平成28年度農林水産省補助事業『輸出用茶残留農薬検査事業』実施報告書

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平成 28 年度農林水産省補助事業 輸出用茶残留農薬検査事業 実施報告書 日本茶輸出促進協議会

はじめに日本茶輸出促進協議会は平成 28 年度農林水産省の補助事業として 輸出茶 ( 輸出予定茶を含む ) の残留農薬検査事業を行った 本事業を実施した結果を以下に報告する 検査結果を下記の項目について取りまとめた 1. 残留農薬検査を行った茶の概要 2. 検査方法及び結果の概要 3. 各国の残留農薬基準 (MRL) に対する残留値の概要 4. 考察 1. 残留農薬検査を行った茶の概要 (1) 検査茶の募集検査を行う茶は下記の内容で募集した その結果 応募のあった茶 ( 以下 出品茶と表記 )100 点について検査を行った 募集方法の概要 (1) 募集対象輸出用日本茶 ( 輸出予定を含む ) (2) 応募点数 100 点 (1 事業所 1 点 ) (3) 検査料無料 (4) 対象地区全国 (5) 募集期間平成 28 年 6 月 1 日より平成 28 年 7 月 20 日 (2) 出品者の都道府県 出品者の事業所所在地の都道府県は表 -1の通りであった 表 -1 出品者の都道府県 出品地 H28 年 H27 年 出品地 H28 年 H27 年 東京 1 0 静岡 52 60 神奈川 3 1 愛知 4 2 埼玉 1 2 三重 6 5 関東地区 5 3 中部地区 62 67 京都 6 6 福岡 3 6 滋賀 1 3 佐賀 6 1 大阪 1 2 長崎 2 0 奈良 4 1 宮崎 1 2 岡山 0 2 鹿児島 9 6 近畿地区 12 14 九州地区 21 15 平成 28 年度合計 100 平成 27 年度合計 99 1

静岡からの出品が半数を占めた 地域別では中部地区が最も多い 平成 27 年度に比較すると 中部地区でやや減少し 九州からの出品が増加した (3) 出品茶の茶種 出品茶を7 種類に分け その数量を表 -2に示した 表 -2 出品茶の茶種 茶 種 平成 28 年度 平成 27 年度 普通煎茶 52 33 深蒸し煎茶 21 24 抹茶 11 12 かぶせ茶 8 10 発酵茶 3 9 粉末緑茶 2 7 その他 3 4 茶種別では普通煎茶が最も多く53% を占め 次いで深蒸し煎茶が22% で この2 茶種で75% を占めた 順位は平成 27 年度と同じであったが 今年度はかぶせ茶 発酵茶 粉末緑茶が減り その分 普通煎茶が増加した 抹茶は平成 27 年度とほぼ同じであった (4) 出品茶の茶期 茶期別の出品茶数を表 -3に示した 表 -3 茶期別出品茶数 茶 期 平成 28 年度 平成 27 年度 一番茶 57 54 二番茶 24 22 三番茶 1 1 四番茶 1 3 合組 7 14 不明 10 5 茶期別では一番茶が57% で最も多く 次いで二番茶が24% で 一番茶と二番茶合わせると81% を占めた 平成 17 年度と比較すると 順位は変わらないが 四番茶 合組が減り その分 一番茶 二番茶が増えた 2

(5) 出品茶の輸出先 出品茶の輸出先 ( 輸出予定先を含む ) 別の茶数を表 -4と図-1 に示した 表 -4 出品茶の輸出先 輸出先 H28 H27 輸出先 H28 H27 アメリカ 39 30 イギリス * 1 E U 25(45) 33 ポーランド * 1 台湾 18 26 ブルガリア * 1 ドイツ * 10 カナダ 1 シンガポール 6 7 オーストラリア * 1 中国 6 ロシア 1 香港 5 9 フィリピン 1 タイ 4 4 ブラジル 1 イタリア * 3 UAE 1 フランス * 3 モンゴル 1 マレーシア 2 オマーン 1 インドネシア 2 不明 7 28 年 EU( ) ドイツ イタリア他 EU 加盟校国 * 印国含む 図 -1 輸出先別出品茶数 アメリカ EU 台湾ドイツシンガポール中国香港タイイタリアフランスその他 0 5 10 15 20 25 30 35 40 45 輸出先は 複数回答を含め19カ国あり 特に アメリカ向けとヨーロッパ (EU ドイツ フランス イタリア等 ) 向けが最も多く 次いで台湾向けが多かった 平成 27 年度と同様にアメリカ ヨーロッパ 台湾が主要な輸出先で 大きな変化はなかった 3

2. 検査方法及び結果の概要 (1) 検査方法検査は下記の分析機関と方法により実施した 1 検査機関ユーロフィン フードアンドプロダクト テスティング株式会社 2 分析方法下記の2 法により検査を行った 検査項目には農薬および農薬分解物を含む LC-MS/MSによる分析検査項目数 273 項目 GC-MS/MSによる分析検査項目数 248 項目 (2) 出品茶個々から検出された農薬の数 出品茶個々の残留農薬数の分布を知るため 各々から検出された農薬数を取りまとめ その結果を表 -5に示した 表 -5 検出された農薬数別茶数 検出された農薬数 (A) 茶数 (N) 検出件数 (A N) 0 14 0 1 13 13 2 18 36 3 13 39 4 10 40 5 8 40 6 5 30 7 5 35 8 2 16 9 2 18 10 2 20 11 2 22 12 2 24 15 1 15 16 2 32 21 1 21 計 100 401 4

茶 1 点当たりの平均検出数は4 個 (401 100) であるが 農薬が全く検出されなかった出品茶が14 点ある一方 21 個検出された茶もあった 平均検出数 4 個に対して分布は検出数の少ない方への偏りがあった 検出数が2 個以下の茶は全体の45% を占め 3 個以下では58% を占めることから 出品茶は検出数の少ない茶が大部分で それに検出数が多い茶が少数混在していると推察された このような偏りは残留値でも存在すると考えられた 従って平均値と同時に分布の状態を確認する必要があった (3) 検出された農薬の種類と検出件数検出された農薬の種類とそれぞれの検出数 平均残留値を表 -6に示した 参考に平成 27 年度の検出数を付記した 表 -6 検出された農薬の種類と平均残留値 検出数 No. 農薬の種類商品名用途 平均残留値 検出茶数 H27 年度 1 クロルフェナピルコテツ殺虫 0.109 54 76 2 クロラントラニリプロールサムコル殺虫 0.097 31 18 3 フルベンジアミドフェニックス殺虫 0.080 30 19 4 ジノテフランスタークル殺虫 0.802 28 13 5 テブコナゾールオンリーワン殺菌 0.594 25 33 6 クロチアニジンダントツ水和殺虫 0.144 23 35 7 トルフェンピラドハチハチ乳殺虫 0.204 17 14 8 ルフェヌロンマッチ乳殺虫 0.125 17 20 9 ピリミホスメチルアクテリック乳殺虫 0.037 16 18 10 フェンブコナゾールインダー F 殺菌 0.119 15 12 11 フルフェノクスロンカスケード乳殺虫 0.419 14 24 12 フロニカミドウララ殺虫 0.400 13 26 13 イミダクロプリドアドマイヤー殺虫 0.025 12 14 14 チアメトキサムアクタラ殺虫 0.105 12 10 15 スピロメシフェンダニゲッター殺虫 0.056 8 8 16 チアクロプリドバリアード殺虫 0.351 8 8 17 メトキシフェノジドファルコン乳殺虫 0.302 7 10 18 エトキサゾールバロック F 殺虫 0.021 7 19 カルベンダジム (MBC) ベンレートトップジン M 殺菌 0.075 7 20 ジフェノコナゾールスコア顆粒水殺菌 0.057 7 5

No. 農薬の種類商品名用途 平均残留値 21 フェンプロパトリンロディー乳殺虫 0.022 6 検出茶数 H27 年度 22 シラフルオフェン MR ジョーカー水 殺虫 0.063 6 23 アセタミプリド モスピラン水 殺虫 0.258 5 24 フルアジナム フロンサイド水和 殺菌 0.028 3 4 25 ブプロフェジン アプロード水 殺虫 0.096 3 26 エチプロール キラップ乳 殺虫 0.079 3 27 ピリフルキナゾン コルト顆粒水 殺虫 0.023 3 28 シメコナゾール サンリット水 殺虫 0.087 2 29 テフルベンズロン ノーモルト乳 殺虫 0.037 2 30 アゾキシストロビン アミスター F 殺菌 0.029 2 31 ピリダベン サアンマイト F 殺虫 0.065 2 32 プロパルギット オマイト 殺虫 0.024 1 33 テトラジホン テデオン乳 殺虫 0.015 1 34 プロチオホス トクチオン乳 殺虫 0.035 1 35 テフルトリン フォース粒 殺虫 0.015 1 36 テブフェノジド ロンダム F 殺虫 0.087 1 37 トリフルミゾール トリフミン水 殺菌 0.020 1 38 クレソキシムメチル ストロビー 殺菌 0.025 1 39 スピノサド スピノエース 殺菌 0.030 1 40 メチダチオン (DMTP) スプラサイド乳 殺虫 0.017 1 41 クロルフルアズロン アタブロン乳 殺虫 0.027 1 42 ピリミジフェン マイトクリーン水 殺虫 0.270 1 43 クロロタロニル (TPN) ダコニール 殺菌 0.010 1 44 シエノピラフェン スターマイト F 殺虫 0.029 1 合計 401 362 検出された農薬の種類は44 種類で 平成 27 年度の18 種類に比べ約 2.5 倍に増加した 平成 27 年度検出された18 種類は今年度も検出ていることから 今年度使用した農薬は平成 27 年度と大きく変わっていないと推察された なお 昨年と比較し クロルフェナピルの検出数が減少し クロラントラニリプロール フルベンジアミド ジノテフランなどの検出が増加したことから 使用品目が分散化した可能性がある 農薬の種類が増えた理由としては 新たに使用した農薬の種類が増えた事が考えられるが 新たに検出された農薬は検出数が少なく 残留値も低い事から分析の検出感度が向上したことも考えられる 検出件数は401 件で 平成 27 年度の362 件に比べ約 10% 増加した 6

(4) 農薬種類別の残留値検出された401 件全ての残留値を農薬の種類毎に分類し平均値を図 -2 に示した No.4( ジノテフラン ) と No.5( テブコナゾール ) は約 6mg/kg の極めて高い残留値が検出された 次いで No.11( フルフェノクスロン ) 及び No.12( フルニカミド ) でも約 2mg/kg の高い残留値が検出された 残留値 mg/kg 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 図 -2 農薬の種類別平均残留値 0.2 0.1 農薬の種類 0 平均残留値が最も高かったのは No.4ジノテフランの 0.802mg/kg で 最も低かったのは No.43クロロタロニルの 0.010mg/kg であった No.5テブコナゾール No.11フルフェノクスロン No.12フロニカミド No.16チアクロプリド No.17メトキシフェノジド No.23アセタミプリドの平均残留値は比較的高かった これらの高い平均残留値が分布の偏りによる可能性が有る事から1mg/kg を超える残留値を摘出し表 -7に示した No. 農薬の種類 表 -7 残留値が 1mg/kg を超えた農薬の種類と残留値 検出数 (A) 1mg/kg を超える残留値 (mg/kg) 1mg/kg 超える残留値数 (B) B/A (%) 1 クロルフェナピル 54 1.2 1 2 4 ジノテフラン 28 2.6 3.8 5.2 6.4 4 14 5 テブコナゾール 25 1.1 1.4 2.4 5.8 4 16 11 フルフェノクスロン 14 1.7 1 7 12 フルニカミド 13 1.1 1.6 2 15 検出件数合計 134 合計 12 7

残留値が1mg/kg を超える残留値は12 件で 全検出数 401 件の3% に相当した 残留値の高さは1mg/kg 台が6 件で半数を占めた 2mg/kg 以上はジノテフランの4 件全てとテブコナゾールの4 件中 2 件であった 特に5 6mg/kg の3 件は異常に高い残留値であった 少数の高い残留値による平均値への影響が考えられるため これらの1mg/kg を超える残留値を除いた場合の平均残留値を図 -3 に示した 0.9 残留値 mg/kg 図 -3 農薬の種類別平均残留値 (1mg/kg 以上を除外 ) 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 農薬の種類 0 1mg/kg を超える残留値を除外した場合 特に No.4ジノテフラン No.5テブコナゾールの平均残留値は大幅に低下する 一方 No.11フルフェノクスロン No,12フロニカミドは1mg/kg 以上の残留値を除外しても 他の残留値が高いため 平均値の低下は小さい この結果から平均的には No.11 12 16 チアクリプリド 17 メトキシフェノジドの残留値が高く No.4 5はそれらの農薬より低いものと考えられる 8

(5) 茶種別の残留値検出された401 件全ての残留値を茶種毎に分類し 茶種別の検出数 茶 1 点当たりの平均検出数 平均残留値を表 -8に示した 表 -8 茶種別検出農薬と残留値 茶種 普通煎茶 深蒸し煎茶 抹茶 かぶせ茶 紅茶粉末茶その他 茶数 52 21 11 8 3 2 3 検出数 165 109 70 27 10 10 10 平均検出数 3.1 5.2 6.4 3.9 3.3 5.0 3.3 平均残留値 0.149 0.147 0.447 0.307 0.093 0.287 0.101 普通煎茶 深蒸し煎茶 抹茶 かぶせ茶で1mg/kg を超える残留値が検出された 茶 1 点当たりの平均検出数は抹茶が6.4 個で最も多く 次いで深蒸し煎茶 粉末茶が5 個 その他は3 4 個であった 平均残留値は抹茶とかぶせ茶が高く 普通煎茶 深蒸し煎茶の2 3 倍であった 残留値の偏りが平均残留値に影響する事から 1mg/kg を超す残留値 12 件の詳細を表 -9 に示した No. 農薬の種類 表 -9 茶種別の 1mg/kg を超えた茶種と残留値 普通煎茶 深蒸し煎茶 抹茶 1 クロルフェナピル 1.2 かぶせ茶 4 ジノテフラン 3.8 2.6 6.4 5.2 5 テブコナゾール 2.4 1.1 1.4 5.8 11 フルフェノクスロン 1.7 12 フルニカミド 1.1 1.6 検出件数合計 1 2 8 1 1mg/kg を超える残留値 12 件中 8 件が抹茶から検出された また 5 6mg/kg の極めて高い残留値は抹茶とかぶせ茶から検出された 各々の茶種の検出数に対し これらの 1mg/kg を超す残留値の割合は 抹茶で11% かぶせ茶では3% であった 図 -4 に平均残留値と1mg/kg を超す残留値を除いた場合の平均残留値を示した 茶種に (-) を付したものは1mg/kg を超える残留値を除外した場合の平均残留値である 9

残留値 mg/kg 0.5 0.45 0.4 0.35 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0 図 -4 茶種別の平均残留値 この結果から 1mg/kg を超える残留値を除くと茶種による残留値の差は殆どなく 抹茶とかぶせ茶には特異的に極めて高い残留値が混在している為平均残留値が高かったと推測される このような極めて高い残留値が発生する原因は 抹茶 かぶせ茶で検出されたこと また 特に抹茶での発生件数が高い事から 栽培中の遮光により 農薬の光分解が抑えられた可能性が高い (6) 茶期別の残留値 検出された401 件全ての残留値を茶期毎に分類し 平均残留値を表 -10に示した 表 -10 茶期別検出農薬と残留値 茶期 一番茶 二番茶 三 四番茶 合組 不明 茶数 57 24 2 7 10 検出数 155 112 12 43 79 平均検出数 2.7 4.7 6.0 6.1 7.9 平均残留値 0.113 0.280 0.392 0.344 0.179 全ての茶期から1mg/kg を超える残留値が検出された 平均検出数は一番茶が2.7 件と最も少なく 二番茶では約 5 件となり 茶期が遅くなるにつれ検出数が増加する傾向にあった 三番茶 四番茶は各 1 点の結果であり 考察は難しいが この傾向に合っていると思われる 一番茶の検出数が他に比べて少ないのは 摘採時期までは農薬を使用する機会が少ないことによると考えられる 同様の理由から 一番 10

茶の平均残留値が約 0.1mg/kg で最も低く 他はその2 3 倍であった 残留値の偏りが平均残留値に影響する事から 1mg/kg を超す残留値 12 件の詳細を表 -1 1に示した 表 -11 茶期別の1mg/kg を超えた農薬の種類と残留値 No. 農薬の種類 一番茶 二番茶 三 四番茶 合組 不明 1 クロルフェナピル 1.2 4 ジノテフラン 2.6 3.8 5.2 6.4 5 テブコナゾール 5.8 2.4 1.1 1.4 11 フルフェノクスロン 1.7 12 フルニカミド 1.1 1.6 検出件数合計 1 5 1 2 3 1mg/kg を超える残留値の12 件中 5 件が二番茶から検出された また 5 6mg/kg の極めて高い残留値は二番茶 合組から検出された 1mg/kg を超す残留値の割合は 一番茶で1% 以下 二番茶で約 5% 最も高い割合は茶数が少ない関係もあり 三 四番茶で約 8% である 図 -5に平均残留値と1mg/kg を超す残留値を除いた場合の平均残留値を示した 茶期に (-) を付したものは1mg/kg を超える残留値を除外した場合の平均残留値である 残留値 mg/kg 0.45 0.4 0.35 0.3 0.25 0.2 0.15 0.1 0.05 0 図 -5 茶期別の平均残留値 その結果 1mg/kg を超える残留値を除くと全体的に平均残留値は小さくなる 平均残留値は一番茶が最も小さく 茶期が遅くなるほど高くなる傾向は変わらない 合組は殆どが 1 番茶と二番茶で この傾向と合致していると考えられる 11

日本Codexロシア米国EUSNGP台湾3. 各国の農薬残留基準 (MRL) の基準値と残留値の概要検出された44 種類の農薬 401 件の残留値を各国のMRLの基準値と照合し 残留値が基準値以下の場合は 合格 基準値を超えている場合は 不合格 と表現した また Codex EUは国名ではないがこれらの基準を採用している国という意味で各国のMRLと表現した (1) 各国 MRLの基準値と残留値 44 種の農薬に対する各国 MRLの基準値を表 -12にまとめた 各国の基準値で最も低い基準値に二重下線を付した 表下部には各国 MRLの基準値の設定数とそれに対応する検出数を表示した 最下欄に各国のMRLに対する合格茶数を示した 表 -12 各国の農薬残留基準値 N o 農薬成分名 基準値 香港1 クロルフェナピル 40-0.01 50 - - - 2 2 クロラントラニリプロール 50-50 0.02 - - - 2 3 フルベンジアミド 50 50-0.02 50-50 - 4 ジノテフラン 25-50 - 25 - - 10 5 テブコナゾール 50 - - 0.05 25 - - 10 6 クロチアニジン 50 0.7 70 0.7 0.7-0.7 5 7 トルフェンピラド 20 30 30 - - - 30 10 8 ルフェヌロン 10 - - 0.02 - - - 5 9 ピリミホスメチル 10 - - 0.05 10 0.5-0.05 10 フェンブコナゾール 10 - - 0.05 10 - - 5 11 フルフェノクスロン 15 - - 15 15 - - 15 12 フロニカミド 40 - - 0.05 - - - 5 13 イミダクロプリド 10 - - 0.05 - - - 3 14 チアメトキサム 20 20 20 20 20-20 0.1 15 スピロメシフェン 30-40 50 30 - - - 16 チアクロプリド 30 - - 10 30 - - 0.1 17 メトキシフェノジド 20 - - 0.05 20 - - 10 18 エトキサゾール 15-15 15 15 - - 5 19 カルベンダジム 10 - - 0.1 - - - 1 20 ジフェノコナゾール 10 - - 0.05 - - - 5 21 フェンプロパトリン 2.5-2 2 2 - - 10 12

日本Codexロシア米国EUSNGP台湾N o 農薬成分名 基準値 香港22 シラフルオフェン 80 - - - - - - - 23 アセタミプリド 30-50 0.05 - - - 2 24 フルアジナム 5 - - 0.05 5 - - 5 25 ブプロフェジン 30 30 20 0.05 10-30 1 26 エチプロール 10-30 - - - - - 27 ピリフルキナゾン 20 - - - - - - 2 28 シメコナゾール 10 - - - - - - - 29 テフルベンズロン 20 - - 0.05 20 - - 5 30 アゾキシストロビン 10-20 0.1 10 - - 5 31 ピリダベン 10 - - 0.05 - - - 5 32 プロパルギット 5-10 5 5 - - 2 33 テトラジホン 1 - 不可 0.05 - - - 不可 34 プロチオホス 5 - - - - - - - 35 テフルトリン 0.2 - - 0.05 - - - - 36 テブフェノジド 25 - - 0.1 25 - - 0.05 37 トリフルミゾール 15-0.1 - - - - 5 38 クレソキシムメチル 15 - - 0.1 20 - - 10 39 スピノサド 2-0.02 0.05 - - - 1 40 メチダチオン (DMTP) 1 - 不可 0.1 - - - 0.5 41 クロルフルアズロン 10 - - - - - - 5 42 ピリミジフェン 5 - - - - - - 1 43 クロロタロニル (TPN) 10 - - 0.1 - - - 2 44 シエノピラフェン 60 - - - - - - - 基準値設定数 (P) 44 5 16 33 20 1 5 35 基準値設定率 P/44(%) 100 11 43 75 45 2 11 80 残留検出数 (M) 401 85 204 337 212 16 85 349 基準値以下 (N) 401 85 152 233 212 16 85 337 合格率 N/M(%) 100 100 75 69 100 100 100 97 出品茶 100 点のうち合格茶数 100 100 49 56 100 100 100 88 基準値 :mg/kg 不可 : 使用不可 SNGP: シンガポール 13

アメリカ EU 台湾基準値検出数合格数合格数合格数基準値基準値不合格数不合格数不合格数各国の基準値の設定数を比較すると 日本は全てに基準値があり 次いでEU 台湾が約 30 農薬 アメリカ 香港は約 20 農薬に基準値がある Codex ロシア シンガポールは設定数が極めて少ないが ポジティブリスト制を採用している国では基準値が設定されていない農薬に対して一律基準を適用する場合が多い 基準値のレベルについては 日本の基準値は概して高いが EUは他よりも低い基準値が多く 台湾 アメリカも少数ではあるが低い基準値を設定している 各国の基準値に対応する検出件数は 全ての農薬に基準値を設定している日本は401 件 EU 台湾は約 340 350 件 アメリカ 香港は約 200 件強である これらの検出件数の合格率は 台湾が97% アメリカは75% EUは69% で これ以外の国で1 00% であった 出品茶 100 点の個々について 不合格が全くない茶を合格とした アメリカ EU 台湾以外は全残留値が合格なので 茶種 茶期に関わらず出品茶 100 品は全て合格となる 一方 アメリカ EU 台湾では不合格があるため 合格の茶数はそれぞれ49 56 88となった そこで アメリカ EU 台湾の合否の詳細を見るため 農薬の種類別の合格 不合格数の詳細を表 -13に示した 表 -13 アメリカ EU 台湾の基準に対する農薬成分別合格数 N o. 農薬成分名 1 クロルフェナピル 54 0.01 5 49 50 54 0 2 54 0 2 クロラントラニリプロール 31 50 31 0 0.02 15 16 2 31 0 3 フルベンジアミド 30 0.02 18 12 4 ジノテフラン 28 50 28 0 10 28 0 5 テブコナゾール 25 0.05 9 16 10 25 0 6 クロチアニジン 23 70 23 0 0.7 23 0 5 23 0 7 トルフェンピラド 17 30 17 0 10 17 0 8 ルフェヌロン 17 0.02 2 15 5 17 0 9 ピリミホスメチル 16 0.05 13 3 0.05 13 3 10 フェンブコナゾール 15 0.05 7 8 5 15 0 11 フルフェノクスロン 14 15 14 0 15 14 0 12 フロニカミド 13 0.05 0 13 5 13 0 13 イミダクロプリド 12 0.05 10 2 3 12 0 14

アメリカ EU 台湾基準値検出数合格数合格数合格数基準値基準値不合格数不合格数不合格数N o. 農薬成分名 14 チアメトキサム 12 20 12 0 20 12 0 0.1 12 0 15 スピロメシフェン 8 40 8 0 50 8 0 16 チアクロプリド 8 10 8 0 0.1 1 7 17 メトキシフェノジド 7 0.05 3 4 10 7 0 18 エトキサゾール 7 15 7 0 15 7 0 5 7 0 19 カルベンダジム 7 0.1 5 2 1 7 0 20 ジフェノコナゾール 7 0.05 3 4 5 7 0 21 フェンプロパトリン 6 2 6 0 2 6 0 10 6 0 22 シラフルオフェン 6 23 アセタミプリド 5 50 5 0 0.05 1 4 2 5 0 24 フルアジナム 3 0.05 3 0 5 3 0 25 ブプロフェジン 3 20 3 0 0.05 0 3 1 3 0 26 エチプロール 3 30 3 0 27 ピリフルキナゾン 3 2 3 0 28 シメコナゾール 2 29 テフルベンズロン 2 0.05 2 0 5 2 0 30 アゾキシストロビン 2 20 2 0 0.1 2 0 5 2 0 31 ピリダベン 2 0.05 0 2 5 2 0 32 プロパルギット 1 10 1 0 5 1 0 2 1 0 33 テトラジホン 1 不可 0 1 0.05 1 0 不可 0 1 34 プロチオホス 1 35 テフルトリン 1 005 1 0 36 テブフェノジド 1 0.1 1 0 0.05 0 1 37 トリフルミゾール 1 0.1 1 0 5 1 0 38 クレソキシムメチル 1 0.1 1 0 10 1 0 39 スピノサド 1 0.02 0 1 0.05 1 0 1 1 0 40 メチダチオン (DMTP) 1 不可 0 1 0.1 1 0 0.5 1 0 41 クロルフルアズロン 1 5 1 0 42 ピリミジフェン 1 1 1 0 43 クロロタロニル (TPN) 1 0.1 1 0 2 1 0 44 シエノピラフェン 1 15

アメリカ EU 台湾基準値検出数合格数合格数合格数基準値基準値不合格数不合格数不合格数N o. 農薬成分名 合計 401 152 52 233 104 337 12 合格率 (%) 75 69 97 注 ) 基準値 :mg/kg 不可 : 検出不可 アメリカの基準値を超過した52 件のうち 49 件はクロルフェナピル (28 年 2 月 IT 申請済み ) で発生しており これは他の国の農薬残留基準に比べ 基準値が一律基準並みに設定されていることに起因している EUでは全般的に基準値が低く設定されているため 基準値超過の発生は104 件と多い しかし クロラントラニリプロール フルベンジアミドなどは基準値が低い割には約半数が合格である これは残留値が基準値レベル付近で大きく振れているためで 薬剤の使用濃度 散布後の経時的減衰速度など薬剤の特性によると考えられる台湾では44 農薬のうち 80% に基準値が設定され 基準値を超す残留値は12 件で少ない 基準値のレベルはEUに比べ全般的に高いが チアクロプリドの基準値はEUの 1/100 である チアクロプリドは8 件中の7 件が不合格で 残留実態と基準値の格差が大きい 16

基準値日本茶数Codex香港米国EUロシアSNGP台湾基準値日本茶数Codex香港米国EUロシアSNGP台湾(2) 各国の MRL 基準値に対する合格の茶数各国の残留基準により出品茶 100 点の個々の合否を判定し 不合格が全くない茶を合格とした その結果を出品茶全体 茶種別 茶期別に分類し 表 -14 に示した 表 -14 各国の農薬残留基準に対する合格茶数 出品茶 100 点 茶 農薬残留基準合格茶数及び合格率 (%) 全出品茶 100 100 49 56 100 100 100 88 100 合格茶率 (%) 100 100 49 56 100 100 100 88 茶種別 茶 農薬残留基準合格茶数及び合格率 (%) 普通煎茶深蒸煎茶抹茶かぶせ茶紅茶粉末茶その他 52 52 27 33 52 52 52 44 52 合格茶率 (%) 100 100 52 63 100 100 100 85 21 21 6 13 21 21 21 21 21 合格茶率 (%) 100 100 29 62 100 100 100 100 11 11 7 3 11 11 11 9 11 合格茶率 (%) 100 100 64 27 100 100 100 82 8 8 6 4 8 8 8 7 8 合格茶率 (%) 100 100 75 50 100 100 100 88 3 3 0 1 3 3 3 3 3 合格茶率 (%) 100 100 0 33 100 100 100 100 2 2 2 1 2 2 2 2 2 合格茶率 (%) 100 100 100 50 100 100 100 100 3 3 0 1 3 3 3 2 3 合格茶率 (%) 100 100 0 33 100 100 100 67 17

基準値日本茶数Codex香港米国EUロシアSNGP台湾茶期別の合格茶数 茶 農薬残留基準合格茶数及び合格率 (%) 一番茶二番茶三 四番茶合組不明 57 57 29 43 57 57 57 49 57 合格茶率 (%) 100 100 51 75 100 100 100 86 24 24 15 8 24 24 24 24 24 合格茶率 (%) 100 100 63 33 100 100 100 100 2 2 1 1 2 2 2 2 2 合格茶率 (%) 100 100 50 50 100 100 100 100 7 7 2 1 7 7 7 5 7 合格茶率 (%) 100 100 29 14 100 100 100 71 10 10 2 3 10 10 10 8 10 合格茶率 (%) 100 100 20 30 100 100 100 80 SNGP: シンガポール アメリカの合格茶率が低い原因はクロルフェナピルの不合格によるものである 全体の不合格 52 件のうち49 件がクロルフェナピルであり しかもクロルフェナピルの検出数 54 件のうち合格は5 件に過ぎない この影響で茶種 茶期に関わらず不合格の茶が多く発生した クロルフェナピルの不合格の主因は一律基準並みの基準値が設定されているためである このクロルフェナピルの問題が解決されれば茶種 茶期を含めた全体の合格茶率はほほ100% に向上する EUでは基準値が0.02 又は0.05mg/kg に設定されている農薬が多い そのために全体的に合格率は低い しかし 厳しい基準値が設定されている農薬でも クロラントラニリプロール フルベンジアミドの様に合格と不合格が半数程度の農薬と フロニカミド ルフェヌロン テブコナゾールの様に不合格が圧倒的に多い農薬があり 全体的に基準値が厳しい割に合格率は低くない 全体の合格の茶数はアメリカより多い 台湾は基準値が全般的に高く合格率は高い 不合格が発生する状況はアメリカのクロルフェナピルと同じである 台湾の場合はチアクロプリドの基準値が他の国に比べて低い事と 全般的に残留値が高く 7 件が不合格のためである この問題が解されれば全体の合格茶率は88% から95% に上がる 茶種あるいは茶期の合格茶率はクロルフェナピル チアクロプリド フロニカミド ルフェヌロンなどの不合格率が高い農薬がどの茶種 茶期で検出されるかで決まる 18

(3) 各国の MRL 基準値に一律基準を追加適用した場合の合格の茶数日本のMRLでは検出された44 農薬全てに基準値が設定されているが 他の国のMR Lでは基準値が設定されていない農薬がある ポジティブリスト制を採用している国では 基準値のない農薬には一律基準が適用されることが多い 実際の茶の輸出を想定して 基準値の設定がない農薬には0.01mg/kg の一律基準を適用して合格の茶数を出した これは表 -12の基準値表で - 表示の欄に0.01mg/kg を入れたことに相当する 各国のMRLに一律基準を追加適用し 出品茶 100 点の個々の合否を判定し 出品茶 100 点の結果を図 -6 にグラフで示した 各国のグラフの左側がMRLでの合格茶数 右側がMRLに一律基準を追加適用した場合の合格茶数である 出品茶 100 点をこれらの国に輸出した時 合格となる茶数である 茶数 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 図 -6 MRL 及び一律基準を追加適用した場合の合格茶数 0 日本 Codex USA EU 香港ロシアシンガポール台湾 各国 MRL (+) 一律 Codex ロシア シンガポールのMRLは基準値の設定が少ないため 未設定の農薬に0. 01mg/kg を適用すると基準自体は厳しいものになる 図 -6 に示すように Codex 合格の茶数は100から20まで減少する それに対してEU, 台湾は減少の程度は低く EUは 56から41に 台湾は88から59に低下する この事から基準値の高低だけでなく 基準値の設定数が重要であると言える 19

4. 考察本事業の目的は輸出或いは輸出予定の茶の残留農薬の実態を知るとともに輸出する上での問題点の把握とその解決を図ることにあるが 出品茶の残留分析結果の解析と各国の農薬残留基準 (MRL) に対する残留値の合否による解析を行った また MRLと一律基準を合わせて適用し 実際の輸出に近い条件で基準値に対する合否による解析を行った (1) 試験に供した茶の分析結果について出品茶 100 点から44 農薬が検出され 昨年度の18 農薬の2 倍以上が検出された しかし検出件数は本年度 401 件で 昨年度の362 件を 39 件約 10% 増えた 検出農薬数が増加した理由は使用農薬の種類が増加したためかあるいは分析精度の向上によるものか見極める必要がいる 検出農薬数の増加は一律基準の適用につながるので注意が必要である 出品茶から検出される農薬数は平均すれば4 個であるが 全く検出されなかった茶が1 4 点あり 検出数 2 個以下が出品茶の約半数を占める事から 検出数の少ない方に偏りがある 全体的には残留農薬の少ない茶が出品されたと推察される 残留の実態と基準値の乖離を見ることは問題解決の一つの指針となる 例えばクロルフェナピルの残留値はアメリカの基準値に対し約 11 倍で 合格率は9% と極めて低く 残留の実態と基準値に大きな隔たりがある 解決にはインポートトレランス申請による基準値の改善等が考えられるが アメリカ向けの茶には本剤を使用を控えるなど抜本的な対策も必要である 一方 比率 ( 倍率 ) が1に近い場合は栽培条件などの工夫で問題を解決できる可能性がある 残留値の分布から 同じ農薬でありながら一部の茶で極めて高濃度の残留が検出されている その原因は防除を含めた栽培条件にあると考えられる 防除に当たっては農薬の経時的な減衰特性にも注意が必要である (2) 各国の農薬残留基準との残留値について検出された44 農薬に対し日本のMRLは100% EU 台湾のMRLはほぼ80% の農薬に残留基準値を設定しているが アメリカ 香港のMRLは約 40% と低い ( アメリカ ) アメリカのMRLの残留基準値の特徴はクロルフェナピルのみ一律基準並みの値が設定され 他は緩やかな基準値が設定されていることである しかも今回の出品茶 100 点のうち54 点で検出されており アメリカの基準値に対し合格率が低い主因となっている 従って アメリカ向けには IT 申請中のクロルフェナピルの早期に基準値設定が求められる 注意点としては上述のとおり 基準値設定数がやや少ないことから一律基準が適用される場面が生じ易いので 使用する農薬は基準値が設定されているものを選択するほうが望ましい 20

(EU) EUのMRLは多くの農薬で比較的厳しい基準値が設定されているので輸出し難いと思われがちであるが 厳しい基準値の多くは一律基準の5 倍であり 最も厳しい基準値でも一律基準の2 倍である 設定数の多さは厳しい一律基準の適用が少なくなり 合格率は高まる 実際に今回の解析ではEU 向けが最も高い合格率であった 注意すべき点は基準値が低いので 使用濃度が低く 経時的減衰の早い農薬を選択することが重要である ( 台湾 ) 台湾のMRLは基準値の設定数が多く 基準値も緩やかであり EUよりも緩やかである 但し ピリミホスメチル テブフェノジド テトラジオンの3 農薬については0.05 mg/kgの厳しい基準値を設定しているが ピリミホスメチルは検出値が低い事 他の 2 剤は検出例が少ない事から 不合格率への影響は小さい しかし チアクロプリドの基準値が他の国の基準値より厳しく 残留の実態と差が大きいため不合格が発生した 合格率を高めるためには平成 25 年の IT 申請を早期に基準値設定させることであり 設定までは使用を控えることも必要がある ( その他地域 ) その他地域のMRLは基準値の設定が少なく 基準値も比較的緩やかであり 合格率は高いが 実際には一律基準が適用される場合が多く 散布後に減衰しやすい農薬を選択するなど注意が必要である (3) 残留基準値が設定されていない農薬に一律基準を適用した場合の合格率輸出先のMRLに加え 基準値がない農薬に一律基準を適用することで実際の輸出状況に近いシミュレーションを行った その結果 アメリカの基準値で49% あった合格率が一律基準を追加適用する事で27% に低下した 同様にEUは56% から41% に 台湾は88% から59% に低下した その他の国のMRLでは100% が20% に大幅に低下した 一律基準の適用が多い事が原因である 一律基準への対策としては まず 基準値のない農薬の使用を避けることと 散布後に減衰しやすい農薬を選択することで合格率は高まると考えられる (4) 今後の対応について輸出先との交渉によりMRL 基準値を日本並みにすることは輸出を促進するには極めて有効な手法であるが 国によっては設定の背景があり 変更には時間と費用が掛かり難航する場合が多い 従って 茶の栽培条件 特に防除の面からMRLの問題を解決する必要が有る 基本的には 残留基準値が緩やかな農薬を選び 基準値を超すことなく 一律基準の適用を避けるため使用する農薬の種類を減らすことである 更に残留値を低く抑えるため 21

散布濃度が低く 経時的な減衰が早い農薬を使用することが望ましい また 輸出先の農薬残留規制に対応した輸出先別の防除暦を設定するのも現実的な解決方法と考えられる 輸出先を特定した産地の団地化を図り 試験機関と連携した輸出先国に合わせた防除基準を作成し薬剤の使用を徹底することである 日本茶の特徴である旨みのある美味しいお茶の生産のためには 肥料農薬の使用は必要要件であるので 今回の検査結果を踏まえた対応を進めることである 22