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1 上原記念生命科学財団研究報告集, 26 (2012) 166. 心筋保護作用における細胞膜特殊構造の新しい役割 堤保夫 Key words: カベオラ, カベオリン, 虚血再潅流障害, 心保護, ポストコンディショニング 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部麻酔 疼痛治療医学分野 緒言近年の食生活の欧米化, 人口の高齢化および生活習慣病の増加は, 本邦における心血管リスクを急激に増加させている. 虚血性心疾患やリスクを有する患者の心合併症発生予防とその治療は患者予後にとって重要な因子となっている. カベオラは細胞膜に存在する直径 nm 前後の陥凹であり, コレステロールやスフィンゴ脂質に富んだ膜ドメインと称され, 細胞膜のシグナル伝達, エンドサイトーシスなどの断片的な性質は明らかにされてきた. また, カベオリンはカベオラを構成する構成タンパクである. カベオリンは両末端が細胞質側に露出し脂質分子と結合しシグナル伝達に関与すると考えられる. 特にカベオリン骨格ドメインと呼ばれる部分は多くのシグナル伝達関連分子に結合するだけでなくそれらの機能制御にも関与すると考えられている. こうした背景の下, 著者らは吸入麻酔薬先行投与 ( プレコンディショニング ) によって細胞膜カベオラ数が増加し, カベオリンを介した心筋保護作用が活性化されることを突き止め 1-3), カベオリン-3 過剰発現マウスにおいては虚血再潅流障害に対し内因的心筋保護作用が存在することを明らかにした 4). さらに, オピオイド プレコンディショニングがカベオラに与える影響を報告している 5). これらの結果からカベオラ及びカベオリン-3 が心筋保護作用に重要な役割を担っていることが明らかとなった. 最近, 刺激を長期間虚血の後に加えた場合においても心保護作用が引き起こされることが報告され, ポストコンディショニングとして注目を浴びている. しかし, ポストコンディショニングにカベオラ及びカベオリンがどのように作用し, 心筋保護効果にどのように関与しているのかは明らかではない. 方法 結果および考察マウスの摘出心をランゲンドルフ酵素法にて潅流, 得られた遊離心室筋細胞をディッシュに接着させ, ポストコンディショニング刺激を加えた後, 組織固定. これらの細胞を電子顕微鏡を使用してその細胞表面を観察, カベオラの数を対照群と比較評価した. これにより, ポストコンディショニング刺激によって細胞膜のカベオラ数が増加することが明らかとなった ( 図 1). 1

2 図 1 電子顕微鏡を用いたカベオラの観察 ポストコンディショニング作用によって細胞膜カベオラの数は増加した 次に ポストコンディショニング後のカベオリン-3 の活性をイムノブロッティング法にて確認した 図2によると ポストコンディショ ニング刺激によりカベオリン-3 のタンパク発現が増加していることが明らかとなった 図 2 カベオリン-3 のタンパク活性 ポストコンディショニング刺激によるタンパク発現の変化 マウス in vitro 遊離心筋細胞を特殊チャンバーにて 2 時間低酸素状況 95%N2, 5%CO2 に暴露する その後 トリパンブ ルー染色し細胞数を数え 生きた細胞の割合を計算し 比較検討した この低酸素モデルにおいて心筋細胞生存率がポストコンディショニング刺激により上昇することを明らかにした 図3 さらに 同様のモデルにて sirna を用いカベオリン-3 ノックダウン細胞によりカベオラ カベオリン-3 のポストコンディショニング作用へ の関与を明らかにした 図3 2

3 図 3. 低酸素による細胞生存率の変化. 低酸素潅流実験においてポストコンディショニング刺激によって単一心筋細胞の生存率は 52 ± 9% から 70 ± 8% へと上昇する (*P<0.05). しかしながらカベオリン-3 をノックダウン (Cav-3 KD) することによって, この生存率の上昇は棄却された (46 ± 12%, #P<0.05). マウスの in vivo 虚血再潅流モデルを用いて対照群, ポストコンディショニング群において心筋梗塞サイズを測定比較した. マウスを人工呼吸下に開胸, 血行動態を測定しながら, 心臓冠動脈左前下行枝を 30 分間閉塞した後ポストコンディショニング刺激を行った.2 時間再潅流し, 再び冠動脈を閉塞,Evans Blue を注入し心臓を取り出す. その後, 心臓をスライスし, TTC にて再染色を行い心筋梗塞サイズを測定した. 同様の虚血再潅流実験をカベオリン-3 ノックアウトマウスで行い, カベオリン-3 のポストコンディショニング作用に対する影響を明らかにした ( 図 4). 3

4 図 4. 虚血再潅流実験における心筋梗塞サイズの比較. 冠動脈の虚血再潅流に対する心筋梗塞サイズは, ポストコンディショニングによって 44 ± 9% から 29 ± 3% へと減少した (*P<0.05). しかしながらこの心保護作用はカベオリン-3 のノックアウトマウスにおいては認められなかった (42 ± 5%, #P<0.05). これらの結果より, ポストコンディショニング作用における心筋保護作用にカベオラ及びカベオリンが重要な役割を演じることが明 らかとなった. また, 本研究を遂行中にカベオラおよびカベオリンが心肥大を介した心不全に関与していることが明らかになった ため 6), 現在はこれらの心肥大に対する役割について研究を行っている. 共同研究者 本研究の共同研究者は, 徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部麻酔 疼痛治療医学分野の大下修造, および田中克 哉である. 文献 1) Tsutsumi, Y. M., Patel, H. H., Head, B. P., Niesman, I. R., Jennings, M., Horikawa, Y., Huang, D., Moreno, A. L., Patel, P. M., Insel, P. A. & Roth, D. M. : Mechanisms of cardiac protection from ischemia/reperfusion injury: a role for caveolae and caveolin-1. FASEB J., 21 : , ) Horikawa, Y. T., Patel, H. H., Tsutsumi, Y. M., Jennings, M. M., Kidd, M. W., Hagiwara, Y., Ishikawa, Y., Insel, P. A. & Roth, D. M. : Caveolin-3 expression and caveolae are required for isofluraneinduced cardiac protection from hypoxia and ischemia/reperfusion injury. J. Mol. Cell. Cardiol., 44 : , ) Tsutsumi, Y. M., Kawaraguchi, Y., Horikawa, Y. T., Niesman, I. R., Kidd, M. W., Chin-Lee, B., Head, B. P., Patel, P. M., Roth, D. M. & Patel, H. H. : Role for caveolin-3 and glucose transporter 4 in isoflurane-induced delayed cardiac protection. Anesthesiology, 112 : , ) Tsutsumi, Y. M., Horikawa, Y. T., Jennings, M. M., Kidd, M. W., Niesman, I. R., Yokoyama, U., Head, B. P., Hagiwara, Y., Isikawa, Y., Miyanohara, A., Patel, P. M., Insel, P. A., Patel, H. H. & Roth, D. M. : Cardiac-specific overexpression of caveolin-3 induces endogenous cardiac protection by mimicking ischemic preconditioning. Circulation, 118 : , ) Tsutsumi, Y. M., Kawaraguchi, Y., Niesman, I. R., Patel, H. H. & Roth, D. M. : Opioid-induced preconditioning is dependent on caveolin-3 expression. Anesth. Analg., 111 : ,

5 6) Horikawa, Y. T., Panneerselvam, M., Kawaraguchi, Y., Tsutsumi, Y. M., Ali, S. S., Balijepalli, R. C., Murray, F., Head, B. P., Niesman, I. R., Rieg, T., Vallon, V., Insel, P. A., Patel, H. H. & Roth, D. M. : Cardiac-specific overexpression of caveolin-3 attenuates cardiac hypertrophy and increases natriuretic peptide expression and signaling. J. Am. Coll. Cardiol., 57 : ,

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