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1 一般社団 財団法人の会計と税務について 平成 28 年 7 月 27 日 ( 水 ) 税理士 公認会計士 田中義幸

2 目次 1 一般社団 財団法人とは 2 一般社団 財団法人の会計について 3 一般社団 財団法人の税務について 2

3 1 一般社団 財団法人とは 3

4 明治 29 年 昭和 25 年 平成 10 年 平成 20 年 公益法人 ( 社団法人 財団法人 ) 公益法人 移行法人 中間法人 NPO 法人 一般社団法人 一般財団法人 認定 NPO 法人 学校法人 社会福祉法人 宗教法人 医療法人 社会医療法人 4

5 < 一般社団 財団法人と公益法人の関係 > 社団法人 財団法人 認定 公益社団法人 公益財団法人 認定 取消 一般社団法人 一般財団法人 認可 移行法人 5

6 < 一般社団 財団法人の現況 > 公益認定法 公益社団法人公益財団法人 一般社団法人 一般財団法人 移行法人 整備法 一般社団 財団法人法 6

7 2 一般社団 財団法人の会計について 7

8 < 内閣府 Q&A> 問一般社団法人 財団法人はどの会計基準を使えばいいのでしょうか 答 1 一般社団 財団法人が適用する会計基準について 特に義務付けられている会計基準はなく 一般に公正妥当と認められる会計の基準その他の会計の慣行によることが求められます ( 一般社団 財団法人法施行規則第 21 条 ) そのため 平成 16 年改正基準や企業会計の基準を適用することも可能でありますが どのような会計基準を選択する場合であっても 法令に則った書類を作成することが必要となります 8

9 2 一般社団 財団法人においては 貸借対照表及び損益計算書並びにこれらの附属明細書の作成が義務付けられています ( 一般社団 財団法人法第 123 条 ) ここにおいて義務付けられている書類は 損益計算をベースとして作成することを求めているため 例えば 旧公益法人会計基準 ( 注 ) に基づく現金収支ベースで作成されている計算書類では 法律で求められている書類とはみなされないと考えられますので 損益計算を基礎とした会計基準に基づき 計算書類等を作成することが必要と考えます ( 注 ) 旧公益法人会計基準とは 昭和 60 年 9 月 17 日公益法人指導監督連絡会議決定により公表された会計基準のことを指します 3 なお 新制度に合わせて作成した公益法人会計基準は 新たに法律で定め られた附属明細書や基金も含む会計基準でありますので 法人の会計処理の 利便に資するものと考えます 9

10 < 会計基準 > 損益会計 公益法人会計基準 H20 年基準 H16 年基準 企業会計の基準 損益計算書 収支会計 旧公益法人会計基準 (S60 年基準 ) 収支計算書 10

11 < 公益法人会計基準 > 正味財産増減計算書経常収益経常費用事業費管理費 貸借対照表資産の部流動資産固定資産負債の部 当期経常増減額 正味財産の部 正味財産合計 当期正味財産増減額 正味財産期末残高 11

12 < 企業会計の基準 > 損益計算書売上高売上原価売上総利益 貸借対照表資産の部流動資産固定資産負債の部 販売費及び一般管理費 営業利益 経常利益 純資産の部 繰越利益剰余金 当期純利益 12

13 < 適正な決算の手続き > 計算書類の作成 監監 事査 理事会承認 5 年間備え置き 招集通知 2W 定時社員総会 ( 評議員会 ) 承認 貸借対照表の公告 4 月 5 月 6 月 13

14 < 理事会の承認の対象となるもの > 計算書類等 計算書類 貸借対照表 損益計算書 事業報告 附属明細書 ( 会計監査報告 ) 監査報告 ( 法人法 1243) 14

15 < 事務所の備置き義務の対象 > 計算書類等 計算書類 貸借対照表 損益計算書 事業報告 附属明細書 ( 会計監査報告 ) 監査報告 ( 法人法 129) 15

16 < 社員 ( 評議員 ) への提供義務があるもの > 計算書類等 計算書類 貸借対照表 損益計算書 事業報告 附属明細書 ( 会計監査報告 ) 監査報告 ( 法人法 ) 16

17 < 定時社員総会 ( 評議員会 ) の承認の対象となるもの > 計算書類等 計算書類 貸借対照表 損益計算書 事業報告 附属明細書 ( 会計監査報告 ) 監査報告 ( 法人法 1262) 17

18 3 一般社団 財団法人の税務について 18

19 (1) 非営利型法人か否かの選択 19

20 一般社団 財団法人 非営利型法人 ( 収益事業課税 ) それ以外の法人 ( 全所得課税 ) A. 非営利性徹底法人 B. 共益的活動目的法人 20

21 < 非営利型法人とそれ以外の法人 > 法人収益非営利型法人それ以外の法人 会費非課税課税 寄附金非課税課税 補助金非課税課税 拠出金非課税課税 任意団体からの受入金 非課税 課税 21

22 A 非営利性徹底法人の要件 1 利益分配の禁止定款に この法人は剰余金の分配を行わない と定める 2 残余財産の帰属先定款に 残余財産は国等に帰属させる と定める 3 特別利益の禁止 1 2 に違反することを決定したり行ったことがない 他の要件を満たしていた期間に 特定の個人や団体に特別の利益を与えたことがない 4 理事の親族割合理事の親族割合が理事総数の 3 分の 1 以下である 22

23 B 共益的活動目的法人の要件 1 共益的活動会員の共通利益を目的とする 2 会費の定め定款等に会費の定めがある 3 収益事業割合収益事業割合が 50% 以下である 4 利益分配特定の個人等に利益分配することを定款に定めていない 5 残余財産特定の個人等に残余財産を帰属させることを定款に定めていない 6 特別利益の禁止他の要件を満たしていた期間に 特定の個人等に特別の利益を与えたことがない 7 理事の親族割合理事の親族割合が理事総数の 3 分の 1 以下である 23

24 (2) 非営利型法人の収益事業課税 24

25 受取会費 経常収益 受取寄附金受取補助金事業収益 非収益事業の収益 資産運用収益 収益事業の収益 - 直接経費 + 間接費按分額 = 収益事業の課税所得 税率 23.9% 15% 25

26 <34 業種 > 物品販売業 不動産販売業 金銭貸付業物品貸付業 不動産貸付業 製造業通信業 運送業 倉庫業 請負業 印刷業出版業 写真業 席貸業 旅館業料理店業その他の飲食店業 周旋業代理業 仲立業 問屋業 鉱業 土石採取業浴場業 理容業 美容業 興行業 遊技所業遊覧所業 医療保健業 技芸教授業駐車場業 信用保証業 無体財産権提供業労働者派遣業 ( 法令 51) 26

27 < 収益事業の申告 > 収益事業開始 2 か月以内 収益事業開始届 事業年度終了 2 か月以内 (1 か月延長 ) 法人税等の確定申告 申告書別表 収益事業用決算書 ( 貸借対照表 損益計算書 損益金処分表 ) 法人の決算書を添付 27

28 (3) 非営利型法人に対する寄附金税制 28

29 < 一般的な寄附 > 個人 法人 金銭現物財産 寄附 なし 譲渡所得税 非 営 利 型 法 人 受贈益非課税 寄附 一般寄附金の損金算入限度額 金 銭 現 物 財 産 29

30 < 遺贈寄附 > 被相続人 遺言 現 遺贈 非営 遺贈に伴う税は 法人が負担する 物 利 旨の記載 財産 準確定申告で譲渡所得税 型法 人 30

31 < 相続財産の寄附 > 相続人 相続財産 寄附 相続税非課税 現物財産には譲渡所得税 公益法人等 公益社団法人 公益財団法人 社会福祉法人 学校法人 2 年以内に公益事業の用に供する必要 更生保護法人 認定 NPO 法人 ( 措置法 70 条 ) 31

32 < 譲渡所得税の非課税 > 個人 現物財産 2 年以内に公益事業の用に供する必要 寄附 譲渡所得税なし 非営利性徹底法人 非課税 国税庁長官の承認 ( 措置法 40 条 ) 32

33 < 相続税 贈与税の不当減少課税 > 相続税 贈与税の不当減少 相続税 贈与税 非営利型法人 寄附 受贈益非課税 個 人 33

34 (4) 相続対策の有効性とリスク 34

35 自社株 不動産等の時価譲渡 非営利型法人の否認 累積所得金額課税 非営利型法人 時価譲渡対価 譲渡所得課税 個 人 時価譲渡対価 譲渡所得課税 営利型法人 相続人 相続人 支配権に対する相続税課税 支配権に対する相続税課税 35

36 (5) 非営利型法人から営利型法人への移行 36

37 該当日 非営利型法人 それ以外の法人 資産の帳簿価額 負債帳簿価額等 累積所得金額 該当日の属する事業年度の益金に算入 該当日の前日までのみなし事業年度 該当日を開始日とするみなし事業年度 37

38 (6) 一般社団 財団法人の消費税その他の税 38

39 < 消費税 > 非営利法人 別表第 3 の法人 会費 寄附金など不課税収入が多い 会費 寄附金に対応する課税仕入分は 控除から除外 特定収入 課税売上が少なく課税仕入が多い 仕入税額控除に制限をかける 会社と同じ計算では 還付ばかりになる 39

40 < 法人住民税均等割 > 法人均等割 一般社団法人 一般財団法人 課税 (7 万円 ) NPO 法人 課税 (7 万円 ) 地方により免除制度あり 収益事業あり課税 (7 万円 ) 人格のない社団等 収益事業なし 非課税 ( 地法 ) 40

41 < その他の税金 > 区分留意点 法人事業税 収益事業を行う場合のみ課税 印紙税 登録免許税 一般社団 財団法人の作成する領収証等は 営業に関しないものとして取り扱われるため非課税 一般社団 財団法人の作成する定款は非課税 一般社団 財団法人の設立 役員変更などの登記は課税 公益社団 財団法人の公益認定や取消 役員変更などの登記は非課税 不動産取得税 公益社団 財団法人が取得する一定のものについて非課税 固定資産税 ( 都市計画税 ) 公益社団 財団法人が設置する一定ものについて非課税 事業所税 収益事業に係る事業所にのみ課税 41

42 < 損益計算書等の提出制度 > 収益事業を行っていないため確定申告書を提出する必要がない公益法人等 年間の収入金額の合計額が 8 千万円超 損益計算書又は収支計算書の提出義務 ( 事業年度終了の日の翌日から 4 か月以内 ) 主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出 経常的収入で判断 ( 措法 68 条の 6) 42

43 一般社団 財団法人の会計と税務について 終