要件 2: 濫用行為 要件 3: 公正競争阻害性 4 不公正な取引方法のサンクション 排除措置命令(20 条 ) 課徴金納付命令(20 条の2~20 条の6) 25 条等を根拠に損害賠償請求も可 24 条による差止請求可 2. 各種報告書の概要 業界別留意点 (1) 第 4 次産業革命に向けた横断的

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1 欧米 日本における独占行為規制と企業戦略 弁護士 NY 州弁護士山田浩史氏 2017 年 3 月 28 日 13:30~16:30 1. 欧米 日本における独占行為規制の概要 (1) 米国 : シャーマン法 2 条 要件 1: 独占力の存在 : シェア 50~70% 程度か 要件 2: 意図的な独占力の形成又は維持行為 : 競争制限効果と競争促進効果を比較衡量して違法性を判断する傾向にある サンクションとしては 契約破棄 事業活動禁止 事業譲渡 処分の例もある 罰金は事実上ない 民事で 3 倍賠償請求あり 争い方: 要件 1と要件 2の否定 (2) 欧州 :EU 条約 102 条 要件 1: 市場支配力 要件 2: 競争制限効果と競争促進効果の比較衡量 米国に比べ要件認定が緩い 排除型に加えて搾取型も規制対象 サンクション: 行政制裁金 民事訴訟不活発 (3) 日本 : 私的独占 (3 条前段 ) と不公正な取引方法 (19 条 ) の 2 段構え 1 私的独占 要件 1: 排除又は支配行為 要件 2: 競争の実質的制限 : 市場支配力の形成 維持ないし強化 排除型私的独占ガイドラインでは市場シェア 50% 超事案が優先的審査対象 サンクション: 排除措置命令 (7 条 ) 課徴金納付命令(7 条の2 第 2 項 第 4 項 ) 刑事罰 (89 条 ) あるも事例なし 25 条等を根拠に損害賠償請求も可 2 不公正な取引方法 ( あ ) 拘束条件付取引 (2 条 9 項 6 号ニ 一般指定 12 項 ) 要件 1: 不当拘束 要件 2: 公正競争阻害性 ( い ) 取引妨害 (2 条 9 項 6 号ヘ 一般指定 14 項 ) 要件 1: 競争関係 要件 2: 妨害行為 要件 3: 公正競争阻害性 ( う ) 優越的地位濫用 (2 条 9 項 5 号 ) 要件 1: 優越的地位 1

2 要件 2: 濫用行為 要件 3: 公正競争阻害性 4 不公正な取引方法のサンクション 排除措置命令(20 条 ) 課徴金納付命令(20 条の2~20 条の6) 25 条等を根拠に損害賠償請求も可 24 条による差止請求可 2. 各種報告書の概要 業界別留意点 (1) 第 4 次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書 と IT/e コマース業界 1アプリストア事業とアプリ事業者との取引実態 スマートフォンの OS シェアは アップルの ios が 7 割 グーグルの Android が 3 割で寡占状態 スマートフォンのユーザーはアプリケーションソフトを利用するさいに OS に合わせてインストールされているアップルの App Store グーグルの Google Play からアプリを検索しダウンロードすることが多い 本報告書は OS 提供者 =アプリスストア事業者とアプリケーションソフト提供者 =アプリ事業者との取引実態を確認した 2 取引実態 ( あ ) 高額手数料 : アプリストア業者は アプリ事業者に対して自らを経由しない決済手段を原則禁止し 経由することで売上の 30% 程度の手数料を徴収している ( い ) 硬直的価格体系 : アプリストア事業者は アプリ事業者に対して自ら定めた価格表を使用させている ( う ) 共通仮想通貨の使用禁止 : 複数アプリを提供するアプリ事業者における共通仮想通貨の使用を禁止していている ( え ) 競合アプリの排除 : アプリストア事業者自ら提供するアプリと競合するアプリの提供を排除している ( お ) 不透明な返金処理 : ユーザーへの返金処理がおこなわれても アプリ事業者に対する手数料の返還がない ( か ) 不必要に広範な秘密保持契約の締結 : アプリストア事業者がアプリ事業者から徴する秘密保持契約は不必要に広範な内容となっている 3 独占禁止法上の問題点アプリストア事業者の行為が私的独占 不公正な取引方法 ( 拘束条件付取引 取引妨害 優越的地位の濫用 ) に該当する可能性がある (2) 第 4 次産業革命に向けた横断的制度研究会 に加え 報告書データと競争政策に関する検討会 もデータの集積活用の競争への影響を検討開始した 1データの大量集積 利用による市場支配力形成の可能性 2 市場画定への影響 ( 消費者から対価をとらない無料市場とプラットフォームを介して事業者と消費者をそれぞれ需要者とする多面市場の出現 ) (2) 携帯電話市場における競争政策上の課題について と通信業界 2

3 1MNO 市場と MVNO 市場 MNO 市場 :NTT ドコモ :45.3% KDDI:29.3% ソフトバンク:25.3% MNO:MVNO=93.1%:6.9% 2 端末市場アップル :55.5% ソニーモバイル:15.5% シャープ:7.3% 京セラ:4.7% LG:3.5% SIM:SIM フリー =90.6%:9.4% 3MVNO 参入阻害 ( あ ) 通信契約と端末販売を一体として端末価格を通信価格から割り引くことで MVNO を排除 ( い )SIM ロック ( う )2 年縛り ( え )HLR(Home Location Register)HSS(Home Subscriber Server) へのアクセス拒否 4 端末の流通慣行 ( あ ) 割賦契約の総額を機種毎に固定し販売代理店に価格設定させない ( い ) 中古端末の高値買い取りと流通禁止措置 5アプリケーション市場における課題 OS 提供事業者が端末メーカーに対してライセンス契約の付帯条件を付けることで新規参入 技術革新を阻害 (3) 適正な電力取引についての指針 バンドルディスカウントに関する検討会 と電力 ガス業界 1セット割引に対する懸念 セット割引は消費者に利益あり競争促進的である一方でセット割引が出来ない事業者を排除する可能性あり Discount Attribution Test: 商品 A と商品 B の割引合計額を 競争的商品である商品 B の単体価格から引いた価格が商品 B の原価割れとなるか否かを検討する 原価割れとなれば商品 B のみを販売する事業者は排除される 原価割れとならなければ商品 B のみを販売する事業者は排除されないという目安 2 長期契約に対する懸念 ( あ ) 適正な電力取引についての指針 の 不当な違約金 清算金の徴収 において長期契約に不当な違約金 清算金条項により需要家に契約解除を断念させ 他の小売業者との契約を排除する可能性が指摘されている ( い ) 欧州委の指針では 市場シェアが 30% 未満であれば競争法上の問題が生じる可能性は低いこと また 1 年以上の契約が市場の 20% 以下であれば競争法上の問題が生じる可能性は低いこと ( 残り 80% は競合他社への自由アクセスがある ) が指摘されている 3

4 3. 欧米日における事例 (1)IT/e コマースに関する事例 1Google ショッピング : グーグルショッピングを優先的に表示し 競合するショッピングサイトを不利に扱ったことにつき欧州委が異議 2Google AdSense グーグルの広告配信サービス利用者に対して競合サービスの配信する広告掲載を禁止したことに欧州委が異議 3Google Android 携帯端末向け基本ソフトを自社アプリと抱合せ 競合アプリを締め出したことに欧州委が異議 4アマゾン電子書籍 : アマゾンが出版社との間で MFN を締結し競合他社を排除したとして欧州委が調査開始 現在確約手続中 5Booking.com, Expedia 等 : オンライン旅行予約サービス会社がホテルとの間で MFN を締結することは競争制限行為であるとして多くの競争当局が調査を開始 確約手続で終了したものもあれば調査そのものが終了したものもある 一方で調査継続中のものもある なお MFN には wide MFN ( 最低価格提供の義務付け ) と narrow MFN( 他のオンライン旅行予約サービスでの最低価格提示可能 ) がある 確約手続ケースは narrow MFN への変更で終了 6Apple-Spotify: ( 新聞報道によれば )2015 年 7 月 アップルが App Store の市場支配力を用いて Spotify 他の音楽ストリーミングサービス会社に排除被疑行為ありとして FTC が調査 7Facebook: 2016 年 3 月 データ収集における地位濫用行為被疑行為につきドイツカルテル庁が調査開始 8 家電メーカー TV ゲーム事業者 ホテル / ツアーオペレーター : 2017 年 2 月 家電メーカーによるオンライン小売業者の再販価格拘束被疑行為 TV ゲーム事業者 ホテル / ツアーオペレーターの地域による価格差別被疑行為につき欧州委が調査委を開始 (2) 通信に関する事例 1 日本通信 (MVNO) はソフトバンクから回線を借りることで合意した旨発表 2NTT ドコモ KDDI ソフトバンクの 3 社が自社アプリ採用で販売代理店を拘束したとして公取委が調査 3Telenor: ノルウエーの移動体通信事業は Telenor と Telia の 2 社で占められている Telenor は新規参入者が接続を求めた際に 新規参入者にとって利益が出ない接続条件を課した また携帯電話事業者との間で独占契約を締結して新規参入者が契約先を獲得でき 4

5 ないようにした ノルウエー競争当局はこれを支配的地位濫用行為であるとして異議告知書を送付した 4Telecom Italia & Vodafone Italia: 顧客への通知や注意喚起の為のショートメッセージサービス提供市場で支配的地位を有する 2 社は 川下市場で競合している Ubiquity に対してコスト割れとなる利用料を課して 排除していた疑いがあり イタリア競争当局が調査をしている (3) 電力 ガスに関する事例 1Distrigaz: 産業用顧客とのガス長期小売契約は競争制限効果があるとして欧州委と確約をした 2Gazprom: 中欧 東欧で 50~100% のシェアをガス供給者の Gazprom は ガス卸売業者との供給契約に地域制限条項を付していることで欧州委から異議告知書を受け 確約案を提出した 3 北海道電力 : 公取委は 平成 14 年 6 月に北海道電力 に対して電力供給事業において新規参入者を排除するおそれがある長期契約を締結するなどした行為が私的独占に当たるおそれがあるとして警告を行った 以上 5