) 時分 ~ 時分晴 曇 雨 雪 m/s 以下 mm mm 半自動溶接 ( セルフ CO2) 全自動溶接 手溶接溶接ワイヤφ mm 溶接棒 φ mm A V 溶 接 部 清 掃 状 況 溶 接 層 数 良好 層 不良 溶接作業 溶接技能者氏名資格の種類 記号溶接時間 分 検査結果 2 外観検査 スラグ スパッタ除去 わ 項 ピット アンダーカット オーバーラップ ビード不整 3 非破壊検査 ( 浸透探傷試験 ) 現場管理者 外部有資格者 目 れ 層区分 判定 補修内容 摘要 1 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 氏名氏名写写補修補修有 無有 無真真 摘要 1 : レ点チェック 2 : 必要事項を記載し各層を写真撮影 補修が生じた場合は事象を記載しその部位の補修前後を写真撮影 3 : 外部有資格者による浸透探傷試験は報告書提出 17

6. 溶接完了後の温度 溶接完了後の杭の施工においては, 溶着金属の急冷を避けるため少なくとも,200 程度まで自然放熱させたのち行う必要がある 溶接箇所は, 通常溶接完了後 1 分前後で200~250 になるため, 継手部の地中部への埋設施工は, その後に行う 溶接温度下降速度の測定例を図 -11に示す 1400 1200 温度 ( ) 1000 800 600 400 溶接開始 No.1 継手 0mm No.2 継手 5mm 溶接完了 溶接着水 200 0 5 10 15 経過時間 (min) 図 -11 溶接温度下降速度の測定例 18

7. 感電 電撃事故の防止 我が国では, 湿度の関係もあって溶接作業時の感電死亡災害が多発しており, その災害の70% はホルダに関係するものであった しかし,JIS C 9300( アーク溶接装置 ) に規定される絶縁形溶接ホルダ ( 安全ホルダ ) 及び JIS C 9311( 交流アーク溶接電源用電撃防止装置 ) に規定される自動電撃防止装置の普及によって, ホルダに起因する事故は激減したが, 一方では, 他の部分に接触して感電する事故の割合が増加している 溶接機は, アークを安定して発生させることが重要であるので, 出力側無負荷電圧を低くすることはアークの安定という観点から問題がある JIS C 9300( アーク溶接装置 ) に規定される交流アーク溶接機では最高無負荷電圧を抑えているが, その範囲の電圧でも, 感電死することがある 溶接中は電圧が下がっているが, アークを切り, 無負荷の状態の時に出力側電圧が高く, 危険な状況となる 7.1 感電災害の防止 1) 絶縁ホルダ使用従来の感電事故例は, 溶接棒またはホルダへの接触が原因となっているが, 実際は溶接棒によって長時間感電することは少なく, ホルダの通電部に触れて死亡した例が多い 現在では,JIS C 9300( アーク溶接装置 ) に規定される溶接機ホルダでは, 通電部分の外側が使用中の温度に耐える絶縁物で感電の危険がないように覆われていることを要求しており, 労働安全衛生規則でも, 絶縁形ホルダ以外のものの使用を禁止している 当然のことながら, 絶縁部が損傷して, 通電部が露出したホルダを使用してはならない 2) 自動電撃防止装置の使用絶縁ホルダを使用しても, 溶接棒からの感電によるショック死や高所でのショックによる墜落のような二次災害が発生することもあるので, 作業環境に応じて JIS C 9311( 交流アーク溶接電源用電撃防止装置 ) に規定される自動電撃防止装置を使用する必要がある 電撃防止器については溶接機に内蔵されたものと, 機外に取付けるものとがある 交流アーク溶接機の2 次側端子電圧が60~95V で素手あるいは皮膚がこれに触れ, 感電災害が多発した そのため, 労働安全衛生規則では以下のように義務付けている 船舶の二重底もしくはピークタンクの内部, ボイラーの胴若しくはドームの内部等導電体に囲まれた場所で著しく狭あいな所または墜落により労働者に危険を及ぼす恐れのある高さが2m 以上の場所で鉄骨等導電性の高い接地物に労働者が接触するおそれがある所において, 交流アーク溶接等 ( 自動溶接機を除く ) の作業を行うときは, 交流アーク溶接機用自動電撃防止装置を使用しなければならない ( 以下略 ) 電撃防止器の構造と使用について, 規格及び労働安全衛生規則では, アークを切った際の2 次側電圧は25V 以下で, かつアークが切れてから装置が働くまでの時間 ( 遅動時間 ) は1.0±0.3 秒以内と定められている 作業の始業時には必ず装置が正常に作動することを確認することも忘れてはならない 19

アーク溶接機なお, 電撃防止装置を使用した交流アーク溶接機でも, 溶接作業の不備によって, 負荷側 ( 溶接側 ) で図 -12 のような感電災害 ( 電撃 ) の危険性がある 溶接側 ( ホルダー線 ) 帰線側 ( アースクランプ線 ) 被溶接剤 感電 ( 電撃 ) 電流経路 D 種設置補助設置 A: 溶接棒ホルダーの破損箇所 ( 充電部 ) に手が触れて感電 ( 電撃 ) となる B: 溶接棒に手が触れて感電 ( 電撃 ) となる 図 -12 感電災害 ( 電撃 ) 3) ケーブル及びケーブルコネクタケーブルは,JIS C 3404( 溶接用ケーブル ) に導電用, ホルダ用に分けて規定されている いずれも2 種のクロロプレンキャブタイヤで被覆したものが耐久性に優れている 外層が破損した時は, 完全に絶縁補修するか, 新品と交換しなければならない また, 細いケーブルや長いケーブルは, 熱損失が大きいばかりでなく, ケーブルも老化 損傷し易くなる ケーブルコネクタは, 通電部を絶縁物で覆った形式のものを用いる 床面に水たまりなどがある時は, 防水構造のものを用いる コネクタの接続方式は, 容易に離脱しない構造のものが良く, ねじ式やひっかけ式が用いられている なお通電中に接続部が離脱するとアークが生じ, 溶粒が生成して接触不完全となることもあるので注意が必要である 4) 溶接機端子とケーブルの接続と出力側帰線の接地溶接機の接続端子部分や絶縁部が露出したままになっていると, 感電や金属が触れてショートし, 溶接機を焼損するおそれがあるので, 絶縁しなければならない 溶接機出力側回路は, ホルダ側と帰線側の2 本あるが, このうち, 帰線側は被溶接材や電気的に接続される金属部分で必ず直接接地しなければならない 接地しないと, 母材や定盤の対地電位が上昇して感電の危険がある また, 接地は必ず直接接地し, 建屋の鉄骨などに接続してはならない 5) 絶縁性のある手袋の使用アーク熱 スパッターなどによる火傷防止のため, 溶接用皮手袋を用いるが, 手袋には, シリコンなどで処理した絶縁性のあるものを用いることが望ましい 手が汗などで濡れると, 手袋が水気を帯びて絶縁性が低下するおそれがあるため皮手袋の下に軍手を用いるのは有効である 6) その他感電災害が発生した時は, みだりに本人に触れないようにし, 速やかにケーブルコネクタを抜く, 電源開閉器を開くなどの方法で被災者から電気を遮断することが重要である 電源を遮断した後は, 直ちに医師受診させる なお, 医師への連絡や, 受診までに時間がかかるときは人工呼吸などの処置を行う 20

道路橋における既製コンクリート杭の現場溶接継手作業要領 2012 年 ( 平成 24 年 )3 月第 1 版発行 発行所社団法人コンクリートパイル建設技術協会 ( 略称 :COPITA) 既製コンクリート杭の設計 施工技術について総合的に調査 研究等を実施している公益法人 ( 国土交通大臣許可 ) 105-0013 東京都港区浜松町 2 丁目 7 番 15 号 ( 日本工築 2 号館 3F) TEL: 03-5733-5881 FAX: 03-3433-5414 e-mail: copita_b@c-pile.or.jp URL: http://www.c-pile.or.jp 禁無断転載 転写 21

溶接施工記録表 平成 24 年 3 月 社団法人コンクリートパイル建設技術協会

溶接施工記録表 記録者氏名 : COPITA 溶接シート平成 24 年 3 月版 工事名 施工会社名 杭寸法 ( 外径 長さ ) φ L= m 本継 番号 ( 基礎 杭 継手 ) No 杭の下杭 + 中杭中杭 + 中杭中杭 + 上杭 施工条件 気象条件 継手条件 溶接条件 日 時 天 候 気 温 ( 5 ) 風 速 ( 10m/sec ) 開先の目違い ( 2mm ) ル ー ト 間 隔 ( 4mm ) 溶 接 方 法 溶 接 機 溶 接 材 料 溶 接 棒 又は ワ イ ヤ 電 流 電 圧 溶 接 部 温 度 ( 200 ) 溶 接 部 清 掃 状 況 溶 接 層 数 年 月 日 ( ) 時 分 ~ 時 分 晴 曇 雨 雪 m/s 以下 mm mm 半自動溶接 ( セルフ CO 2 ) 全自動溶接 手溶接 溶接ワイヤφ mm 溶接棒 φ mm A V 良好 不良 層 溶接作業 溶接技能者氏名資格の種類 記号溶接時間 分 検査結果 2 外観検査 スラグ スパッタ除去 わ 項 ピット アンダーカット オーバーラップ ビード不整 3 非破壊検査 ( 浸透探傷試験 ) 現場管理者 外部有資格者 目 れ 層区分 判定 補修内容 摘要 1 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 1 層目有 無 写 2 層目有 無 真 3 層目有 無 氏名氏名写写補修補修有 無有 無真真 摘要 1 : レ点チェック 2 : 必要事項を記載し各層を写真撮影 補修が生じた場合は事象を記載しその部位の補修前後を写真撮影 3 : 外部有資格者による浸透探傷試験は報告書提出