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1 電子コンテンツ導入 利用の 現状と課題 早稲田大学図書館笹渕洋子 平成 25 年度大学図書館職員短期研修京都大学 : 平成 25 年 10 月 3 日東京大学 : 平成 25 年 11 月 7 日 1

2 1. コンテンツ整備に係る環境の変化と利用の動向 2. 電子ジャーナルの契約 3. 課題解決に向けた出口戦略 1. コンソーシアムの取り組み 2. オープンアクセスの取り組み 2

3 1. コンテンツ整備に係る環境の変化と 利用の動向 1.1 雑誌価格の上昇 Library Journal(online): Periodicals Price Surveyより 3

4 全 体 百万円 1.2 資料購入費の減少 90,000 80, , , , , , , , % 電子ジャーナルその他雑誌図書対総経費比率 1 大学あたり 百万円 電子ジャーナルその他雑誌図書 大学図書館実態調査結果報告 学術情報基盤実態調査結果報告より 4

5 1.3 購入雑誌数の推移と電子ジャーナル の導入状況 雑誌タイトル数 電子ジャーナルタイトル数 和雑誌 洋雑誌 国立 (EJ) 公立 (EJ) 私立 (EJ) 年 度 0 大学図書館実態調査結果報告 学術情報基盤実態調査結果報告より 5

6 1.4 電子ジャーナル利用の増加 : 2001 国大図協 使わない 34% ときどき使う 22% よく使う 44% 自然科学系 2003 国大図協 使わなときいどき 16% 使う 22% よく使う 62% 使わない 38% 2004PULC ときどき使う 18% よく使う 44% ときどき使う 13% 2007 SCREAL 使わない 5% よく使う 82% ときどき使う 16% 2011 SCREAL 使わない 8% よく使う 76% SCREAL2011 調査報告より 6

7 1.5 電子ジャーナル利用の増加 : 人文社会科学系 2001 国大図協よく使う 9% 使わない 84% ときどき使う 7% 2003 国大図協 使わない 64% よく使う 18% ときどき使う 18% 使わない 74% 2004 PULC よく使う 11% ときどき使う 15% 2007 SCREAL 2011 SCREAL 使わない 32% ときどき使う 27% よく使う 41% 使わない 29% ときどき使う 26% よく使う 45% SCREAL2011 調査報告より 7

8 各出版社電子ジャーナル購読数 図書貸出冊数複写枚数8 1.6 電子ジャーナル利用の推移 : 早稲田の場合 1,400,000 1,200,000 1,000, , , , , ,000,000 5,000,000 4,000,000 3,000,000 2,000,000 1,000,000 0 J STAGE(2006 JUN. ) Cambridge Journals Online SCIENCE (2005 Jan. ) Oxford Journals SAGE Premier (2008 Jan. ) IEL Nature JSTOR Taylor & Francis Online Springer Link Wiley Online Library (2005 Jan. ) ACS Web Publications CiNii(2005 APR. ) ScienceDirect 図書貸出冊数複写枚数

9 1.7 電子ブックの利用状況 Q21 電子書籍 ( 文献 ) を表示できる端末を 研究 教育に関連する資料のために利用していますか? 自然科学教員 (n=2,124) 15.6% 7.9% 47.0% 29.5% 自然科学大学院生 (n=729) 17.4% 10.3% 50.2% 22.1% 人文社会科学教員 (n=722) 19.0% 8.3% 49.2% 23.5% 人文社会科学大学院生 (n=308) 22.1% 11.0% 40.6% 26.3% 利用している 利用したことはないが 今後は利用したい 利用したことがある 利用したことはないし 今後も利用しないと思う SCREAL2011 調査報告より 9

10 1.8 電子ブックの利用状況 : 提供元別 ScienceDirect (Elsevier) SpringerLink Wiley Online Library Oxford Univ. Press Cambridge Univ. Press Taylor & Francis Apple ibookstore 週に 1 回以上 月に 1 2 回程度 利用したことがある 知ってはいるが利用したことはない知らない Amazon Kindle Store Google ブックス Safari (Safari TechBooks Online) ebrary NetLibrary 0% 20% 40% 60% 80% 100% SCREAL2011 調査報告より 10

11 1.9 電子ブック利用の推移 : 早稲田の場合 90,000 80,000 Dissertations & Theses (PQDT) HCPP 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 ebrary NetLibrary The Making of the Modern World EEBO(Early English Books Online) Eighteenth Century Collections Online Emerald ebook Cambridge ebook Wiley ebook 年度 2008 年度 2009 年度 2010 年度 2011 年度 2012 年度 Springer ebook Springer, Wiley 購読開始 Cambridge 購読開始 ebrary 購読開始 11

12 1.10 Springer 電子ジャーナルおよび 電子ブック利用の推移 : 早稲田の場合 120, ,000 80,000 60,000 ebook ejournal 40,000 20, Springer ebooks 導入 Online Journal Archive の追加 SBA の追加 12

13 1.11 Springer 電子ブック分野別 ダウンロードの割合 : 早稲田の場合 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% Professional and Applied Computing Physics and Astronomy Medicine Mathematics and Statistics Humanities, Social Sciences and Law Engineering Earth and Environmental Science Computer Science Chemistry and Materials Science Business and Economics Biomedical and Life Sciences 10% 0%

14 2. 電子ジャーナルの契約 冊子体 入手スピード輸送時間 受け入れ業務時間タイムラグなし 電子ジャーナル 利用場所 時間図書館の利用条件による図書館外からも 24 時間利用可能 同時アクセス不可多くの場合制限なし 将来の利用保証現物が手元にあり安定コンテンツは提供側にあり不安定 購入単位 基本的にタイトル単位 タイトル単位のほか パッケージ 単位 論文単位でも購入可能 受入 2.1 冊子体と電子ジャーナルの比較 1 冊ごとの受け入れ業務欠号の督促業務が必要 保存スペース必要 狭隘化の課題不要 なし 欠号も生じない アクセス障害対応は必要 利用統計取得困難多くの場合取得可能 14

15 2.2 パッケージ契約とアグリゲータ契約 パッケージ契約 アグリゲータ契約 収録タイトル 自社のタイトルのみ 主題 分野により出版社を 横断して収録 利用可能範囲 一定時期より最新号まで 古い部分から利用可能だ が 最新刊部分にエン バーゴがある場合が多い 契約終了後のアクセス購読タイトルは利用可能利用不可 タイトル数 出版社の刊行タイトルほぼ全て コレクションにより大小様々 支払額高い比較的安い 15

16 2.3 電子ジャーナル購読タイトル数の 推移と内訳 ( 国公私別 ) JUSTICE 契約状況調査より 16

17 2.4 パッケージ契約 (Big Deal) の構造 ある出版社から購読しているタイトル ( 購読規模 ) を維持 非購読誌アクセス料金の追加支払い この条件を満たせば 当該出版社が発行している雑誌を購読誌 / 非購読誌にかかわらず全て電子で読むことが可能 従来購読していない雑誌 ( 非購読誌 ) 非購読誌へのアクセス料金 読むことができるタイトル 支払額 従来から購読している雑誌 ( 購読誌 ) 17

18 2.5 パッケージ契約の価格要素 BASE PRICE: 契約開始時点で購読していた雑誌の総額 契約額算出のベースとなる FTE(Full Time Equivalent): 専従 ( フルタイム ) 構成員換算数 Tier: FTE や大学の規模 利用量などにより大学をランク分け サイトライセンス : 大学などの組織単位での契約 プライスキャップ : 価格上昇率の上限 (%) DDP(Deeply Discounted Price): パッケージ契約をする場合に設定される 冊子体の割引価格 E only: 冊子体を購読せず電子ジャーナルのみを契約する形態 18

19 2.6 電子ジャーナルの支払モデル 定額制 支払額の予測が可能 予算をたてやすい 毎年価格上昇あり 従量制 利用統計により翌年の契約額を決定 支払額が変動 予算確保が困難 利用促進に足枷 Pay per view 前払いトランザクション 読みたい論文をすぐに入手できる 個人での利用可能 コレクションの構築 保存にはつながらない 19

20 2.7 パッケージ契約の課題 アクセス権の保証は購読誌のみアクセスゼロのタイトルの存在大手出版社による寡占出版社主導の値上げ購読規模維持モデルの硬直性タイトル単位での中止による微調整不可 Win Win 関係の崩壊 20

21 3. 課題解決に向けた出口戦略 コンソーシアムとは 複数の参加機関が共同して電子ジャーナルなどを購入するため形成する連合体 形態 コンソーシアムの取り組み 交渉 契約 支払などの全てを一元化 交渉を一元化 契約 支払は個別 コンソーシアム間の連携 ICOLC(International Coalition of Library Consortia) 21

22 3.1.2 大学図書館コンソーシアム連合 (JUSTICE) JUSTICE: Japan Alliance of University Library Consortia for E Resources 設立 : JANUL コンソーシアムと PULC を統合して発足 設立準備総会を開催 目的 : 電子リソースに係る契約 管理 提供 保存等を通じて我が国の学術情報基盤の整備に貢献する 参加費 : 大学の規模により 3 区分に設定し 2013 年度より徴収 参加機関 : 496 館 ( 現在 ) 事務局 : 会員館からの出向による専任職員 3 名の事務局を NII 内に設置された図書館連携 協力室に配置 22

23 3.1.3 JUSTICE の運営体制 JUSTICEウェブサイトより 23

24 3.1.4 JUSTICE の活動 出版社等との交渉による電子リソースの購入 利用条件の確定 * 交渉を一元化 契約 支払は個別 大学提案説明会の開催 ( 東京工業大学 ) 契約状況調査の実施 ( 毎年 5 月 ) 電子ジャーナルのバックファイルや電子コレクションの拡充 電子リソースの管理システムの共同利用 電子リソースの長期保存とアクセス保証 電子リソースに関わる図書館職員の資質向上 : 実務研修生の受け入れ 広報活動 情報収集 広報誌 Jusmine の刊行 他コンソーシアムとの情報交換 24

25 3.1.5 電子ジャーナル導入実績 : 国外雑誌 出版社別 その他 30% 出版社別支出額 ( 冊子 + 電子 )(2012) Elsevier 34% 11 社 (RSC,IOP, etc) 2% CUP 1% APS 1% Sage 1% OUP 1% LWW 2% ACS 2% IEEE 2% Taylor & Francis 2% Nature 5% Springer 7% Wiley 10% JUSTICE 契約状況調査より 25

26 3.1.6 電子ジャーナルバックファイルの整備 年 製品 交渉主体 2003 Oxford University Press NII 電子ジャーナルバックファイル ( ) 2005 Springer 電子ジャーナルバックファイル ( ) 2006 Oxford University Press 電子ジャーナルバックファイル ( ) 2011 Springer 電子ジャーナルバックファイル ( ) * カレント契約とバックファイル購入のセット NII, JANUL, PULC NII, JANUL, PULC JUSTICE 提供出版社サイト NII REO(NII Repository of Electronic Journals and Online Publications) 26

27 3.1.7 バックファイルの購入状況 出版社 Elsevier Wiley Blackwell Springer NPG(Nature 本誌 ) 購入済み購入中購入予定購入しない無回答 Taylor & Francis OUP 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% JUSTICE 電子ジャーナル バックファイルに関するアンケート調査より JUSTICE 電子ジャーナル バックファイルに関するアンケート調査より 27

28 3.1.8 人社系コンテンツの整備 年製品交渉主体 C/20C House of Commons Parliamentary Papers (HCPP) ( 英国議会下院文書 ) 2010 The Making of the Modern World (MoMW) ( ゴールドスミス クレス文庫 ) C House of Commons Parliamentary Papers (HCPP) ( 英国議会下院文書 ) 2012 The Making of the Modern World II (MoMW II) ( ゴールドスミス クレス文庫 ) (19 世紀後半以降 ) NII, JANUL, PULC NII, JANUL, PULC JUSTICE JUSTICE 28

29 3.1.9 電子ブックの整備 契約モデル 買い切り型 年間購読型 PDA(Patron Driven Acquisition) 契約単位 タイトル単位 分野 出版年によるパッケージ 特徴 同時アクセス数 ダウンロードオプション 29

30 電子ブック平均購入タイトル数の 推移 ( 国公私立別 ) JUSTICE 契約状況調査より 30

31 3.2 オープンアクセスの取り組み オープンアクセス誌の急増 31

32 3.2.2 オープンアクセス誌のシェアの拡大 Web of Scienceより 32

33 3.2.3 主要オープンアクセス誌における 日本発 OA 論文数の推移 Nature Sci.Rep Hindawi PLoS BMC Scopusより 33

34 3.2.4 OAPEN によるブックのオープンアクセス化 OAPEN: Open Access Publishing in European Networks OAPEN Newsletter June 2013より 34

35 3.2.5 国内の機関リポジトリ設置数の推移 国立公立私立短期高専大学共同その他 機関リポジトリ構築数 国立大学 86 公立大学 33 私立大学 180 その他 77 合計 376 ( 平成 25 年 8 月末時点 ) NIIより 35

36 3.2.6 タイプ別コンテンツ数内訳 コンテンツタイプ 登録コンテンツ数 研究報告書 2% テクニカルレポート 1% 図書 1% データ データベース 一般雑誌記事 4% 4% その他 13% 学術雑誌論文 16% 学位論文 4% 学術雑誌論文 194,011 学位論文 50,558 紀要論文 632,271 会議発表論文 18,997 会議発表用資料 5,147 図書 12,871 テクニカルレポート 9,969 研究報告書 27,199 一般雑誌記事 44,296 プレプリント 345 会議発表用資料 1% 会議発表論文 2% 紀要論文 52% 教材 3,441 データ データベース 52,413 ソフトウェア 26 その他 157,478 合計 1,209,022 IRDB コンテンツ分析システムより 2013 年 8 月 31 日現在 36

37 3.2.7 著者支払モデルによる オープンアクセス 購読誌の費用負担モデル ( 従来型のモデル ) 著者 投稿 出版者 ジャーナル 購読費 アクセス権 読者 = 購読者 オープンアクセスジャーナルの費用負担モデル 著者 所属機関助成団体 投稿 出版者 ジャーナル 無料公開 読者 = すべての人 投稿料 掲載料 Web 掲載料 オープンアクセス料 etc. 37

38 3.2.8 著者支払モデルによる オープンアクセス 従来の購読料にかわって 著者が支払う APC(Article Processing Charge, 論文出版加工料 ) によってオープンアクセスジャーナルの出版費用をカバー モデル 雑誌の全論文をオープンアクセス化 著者が選択 ( ハイブリッドモデル 著者選択型 ) APC と購読料の二重払いの懸念 38

39 3.2.9 COPE Compact for Open-Access Publishing Equity 大学が著者に代わって論文出版加工料を支払うことを保証することでオープンアクセスジャーナルを育成する取り組み 論文の投稿先決定の際 出版料モデルの OA ジャーナルと購読料モデルのジャーナルの公平性を確保する ここに署名した各大学は 所属する教員によって著された論文のうち 購読料ベースのオープンアクセス誌で出版される論文 および他の研究機関が費用を負担できない論文に対し 大学が適切に出版料を引き受けることができるような 永続的なメカニズムの創設に取り組む 参加機関 :Harvard University をはじめとする 19 機関 ( 現在 ) 39

40 SCOAP 3 Sponsoring Consortium for Open Access Publishing in Particle Physics 高エネルギー物理学分野 (HEP) の査読付きジャーナル論文のオープンアクセス化を目的とした国際連携プロジェクト スイスの CERN( 欧州原子核研究機構 ) が中心となる 研究者コミュニティーによる取り組み 対象誌 :10 誌 経緯 2007 CERN 所長から日本への提案 高エネルギー加速器研究機構 国公私立大学図書館協力委員会 NII の三者が共同で EOI( 関心表明 ) に署名 連携 協力推進会議 SCOAP 3 タスクフォースが対象誌購読状況調査を実施 購読コスト削減額 ( 拠出額 ) の算出 2014 からの運用開始を目指す 40

41 従来のモデル NIIウェブサイトより 41

42 SCOAP 3 のモデル NIIウェブサイトより 42

43 CLOCKSS Controlled Lots of Copies Keep Stuff Safe アクセスの保障と恒久的保存の課題解決に向けた取り組み 出版社と図書館の共同プロジェクト ダークアーカイブ : 何らかの事情が発生した場合に限り出版社に代わって電子資料をオープンアクセスで提供 国立情報学研究所がアジアにおけるノードとなり 日本の実務レベルの窓口を担当 参加機関 :84 機関 ( 現在 ) 43

44 CLOCKSS 概念図 NIIより 44