FLASH 8の活用

Transcription

1 FLASH 8 の活用 愛知県立一宮工業高等学校 電気科稲垣孝一 1 はじめに昨今 インターネットは一般的な情報源として 世の中に浸透している また 最近では回線の大容量化によって 様々なサービスも行われるようになった 特に現在では FLASH と呼ばれる動画編集のソフトウェアを活用したサイトが主流になりつつある そこで 学校用ホームページへの活用や画像処理の教材として FLASH を含めた STUDIO8 というソフトウェアについて研究を行った 2 目的 (1) 学校用ホームページに FLASH8 を活用し ホームページの活性化を図る (2)FLASH8 を教材として活用できるかを検討する 3 予備知識 FLASH とは Macoromedia 社が開発したオーサリングツールである 音声や動画 静止画などを組み合わせたマルチメディアコンテンツを制作するためのソフトウェアであり プロの web 開発環境でも使用されている なお 現在 Macromedia 社は Adobe 社と合併しており Adobe Flash として販売されている また 単なるオーサリングソフトではなく アクションスプリクト と呼ばれるプログラミングを使用すれば さらなる応用が可能であり 閲覧者が FLASH の動作や見たいコンテンツの選択をすることができる つまり 従来の HTML 書式のホームページより動的 双方向的なコンテンツの制作が可能なのである 4 FLASH の作成今回制作する FLASH は学校のホームページ用の FLASH を想定した 実際には学校の沿革や学科の紹介までを作成する (1) 素材の作成デジタルカメラや 画像編集ソフトを用いて画像を作成する このとき 用意する画像は予め大きなサイズで撮影 描画した後に必要なサイズに縮小すると 見栄えがよい また 今回は生徒の写っていない画像を準備したが 生徒の写った画像を使用したい場合は生徒の個人情報の保護等に配慮する (2) 基本設定今回使用したのは Flash 8 アカデミックパック である ソフトウェアを起動すると図 1 のような画面が出てくる ここで初期設定を行い オーサリングを行う はじめに 図 1 の下部にある プロパティ で基本設定を行う 今回 設定値は

2 アサイズ : ピクセルイフレームレート :18fps とした なお 両数値共に拡大すると 生成される動画ファイルの容量が大きくなる 次に (1) で用意した画像をライブラリに読み込む ファイル に ライブラリに読み込み があるので先ほどの画像を取り込む なお ライブラリに登録できるのは 静止画に限らず 音声 動画ファイルも可能である (3) 冒頭ページの作成 上記 (2) でライブラリに登録した画像はドラッグ アンド ドロップで描画範囲に貼り付けることが出来る 今回は校舎の正面からの画像を使用した また 大きさが合わない時は画像を右クリックし 自由伸 ツールバ 描画範囲 メニューバー 縮 を選択すれば 任意の大きさに拡大 縮小できる ここでタイムラインの操作を行う 今回は 24 フレームを使用して白の タイムラインなどの各種パラメータ 図 1 Flash MX 基本画面 背景から フェードインしてくるように設定した タイムライン の レイヤー 1 24 フレーム目に キーフレームを挿入 したあと 1 フレーム目のシンボル化した画像の プロパティ を変更する 具体的には カラー の項目の アルファ 値を 0 にする すると 画像が透明になり 背景の白 色となる このあと モーション トゥーインの作成 をすると 24 フ 図 2 タイムライン と画像の プロパティ レーム ( 約 1.3 秒 ) で白の背景からフェードインしてくるようになる このとき背景の画像を最後まで描写していたい時は 最後のフレームまで フレームの挿入 を行っておかないと 途中で画像が消えてしまうので注意が必要である このような作業を繰り返し 動画を作成していく また 簡単な図形や文字は FLASH のソフト自体の描画機能で作成も可能である

3 (4) アクションスクリプトの活用ここまでの編集作業で web 用のファイルへと生成させると 単なる繰り返し再生される動画ファイルになってしまう そこで アクションスクリプトで動作を制御し 閲覧者に見たいコンテンツが選択できるようなページへと編集する アクションスクリプトは 各タイムラインやオブジェクトに対して追加 変更することが可能なスクリプトである 実際には 対象を選択し 使用 したいアクションスクリプトをダ ブルクリックするだけでテキストエディタに書き込むような動作は必要ない ただし 指定したフレームに移動させる ようなスクリプトの場合は 必要に応じてパラメータを打ち込む必要はある 続いて オブジェクトにアクシ 2アクションスクリプトを追加したフレームに a のマークが追加される 1 追加したいアクションスクリプトをダブルクリックするだけでよい 図 3 アクションスクリプトとタイムライン ョンスクリプトを指定する 図 3 のように あらかじめ 画面上の 学科紹介 を選択した上でアクションスクリプト上の on を選択する 更に { } の中に goto を選ぶと gotoandplay という記述が 画面上に現れる 図 5 がその状態で 173 は指定先のフレーム番号である つまり 学科紹介 という文字をクリックすると 173 フレーム目に移動し 再生する というプログラムにな るのである 同様の作業を繰り返し 図 5 の 図 4 学科紹介 に指定したスクリプト ような動作をするように設定した

4 1 学科紹介をクリックすると 2 電気科の文字が点滅表示する 3 電気科 の文字をクリックすることで紹介文が出現 ( 左からスライドイン ) 4 更に文章右下にある をクリックすると 実習室の写真に切り替わる 図 5 電気科の学科紹介 基本的にはここまでの作業を繰り返して 目的とするコンテンツを作成する また 他にもアク ションスクリプトは存在するので それらも必要であれば 今後活用しても良いだろう 以上が基 本的な FLASH の作成手順である 5 検討 考察今回は FLASH の教育現場の活用を目的として研究をした まず 目的 (1) である学校ホームページの活性化であるが 十分な効果が期待できると言える 実際にこの FLASH を生徒に見せたところ 面白い 本当に学校用に作って欲しい 等の意見が多かった やはり 動きがあり ゲーム感覚に近い動作が行えることからなのか 生徒には非常に興味をそそられるようであった また インターネット上にあるため 学校紹介ビデオと異なり 閲覧する機会が自由であること ビデオのダビングが不要であるため コストパフォーマンスにも優れていると言える しかしながら 問題点 課題点もある まずは容量の問題 今回 これだけの製作で 生成前のファイルで 670kB 生成した web コンテンツ用のファイルは 230kB であった これに各学科の紹介を含めた学校の特色 行事予定 部活動紹介など 全てを FLASH 化しようとすると かなりの容量が必要であると推測できる また 今回の画面サイズ ( ピクセル ) では小さく感じられた 当然 画像サイズを拡大すれば 容量も増大する 仮に愛知県のエースネットのサーバにアップロー

5 ド出来たとしても 実際に閲覧者に大容量ファイルをダウンロードさせることになる ダウンロード時間が長いと諦めて見ずに終わってしまう人も出てくる可能性がある 現在 考え得る対処方法としてはア最初に容量の小さい HTML で閲覧するか FLASH で閲覧するかを選択させる イ FLASH のオブジェクト化を行い 一度にダウンロードする容量を削減する などの方法がある なお 2 案を同時に施すのが望ましいと思う 次の問題は制作 更新についての問題点である やはり学校全体に関わることなので 制作に置いては各学科や校長 教頭先生方の協力 理解が必要不可欠である また 更新においても管理者が他校に転勤になってしまった時に引継が可能かどうか などの問題もある 通常の HTML と異なるため ある程度の技術を要することと テンプレートを用意できれば望ましいが 新しい管理人の意欲に依存する点が出てきてしまう あとは一般常識的な範囲の問題だが 生徒の写った画像への配慮 素材画像やBGM 等の著作権侵害の防止等が挙げられる 続いて 目的 (2) の教育の場への活用であるが 課題研究と呼ばれる実習科目において通年で映像作品を作るという目的であれば 時間的にも可能であると思う また 部活動での活用もできるであろう web コンテンツや アニメーションに興味のある生徒を対象に 製作することを学ばせるためには使い易いソフトであると言えるだろう ただし1つの作品を1 人で作るのか 複数人数で作るのか によって多少環境が異なるが 少なからず パソコンのスペックを要するソフトウェアであるため そういったハードウェアが揃っていることも課題になるであろう 6 おわりに今回 この論文を書くにあたり 新たに FLASH の操作方法を学ぶことが出来た 昨今のインターネットの主力である FLASH を学校環境にも と思ったのが事の発端であり 学校ホームページを FLASH 化することにより より高い宣伝効果が得られればとも思ったからである しかし FLASH に触れてみて FLASH が非常に優れたソフトであることがわかり 今後の課題研究や部活動への展開も考慮に入れられることもわかった 工業教育という分野において 情報技術を導入するということは 私の周囲では余り馴染みがないらしく より様々な情報に関する知識 技術を導入できればと思いこの機会に研究を進めることにした これからも 様々な情報技術を研究し ものづくりにも工業教育にも役立てていけるよう努力していきたい そして今回 このような機会を与えて頂いた本校電気科科長の三浦英雄先生をはじめとする先生方に この場を借りて謝意を表します 7 参考資料 Flash MX 付属ヘルプファイル (Macromedia 社 ) Studio8 付属ヘルプファイル (Macromedia 社 )