おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

Similar documents
事業事前評価表

02_インドネシア_市民警察_本文_再.indd


(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

<4D F736F F D E96914F955D89BF816A836E836D83438CF68BA48CF092CA89FC D E83672E646F63>

1. 事業の概要 メトロ ブカシ署 ブカシ県署 ジャカルタ ブカシ県 事業位置図 ( インドネシア ) 警察官による住民への巡回連絡 1.1 事業の背景インドネシアの治安維持は 過去 30 年余りにわたって国軍が担ってきたが 2000 年 8 月の国民協議会の決定により 警察軍が国軍から分離独立し

インドネシア共和国市民警察促進プロジェクト(フェーズ2)事前評価調査・実施協議報告書

事業事前評価表 国際協力機構社会基盤 平和構築部 運輸交通 情報通信グループ第二チーム 1. 案件名国名 : バングラデシュ人民共和国案件名 : 和名国際空港保安能力強化プロジェクト英名 The Project for Security Improvement of International Ai

インドネシア共和国市民警察促進プロジェクト(フェーズ2)事前評価調査・実施協議報告書

事業事前評価表_新様式

事業事前評価表 国際協力機構産業開発 公共政策部法 司法チーム 1. 案件名国名 : ブラジル連邦共和国案件名 : ( 和文 ) 地域警察活動普及プロジェクト ( 英文 )Project on Nationwide Dissemination of Community Policing 2. 事業の

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

第 3 章事業事前評価表 ( 技術協力プロジェクト ) 1. 案件名ブルキナファソ国学校運営委員会支援プロジェクト 2. 協力概要 (1) プロジェクト目標とアウトプットを中心とした概要の記述本プロジェクトは ブルキナファソ国内 2 州 ( 中央プラトー州 東部中央州 ) において 州 県 CEB

ジャカルタ大都市圏空港整備計画調査の必要性については JICA が 2008 年 1 月に実施した 次世代航空保安システム整備に係るフィージビリティー調査 でも提言がなされており 既存空港の拡張及び効率的運用を含めたジャカルタ首都圏周辺の適切な空港整備に係る長期的な計画を策定する必要性は高い インド


02_インドネシア_市民警察_本文_再.indd

2

事業事前評価表 国際協力機構農村開発部農業 農村開発第一グループ第二チーム 1. 案件名国名 : インドネシア共和国案件名 : 和名農業保険実施能力向上プロジェクト英名 The Project of Capacity Development for the Implementation of Agr

事業事前評価表_新様式

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

評価調査結果要約表 1. 案件概要 国名 : メキシコ合衆国案件名 : メキシコ国電子分野における研究 教育手法の開発分野 : 中小企業振興援助形態 : 技術プロジェクト所轄部署 : 中南米部中米 カリブチーム協力金額 ( 評価時点 ):20,375 千円協力期間 (R/D):2003 年 11 月

評価項目 評価ポイント 所管部局コメント 評価 国際交流に関する情報の収集及び提供事業国際交流活動への住民の参加促進事業国際理解推進事業在住外国人に対する相談事業在住外国人に対する支援事業 安定 確実な施設運営管理 公正公平な施設使用許可や地域に出向いた活動に取り組むなど新たな利用者の増加に努め 利

平成18年度標準調査票


プログラムの今後について ( 研修員受入 ) 年 7 月 31 日にブカシとバリのプロジェクト第 2 フェーズが終わるのを契機に その後プログラム全体をどうするか 次のカタチ を模索する作業が日本政府部内で始まっている 累計 10 名 1 集団研修 国際捜査セミナー分野 (1) 2 集

1. はじめに 本格的な地方分権の時代を迎え 市民に最も身近な地方自治体は 市民ニーズに応じた政策を自ら意志決定し それを自己責任の下に実行することがこれまで以上に求められており 地方自治体の果たすべき役割や地方自治体に寄せられる期待は ますます大きくなっています このような市民からの期待に応えるた

変更履歴 バージョン日時作成者 変更者変更箇所と変更理由 RIGHTS R ESER VED. Page 2

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

類似業務対象国 / 類似地域語学の種類 各種評価調査インドネシア / 全途上国英語 5. 条件等 (1) 参加資格のない社等 : なし (2) 必要予防接種 : なし 6. 業務の背景インドネシア政府は 食料安全保障や農家の所得向上を政策上の優先課題の一つとして位置付けており 2013 年 7 月に

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) JST 中間評価 1 の実施要領 平成 29 年 6 月改定 JST 国際部 SATREPS グループ 1. 地球規模課題国際科学技術協力 (SATREPS) プロジェクトの中間評価について SATREPS は JST による研究支援お

事業事前評価表 1. 案件名国名 : ラオス人民民主共和国案件名 : ルアンパバーン世界遺産の持続可能な管理保全能力向上プロジェクト Project for Capacity Enhancement for Sustainable World Heritage Management and Pres

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

平成23年9月29日WG後修正

01 【北海道】

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

Microsoft PowerPoint - M1001_1_ ppt [互換モード]

パラダイムシフトブック.indb

事業事前評価表

第1章 調査の概要

チェック式自己評価組織マネジメント分析シート カテゴリー 1 リーダーシップと意思決定 サブカテゴリー 1 事業所が目指していることの実現に向けて一丸となっている 事業所が目指していること ( 理念 ビジョン 基本方針など ) を明示している 事業所が目指していること ( 理念 基本方針

Microsoft Word - 事前評価表 (セット版).doc

事業事前評価表

目次 4. 組織 4.1 組織及びその状況の理解 利害関係者のニーズ 適用範囲 環境活動の仕組み 3 5. リーダーシップ 5.1 経営者の責務 環境方針 役割 責任及び権限 5 6. 計画 6.1 リスクへの取り組み 環境目標

めて整備され 文化大革命期の制度の断絶を経て 1980 年代に復活し 徐々に適用対象が拡大されてきた しかし 農村部は一貫して適用対象から外れ 1980 年代の後半に漸く農村部のみを対象にした養老保険制度が一部の豊かな農村を対象に開始された その後中国政府は農村部の養老保険制度の確立を重視してきた

大泉町手話言語条例逐条解説 前文 手話は 手指の動きや表情を使って視覚的に表現する言語であり ろう者が物事を考え 意思疎通を図り お互いの気持ちを理解しあうための大切な手段として受け継がれてきた しかし これまで手話が言語として認められてこなかったことや 手話を使用することができる環境が整えられてこ

< F2D91DE E8BE08B8B D8790CF97A78BE082CC>

SATREPS 公募説明会資料 2018 年 9 月独立行政法人国際協力機構 (JICA) 社会基盤 平和構築部国際科学技術協力室 1

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

DDL12Prnt001

< F2D E968BC681698E968CE3816A817A C8250>

5_【資料2】平成30年度津波防災教育実施業務の実施内容について

事業事前評価表

内部統制ガイドラインについて 資料

第3章 指導・監査等の実施

評価調査結果要約表

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

20 21 The Hachijuni Bank, LTD.

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

Ⅲ 目指すべき姿 特別支援教育推進の基本方針を受けて 小中学校 高等学校 特別支援学校などそれぞれの場面で 具体的な取組において目指すべき姿のイメージを示します 1 小中学校普通学級 1 小中学校普通学級の目指すべき姿 支援体制 多様な学びの場 特別支援教室の有効活用 1チームによる支援校内委員会を

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

untitled

平成21年度 指定管理業務評価シート(様式)

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

事業者名称 ( 事業者番号 ): 地域密着型特別養護老人ホームきいと ( ) 提供サービス名 : 地域密着型介護老人福祉施設 TEL 評価年月日 :H30 年 3 月 7 日 評価結果整理表 共通項目 Ⅰ 福祉サービスの基本方針と組織 1 理念 基本方針

<4D F736F F D E E96914F955D89BF82CC906982DF95FB2E646F63>

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ


3 4

-171-

政府開発援助大綱 平成 15 年 8 月 29 日 外務省経済協力局

J-SOX 自己点検評価プロセスの構築

IR 活動の実施状況 IR 活動を実施している企業は 96.6% 全回答企業 1,029 社のうち IR 活動を 実施している と回答した企業は 994 社 ( 全体の 96.6%) であり 4 年連続で実施比率は 95% を超えた IR 活動の体制 IR 専任者がいる企業は約 76% 専任者数は平

護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

は Blue Print for Air Transportation にて民間航空長期計画を作成 アクションプラン DGCA 5-Year Strategic Plan を作成した上 航空安全に係る総合的な対策の強化を図っており 本事業はこれに寄与するもので

看護部 : 教育理念 目標 目的 理念 看護部理念に基づき組織の中での自分の位置づけを明らかにし 主体的によりよい看護実践ができる看護職員を育成する 目標 看護職員の個々の学習ニーズを尊重し 専門職業人として成長 発達を支援するための教育環境を提供する 目的 1 看護専門職として 質の高いケアを提供

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

基本方針1 小・中学校で、子どもたちの学力を最大限に伸ばします

<4D F736F F D B28DB8955B817A81698EBF96E282CC82DD E7194C5816A90B68A888DA28B878ED28EA997A78E A C98C5782E992A193E08A4F82CC98418C6782C98AD682B782E992B28DB82E646F6378>

知創の杜 2016 vol.10

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

平成 31 年度 地域ケア会議開催計画 魚津市地域包括支援センター 平成 31 年 4 月

スライド 1

2 マンション管理業界の課題マンション管理業界の課題理事会理事会理事会理事会とのとのとのとのコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーション管理員管理員管理員管理員とのとのとのとのコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーションコミュニケーション学習学習学習学習 研磨研

11

目次 1. はじめに 1 (1) 基本方針策定の目的 1 (2) これまでの取組みと今後の取組み 1 (3) 街頭防犯カメラ と 施設監視カメラ 2 2. 設置に係る基本方針 3 (1) 設置場所 3 (2) 撮影範囲 4 (3) 設置していることの表示 4 (4) 設置地域の周知 4 (5) 地域

<4D F736F F D208DBB939C97DE8FEE95F18CB48D EA98EE58D7393AE8C7689E6816A2E646F63>

reference3

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

(Microsoft Word - \227v\216|\215\305\217I\222\361\217o\224\305.docx)

NICnet80

<4D F736F F D20352D318FBC8CCB8E738DC58F F5495AA90CD816A5F8F4390B38CE3816A2E646F63>

2008年6月XX日

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

平成18年度標準調査票

Transcription:

3. 事前評価調査表 事業事前評価表 ( 技術協力プロジェクト ) 担当部署 : 社会開発部第一グループガバナンス チーム 1. 案件名 : ( 和文 ) インドネシア国 市民警察活動促進プロジェクト( フェーズ2) ( 英文 )The Project on Enhancement of Civilian Police Activities (Phase 2) 2. 協力概要 (1) プロジェクト目標と成果を中心とした概要の記述本プロジェクトは メトロブカシ警察署およびブカシ県警察署 ( 以下 両ブカシ警察署 ) を拠点として 1 両ブカシ警察署幹部 ( 特に分署長 ) の業務管理能力の向上 2 現場での警察活動の機能改善 3 地域住民や地方行政機関との良好な関係の構築 および4 警察活動に関連した研修体制の整備を進めることにより 市民から信頼されるための 市民警察活動 の定着を目指す協力である (2) 協力期間 2007 年 8 月 1 日 ~2012 年 7 月 31 日 (5 年間 ) (3) 協力総額 ( 日本側 ) 約 7.8 億円 (4) 協力相手先機関インドネシア国家警察本部 ジャカルタ警視庁 両ブカシ警察署 (5) 国内協力機関警察庁 (6) 裨益対象者及び規模 等両ブカシ警察署で勤務する警察署員約 2,800 人 3. 協力の必要性 位置付け (1) 現状及び問題点インドネシア国の治安維持は これまで30 年余りにわたって国軍が担ってきたが 2000 年 8 月の国民協議会の決定により 警察軍が国軍から分離独立し 大統領直轄の国家警察へと移行した 分離独立後の国家警察にとって 国内治安を維持するとともに国内で多発する一般犯罪に対応して市民の安全を確保し 市民に信頼される市民警察としてのサービスを提供することが大きな課題となっている 現在 インドネシア国家警察では 市民の要望に対して迅速かつ誠実に対応し 市民からの基本的信頼を得ることを目指した 市民警察 の導入を進めている 我が国は2002 年 8 月より5 年間の協力で 前ブカシ警察署 ( 現メトロブカシ警察署 ) 1 を拠点とし 組織運営 ( 交番活動 ) 現場鑑識 通信指令といった分野を対象とする人材育成支援として 市民警察活動促進プロジェクト ( 以下 便宜的に フェーズ1 と記す) を実施してきた フェーズ1に 1 2004 年 10 月に前ブカシ警察署がメトロブカシ警察署およびブカシ県警察署に分割された

おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ センター ) が設置された 現場鑑識においては専門家からの実地訓練や本邦研修等を通じ 鑑識係員の技術能力向上が進んだ 鑑識係員は指導者としても成長しており 既に他の部署に対する技術指導に当たっているものもいる 通信指令については シミュレーション教育訓練や実践的実地教育訓練が行われ 無線を有効かつ効果的に活用することにより 初動捜査に関する報告 連絡 指示および両ブカシ警察署各部門間の連絡を効率的に行うための仕組みづくりが行われている このようにフェーズ1において各活動が試行され 一定の成果が発現しているが 両ブカシ警察署が引き続き市民警察活動推進における モデル警察署 となるためには 引き続き両ブカシ警察署の全体としての能力向上を図るとともにその経験や成功事例を抽出し 研修体制の整備 改善を進めていく必要がある ( 今後の課題については下記 7 参照のこと ) 本プロジェクトの構成としては モデル警察署 としての能力向上を目指す部分 ( 成果 1~ 3) と その経験や成功事例を抽出し 全国レベルでの研修体制へつないでいくことを目指す部分 ( 成果 4) に分けることができる (2) 相手国政府国家政策上の位置付けインドネシア政府が策定した 2004-2009 年度国家中期開発計画 において 治安 秩序の向上と犯罪対策 を推進していくこととしている この中には10の開発プログラムが設定されており 特に 警察人材開発プログラム では 国家警察人材の育成および国家警察の能力開発が掲げられ プロフェッショナルな警察組織を構築するために 質 量ともに十分な人材の開発を目指している また インドネシア国家警察長官決定通達 (SKEP/737/X/2005) として インドネシア国家警察の責務遂行におけるPOLMAS 2 モデルの運用に関する政策および戦略 ( 以下 POLMAS 通達 ) が策定され 警察官と地域社会とのパートナーシップの構築および地域社会の中で起こる様々な社会的問題の解決を進めていくこととしている (3) 我が国援助政策との関連 JICA 国別事業実施計画上の位置付け ( プログラムにおける位置付け ) 外務省の 対インドネシア国別援助計画 (2004 年 11 月 ) では 3つの重点分野の一つに 民主的で公正な社会造り を掲げており その中の ガバナンス改革 で示されている 警察改革 については より積極的な支援を行う旨示されている また 平成 18 年度版 JICA 国別事業実施計画には 8つのプログラムが明記されており そのうち本プロジェクトは ガバナンス改革支援プログラム に位置づけられている 4. 協力の枠組み 主な項目 2 POLMAS とは インドネシア版市民警察活動 といった意であり 本通達によれば地域社会の安全と秩序およびその住民の生活の平穏を脅かすそれぞれの社会的問題を解決する過程において警察と地域住民との間で対等なパートナーシップを構築することにより 犯罪そのものを減らすとともに犯罪への不安感を軽減させ 地域住民の生活の質の向上を目指した警察活動を指している

(1) 協力の目標 1 協力終了時の達成目標 ( プロジェクト目標 ) と指標 目標値 プロジェクト目標 モデル警察署である両ブカシ警察署において 市民から基本的信頼を得るための市民警察活動が強化される 指標 ブカシ住民および地方行政機関による両ブカシ警察署の警察活動に対する評価 市民警察活動に対する両ブカシ警察署員の意識の変化 2 協力終了後に達成が期待される目標 ( 上位目標 ) と指標 目標値 上位目標 インドネシア各地の警察署と警察署員により それぞれの地域特性に応じた適切な市民警察活動が展開されるための実効力のある仕組み 体制が確立される 指標 市民警察活動に関する適切な施策の進捗状況 (2) 成果 ( アウトプット ) と活動 1 成果 1 両ブカシ警察署幹部の業務管理能力が向上する 成果 1の指標 市民警察活動に向けた各種取組みの進度 適切な人員配置の進捗状況 活動 1 分署の適切な業務管理方法の策定 BKPMなどでの適切な警察活動規準の策定 両ブカシ警察署幹部を対象とした業務管理方法に係る教育訓練の実施 2 成果 2 両ブカシ警察署において 市民警察化に向けた現場 (BKPMなど) での警察活動の機能が改善される 成果 2の指標 現場鑑識臨場数および対照可能な指紋採取ができた件数 鑑識係員による高度な現場鑑識技術の習得およびその活用度 制服警察官による現場保存の技術レベル BKPMなどでの巡回連絡活動や相談受理などを含む各種取扱いの実施回数 両ブカシ警察署管内における無線連絡の頻度およびその内容 ( 特に重大事件 ) 現場で勤務する署員を対象にした教育訓練の実施回数 活動 2 BKPM 分署 警察署および州警察本部間の報告連絡体制の確立 警察活動にかかる各種教材 資料の作成 改定 教育訓練の実施 各種警察活動に係るモニタリングの実施 警察無線機器の維持 管理体制の確立 3 成果 3 地域住民や地方行政機関との良好な関係 ( パートナーシップ ) が構築される 3 インドネシア国家警察が POLMAS 通達 として制定した政策に沿い 市民警察活動を実践するために 我が国の協力経験および日本警察の知見を十分踏まえた包括的な支援を JICA 協力プログラム インドネシア国家警察改革支援プログラム を通じて実施している 当該プログラム内には 市民警察活動促進プロジェクト ( フェーズ 2) 国家警察長官アドバイザー POLMAS 活動強化専門家 バリ島 安心なまちづくりプロジェクト および 国別特設研修 : 警察行政セミナー が含まれている

成果 3の指標 広報 啓発活動の実施回数 FKPM( 警察 市民パートナーシップフォーラム ) 会合 参加型セミナー ワークショップなどの実施回数 活動 3 広報 参加型セミナーなどを含む情報発信に係る活動の実施 FKPM 会合などを介した地域防犯団体との協議の実施 4 成果 4 プログラム内の連携を図り 市民警察化に向けた警察活動に関連した研修体制が整備 改善される 成果 4の指標 研修参加者による研修内容の評価 技術指導者の活用度 活動 4 警察活動に関する研修計画の策定 研修教材 資料の作成 研修指導者の育成 活用 (3) 投入 ( インプット ) 1 日本側 ( 総額約 7.8 億円 ) 1) 長期専門家 : プロジェクト リーダー / 組織運営 現場警察活動 現場鑑識 業務調整 2) 短期専門家 : 総合現場鑑識 ( 指紋 写真 検視など ) 無線通信網整備 地域防犯など 3) 本邦研修 : 組織運営 現場警察活動 現場鑑識など 4) 機材供与 : 教育 訓練用教室資機材 通信指令関連資機材 鑑識資機材 現場警察活動に必要な資機材など 5) 在外事業強化費 : 世論調査費用 現地セミナーの開催 マニュアル作成など 2インドネシア国側 1) カウンターパートの人材配置プロジェクト ディレクター ( インドネシア国家警察本部計画開発担当次長 ) 副プロジェクト ディレクター ( ジャカルタ警視庁副総監 ) プロジェクト マネージャー ( メトロブカシ警察署署長 ブカシ県警察署署長 ) 各分野におけるカウンターパート 2) プロジェクト実施に必要な執務室および施設設備の提供 3) その他運営 経常費用 電気 水道などの運用費 プロジェクト実施に必要な資機材 (4) 外部要因 ( 満たされるべき外部条件 ) 1) 前提条件 インドネシア国政府から警察改革に対する理解 協力が得られる 2) プロジェクト目標達成のための外部条件 プロジェクトで習得した各署員の知識や技術が 両ブカシ警察署内で受け継がれる 3) 上位目標達成のための外部条件 JICA 協力プログラム インドネシア国家警察改革支援プログラム 3 が適切に機能する インドネシア国家警察およびジャカルタ警視庁が 本プロジェクトの成果を活用して市民警察活動に係る施策を策定する 4) 上位目標を継続するための外部条件 インドネシア国家警察の市民警察化に係る政策 方針が大幅に変更されない

5. 評価 5 項目による評価結果 (1) 妥当性本プロジェクトは 以下の理由から妥当性が高いと判断できる 上記 3の (2) 相手国政府国家政策上の位置付け で記載しているとおり 2004-2009 年度国家中期開発計画 内の 警察人材開発プログラム において 国家警察人材の育成および国家警察の能力開発が掲げられ プロフェッショナルな警察組織を構築することを目指している また POLMAS 通達 では 地域社会の安全と秩序およびその住民の生活の平穏を脅かすそれぞれの社会的問題を解決する過程において 警察官と地域住民との間で対等なパートナーシップを構築することにより 犯罪そのものを減らすとともに 犯罪への不安感を軽減させることが重要であると謳っている 本プロジェクトは 当該開発計画および通達が示す方向性 ニーズとの整合性がある 上記 3の (3) 我が国援助政策との関連 JICA 国別事業実施計画上の位置付け で説明しているとおり 本プロジェクトが目指すべき方向性は 外務省の 対インドネシア国別援助計画 および JICA 国別事業実施計画 の内容とも合致している (2) 有効性本プロジェクトは 以下の理由から高い有効性が見込まれる 複数の成果により相乗効果を生むことがプロジェクト目標であり それを達成するために 1 両ブカシ警察署幹部の業務管理能力の向上( 成果 1) 2 市民警察化に向けた現場警察活動の機能改善 ( 成果 2) 3 地域住民や地方行政機関との良好な関係の構築 ( 成果 3) および4 警察活動に関連した研修体制の整備 改善( 成果 4) の4つの成果項目が設定されている 1および2に関しては 両ブカシ警察署内の人材にかかる能力開発であり 3に関しては 両ブカシ警察署の外側にも目を向け ブカシ地域社会とのパートナーシップの構築を目指したものである このように 両ブカシ警察署内およびブカシ地域社会に対して両側面から協力を推し進めていくことにより インドネシア全国の モデル警察署 として役割を果たすことが期待される また 4では 上記 1から3で得られた モデル警察署 での経験や成功事例などを他地域で勤務する警察関係者と共有できるように 両ブカシ警察署内で研修体制を整備する このように 各成果が達成されることにより その相乗効果としてプロジェクト目標である モデル警察署である両ブカシ警察署での市民警察活動の強化 が達成されるデザインとなっている したがって 成果 1から4を効果的に組み合わせることにより 協力期間終了時にプロジェクト目標が達成される見込みは高い (3) 効率性本プロジェクトは 以下の理由から効率的な実施が見込まれる 現在実施されているフェーズ1では 市民警察活動の基礎を築き上げてきたため そこで培われた多くの経験や教訓を有効に活用するとともに 育成された人材や各分野で開発された教材を効果的に活用することにより 効率的な活動が期待される 国際移住機構(IOM) アジア財団 パートナーシップなどドナー間で類似した活動を重複させないために 他ドナーと十分なコミュニケーションを図り 適切な調整を行うことは効率性の面で極めて重要である プロジェクトの開始とともに ドナー間との連携および

コミュニケーションを的確に行えるような環境を整えていく必要がある (4) インパクト本プロジェクトの実施によるインパクトは 以下のように予測される 本プロジェクトは 市民警察活動の全国展開を視野に入れてデザインされている すなわち 成果 4で示すように 両ブカシ警察署での経験や成功事例を抽出し 全国レベルでの研修体制を整備することを目指し 両ブカシ警察署における技術指導者の育成や研修教材の開発を進める予定である このような取り組みを通じ インドネシア各地の警察署員に対して指導できるような体制が整備されれば 上位目標である 適切な市民警察活動を全国展開するための仕組みづくり の達成が期待できる 上位目標に至るための外部条件として インドネシア国家警察およびジャカルタ警視庁が 本プロジェクトの成果を活用して市民警察活動に係る施策を策定する が挙げられている インドネシア国家警察およびジャカルタ警視庁による自助努力に依存する部分が大きいが 2005 年に POLMAS 通達 が出され ジャカルタ警視庁をはじめ全国での展開が開始されており モデル警察署としての知見が生かされることが期待される (5) 自立発展性本プロジェクトの自立発展性は 以下のとおり期待される 妥当性でも述べているが 2004-2009 年度国家中期開発計画 および POLMAS 通達 の政策支援を受けることにより 本プロジェクトの実施期間中および協力期間終了後も インドネシア国側からの政策的な支援は見込まれる 本プロジェクトに対しては インドネシア国家警察幹部だけではなく 国会議員を含む多方面からの視察 見学者が多い このように 両ブカシ警察署関係者は 警察内外から注目を集めているという意識があるため プロジェクト活動に対する彼らのインセンティブにつながっている また 成果 4の活動では 市民警察活動に関連した研修を指導する技術指導者を育成し 且つ組織としての知見の蓄積を図っていくため (TOTの実施) プロジェクト終了後もこれらの指導者を中心とし 警察関係者への指導を行うことができる したがって プロジェクトに対する両ブカシ警察署のオーナーシップは高く プロジェクト活動の継続性は見込まれるであろう 成果 2の活動では 両ブカシ警察署において無線機器の維持 管理体制を確立することになっている 無線機器の維持 管理体制が構築されることにより 担当者が責任を持って無線機器の維持管理や消耗品の調達を遂行できるようになることを目指している 6. 貧困 ジェンダー 環境等への配慮フェーズ1においては 3か月間にわたる研修訓練を受けた15 名の女性警察官が 2005 年 12 月 22 日の 母の日 からインドネシア国初の女性警察官によるBKPMを正式に運用することになった また その機能を模倣した女性警察官だけの交番をインドネシア国側独自の努力で作り 既に運用が始まっている 本プロジェクトでも 引き続き女性警察官による交番活動の機能を高めるための支援を行い 女性がアクセスしやすい環境整備に配慮していく 7. 過去の類似案件からの教訓の活用本案件の前身であるフェーズ1 終了時評価調査で指摘されている主要事項は以下のとおり

(1) 分署の機能強化両ブカシ警察署の幹部および最前線で活躍するBKPMの署員に比べ 中間職に位置する分署での意識改革に遅れが見えている これは プロジェクトの活動が 両ブカシ警察署の幹部および直接市民と接触するBKPM 署員に重点がおかれた結果である インドネシアにおける一つの警察署の組織は極めて大きく 日本の小さな県警察本部ほどの規模があり 傘下に多くの分署を抱えている したがって 分署長の管理能力向上および鑑識技術等の現場活動にかかる分署員の能力向上は不可欠である (2) ブカシ県警察署の機能向上フェーズ1 実施期間中 パイロット サイトとして選定されたブカシ警察署が都市部を管轄するメトロブカシ警察署とそれ以外の地域を管轄するブカシ県警察署に分割されたことは プロジェクト活動に困難な課題をもたらした 両警察署に対して効果的な支援を継続するために 専門家の体制や運用などを工夫してプロジェクト活動を進めてきたものの 後発のブカシ県警察署における成果の達成度は 先発のメトロブカシ警察署と比べ 不十分な結果となっている したがって ブカシ県警察署において さらなる機能強化を進めていく必要がある (3) 報告連絡体制の整備 市民警察としての活動 とは 市民の要望に対する迅速( かつ誠実 ) な対応をすること であるため 報告連絡体制を整備することは必要不可欠である 電話以外の通報を受け付けるのは原則として分署である したがって どのような情報をどこまで報告するかについて 具体的な事例を検討することにより 通信指令のルールを構築することが求められている (4) 組織内での知識 技術の共有インドネシア側の警察組織内における人事異動は避け難い事象であるため 育成された人材が所属する部署や組織に対して 知識や技術を蓄積できるような環境を整備することが重要であり それが警察組織全体の能力強化につながっていくと思われる 8. 今後の評価計画 2010 年 1 月頃中間評価調査団派遣予定 2012 年 1 月頃終了時評価調査団派遣予定