日本内科学会雑誌第105巻第9号

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1 TGF-β ファミリーからみた内科学 宮園浩平 Key words TGF-β, 骨形成因子, 上皮間葉転換, がん, 線維症,Marfan 症候群 はじめに :TGF-βの多彩な作用 Transforming growth factor(tgf)-β は1980 年代初めに正常の線維芽細胞 (NRK-49F) に作用して形質転換を起こす因子として見つけられた. 軟寒天の中では正常の線維芽細胞は足場がないために増殖できないが,TGF-β はEGF(epi- dermal growth factor) の共存下で, 足場なしで正常線維芽細胞の増殖を促進するという特徴的な作用をもつ因子として発見された. その後, 1980 年代半ばになって,TGF-β は上皮細胞をはじめ, 多くの細胞の増殖を抑制することが明らかになり, その後はTGF-β は増殖抑制因子の代表に位置づけられるようになった. 特に,TGF-β の増殖抑制作用からの逸脱は細胞のがん化につながると考えられ, 多くの研究がなされた. その結果,TGF-β のType II 受容体 (TGFBR2 遺伝子 ) の異常が遺伝性非ポリポーシス大腸がん (hereditary non-polyposis colorectal cancer: HNPCC) でみられることや, シグナル分子 Smad4の遺伝子異常が膵臓がんの約半数にみられることが明らかになり,TGF-β はがん抑制因子として広く知られるようになった. 一方で, では,TGF-β はなぜ軟寒天培地で線維芽細胞の増殖を促進する作用を発揮するのか ということが長い間の疑問となっていた. また,1990 年代初めにTGF-β は組織の線維化を促進する因子として知られるようになる. さらに,1990 年代の半ばにTGF-β が上皮細胞を間葉系細胞に移行させるという特徴的な作用 ( 上皮間葉転換 (epithelial-mesenchymal transition:emt)) を有し, 上皮細胞の運動 浸潤能を亢進させることが明らかとなり,TGF-β はがんの進展においてがん抑制作用と浸潤 転移促進作用をもつことという二面的な作用 (bidirectional function) が広く知られるようになり, 現在に至っている ( 図 1) 1). TGF-β はその作用が多彩であることだけでなく, 種々の疾患の病因と密接に関わっていることが特徴である. さらに,TGF-β と類似した構造を持ち, 類似した経路でシグナルを伝える 東京大学大学院医学系研究科 113 th Scientific Meeting of the Japanese Society of Internal Medicine:Special Lecture:TGF-β family and internal medicine. Kohei Miyazono:Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Japan. 本講演は, 平成 28 年 4 月 15 日 ( 金 ) 東京都 東京国際フォーラムにて行われた 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号

2 第 113 回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦 ~ 今, そしてこれから ~ 増殖抑制 p21 p15 c-myc Cdc25 腫瘍抑制作用 初期のがん TGF-β 図 1 がんにおける TGF-β の作用の二面性 TGF-β は早期のがんでは増殖抑制作用やアポトーシス誘導により腫瘍抑制因子として働く. 進行したがんでは TGF-β は EMT を誘導することなどにより腫瘍促進因子として働く. TGF-β ファミリーの因子である骨形成因子 (bone morphogenetic protein:bmp) やアクチ ビン (activin) などが1980 年代後半から次々に発見されたが, これらの因子も種々の疾患と関連することが明らかになり, このことが基礎研究者のみならず, 多くの臨床医の興味を引くこととなった理由と思われる. 1.TGF-β によるシグナル伝達 EMT 誘導 Snail Slug ZEB1 (δef1) ZEB2 (SIP1) Twist1 腫瘍促進作用 進行がん TGF-β には構造の類似した蛋白質が3 種類存在し,TGF-β1~3 と呼ばれる.3 種類のTGF-βはいずれも2 種類のセリンスレオニンキナーゼ型受容体 (Type IとType II) に結合する ( 図 2) 2). Type II 受容体はType I 受容体を活性化し, その結果,Smad と呼ばれる一群のシグナル分子が活性化される.TGF-β の作用によってType I 受容体がSmad2 とSmad3 を活性化すると,Smad4 と結合し, 形成されたSmad 複合体は核内へ移行する. 核内でSmad 複合体は種々の転写因子と結合してDNAに結合し, 種々の標的遺伝子の転写を調節する.TGF-β による増殖抑制にはp15やp21 などのサイクリン依存性キナーゼ阻害因子 (cyclin-dependent kinase inhibitor:cdki) の発現上昇やc-Mycの発現抑制が重要な役割を果たす. 一方で,EMTにはSnailやSlugなどの転写因子の発現上昇が重要である 3).Smadによるシグナルはこれを抑制するSmad(inhibitory Smad) であるSmad7によって抑制される.TGF-β 刺激はSmad7の発現を促進することから,Smad7を介して Smad-induced Smad inhibition という負のフィードバック機構が存在する 2). このことは多くの内分泌ホルモンのもつフィードバック調節機構と類似したメカニズムが細胞内シグナルレベルでも存在することを示している. さらに,TGF-β はPI3(phosphoinositide 3) キナーゼやMAP(mitogen-activated protein) キナーゼなどSmadを介さないシグナル経路 (non-smad 経路 ) を活性化する. また, 種々の増殖因子やがん遺伝子 RasによるシグナルがSmadシグナル経路を修飾することで細胞特異的な作用が発揮される ( 図 2). TGF-β ファミリーの因子は, 哺乳類では33 種類存在する. これらは,(1)Type I 受容体の下流で主としてSmad2やSmad3を活性化する因子 (TGF-β やアクチビン, ミオスタチンなど ),(2) Smad1 やSmad5 を活性化する因子 (BMP-2,-4, -7,-9, ミューラー管抑制因子など ),(3) いずれのSmadも活性化せずに他の因子に抑制的に働く因子, という大きく3つに分類することができる. 2.TGF-βによるEMTの誘導とがん EMTは上皮細胞が種々の刺激によって間葉系細胞へと分化していく過程であり,(1) 初期発生や発生段階での形態形成のプロセスや,(2) 組織の再生 線維化,(3) がんの進行に密接に関わっている.EMTが起こるとE-cadherinや Claudin-1などの上皮細胞マーカーの発現が低下し,N-cadherinやα-smooth muscle actin(α-sma) の発現が上昇する.EMTを起こした細胞は運動 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号 1559

3 TGF-β TβRII TβRI signal crosstalk Smad2/3 Ras PI3K TAK1 Akt mtor MKK 3/6/4 Smad4 P P MAPK?? p70s6k 4E-BP1 JNK p38 核 P P 転写共役因子 標的遺伝子 non-smad pathway DNA 結合因子 図 2 TGF-βのシグナル伝達機構 TGF-βはType I(TβRI) とType II(TβRII) の 2 種類の受容体に結合してシグナルを伝達する. 受容体の下流ではSmadによるシグナル経路が中心的な役割を果たす. さらにSmadを介さないシグナル経路や, 他の増殖因子やがん遺伝子 がん抑制遺伝子のシグナルがSmadシグナルを修飾して細胞の機能を調節する. 性 浸潤性が亢進し, がんにおいては抗がん薬に対する抵抗性が亢進する 3). 興味深いことは, Smad7 含有アデノウイルスやTGF-β 阻害低分子化合物などを用いてTGF-βシグナルを抑制すると, 乳がんなどの種々の動物モデルでがんの転移を抑制できることである 4).TGF-β シグナルの抑制は乳がんの骨転移を抑制することも種々の動物モデルで明らかとなっていることから, 進行したがんではTGF-βシグナル阻害薬が有効であると考えられ, 多くの研究がなされている. では,TGF-β はどのような状況で細胞増殖を抑制し, どのような状況でEMTを誘導するのであろうか. 多くの正常上皮細胞はTGF-βによって増殖抑制を受けるが, がん化した細胞はしばしばTGF-β による増殖抑制作用を受けなくなる. 一方で,TGF-β で刺激した細胞は必ずしも全てがEMTを起こすわけではなく, 細胞によって 反応の程度が異なる. ヒト膵臓がんではKRASの異常によるK-Rasの活性化が90% の症例でみられ, 膵臓がん細胞株 PANC-1でも同様の変異がみられる. 筆者らがPANC-1を用いた検討では, TGF-β による転写因子 Snailの発現とEMTの誘導はK-Rasの発現と密接に関わっており, 活性型 K-Rasの非存在下ではSnailの発現上昇やE-cad- herinの発現低下がみられないことが明らかとなった 5). 次世代シークエンサーを用いた FAIRE-sequencingなどの検討では,Smad2 や Smad3のDNA 結合が活性型 K-Rasの作用によって大きく変動することが明らかとなっていることから, 悪性化に伴う種々のがん遺伝子やがん抑制遺伝子の異常によって引き起こされるクロマチン構造の変化がEMT 誘導に密接に関わると考えられる 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号

4 第 113 回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦 ~ 今, そしてこれから ~ 3.TGF-βの作用と肺腺がん TGF-β とがんの研究は乳がん, 大腸がん, 膵臓がん, 脳腫瘍をはじめ, 多くのがんで行われている. ここでは,TGF-β と肺がん, 特に肺腺がんとの関連について述べたい. 肺腺がんにおける遺伝子異常については最近多くの研究がなされ, がん遺伝子 KRAS,EGFR,ALKの活性化が肺腺がんでみられ,EGFRとALKの異常がある症例についてはそれぞれに対するチロシンキナーゼ阻害薬が臨床的に有効であることが明らかとなっている.TTF-1(thyroid transcription factor) はNKX2-1とも呼ばれ, 肺, 気管, 甲状腺などに比較的特異的に発現する転写因子であり, 肺ではII 型肺胞上皮細胞やクララ細胞で発現しており,SP-Aなどのサーファクタント蛋白の分泌を促進する.TTF-1 陽性の肺腺がん症例は, 陰性の症例に比較して予後がよく,TTF-1は予後を診断するよいマーカーとして知られている. TTF-1を発現している肺腺がん細胞株はE-cad- herinを発現して増殖が遅く, 一方でTTF-1 陰性肺腺がん細胞株はE-cadherinを発現せず,EMT 様の表現型を示し, 増殖速度が速いことが観察されている. 筆者らの検討では,TTF-1 はTGF-β の作用に拮抗し,TGF-β によるSnailやSlugの発現を抑制し,EMTの逆の現象であるMET(mesenchy- mal-epithelial transition) を引き起こすことで, 肺腺がんの進行を抑えていると考えられた 6). TTF-1は肺腺がんでは多くの場合がん抑制因子として働くが, 時にTTF-1/NKX2-1の増幅がみられ,TTF-1ががん遺伝子として作用することが報告されている. これはTTF-1がEMT 誘導抑制などのがん進展を抑える働きだけでなく, ROR1 やLMO3 などの細胞の生存に関わる遺伝子の発現を促進することによると考えられている.ChIP-sequencingなどの次世代シークエンサーを用いた解析では,TTF-1 はSmad2/3 と Smad4 の複合体形成を阻害し,Smad3 とTTF-1 が直接結合して独自の転写調節を行っているこ とが明らかとなった 7). 次世代シークエンサーの登場により, 筆者らはTTF-1とTGF-βの新たな標的遺伝子を肺腺がん細胞で同定しており, これらががんの進展に重要な役割を有することも明らかとなっている. こうした組織特異的な転写因子とTGF-β-Smadの関係は他のがんでもみられ, 今後の研究の進展が待たれる. 4.TGF-βによる線維化の誘導 TGF-β のもう1つの大きな特徴は,TGF-β が細胞外マトリクスの産生を促進して組織の線維化を引き起こすことである.1990 年に, 実験的な急性腎炎モデルではTGF-βの産生が亢進しており,TGF-β 中和抗体でTGF-βの作用を抑制すると腎炎の進行が抑えられることが報告された. この報告以来, 糖尿病腎症や肺線維症, 強皮症, 肝硬変など多くの線維性疾患でTGF-βの発現の亢進により, コラーゲンやフィブロネクチンなどのマトリクス蛋白質の発現誘導や, マトリクス分解蛋白質の発現制御などによって線維化が進行することが報告された. 例えば, ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルでは, アデノウイルス含有 Smad7を経気道的に投与してTGF-β の作用を抑制すると線維化が抑制されること, Smad3 欠損マウスでは一側尿管結紮 (unilateral ureteral obstruction:uuo) による腎障害の進行がみられないことが報告された. こうした知見をもとに,TGF-β に対する中和抗体やTGF-β のType I 受容体キナーゼを抑制する低分子化合物が作成され,TGF-β シグナルを標的とした疾患の治療ががんや線維性疾患を中心に試みられてきた 8). しかしながら, 進行した線維症ではTGF-βシグナル阻害剤の効果は十分ではなく, また, 心血管系への副作用など予期せぬ作用も報告されている. 線維症に対する TGF-β 阻害薬の効果はこれまで多くの期待が寄せられてきたが, 残念ながら今日まで臨床応用には至っていない. 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号 1561

5 タンパク分解 EGF-like ドメイン TGF-β LAP 8-Cys ドメイン LTBP フィブリリン 細胞外マトリクス 図 3 潜在型 TGF -βの構造潜在型 TGF-βは,TGF-βとLAP,LTBPからなる.LTBPは細胞外マトリクスやフィブリリンと結合する. 細胞外マトリクスとインテグリンとの結合により潜在型 TGF-βは活性化される. 5. 潜在型 TGF-βの構造と活性化 TGF-β は活性をもたない潜在型 (latent form) として産生され, 活性化を受けて初めてその作用を発揮する.TGF-β1 は390 個のアミノ酸からなる前駆体としてつくられ,C 末端側の112 個のアミノ酸からなる部分が2 量体をつくり, この部分が活性をもつTGF-βとなる.N 末端側の部分 (latency-associated peptide:lap) も 2 量体をつくり,C 末端側から切断された後も非共有結合で結合し,TGF-β を潜在型とする.TGF-β が刀にあたるとすると,LAPは刀のさやにあたる働きをもつわけである. 多くの細胞では, 潜在型 TGF-β はTGF-β とLAPに加えて,LTBP(latent TGF-β binding protein) がLAPにS-S 結合で結合した複合体として産生される.LTBPは,EGF 様の構造と8 個のシステイン残基を含む特徴的な構造 (8-Cys domain) が繰り返し出てくる特徴的な構造をもつ ( 図 3).LTBP には類似した構造をもつ蛋白質が4 種類存在し,LTBP-1~4と呼ばれ, このうちLTBP-1,3,4 がLAPと結合する. 潜在型 TGF-β は強酸, 強アルカリ, 熱処理, プラスミンなどの酵素処理によって活性化されるが, 生体内でどのような分子機構で活性化され るか, 長い間明らかではなかった.2000 年代になって,LAPがインテグリンに,LTBPが細胞外マトリクスに結合し, なんらかの機械的な力が働くことで潜在型 TGF-β 複合体が細胞外マトリクス側とインテグリン側に引っ張られると全体の構造にゆがみが生じ, その結果, 潜在型 TGF-β が活性化されることが明らかになった 9). 一方で,Marfan 症候群の原因遺伝子 FBN1 がつくる蛋白質 Fibrillin-1 がLTBPと同様にEGF 様構造と8-Cysドメインの繰り返しからなることが報告された. さらにFibrillin-1はLTBPと結合することで, 潜在型 TGF-β の細胞外マトリクスでの局在を決定すると同時に, その活性化を制御する働きをもつことが明らかになり, 大動脈瘤や大動脈解離などMarfan 症候群の主な臨床所見のいくつかはTGF-βシグナルの過剰で説明することが可能となった 10).Fibrillin-1 遺伝子 (Fbn1) を欠損したマウスでは血管中膜においてTGF-β の作用が亢進してSmad2のリン酸化が強く観察され,TGF-β 中和抗体の投与で中膜肥厚が抑制されることが報告された. 血圧降下薬 losartanのmarfan 症候群モデルマウスへの投与ではTGF-β 中和抗体と同様の効果がみられ, 大動脈瘤や大動脈解離などに対する臨床応用が期 1562 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号

6 第 113 回日本内科学会講演会 結実する内科学の挑戦 ~ 今, そしてこれから ~ 待されている 10).LosartanはTGF-β 受容体や Smadに直接作用するとは考えられておらず, その作用の分子メカニズムは明らかとなっていないが,TGF-β シグナルの下流におけるMAPキナーゼの抑制などの作用が重要であると報告されている. 潜在型 TGF-β の構造が明らかとなったのは 1980 年代後半であるが, 活性化のメカニズムや Marfan 症候群との関連が詳細に明らかとなったのは2000 年代に入ってからである.TGF-β が組織の線維化と密接に関係していることは古くから知られていたが,Marfan 症候群との関連は予期せぬものであった. 今後, 潜在型 TGF-β の活性化とFibrillinの関係がさらに明らかになり, 新たな治療戦略が推進されることが期待される. おわりに TGF-β は強力な増殖抑制因子であり, 血球細胞やリンパ球に対しても増殖や機能を抑制する働きを有する. 一方で,TGF-β は制御性 T 細胞への分化を促進する作用があり,TGF-β 作用の抑制は免疫能の活性化を誘導する可能性があり, がんや免疫疾患への臨床応用が期待されている. TGF-β ファミリーの因子であるBMPは, 元来は骨や軟骨の形成を促進する因子として見つ かった. その後,BMP は無脊椎動物にも存在し, 初期発生や組織の形態形成に重要な役割を果たすことが明らかとなった因子である.BMPの Type II 受容体 BMPRIIの機能喪失は原発性肺高血圧症と,Type I 受容体 ALK-1の機能喪失は遺伝性出血性毛細血管拡張症と, さらにALK-3( 別名 BMPRIA) の機能喪失は若年性ポリポーシスとの関連が報告されている. 一方で,BMPの Type I 受容体 ALK-2の機能亢進は進行性骨化性線維異形成症 (fibrodysplasia ossificans progressiva:fop) や小児びまん性内在性橋グリオーマ (diffuse intrinsic pontine glioma:dipg) に関わるなど,BMPシグナルの異常は骨 軟骨疾患, 血管病変, がんなど多彩な疾患との関連が知られている. 最近になってBMPシグナルを抑制する低分子化合物の開発も進められており,BMP シグナルの過剰によってもたらされる疾患の治療も可能になるかもしれない.TGF-β ファミリーの因子に関する研究はこれまでも多くの研究者の興味を引きつけてきたが, その阻害薬の開発により, 今後さらに大きく発展することが期待される. 著者の COI(conflicts of interest) 開示 : 宮園浩平 ; 株式利益 ( イムノフューチャー ), 特許使用料 (Ludwig Cancer Research), 寄附金 ( 大塚製薬, 日本新薬 ) 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号 1563

7 文献 1 ) Morikawa M, et al : TGF-β and the TGF-β family : context-dependent roles in cell and tissue physiology. Cold Spring Harb Perspect Biol, 2016(in press). 2 ) Heldin CH, et al : TGF-β signalling from cell membrane to nucleus through SMAD proteins. Nature 390 : , ) Miyazono K, et al : Tumor-promoting functions of transforming growth factor-β in progression of cancer. Ups J Med Sci 117 : , ) Azuma H, et al : Effect of Smad7 expression on metastasis of mouse mammary carcinoma JygMC(A)cells. J Natl Cancer Inst 97 : , ) Horiguchi K, et al : Role of Ras signaling in the induction of Snail by transforming growth factor-β. J Biol Chem 284 : , ) Saito RA, et al : Thyroid transcription factor-1 inhibits transforming growth factor-β-mediated epithelial-to-mesenchymal transition in lung adenocarcinoma cells. Cancer Res 69 : , ) Isogaya K, et al : A Smad3 and TTF-1/NKX2-1 complex regulates Smad4-independent gene expression. Cell Res 24 : , ) Akhurst RJ, Hata A : Targeting the TGFβ signalling pathway in disease. Nat Rev Drug Discov 11 : , ) Todorovic V, Rifkin DB : LTBPs, more than just an escort service. J Cell Biochem 113 : , )Habashi JP, et al : Angiotensin II type 2 receptor signaling attenuates aortic aneurysm in mice through ERK antagonism. Science 332 : , 日本内科学会雑誌 105 巻 9 号

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