東方 458 号 (2019 年 4 月 ) 6 中華経典古籍庫は中華書局を中心とした古典の排印本を電子化したデータベースである本製品は以前 Windows Server 対応のネットワーク版が発売されていたが自前でサーバーを準備管理する必要があったため導入のハードルが高いという問題があっ

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とよみおおかわち
4 years ago
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1 東方 458 号 (2019 年 4 月 ) 6 中華経典古籍庫は中華書局を中心とした古典の排印本を電子化したデータベースである本製品は以前 Windows Server 対応のネットワーク版が発売されていたが自前でサーバーを準備管理する必要があったため導入のハードルが高いという問題があったしかし現在では中国のサーバーに繫ぐリモートサーバー版が登場したことでお金さえ用意できれば(!)導入は簡単になっている筆者の勤務先では二〇一七年より東方書店を介してこのリモートサーバー版の契約を行い現在第一期から第四期までの利用が可能となっている本データベースについてはネットワーク版しか発売されていなかった二〇一四年の段階ですでに千田大介氏が詳細なレポートを発表している( 漢字文献情報処理研究第十五号漢字文献情報処理研究会編好文出版一一〇頁~一一三頁二〇一四年一〇月 E5%87%BA%E7%89%88%E7%89%A9%2F%E3%80%8E%E6%BC%A 2%E6%83%85%E7%A0%94%E3%80%8F%E7%AC%AC15%E5%8F% B7&openfile=JJ15.pdf ) そこで紹介されている本データベースの特徴は以下の通りである (一)本データベースは中華書局(およびその他幾つかの出版社)の排印本という信頼の置けるテキストが元になっているため例えば中国基本古籍庫などよりも信頼性が高い (二)電子テキストから元になった排印本の版面も確認することができる (三)中華書局の排印本では一般に固有名詞に傍線を書名中華経典古籍庫利用体験記山下一夫

2 7 中華経典古籍庫利用体験記別に独立した一件として数えているためである第一期から第五期までのそれぞれのセットはある程度のまとまりがあると言っても例えば第何期が四部分類の何部となっているわけではなくそれぞれが内部で四部分類の構成を持っている今各期に収録されている図書が含まれる叢書名を挙げながらその内容について検討してみたい第一期には二十五史と新編諸子集成がすべて含まれているまた叢書名としては挙がらないが全唐詩と全宋詞もここに収録されているため第一期は割に基本的な典籍が集まっていると言える中国思想史資料叢刊十三経清人注疏易学典籍叢刊理学叢書韻学叢書中国史学基本典籍叢刊二十五史編年紀事本末中国古代地理総志叢刊唐宋史料筆記叢刊元明史料筆記叢刊清代史料筆記叢刊学術筆記叢刊新編諸子集成古体小説叢刊中国仏教典籍選刊康有為学術著作選中国古典文学基本叢書中国歴史文集叢刊中国文学研究典籍叢刊第二期は一三六件と最も分量が少ない史料筆記叢刊のシリーズは各期に分散して収録されてはいるが半数以上がここに集中している易学典籍叢刊理学叢書中国史学基本典籍叢刊唐宋史に波線を付しているがこれがデータに反映されているため固有名詞や書名などに限定した検索を行うことができる (四) 引用機能を用いるとテキストの電子データだけでなく引用箇所が書誌情報付きでペーストされるこれは論文の執筆等に際しては非常に重宝する以上の内容は多少インターフェースが変わってはいるもののリモートサーバー版にもすべて受け継がれている氏のレポートでは他にも本データベースの意義や性質などについても述べられているが詳細はそちらを参照してもらうとして以下本稿ではリモートサーバー版の内容や個人的な使用感について述べることとしたい中華経典古籍庫リモートサーバー版は現在のところ第五期までリリースされているそれぞれの収録内容については中華経典古籍庫のトップページから確認することができ第一期は二九四件第二期は一三六件第三期は四三八件第四期は四〇五件第五期は六二九件となっているなお東方書店からも収録内容のExcel ファイルが配布されており( chukakeiten.zip ) こちらでは第二期が一三七件となっているがそれはここに含まれる周易函書に収録される召対録を

3 料筆記叢刊元明史料筆記叢刊清代史料筆記叢刊学術るのが特徴であろう特に仏典は CBETA 中華電子仏典協会いるとはいえ各出版社から出された排印本は独自の価値をによって電子版が網羅的に作成されて新編諸子集成続編中国古典文学基本叢書中国文学研究持つ筆記叢刊中国古代地理総志叢刊中国古代都城資料選刊典籍叢刊中国歴史文集叢刊余嘉錫著作集第三期は道教典籍選刊や中国古代都城資料選刊中外交通中国思想史資料叢刊中国古典名著訳注叢書歴代文史要籍注釈選刊歴史文献与伝統文化叢刊中華文史要籍叢刊整理研究叢書遼海学術文庫漢語史与中国古典文献学研清華古典文献研究叢刊斉魯文化経典文庫広西地方古籍中国思想史資料叢刊十三経清人注疏易学典籍叢刊理学叢書訓詁学叢書語言文字研究資料中国史学基本典究叢書中国史学基本典籍叢刊二十四史研究資料叢刊史籍叢刊などが収録されているのが特徴である籍叢刊中外交通史籍叢刊中国古代地理総志叢刊中国叢刊学術筆記叢刊年譜叢刊淄博市地情史料叢書書目題跋叢書摹廬叢著新編諸子集成続編歴代子家選刊二十四史校訂研究叢刊唐宋史料筆記叢刊清代史料筆記道教典籍選刊中国仏教典籍選刊普陀山仏学叢書仏典古代都城資料選刊年譜叢刊新編諸子集成続編唐宋史筆記叢刊古体小説叢刊道教典籍選刊中国仏教典籍選刊叢書歴代芸術史料選刊中国文学研究典籍叢刊中国歴料筆記叢刊元明史料筆記叢刊清代史料筆記叢刊学術中国古典文学基本叢書中国文学研究典籍叢刊中国歴史史文集叢刊古典文学研究資料彙編清代名家詞選刊歴代総集選刊詩賦研究叢書明清山左作家叢書明代別集作集成康有為学術著作選戚継光研究叢書第四期は中華書局以外にも巴蜀書社斉魯書社華東師叢刊清代別集叢刊西北師大古籍整理研究所隴右文献叢文集叢刊詩文別集孫詒譲全集王夫之著作王応麟著範大学出版社遼海出版社天津古籍出版社鳳凰出版社の作集郝懿行集岑仲勉著作集王士禛全集唐長孺文集書朱子全書外編孫詒譲全集余嘉錫著作集王叔岷著陳眉公著作集蕅益大師全集朱有燉集顔光猷詩文箋注排印本が加わっている収録叢書の数が増えているのはそーズも入っているからである仏僧やイエズス会士の著作な第五期は中華書局以外に鳳凰出版社遼海出版社三晋れは様々な出版社で出しているあまり冊数の多くないシリど伝統的な士大夫文学の枠からやや外れた典籍も入ってい 8 東方 458 号 2019 年 4 月

4 9 中華経典古籍庫利用体験記出版社の排印本も加わっている各期の中で最も件数が多い上に冊数の少ないシリーズが第四期よりもさらに多く収録されているため含まれる叢書数はかなり増加している注目すべきは戯曲や考古学など伝統的な士大夫文学の中心からはやや外れる文献が第四期以上に入っていることであるしかしそれでもまだ三国志演義水滸伝西遊記といった白話小説の類は含まれていないこれはそうした分野が人民文学出版社や上海古籍出版社などのテリトリーであることも関係しているだろう中国思想史資料叢刊十三経清人注疏易学典籍選刊理学叢書理学淵源考弁叢刊訓詁学叢書中国史学基本典籍叢刊歴史文献与伝統文化叢刊北京大学中国古代史研究中心叢刊北大民族史文庫丙種一号歴史研究資料二十四史研究資料叢刊国家清史編纂委員会文献叢刊歴代紀事本末中国古代都城資料選刊考古学専刊丙種第四号思勉人文学術中国江南研究系列山西文華著述編三晋石刻大全晋城歴史名人文存山西大学建校一〇〇週年学術文庫越地文献叢刊萍郷学院文廷式研究所叢刊福建旧方志叢書嘉峪関市旅游文化建設叢書中外関係史名著訳叢中国和欧洲文化交流史文献叢刊明清之際西方伝教士漢籍叢刊唐宋史料筆記叢刊清代史料筆記叢刊敦煌文献合集年譜叢刊新編諸子集成続編古体小説叢刊道教典籍選刊中国仏教典籍選刊国学入門叢書中国文学研究典籍叢刊中国古典文学基本叢書国家社科基金後期資助項目古典文学研究資料彙編古典文献新視野叢書中国古典名著訳注叢書人文介休系列叢書文学研究資料歴代文挙要書目題跋叢書日本宋代文学研究叢刊武威歴代詩詞叢書黄節詩学選刊孫詒譲全集王応麟著作集成徐仁甫著作集王叔岷著作集焦循著作集朱季海著作集戚継光研究叢書黄侃文集嘉定銭大昕全集(增訂本) 王仲犖著作集金聖歎全集(修訂版) 銭南揚文集全体を通してみると史料筆記叢刊中国古典文学基本叢書中国仏教典籍選刊など各期に跨がっている叢書が少なくないことが解るただ実際に使用する場合には各期ごとではなく全体から検索を行うので同一のシリーズが別のセットの中にあっても特に不都合はない(もちろん全期を買っていればであるが) 第一期から第五期を全部合わせると経部二一三件史部五五九件子部五七八件集部五五一件叢書部一件となるちなみに叢書部で唯一入っているのは四庫輯本別集拾遺である中華経典古籍庫は重要な古典を網羅することを志向した

5 東方 458 号 (2019 年 4 月 ) 10 中国基本古籍庫や中央研究院の漢籍電子文献とは性質を異にするため当然のことではあるが例えば十三経注疏など中華書局(および本データベースに参加している出版社)で排印本が出ていない書籍は収録されていないしかしそれは逆に言えば例えば部数が少なかったり出版されてから時間が経ってしまったりしたために入手が難しくなっている排印本も多数収録していることを意味しているそうした点で本データベースは収録されている書籍の電子出版としての側面があるとも言えるだろう古典籍の電子データは合法違法を問わずネット上にたくさん転がってはいても電子出版はあまり多くない例えば二十五史などは同じく中華書局排印本に準拠した中央研究院の漢籍電子文献がすでに存在するので本データベースを使う必要はないと思うかも知れないしかし中華経典古籍庫は固有名詞には傍線書名には波線が引かれた排印本と同じ状態で閲覧できるし前述のとおり便利な機能があることは重要であるなお検索結果が表組みで一度に一〇件ずつしか表示されないためコピーが煩雑になるというネットワーク版に見られた欠点はこのリモートサーバー版でも解消されていないそもそもコピーをする際にブラウザ上で単純に範囲を指定してコピーするのではなくいったん複製を経由しないと文字化けしてしまうしまた固有名詞の傍線や書名の波線が表示されているのにそうしたマークアップ情報は複製によってもコピーすることができない中華経典古籍庫は中国古典籍データベースの現段階における優等生ではあるかも知れないがこれで完成というわけではもちろんない今後第六期以降が追加される可能性もあるしそもそも全く別のより有用なデータベースが登場することも充分考えられる筆者の勤務先は人文系の予算が決して潤沢に使えるわけではないそしてそれは日本の多くの学術機関も同じだろうそうした中で何とか中華経典古籍庫を購入はしたがこの先まだまだ新しいデータベースが出るかと思うと今後どうやってお金を工面したものかとちょっと心配になる (やましたかずお慶應義塾大学)

13 中国文史資料集粋データベースを利用して二〇一七年中国における電子書籍の老舗である北京超星公司から中国文史資料集粋データベースがリリースされた筆者は東方書店より本データベースのレビューを依頼されたためトライアル版の使用を申し込み一ヶ月ほど試用してみた本稿はその成果である一文史

13 中国文史資料集粋データベースを利用して二〇一七年中国における電子書籍の老舗である北京超星公司から中国文史資料集粋データベースがリリースされた筆者は東方書店より本データベースのレビューを依頼されたためトライアル版の使用を申し込み一ヶ月ほど試用してみた本稿はその成果である一文史 13 中国文史資料集粋データベースを利用して二〇一七年中国における電子書籍の老舗である北京超星公司から中国文史資料集粋データベースがリリースされた筆者は東方書店より本データベースのレビューを依頼されたためトライアル版の使用を申し込み一ヶ月ほど試用してみた本稿はその成果である一文史資料とは何か文史資料とは中国近現代史の研究者であれば誰でも知っている著名な歴史資料である一九五九年に周恩来の指示で