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1 調査研究報告書 マンション標準管理規約の改正ポイント 平成 23 年 11 月

2 1. 標準管理規約の位置づけ及び改正の趣旨まず マンション標準管理規約の意義 位置付けを再確認しておく必要があります すなわち 法ではないということです ( 標準とは 参考 指針 と言う意味 ) 区分所有者間の権利関係ないし管理の基本原則は 区分所有法 で 管理組合は 建物又はその敷地若しくは付属設備の管理又は使用に関する事項は この法に定めるほか規約で定めることが出来る ( 法第 30 条 1 項 ) と定め 個別の規定において 規約で別段の定めをすることを妨げない ( 法第 18 条 2 項 ) と定めています そこで 国は 各マンションの実態 ( 規模 居住形態等 ) を考慮して 必要に応じ標準管理規約を修正し活用することを今回の改正コメント 別冊資料 ( 新旧対照表 ) で提言しています 即ち マンションの規模 居住形態等 各マンションの個別の事情を考慮して必要に応じて 合理的に修正して活用することが望ましいと これは マンションの管理規約は実状を充分加味した内容でなければ 良好なマンション生活 ( 管理組合活動 ) は実現できない と言っているのです また 今回の改正の趣旨が 役員のなり手不足 等への対応を主眼として あくまでも 区分所有者 ( 組合員 ) が主体となる管理組合の管理 ( 理事会方式 ) を前提とする最小限の見直しを行ったのです 2. 改正の背景平成 22 年末で 築 30 年を超える老朽化マンションのストック数は約 110 万戸に迫り マンションを取りまく環境は厳しさを増し 種々の問題点 ( 高齢化 賃貸化等の進行 組合員の無関心者の増加による組合活動の停滞 管理上の専門的事項への対応力不足 ) が顕在化してきています このため 国交省は マンション適正化法の制定 標準管理規約 同委託契約書の改正 等の施策を講じてきました 特に今回の標準管理規約の改正について 専門家等の意見募集 ( パ別冊資料ブリックコメント ) を行い 寄せられた451 件の意見を検討するとともに 管理組合に対するアンケート調査結果 ( 平成 20 年度マンションの新たな枠組みづくりに関する調査検討報告書 ) から 既述のとおり種々の問題点から生じる 役員のなり手不足 が最大の課題と捕らえ 今回第 4 回目の改正に至ったのです 3. 今回の改正 (1) 今回の改正部分は現規約の内 次の5 箇所の条項です 1 第 32 条 ( 管理組合の業務 ) 2 第 35 条 ( 役員 : 資格条件 ) 3 第 46 条 ( 総会 : 議決権 ) 4 第 54 条 ( 理事会 : 議決事項 ) 5 第 58 条 ( 会計 : 収支予算の作成及び修正 ) : 別冊資料 ( 新旧対照表 ) (2) コメントの改正 新設が13 項です : 別冊資料 ( 新旧対照表 ) 今回の研究では これらのうちで 特に重要と思われる第 35 条と第 46 条及び改正されなかった第 23 条について取り上げ 以下解説いたします 1

3 4 今回の改正のポイント今回は改正された標準管理規約のうち第 35 条第 2 項役員改正第 46 条第 5 項総会における議決権改正第 23 条必要箇所への立入り改正されず今回のマンション標準管理規約見直しに関する検討会では 理事会方式 を前提として マンション管理を取り巻く状況の変化に対応するための見直しを行いました これは 近年のマンションの規模や形態の多様化 居住者の高齢化 賃貸化等さまざまの状況のマンションが増え 規約の標準化が難しくなっていることがうかがえます したがって 改正前に比べると幅広く修正を容認する標準管理規約となりました (1) 第 35 条第 2 項役員改正改正前 : 理事又は監事は マンションに現に居住する組合員のうちから 総会で選任する ( 一部削除 ) 改正後 : 理事又は監事は 組合員のうちから 総会で選任する 改正コメント1: 第 35 条関係 1 新設 別冊資料( 新旧対照表 ) 役員の資格要件を マンションへの居住の有無にかかわりなく区分所有者であれば 組合員 としての役員資格を与えて それぞれのマンションの実態に応じて 居住条件を加えることも考えられる とコメントを新設して 組合員からの役員選任については 各マンションでの判断にまかせた形になりました パブリックコメントにおける主な意見 : 別冊資料 ( パブリックコメント ) 参照役員の資格要件 組合員でなくても役員に就任することができるようにすべきである 輪番制による役員就任の機会の均等化 不在区分所有者の管理義務の明文化 第三者管理者方式の標準管理規約を取りまとめてもらいたい マンション標準管理規約の見直しに関する検討会ではア. 現住 要件の撤廃改正前の標準管理規約は 総会で選任される役員の資格について当該マンションの 現住の 組合員に限定しております 1 現に居住している組合員がマンションの実情をより把握している 2 理事会の出席が容易なこと等の理由 非現住の 組合員に対して 1 自己の所有する財産に対する管理について積極的な参加の機会を奪ってしまう 2 管理について組合員が応分に協力すべき義務を免れさせてしまう いままでも 現住 要件を 標準型 とすることに対する問題性が指摘されておりました 近年では役員就任が事実上免除される空住戸や高齢者が増加したことから 現住 要件に固守す 2

4 ると 輪番制の下において所定の役員数の確保が困難になるという問題が生じてきました 以上のような理由から 改正されて 現住 要件が削除されました イ. 役員資格を 組合員 であることを基本的に維持区分所有法上 : 管理者の資格については特に制限が設けられておりません 標準管理規約 : 役員資格としての 現住 要件は撤廃されましたが 組合員 であることを基本的に維持しました 標準管理規約では 区分所有者の共用部分の管理に関しては 区分所有者全員で協議し 意思決定し その決定に至るまでの過程についても 決定後の業務執行についても基本的に区分所有者自身が積極的に係わる方式を維持しております 例えば次のような場合 ( 現住 要件の撤廃) 輪番制で役員が選任されているマンションにおいて いままでの規約では 非現住の 組合員は役員資格がないことから 非現住の 組合員には役員業務の負担が免除されてしまい 他方 非現住の 組合員には自らが所有するマンションの管理に役員として積極的に参加したくても参加できなかった この場合は 改正により どなたでも役員に選任される事になりました パブリックコメントにおける主な意見 : 別冊資料 ( パブリックコメント ) 参照組合員に代わって配偶者又は一親等の親族 ( 以後配偶者等とする ) が役員の職務を行う 組合員に代わって配偶者等が役員の職務を行うことは 復代理の趣旨との整合性 責任の範囲が不明確 組合員が期中に転勤 長期出張となるたびに総会の承認を得なければならない等 現場で混乱が生じる恐れがあるのではないか 配偶者等が役員の職務を代行するというのは 能力 見識によって総会で選任された役員が 配偶者等に委任できるとの規定は 不適切である 配偶者等を直接役員に選任しても何ら不都合はないことから 役員の資格要件を配偶者等に緩和すべきである 組合員に代わって役員の職務を行う者の制限をするのであれば二親等の親族まで認めるなど実態に即した形になるよう配慮が必要である 例えば次のような場合 ( 配偶者等が役員の職務を行う ) 組合員がマンションに現住していないで配偶者等が現住している場合や組合員が現住していても 実際には 高齢や病気 仕事や育児で多忙等の理由で引受けられない 組合員が上記等の理由により役員業務を行うことが難しい場合等において 配偶者等に役員の職務を代行してもらいたいが 配偶者等は 組合員 でないために規約上役員資格がなく 役員となることができません 3

5 この場合は 配偶者等について 現行規定上は 組合員 でないため役員資格がありません 改正案は 配偶者等に役員資格を与えることによって役員資格者の拡大を図りました 標準管理規約では 役員の資格要件として 組合員 であることを原則としておりますが 改正案では 当該住戸に 組合員 に準ずる配偶者等が居住しているときには その者にも役員資格を与えることとしましたが 当該住戸に配偶者等が現住していない場合 例えば空住戸や賃貸住戸の時は本規定の趣旨は生かされません 又 仮に今後改正案の配偶者等に役員資格が与えられたところで 実際上どれだけこれらの者が役員を担うことができるのかという問題は残ったままであり 依然として 空住戸化 賃貸化 高齢化 に起因する役員のなり手不足の問題が解決するわけではありません そこで 今回は改正されずに今後の課題になり それと共に第三者管理者方式の検討が必要になってきております (2) 第 46 条第 5 項総会における議決権改正改定前 : 5 組合員が代理人により議決権を行使しようとする場合において その代理人は その組合員と同居する者若しくはその組合員の住戸を借り受けた者 又は他の組合員若しくはその組合員と同居する者でなければならない ( 削除 ) 改定前 : 6 代理人は 代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない ( 変更 ) 改定後 : 5 組合員又は代理人は 代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない 改正コメント : 第 46 条関係 ( 各組合員の議決権 ) 4 6 新設 5 変更 追加 4のコメントでは 組合員が代理人によって議決権を行使する場合の代理人の範囲について規約に定めておくことも良いですが 区分所有者の立場から利害関係が一致すると考えられる者に限定することが望ましく また 総会の円滑な運営を図る観点から 代理人の欠格事由として暴力団員等を規約に定めておくことも必要であるとしています 5のコメントでは 組合員本人が総会に出席せずに議決権の行使をする方法として組合員本人が総会の招集者に議決権行使書を提出する ( 議決権行使書別紙資料参照 ) 委任を受けた代理人が総会に出席して議決権を行使する 議決権行使書による場合は組合員自らが賛否の意思決定をするのに対して 委任状による場合は賛否の意思決定を代理人に委ねるという点が異なります 組合員の意思を総会に直接反映させる観点からは 議決権行使書によって組合員本人が自ら賛否の意思表示をすることが望ましく そのためには 総会の招集の通知において議案の内容が明確に示されることが重要であるとしています 6のコメントでは 代理人による議決権の行使として 委任状を用いる場合には誰を代理人とするかについて主体的に決定することが必要であります 適当な代理人がいない場合には代理人欄を空欄としないで議決権行使書によって自ら賛否の意思表示をすることが必要であるとしています パブリックコメントにおける主な意見 : 別冊資料 ( パブリックコメント ) 参照議決権行使書と委任状に関する規定の整理等 ( 第 46 条関係 ) 4

6 賛否の記載のない議決権行使書を一律に賛成票としてよいものか 白紙の委任状は 総会出席者の賛否の比重に応じて按分とすべきであります 書面又は代理人による議決権の行使を標準管理規約で具体的に示すべきであります 議長に一任 された議決権の行使は 議長の判断で一律賛成 反対でよいものか または 総会出席者の賛否の比重に応じて按分してよいものか 明確な意思表示のない白紙委任状を議長に一任とするコメントには反対です マンション標準管理規約の見直しに関する検討会ではア. 書面による議決権行使と代理人による議決権行使書面による方法は 総会開催の通知を受けた際に示された議案について自ら賛成または反対等の意思を有しており 総会に出席できない場合に 総会における自己の議決権行使をするものです 代理人による方法は 代理人をして組合員本人のために議決権行使をするものです 組合員本人の利益に適合する議決権を行使することができる者を代理人として選任し その者に自己の議決権を代理させる方法です ただ 実際には 次の事が行われています 第一に 書面による議決権行使が可能な場合 組合員本人が総会へ出席可能な場合においても 代理人による方法が選択されることが少なくない 第二に 代理人が組合員の同居の親族であることがほとんどである第三に 議長または理事長が代理人として選任される場合が少なくない イ. 現行の代理人の範囲区分所有法は 管理に関する区分所有者相互間の事項については規約で定めることを認めており また 相当な理由がある場合には 規約により代理人の範囲に制限を加えることができます 現行の標準管理規約においては このような法の理解を前提として 議決権行使の 代理人 となることができる者として 1 組合員と同居する者 2 組合員の住戸を借り受けた者 3 他の組合員 4 他の組合と同居する者の4 者に制限しております 代理人は 共同して決定する参加者として マンションに日常的に係わっている居住者であることを重視しております したがって 当該マンションの所有者は 代理人 として 例えば理事長や議長などのような他の組合員の中に適任者がいない場合には マンションの居住者の中から代理人を選任すべきものとしておりました 標準管理規約は マンション居住者のほぼ共通の意識はそれなりに尊重されるべきであるというのが 基本的な姿勢であります ウ. 改正による 代理人 の範囲組合員本人が高齢や遠隔地に居住している 単身で居住している 空住戸にしている このため 1 組合員と同居する者 2 組合員の住戸を借り受けた者からは代理人を選択できずかといって 3 他の組合員 4 他の組合員と同居する者の選択も躊躇する場合もあり得ます 5

7 今までの標準管理規約ではこのような場合に 組合員が代理人を選任することは困難となっていました そこで このようなことから 改正案においては 組合員の配偶者又は一親等の親族 を代理人とすることを認め 代理人の範囲を拡大しようとしましたが 逆に今回の改正では 旧来の 代理人の範囲の限定 から 完全緩和 への方向転換をしました * 今後は 誰でも 組合員の代理人 として議決権を行使できます すなわち 代理権を証する書面を理事長に提出 して 総会に出席し 本人である組合員のために議決権を行使することができます ( 但し 規約 の改正が必要です ) エ. 代理権授与書面の提出等現行規定では 代理人が代理権を証する書面を理事長に提出するものとされています 総会の招集通知において 組合員が出席出来ない場合には代理人を選定して総会開催前までに組合員が委任状を管理組合に提出することにより代理人を通知することが一般的でありました そこで 改正案では このような実状を踏まえて 組合員が 総会開催までに 管理組合に対して 選任した代理人を示す書面を提出するものといたしました 改正 : 5 組合員又は代理人は 代理権を証する書面を理事長に提出しなければならない * 改正前には 委任状 は 代理人が理事長に提出するものと 規約 上はされていましたが 改正後は 組合員が提出してもよいことになりました 例えば次のような場合 ( 代理人 の範囲の拡張) 組合員が高齢や遠地に居住しているなどのために総会に出席することが難しく そうであるからといって総会前に直ちに議案についての賛否等の意思表示をすることも困難であるような場合において 規約上認められている代理人 を通じて自己の議決権を行使したいが 当該住戸に単身で居住していることから 組合員と同居する者 は選択できず あるいは当該住戸は空住戸にしていることから 組合員と同居する者 や 他の組合員と同居する者 については代理権を授与できる関係にもないことからこれらの選択も躊躇されます このような場合は 改正されて代理人の資格要件を撤廃したため どなたでも代理人を授権できるようになりました 委任状総会の決議は出席組合員の賛否によって決しますが 一般的な規約の定めでは 総会の出席組合員には委任状提出者 ( および書面による議決権行使者 ) も含まれています 委任状の書式に明確な定めはありませんが 以下のようなスタイルのものが一般的に使用されており 代理人氏名が空白の場合 ( 白紙委任状 ) 理事長に権限を一任するかたちになります 議決権行使書議決権行使書による書面投票は あらかじめ通知を受けた議案について 総会開催前に賛否を記載した書面を総会の招集者 ( 一般的には理事長 ) に提出して 議決権を行使するものです 書面投票はその提出自体が議決権の行使である点が 委任状による議決権の行使と異なります 6

8 委任状 私は 号氏を代理人と定め 年 月 日開催の 管理組合第 期 通常総会に関する一切の権限を委任します 年 月 日 管理組合殿 住居番号区分所有者印 代理人の指名がない場合は 理事長に一任とさせていただきます 議決権行使書 私は 年 月 日開催の 管理組合第 期 通常総会の議案について 下記の通り議決権を行使いたします 第 1 号議案 賛成 反対 第 2 号議案 賛成 反対 第 3 号議案 賛成 反対 第 4 号議案 賛成 反対 第 5 号議案 賛成 反対 年 月 日 管理組合殿 住居番号 区分所有者 印 以上 行使内容に 表示がない場合は 賛成とみなします (3) 第 23 条必要箇所への立入り改定されず第 23 条 ( 必要箇所への立入り ) 前 2 条により管理を行う者は 管理を行うために必要な範囲内において 他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる 2 前項により立入りを請求された者は 正当な理由がなければこれを拒否してはならない 3 前項の場合において 正当な理由なく立入りを拒否した者は その結果生じた損害を賠償しなければならない 7

9 4 立入りをした者は 速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない パブリックコメントにおける主な意見 : 別冊資料 ( パブリックコメント ) 参照緊急時の専有部分等への立入り 立入りの手続き 判断基準の明確化 現状回復の範囲の整理 立ち入らなかった場合の責任の整理 民法に定める緊急避難 警察官職務執行法及び消防法に定める立入権など他の法律との整理をすべき 孤独死 ごみ屋敷化した住戸からの害虫等の発生 災害 事故等以外にも現実に問題となっているケースがあることも踏まえ 規定の見直しやコメントへの記載を検討すべき 管理を行う者 とは 管理組合 理事会或いは区分所有法第 4 節の管理者を指すのかその範囲が不明確であり 立入りをした者 との違いも含めて整理が必要である 例えば次のような場合天井からの水漏れ 住戸からの異臭 ( ガス漏れの場合を含む ) があった場合に その原因を調べようと 該当すると思われる住戸の区分所有者に対して問い合わせをしたが 連絡がつかない この場合は 現行規定 ( 標準管理規約 23 条 1 項 ~3 項 ) では立入りが不可能となります そこで 改正案では 今日ではマンションの空室化 居住者の高齢化等を背景に様々な事由によって管理組合等が緊急時に当該組合員の承諾なしに専用部分等への立入りを必要とする場合が考えられることから ア ) 立入りが認められるための合理的事由 イ ) 緊急性 ウ ) 立入りの範囲の限定 エ ) 事後の速やかな報告義務を要件として 同規定が集会において設定されると 各区分所有者は 緊急時等には自己の住戸への立入りを認めなければなりませんが 今回は改正されずに今後の課題になりました 5 その他の改正点 (1) 第 32 条管理組合の業務改正三長期修繕計画の作成又は変更に関する業務及び長期修繕計画書の管理改正コメント : 第 32 条関係 ( 管理組合の業務 ) 7 8 新設 7のコメントでは 管理組合が保管する書類等として 長期修繕計画書 設計図書 修繕等の履歴情報があげられます 理事長が保管する書類等としては 総会議事録 理事会議事録 帳票類 規約原本等があげられるとしています 8のコメントでは 管理組合が保管する書類 理事長が保管する書類等閲覧に関する規定を設置することが望ましい 保管方法でも 電磁的方法が利用可能な場合には 同方法によって保管することが考えられるとしています (2) 第 54 条理事会の議決事項 6 号 7 号新設六第 58 条第 3 項に定める承認又は不承認七第 60 条第 3 項に定める未納の管理費等及び使用料の請求に関する訴訟その他法的措置 8

10 改正コメント : 第 54 条関係 ( 理事会の議決事項 ) 新設コメントでは 共用部分の軽微な変更 ( その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの ) 狭義の管理行為 ( 変更及び保存行為を除く 通常の利用 改良に関する行為 ) については 各マンションの実態に応じて 特定の事項について 理事会の決議事項として規約に定めることも可能である その場合には 理事会活動の事前 事後の組合員に対する透明性の確保等について配慮することが必要であるとしています (3) 第 58 条理事会の議決事項 3 号 4 号新設 3 理事長は 会計年度の開始後 毎会計年度の収支予算案に定める承認を得るまでの間に 以下の各号に掲げる経費の支出が必要となった場合には 理事会の承認を得てその支出を行うことができる 一通常の管理に要する経費に定めるうち 経常的であり かつ 毎会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの二総会の承認を得て実施している長期の施工期間を要する工事に係る経費であって 毎会計年度の収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるもの 4 理事長は 前項に定める支出を行ったときは 毎会計年度の収支予算案の承認を得るために開催された通常総会において その内容を報告しなければならない この場合において 当該支出は その他の収支予算とともに承認されたものとみなす 改正コメント : 第 58 条関係 ( 収支予算の作成及び変更 ) 新設 1のコメントでは 通常総会は 新会計年度開始後 予算案の承認を得るまでに一定の期間を必要とするので このような期間において 支払に必要な経費については取扱いを明確化して 迅速かつ機動的な業務の執行を確保するものであるとしています 2のコメントでは 通常の管理に必要とする経費のうち経常的で かつ 収支予算案の承認を得る前に支出しなければならないと認められるものである このことから 前年の会計年度における同経費の支出額のおよその範囲内であることが必要であるとしています 3のコメントでは 総会の承認を得て実施している工事で その工事の性質上 施工期間が長期となり 二つの会計年度に渡ってしまうことがやむを得ないもので 総会の承認を得た会計年度と異なる会計年度の予算として支出する必要があるもので かつ 収支予算案の承認を得る前に支出することがやむを得ないと認められるものであることが必要であるとしています (4) 第 60 条関係 ( 管理費等の徴収 ) コメント改正点コメントでは 管理費等に関し 組合員が各自開設する預金口座から管理組合の口座に受け入れる旨を規定する第 1 項の規定は マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則 ( 平成 13 年国土交通省令第 110 号 以下 適正化法施行規則 という ) 第 87 条第 2 項第一号イの方法 ( 収納口座の名義人を管理組合又は管理者とする場合に限る ) 又は同号ハの方法を前提とした規定であり これ以外の方法をとる場合には その実状にあった規定とする必要がある その際 管理費等の管理をマンション管理業者に委託する場合には 適正化法施行規 9

11 則第 87 条第 2 項に定める方法に則した管理方法とする必要があるとしています 財産の分別管理の方式を変更しました これまでの 収納代行方式 支払一任代行方式 原則方式 を廃止して ( イ ) ( ロ ) ( ハ ) の3つの方式に分かれることとなりました 適正化法施行規則第 87 条第 2 項 ( イ ) 方式は 収納口座 に管理費等 修繕積立金が収納され 1ヶ月以内に修繕積立金及び管理費等の剰余金を 保管口座 ( 管理組合を名義人とするもの ) に移し換える方式です 収納口座 が管理会社名義になっている場合や 管理組合の名義人となっていても通帳 印鑑を管理会社が保管している場合には 保証措置 が必要になります ( ロ ) 方式は 修繕積立金については直接 保管口座 に預入されますが 管理費等については ( イ ) 方式同様 収納口座 に収納され 1ヶ月以内に管理費等の剰余金が 保管口座 に移管される方式です この場合も 収納口座 が管理会社名義になっている場合や 管理組合の名義人となっていても通帳 印鑑を管理会社が保管している場合には 保証措置 が必要になります ( ハ ) 方式は 管理組合の口座は 収納 保管口座 1つだけという方法です この方式は 管理組合が 通帳 印鑑を保管して管理をします そして 管理会社に当月の管理事務に要した費用を 翌月末日までに 収納 保管口座 から管理会社に支払います (5) 第 62 条関係 ( 預金口座の開設 ) コメント改正点コメントでは 預金口座に係る印鑑等の保管にあたっては 施錠の可能な場所 ( 金庫等 ) に保管し 印鑑の保管と鍵の保管を理事長と副理事長に分けるなど 適切な取扱い方法を検討し その取扱いについて総会の承認を得て細則等に定めておくことが望ましいとしています (6) 別表第 2 共用部分の範囲に関する用語の整理改正平成 22 年 5 月のマンション標準管理委託契約書の改正を踏まえた用語の整理を行うこととするものです 5. 将来のマンション管理運営の課題 (1) 高齢化 賃貸化 空住戸化での課題 1 緊急時の専有部分への立ち入りに関する規定 ( 改正されなかった第 23 条関連 ) 2 役員資格条件の更なる緩和の検討ア 現住の配偶者又は一親等などの親族 への資格付与の検討この場合配偶者等の役員としての行為に対する組合員の責任の有無 イ議決権を行使できる代理人の範囲拡充 手続きの明確化の検討不適格者 ( 悪徳業者 暴力団員等 ) の排除規定 10

12 (2) 理事会方式 ( 組合員全体参加主義 ) の課題 1 組合員 であることを厳格に貫くと 輪番制 の機能不全を招く恐れあり ( 不在組合員を役員に選任することとなる等 ): 対策として第 3 者管理方式採用 2 役員資格を緩和したところで 能力的に担えるか疑問 : 役員不足は未解決 (3) 第 3 者管理方式 ( 含む専門家の活用 ) に関して 国交省はパブリックコメントに対する考え方で 概略 以下のごとく述べています 第 3 者管理方式での 総会と理事会 管理業者との関係等についての規約の整備等 幅広い検討が必要ア監査体制確立 : 管理者業務執行内容チェック体制イ総会の形骸化防止確保 : 管理者に総会議決権行使権の委任を制限し 組合員自ら議決権行使書を提出するよう規定化 ウ会計事故防止 : 実施者制限 ( マン管理士は行わず管理会社 組合員が担当する ) エ管理者辞任 退任時のルール設定 : 事前に一時的に管理会社に委託すること等を決めておく等 オ資金の裏づけ : 経費発生に対応しうる財政面の健全性の確保 国交省は早期に検討 措置する意向ようである 国土交通省第三者管理方式を来春めどに対応策 ( マンション管理新聞報道 ) 国土交通省マンション対策室は専門家活用によるマンション管理方式の制度検討に着手する 専門家活用による相談体制の拡充といった従来の方策ではなく 専門家が管理に携わるケースを想定し 実務上の課題を抽出 具体的な制度改正を視野に入れている マンション管理は高齢化等による管理の担い手減少や機能不全の管理組合の存在が指摘されており 5 月 10 日の閣議決定では 第三者管理方式に関する質問主意書に対し 同方式対応の標準管理規約策定の検討などが示された 11

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