Article ID: NVSI-050110JP Created: 2005/10/19 Revised: - NetVault 仮想テープ ライブラリのパフォーマンス検証 : dothill SANnetⅡSATA 編 1. 検証の目的 ドットヒルシステムズ株式会社の SANnetll SATA は 安価な SATA ドライブを使用した大容量ストレージで ディスクへのバックアップを行う際の対象デバイスとして最適と言えます この製品と NetVault が持つ仮想テープ ライブラリの機能を組み合わせる事によって魅力的なバックアップ ソリューションが構築できます 本検証では SANnetll SATA に作成した仮想テープ ライブラリのバックアップ パフォーマンスを測定しました 2. 検証環境 FC HP ProLiant ML370 G4 Intel Xeon 3.06GHz 1GB memory Ultra320 36GB 10krpm x 3 dothill SANnetⅡSATA SATA 400GB 7200rpm Disk x12 表 2-1 ハードウェア構成 ( ディスクストレージシステム ) メーカー dothill 機種 SANnetll 200 SATA I/F FC 搭載ディスク SATA 400GB 7200rpm Disk x12 台 表 2-2 ハードウェア構成 [tm04rhel3] メーカー HP 機種 Proliant ML370 CPU Intel Xeon 3.06GHz メモリ 1024MB 内蔵ディスク容量 SCSI 36GB Disk x3 台 SCSI Card Compaq 64-bit/66MHz Wide Ultra 3 SCSI Adapter FC Card QLogic QLA2300 表 2-3 ソフトウェア構成ホスト OS Backup Software tm04rhel3 Red Hat Enterprise Linux ES3 Update5 Windows Server 2003 Standard Edition NetVault 7.1.1 R2004OCT27-CHIEF Page(s): 1/11
3. 検証方法 3.1 ターゲットデバイス 図 3-1 VTL 作成とバックアップイメージバックアップサーバ バックアップサーバ 内蔵ディスクバックアップ用データ 外部 RAID 装置仮想テープ ライブラリ 内蔵ディスクバックアップ用データ 内蔵ディスク仮想テープ ライブラリ (1) SANnetⅡ に VTL を作成 (2) 参考として 内蔵ディスクに VTL を作成 SANnetⅡSATA は 実用的な構成を想定して 12 本の SATA ハードディスクを RAID5 で構成し その LUN に仮想テープ ライブラリを作成しました 参考までに サーバの内蔵ディスクにも仮想テープ ライブラリを作成し測定しました 内蔵ディスクは バックアップ用データと仮想テープ ライブラリ用にそれぞれ 1 万回転 Wide Ultra320 ハードディスクを用意し I/O が競合しないように配慮しました NetVault の優れた機能の一つである VTL により ディスク ストレージへのバックアップを テープ ライブラリと同様の操作 手順にて検証することが可能です 図 3-2 VTL( 仮想テープ ライブラリ ) Page(s): 2/11
3.2 バックアップ対象データ データのファイルサイズによるバックアップ速度の違いを確認するために 種類の異なるデータを用意しました バックアップ対象となるデータは 内蔵ディスクに格納され 外部ストレージはあくまでバックアップ用途で使用した場合のパフォーマンスについて確認を行いました 表 3-1 対象データ [LARGE] 概要項目ディレクトリデータ容量アイテムカウント ( ファイル数とディレクトリ数の合計 ) 平均ファイルサイズデータ作成方法データ容量詳細表 3-2 対象データ [MEDIUM] 概要項目ディレクトリデータ容量アイテムカウント ( ファイル数とディレクトリ数の合計 ) 平均ファイルサイズデータ作成方法データ容量詳細表 3-3 対象データ [SMALL] 概要項目ディレクトリデータ容量アイテムカウント ( ファイル数とディレクトリ数の合計 ) 平均ファイルサイズデータ作成方法データ容量詳細 内容 /data/large 合計約 10GB 22 500MB 平均 500MB の iso イメージを 16 ファイル [root@tm04rhel3 data]# du -s -m./large 9796./LARGE 内容 /data/medium 合計約 10GB 51579 200KB 1ディレクトリ 110MB 490 ファイルの WAV ファイルを配置 それを合計 100 ディレクトリに拡張 [root@tm04rhel3 data]# du -s -m./medium 11307./MEDIUM 内容 /data/small 合計約 10GB 1000304 10KB 1ディレクトリ 118MB 10000 ファイルのテキストファイルを配置 それを合計 100 ディレクトリに拡張 [root@tm04rhel3 data]# du -s -m./small 11744./SMALL Page(s): 3/11
3.3 パフォーマンス チューニング NetVault では 各ドライブに対して [Media block size] によるメディア ブロック サイズの指定と [Amount of memory to assign to transfer buffers] による共有メモリ使用に関する設定が可能です パフォーマンス オプションの使用にあたっては事前に NetVault7.1.x アドミニストレーターズ ガイド を参照するようにしてください 本検証では 各チューニング項目を変更した際のパフォーマンスについて確認を行いました 図 3-3 メディア ブロック サイズの変更 図 3-4 共有メモリ サイズの変更 3.4 計測方法計測は Job Management から各ジョブの Job Monitor を参照し バックアップ終了後の数値を記録しました 図 3-5 Job Monitor からの確認 Page(s): 4/11
4. 検証結果 4.1 Linux バックアップ検証結果 SANnetⅡSATA と内蔵ディスク ( 参考 ) について それぞれブロック サイズと共有メモリの値を変更しながら 3 パターンのテストデータに関するバックアップ速度を計測しました グラフ 4-1 Linux ローカル バックアップの速度比較 ( サマリ ) OS Linux データ 内蔵ディスク SANNETII Test Data Shared Memory SMALL - SMALL - 32-257 MEDIUM - MEDIUM - 32-257 LARGE - LARGE - 32-257 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 表 4-1 Linux ローカル バックアップの詳細データ Block Size Shared Memory Test Data Average Peak Time Xfer 内蔵テ ィスク 32 257 SMALL 7794 9916 21:45 21:41 内蔵テ ィスク 256 8193 SMALL 8137 9728 20:50 20:47 内蔵テ ィスク 32 257 MEDIUM 19043 33328 9:57 9:52 内蔵テ ィスク 256 8193 MEDIUM 20501 31360 9:15 9:09 内蔵テ ィスク 32 257 LARGE 25138 52543 6:41 6:38 内蔵テ ィスク 256 8193 LARGE 27673 63367 6:10 6:02 SANNETII 32 257 SMALL 8234 9976 20:32 20:32 SANNETII 256 8193 SMALL 8308 9928 20:21 20:21 SANNETII 1024 32769 SMALL 8306 10240 20:22 20:21 SANNETII 32 257 MEDIUM 25485 34816 7:22 7:22 SANNETII 256 8193 MEDIUM 24582 32356 7:38 7:38 SANNETII 1024 32769 MEDIUM 26150 32256 7:11 7:10 SANNETII 32 257 LARGE 54759 62886 3:02 3:02 SANNETII 256 8193 LARGE 61716 68216 2:42 2:41 SANNETII 1024 32769 LARGE 63564 68608 2:37 2:37 Page(s): 5/11
グラフ 4-2 テストデータ別速度比較 SMALL Test Data 内蔵ディスク SANNETII MEDIUM LARGE SMALL MEDIUM Shared Memory ( LARGE 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 テストデータのサイズに着目して内蔵ディスクと SANnetⅡ を比較すると SMALL データのようにサイズの小さいファイルのバックアップを行う場合 システムからのファイル取得がボトルネックになり 内蔵ディスクとあまり差は見られませんが LARGE データのようにサイズが大きいファイルのバックアップを行う場合 ディスクの本来のパフォーマンスが発揮されることがわかります Page(s): 6/11
グラフ 4-3 パフォーマンス チューニングの効果 OS: Linux SMALL Test Data MEDIUM Shared Memory (K 1024-32769 32-257 LARGE 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 平均転送レートにおけるパフォーマンス チューニングの効果に着目すると SMALL データのようにサイズの小さいファイルのバックアップを行う場合 ブロック サイズ (32~1024K) や共有メモリ (257~32769KB) を変更してもパフォーマンスの向上は見られませんでしたが LARGE データのようにサイズが大きいファイルのバックアップを行う場合 ブロック サイズや共有メモリの設定を変更することでパフォーマンスの向上がされることがわかります 対象データによっては必ずしもブロック サイズを最大限に大きくすることが良いという訳ではなく 適切な値を設定する必要があります Page(s): 7/11
4.2 パラレル バックアップ検証結果 仮想テープ ライブラリを使用した場合には 複数の仮想ドライブによりパラレル バックアップが可能です Linux のバックアップ サーバ上の 2 台のドライブを使用し 2 つのバックアップジョブを同時に実行することによって トータルでの速度の向上が可能か確認しました データは LARGE を複数用意し ジョブを分けて実行しました グラフ 4-4 パラレル バックアップの速度比較 Test Data LARGE データ パラレル 1 パラレル 2 パラレル合計値シングル Shared Memory ( 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 表 4-2 Linux パラレル バックアップの詳細データ Block Size Shared Memory Test Data Average Peak Time Xfer シングル 256 8193 LARGE 61716 68216 2:42 2:41 パラレル合計 256 8193 LARGE 54443 60451 N/A N/A パラレル1 256 8193 LARGE 27223 60451 6:07 6:07 パラレル2 256 8193 LARGE 27170 56518 6:08 6:07 ( 注 : パラレル合計について AverageXfer はパラレル1とパラレル2の合算 PeakXfer はパラレル1 パラレル2の最大値としました) 1 台の仮想ドライブを使用した速度 (61716KB/s) の方が 2 台の仮想ドライブに分散して書き込みを行った場合 (27223+27170=54443KB/s) よりも早いことがわかります 今回の構成では データの転送先である SANnetⅡ のディスク構成が 12 本で 1 つの RAID5 ボリュームであり このような場合にはあえて分散せず単独のシーケンシャル I/0 の方が良いことが確認できます 物理的に I/O を分けるように複数の RAID ボリュームを構成し 複数の仮想テープ ライブラリを用意すれば 複数クライアントからのパラレル バックアップに有効であると推測されます Page(s): 8/11
4.3 Windows バックアップ サーバ検証結果 バックアップ サーバの OS が Linux である場合と Windows である場合のパフォーマンスの違いを確認するために 同一ハードウェア環境で OS を Windows に変更して検証を実施しました グラフ 4-5 Windows ローカル バックアップの速度比較 ( サマリ ) OS Windows データ 内蔵ディスク SANNETII Test Data Shared Memory SMALL - SMALL - 32-257 MEDIUM - MEDIUM - 32-257 LARGE - LARGE - 32-257 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000 100000 表 4-3 Windows ローカル バックアップの詳細データ Block Size Shared Memory Test Data Average Peak Time Xfer 内蔵テ ィスク 32 257 SMALL 5571 14032 32:53 32:53 内蔵テ ィスク 256 8193 SMALL 7541 18176 24:19 24:18 内蔵テ ィスク 32 257 MEDIUM 31680 41451 5:57 5:56 内蔵テ ィスク 256 8193 MEDIUM 31579 39168 5:58 5:58 内蔵テ ィスク 32 257 LARGE 39094 47838 4:26 4:25 内蔵テ ィスク 256 8193 LARGE 41975 49280 4:07 4:07 SANNETII 32 257 SMALL 6530 15472 28:03 28:03 SANNETII 256 8193 SMALL 7446 18304 24:37 24:37 SANNETII 32 257 MEDIUM 60189 67792 3:11 3:09 SANNETII 256 8193 MEDIUM 58871 64384 3:17 3:14 SANNETII 32 257 LARGE 74752 85984 2:14 2:14 SANNETII 256 8193 LARGE 68912 85888 2:25 2:25 Page(s): 9/11
グラフ 4-6 Linux と Windows の比較 Test Data LARGE Server データ 内蔵ディスク SANNETII Linux Windows Linux Windows Shared Memory ( 0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000 100000 表 4-1 表 4-3 より Linux と Windows のパフォーマンスを比較してみると Windows では内蔵ディスク SANnetⅡ とも Linux 以上のパフォーマンスという結果となりました Page(s): 10/11
5. まとめ 仮想テープ ライブラリを使用した際に最大で 68.60MB/sec という高速なバックアップを行えました 平均ファイル サイズが大きい場合 ブロック サイズおよび共有メモリをチューニングすることでパフォーマンスの向上が可能です 今回の環境では Linux と Windows において Windows で Linux 以上の性能が確認できました ディスクの構成によっては複数のジョブを並行してバックアップすることは 必ずしもパフォーマンスの向上をもたらすとは限らないことがわかりました 本資料のデータは 検証環境でのデータであり 環境によってはパフォーマンス等の値が異なる場合があります 以上 Page(s): 11/11