情勢分析_文化に投資するカタール

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きのこもてぎ
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文化に投資するカタール 2030 年を見据えた将来構想高知県立大学文化学部専任講師辻上奈美江天然資源に恵まれたカタールが目覚ましい経済成長を遂げていることはもはや自明のこととなった一人当たり GDP は,2009 年の6 万ドルをはるかに凌駕して,2012 年には10 万ドル弱となる見込みである ⑴

カタールのエネルギーや経済への注目が高まる一方で, カタールの国内政策についてはあまり議論されていないとりわけ, カタールは伝統の保存, 文化や芸術活動の振興に力を入れている本稿では,2012 年 3 月に実施した現地調査をもとにカタール政府による文化芸術活動の重点ポイントを整理し,

1 文化に投資するカタール 2030 年を見据えた将来構想高知県立大学文化学部専任講師辻上奈美江天然資源に恵まれたカタールが目覚ましい経済成長を遂げていることはもはや自明のこととなった一人当たり GDP は,2009 年の6 万ドルをはるかに凌駕して,2012 年には10 万ドル弱となる見込みである ⑴ カタールは政治的な安定度も高く, 中東地域で唯一アラブの春が及ばなかった国でもあるカタール政府は, リビアやシリアの反体制派支援に積極的に乗り出すほどの余裕すら見せているスポーツでも,2022 年のワールドカップ開催が予定されており, 国際的プレゼンスは自ずと高まったカタールのエネルギーや経済への注目が高まる一方で, カタールの国内政策についてはあまり議論されていないとりわけ, カタールは伝統の保存, 文化や芸術活動の振興に力を入れている本稿では,2012 年 3 月に実施した現地調査をもとにカタール政府による文化芸術活動の重点ポイントを整理し, 他の湾岸諸国との相違点を比較しながら, カタールの国家運営上の戦略について考察することとする 1. 拡充される伝統保存文化芸術振興活動ドーハを2 年ぶりに訪れると, 前回はまだオープンしていなかった文化村カターラーが開業していた 2010 年に開業したカターラーは, 世界中の文化活動に触れることのでカターラーの円形劇場 ( 筆者撮影 ) 65 中東協力センターニュース

きる複合文化施設であるカターラーは, カタールの古い呼び方にちなんで名付けられたという文化村という名ではあるが, 海岸に面した敷地に, アラブ風の土壁の洗練されたデザインの建物がいくつも建てられている筆者が訪れた週末の午後には, これといった大規模なイベントはなかった模様だが, 入場料がかからないこともあってか大勢の人が文化村内を見学したり, 散歩していた

この規模の劇場は少なくとも湾岸諸国には見当たらないし, ヨーロッパでも古代の屋外劇場を保存する努力はされていても, この規模の屋外劇場を新たに建築することはあまりないことを考えれば, ホームページが表明した通り, カターラーは世界的に質の高い現代の芸術文化施設と呼べるだろう文化村には, 円形劇場の他に, コンサートホール, オペラハウス, 展示場なども設置されていて, クラシック音楽,

2 きる複合文化施設であるカターラーは, カタールの古い呼び方にちなんで名付けられたという文化村という名ではあるが, 海岸に面した敷地に, アラブ風の土壁の洗練されたデザインの建物がいくつも建てられている筆者が訪れた週末の午後には, これといった大規模なイベントはなかった模様だが, 入場料がかからないこともあってか大勢の人が文化村内を見学したり, 散歩していたカターラー内でひときわ目を引くのが, 巨大な屋外円形劇場である階段状の観客席の一番上までのぼると, 劇場と海が見渡せるのが何とも壮観であるこの劇場ではしばしばイベントが開催されるそうだが, これだけの規模なら大勢の集客が見込めるだろうカターラーのホームページでは, カターラーは多様な文化活動において世界を主導することを目指す ⑵ と明言されているこの規模の劇場は少なくとも湾岸諸国には見当たらないし, ヨーロッパでも古代の屋外劇場を保存する努力はされていても, この規模の屋外劇場を新たに建築することはあまりないことを考えれば, ホームページが表明した通り, カターラーは世界的に質の高い現代の芸術文化施設と呼べるだろう文化村には, 円形劇場の他に, コンサートホール, オペラハウス, 展示場なども設置されていて, クラシック音楽, オペラ, ジャズ, ダンスから写真展まで, 世界中の多様な芸術活動を常に公演展示している文化村内には各種レストランやカフェが揃っていて, アラブ料理はもちろんアルメニア料理店まで入っているから, これらを楽しんだ人も, そうでない人もレストランで食事をとることができる文化村カターラーの目と鼻の先にあるのが, 真珠型の人工島パールカタールであるドーハの中心地から約 20キロ北に位置するが, 人工島といっても陸続きになっているので自動車で移動できるこの島は, かつては真珠がこの地域の経済を支えてきたことから, アコヤ貝とその中心に真珠があるような形と名称が選ばれたという総面積 400ヘクタールの人工島には, ブランドショップ, レストランやカフェが揃っているほか, ホテルや外国人向けの高級マンションが並ぶ ⑶ 島内は10の地区に分けられていて, 湾内をクルージングすることもできるショッピングや食事, ナイトライフが楽しめる場所から, ビーチが楽しめる場所までバラエティに富んでいる合計 4 万人以上が居住できるマンション群パールカタールの様子 ( 筆者撮影 ) ショッピングモールも文化的なパールカタール ( 筆者撮影 ) 66 中東協力センターニュース

イスラーム芸術博物館 ( 筆者撮影 ) かつてのイスラーム圏の科学レベルの高さを窺わせる展示品 ( 筆者撮影 ) 明らかに高級そうな博物館展示物 ( 筆者撮影 ) の相場は, 賃貸なら寝室 3 部屋付で月々 40~50 万円, 分譲なら寝室 2 部屋付きで6,000

ペイが設計した建物は, 海岸線から突き出すように人口造成された土地に建てられていて, 夕方になるとライトアップで美しく海の上に浮かんでいるように見える 3 万 5,500 平米の博物館の内装はフランス人デザイナーによるもので,

博物館は景色が壮観であるだけではないひとつひとつがかなり高価と考えられる所蔵品をすべて無料で鑑賞できることも同博物館の特徴であるハマド首長の長女マヤーサ妃が議長を務めるカタール博物館局によれば, 博物館に所蔵されているのは,7 世紀から19 世紀までの,

3 イスラーム芸術博物館 ( 筆者撮影 ) かつてのイスラーム圏の科学レベルの高さを窺わせる展示品 ( 筆者撮影 ) 明らかに高級そうな博物館展示物 ( 筆者撮影 ) の相場は, 賃貸なら寝室 3 部屋付で月々 40~50 万円, 分譲なら寝室 2 部屋付きで6,000 万円とバブル経済を窺わせる ⑷ カターラーやパールカタールと海岸通を挟んだ対岸にそびえ立っているのが,2008 年に開館したイスラーム芸術博物館である ⑸ 30 億ドルかけてつくられたプリツカー賞受賞者で, ルーブル美術館のガラスのピラミッドを手がけた建築家 I.M. ペイが設計した建物は, 海岸線から突き出すように人口造成された土地に建てられていて, 夕方になるとライトアップで美しく海の上に浮かんでいるように見える 3 万 5,500 平米の博物館の内装はフランス人デザイナーによるもので, 大きな吹き抜けのある博物館の海岸側の先端はカフェになっているカフェの一部はガラス張りになっていて, 対岸の高層ビルが並ぶダウンタウンを一望することができる夕暮れ時などは, 対岸のダウンタウンの高層ビルの一群が美しく浮かび上がる外観も, 内側からの風景も美しい博物館だが, 博物館は景色が壮観であるだけではないひとつひとつがかなり高価と考えられる所蔵品をすべて無料で鑑賞できることも同博物館の特徴であるハマド首長の長女マヤーサ妃が議長を務めるカタール博物館局によれば, 博物館に所蔵されているのは,7 世紀から19 世紀までの, 東はインドから西はスペインまでの逸品である ⑹ カーペット, 絵画や書道, セラミック, 金属, 宝石, ガラス, 象牙の作品があるが, 大粒のダイヤモンドやエメラルドがちりばめられた宝石や, 大広間を埋め尽くすような巨大カーペットなどの展示品の価値は, 筆者のような素人にもわかりやすい展示品の数はそれほど多くないが, ひとつひとつが豪華で, 配置や見せ方も絶妙だ 67 中東協力センターニュース

スークワーキフの土産物屋 ( 筆者撮影 ) スークワーキフで食事を楽しむ人びと ( 筆者撮影 ) ルーブル美術館でもなく, 故宮博物館でもない, 独特の繊細さを窺わせる配置であるまた, 所蔵品は, ハマド首長が約 20 年前から収集を命じた品々というから, それぞれの価格を思わず値踏みしてしまう衝動にも駆られるこの博物館の売りは, イスラーム科学の歴史についてのコーナーだろう

お土産を購入するのにちょうどよい場所となっているスークをさらに奥に進めば, かつて日本でも夜店で売っていたようなカラフルなひよこを売っている露店のペットショップや, 湾岸地域のスイーツを売る店などがあって, ディープなスークの世界を堪能できる ⑺ 文化村, パールカタール, 博物館そしてスークワーキフは, 一日あればすべて観光することができるだろう計画時に意図していたかどうかは不明だが,

4 スークワーキフの土産物屋 ( 筆者撮影 ) スークワーキフで食事を楽しむ人びと ( 筆者撮影 ) ルーブル美術館でもなく, 故宮博物館でもない, 独特の繊細さを窺わせる配置であるまた, 所蔵品は, ハマド首長が約 20 年前から収集を命じた品々というから, それぞれの価格を思わず値踏みしてしまう衝動にも駆られるこの博物館の売りは, イスラーム科学の歴史についてのコーナーだろう大小の羅針盤が展示されているコーナーなどは, かつてのイスラーム世界の科学レベルの高さを窺わせる博物館で崇高な芸術に触れた後に, 夕食を兼ねて訪れることができるのがスークワーキフであるかつてのスーク ( 市場 ) を改装してできたスークワーキフの大通りには, 水タバコを吸えるカフェや各種レストランが軒を連ねているアラブ風に夕方から店を開けるため, 観光や会議で訪れた客が一息ついたり, お土産を購入するのにちょうどよい場所となっているスークをさらに奥に進めば, かつて日本でも夜店で売っていたようなカラフルなひよこを売っている露店のペットショップや, 湾岸地域のスイーツを売る店などがあって, ディープなスークの世界を堪能できる ⑺ 文化村, パールカタール, 博物館そしてスークワーキフは, 一日あればすべて観光することができるだろう計画時に意図していたかどうかは不明だが, 小さな国土だからこそ, 観光名所を凝縮させ, 会議やビジネス, さらにはトランジットなど, 短時間カタールを訪れた人でもひととおり観光できるようになっているこのことは, 経済成長を遂げ, ハブ空港を目指し, スポーツなどのイベントを通じて外国人を招致したいカタールの強みとなっている 2. なぜ文化資源に投資するのか外国人の呼び込みといえば, その最先端を走ってきたドバイとの相違点が興味深いドバイは,2009 年のドバイショックを経験しながらも, 常に世界の注目を浴びるプロジェクトを成し遂げてきた世界一高いビル, ブルジュハリーファのような高さを競うビルを建て, ショッピングモール内に巨大噴水や水族館, スケートリンク, そしてスキー場までつくってしまう 1996 年にドバイ政府主導で始まったドバイショッピングフェスティバルは, 毎年 1~2 月に開催される恒例行事となったドバイショッピングフェスティバルは, 単なるセール期間ではなく, ファッションショーや花火, 映画祭などのイベントも行うモールは買い物のための場所のみならず, 娯楽総合施設と化しているドバイのショッピングモールの数は60を優に超えているが, まだ建設中のモールもある超商業主義とも呼べるこのようなドバイの観光 68 中東協力センターニュース

5 政策によって,2010 年には1,500 万人の観光客を呼び込むことに成功したという外国人訪問者招致については, カタールはドバイに比べればかなり少なく,2007/08 年度にドーハ国際空港を経由した人口が1,000 万人, 2007 年にカタールを訪れた外国人は96 万 4,000 人であった ⑻ しかし167 万人 ⑼ という人口規模や 1 万 1,500 平方キロという国土面積の小ささに鑑みれば, カタール政府は外国人訪問者の招致にかなりの重点を置いていることがわかるそして, ドバイとの違いは, 外国人招致の方法にもあるようである 2007 年の外国人訪問客のうち95パーセントが仕事で同国を訪れているそして, カタール観光局も会議や会合, そして展示会などビジネス目的で訪問客を招致したいと明言しているそしてそのためにカタール観光局は,2007 年 ~ 2012 年までの5 年間で170 億ドルを観光に投資すると発表しているしかしなぜ, カタールはこれほどまでに文化資源に投資するのか天然資源に支えられた経済は急成長中である 2004 年以降の実質 GDP 成長率 2ケタ台を維持してきた ⑽ 石油生産量は 2010 年時点で日量 157 万バレルと, サウジアラビア (1,000 万バレル ) やアラブ首長国連邦 (285 万バレル ) には及ばないが, 天然ガスについては, カタールの確認埋蔵量は25.3 兆立方メートルで, 世界の埋蔵量の13.5パーセントを占める ⑾ 国際エネルギー機関からはガス黄金時代を迎えたのかと題する報告書が提出されたように, 天然ガスの需要は今後ますます高まることが予想される同機関によれば,2035 年には天然ガスが世界のエネルギー需要の4 分の1を占めるようになるという ⑿ 今や世界中がカタールを資源国として注目している会議や商談のためにカタールを訪れる人は自ずと増えるだろう資金力もあるカタールであれば, 短期的により利益の上がりそうな商業施設をつくり, そこからさらに収入を得ることもできる世界一高いビルをつくって展望台への通行料を稼いだり, ショッピングモール内に娯楽施設を併設し, 買い物とアトラクションの両方で短期間に儲けることもできるだろうだが, カタールの選択した道は, ドバイに比べれば, より知的で文化的な方向であるそしておそらく, より短期的な利益率の低い投資と言えるかもしれないカタール文化村で演劇を鑑賞し, 博物館を鑑賞し, スークで食事をとり, 多少のお土産を購入したとしても, 訪問客はおそらくドバイで消費するよりもはるかに少ない額の予算でドーハを観光できるだろうそれでもなお, カタールが文化資源に投資する背景には,2030 年に向けて計画されたカタール国家展望 2030 があるカタール博物館局やカタール観光局のホームページでも折に触れて言及されているカタール国家展望 2030 とはいったいどのようなものか 3. カタール国家展望年に制定されたカタール国家展望 2030 は,2030 年までにカタールが追求すべき将来計画について記されている ⒀ 同計画書の冒頭では, カタールが豊富な富によって, かつては予想すらしなかったようなチャンスと同時に課題に直面していることに言及しているそして, ハマド首長のリーダーシップのもと, いつかは枯渇する資源を有効に利用してカタールをさらに発展させ, 国際社会における役割を強化すべきであると目標を掲げる計画書は,2030 年までの課題として, 伝統の維持, 現世代と次世代のニーズのバランスの保持, 外国人労働者の適正な規模と質の保持, 環境保全を挙げているそして, これらを実現するために, 人間開発, 社会開発, 経済開発, そして環境保全の4つを柱に計画を達成すると宣言している人間開発に関する項目では, 知識に基づく競 69 中東協力センターニュース

6 争社会に勝ち抜くために, 教養レベルの高い国民の育成が急務であるというカタールが教育に重点的に取り組んでいるのは明らかで,1995 年にハマド首長の指示によって教育, 科学とコミュニティ開発のためのカタール基金が設立された ( 以下, カタール基金 ) カタール基金は, ハマド首長の妻モウザ妃が議長を務める, 首長家の重点プロジェクトであるカタール基金の主要な事業としては, ドーハの西に建設した教育都市がある教育都市には, カタールの教育研究機関のほか, ジョージワシントン大学, カーネギーメロン大学, テキサス大学など欧米系の一流大学を複数招致しているさらには, 米国のランド研究所とカタール基金が共同で設立したランドカタール政策研究所などもある 2013 年には教育都市内に4 万 5,000 平方メートルの中央図書館が完成される予定であり, カタールの教育と研究の中心になることが期待されている ⒁ 社会開発の項目では, カタールの国家遺産を保存し, アラブとイスラームの価値観とアイデンティティを育成することなどを挙げているこれらが, カタールが文化資源に重点的に投資する根拠となっているが, この他に社会開発の項目では, 正義と平等, 法の支配に基づく社会や女性のエンパワーメントを促進することが目標として掲げられている経済開発については, 国内外の資本や技術を呼び込むためのビジネス環境を整備し, 経済金融の安定を保ち, 将来の世代にも高い生活水準を保障すること, 天然資源を適切に利用しながらも産業の多角化を図ること, 知識経済を確立することなどを挙げている計画書の全体を通して貫かれていることは, カタール経済は石油やガスに依存しているが, これらの資源はいつか枯渇することを冷静に受け止めていることであるそして, 資源を有効に利用しながらも, 持続的発展を遂げるための方策が掲げられている文化資源への投資は, 人間開発と社会開発とに直結しているしかし, 人口規模の小さいカタールにおいては, 外国人招致など経済的にも重要であることは間違いない 4. むすびにかえて本稿では, 人口の少ないカタールにおいて, 文化資源に重点的投資が行われていることに着目した本稿での検討を通じて, 文化資源は知識経済を支える基盤として, そして外国人招致の鍵としての役割を果たすことが期待されていることが明らかになったとりわけ, ドバイとの比較で明らかになったことは, カタールは商業施設よりは文化施設により投資する傾向があることであるドバイのように商業施設に投資することは, より幅広い層の人びとに対して短期的な利益を見込むことができる商業施設や娯楽施設は, 誰にとっても分かりやすく, アクセスしやすいからであるだが, カタールのカターラーの文化や芸術活動に触れる人, 博物館で希少な逸品を鑑賞する人には, より高度な文化力が求められる利用者は自ずと絞られることになるだろうにもかかわらず, カタール政府は文化資源への巨額の投資を続けているこの背景には, 国家展望 2030 において繰り返し強調されたように国民の教育レベルや知的レベルの向上を図る意図があるだが, 展望では多くは語られなかったが, 人口規模の小さいカタールにおいて, 短期及び長期的に外国人を呼び込むことも必須となっている経済成長を持続させるためには, 多様なスキルの外国人がカタールを長期または短期で訪れる必要がある文化資源への投資は, 外国人の質と規模を維持したい意図とも無関係ではない現状では, カタールの外国人訪問者の95パーセントが仕事で訪れる人たちである 4 万人の 70 中東協力センターニュース

7 外国人が居住できるように建設されたパールカタールは, 非熟練労働者向けに建設されたわけではないことは, あえて言うまでもない高度に文化的な施設や外国人用高級アパートメントを次々と建設している背景には, 知識経済に不可欠な, 外国人投資家やホワイトカラーの外国人専門職の人びとを呼び込みたい意思が窺えるけれども, 豊かなカタール経済は, 大多数の非熟練労働力の上に成り立っていることも忘れてはならない事実である国家展望 2030 でも明記されたように, カタールは経済や社会, 文化のバランスを保つことが求められているだが, それらは均衡点を見いだすことができるのか, そうだとすればその均衡点はどこにあるのか今後の経済成長とともに注目すべきテーマとなるだろう本研究は科研費 ( ) の助成を受けたものである ( 注 ) ⑴ IMF については, 以下を参照した閲覧日 :2012 年 4 月 2 日 ⑵ ⑶ 詳しくは, 以下参照 ⑷ 不動産の価格については, 現地で入手した雑誌 ABODE,November 2011 号を参照した ⑸ 閲覧日 :2012 年 4 月 9 日 ⑹ カタール観光庁については, 以下参照 ⑺ スークワーキフの詳細については, 拙稿カタールのスーク開発と湾岸諸国の観光政策中東協力センターニュース 2010 年 10/11 月号,pp を参照されたい ⑻ カタール観光局閲覧日 :2012 年 4 月 9 日 ⑼ 2010 年 10 月当時カタール統計局閲覧日 :2012 年 4 月 3 日 ⑽ International Monetary Fund World Economic Outlook. p weo/2009/01/pdf/text.pdf ⑾ British Petroleum BP Statistical Review of World Energy. p.8 ⑿ International Energy Agency World Energy Outlook 2011 Special Report Factsheet. ⒀ カタール国家展望 2030 については, 以下を参照した QNV2030_English_v2.pdf 閲覧日 :2012 年 4 月 6 日 ⒁ カタール基金については, 以下を参照した閲覧日 :2012 年 4 月 9 日 71 中東協力センターニュース