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1 発生学 2009 年度期末試験対策資料 ( 解答解説篇 ) 作成 : 下貴 (2008 年度 学 ) 一部のみ公開 問 22 の答えを訂正 この文書について 発生学の 2008 年度期末試験の解答解説です 参考文献 1 ラングマン人体発生学 (9 版 ) 2 ムーア人体発生学 (6 版 ) 3 Gilbert, Developmental biology 8th 4 キーノート発生生物学 5 細胞の分子生物学 (4 版 ) の第 21 章 6 新しい発生生物学 発生学 という場合 ヒトの発生および発生異常を扱う医学基礎科目である 人体発生学 human embryology 生物の発生全般を扱うおもに理学部向けの 発生生物学 developmental biology の 2 つからなる 講義は両者を適当にシャッフルした感じだったが 医学生としては前者の基本的なところは体系的に踏まえたいところ 12は人体発生学の有名な教科書で 一 一短があるのでどちらかには目を通しておきたい 通読するならば分量の少ない 1のほうが楽 後者の発生生物学は 3 が鉄板教科書 ( 分子生物学でいうところの CELL のようなもの ) だが かなり 古い版しか翻訳がない 日本語訳されている教科書というと ウィルト エッセンシャル などがあ るが どちらも使いにくく感じた 4 は学習参考書的な本だが 読みやすいとおもう 5のこの章は 多細胞生物における発生 ということで 網羅的ではないけど 発生における分子機構のうち重要なものを紹介している 6は日本人の発生学研究者の手による新書 過去問でも問われている 初期発生過程で重要な遺伝子の話題が かなりやさしく順を追って説明されているので 導 としておすすめ 1

2 2008 年度期末試験 (2009 年 2 月 22 日実施 ) 1, 必須問題 ( 合計 65 点 ) 求められていることを解答用紙に記 して下さい ( 問題によって, 選択肢のア イ ウなどか 説明か 腺で結ぶのか 記 すべきものが異なるので注意 ) +α と している箇所では 量 広さ 深さに応じての加点があり得ます 問 尿中に (X) を検出することが 妊娠の判定 ( 初期における ) 根拠となる.(1 点 ) 2. その (X) の産生主 (Y) は何か?(1 点 ) 3. その (Y) のおいたちについて簡潔に説明せよ.(2 点 ) < 解答解説 > 1. ヒト絨毛性ゴナドトロピン human chorionic gonadtrophin, hcg 2. 栄養膜合胞体層 synctio-trophoblast 3. 受精後 5 日頃 ( 着床前 ) の胚は 内部に空洞ができて胚盤胞 blastocyst と呼ばれるようになる 胚盤胞は内細胞塊 inner cell mass と それを囲む単層の栄養膜 trophblast に分かれている 着床の前後で 栄養膜の細胞は活発に分裂して子宮側に移動し 細胞膜が消失し互いに融合した栄養膜合胞体層 synctio-trophblast をつくる ( もとの栄養膜は栄養膜細胞層 cytotrophblast と呼ばれるようになる ) 栄養膜合胞体層は 栄養膜の細胞が活発に分裂してできた細胞群が融合した組織で じわじわと周囲に広がっていく性質を持っている 栄養膜合胞体層は つのタンパクを分泌する : 着床の前後でタンパク分解酵素を分泌することで胚の子宮内への侵 を可能にする hcg というホルモンを分泌する 栄養膜合胞体層は子宮内で周囲に広がって 子宮内膜の毛細 管と連絡するようになり hcg は 体の 液中に る hcg は 体を維持してプロゲステロンの産生を促すようはたらきかけ プロゲステロンは子宮内側の 管を肥厚させ 妊娠に適した状態を整える つまり栄養体合胞体層は 1 分 ( 胚 ) を子宮へ侵 させ 2 体に 分を育てるよう促す また逆に このプロセスが 着床 implantation といわれる現象の発生的な実態である ともいえるだろう 以上の経緯から分かるように hcg は 体 中にみられる最初期の胎児由来成分なので 体尿で hcg を測定することで 妊娠の判定を うことができる 2つ補足しよう まずこの辺の組織は日本語の名称がややこしいが 英語を確認して整理しておくとわかりやすい troph は栄養 ( 例 : 筋萎縮 muscle atrophy 副腎 質刺激ホルモン adenocorticotropic hormone) blast は活発に分裂し組織をつくる細胞 cyte は普通の細胞 ( 例 : 骨芽細胞 osteoblast, 骨細胞 osteocyte) syncytium は合胞体 臓や平滑筋の機能的合胞体 syncytium という用語が 生理 Ⅰで出ている 2

3 また hcg は 臨床的に次のような局 でも使われていることを知っておくと その作用が想像しやすいだろう 不妊治療薬として hcg は LH や FSH などのホルモンと類似のはたらきをするから ( 妊婦から尿を集めて抽出することで!) 不妊治療薬として用いられる 腫瘍マーカーとして 上述の ホストの組織に侵 して栄養をもらう というのはがん組織のふるまいとよく似ている ここから推測できるように一部のがん ( 奇形腫 絨毛がんなど ) は hcg を分泌している よって hcg はこうしたがんの腫瘍マーカーとして利用される 問 胎児の赤 球の秘密 ( 成人のそれとの違い ) について簡潔に説明せよ 5. 胎児の循環システムの 理念 目的 は?(1 点 ) 6. その 理念 のためにどんな 具体的な 策 を駆使しているか? 3つ挙げ それぞれの く末 についても記せ < 解答解説 > 4. 成人のヘモグロビン (HbA;A は Adult) は αグロビン2 個とβグロビン2 個からなる4 量体であるのに対して 胎児のヘモグロビン (HbF;F は Fetus) は αグロビン2 個とγグロビン2 個からなる4 量体である HbF は HbA よりも酸素との結合性が高い 胎盤にて胎児が 体とガス交換を うとき 酸素分圧の 較的低い 体の 液から 効率的に酸素を受けとることができる 5. 胎児循環の第一の目的は 胎盤でガス交換を った酸素の多い 液を 重要な末梢組織 ( 特に脳 ) に優先して届けることである 胎児では 臓は機能しているが肺は機能していない そこで胎児循環では 胎盤から得た酸素の多い 液を 他の酸素が少ない 液とできるだけ混合させずに 臓に れる そして肺には送らずに 重要な末梢組織 ( 特に脳 ) に優先して送り出すような経路をとる 6. 胎盤でガス交換を った酸素の多い 液は臍静脈を経て 静脈管によって肝臓を回避して下大静脈 ( 静脈が 臓に戻るすぐ手前 ) に合流する 静脈管は生後 遺残である静脈管索になる 右 房に った 液は そのまま直進し卵円孔を経て左 房に り 左 室から大動脈に送り出されて まず頭部に分配される 卵円孔は生後しばらくして閉じ 卵円窩というくぼみになる 頭部から戻ってきた 液は 右 房 右 室 肺動脈幹と流れ その多くは肺には向かわず 動脈管を通して大動脈 の 頭部に 液を送り出した後の部分に合流する 動脈管は生後に閉塞し線維化して動脈管索となる 4. について 赤 球に含まれるヘモグロビンは酸素の運搬を担う ヘモグロビンは 4 分子のグロビンタンパクからなる4 量体で 各グロビン分子は鉄を含む環状の有機化合物であるヘムと結合している ヘム1 分子が酸素 1 分子と結びつくことで酸素を運んでいるのだが グロビン分子の種類がちがうと 酸素との結合性が変わる HbF は HbA と べて酸素の結合性が高い ( 酸素解離曲線が左にシフトする ) 3

4 酸素解離曲線をみながら考えてみよう 体の循環系では肺でガス交換を った直後が酸素分圧と酸素飽和度が最も高い (1) 末梢にいくほど酸素分圧は低くなり 末梢組織で多く酸素を手放す (2 3) 胎盤の機能のひとつは 体と胎児の間で肺と同様のガス交換を うことである 胎盤は 体にとっては末梢組織のひとつで HbA はここで他の組織と同様に酸素を手放す 胎児の 液の HbF がこれを受け取る HbF は酸素結合性が高いから 胎盤の酸素分圧でも酸素飽和度を 分に高いところまで持っていくことができる (3 4) 胎児は末梢組織で酸素を手放す (5) 肺 #4 胎児ヘモグロビンの酸素解離曲線 HbA はヒト成人が通常の大気下で生活するのに適した酸 素結合度を持っていると考えられるが 胎児は HbF とい respiration/res-c-2.htmlよりう HbA よりも酸素結合度が高いヘモグロビンを用意することで 体からの酸素の受け取りを実現している い換えれば 胎盤でのガス交換は 種類のヘモグロビン (HbA と HbF) の酸素結合度の落差を利用して われているということになる 5. と6. について 胎児の循環系はいくつかの点で成体の循環系とは異なっており とくに胎児循環と呼ばれる 胎内環境に適応したといえる胎児循環はしかし 生後すぐの劇的な変化によって ごくわずかの間に成体の循環系へと移 する 動脈管 胎児は基本的に外界と隔絶されており 胎盤でのみ 体との間で物質のやりとりを う 肺は機能していない ( 出生直後の劇的な変化で 肺循環と肺呼吸がはじまる ) いっぽう循環系は で駆動するしかないから 造 と 臓形成はかなり初期に われる ( 球は発生第 2 週から産生され 臓の拍動は第 4 週にはじまる ) 静脈管 卵円孔 そこで 1 胎盤でガス交換を う 2 肺は機能していない 3 臓は機能しているという条件下で 胎盤でガス交換を った酸素飽和度の高い 液 ( 以下 高酸素 と呼ぼう ) を 必要な組織に優先して配分するためには 胎児の循環系はどのような構造であればよいか? とはいっても 別に理念や目的から 胎児循環の構造を演繹的に導くことができるわけではない だから考察は逆の順序 すなわち 1まず胎児循環と成人循環の違いを確認し 2 前者 臍静脈 胎盤 #7 胎児循環 4

5 が胎児の発生にとってどのようなメリットがあるかを確認して そこから理念や目的を導く という順 序で う必要がある 右に胎児循環の図を す 胎児循環に特徴的な構造とその役割 および成人循環での遺残を表でまとめ たものが以下 胎児循環 遺残 役割 静脈管 静脈管索 肝臓のバイパス ductus venosus ligamentum venosum 卵円孔 foramen ovale 卵円窩 fossa ovalis 右 房と左 房のシャント ( 肺循環のシャント ) 動脈管 ductus arteriosus 動脈管索 ligamentum arteriosum 肺動脈幹と大動脈のシャント ( 肺循環のシャント ) 2 次に胎児循環を順に追いかけて 成人循環との違いを確認していこう 胎盤の高酸素 は臍静脈を通って 胎児の腹部に戻り 臓に向かう 最初に障害物となるのは肝臓である ( 肝臓で酸素を消費したくない ) そこで静脈管というバイパスを通って 下大静脈に注ぎ すぐに右 房に る ここで右 室 肺循環の経路には向かいたくないから 流れにまかせて直進し 卵円孔を通って右 房に る 右 室 上 大動脈と流れ 腕頭動脈 左総頚動脈 左鎖骨下動脈からまず頭部へ優先して 液を送る 頭部から上大静脈を通り右 房に戻ってきた 液は そのまま直 して右 室に る 右 室から送り出された 液の多くは 肺へ向かわずに動脈管を通って大動脈 の下 部 ( 頭部に向かう動脈が分かれた後 ) に合流する その後 内腸骨動脈 臍動脈を経て胎盤に戻る この経路には 特に目を引く箇所が 2 つある 右 房では右 房 卵円孔 左 房の 平ルートと 上大静脈 右 房 右 室の垂直ルートが通っている ここである程度は 液が混じり合ってしまうが 互いに直進して 体交差することで 混合を最小限にしていると考えられる 大動脈 の下 部で 左 室からの高酸素 の頭部に向かわなかった残りと 頭部に酸素を供給した後の低酸素の 液が混合してしまっている よって成人循環とは違って 体幹や下肢には酸素飽和度がある程度低い 液が送られる 胎児循環がいかに頭部への酸素供給を優先しているかをうかがわせる流れ だとおもう ( 実際 頭部に べて胎児の下半 は発育が遅い ) 問 5 の胎児循環の目的 理念は 以上の説明をまとめて抽象化すればいい ( これは解答の通り ) 問 7. 以下の新聞 (2009 年 2 月 22 日付け ) にある 羊 検査 と 絨毛検査 が何のことであっ て いかなる目的に用いられるのか ( 今回のケースにおいて考慮 説明されねばならなかった目的と一 般的な目的とをまとめて 簡潔に ) 説明せよ.(3 点 ) 5

6 < 解答解説 > 羊水検査は妊娠第 15 週以降に われる 羊 穿刺により羊 を採取し 羊 中の胎児由来のタンパクや細胞を生化学的 遺伝的に分析することで 奇形や遺伝子異常を検査する 絨毛検査は妊娠第 9 週以降に うことができる 絨毛組織を採取して ( 絨毛生検 ) やはり生化学的 遺伝学的に分析することで 奇形や遺伝子異常を検査する いずれも出生前診断のひとつで 検査 体による流産や感染症のリスクがあるために 危険性の高い妊娠にのみ用いられる 出生前診断のうち 一定のリスクがある 2つの 法についての出題 右図 に両 の手技の図解を す ( 絨毛検査がいかに胎児が小さいうちにできるかがわかる ) 羊 穿刺 amniocentesis は エコーで位置を確認しながら 下腹部から注射器で羊 を採取する 絨毛生検 chorionic villus sampling; CVS は やはりエコーをみながらカテーテルを経膣的に挿 して 絨毛膜絨毛 chorionic villi を採取する どちらの 法でも 1/200 程度で流産のリスクがあるほか 感染症や出 絨毛検査の場合は胎児の外傷のリスクもある そこで 妊婦側が望み かつ高齢出産 (35 歳以上 ) や過去の出産や家族歴から遺伝性疾患が疑われる場合にのみ われる 絨毛検査のほうが早期に検査できるため 異常が つかり人工中絶を決意した場合 ( その是非はともかく ) 負担が軽いというメリットはある 現在では 両者のリスクは同程度とされている ( 米国の医学書による ) しかし絨毛検査は後発で ま た日本ではあまり普及していない そのため国内事情としては 絨毛検査は < リスクが高い >< 信頼し て任せることができる機関が少ない > ということになる その他の主な出生前診断 ( および着床前診断 ) についてもまとめておこう 6

7 着床前診断 (8 細胞期 ): 体外受精した 8 細胞期の胚から割球を 1 つ取って 遺伝的な検査を い 正常ならば残りを 体に戻す 異常があった場合に中絶を わないで済むというメリットがある 着床前診断が原因と考えられる発生異常は報告されていないので 検査のリスクは少ないとされる ( が それってホント!? と講義で 及されていました ) 体外受精が前提で かつ特定疾患があるときなどごく一部の場合にのみ われる 超音波検査 ( エコー ) 胎児心音測定 ( 妊娠第 週 ): 産科で通常 われている検査 #7 羊 穿刺と絨毛生検 /socscience/sex/common/ibank/set-6.htmより 体 清マーカーテスト ( 妊娠第 週 ): 体 中の特定物質の量を測定して ダウン症など一部の疾患の有無を確率的に推定するので 侵襲性は低いが正確性は劣る 妊婦の希望があれば う 疑わしい結果が出たら羊 検査をすすめることがある 問 臓による誘導が有 視されている臓器を一つ選べ ( ア. 副腎イ. 肝臓ウ. 腎臓 )(1 点 ) 9. その臓器 (8) は ( ア. 外胚葉イ. 中胚葉ウ. 内胚葉 ) 由来である (1 点 ) 10. その臓器 (8) が 新生児期以降の 本業 に先 って 胎生期限定的に う業務 とは?(1 点 ) < 解答解説 > 8. イ 9. ウ 10. 造 8と9について ある組織が 未分化の組織にはたらきかけて分化を促すはたらきを誘導 induction という 多くの場合 誘導作用は近接した組織間で われる ( というのも 遠隔地に誘導シグナルを正確に送るのは難しいから ) 本問の場合 臓は発生 3 週目の胚の腹側やや上 に ぽっこりとした目 つ膨らみとしてあらわれる 右に第 5 週の胚を す ( この時点で 臓はすでに大きく発達し 拍動をはじめている ) 肝臓は消化管に付属する消化腺だから内胚葉由来で 膵臓と同じように腸管から芽が出るようにして発生する 腎臓は 背側かつ尾 にある後腎 metanephros( 中間中胚葉に由来 ) からできる 副腎髄質は神経堤由来 質は中胚葉由来だが いずれにせよ腎臓の近くで発生する 7

8 発生中に大きく移動する器官 ( 横隔膜や精巣など ) や回転する器官 ( 腸管 肝臓など ) もあるが 原則として各器官は 最初から成体における位置の付近で発生する よって肝臓と腎臓 副腎の大まかな位置さえ分かっていれば 答えは肝臓しかない 肺芽 臓 中腎 肝臓 講義でも紹介されたが 右図のように 臓の原基は腸管内胚葉の特定領域に+の その周囲に-のはたらきかけをすることで 腸管から肝臓を誘導する 排泄腔 中腎 臓 は 内胚葉からの誘導で側板中胚葉から誘導されるが 今度はその 臓が腸管 ( 内胚葉 ) を誘導して肝臓をつくるわけだ つまり 内胚葉が中胚葉にはたらきかけて 臓を作り 今度は 臓が内胚葉にはたらきかけて肝臓をつくっている これは胚葉間相互作用が双 向で われる例として興味深い 尿管芽 後腎の原基 ( 腎臓 ) #8 第 5 週ごろの胚の腸管と泌尿器系 moore 8th fig について 胎児は 親から 液をもらえるわけではなく 前で 液および循環系を準備しなければならない だから 液と 臓は発生のごく初期につくられる 発生第 2 週にはすでに 卵 嚢で 球の産生がはじまり 第 3 週には 臓が拍動を開始する その後 造 機能は肝臓 脾臓に移り 第 24 週ごろには骨髄が造 の主役になる 内胚葉 外胚葉 脊索 造 の場が移る というと何か生産設備が移転する大変なことのようだが 起こっているのは単に造 幹細胞の移動であり イメージとし間充織ては 感染組織への白 球のホーミング や がん細胞の転移 に近い 造 を担う卵 嚢 肝 #8 臓による肝臓の誘導 (Gilbert 6th fig 5.17より ) 臓 脾臓 骨髄の 管は いずれも洞様毛細 管 ( 類洞 )sinusoid と呼ばれる共通の組織構造をもつ 類洞は線維で 体的に網を張られたスカスカな構造であり ( 右図 ) 造 に適した環境を提供する そこから考えると 造 幹細胞は発生期間を通して 新しくできた住みやすい場所に移り住んでゆくのではないだろうか #10 肝臓の洞様毛細 管の顕微鏡像 8

9 問 中胚葉誘導に関与する液性因子としてふさわしいもの 2つをえらべ ( ア.VEGF イ. ノーダルウ. コーディンエ. ノギンオ. アクチビン )(1 点 2=2 点 ) 12. 初期胚において 神経系を作らせずに表 を作らせようとする働き をもつ液性因子を 1つえらべ ( ア.Shh イ.BMP ウ.EGF) (1 点 ) 13. 因子(11-12) のいずれもが TGFβ ファミリーに属するが やはりその一員である GDNF という因子がその受容体 Ret との結合を介して う重要な発生現象を2つ挙げよ (1 点 2=2) < 解答解説 > 11. イ オ 12. イ 13. 神経系 ( 特に腸管神経系 ) や腎臓の発生 精子形成 発生現象においては < 同じ分子が何度も繰り返し使われる> <(XX1 XX2 XX3 のような ) ファミリー分子が空間的 時間的に順番に出てくる >といったことが多くある 同じ主題が何度も変奏されるようなもので その主題 つまり一部の重要な分子群の特徴については 発生現象を語る共通語彙としてまずは覚えておく必要がある 次の点に注意しよう すなわち 分子 A は作用 B をもつ という記述を 字通り受け取ってはいけない A という分子が B( たとえば形成体誘導 ) の能 を内在的に秘めているわけではない 一般にこれは ある場所 あるタイミングで A がシグナルとしてはたらくことが B の必要条件である ということを述べているにすぎない だから発生現象における分子機構は本来 一連の流れとして理解しないと意味がない ( といっても順を追って説明するのは大変だから 以下の解説では 分子 A は作用 B を持つ と躊躇なく記す ) 下表は 発生上何度も繰り返しあらわれる重要なシグナルをまとめたもの #11 発生上繰り返し出てくる分子このようにリガンドと受容体のペアが基本で いくつかのペアには有名な阻害剤や介在因子がある また多くの分子については BMP1 BMP2 shh(sonic hedgehog) のように 数字や修飾子をつけたファミリー分子が存在している 略語になっているものは 省略前の名称を知っておくと機能の理解に役 つかもしれない EGF: 上 細胞増殖因子 epidermal growth factor FGF: 線維芽細胞増殖因子 fibroblast growth factor TGFβ: 変異増殖因子 transforming growth factor β BMP: 骨形成タンパク質 Bone Morphogenetic Proteins 9

10 11 12について 解答のアクチビン BMP Nodal はいずれも TGF βファミリーのシグナル分子であり 中胚葉誘導にかかわる アクチビンは発生学研究者の浅島誠が発 した有名な分子で カエル胚の動物極側の細胞に添加すると 濃度依存で骨格筋 脊索 筋などさまざまな中胚葉由来の組織を誘導できることが知られる ( 右図 ) BMP は胚の広い領域に分布し 強 な腹側化因子としてはたらく 全体に分布するが 背側誘導因子や神経誘導因子がないとき 腹側誘導因子としてはたらく また予定外胚葉にはたらきかけて 表 へと誘導する #11 アクチビンによる中胚葉由来組織の誘導 Nodal は背側に偏った濃度勾配で分布し 形成体 organizer を誘導する book=dbio&part=a333より 形成体は予定外胚葉領域に Noggin, Chordin を分泌する Noggin, Chordin は BMP を阻害して神経を誘導する (Noggin, Chordin がは たらかない場合に表 になる ) 残りの選択肢についても触れておこう VEGF: 管内 細胞増殖因子 vascular endothelial growth factor は 管を新しく作る ( 脈管形成 vasculogenesis) ときや 既存の 管から枝をもらう ( 管新生 angiogenesis) ときにはたらく 発生時にはたらくほか 一部のがん細胞がこの因子を分泌することで知られる shh:sonic hedgehog 重要な作用は 脊索から分泌により 1 神経管を腹側化する ( 腹側には運動ニューロンが発達するのだった ) 2また体節 somite にはたらきかけて椎板をつくる ( 椎板は軟骨になる ) 13について GDNF はグリア細胞由来神経栄養因子 glial cell line-derived neurotrophic factor の略で 受容体チロシンキナーゼ Ret に作用するシグナル分子 次のような機能が知られている ノックアウトマウスの表現型から 神経系 ( 特に腸管神経系 ) や腎臓の発生 精子形成にかかわることが されている 受容体型チロシンキナーゼ RET の変異により ヒトの複数の遺伝性 ( 多発性内分泌腫瘍 (MEN)2 型 ヒルシュスプルング病 ) 非遺伝性疾患( 甲状腺乳頭がん 甲状腺髄様がん ) が発症する GDNF が腎臓の発生にはたらくことは 一応ラングマンにも出てくるが そんなの知らないよ とおもうかもしれないが 実はこの遺伝子は 本学の高橋雅英先生の研究テーマである 今年度講義でも 本学の研究テーマにかかわる内容をいくつか紹介されたので 注意しておこう Ret 遺伝子の先天的変異を持つ人は 甲状腺髄様癌を必発し また副腎褐色細胞腫を 50% の確率で発症する ま た先天的変異を持たない場合でも 甲状腺乳頭癌や甲状腺髄様癌の患者の一部で Ret の変異が認められる 問 消化管または消化器系の臓器の形成に関連して 上 - 間質 狙互作用 ( または 上 - 間充織 間葉 相互作用 ) について 具体的な例を挙げて説明せよ (3 点 ) 10

11 15. 上 間充織 間葉 転換の例を 2 つ以上挙げよ (1 点 2=2 点 +α) 16. 間充織 間葉 上 転換の例を 2 つ以上挙げよ (1 点 2=2 点 +α) < 解答解説 > 14. 消化管は次のような層状構造を持つ つまり管腔を上 が覆い その周囲に間葉 ( 結合組織 平滑筋など ) 同 円状に配置し 最外側には神経が分布する 上 の分泌する shh は 近接する間葉にはたらきかけて粘膜固有層 粘膜筋板 粘膜下組織などに分化させる また shh は間葉が平滑筋や神経へ分化するのを抑制するから shh の濃度が薄くなる外側の層に平滑筋や神経ができる いっぽう間質は上 に作用して 絨毛や消化腺を形成させる 15. 原腸胚形成 gastrulation で 胚盤胞上層が落ち込んで下層との間に り 中胚葉となる 神経溝のヘリの部分の細胞は 外胚葉を離れて中胚葉に落ち込み 各所に遊 する ( 神経堤 neural crest) 上 由来の腫瘍組織が 基底膜を浸潤して移動性を獲得し 管やリンパ管から他の臓器に転移する 16. ネフロンの形成 上 腺組織の形成 腫瘍における転移巣の形成 まず 上皮 epithelium と 間葉 ( 間質 間充織 ) mesenchyme の定義を復習しておこう 上 と間葉とは その起源 ( どの胚葉由来か ) にかかわらず 組織学的に ( 光学顕微鏡下の形態によって ) 定義される 上 は 体表 管腔 体腔の表 を覆う 単層ないし複数の層からなるシー 間葉 mesenchyme 上 epithelium #11 上 と間葉 com/cr/journal/v19/n2/images/cr20095f1.jpg より ト状の組織 細胞同 が互いに結合してすきまなく配列している また上 細胞は 基底側 basal- 頂端側 apical という細胞極性 ( 細胞の偏り 向性 ) があることも重要な特徴である 間葉は 上 の下層に存在する 細胞外マトリックスの中に多角形型の細胞が点在する粗な構造である 一種の疎性結合組織だと考えてよい 上 / 間葉のこの区別について 間違って 外胚葉 = 上 中胚葉 = 間葉 と考えてしまう例が多いらしいので 対 的に理解しておこう 外胚葉 ectoderm/ 中胚葉 mesoderm/ 内胚葉 endoderm とは 第一には胚発生時の原腸胚形成 gastrulation によって形成された三層構造を指す用語であり 第 に発生が進んだあとの各組織がどの胚葉由来するかという 各組織の起源について分類する用語である 各胚葉によって将来どの器官に分化するかがある程度決定しており たとえば外胚葉はおもに表 と神経に分化する ( しかし神経堤は 顔 の軟骨や副腎髄質にもなる ) 11

12 繰り返すと上 / 間葉は形態 ( みため ) の分類であり 外 / 中 / 内胚葉は初期胚の三層構造のどこに由来するかという起源の分類だから この 2 つの分類は論理的に独 で 3 2 の組み合わせができることになる たとえば 表 は外胚葉 消化管や消化腺の上 は内胚葉 管内 や腹膜腔の中 は中胚葉に由来する 神経堤は外胚葉由来であり 神経板 ( 上 ) のへりにあった細胞が 中胚葉に落ち込んで間葉となり 各所に遊 する どんな議論に用いられるかを考えると この 2 つの分類の違いがはっきりする 三胚葉分類は各組織の系統発生を追跡する際に用いる 胚葉の間の転換 つまり 中胚葉が内胚葉になりました ということは普通ないから 原則としてすべての臓器や組織は 胚葉由来 といえる つまり 発生初期の三胚葉分類を頂点として 分化後の各組織を末端とする きれいな樹形図が描けることになる いっぽう発生上の未分化の組織は多くの場合 上 / 間葉という構成をとっている この構成では 上 が間葉に作用し 逆に間葉が上 に作用するという上 - 間葉間相互作用 上 細胞が落ち込んで間葉になり また逆に間葉細胞が集まって上 になるという上 - 間葉転換 (Epithelial-Mesenchymal Transitions; EMT) がよくみられる 上 間葉を EMT 間葉 上 を MET と呼び分ける場合と EMT で双 向の転換を表す場合がある そこで上 / 間葉という分類は 発生現象の研究において 組織学レベルの形態形成を考える際の一般的なモデルとして使われるのである 14. について 上 - 間葉相互作用のよく知られる例はとしては 消化管や肺や腎臓形成 葉 毛 消化管の形成 四肢形成 などがある といっても 上 - 間葉相互作用は 発生にお いて上 / 間葉という構成をとる場所ではいつでも起こっているのだけれど さて問題では 具体的に説明せよ (3 点 ) とあるから ある程度詳しい説明が求められているが 人 体発生学の教科書では適当な材料がない そこで解答では 特別講義で福 公子先生がお話された話題 について 整理して述べた 下図で補足しておこう #14 消化管における上 - 間葉相互作用の例 ( 福 公子先生のレジュメより ) 12

13 左図は間葉 上 の作用の例 ニワトリの前胃と小腸の上 と間質を切り出して 組み合わせを れ替えて再結合している 図より 小腸の間質は上 にはたらかせて絨毛をつくり 前胃の間質は上 にいはたらきかけて分泌腺をつくることがわかる 右図は上 間葉作用の例で 消化管の層状構造の分化をまとめた模式図 上 が分泌する Shh(sonic hedgehog) というシグナルは濃度勾配を持って分布し 近接する間葉にはたらきかけて Bmp4(TGFβファミリーの増殖因子 ) などを発現させ 粘膜固有板 粘膜筋板 粘膜下組織という層状構造を分化させる いっぽう Shh は間葉が平滑筋や神経に分化するのを抑制するから Shh 濃度が少ない外周部でこれらの組織が分化する について 上 - 間葉転換 EMT は発生時の形態形成に重要な役割を持つ現象として 40 年前に提 された 上 間葉と 間葉 上 の様子を 下図左に す 上 から間葉になるには 細胞間接着を解除して 下層へと移動することができなければならない この転換には極めて有名な例が 2 つある 原腸胚形成 gastrulation における中胚葉の形成 神経溝の一部から神経堤細胞ができて 各所に遊 する いっぽう 間葉から上 になるには 粗に分布する細胞が集まって 互いに結合する必要がある 際 って有名な例はないが 組織スケッチでもよくみかけた 結合組織中にある腺組織はその典型例である この EMT が近年再注目されているが その 1 つの理由は 腫瘍における転移も EMT の一例とみなすことができると考 #14 EMTとMETとがん転移 えられるようになったことにある この点は近年まで論争が続いていたが 細胞 com /embor/journal/v9/n4/full/embor イメージングの技術の発展することで がん組織から 1 つの細胞が脱上 化して html#b16 より 遊 する様子が説得 を持って された 右に腫瘍における EMT/MET の模式図を す (Bv は blood vessel, Lv は lymph vessel) 問 17. 以下の分子群について リガンドと受容体を結べ ( 解答用紙上でそれぞれの分子名をここにある通りに並べてから 結んで下さい ) Slit Eph Netrin Frizzled Semaphorin DCC/Unc5 13

14 Ephrin Neuropilin/Plexin Wnt Robo (1 点 5=5 点 ) < 解答解説 > Slit-Robo Netrin-DCC/Unc5 Semaphorin-Neuropillin/Plexin Ehrin-Eph Wnt-Frizzled リガンドと受容体を組み合わせる問題だが このうち Wnt-Frizzled は発生過程のさまざまな局 で 出てくる (11-13 の解説の一覧表に載っている ) 残り 4 つはすべて 神経の軸索伸 軸索誘導に かかわる分子である 有名な交連線維 ( 脳の左側と右側を結ぶ神経 ) の例を説明しよう 下図左は発生途中の脊髄の模式図である 感覚を伝える交連線維の軸索 axon は 図のように 背側の 底板に向かい 正中線を跨いで その後上 して脳へと向かう この経路 ( 軸索誘導 ) はどのようにし て可能になっているか? 下図右のように まず背側の正中線付近にある底板が 軸索誘導因子 netrin を分泌する 伸 中の軸索 の先端 ( 成 円錐 growth cone と呼ばれる ) には netrin 受容体 DCC が発現しておりい Netrin の へ引き寄せられる さて 底板と神経管壁は それぞれ反発因子の Slit と semaphorin を分泌している 蓋板 交連線維ニューロン 誘導因子 反発因子 正中線 底板 #17 軸索誘導の分子機構 ( 交連線維を例として ) 正中線を超えた成 円錐は slit 受容体の Roundabout(Robo) と semaphorin 受容体の Plexin/Neuropillin を発現させる そこで成 円錐はこれらの反発因子に挟まれて 背側正中付近を上 していく なおここでは出てこないが Ephrin も反発因子の 1 つで その受容体が Eph である 交連線維の軸索誘導は 確かになかなか興味深い仕組みではあるのだけど 各分子を シグナル A B C と受容体 A Bʻ C に変えても説明内容は変わらないわけで ここでは分子の名前を覚えることに特に意味ないとおもう ( でもテスト向けには覚えておこう ) 14

15 問 脊椎骨の形成について説明せよ (2 点 ) Mesp2 と Notch シグナルの働きを盛り込んでの説明には加点あり (+α) 19. なぜ 脊髄の後根 ( と神経節 ) と前根 ( 運動ニューロンから発する繊維東 ) が 頭尾軸上に一定の間隔でならんでいるのか 発生過程での細胞たちの暮らしぶりと分子機構から説明せよ (3 点 ) < 解答解説 > 18. 脊椎は次のように形成される 発生第 3 週の初期に原腸胚形成が起こり 脊索 notochord ができる 中胚葉を構成する間葉細胞は 集合して沿軸 paraxial 中胚葉 中間 intermediate 中胚葉 側板 lateral 中胚葉をつくる 沿軸中胚葉の前 から分節化が進み 体節 somite ができる 体節は筋板 myotome 板 dermatome と間葉状の椎板 sclerotome に分かれる 椎板は遊 して神経管 脊索を取り囲む 椎板はいったん頭尾軸 向に 分されて再構築されることで 椎骨原基をつくる ( 問 19 で詳しく説明する ) Notch と Mesp2 は 上記のうち体節の分節化にかかわるシグナル分子である 体節の分節化では 各 シグナルが周期的に増減することで頭側から順に分節を っていくが Mesp2 は周期性シグナルのひと つ Notch を抑制することで 分節の境界を作っている. 19. 脊髄神経が脊椎から一定間隔で出ていくのは 次の つの機構がかかわる 体節が一定間隔で分節化される 体節から椎板が分かれて神経管 脊索を取り囲む このとき 各椎板は頭側と尾側に 分されて 尾側はひとつ下の椎板の頭側と合わさって 椎骨の原基を形成する この椎骨の間を ( 将来の ) 脊髄神経が通る 脊髄神経は頭尾軸上に一定間隔で並ぶ 以上のように まず体節の分節化が われ 次いで椎板の再構築がなされることで 脊髄神経の頭尾軸上の配置が決まる ( 前者の分子機構は 問 18 で 及した ) 初 で解くには無理がある問題だとおもう が とにかく解答を補足する形で順に解説して いこう 体節 頭側 原腸胚形成 gastrulation の後 間葉状の中胚葉は円柱またはシート状に集まって 沿軸 中間 側板 中胚葉を作る 沿軸中胚葉が体節 somite になるのだが このとき特殊な分子機構がはたらいて 頭側から順に沿軸中胚葉を ( 喩的な表現だが ) 切り取っていき ヒトで 個ある体節構造ができる 特別講義で高橋淑子先生が概要を話されたが この過程では #18 体節の分節化 gilbert 8th fig 14.6より 尾側 15

16 Fgf8 Wnt3a Notch などのシグナル分子が 周期的に増減している ( 分節時計と呼ぶ ) hairy1 というエフェクター分子の発現が 中胚葉の切り取りに合わせて周期的に移動する ( 右図の紫色 ) hairy1 の移動に合わせて 頭側から順に体節を切り取っていく という なんかよくわからない複雑なことをしている 問題の Mesp2 はこの切り取りライン ( 分節境界 ) を決定する分子で Mesp2 は Lfringe を活性化し Lfringe が Notch を抑制することで Notch による Hairy1 の活性化が抑制され 分節境界が決まる のだが こんな 倒な話を暗記しても仕 ないから 次の点だけおさえよう : 1 周期的に増減するシグナル分子があって 2Mesp2 がそれを抑制することで 分節境界が決まる この分子機構の全体像については未だに分かっていない部分も多いようだが 各分子の挙動について数理モデルを使ってシミュレートしたところ 周期的な分節化現象が再現できた という研究成果は出ているようだ 興味のある は 分節時計 などで調べてみてください ) このようにして頭側から尾側へと正確な分節化が進み 体節構造ができたとして 解説を先にすすめよう 体節はこの後 間葉状の椎板 (sclerotome) と 残りの筋板 (myotome) と 板 (dermatome) に分かれる ( 右図 ) 椎板は神経管と脊索の周りに集まって 椎骨の原基を作る 筋板と 板はそれぞれ筋肉 真 になる 図をみれば分かるように 初期中胚葉から沿軸中胚葉への変化 体節から椎板への変化はそれぞれ MET EMT の一例である さて 椎板が椎骨の原基をつくる 過程には 説明が必要な点がもう一つある 右図のように 神経管 椎板 筋板が並んでいるのだが これだとうまく運動神経がつなげない そこで側板は頭側 rostal と尾側 caudal の2つに分かれて その間を運動神経 ( や感覚神経 ) が通る そして尾側の片割れと ひとつ下の頭側の片割れが合わさって 1つの椎骨原基を作るのである 神経管 #18 体節から椎板 筋板 板への分化ラングマン第椎板 8 版 P89より筋板椎骨 #18 椎骨と脊髄神経の発生 gilbert 8th fig 14.17より 結局 体節の分節化でできた規則正しい間隔と この椎板の分割 再構築による椎骨原基の形成によって 脊髄神経の頭尾軸 向での規則正しい配置が決まる ということになる 問題は分子機構を述べよとあるが 頭尾軸の規則的な分布そのものは体節の分節化のときにできている から 上述の分節化の仕組みについて 及するべきだろう 16

17 問 ノードという構造体に端を発する左右非対称性について順を追って簡潔に説明せよ (3 点 ) 21. 上記の 左右非対称性 以外の問題で一次線毛 ( primary cilia ) が先天性疾患 発生異常に大きく関わることがあるが そうした例について知るところを述べよ (2 点 +α) < 解答解説 > 20. 原始線条の先端のノードを構成する細胞は 各 1 本ずつ線毛 cilia を持っており 線毛は回転運動を って 右から左への 流を作り出す この 流は 左右非対称な Nodal の分布を生み出す 左側に多く存在する Nodal は 次の 2 つの経路で左右軸を確 する : 原始線条沿いに Lefty を発現させ Nodal シグナルが右側ではたらかないようにブロックする ( 中軸バリア ) Pitx などの左側特有の遺伝子を発現させる #18 左右軸の形成 発生中の脊索 原始線条 21. 線毛の運動障害がもたらす疾患は カルタゲナー症候群 (Kartagener Syndrome) として知られ る カルタゲナー症候群は 内臓逆位 慢性副鼻腔炎 気管支拡張症の 3 つを典型症状とする 常染色 体遺伝の遺伝性疾患である 順に解説していこう まずノード node とは 哺乳類における形成体 organizer のこと 人体発生学の教科書では原始結節 primitive node と呼ばれており 胚盤葉上層の原始線条の先端に出現して 尾側から頭側へ移動し 原腸胚形成を推し進める ( 生物未履修の のために ) 原腸胚形成 gastrulation とは 胚の初期発生において 葉式の単純の胚の一部が 内側に嵌 して大きく動き 1 中胚葉誘導 2 神経誘導 3 体軸形成などの重要な一連の過程を実 すること この内側に嵌 して各組織を誘導する部位を (Spemann の ) 形成体 organizer といい 両生類では原口背唇 鳥類ではヘンゼン結節 node に相当する 発生生物学では 発生における body planning を次のように 3 つに整理する : つまり 1 体軸の確 2 体節の分節化 3 体節の個性化 背腹軸 頭尾軸と並び 左右軸の確 は 体軸確 の 1 つとして重要な位置を占める この体軸確 は ノードが原腸胚形成を引き起こすときに 背腹軸 頭尾軸 左右軸の順でまとめて確 する 左右軸の確 については 線毛の運動異常がある場合は内臓逆位を す ノードの線毛の回転運動が 右から左への 流を作っている 胚発生の一定の時期以降に Nodal や Lefty など 発現に左右差がある分子が出現するなどの状況証拠が積み重なった結果 解答でまとめたような仮説が てられている まだ解明されていない点として つぎのようなものがある 17

18 ノードの 流が何を運んでいるのかがよく分かっていない ノードの 流が左から右へ流れるのは 線毛の生える場所や 向によるが ではなぜこのような非対 称性が作られるのか分かっていない ( つまり 非対称性の起源が確定していない ) さて 遺伝的要因 ( 常染色体劣性遺伝 ) による線毛の運動異常は カルタゲナー症候群という疾患を引き起こすことで知られ 次のような症状がみられる この疾患ではまず 上記の左右軸確 の仕組みがはたらかないため 内臓逆位がみられる これ 体には特に機能的な問題はないが たとえば外科手術の際は ( 外科医が不慣れなので!) 困難が伴う 気道壁には粘膜と線毛があり 体外から侵 する異物をキャッチして 線毛の運動によりそれを排出している これがはたらかないため 気道の各部で炎症が起こり とくに り口付近で慢性副鼻腔炎 また気管支では炎症が進んで気管支壁の線維化が起こり 気管支の不可逆的な拡張 ( 気管支拡張症 ) にいたる 慢性副鼻腔炎では嗅細胞が死滅して嗅覚が失われ 気管支拡張症では感染防御能の低下により結核などにかかりやすくなる 男性の場合 精子に運動性がないため不妊となる 問 22 ー 四肢の構成成分のうち 骨 ( 軟骨 ) は何に由来するのか 一つえらべ ( ア. 体節イ. 肢芽間充織ウ. プラコードエ. 神経冠 )(1 点 ) 23. その軟骨形成の起こり として正しいのはどれか 1つえらべ ( ア. 近位 [ 体幹に近い側 ] から遠位にむけて順にイ. 同時にウ. 遠位から近位むけて順に )(1 点 ) 24. 四肢形成についての講義で Hox11 の欠損による上肢軛脚 ( Radius と Ulna ) 欠損標本の供覧があった Hox11 は転写因子である 転写因子の発現が 骨という構造を作るということにどう結びつくのか 間にありそうな細胞レベルでの出来事について知るところ 思うところを述べよ (3 点 ) < 解答解説 > 22. イ 23. ア 24. Hox 遺伝子はマスター転写因子として 多数の遺伝子の転写を調節する 標的遺伝子には 細胞増殖 細胞分化 細胞接着にかかわる遺伝子が含まれる 四肢形成における Hox 遺伝子の作用には 次のようなものが考えられる Hox 遺伝子 A の産物が肢芽の先端に作用して 転写因子 B を発現させる 転写因子 B は 細胞増殖因子 C や分化抑制因子 D を転写させる そこで転写因子 B を含む部分を先端部として 肢芽が伸 する 伸 後 肢芽の付け根の付近では分化抑制因子 D が届かない そこで他の Hox 遺伝子 E が発現して 細胞の分化や接着を促す因子を転写させることで この部分で軟骨形成が起こる 複数の Hox 遺伝子産物が近位 - 遠位軸に層状に分布することで 近位から順に上腕 前腕 手をつくる また 複数の Hox 遺伝子産物が ( 将来の ) 尺側 - 撓側に層状に分布することで 尺骨と撓骨をつくる 22 と23について まず中胚葉の分化運命を復習しておこう 沿軸中胚葉 体節 真 筋 骨 軟骨 中間中胚葉 泌尿器系の一部 側板中胚葉 性腺 副腎 質 筋 内臓平滑筋 18

19 また 他の選択肢も確認しておく 肢芽間充織は名前の通り 四肢の原基にある間葉 四肢形成は上 - 間葉相互作用の重要な例の 1 つ プラコードは 胚の表 ( とくに頭部 ) にあらわれる肥厚部 ( 高まり ) で 将来は目や耳などの特殊感覚や 脳神経節になる場所 神経冠は神経堤の別名 四肢形成とは 肢芽 ( 将来の四肢になる 胚の高まり ) が伸 して 軟骨や筋肉を分化させ 神経を誘導して手足をつくる一連の過程である ここで問われている軟骨形成の 向性は 肢芽の伸 と密接な関係がある 順に説明しよう 間葉からのシグナルは 肢芽の先端に AER(apical ectodermal ridge; 外胚葉性頂堤 ) という肥厚部をつくる AER は 細胞を未分化状態に保持し 細胞増殖を促すシグナルを出す それによって AER を先端として肢芽が伸 していく AER が 分に伸 していくと 肢芽の付け根部分では AER の増殖シグナルが届かなくなると その部分から軟骨へ分化する このように 伸 する先端部分を未分化に保ち そこから離れた部分が支持構造をつくる これはごく一般的は仕組みで 植物の茎や根の伸 にも同様の仕組みがみられる 増殖を促進 伸 右図に肢芽と AER の模式図を す 肢芽の下の付け根には ZPA という細胞塊がある AER が上述の仕組みで近位 - 遠位のパターンを形成するのに対し ZPA は四肢の上下 ( 親指 - 小指の 向 ) のパターン形成を う こうした AER ZPA は もとをたどれば Hox 遺伝 子産物が誘導しているので 以上の説明は問 24 の 解答に流用した #23 肢芽の伸 と AER com/nature/journal/v408/n6810/fig tab/408313a0 ft.html より 24について まずは Hox( ホメオボックス ) 遺伝子の一般的な性質について 3 つの点にまとめよう 1 Hox 遺伝子は 各体節の個性化を司る 先に発生生物学においては 初期発生の body planning が体軸形成 体節の分節化 各体節の個性化の順で われると述べた Hox 遺伝子は 各体節で Hox シリーズの別個の遺伝子が発現することで 各体節の個性化にはたらく たとえば将来上肢ができる体節で上肢を誘導し 臓ができる体節で 臓を誘導する 2 Hox 遺伝子は マスター転写因子である 転写因子はふつう 複数の遺伝子の転写を促進することができる Hox 遺伝子は 転写因子の遺伝子の転写を促進する その転写因子はさらに別の遺伝子を転写する というように Hox 遺伝子は転写因子ネットワークのかなり上流に位置し 多くの遺伝子の発現を制御することができる 3 Hox 遺伝子では Hox シリーズの一連の遺伝子が順に並んでいる この順番は 各体節での Hox 遺伝子の発現の順番に対応している たとえば HoxA-1 HoxA-2 HoxA-3 は それぞれ体節 7 体節 8 体節 9で発現する ( 数字は適当 ) 19

20 右図で確認しよう ヒトには HoxA D の 4 つがあり 各々が 1 13( 欠番あり ) のシリーズ遺伝子を持っている このシリーズ遺伝子は 体節に沿って 遺伝子の並び順と同じ順序で並んでいる さて右図で上肢での Hox-a と Hox-d の分布をみると Hox-a は上肢の近位から遠位に向かって層状に配置し また Hox-d は撓側から尺側へと向かっても層状に分布している 図から Hoxa-11 は撓骨と尺骨をつくることに貢献し Hoxd-11 の有無は撓骨か尺骨かの区別と対応していると予想できる この予想が正しければ Hoxa-11 を欠損すると撓骨と尺骨の両 が失われることになる #24 ヒト Hox 遺伝子とその発現 新しい発生生物学 P78 より 解答では 細かい知識が必要なことは書けないから ホメオボックス遺伝子についての一般的な説明と 問 23 の解説 (AER と軟骨形成 ) を流用して作成した 問 25.iPS 細胞に関して 過去のいかなる問題 を克服したか 生物学的原理. 注意すべき間題点 を それぞれ簡潔に述べよ (2 点 3=6 点 ) < 解答解説 > 解説を含む詳しい解答を提 することにした い 右に雑誌からとった一般向けの図解を す 植物から任意の組織片を切り出して適当な条件で培養すれば 基本的に元の植物にまで成 する つまりこの植物の組織片は 植物体を構成するすべての種類の細胞に分化する能 を持っていたことになり これを 全能性 #24 四肢発現における Hox 発現 ( 講義プリントより ) とよぶ 動物では 発生中の胎盤胞 epiblast の一部の内部細胞塊 inner cell mass を取り出して適当な条件で培養すると 無限に増殖でき 理論上あらゆる種類の細胞に分化する能 を持つ細胞が得られる この細胞は ES 細胞 (embryonic stem cell; 胚性幹細胞 ) と呼ばれ 1982 年に樹 された ES 細胞に各種の因子を添加して適当な条件で培養することで 神経細胞や 筋細胞のような分化した細胞に誘導する研究が われている その研究の大きな目的のひとつは 再生臓器を用いた移植治療である ES 細胞と分化した体細胞の遺伝子を 較すると 塩基配列はほぼ等しい だが DNA のメチル化やクロマチン化などのエピジェネティックな部分に違いがあり それが各遺伝子の発現量の違いを生み出し ひいては ES 細胞と分化した体細胞の分化能 の違いを生み出している 20

21 ips 細胞 (induced pluripotent stem cells; 人工多能性幹細胞 ) は 分化した体細胞 ( たとえば 膚の線維芽細胞 ) から ES 細胞と同様に多様な細胞に分化する能 を持つ細胞を得る 法で 2007 年に ips 細胞の樹 に成功したことが発表された 分化した体細胞に ES 細胞ではたらくいくつかの遺伝子を導 することで おそらくはエピジェネティックな変化が起こり ES 細胞と類似した遺伝的プロファイルと分化能 を持つ細胞ができると考えられる ES 細胞の問題点は 元となる細胞が受精後すぐの受精卵からしか得られない点にあった そのためとりわけヒトでは ES 細胞の樹 や治療への応用が 倫理 も含めて大きく制限されていた ips 細胞は成熟した個体から得られた体細胞を用いて樹 することができるので この問題点を克服している 当初は ips 細胞の樹 では がん関連遺伝子 を含む 4 遺伝子を ウイルスを用いて 導 していたため ips 細胞は腫瘍組織化しやすい傾向を持ち またウイルスによる遺伝子の損傷も問題となりうる これらの点については がん関連遺伝子を用いない 法や 遺伝子導 ではなく遺伝子 #25 ESCとiPSCの概要 net/news/detail/ac/98cec57e0cab9f3e778261f3ab7bb80 6/ より 産物のタンパクを直接添加する 法などがすでに開発されているが 依然として腫瘍化のリスクは解消されていない ES 細胞や ips 細胞を用いた各種細胞の分化 臓器形成 再生医療の研究が進められている これらについては 1 各種の専門化した細胞に効率的に分化させる 法 2 複雑な臓器をどのように形成するか 3 移植治療時の安全性などで 多くの課題がある また原理的には ES 細胞や ips 細胞から人工的に分化誘導した細胞や組織の生物学的な identity の問題もある ( たとえば ips から誘導した神経組織は 生体内で発生した神経組織と べて 何が同じで何が違うのか?) 問 ヒトの 性決定 のしくみについて簡潔に説明せよ (1 点 ) 27. ヒトの 性分化 のしくみを説明せよ (4 点 +α) < 解答解説 > 両 をまとめて やや詳しい解答を作る 1 性決定 受精時の性染色体の組み合わせによる XX ならば 性 XY ならば男性になる 2 両性に共通した器官形成 発生第 8 週までは 男 で共通の器官形成が われる 生殖腺原基は男 の区別がつかず 生殖管は中 腎管 ( ウォルフ管 ) と中腎傍管 ( ミュラー管 ) の両 を持つ 21

22 3 性腺 gonad( 精巣 testis と卵巣 ovay) の分化 発生第 4 週には 中間中胚葉だった部分が隆起して生殖腺原基 ( 生殖堤 ) ができる 原始生殖細胞は 尿膜付近の卵 嚢壁 ( 内胚葉 ) に出現し 遊 して第 6 週に生殖堤にはいる 発生 8 週以降に 男性では原始生殖細胞で Y 染色体上の SRY(sex-determining region on Y) 遺伝子が発現して転写因子としてはたらくことで 生殖堤は精巣 testis への分化を開始する いっぽう 性では SRY 遺伝子がはたらかないことで 性腺原基はそのまま卵巣へと分化する 生殖堤 ( 生殖腺原基 ) 4 内性器と外性器の分化男性では 精巣の分化が進むと 精巣内のセルトリ細胞がミュラー管抑制因子 (mullerrian inhibiting substance; MIS) を分泌し ミュラー管を退縮させる やはり精巣内のライディッヒ細胞がテストステロンを分泌し ウォルフ管から精巣上体 精管 精嚢を誘導する テストステロン誘導体のジヒドロテストステロンは 未分化の外生殖器を男性化する 尿膜 #27 原始生殖細胞の遊 gilbert 6th より いっぽう 性では ウォルフ管 テストステロンの作用がないため ウォルフ 管は退縮する 体 胎盤 卵巣からエストロゲンが分泌さ 生殖堤 ( 生殖腺原基 ) れる エストロゲンの作用でミュラー管が発 達して 卵管と子宮になる また未分化の外 生殖器が 性化する 5 全 の性分化 精巣 ミュラー管 卵巣 男性ホルモン受容体 性ホルモン受容体は全 のさまざまな組織で発現している 男 ともに両 の受容体を持っており また男性でも少量の 性ホルモン 性でも少量の男性ホルモンを分泌 している これらの性ホルモンは転写因子として はたらいて各組織の遺伝子発現を変化させ 性差 を生み出している #27 性腺の分化 gilbert 6th fig 17.3 より 22

23 性腺 尿管 中腎 ウォルフ管 ミュラー管 精巣上体 精巣 卵巣 卵管 #27 性腺と性管の分化 gilbert 6th fig 17.4 より 問 28. 管と器官形成の関係について述べよ (3 点 +α) < 解答解説 > 曖昧すぎて何を答えたらいいか分からない というのが常識的な反応だろう 適当なストーリを作ってみる 1 脈管新生 vasculogensis と 管新生 angiogenesis 主に胚発生時に 造 幹細胞 (Hemangioblast) から 管内 細胞が分化して 管系が新しく作られることを脈管新生 vasculogensis という いっぽう 既存の 管からの分肢によって 管をつくり 管系が再構築されることを 管新生 angiogenesis という 卵 嚢 #28 脈管新生と 管新生 管新生より 2 循環系の発生と脈管新生 vasculogensis 胚初期発生において 原腸胚形成で内胚葉 ( 腸管 ) ができた直後の第 3 週はじめから 内胚葉の誘導で 管循環が形成されはじめる #28 循環系の発生 1.pdf より 23

24 卵 嚢の内胚葉細胞が その周囲の間葉にはたらきかけて島状の細胞塊 ( 島 ) 島は 管内 および原始 球細胞に分化する このとき 付着茎 ( 後の臍の緒 ) と絨毛膜 ( 後の胎盤の胎児側 ) でも 管形成が われる 咽頭内胚葉の誘導で やはり間葉から 臓の原基 ( 臓発生領域 cardiogenic field) が形成される 第 4 週のはじめに 臓が拍動をはじまるころには 胚全体をカバーする循環系ができあがり また絨毛膜では 体由来の栄養と酸素を受け れる準備が整う すなわち 循環系は他の器官の形成に先んじて形成される 卵 嚢 内胚葉 島 原始 球細胞 間葉細胞 管内 細胞 #28 卵 嚢周辺での 管形成 gilbert fig より 3 器官形成と 管新生 angiogenesis 循環系は発生上 主に腸管の周囲に最初に発達する 第 4 週以降の器官形成では 各器官はすでに全 をカバーしている循環系から 管を分肢させ らに必要な 液の供給ー排出系を確 すると考えられる 右に 腫瘍組織の 管新生の分子機構の模式図を す 腫瘍組織は各種の増殖因子 growthfactor を出して 主に 管内 の受容体にはたらきかける 増殖因子は次のような作用を す 管内 細胞の増殖と誘導 線維芽細胞 平滑筋細胞の増殖と誘導 細胞間接着の調節これらの作用により 管をつくる細胞の細胞間接着を解除して 腫瘍組織へと遊 させ 平滑筋や線維芽細胞で 管としての体裁を整えると考えられる ( 覚えなくてもいいけど ) 上記の作用を担う各因子の名称と主な機能を紹介しておくので 右図と照らし合わせて 作用を想像してみよう #28 腫瘍組織における 管新生の分子機構 /nrd/journal/v6/n4/full/nrd2115.html より VEGF(Vascular Endothelial Growth Factor; 管内 増殖因子 ) は 管内 細胞の増殖にはたらく FGF(Fibrobrast Growth Factor; 線維芽細胞増殖因子 ) は線維芽細胞 平滑筋細胞を増殖させる Angiopoetin は 管内 細胞や壁細胞の接着を促進する 24

25 問 29. 非対称細胞分裂はどのようにして起こるのか そのメカニズムについて 以下の語を適切に使用しながら述べよ ( 外因性シグナル 内因性の運命決定因子 細胞極性 分裂 向 ) (4 点 ) < 解答解説 > またちょっとキビシイ問題 解説を書き下す 非対称細胞分裂とは 1 つの細胞が不均等に細胞分裂しで 異なる 2 種類の 細胞が生じる現象である この現象は発生時にとくに多くみられ 細胞の多 様化を生み出すメカニズムとして重要だと考えられている 非対称細胞分裂の典型的な分子機構として 次のようなものが考えられている 外因性シグナルが細胞の受容体に結合することで 細胞内に物質の偏り ( 細胞極性 cell polarity) が生じる 細胞分裂の結果 偏りのある物質が娘細胞に不均等に配分される この物質が転写因子 ( 内因性の運命決定因子 ) だった場合 つの娘細胞では遺伝子の発現状態が変わり ( つまり分化ステータスが互いに違うようになり ) 異なる種類の細胞になる 非対称細胞分裂の例として知られるのは 発生時の神経管での神経組織形成である ( 下図 ) 神経管は当初 脳室を取り囲む単層の上 として形成されるが さかんに増殖して多層化し 周囲の神経組織を形成する このときの神経管は 種類の細胞分裂を うと考えられる すなわち 平分裂 ( 対象分裂 ) と垂直分裂 ( 非対称分裂 ) である 後者の分裂では 娘細胞のひとつは幹細胞としての未分化性を維持し もうひとつはより分化したニューロンとなって 脳の表 に向かって遊 する このように神経管では 分裂 向が異なる 種類の細胞分裂を交互に うという 特殊な細胞分裂パターンを持っている #29 非対称分裂の基本メカニズム ca/biology/desmid/brian/biol3530/db Ch01/ DBNHist.html より #29 神経上 細胞の 平分裂と垂直分裂 より 成体での非対称細胞分裂の典型例は 幹細胞 stem cell の場合である 幹細胞は たとえば小腸上 の奥まったところにあり 無限 (?) に増殖 分裂を繰り返して 絶えず失われていく小腸上 細胞を供給している 幹細胞は非対称分裂を って 未分化なままの娘細胞 ( 幹細胞 ) と分化した娘細胞をつくる 仮に幹細胞が非対称分裂を うことができなかったらどんなことが起こるだろうか? 対称的に分化した幹細胞の一部が外因性シグナルによって分化するという機構が考えられるが これだと幹細胞が 25

26 増えすぎてしまったり 逆にシグナルが強 すぎてすべての幹細胞が分化してしまい <ちょうど適量の幹細胞数を維持する>ことができなくなると考えられる #29 小腸上 における幹細胞のはたらき より 2, 選択問題 (A D から 2 問を選べ : 何を選んだか明記のこと ) A. 椎骨の数は動物によって異なる ヘビでは 個の椎骨をもつものもある 哺乳類や鳥類でのメカニズムについて学習したことを踏まえて ヘビにおける 多数椎骨 の形成原理について想像 推論を せ (25 点 ) 2008 年の Nature の News&Views に掲載された記事を意識した出題である 以下にこの記事からキャプションの和訳と Figure2 を引用する 発生生物学 : ヘビの分節時計はより速く進む ヘビの くて美しい体には数百個の椎骨がある この極端な形態は 体のパターン形成を調節している 発生時計に 進化の途上で変更が起こったことに由来する Figure2 の説明部分がそのまま解答になるだろう 以下に試訳を す 体節形成の加速 a. 体節とは脊椎動物の胚にみられる規則的な分節構造であり 体節からは脊椎を含む骨格と骨格筋やその他の組織を形成する この体節は 時計と波 clock-and-wavefront モデルによってつくられる 時計 遺伝子によって駆動する周期的な遺伝子発現の波は 予定体節中胚葉 (presomitic mesoderm;psm) の頭側端に達して 神経管の左右に 周囲から区切られた体節組織ブロックをつくる b. ヘビ ( 右図 ) では この時計パーツが より体の短い動物 ( 左図 ) と べて ( 相対的な上昇率で ) 4 倍はやく進んでいる これによって ヘビではより多く より小さい体節が形成される 26

27 B. 以下の論 ( 本医学部産婦人科の梶 先生らによる ) を読み 問いに答えよ ( 合計 20 点 ) 1. に るべきものは (Patched, ApoER2, CXCR4, CSCL12, IL6) のうちどれか (3 点 ) 2. この SDF1 - axis は どのような生命現象において機能しているか 正常な営みの例を挙げよ (5 点 ) 3. この SDF1 - axis は この論 では どのような問題に関連して問われ 議論されているか 背景 研究の目的について記せ (4 点 ) 4. 卵巣の epithelium および peritoneum の表 の細胞 ( mesothelial cells 中 細胞) は 共通の 胚葉 由来であるが それは何 胚葉 か (3 点 ) 5. この研究でどのような調査が われ どんなことが分かったか (5 点 ) ( 注 1:SDF1α というのは ヒトにある 2 つの SDF1 の splice variants のうち量が多く重要度の高 いもののことです 難しく考えず 単にこれまでに体験した SDF1 と思って問題に向かって下さい 注 2:dissemination = 播種 播き散らし carcinoma = ガン ) 27

28 < 解答解説 > 1.CXCR4 こんなの知らないよ! という感じですが 2007 年やそれ以前の過去問で リガンドと受容体のペア が問われていました 2. 病原性微生物に感染したとき プレ B 細胞の遊 を促し 獲得免疫反応にあたらせる 本 の第三段落の次の部分がそのまま解答になる SDF-1a is a chemokine of the CXC subfamily originally characterized as a pre-b-cell stimulatory factor and cloned from bone marrow cell supernatant.3 SDF-1a exerts its activity by interacting with the CXCR4 receptor. ( 試訳 )SDF-1a は CXC サブファミリーのケモカインで もともとはプレ B 細胞刺激因子として同定され 骨髄細胞の上清から採取してクローニングされた SDF-1a は CXCR4 受容体と相互作用することで その生理活性を発揮する 3 年の免疫学で学ぶが ケモカインは 主に感染や外傷があった部位で産生され 免疫系の細胞を遊 させるシグナルとしてはたらく一連の分子のこと 繰り返しになるが作用をまとめておくと : 感染 傷害部位の細胞が SDF-1a を分泌する 28

29 SDF-1a と結合する CXCR 受容体を持つプレ B 細胞は SDF-1a を目印にして感染場所に遊 して きて 獲得免疫反応にはたらく 3. 卵巣上 がんのがん細胞は 腹膜腔の HMPCs という細胞に着床することで転移することが知られ る この研究の目的は 免疫細胞の遊 に使われる SDF-1a/CXCR4 のカップリングの仕組みが この 転移において用いられているかどうかを確認することである Abstract 冒頭の次の 章がそのまま解答になる Epithelial ovarian carcinoma (EOC) spreads by implantation of tumor cells onto the human peritoneal mesothelial cells (HPMCs) lining the peritoneal cavity. The aim of this study was to determine whether the stromal cell-derived factor-1a (SDF-1a)/CXCR4 axis is involved in the interaction of EOC cells with HPMCs in peritoneal metastasis. ( 試訳 ) 卵巣上 がん (EOC) は がん細胞が 腹膜腔にある腹膜中 細胞 (HPMCs) に着床することで転移する この研究の目的は SDF-1a/CXCR4 のカップリングが EOC 細胞と HMPCs の相互作用に用いられているかどうかを確認することである 4. 中胚葉 これは知識問題 外 中 内 はいずれも上 組織で 外 外胚葉 中 中胚葉 内 内 胚葉だから覚えやすい 5. ステージⅠの卵巣上 がん EOC を 36 例集めて切片をつくり 免疫組織化学の手法を用いて CRCX4 の発現を確認した すると 16 例では CRCX4 が発現しており また CRCX4 が発現していた患者は 発現していない患者と べて有意に予後が悪かった CRCX4 は EOC にも HMPCs にも発現していたが SDF-1a の発現は HMPCs のほうが多かった SDF-1a は EOC と同様に ES-2 細胞と HMPCs の接着も促進する SDF-1a を阻害する AMD3100 という薬剤は SDF-1a の接着促進作用を阻害する さて ヌードマウス ( 免疫機能がないマウス ) を用いて 次の実験を った : ヌードマウスに ES-2 細胞を注射すると ES-2 細胞と HMPCs の接着がみられた ヌードマウスに ES-2 細胞を注射し かつ腹膜腔に AMD3100 を れると ES-2 細胞と HMPCs の接着がみられなかった 以上の結果から 次の 2 点が 唆される SDF-1a と HMPCs の接着促進作用は 卵巣上 がんでも利用されている SDF-1a の阻害剤 AMD3100 は 卵巣上 がんに対する分子標的薬に応用できる可能性がある 以上は Abstract の内容をまとめただけ C. 頭頚部の発生に関して説明せよ ( 合計 20 点 ) 1. 頭蓋骨 ( 前頭骨 頭頂骨など ) の作り主は 何か (3 点 ) それが頭蓋骨を作ると分かったのはど ういう研究のおかげか (5 点 ) 29

30 2. なぜヒトの胚は 少なくとも途中までその顔つきが ネズミ, ニワトリ, エル, などの胚の顔と似ていて なぜこれらの動物は皆 神経解剖学で皆さんが当時は ヒトのもの として学習したはずの 三叉神経 や 顔 神経 というものを持っているのか (7 点 ) 3. とはいえ と哨乳類では明確な違いも当然あるが 違いの例として 耳小骨または大 管について説明せよ (5 点 ) < 解答解説 > 1. 神経堤 neural crest 発生中の胚の神経堤前駆細胞を蛍光色素で標識し 発生によってどこに移動し何に分化するのを追跡する 神経堤の分化運命は付録を参照 発生生物学の古典的な実験といえば 100 年前から 標識 および 移植 だが 現在では単一細胞の標識が可能になって そこで神経堤細胞の運命も詳しく調べることができるようになった #C 鰓 の由来 jp/anatomy/tmj1/fig1branchorg.jpg より 2. 脊椎動物は 発生時に の鰓 ( エラ ) に由来する鰓 branchial arch という構造を共通して持つ 顔 や口咽頭を構 成する部品 ( 筋肉 神経 膚 骨格など ) は鰓 に由来する 3. 大 管について述べる 下図左のように 類では鰓 に沿って左右で 6 対の大動脈 があるが ヒトでは 番目の大動脈 が発生中に退縮し 残りの大動脈 (3 4 6) もかなりの形態が変化して 結果として成人にみられるような 臓上部の大 管が形成される #C 鰓 神大医学部後期発生学講義ノート P4 より #29 大動脈の発生神大医学部後期発生学講義ノート P16 より 30

31 D. 以下の図や論 を参考に 問いに答えよ ( 合計 20 点 ) 1. 図 1(A,B) はコンディショナル ノックアウトマウス (cko) の作製法について書かれた図である 図の内容を説明せよ (3 点 ) 2. 図 1の様にコンディショナル ノックアウトマウスを作製した場合 通常のノックアウトマウスを利用した場合と べてどのような研究が可能となるか (2 点 ) また Cre マウスの利用法はコンディショナルノックアウトの他にどのようなものがあるか (2 点 ) 3. 図 2は Shh のコンディショナル ノックアウトマウスと Hedgehog signaling の伝達に必要な Smo のコンディショナル ノックアウトマウスを用いた研究に関する論 の一部である Stem cell Niche( 幹細胞ニッチ ) とは何のことか (2 点 ) また 中枢神経系の中で オトナになってもニューロンを産生する場所があるがそれはどこか (2 点 ) 4.Shh は発生過程においてどのような役割を担っているか 中枢神経系における役割 ( 論 を参考に ) (4 点 ) や他の組織での役割 (5 点 ) について知っていることを挙げよ 31

32 < 解答解説 > 1と2. Cre と loxp は 部位特異的組み換えを起こすタンパクおよび塩基配列である この部位特異的組み換えは 大腸菌にバクテリオファージ P1 が感染した際に ファージが らのゲノムを複製するために う loxp で特定の塩基配列を挟むように配置してやると Cre タンパクの作用で挟まれた塩基配列を切り出すことができる 右図のように ノックアウト ( 不活性化 ) したい遺伝子 A の上流と下流に loxp 配列を挿 する また別のマウスに Cre 遺伝子を導 する 両者をかけあわせて loxp と Cre が両 とも導 された F 1 マウスをつくる 32

33 Cre 遺伝子を 発現時期が既知 ( たとえば 成熟個体でしか発現しない遺伝子 ) のプロモーターの下流に挿 することで F 1 マウスは 発生から子ども時代は遺伝子 A を発現するが 成熟個体になってからは遺伝子 A を発現しない そこで この 法を用いることで ノックアウトすると発生できないような致死遺伝子を 成熟個体になってから発現させて 成熟個体でのその遺伝子の機能を分析することができる 遺伝子 A の上流と下流に loxp 配列を挿 するとき 下流の loxp 配列を逆向きにして挿 すれば 遺伝子 A の切り出しではなく逆位 ( 逆向き #D コンディショナル ノックアウトマウス作成 部位特異的組換えより につなぎ直す ) を起こすことができる この点を利用して たとえば遺伝子 A を最初は逆向きに れておき 成熟個体になってから逆位を起こして遺伝子 A を有効化するという 条件的遺伝子修復という操作を うことができる 3. 幹細胞ニッチは幹細胞に影響を与える微小環境であり いわば幹細胞のゆりかごである 幹細胞とニッチの相互作用により 幹細胞の維持と機能調節が われている 中枢神経系のうち嗅球や側脳室前 上衣下層 (SVZ) 海 状回では 成熟個体でもニューロン新生が起こっていることが分かっている #D 幹細胞ニッチ ( 左 ) と成熟個体のニューロン 新生 ( マウスの例 ) 4. 終脳の幹細胞ニッチを維持する 発生時 脊索と神経管の底板から分泌されて 脊髄の ( 左 ) jp/press/091120/ html ( 右 ) #D Shh(Sonic hedgehog) は BMP とともにはたらき 脊髄の背腹軸に沿った神経の分化を引き起こす #D Shh(Sonic hedgehog) は 体節にはたらきかけて椎版を形成する ラングマン 8 版 P177 33

34 神経細胞の背腹軸に沿った分化を誘導する 同様に脊索と神経管の底板から分泌されて 体節の EMT を引き起こし 椎板をつくる 四肢形成において ZPA(zone of polarizing activity; 極性化域 ) から分泌され 四肢の親指 - 小指 向のパターン形成にはたらく 34

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