フランスの民間医療保険 検討した上で (Ⅰ-2), 補足的医療保険に関する法規制および実際の給付費用の規模等の現状, さらに, 保険契約の一例を紹介する (Ⅱ) 後半部分では,1990 年代末以降の法改正の中で, フランスの補足的医療保険の性格を変容させる意味をもつと思われる重要なものを 2 つ取り
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- あやか あわたけ
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1 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > フランスの民間医療保険 * 笠木映里 要約 フランスの医療の分野では, 皆保険の原則を採用する公的医療保険に加え, 原則として個人が任意で加入する私保険が広く普及している フランスの公的医療保険には比較的大きな患者自己負担が存在するため, このような私保険 ( 補足的医療保険 ) への加入は必要不可欠であり, そうした状況を背景として, 補足的医療保険には, 通常想定される私保険のロジックには必ずしも一致しない様々な特殊な法規制が課されている また, 近年においては, 税財源を用いて低所得者を補足的医療保険に無拠出で加入させる制度や, 補足的医療保険の保険者が社会保険給付のコントロールに参加する仕組みが導入され, 私保険の社会保険への接近 両者の一体化の傾向が顕著である こうした制度は, 民間医療保険と呼ばれるものの中にも, その国の社会的 歴史的文脈により多様なものが存在しうること, 社会保険と民間保険とが相互に影響を及ぼし合って発展することの一つの例として, また, 公的医療保険を補足する形での私保険の活用が一国の医療保障制度に導きうる問題を明らかにする観点から, 興味深い研究対象を提供している Ⅰ. フランスの民間医療保険 - 補足的 医療保険 Ⅰ-1. はじめに現行法上, フランスにおいては, 公的医療保険 ( フランスでは, 強制加入医療保険 (assurance maladie obligatoire), あるいは, 社会保障制度 (sécurité sociale) が日本でいう公的医療保険を意味する言葉として用いられている ) があらゆる国民をカバーする, いわゆる皆保険制度が採用されている 従って, 民間医療保険は, 公的医療保険に加えて市民が任意で加入する 2 つめの保険ということになる このような 2 つめの保険という趣旨を示す意味で, また, フランスで用いられている一般的な用語法に従って, 本 稿では, フランスの民間医療保険を 補足的 医療保険 (assurance maladie complémentaire) と呼ぶ この補足的医療保険は, 社会保険制度創設以前からの長い歴史を有し, フランスの医療制度の中で, 他のヨーロッパ諸国と比較しても特殊な位置づけを与えられている 本稿では, 読者の関心は基本的に民間医療保険の現代における役割にあると思われることから, 現状 近年の動向にできるだけ対象をしぼって検討を進める 以下, 導入として, 公的医療保険の概要やフランスにおける補足的医療保険普及の背景を * 九州大学法学部准教授
2 フランスの民間医療保険 検討した上で (Ⅰ-2), 補足的医療保険に関する法規制および実際の給付費用の規模等の現状, さらに, 保険契約の一例を紹介する (Ⅱ) 後半部分では,1990 年代末以降の法改正の中で, フランスの補足的医療保険の性格を変容させる意味をもつと思われる重要なものを 2 つ取り上げて, 検討を加え (Ⅲ), 最後に簡単なまとめと検討を行う (Ⅳ) なお, フランスでは, 補足的医療保険だけが単独の契約として提供されていることは希であり, 多くの場合, 労働不能や介護保険等の生活保障に関わる保険 ( 年金を除く ) を一つの契約の中で組み合わせていることも多いが ( Ⅱ-4), 以下の検討では, さしあたり医療保険のみを対象として検討を進める また, フランスの民間医療保険については, 既に別稿で検討を試みている 1) 他, 近日中にこれらの原稿をまとめて単行本とすることを予定している ( 社会保障と私保険 -フランスの補足的医療保険 ( 有斐閣 2012 年 9 月刊行予定 )) ため, これらの論文における記述と重複する部分が多くなることをあらかじめお断りしておきたい Ⅰ -2. 補足的医療保険発展の背景 : 公的医療保険と私保険との相互関係 Ⅰ-2-1. 歴史的経緯の影響フランスにおいて補足的医療保険が発展 普及していることの背景には, まず, 社会保障制度たる公的医療保険制度の構造と, その導入 発展の歴史的経緯がある フランスにおいて現代的な社会保障制度が構築されたのは第 2 次大戦後の 1946 年頃であるが, それ以前は, 今日において補足的医療保険の保険者として活動している共済組合が, フランス国民に対する医療保障の主要なアクター として, 社会保険制度の原型となるような保険を提供していた ( Ⅱ-3-2) 2) 他方で, 第 2 次大戦後, 公的医療保険の担い手として選択されたのは, 共済組合ではなく当時勢力を著しく伸張していた労働組合であった このように,1 既にフランス社会において確固たる地位を築いていた私的組織である共済組合の存在と,2その共済組合を公的医療保険制度の担い手とはせず, むしろ同制度の外部に位置づけたことが, 現在まで続く, 公的医療保険と民間保険の並存 併用というフランスの制度の構造を決定する重要な歴史的ファクターとなっている より具体的にいえば,1946 年当時, 強制加入の公的医療保険制度が導入される際に, 立法者は, 同制度における共済組合の役割を限定的なものに留めると共に, 従来存在した共済組合が, 今後は 2 つめの保険, すなわち補足的医療保険としての地位を獲得するとの立場を明確に採用した 当時, このような民間保険の存在は, 広範囲の国民を対象とする強制加入の社会保険制度ができたとしても, 市民の自助努力の余地は失われない, というリベラルな価値観を体現するものとして, 好意的に評価された 3) このような歴史的経緯は,2 つの帰結を導いた まず, ひとつめに, 直接的な帰結として, 公的医療保険の存在 発展にもかかわらず, フランスにおいては共済組合を中心とした私的な保険組織が提供する医療保険が一貫して重要性を維持 拡大してきた 次に, こうした補足的医療保険の存在は, ひるがえって, 公的医療保険制度について, 一定程度の患者の自己負担の設定 維持を許容し, あるいは促すものとなる すなわち, 以下で見るように ( Ⅰ-2 3), フランスの公的医療保険には相当程度の一部負担 追加負担が予定されているが, このような公的医療保険の構造は, 自己負担部分を引き受 1 ) 笠木映里 (2011) フランスの補足的医療保険 - 社会保障と私保険の狭間で-( 一 ),( 二 ) 法政研究 77 巻 4 号 頁,78 巻 1 号 1-47 頁 2 ) 補足的医療保険が現在の姿になるまでの歴史的経緯の詳細については,Ⅱ-3-2でも言及する共済組合の発展の歴史も含めて, 笠木 前掲注 (1) 論文 ( 一 )687 頁以下を参照 3 ) 笠木 前掲注 (1) 論文 706 頁以下
3 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > ける補足的医療保険の存在を前提として形成されてきたものと見ることができる そして, こうした公的医療保険の構造は, さらに, 一部負担部分をカバーする補足的医療保険の発展を促すことになる 本稿では紙幅の制限があるため詳細には立ち入らないが, フランスの公私医療保険の発展の経緯については, このように両者が相互に影響を及ぼし合いながら発展を遂げてきたことがきわめて重要である Ⅰ-2-2. 公的医療保険制度次に, 上記のように補足的医療保険を理解する前提となる公的医療保険制度について, 特に患者の費用負担に関わる部分に注目して検討を加える まず, 簡単に, 現行法上の公的医療保険の概要について, 検討を加えておこう 4) フランスの公的医療保険は, 一般企業の被用者等を加入者とするいわゆる一般制度を柱として, 自営業者の制度 農業従事者の制度等, 職域別の制度 ( 保険者 ) が分立する構造となっている それぞれの保険者について, 労働者代表等の被保険者代表によって構成される理事会がおかれ, 保険者による自治が一定程度認められている 前述の通り国民皆保険制度が実現されており ( Ⅲ-1で詳述), 職域による基準で ( 被保険者としても, 被扶養者としても ) いずれの制度にも所属しない者は, フランス国内に安定的に居住することを条件として自動的に一般制度の被保険者となる Ⅰ 公的医療保険の給付と患者の費用負担 (1) フランスの公的医療保険は, 原則として, いわゆる償還払い方式を採っている すなわち, 保険者が医療機関に直接に費用を支払う ( 第三者払い ) 方式をとる日本とは異なり, 原則として, 患者は受診時に治療費を全額, 医師に対して直接に支払う ( 社会保障法典 L 条, 条参照 ) 5) このとき, 診療報酬は原則として, 法律や行政立法ではなく, 医師組合と社会保険の保険者の全国レベルの連合との間での交渉及びこれに基づく協約によって定められ ( 同 L 条 ), 診療報酬について国が直接的 一方的なコントロールをすることはできない ( 協約は, 医療省及び社会保障省の大臣の承認によって発効し (L 条 2 項 ), 大臣が一定期間内に異議を申し立てない場合には承認されたものとみなされる ( 同条項 ) この協約によって定められる報酬を, 以下, 協約料金と呼ぶ ) さらに, この協約料金は必ず遵守されるものではなく, これを超える料金 ( 協約外料金 ) を請求できる医師が少なからず存在する このような協約外料金の請求が許される場面として伝統的かつ典型的なのは, いわゆる セクター 2 の医師による報酬請求である セクター 2 は医師組合と医療保険金庫との協約によって 1980 年に導入された制度で, 一定の条件を満たした医師に協約外料金の請求を認める仕組みである ( 協約遵守義務を免れ, 上乗せ的な料金請求を行う資格を与えられた医師は セクター 2 に属し, 他方で, 依然として協約上の料金を遵守する義務を負う医師は セクター 1 に属する ) 6) 1999 年以降, セクター 2 に属する医師が過度に増加したことなどを原因としてこの制度は凍結されているものの, 過去にセクター 2 の資格を得た医師については引き続きこの資格が機能している また, セクター 1 の医師 4 ) フランスの公的医療保険制度の近年の動向については, さしあたり笠木映里 (2007) 医療制度- 近年の動向 現状 課題 海外社会保障研究 161 号 15 頁以下を参照 5 ) このような償還払い方式の社会保障制度, これを受けた患者の医師への報酬直接払いの原則は, 本書でも後に簡単に延べる通り, 単なる支払方法の相違にとどまらず, 制度全体の構造や患者 医師 保険者間の関係, それぞれのアクターの地位とも関連した重要な特徴である 詳細については, 笠木映里 (2008) 公的医療保険の給付範囲 比較法を手がかりとした基礎的考察 有斐閣 261 頁以下および第 4 編参照 6 ) セクター 2 については, 笠木 前掲注 (5) 書 246 頁注 83 を参照
4 フランスの民間医療保険 についても, かかりつけ医を通さない受診について協約外料金の請求を認める制度が存在するなど, 協約外料金の請求はフランスにおいて広く認められているといってよい 7) また, 患者自己負担は, 後述の通り医薬品の一部について 9 割に及び得るなど高いレベルに設定されているにもかかわらず, 日本の高額療養費制度のように一部負担金に上限を設けるような機能を有する制度は ( 慢性疾患等の特別な場面を除いて ) 存在しない ( 参照, 社会保障法典 L 条 ) 8) さらに, 医薬品に関する自己負担については, その医学的効用に応じて自己負担割合を変動させる仕組みが存在する 9) (2) 以上のようなフランスの公的医療保険の構造を日本法と比較した場合, フランスの制度は, まず, 受診時に患者が支出すべき一部負担が大きくなりやすい ( あるいは, 公的な観点からコントロールされづらい ) という構造的特徴をもつ また, 具体的な自己負担の額 割合とは別の問題として, 受診時に相当程度の支払い能力が要求される制度であるといえよう (3) また, 実際に設定される自己負担の割合という観点から見ても, フランスの医療保険制度における患者自己負担は比較的大きなものとなっている フランスの公的医療保険の償還率は,1980 年代以降, 縮小 停滞の傾向を示している (1980 年に 76.5% を達成し, その後, 74% 前後に縮小 停滞している ) 10) また, 上述の通り, 医学的効用が弱い医薬品については自己負担割合が引き上げられるが, その割合は現行法上 90% にも及びうることとなっており ( 参照, 社会保障法典 R 第 14 号 ), この部分を含め, 医薬品にかかる自己負担割合は近年引き上げられる傾向にある 11) また, これらの償還律に関する数字からは明らかにならないものの, 特定の領域については社会保障制度の給付範囲が著しく縮小される傾向が見られることが専門家によって指摘されており 12), 特に, メガネ コンタクト等の視力矯正, 歯科の領域においては, 社会保障制度による償還の対象が著しく縮小される傾向にある また, 入院時の自己負担の引き上げ 13), 上述のセクター 2 等の仕組みを通じた協約料金と実際の医療費との 7 ) この点を強調する文献として,Tabuteau (D.), La métamorphose silencieuse des assurances maladie, Droit Social, 2010, P. 86. 同論文は, このような協約料金と実費用の乖離の傾向は, もともとは, フランスにおいて歴史的に重視され ( また時に抑圧され ) てきた医師の職業上の自由という価値を背景としていたものの, 現在においては, 短期的な費用抑制を目指して協約料金を不当に低く抑えるという誤った政策の結果であると指摘している 8 ) 特定の長期慢性疾患の患者については, 当該疾患に関連する医療費のみ, 自己負担が免除される また, 長期入院患者, 高額な治療についての免除も存在するが, 補足的医療保険をもたない一部の被保険者には高額の自己負担が生じうる Bras (P. L.), Grass (E.), Obrecht (O.), En finir avec les affections de longue durée (ALD), plafonner les restes à charge, Droit Social, 2007, pp ) 笠木映里 (2007) 公的医療保険の給付範囲- 比較法を手がかりとした基礎的考察 -( 四 ) 法学協会雑誌 124 巻 4 号 952 頁以下 10 )Palier (B.), Gouverner la sécurité sociale, P.U.F., 2002, p 参照,Rey (J.-P.), Critique du ticket modérateur en assurance-maladie, Revue Française des affaires sociales, 49(4), 1995, p. 108, Dupeyroux (J. J.), Droit de la sécurité sociale, 16 e édition, pp et 1096, Barbier (J. C.) = Théret (B.), p. 71 et ) 笠木 前掲注 (9) 論文 952 頁以下 直近の改正は 2011 年 1 月 14 日デクレである ( 号 ) 12 ) この問題に関する近年の文献としては,Tabuteau (D.), op. cit., pp. 85 et s. 13 )1983 年から 2010 年の間に入院時の患者自己負担は 6 倍の額にまで引き上げられている Tabuteau (D.), op.cit., p
5 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > 隔離も, その額は著しく拡大しつつある 14) このため, いわゆる日常的な医療 (soins courants) に限定すれば, 社会保障制度による 償還率は 55% 程度まで下がっているとの見解 もある ( 一方, 慢性疾患に関する給付の割合は上昇する傾向がある ) 15) Ⅱ. 法規制と活動の現状 Ⅱ-1. 保険者の類型 Ⅱ つの補足的医療保険組織 Ⅰの検討を前提として, 以下, フランスの補足的医療保険について具体的に検討を行うこととする 検討の出発点として, この保険を販売する 3 種類の保険者の類型について言及しておくことが有益である 現行法上, 補足的医療保険を販売することができるのは,1 共済組合 (mutuelles), 2 労使共済制度 (institutions de prévoyances),3 民間営利保険会社, の 3 つの類型の組織である ( 以下, これらの 3 種類の組織を併せて, 補足的医療保険組織(organismes complémentaires d assurance maladie) 16) と呼ぶ) これらの組織は, それぞれ,1 共済法典,2 社会保障法典,3 保険法典の適用の下におかれている Ⅱ-1-2. 共済組合 (1) 上記 3 類型のうち, 共済組合は, 私法上の非営利法人である ( 共済法典 L 条 Ⅰ) 共済組合は, 組合員の払い込む拠出金 ( 保険料 ) (cotisation) により ( 加入者が対価として支払う費用は, 共済組合及び労使共済制度においては拠出金 (cotisation), 保険会社においては原則として保険料 (prime) と呼ばれている 17) 以下, 検討を簡略化するため, 原則として両者を区別せずに保険料と呼ぶ また, 他の保険者との関係では被保険者と呼ばれる者が, 共済組合については組合員 (membres) と呼ばれているが, これについては, 共済組合の保険に加入する者が組合員資格を取得することを明らかにするため 18),19), 他の組織と区別するためにこ 14 )IGAS, Les dépassements d honoraires médicaux, rapport n. RM P, avril 同報告書 11 頁によれば, 2007 年の段階で, 請求されている協約外料金の額は実質的価値において 15 年弱の間に 2 倍もの伸びを示している 15 ) 以上,Tabuteau (D.), op. cit., pp. 85 et s. 同じく分野ごとの償還率の差異を指摘する文献として,Bras (P. L.), Déficit de l assurance maladie: dérembrouser ou prélever?, Droit Social, 2004, pp. 646 et )Del Sol (M.) = Turquet (P.), Les organismes complémentaires d assurance maladie et la gestion du risque maladie à l aune de la réforme du 13 août 2004, RDSS, 2005, n. 2, p ) 社会保障法典 L 条, 保険法典 L 条等を参照 18 ) 個人が共済組合の運営する医療保険に加入する場合には, 法律上, 保険契約の締結や 保険への 加入ではなく, 共済組合への入会 (adhésion), ないし入会契約の締結という言葉が用いられている ( 共済法典 L 条 5 項,L 条 ) 本稿では論述を単純化するために, 以下の論述では他の保険者と特に区別せずに 保険への加入 や 保険契約の締結 との文言を用いるが, このように, 共済組合の場合, 医療保険への加入は必ず組合のメンバーシップの獲得を伴うことには注意する必要がある そして, 企業単位で被用者が加入する団体加入の場合であっても, 労働者は共済組合の加入組合員としての地位を獲得する ( 共済法典 L 条 Ⅲ なお, 法人は共済組合と団体保険契約を締結する 共済法典 L 条 ) この点で, 団体契約の場合に保険者と労働者との間に直接の関係が必ずしも存在しない ( 労働者は第三者のためにする契約の受益者の地位に立つに留まる ) 他の類型の保険者の契約関係とは異なっている 19) 参照,Camlong (X.), Mutualité et prévoyance complémentaire, 2005, pp. 26 et s
6 フランスの民間医療保険 ちらの用語を用いることがある ), 組合員の文化的 倫理的 知的 身体的発展に貢献し, その生活状況を改善するために, 組合員及びその権利保有者の利益において共済, 連帯, 相互扶助の活動を行う ( 同条 ) 共済組合は, 組合員によって運営される自治的な組織であり, 名誉組合員 (membres honoraires) と加入組合員 (membres participants)( 共済法典 L 条 ) から成る組合員総会 (L 条 ) により運営される このうち, 加入組合員は組合の給付を受給する権利を有する自然人であり, その被扶養者についても給付が行われることがある 名誉組合員とは, 給付を直接に受けない加入者であり, 保険料支払や寄付のみを行う自然人, および, 団体契約を締結する法人である 20) 組合員総会では, 全組合員が投票権を有し (L 条 1 項 選挙された代表者による投票とすることも可能である 同条 2 項 ), 共済組合の目的 活動領域等を定める定款 (statut) の決定 改訂等もこの組合員総会が行う (L 条,L 条ほか ) 21) 業務執行は, 組合員総会の選挙で選ばれた理事会のメンバーが担当する (L 条,L 条 ) また, 共済組合 ( あるいはその連合体 (union)) は, その集団としての道徳的 物質的利益を擁護し, 意思表明や活動を容易にするために, 連 盟 (fédération) を構成することができる (L 条 ) 22) 共済組合連盟は, 自ら保険者となることはできず, もっぱら政治的な役割あるいは調整の役割を担う 23) 共済組合の全国レベルの連盟であり, この分野の最も重要な利益団体として, フランス共済組合全国連盟 (fédération nationale de la mutualité française, FNMF) がある ( 設立は 1902 年 ) (2) 共済組合については, この組織が, 補足的医療保険のみならず社会保障制度についてもその管理運営を直接 間接に担っている場合がみられることも重要である まず, 上述の FNMF の代表者は, 複数の社会保険金庫の意思決定機関に参加している すなわち, 例えば, 一般制度の全国被用者医療保険金庫 (caisse nationale de l assurance maladie des travailleurs salariés, CNAMTS) の理事会には,FNMF の代表者が理事として参加している ( 現在,35 名の理事のうち 3 名 24) 参照, 社会保障法典 L 条 1 項 2) コンセイユデタは, こうした制度設計が, 保険会社と比較した場合の共済組合の特殊性を反映したものであると述べている 25) さらに, 職種によっては, 社会保障制度の管理運営を直接に共済組合が代行する場面も見られる ( 一例として, 全国教育一般共済 (Mutuelle générale de l Éducation nationale, MGEN) Ⅱ- 4) 20) 以上,Code de la mutualité, Code de la sécurité sociale Livre IX Commenté 5è édition, L ARGUS, 2011 pp. 72 et s. 21 ) 本文中で後述する FNMF はモデル定款を作成しているが, 規範的な効力はなく, 各共済組合は法令の範囲内で自由に定款を作成してよい Code de la mutualité, Code de la sécurité sociale Livre IX Commenté 5è édition, L ARGUS, 2011, p )Kessler (F.), Droit de la protection sociale, 3 e édition, Dalloz, 2009, p )Code de la mutualité, op. cit., p ) 本文で述べている通り, 社会保障制度は労使自治的な組織を採用している 現在の理事会は, 理事 35 名のうち被用者代表と使用者代表が 13 名ずつ, その他の関係団体の代表から構成されている L 条および CNAMTS の作成による医療保険制度のインターネットサイト (ameli.fr) を参照 ( 最終閲覧日 :2012 年 5 月 6 日 ) 25 )Conseil d État, 12 février 1997, , , , , , Recueil Lebon, Tp 1084, 同様の指摘をする文献として,Tabuteau (D.), op. cit., p
7 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > Ⅱ-1-3. 労使共済制度労使共済制度は, 労働者と使用者によって運営される労働者の生活保障のためのスキームである この組織は, 私法上の非営利法人であり, 企業と被用者の同数代表により管理される ( 両者は法律上, それぞれ, 組合参加者 (membres adhérents), 組合会員 (membres participants) と呼ばれる ( 後者が, 保険契約における被保険者にあたる 社会保障法典 L 条,L 条 ) 労使共済制度は, 労働協約, 集団協定あるいは, 企業主 (chef d entreprise) により提案され当事者の過半数に承認された合意計画, または, 総会において被用者集団と企業集団との間で締結された合意を基礎として成立する (L 条第 7 項 ) 労使共済制度は,1946 年当時から共済組合と並んで補足的医療保険の担い手としての地位を付与されて来たが, 伝統的には, この組織は主としていわゆる 長期共済 (prévoyance lourd) と呼ばれる分野, すなわち被用者の賃金を代替するような長期保険の領域 ( 休業補償, 恩給 (rente), 年金等 ) の分野に参入してきた そのため, 医療の分野におけるこの組織の重要性は共済に比較して相対的に小さく 26), 実際にこの組織が医療の分野に大規模に参入するようになるのは,1960 年代以降のことである 27) Ⅱ-1-4. 営利保険会社最後に, 保険法典 (Code des assurances) によって規律される保険企業 (entreprise d assurance) は, 私法上の営利法人であり, 株式会社 (société anonyme) たる保険会社と共済型保会社 (société d assurance mutuelle) の 2 種類が存在する 28) 商事会社たる保険会社は, 必ず株式会社の形をとる 他方, 共済型保険会社 (société d assurance mutuelle) は, 商業目的をもたず ( 保険法典 L 条 ), 保険法典により商法典上のいくつかの規定について例外が認められている 本稿では, 保険法典の適用を受けるこれらの保険企業をあわせて ( 営利 ) 保険会社 (sociétés d assurance) と呼ぶ 現行法上, 保険業の規制としては,EU 圏内での共通ルールが構築 完成されつつあるが, フランス国内法独自の規制も行われている 29) フランスの民間医療保険の一つの重要な特徴として, 営利保険会社の医療保険分野への参入が,1989 年まで禁止されてきたという点がある (Ⅱ-3で検討を加える Evin 法によって参入が認められた ) フランスでは, 伝統的に保険の投機的性格に対する警戒が強く 30), 1946 年に公的医療保険が創設された際には, 補足的医療保険への参入は共済組合 労使共済制度にのみ認められた 31) Ⅱ-1-5. 若干の検討以上の通り, 補足的医療保険の領域には,3 つの異なる性格の組織が参入している いずれの組織にも共通するのは, これらが私法上の組織であるということである また, このうち, 共済組合と労使共済制度は, 非営利組織という 26 )Hélary-Olivier(C.), La CMU: impact sur les mutuelles et sur l organisation de la protection sociale en France, Droit Social,, 2000, p.41.hélary-olivier(c.), Les mutuelles ont-elles encore une raison d exister?, Droit Social, 2000, p )Lyon-Caen (G.), La Prévoyance, Dalloz, 1994, p. 4, Millot (R.) = Waternaux (A. R.), Assurance de santé : acteurs et garanties, 2 e édition, L argues de l assurance, 2006, pp. 113 et 114. なお, 近年では, 被用者が職場で加入する団体保険の普及と共に, 労使共済制度の重要性が拡大している 28 ) 以下, 特に指摘しない限り,Lambert-Faivre (Y.) = Leveneur (L.), Droit des assurances, 12 e édition, Dalloz, 2005, pp. 166 et s. 29)Lambert-Faivre (Y.) = Leveneur (L.), op. cit., p. 108 et s. 30) 笠木 前掲注 (1) 論文 693 頁以下 31 ) 但し, 法律上の参入規制の下でも, 保険会社は労使共済制度と形式的に契約を締結する等して間接的にこの分野に参入していたようである Dupeyroux (J. J.), op. cit., p
8 フランスの民間医療保険 点において共通しており, この点で, しばしば同種の法令の適用を受けてきた経緯がある これに対して, 営利性を追求する民間保険会社は, ( 営利性の有無が実際の経営にどの程度の違いをもたらすかという問題は別として 32) ) 一応異質な性格を有するといえよう また,1989 年まで参入が禁止されるなど, 医療保険の分野におけるその役割が諸外国と比較して小さいものにとどまってきたことは, フランスの大きな特徴となっている 他方で, 非営利団体たる共済組合と労使共済制度も, 前者は組合員による自治 直接民主主義, 後者はパリタリズム ( 労使の同数代表による制度の管理運営 ) を基礎とする点で, 法律上の組織編成, ひいては組織の運営に関する基本的な考え方が異なっており, この点は, フランスの補足的医療保険の文脈においては重要な意味を有している 33) いずれの保険者についても, 保険契約が締結される場合の構造には大きく分けて 3 種類のものがある 1 個人加入,2 労働協約等により構築された契約に労働者が任意で加入する団体契約と,3 労働協約等の効果によって, 労働契約の締結時に労働者本人の意思にかかわらず加入を強制される団体契約である 34) なお, 保険者に対する行政監督を行うために, 銀行 保険業界全体を監督する財政コントロール庁 (Autorité de contrôle prudentiel) がお かれている ( 保険法典 L 条以下 ) 35) この機関は, 保険業を行いうる上記の 3 つの組織 - 共済組合 労使共済制度 保険会社 -の全てについて, 活動の認可 (agrément) を行うと共に, その活動の適法性を監督する 36) Ⅱ-2. 補足的医療保険の現状 (1) 次に, フランスにおける補足的医療保険の位置づけについて具体的なイメージをつかむために, いくつか数字を挙げて現状を概観しておきたい 以下,2000 年代前半の少し古い情報も多いが, 大まかな傾向は変わっていないと思われる 2004 年度において,94% のフランス人が何らかの補足的医療保険に加入しており ( そのうち 7.5% は, 保険料拠出を要求されない補足的 CMU 制度 ( Ⅲ-1) の適用を受け, 無拠出で補足的医療保険に加入している ) 37),2003 年において, 補足的医療保険の保険者が支払った医療費は 18 億 7000 ユーロ ( 前年比 6.8% の増加 ), 総医療費の 12.9% であった 38) また, 2004 年の医療費全体のうち,76.8% が社会保障制度により支出され,7.2% を共済組合が, 2.9% を保険会社が,2.1% を労使共済制度が支出したとの統計もある ( 家計の支出は 11%) 39) 2000 年代のフランスにおいて, 補足的医療保険に支払われた保険料の総額は, 全国レベルでの医療費総額よりも速いスピードで増加し 32 ) 活動の実態からして営利 非営利の性格付けにはあまり意味が無いと指摘する文献として,Lyon-Caen (G.), La deuxième jeunesse, Droit Social, 1986, p )Hélary-Olivier(C.), Les mutuelles ont-elles encore une raison d exister?, Droit Social, 2000, p.883, Code de la mutualité, op. cit., pp. 40 et ) 強制加入型の団体契約については, さしあたり, 笠木 前掲注 (1) 論文 9 頁を参照 35) 現在の名称となったのは 2005 年以降 Dupeyroux, (J. J.), op. cit., p )Code de la mutualité, op. cit., p. 157, pp. 348 et s. 37 ) 人口当たりの補足的医療保険への加入者数の推移は以下の通り 1960 年 :31%,1970 年 :49%,1980 年 : 69%,1990 年 :83% Fantino (B.), Ropert (G.), Le système de santé en France - diagnostic et propositions, DUNOD, 2008, p ) この年, 総医療費の 76.7% が社会保障制度により支出され, 家計の負担は 9.1% であった 以上,DRESS, Les contrats d assurance maladie complémentaire, une typologie en 2003, Études et Résultats, n. 490 mai 2006, p )Millot (R.), Waternaux (A. R.), op. cit., p
9 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > た (2009 年の文献による ) 40) 2008 年の時点で, 3 種の保険者の数は合わせて 876 にのぼっている 41) 上記のような, 医療費全体に占める民間医療保険の支出割合は諸外国と比較しても重要なものであるといえる ドイツやオランダにおいても, ほぼ同様の規模の支出が民間医療保険によって担われているが (2002 年においてドイツでは 12.6%, オランダでは 15.5%), これらの国においては, 富裕層の国民について公的医療保険の強制加入義務が免除されており, これらの数値には, 社会保険の適用をうけない者が購入する 完全保険 ( ドイツ ) などと呼ばれる保険類型が含まれている ( ドイツの私保険については近年重要な改革が行われている これについては本誌別稿を参照のこと ) フランスにおいては, 上述の通り 1999 年以降社会保障基礎制度への加入があらゆるフランス国民に義務づけられており, 上記の数値は, 社会保障制度に加えて加入する補足的医療保険のみに関わるものであるという点に特徴がある (2) このように広く補足的医療保険が普及している現在の状況において, 複数の調査結果が, フランスにおいて補足的医療保険が医療へのアクセスにおいて必要不可欠な役割を果たすに至っていることを示している 42) 2008 年に発表された医療経済研究機構 (Institut de Recherches en Economie de Santé, IRDES) の調査によれば, 補足的医療保険をもたない者の 32% が, 過去 12 ヶ月の間に経済的理由から受診を断念したと述べている ( 補足的医療保険をもつ者で同様の回答をした者は 13%: 後述する補足的 CMU の加入者は除く ) 43) 補足的医療保険に加入していない者は加入者に比して高額の受診時自己負担を負担することになり, そのことが, 医療サービスを受けることを断念する経済的理由の一つの背景となっていると考えられるのである (3) 続いて, 組織の類型に着目した場合の状況を近年の統計に依拠して紹介しておく 近年に至るまで, 補足的医療保険の分野においては 3 つの組織のうち共済組合が中心的な役割を担っており, 加入者数 保険料負担 給付額 契約数のいずれにおいても,6 割弱を共済組合が占めている (2006 年 ) 44) 但し, 共済組合が重要な位置付けを占めるのは特に個人契約の分野であって, 団体保険の分野では, むしろ労使共済制度が市場を支配しつつある 45) また, 最近は, 保険会社がシェアを伸ばす傾向が見られる 46) また, 共済組合は, 補足的医療保険の販売以外にも, 各種の病院や高齢者施設, 家族向けの施設等を保有 管理運営しており, こうした施設等の事業にかかる収益が全体で約 200 万ユーロにのぼっている 47) 40 ) Centre d analyse stratégique, Choisir une couverture complémentaire santé : comment font les pays de l OCDE? La note de veille, n. 146, juillet ) その内訳は, 共済が 748, 労使共済制度が 36, 保険会社が 92 となっている 統合 再編等による業務の集中が進んでおり, 組織数の合計は 2001 年の 1702 から大幅に減少した 特に, 共済は 2001 年の 1528 から半数以下まで組織数を減少させており, もともと小規模な組織が多かっただけに, こうした組織再編の傾向の影響を色濃く受けているといえるだろう Ibid. なお, 医療分野に限定しない保険市場全体では保険会社が圧倒的シェアを占めている 江口隆裕 (2011) フランス医療保障の制度体系と給付の実態 基礎制度と補足制度の関係を中心に 筑波ロー ジャーナル 10 号 30 頁 42)DRESS, op.cit., p )IRDES, La complémentaire santé en France en 2006: un accès qui reste inégalitaire, Question d économie de la santé, n. 132 mai )Bras (P. L.) = Pouvourville (G.) = Tabuteau (D.), Traité d économie et de gestion de la santé, Editions de santé SciensPo. Les presses, 2009, p. 388, Tableau 1. 45)Millot (R.) = Waternaux (A. R.), op. cit., p. 130, Bras (P. L.) et al., op. cit., p )Tabuteau (D.), op. cit., p. 91. また, 保険会社は, 労使共済制度について再保険の分野で重要な役割を果たしているようである 47)Millot (R.) = Waternaux (A. R.), op. cit., p
10 フランスの民間医療保険 Ⅱ-3. 補足的医療保険に関する法規制続いて, 補足的医療保険に関する法規制に検討を進める ここでは, 一般に私保険について行われるものとは異なると思われる, フランス独自の法的規制に着目をする Ⅱ-3 1.Evin 法 (1) 補足的医療保険については, その重要姓に鑑みて, いわゆる Evin 法 (1989 年 12 月 31 日 法律 ) により, 被保険者を保護する特別な法規制が行われている 上述の通り,3 つの保険者はそれぞれ異なる法典によって規制されているが, 同法は,3 つの保険者に共通して適用される法律であり, 被保険者保護という目的の下に, 通常の民間保険に対する法規制には見られない特殊な規定をおくものとなっている まず, 保険契約加入前に既に罹患 発症している疾病を保険契約上いかに扱うかという点に関する規定が存在する この問題に対して, Evin 法は二つの契約類型について異なる規定をおいた すなわち, まず, 疾病保険を含む人の生命 身体にかかる各種の保険について 48), ある企業内の全ての被用者, あるいは一部の被用者を強制的に加入させる団体型強制加入の契約によってカバーされている場合には, 保険者が当該グループ内の被用者の一部について, 疾病を理由としてその加入を拒絶すること, および, 加入前に発生している疾病について給付を拒絶することを禁止している ( 法 2 条 1 項 ) 49) この契約類型については, 社会保障基礎制度が給付対象としている疾病につき給付を排除することも禁じられる ( 同条 2 項 ) 一方, 任意加入の契約類型については, 個人的 集団的な加入を問わず, 加入前に発症した疾病がカバーされないことについて被保険者に対して事前に十分な情報提供が行われていること, 疾病が保険加入前に発生していることが十分に証明されていることを条件として, 当該疾病の帰結につき保険給付の拒絶が許される ( 同法 3 条 ) また, 給付の範囲についても 2 条で課されたような制限は設定されていない いうまでもなく, 民間保険は, 通常, 既発生の事故をカバーしない フランスの代表的な保険法の教科書の一つは, 保険の本来の性格からして, このように発生が不確実でない既発生のリスクについて保障を行わせる 2 条は Evin 法の中でも最も革新的な規定であり, 保険法の分野において例外的な制度であると指摘している 50) (2) 次に, 疾病 妊娠出産 事故 労働不能等にかかる保険について, いわゆる 終身保障 のシステムがとられており (6 条 ), 任意加入の団体契約, および, 個人の契約について,2 年間の観察期間の経過後は保険者側のイニシアチブによる契約解除や保険給付の縮小を行うことが許されなくなる また, 被保険者の健康状態を理由として特定の契約について契約締結後に保険料を引き上げることはできず, 保険料引き上げは, 同一の契約類型の全てについて同時に行われなければならない 51) 48) 死亡のリスク 身体の損傷のリスク 出産に伴うリスク, 労働不能 障害のリスクをカバーする保険 49 ) 法令の規定は既発生の疾病のカバーが義務付けられる旨を述べるに留まるが, 学説は, 既発生の疾病により加入拒絶することもこの規定により禁止されると理解している なお, このとき, 給付のレベルは完全に自由である 立法者は, 保険者にあまりにも厳格な義務を課すことで保険者が団体契約の締結自体を回避する可能性を危惧して, 給付については自由な決定の余地を残した また, 一部の労働者について保険料を上乗せすることは法律上禁じられていないが, この場合には税法上不利な扱いが予定されている Laigre (P.), La loi prévoyance, Droit Social, 1990, p また, 伊奈川秀和 (2010) フランス社会保障法の権利構造 信山社 405 頁も参照 50)Lambert-Faivre (Y.) = Leveneur (L.), op. cit., p ) 客観的な事情 ( 年齢 住所 職業 ) に依拠して保険料を変更することは可能であり, 例えば同年齢の被保険者の同じ給付について同じ保険料が課されている限りで, 年齢によって異なる保険料を適用することは可能である Lautrette (L.), Piau (D.), Le maintien des obligations d assurance en prévoyance collective (articles 4, 6, 7 et 7-1 loi Evin), Droit Social, 2007, p
11 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > (3) 次に, 退職者について保険契約が維持される仕組みが存在する 本来, 労働者が当該企業の労働者として団体契約に加入している場合, 労働契約が切断されれば, 原則としてこの契約への加入も終了するが, 結果として例えば失業時等において労働者の医療費負担が突然に過重なものになる可能性がある Evin 法 4 条は, このような場面について, 以下のような規定をおいている すなわち, 疾病 妊娠出産 事故によって引き起こされる費用をカバーする団体契約が締結される際には, この団体契約に加入している被用者が, 労働不能, 廃疾 (invalidité), 失業者, 早期退職者, 引退者 (en retraite) 等となった場合に, 本人の 6 ヶ月以内の申し出により, 保険者によって観察期間や健康診断等なく直ちに 当該給付 が維持されるための方法, 及び料金にかかる条件について, 契約ないし協約 に, 定めがおかれなければならない また, これらの非就業者 (inactif) 旧被用者 ( 以下, 旧被用者と呼ぶ ) と現役労働者との間でリスクが分散されるよう 52), 前者の保険料はデクレで定められる水準の範囲内に限定される 具体的には, 現役被用者の保険料平均の 150% が上限として設定されている 53) この制度においては, 上述の通り, 理論的には, 旧被用者と現役の被用者との間でリスク分散が行われることが予定されている 但し, このようなリスク分散はあくまで理論上のものであり, 契約の観点から見れば, 旧被用者は, あくまで従来の集団保険とは区別される任意 個人保険に加入する なお, 非就業者は新たな契約について保険料 を全額負担するが, 労働協約等においてこの場合の保険料負担を行う旨を企業が定めることは排除されない 54) Ⅱ-3-2. 共済法典による規制 (1) 前項で検討した 3 つの保険者に共通の法規制とは別に, 共済法典が, 共済組合だけに適用されるルールを定めている これらの特別なルールは, 冒頭でも簡単に触れた ( Ⅰ-2-1) 歴史的文脈に裏付けられたこの組織の特殊な性格を背景としたものである 共済組合は,18 世紀末頃に誕生した ( 当時は救護金庫 (caisse de secours) と呼ばれた ), 歴史の古い組織であり, 加入者からの拠出金を財源として疾病や死亡の際に給付を提供する活動を行い, 加入者自身によって民主的な方法で運営されるという特徴を有する 55) 共済組合は, フランス革命後, 他の中間団体と同様に禁止の対象となったが, その間も発展を続け 56), 第二帝政期以降はむしろ政府とも良好な関係を維持してきた 57) その後, 第 2 次大戦後の社会保障制度構築に至るまでの間, 共済組合は, フランスにおける医療保障の中核を担う組織であったと思われ,1930 年には社会保険制度の担い手という位置づけを付与されていた 58) 戦後の社会保障制度の基礎となった組織と評価できる ( Ⅰ-2-1) 上述の通り, 労使共済制度, 営利保険会社はいずれも, 共済組合に大幅に遅れる形で医療保険の領域に参入している 従って, 共済組合は, 上記のように公的医療保険制度の前身ともいえる組織であるのと同時に, 第 2 次大戦後以降一 52)Lautrette (L.), Piau (D.), op. cit., p )Décret n du 30 août 1990, 1 条, Lautrette (L.), Piau (D.), op. cit., p )Lautrette (L.), Piau (D.), op. cit., p )Toucas-Truyen (P.), Histoire de la mutualité et des assurances, L actualité d un choix, Syros, Mutualité française,1998, p )Kessler (F.), Droit de la protection sociale, 3 e édition, Dalloz, 2009, p. 36, Toucas-Truyen(P.), op. cit., p ) 時代背景については,Saint-Jours (Y.) = Dreyfus (M.) = Durand (D.), Traité de sécurité sociale, Tome V La mutualité, L.G.D.J., 1990, pp. 45 et s. 58) 笠木 前掲注 (1) 論文 ( 一 ) 頁
12 フランスの民間医療保険 貫して補足的医療保険の分野で最も重要なアクターであったといえる ( 現在の状況については Ⅱ-2) そして, 後述する MGEN の契約内容 ( Ⅱ -4) にも見られるように, 共済組合は, 一貫して 連帯 等の価値を掲げつつ, 伝統的に, 被保険者の収入に応じた保険料設定等の特殊な契約を提供してきた 59) これらの契約慣習は必ずしも法律上義務付けられているものではないが, フランスにおいて広く受け入れられており, 共済組合は, 特に中低所得者層の個人加入の補足的医療保険の受け皿として重要な役割を果たしてきたと思われる (2) このような歴史的経緯と実務上の慣習等を受けて, 共済法典は, 以下のようなルールを共済組合だけに適用されるものとして定めている 例えば,L 条には, 加入者の平等取り扱いが定められ, リスク, 保険料, 家族の状況によって正当化されない加入者間の不平等な取り扱いが禁止されると共に, 保険料は加入者の収入に応じて決定され得るとの規定がおかれている 後半の保険料決定に関する規定は, 収入に応じた保険料決定を共済組合に義務づけるものではないものの, このような扱いが実務上一つのスタンダードとなることを予定したものとも思われ, 共済組合が低所得者を受け容れる保険者となることへの期待の表れともいえる また, 共済組合は, 保険料の調整の際,1 収入, 2 共済組合あるいは居住地の社会保障制度への 加入期間の長短,3 扶養家族の数,4 年齢, のみに依拠できる ( 共済法典 L 条 ) 任意加入の個人保険 団体保険については, 共済組合は加入者の医療情報を収集してはならず, その健康状態に応じて保険料を設定してはならない ( 同条第 2 項 ) 60) 最後に, このような特別なルールの適用を受ける 共済組合 の性格を明らかにするために, 共済組合 との関連性を想起させる言葉 (mutuel, mutuelle, mutualité) の利用がこの法典の適用を受ける非営利組織に限定される ( 共済法典 L 条 ) Ⅱ-4. 補足的医療保険契約 Ⅱ-4-1. 多様な契約内容続いて, 以上の法規制を前提として実際に提供されている契約の内容について検討を加える 補足的医療保険契約は, 一般に, 主として外来医 (médecin en ville) による診察 義歯 眼鏡等にかかる自己負担部分, および, 入院時の自己負担金等をカバーする 61) また, 上述の通り原則として償還払い方式を採用する社会保障制度 ( Ⅰ-2-3) について, 補足的医療保険が, 第三者払いのサービスを行うことがしばしば見られるという点も重要である 62) 販売されている具体的な保険契約の内容は保険者の類型ならびに保険商品ごとに大きく異なっており, 従って保険給付の内容も様々である 63) 59)Bras (P. L.) et al., op. cit., p ) なお, 共済組合以外の保険者については, 被保険者ないし受益者の医療情報の収集や被保険者の健康状態に応じた保険料の設定等を行う場合には, 当該契約にかかる保険契約税を引き上げるという形でのコントロールが及んでいる ( 一般税法典 (Code général des impôts)995 条 ) また, このように健康リスクに応じた保険料設定は基本的に禁止されているものの, 本文で指摘している通り, 年齢による保険料設定は禁じられていないことには注意する必要がある 61 ) ほとんどの補足的医療保険契約が公的医療保険の設定する自己負担部分をカバーしているが, 入院医療については, 中小企業の非管理職労働者や学生等を中心に, 入院時の自己負担をカバーしないものが見られる IGAS, op. cit., p ) Laborde (J. P.), Droit de la sécurité sociale, puf, 2005, p. 280, Lambert-Faivre (Y.) = Leveneur (L.), pp. 890 et 891, 協約外料金に関する給付が契約によってきわめて多様であることについては,IGAS, op. cit., pp. 8 et s. 63 )Laigre (P.), Quel est l intérêt de généraliser le niveau complémentaire?, Encyclopédie de la protection sociale, Liaisons/Economica, 2000, p. 945, Bras (P. L.) et al., p
13 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > たとえば, 最低水準の保障を提供する契約類型において, 協約料金 ( Ⅰ-2-3) を超える費用がカバーされることは希である一方, かかった実費を全額保障するタイプの契約も存在する 64) 2005 年の統計によれば, 協約料金の から 150% の給付を行う契約が全体の 30% を占めており, 他方で, 協約料金の 150% を超える費用についてはこれを給付しない契約がほとんどである 65) 但し, 最も水準が高いタイプの契約は,8 割の被保険者が加入する標準的なタイプの契約の 2 ~ 3 倍の水準の給付を提供している 66) また,2003 年の調査によれば, 保障水準の最も低いタイプの契約に加入しているのは主として個人加入の被保険者であり, 反対に最も高水準の保障を提供する契約を享受しているのは, 主として, 自らの勤める企業等において団体保険契約に加入している者であった 67) Ⅱ -4 2.MGEN: 全国教育一般共済の補足的医療保険契約補足的医療保険の契約内容をより具体的に把握するために, 以下では, フランスの最大規模の共済組合である全国教育一般共済 (Mutuelle générale de l Éducation nationale, MGEN)) の提供する契約の内容 (2011 年 1 月 1 日現在 68) ) を紹介する MGEN は, 歴史的な経緯から, 公的セクターの教職員等について, 第 2 次大戦後以降一貫して公的医療保険制度の 管理運営を代行するなど, 共済組合の中でもさらに特殊な性格をもつ組織である 69) 以下の検討では, あくまで補足的医療保険の保険者としての MGEN について検討を加えることとする MGEN の加入者 受給者約 350 万人のうち, 医療保険を含む包括的生活保障保険 ( 4-3) の加入者 受給者は約 290 万人である また, 医療 福祉関係の施設も 33 保有し, この施設には加入者を優先的に受け入れている なお, 以下の検討の前提として, 繰り返しを含めて 2 点を確認しておきたい まず, 共済組合の提供する保険契約の内容は, 個々の共済組合によってきわめて多様であるということである 共済組合について行われている特殊な法規制はⅡ-2で検討したものにほぼ限定され, この規制を満たす範囲内で共済組合は自由に保険料率や給付の内容を決定している 次に, 上記の通り MGEN は 社会保障制度をも一部代替するフランス最大の共済組合であり, 従って財政基盤がきわめて安定した組織であって, そのことを背景として, 加入者にとって比較的有利な保険を提供できるという文脈が存在している 以上のことをふまえれば, 以下で紹介する契約内容は, 文字通り一例に過ぎず, 共済組合による補足的医療保険を代表するようなものということはできないことを留保しておく 64 )DRESS, op.cit., p. 5 et p 年度に保険会社各社が販売していた医療保険の, 最低水準と最高水準の給付内容の例については,Millot (R.), Waternaux (A. R.), op. cit., pp. 240 et s. 65)IGAS, op. cit., p )Fantino (B.), Ropert (G.), op. cit., p )DRESS, op.cit., p. 4 et p ) 以下の記述は, 主として,2012 年 4 月 25 日に東京大学法学部で行われた GCOE シンポジウム 日欧の介護保障に関する比較法的 比較制度的検討 日本の介護保険制度と欧州における民間非営利組織の活動 において,MGEN グループ取締役の Jean-Louis Davet 氏によって行われたプレゼンテーションの資料及び同氏がフランスの介護保障改革に関わる政府委員会に提出した文書 ( いずれも非公表 ), 並びに,MGEN のホームページ ( 最終閲覧日 2012 年 5 月 6 日 ) を参照しつつ筆者が整理したものである 上記シンポジウムについては以下のサイト ( html: 最終閲覧日 2012 年 6 月 18 日 ) を参照 なお, 補足的医療保険の給付内容については, 前掲 江口注 (41) 論文の詳細な紹介も参照 69 )Saint-Jours(Y.) et al., pp. 131 et s., Annexe VIII. MGEN の歴史については Dreyfus (M.), Une histoire d être emsemble, La MGEN , Éditions Jacob-Duvernet, 2006 も参照
14 フランスの民間医療保険 Ⅱ 包括的生活保障保険 : 保険料と給付 (1) MGEN が提供する保険契約は, リスクごとに拠出と給付が対応するような形式とはなっておらず, 医療を含む諸々の給付を一つの契約ないし保険料負担によって保障するものとなっている その主たる内容は, 以下の図 1 の通り大きく補足的医療保険と, 介護保障等のその他の給付を行う生活保障保険 (assurance prévoyance) に分けられる (2) MGEN の加入者の支払う保険料は, 本人の収入に応じて決定される 保険料率は, 現役世代については収入の 2.90%, 退職者については収入 ( 強制加入の年金等を基礎として計算される ) の 3.47% である 被扶養者がいる場合には, 加入者の保険料の 65%,18 歳以上の 子供がいる場合は月額 18,25 ユーロ,18 歳以下の子の場合には月額 7.50 ユーロが加算される また, 月額保険料には上限 ( ユーロ ) と下限 (33.58 ユーロ ) が設定されている 年間保険料総額の平均は, 加入者一人あたりで 842 ユーロ, 家族等も含めた受給者一人あたりでは 599 ユーロとなっている MGEN はこの保険料収入のうち 95% を給付費用として受給者に再分配しており, この割合はフランスにおいて補足的医療保険を提供する組織の中で最も高いものとなっている これらの保険給付の他にも, 社会的活動 (action sociale) と呼ばれる裁量的な給付が存在し, 加入者の所得等を基準に優先順位の高い特別な必要に応じた金銭的支援を行っている ( 図 1) 包括的生活保障保険 補足的医療保険 ( 表 1 表 2 参照 ) 一般的な受診にかかる自己負担や, 歯科 眼科 出産費用等をカバーする + 生活保障保険 (assurance prévoyance) 死亡 労働不能 障害 重大疾病 重度 軽度の要介護状態に対する金銭給付 ( 要介護者のみならず介護者に対するものも存在する ) (3) MGEN の提供する医療給付 (2012 年 1 月 1 日現在 ) の主たるものは, 日常的な外来医療については表 1, 入院については表 2 に示されている通りである ( 加入者本人に関するもの ) これらの給付は第三者払いの形で(MGEN が医療機関等に直接費用を支払う形で ) 行われることが通常である 表に示されている通り, 基本的には, 協約料金を前提として, 公的医療 保険について予定されている自己負担部分がゼロになるような形で給付を行っている なお, 表には反映されていないが, 公的医療保険については補足的医療保険がカバーすることを予定しない自己負担も存在し ( 代表的なものは受診時に支払う 1 ユーロの負担 70) ), この自己負担については,MGEN も給付を行っていない 表 1 に見られるように, 有効性が比較的低いも 70 ) この一部負担金は, 従来から存在する一部負担金が実際上全て補足的医療保険によってカバーされてしまうことを前提として, 濫受診を防ぐために 2004 年に導入されたものである 補足的医療保険はこの 1 ユーロの一部負担金をカバーすることを禁じられているわけではないが, この一部負担金をカバーする契約については保険契約にかかる税の割合が引き上げられる 社会保障法典 L 条,L 条 2 項,R 条ほか参照
15 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 通巻第 111 号 2012 年 9 月 表< 1 MGEN の給付 公的医療保険の償還割合 表 1 公的医療保険と MGEN を併せた償還割合 70% 30% 看護 理学療法 検査等 医師の診療報酬 協約料金 60% 70% 40% 30% 薬剤 看護 理学療法 検査等 有効性の高いもの 60% 65% 40% 35% 薬剤 有効性の低いもの 30% 65% 95% 有効性の高いもの 放射線科 有効性の低いもの 65% 70% 30% 35% 30% 65% 95% 病院の外来 放射線科 30-70% 70% 70%まで 30% 包帯 歯科矯正器具等の小物 病院の外来 60% 30-70% 40% 70%まで 温泉療法 包帯 歯科矯正器具等の小物 70% 60% 30% 40% 医師の診療報酬 協約料金 公的医療保険の償還割合 MGEN の給付 公的医療保険と MGEN を併せた償還割合 70% 30% 表 1 表 2 共に MGEN の HP をもと 温泉療法 表 1 表 2 共に MGEN の HP をもとに一部を省略しつつ筆者が作成した に一部を省略しつつ筆者が作成した 表 1 表 2 共に MGEN の HP をもと に一部を省略しつつ筆者が作成した 表 2 公的医療保険 表 2 治療費 公的医療保険と MGEN を併せた償還割合 協定締結がな の償還割合 受診する病院等がMGENと協定を締結している場合 受診する病院等が協定を締結している場合 公的医療保険 公的医療保険と MGEN を併せた償還割合 MGEN と 協約医であれば自己負担ゼロまで 施設が協定を締結している場合 80- の償還割合 滞在費 治療費 公的医療保険とMGENを併せた償還割合 患者が 公的医療保険と MGEN を併せた償還割合 MGEN と 80%- 協約医であれば自己負担ゼロまで 80- い場合 公的医療保険と MGEN を併せた償還割合 協定締結がな 130% い場合 130% 無 1 日 18 ユーロ 精神科については 13.5 ユーロ 1 日 18 ユーロ 精神科については 13.5 ユーロ 特別室 日額自己負担 無 無 協定の内容次第で 自己負担ゼロないし少額となるま 1 日 18 ユーロ 精神科については 13.5 ユーロ で 11泊ごとに ユーロ 日 18 ユーロ 精神科については 13.5 ユーロ 付き添い費 特別室 無 無 協定の内容次第で 自己負担ゼロないし少額となるま 自己負担ゼロまで 11泊ごとに最大 25 ユーロ 泊ごとに ユーロ で 移動 付き添い費 65% 移動 65% 日額自己負担 滞在費 80%- 無 1 泊ごとに最大 25 ユーロ 自己負担ゼロまで のとして公的医療保険が高い自己負担を設定し Ⅲ 補足的医療保険をめぐる法改正の動向 ている薬剤について MGEN による給付の役 の分野は共済組合が重要な役割を果たしている 領域として指摘されることがある 71 割が大きなものとなっている 一般にも 薬剤 Ⅲ 補足的医療保険をめぐる法改正の動向 Millot (R.) = Waternaux (A. R.), op. cit., p
16 フランスの民間医療保険 Ⅲ. 補足的医療保険をめぐる法改正の動向 フランスの補足的医療保険については,1990 年代以降, 注目すべき法改正がいくつか行われている 以下, 特に重要と思われる1 補足的 CMU の創設と,2 社会保障制度の運営に対する補足的医療保険組織の参加について検討を加える Ⅲ-1. 補足的 CMU Ⅲ-1-1. 背景と制度の趣旨 72) (1) 1999 年に制定されたいわゆる CMU 法は, 公的医療保険制度と補足的医療保険の双方について, きわめて重要な変更を加える法改正であり, その内容は大きく 2 つに分けることができる 同法は, まず, 職域別に構築されてきた公的医療保険制度について, 既に何度か言及している, 住所を基準とした加入の制度を導入した 従来, 職域別の制度のいずれにも属しない者については, 任意の個人加入, 並びに, 拠出する資力をもたない者について, 県が提供する医療扶助 (aide médicale) が存在したが, 医療扶助についてはその支給基準が県ごとにまちまちであることやスティグマの存在などの問題が指摘されていた 73) 同法によって, フランスに1 年以上安定的に居住する市民でいずれの職域保険にも属さない者は自動的に一般制度の加入者となり, これによってフランスにおいて初めていわゆる皆保険制度が導入されたことになる ( この制度を, 次に検討する補足的 CMU と対置して基礎的 CMU と呼ぶことがある ) (2) 同法の 2 つめの柱が, 本稿の検討対象たる補足的医療保険に関わる法改正であり, いわゆる補足的 CMU(CMU complémentaire) である 補足的 CMU は, 一言でいえば, 低所得者が無拠出で補足的医療保険に加入できるスキームを創設するものである 以下, 簡単に立法の趣旨と経緯をたどっておこう 立法当時のフランスは, 社会保障制度の財政赤字への対応という目的から, 医療費抑制政策を積極的に進めていた その結果として, 患者が負担する外来の一部負担金 (ticket modérateur) および入院時の日額負担 (forfait hospitalier) が増額し, 医薬品の費用の償還割合の縮減が進行しつつあった 74) 既に指摘している通り, 社会保障制度が償還払い方式を採用しているために補足的医療保険をもたない場合には原則として第三者払いを享受できないことと相まって, 補足的医療保険をもたない患者にとっては, 増額し続ける医療費の自己負担が, 家計の深刻な負担となっていた ( Ⅰ-2-3 ほか ) 同法に関する当時の議会における議論では, 基礎的 CMU によってフランス市民に医療保険制度の被保険者資格を与えたとしても, これだけでは医療へのアクセスを保障したことにはならないとの問題意識が示されている そして, フランスにおいて市民の 84% が何らかの補足的医療保険に加入している一方, 一ヶ月の収入が 2000 フラン以下の者で補足的医療保険に加 72 )Loi n du 27 juillet 1999 relative à la couverture maladie universelle, J. O., 28 juillet, CMU 法, 特に補足的 CMU については, 笠木 前掲注 (1) 論文 頁を参照 73 )Borgetto (M.), Brève réflextions sur les apports et les limites de la loi créant la CMU, Droit Social, 2000, p. 31, Marié (R.), La Couverture Maladie Universelle, Droit Social, 2000, p )Frotiée (B.), La réforme française de la Couverture maladie universelle, entre risques sociaux et assurance maladie, Lien social et Politiques-RIAC, 55, La santé au risque du social, 2006, p
17 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > 入している者の割合は 45% にとどまり, 失業者についてこの値は更に低下することが指摘され, 補足的医療保険の必要性が高い者ほど, 十分な保護を受けていないとの主張がなされた 75) つまり, 社会保障制度の一般化を実質的なものとするためには, 社会保障制度によってカバーされない費用をカバーする補足的医療保険が必要不可欠と考えられたのである 76) つまり, 補足的 CMU の創設は, フランスの社会保障制度はそれのみでは医療保障として不十分であり, 社会保障の被保険者となることは必ずしも実際に受診が可能であることを意味しないという認識, および, 受診が可能となるためには補足的医療保険への加入が必要不可欠であるという認識を背景としている ここには, 国家の医療保障として, 補足的医療保険を公的医療保険とを一体のものとして広く提供しようとする考え方が見られる Ⅲ-1-2. 受給資格 給付 財源 (1) 補足的 CMU の受給資格と給付の内容は以下の通りである 77) まず, 補足的 CMU の対象となるためには, フランス国内に居住していることと, 収入が一定額を下回っていることが必要である この基準額は世帯の構成及び世帯内の被扶養者の人数によって異なっているが, 例えば,1 人世帯であれば現在は月額 634 ユーロに設定されている ( 基準額は毎年改訂される 社会保障法典 L 条 ) 78) このようにして設定される対象者の範囲は最貧困層よりも広い ものとして構想されており, より具体的には, フランスの最低生活保障制度の対象よりも広い つまり, 最貧困層をこえて不安定な状況化にある被用者を対象者とすることを想定しており, 低所得者層に対する無拠出の社会扶助的給付の一類型としては, 特殊な性格をもつ 79) 補足的 CMU の対象者は, 社会保障制度において自己負担となる各種の費用について, 補足的 CMU を受給することができる なお, 医師 医療機関は, 補足的 CMU の対象者に対して協約外料金を請求できない 80) また, 社会保障制度においては原則となる償還払い制度の適用も受けず, 第三者払いを享受する ( 以上, 社会保障法典 L 条 ) 81) そのため, 上記の各種費用について, 補足的 CMU の受給を受ける結果, 対象者は原則として自己負担を支出することなく受診することが可能となる 但し, 近年社会保障制度の後退が著しい歯科 眼科の分野では, アレテの形で給付水準が限定されており, 一定額を超える部分はなお家計の負担となる (2) 補足的 CMU の対象者は, 自らの補足的 CMU を支給し管理する組織を, 補足的医療保険組織 - 共済組合 労使共済制度 民間営利保険会社 -ないし社会保険金庫の中から選択することができる ( 社会保障法典 L 条 ) 補足的医療保険組織は, この制度への参加を強制されるものではなく, 参加を希望する組織はその旨申請を行う (L 条第 1 項 第 2 項 ) 但し, 一旦この制度に参加することとなった組 75 ) 以下,Assemblée Nationale, Projet de loi n 1419 portant création d une couverture maladie universelle, déposé le 3 mars 1999, Assemblée Nationale, 1 ère lecture, Discussion en séance publiuque 2 ème séance du 27 avril )Dupeyroux (J. - J.), op. cit., p ) 以下,Chauchard (J. P.), pp. 383 et s. 78 ) 家族との関係を切断された状態にある 16 歳以上の未成年者も, 個人の資格でこの制度の対象となりうる 社会保障法典 L 条第 3 項 79)Marié (R.), op. cit., p. 15, Dupeyroux (J. J.), p pp. 383 et )Borgetto (M.), op. cit., p. 33. 但し, 実際には違法な協約外料金の請求がしばしば行われているようである IGAS, Les dépassements d honoraires médicaux, rapport n. RM P, avril 2007, p ) 立法時には, 償還払い制度が低所得者層にとって受診を妨げる重要な一要素となっていることが重視された Depyeroux (J. J.), op. cit., p
18 フランスの民間医療保険 織は, 自らに加入することを希望する補足的 CMU の対象者について, 加入について条件を設けることが禁じられる (L 条 ) つまり, この制度に参加する以上, 補足的 CMU の対象者の中から加入者を選別することはできない 補足的 CMU の対象者を受け入れた組織に対しては, 受給者一人あたり, 四半期ごとに ユーロが支給され, 当該対象者にかかる医療リスクは, この ユーロの範囲内で個々の保険者が管理しなければならない (L 条 3 項 ) (3) 補足的 CMU の対象者は拠出義務を負わず (L 条 1 項 ), 上記の費用の財源は, 医療リスクの普遍的カバーのための補足的社会保障財政基金 (fonds de financement de la protection complémentaire de la couverture universelle du risque maladie) ( 以下, 単に 基金 という ) によって拠出される ( 同 L 条 ) 基金に財源を提供するために, 補足的医療保険組織に対して, 補足的医療保険から生じた保険料 拠出金収入を基礎として税が課されており, この税は, 補足的 CMU に参加するか否かにかかわらず, 共済組合 労使共済制度 保険会社に対して課される ( 税率は現在 6.27% である L 条 1 項 2 項 ) Ⅲ-1-3. 財源負担のあり方 (1) 補足的 CMU の財源を拠出する基金の収入の構造については, 近年, 重要な変化が見られる 82) 基金の財源には法律上は国庫負担が予定されており (L 条 1 項 ), 制度創設当初の 2000 年の時点では, 財源の 8 割程度が国庫負担であった 結果として, 補足的 CMU は,1 補足的医療保険加入者と非加入者との間での連帯, および,2 国民連帯, の 2 種類の連帯を組み合わせるものであると説明されることもあった しかしながら, この割合は制度創設後徐々に引き下げられ,2009 年の財政法 (Loi de finances) では国庫負担がゼロとされるに至っている 83) このことと, 補足的 CMU の給付費用の増加により, 補足的医療保険組織の拠出負担は急激に重くなりつつある ( 同じ 2009 年の社会保障財政法律 (loi de financement de la sécurité sociale) は補足的医療保険の保険者に課される税の税率を 2.5% から 5.9% へと引き上げた 84) 上記の通りこの税率は現在では 6.27% までさらに引き上げられている ) 学説は このような状況が 補足的医療保険の保険料の引き上げにつながるとの懸念を示している 85) このように, 補足的 CMU の財源を補足的医療保険の保険者のみに担わせる仕組みへと制度が変容したことは, 費用負担の新しい構造であり, これによって現在の補足的 CMU の財政は完全に 民営化 (privatisé) されたとの指摘がある 86) ( なお, 現在の基金の収入総額は約 18 億 7000 万ユーロ ) また, 収支の状況を見比べると, 補足的 CMU 対象者の 90% が社会保険金庫を保険者として選択していることの帰結として, 支出の 7 割程度が社会保険金庫に支払われている Ⅲ -2. 補足的医療保険組織の公的医療保険制度の管理 運営への参加 Ⅲ-2-1. 問題の所在 (1) 上述の CMU 法以降, 補足的医療保険は, 82 ) 基金のホームページに 2010 年度までの収支の内訳が掲載されている 最終閲覧日 :2012 年 5 月 6 日 ) 83 ) 前年までは, アルコール税やたばこ税の導入等も通じて初年度と同額程度の国庫負担が行われており ( 但し支出の伸びは主として補足的医療保険の負担する税の引き上げによって支えられており, 相対的には国庫負担は縮減していた ),2009 年の財源構成の変化は劇的なもののように思われる 84)Del Sol (M.), Europe et mutualité: une influence à sens unique?, RDSS, 2009, p )Badel (M.), Mutuelles et CMUC : un partenariat fructuex?, RDSS, 2009, p )Badel (M.), op. cit., p
19 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > 理論的にも制度的も, 社会保障制度と強く結びついたものとなっている こうした状況を背景として,2004 年の法改正の際, 従来法令上ほとんど考慮されることの無かった重要な政策関心が示された それは, このように両者が密接に関連しており, 補足的医療保険の活動が社会保障制度のあり方から直接の影響を受けることをふまえて, 補足的医療保険組織が社会保障制度の管理運営 ( とりわけ, その給付内容および水準の決定 ) に何らかの形で関与することが必要ではないかという問題意識に基づくものである 87) こうした考え方は, 文脈によっては, 補足的医療保険組織を通じて, 保険者等の第三者が行う医療給付のコントロールのスキームである, いわゆる マネジドケア の考え方を想起させるような議論にもつながっている 88) このような制度設計を国の側からみれば, 公的医療保険と民間保険の並存によって給付のコントロールが全体としてきわめて困難になっており, 費用抑制の観点から見ても望ましい状況ではないこと, 従って, 両者を全体として把握するスキームが必要であるという問題意識を示すものでもある 89) 2004 年の法改正以前, 補足的医療保険組織の社会保障制度への関与は, あらゆる面できわめて小さいものに留まってきた 90) 2004 年法は, 補足的医療保険組織により強い制度的位置づけを与えることで, ある意味で, 医療保険制度の共同管理 (co-régulation) を実現することを目指すものである 91) 上述の通り ( Ⅱ-1-2), 従来から, 社会保障金庫の管理組織の理事会には, フランス共済全国連合 (Fédération nationale de la mutualité française, FNMF) の代表 3 名を通じて共済組合も参加している しかしながら, 一般制度の全国被用者医療保険金庫 (Caisse nationale d assurance maladie des travailleurs salarié, CNAMTS) の理事 35 名のうち 26 名が被保険者代表および使用者代表であり ( それぞれ 13 名ずつ ), 逆にいえば,FNMF による指名を受けた理事はこのうち 3 名にとどまるということであって, その影響力は限定的といえる また, そもそも, 共済組合以外の補足的医療保険組織については, 社会保障制度への関与の余地が一切存在しなかった そして, 医療保険給付の管理およびリスク管理の分野においては, 従来, 補足的医療保険組織の関与は全く存在しなかった 社会保障制度においていかなる医療給付を社会保障によってカバーするかは, 被保険者との関係においては, 行政立法により定められる一覧表や, 同じく行政立法による一部負担割合の決定を通じて, 政府により画定されていた 92) また, 社会保障金庫と医師組合との間で締結される医療協約 ( Ⅰ 2 2) にも, 補足的医療保険組織は関与していなかった 協約交渉が補足的医療保険組織に重要な影響を及ぼすことが明らかであることを考慮すれば, これは重要な欠落であったといえる 例えば, 協約において医師の診療報酬が修正された場合, これは補足的医療保険 87 )Ginon (A. S.), Le médecin traitant, révélateur des nouvelles fonctions de la protection sociale complémentaire, RDSS, 2005, n. 6, p ) もっとも, 学説は, 補足的医療保険が医師に対する影響力をもたないこと, 診療報酬等の決定権限をもたないこと, 患者に関する情報を共有していないこと ( ないし, 共有することが正当化されないと思われること ) などの理由を挙げて, アメリカ式の民間保険によるマネジドケアはフランスでは想定しづらいと論じている Bras (P.- L.), Déficit de l assurance maladie : dérembourser ou prélever?, Droit Social, 2004, pp. 647, 651 et s. 89 ) なお, 同種の問題意識を示す法改正としては, 補足的医療保険によってもカバーされない自己負担制度の創設がある 注 70 参照 90) 以下,Del Sol (M.) = Turquet (P.), op. cit., p )Del Sol (M.)=Turquet (P.), op. cit., pp. 309 et )Del Sol (M.)=Turquet (P.), op. cit., p. 310, 参照, 笠木 前掲注 (5) 書 180 頁
20 フランスの民間医療保険 が保険給付として償還することになる費用の額に自動的に影響を及ぼすためである Ⅲ 年医療制度改革 (1) 2004 年法は, 社会保障の保険者 補足的医療保険組織のそれぞれについて新たに全国規模の連合体を設立した 全国医療保険金庫連合 (Union national des caisses d assurance maladie, UNCAM)( 社会保障法典 L 条 ) および全国補足的医療保険組織連合 (Union nationale des organismes d assurance maladie complémentaire, UNOCAM) という二つの組織である このうち, UNCAM は, 社会保障によってカバーされる給付の範囲 ( 社会保障による償還の対象となる医療材 サービスの一覧 ) および償還の割合を決定する権限を与えられた つまり, 社会保障の給付範囲を決定する権限は, 従来この権限を有していた政府に代わって, 社会保険金庫の連合体に与えられることとなった 93) これに対して,UNOCAM は, 補足的医療保険組織の 3 つの類型 ( 共済組合 労使共済制度 保険会社 ) 94) の全ての組織の連合体であり, またこれらの補足的医療保険組織を代表する そして, この組織は,UNCAM が社会保障の給付範囲や償還料金にかかる決定をする際に, 決定案について意見を述べる権限を有する ( 社会保障法典 L 条 4 項 ) これによって, 全国規模の連合体を通じた意見の提示という形で, 社会保険制度によって償還される給付の範囲 料金決定について, 初めて, 補足的医療保険組織の代表が関与することになった 95) また, 毎年決定される社会保障財政法律 (Loi de financement de la Sécurité Sociale, LFSS) についても,UNCAM に, 社会保障基礎制度の保険者 ( 金庫 ) とは独立して意見を述べる権限が与えられた ( 同条 2 項 ) (2) この制度については, 以下の通り批判も多い まず, 重要な権限をもつことになった UNCAM 自体の理事会には, 共済組合代表等の補足的医療保険組織の参加が一切認められていないこと,UNCAM の意思決定においてその事務局長 (directeur général) の権限がきわめて大きいこと 96) などから, そもそも実際に補足的医療保険の見解が決定に反映され, 共同管理のような制度が実現できるかどうか, つまり制度の実効性に疑問を呈す議論がある 97) また, 上記の通り UNOCAM の権限は主として UNCAM の決定および社会保障財政法律について意見を述べるという緩やかなものにとどまり, この意見が社会保障政策においてどこまで尊重され, どの程度網羅的に意見の聴取が行われているのかも明らかではない また, 重要法令であっても意見聴取の対象とならないものもある 例えば 2011 年社会保障財政法律について述べられた意見書の中では, 補足的 CMU 基金の支出を増額することについて ( その財源は Ⅲ-1-3で見た通り補足的医療保険組織が負担しているにもかかわらず )UNOCAM が前もって意見を求められることがなかったという問題を指摘している 98) さらにより根本的な批判として, このような制度設計は, 社会保障制度と補足的医療保険と 93 ) 一覧表については, 厳密には,UNCAM の決定について大臣が根拠ある異議を申し立てない限り,UNCAM の決定が承認され, 一覧表について効果が発生する ( 社会保障法典 L 条 3 項 4 項 ) 詳細については笠木 前掲注 (5) 書, 特に 177 頁以下を参照 94 ) より具体的には, これらの組織で, 疾病 出産 事故の際に発生した費用の償還あるいは補償を行うもの 社会保障法典 L 条 1 項 2004 年の設立合意 (accord constitutif) により,FNMF,FFSA( フランス保険会社連合,fédération française des sociétés d assurances), CTIP( 労使共済制度技術センター,centre technique des institutions de prévoyance) 等の 6 つの組織が参加している Millot (R.) = Waternaux (A. R.), op. cit., p )Assemblée Nationale, n. 1703, Rapport fait au nom de la commission spéciale chargée d examiner le projet de loi (n. 1675) relatif à l assurance maladie, 28 juin ) 詳細は笠木 前掲注 (5) 書 192 頁以下を参照 97)Del Sol (M.) = Turquet (P.), op. cit., p. 313, Millot (R.) = Waternaux (A. R.), op. cit., p )UNOCAM, Avis relatif au Projet de loi de Financement de la Sécurité Sociale pour 2011, 6 octobre
21 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > の違いを無視し, 両者の境界を曖昧にするものである等として, 社会保障制度の給付水準の低下がより目に見えにくくなることを危惧する見解も見られる 99) Ⅲ 年改正以降の動向 (1) 2004 年改正以降も, 同様の方向性の改革が行われている 例えば,2009 年の社会保障財政法律による改正以降, 社会保障法典 L 条は,UNOCAM が直接に医師組合と交渉 合意する権限を認めている とりわけ, 同条第 2 項は, 専門職や給付に関わる合意 協約等 ( 医療社会保障省が管轄するもの ) の中で, 社会保障制度によって支出される費用が半分以下に留まる (minoritaire) ものは, 補足的医療保険組織連合 (UNOCAM) がこれらの合意 協約等に参加していない限り有効とならないと定めている これらの規定は, 医師組合との関係ではじめて補足的医療保険組織に直接的な権限を付与するものであり, 保険者が医療給付の内容のコントロールを試みるマネジドケアの考え方に親和性があるといえる また, UNOCAM の参加のあり方を, 単なる意見の提示にとどまらないより重要度の高いものへと高めるものでもある 100) (2) このような補足的医療保険組織の社会保障制度への関与という傾向は, 近年の病院関係の法改正においても見られ, 病院制度について 101) 重要な改革を行った 2009 年 7 月 21 日法律は, 地域医療計画 (programme pluriannuel régional de gestion du risque) の作成に際して地域医療局 (agence régionale de santé) が補足的医療保険組織と協議 (concertation) を行う旨を 定めている ( 同法律によって導入された公衆衛生法典 (Code de la santé publique) 条 ) Ⅲ-2-4. 選択的セクター (1) 以上の議論と関連して注目すべき最近の動きとして, 選択的セクター (secteur optionnel) の構築に向けた動向について検討を加えておこう 102) 2004 年 8 月 24 日に, 国 全国医療保険金庫 代表権をもつ医師組合との間で合意が締結され, その議定書 (protocole) の中で, 新たに 選択的セクター を設定する可能性が定められた この選択的セクターは, 特に外科の分野において, 現在のセクター 1 セクター 2 の医師 ( Ⅰ-2-3) のいずれもが選択できる新しい医師のグループ ( 選択的セクター ) を設定し, この選択的セクターに属する医師については, 協約外料金の請求を認める一方で, その料金請求について UNCAM と UNOCAM との交渉により上限を設定した上で, この制度の枠内で行われる協約外請求を補足的医療保険が優先的に引き受けるという制度であった 103) この合意を受けて, その具体的な内容について, UNCAM 医師組合および UNOCAM との間で交渉が進められてきた 104) 2009 年 10 月には UNCAM と医師組合, UNOCAM との間で枠組み的な合意が成立し 105), 2011 年に合意された最も新しい医療協約 (UNCAM と医師組合との間で交渉 合意され, 医療保険制度に関する重要かつ基本的事項が取り決められる規範 ) 106) において, この制度に関する比較的詳細な定めがおかれた ( 協約の 42.4 条,sous-titre 4) この協約は, 選択的セク 99 )Del Sol (M.) = Turquet (P.),op. cit., p. 312, Chauchard (J.-P.), Droit de la sécurité sociale, 5 e édicion, L. G. D. J., 2010p. 362, note )Tabuteau (D.), op. cit., p )Loi portant réforme de l hôpital et relative aux patients, à la santé et aux territoires (HPST), J. O., 22 juillet )Johanet (G.), Assurance-maladie: le secteur optionnel, Droit Social, 2010, p )Autume (C.), Guidicelli (H.), Inspection générale des affaires sociales, Rapport n. RM P, Application du protocole d accord du 24 août 2004 sur la chirurgie française, septembre 2006, p ) 参照,UNOCAM, Lettre ouverte de l UNOCAM sur le secteur optionnel, Paris le 12 mars ) 後述の医療協約 sous-titre )Arrêté du 22 septembre 2011 portant approbation de la convention nationale des médecins généralistes et spécialistes, J. O., 25 septembre
22 フランスの民間医療保険 ターについて以下のような定めをおいている まず, この制度の適用を受けられるのは, 一定の条件を満たす外科 麻酔科 産科の医師である ( 既に協約外料金を請求できる地位にある医師を含む ) 選択的セクターに属するか否かは, まさに医師の選択によるが, この制度に参加する場合, 医師は, その医療行為のうちの 30% については協約料金を遵守しなければならず, 残りの 70% については協約外料金を請求できるものの, その額は協約外料金を 50% 増額したものに留まる また, 治療の前に料金に関する詳細な情報を提示する義務や, 医療の安全を担保するために毎年一定量以上の医療行為を行う義務を負うのに加えて, ( 医療行為の ) 適切さ指標 (référentiel de pertinence) に従った治療を行っているかどうかの調査, つまり治療の質に関する調査の対象とされる 選択的セクターの医師についてはその社会保険料の一部が公的医療保険の保険者によって負担される 107) (2) 上記のような試みは, 近年の改革とあいまって, フランスの医療保険制度における新しい方向性を示唆するものと考えられる すなわち, この制度においては, 補足的医療保険組織 (UNOCAM) が医師の行動に影響を及ぼす内容 の合意に参加しているうえ, 補足的医療保険によって優先的にカバーされる協約外料金を創設するという形で, 補足的医療保険の給付と医師の行動が直接に関係づけられている このような制度は, 補足的医療保険と社会保障金庫とが一体となって保険者としての機能を発揮し, 公的医療給付の内容をコントロールするという関係を構築するものとも評価できよう Ⅲ-2-5. 若干の検討補足的医療保険の, 事実上 制度上の重要性の拡大に伴って, 公的医療保険制度の管理運営, 特に給付範囲や給付の内容の決定について, 補足的医療保険の保険者が一定の権限を与えられるという傾向が見られる つまり, 補足的医療保険の重要性の拡大が, 公的医療保険制度のあり方に影響を及ぼしつつあるのである こうした傾向からは ( 本稿では必ずしも十分な検討を行えていないものの ) 過去においてもそうであったように ( Ⅰ-2-3), 公的医療保険と私保険とが, 相互に影響を及ぼし合いながら発展 変容していることを改めて確認することができる Ⅳ. 検討 本稿のまとめとして, はじめに以下の 3 点を挙げておきたい まず, フランスにおいて民間医療保険は, 特に 1990 年代末以降, 公的医療保険と一体となって医療保障を実現するものという位置づけを与えられており, 民間医療保険という言葉から通常想起される保険とは異なる 性格を有している そのため, 日本をはじめ諸外国と比較する場合には, その背景にある歴史的経緯等を十分に理解し, 安易な比較を避けることが望ましい また, フランスにおいては, 従来から, また, 今日においても, 公的医療保険と民間保険とが 107 )2012 年 3 月 21 日アレテ及び同日のデクレによって 選択的セクター制度は法律上の根拠を与えられ 医療協約に定められた上記の枠組みが実際に動き出すことになった Décret n du 21 mars 2012 relatif au contenu des contrats d assurance maladie complémentaire bénéficiant d aides fiscales et sociales, Arrêté du 21 mars 2012 pris en application de l article 56 de la loi n du 21 décembre 2011 de financement de la sécurité sociale pour
23 < 財務省財務総合政策研究所 フィナンシャル レビュー 平成 24 年第 4 号 ( 通巻第 111 号 )2012 年 9 月 > 相互に影響を及ぼし合いながら発展するという関係が存在する このことは, 最後に述べる点とも関わるが, 民間保険をめぐる議論の際に, 1 公的医療保険の存在が民間保険に及ぼす影響,2 逆に, 民間保険の発展が公的医療保険制度のあり方に及ぼしうる影響を, 長期的な観点から考慮する必要性を示唆している ( 日本では, 現在民間保険の役割が比較的小さいものにとどまっていることの影響か,1についてはしばしば検討が行われる一方で,2については必ずしも十分に検討が行われていないように思われる ) 最後に, 上記の点とも関連して, 保険者の機能という本特集のテーマの観点からは, 民間医療保険が医療保障において果たす役割の増大と共に, 公的医療保険給付に民間保険がコントロールを及ぼす制度設計が構想されつつあるように思われることが, そのような制度の是非は別として, 注目されよう 但し, このような制度は, フランスにおいては, 公私保険の並存ゆえに医療給付ひいては医療費に対するコントロールがほとんど働かないという文脈の中で登場してきたものであり, 日本のように, そもそも公的医療保険の提供する医療サービスが診療報酬等によって強いコントロールを受けている国にとって, このような試みがどの程度参考になるかには疑問もある 次に, 以上の点もふまえて, 本稿全体から日本の今後の民間医療保険の役割や位置づけについていかなる示唆を得られるかを検討する 直接かつポジティブな示唆は残念ながら見当たらないものの, フランスの制度が抱える問題点を改めて指摘することで, 日本における今後の議論の際に注意すべき点をいくつか指摘しておきたい フランスにおいては, 歴史的にも, また近年の議論においても, 補足的医療保険の存在は, 公的医療保険制度との関係では, 同制度をめぐる重要な論点を見えにくくするという効果を導 いている 具体的には, 補足的医療保険の存在ゆえに, 公的医療保険制度において比較的大きな自己負担が特に大きな議論なしに許容され, また, 同制度の縮小が, 国民的な議論無しになし崩し的に行われてきたという経緯が見られる また, 医療費のコントロールという観点からみた場合, 私保険の存在はむしろ, 患者の自己負担をゼロにする等, 医療保険給付のコントロールを困難にすることによって全体としての費用拡大の効果をもたらしていると思われる さらに, 注意すべき点は, 上記のように給付範囲の縮小が十分な理論的基礎付けなしに行われているために, 公的医療保険の自己負担が原因となって患者が受けられる医療に資力に応じた不平等が生じることについて, 常に不公平感がつきまとい, また, 立法のレベルでも, そうした不平等は不公正なものと評価され, 税財源による無拠出の補足的 CMU 等が導入されているという状況である 全体として, フランスでは, 歴史的な経緯によって公的医療保険と私保険の並存という途が選ばれたものの, 今日において私保険が果たすべき役割について詰めた議論が行われているわけではないため, このように曖昧で方向性の見えにくい状況が生じているといえる 日本においても, 公的医療保険の給付範囲に関する何らかの明確な方向性と限界付けなしに, 給付範囲を縮小し, 民間医療保険の役割を従来よりも拡大する場合, 長い目でみれば, 医療制度が全体としてコントロールの困難なものとなり, また, 医療制度に対する国民の信頼が失われかねないであろう 特に, 共済組合のような特殊な保険者が存在しない日本においては, 私保険がもたらす不平等をいかに評価するかの議論なしにこのような方向性を追求することには問題が大きいと考えられる フランスの現状は, 公的医療保険と私保険の併用について, 一国の医療保険制度のあり方への長期的な影響という観点から慎重な考慮が必要であることを示している
24 フランスの民間医療保険 参考 文献 脚注に挙げたもの 九州大学法学部
失業情勢と高齢者雇用
Winter 2012 No. 181 特集 : 公的年金の支給開始年齢の引き上げと高齢者の所得保障 フランスにおける年金改革と高齢者所得保障 年金支給年齢の引上げを中心に 岡伸一 要約フランスの高齢者の所得保障としては 公的年金は基礎的な部分の一つの制度に限定され 支給水準も比較的低い 二階部分はサラリーマンの場合 労働協約に基づく補足年金となる 三階にあたる私的な年金も次第に普及しつつあり 近年新たな個人年金が導入されたが
prestation familiale 1 sursalaire familial J J. DUPEYROUX, M. BORGETTO et R.
11 157 資 料 11 158 49 3 1 2 3 4 1 prestation familiale 1 sursalaire familial 1932 3 11 2 1946 8 22 1835 3 1 1948 50.2 3.5 1950 20.1 J J. DUPEYROUX, M. BORGETTO et R. LAFORE, Droit de la sécurité sociale,
第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」
社会の理解 5 地方自治法に基づく法的な権利のうち, 市町村の区域内に住所があれば日 本国民でなくても有する権利として, 適切なものを 1つ選びなさい 1 市町村からサービスを受ける権利 2 市町村の選挙に参加する権利 3 市町村の条例の制定を請求する権利 4 市町村の事務の監査を請求する権利 5 市町村議会の解散を請求する権利 6 日本の人口に関する次の記述のうち, 適切なものを 1 つ選びなさい
問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が
選択式 対策編 平成 28 年厚生労働白書 問 1 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している 1 国民医療費とは 医療機関等における保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用を推計したものであり 具体的には 医療保険制度等による給付 後期高齢者医療制度や公費負担医療制度による給付 これに伴う患者の一部負担などによって支払われた医療費を合算したものである
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OECD EU OECDGDP.. Les Amis Bernard ENNUYER AdressadomicileAlain MANDELMAN i http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/rhmwb.html ii https://www.cabrain.net/news/article.do? newsid= iiioecd Social Expenditure Datebase
175 資 料 12 翻訳の趣旨 Recueil Dalloz Émilie PECQUEUR, Anne CARON-DÉGLISE et Thierry VERHEYDE, Capacité juridique et protection juridique à la lumière de la
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RMI: Revenu minimum d insertion 48 Source: Maxime Ladaique, L évolution des inégalités de revenus en France et dans les pays OCDE, Conseil régional du Centre, décembre 2005. Source: INSEE, enquêtes revenus
おカネはどこから来てどこに行くのか―資金循環統計の読み方― 第4回 表情が変わる保険会社のお金
なるほど金融 おカネはどこから来てどこに行くのか 資金循環統計の読み方 第 4 回 2013 年 11 月 6 日全 6 頁 表情が変わる保険会社のお金 金融調査部主任研究員島津洋隆 前回 日本の年金を通じてどのようにおカネが流れているのかということについて説明しました 今回は 保険会社を巡るおカネの流れについて注目します Q1 保険会社のおカネの流れはどうなっていますか A1 保険会社は加入者から預かった保険料を金融資産として運用する一方で
文書管理番号
プライバシーマーク付与適格性審査実施規程 1. 一般 1.1 適用範囲この規程は プライバシーマーク付与の適格性に関する審査 ( 以下 付与適格性審査 という ) を行うプライバシーマーク指定審査機関 ( 以下 審査機関 という ) が その審査業務を遂行する際に遵守すべき事項を定める 1.2 用語この基準で用いる用語は 特段の定めがない限り プライバシーマーク制度基本綱領 プライバシーマーク指定審査機関指定基準
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項目別 機能別収支表 平成 6 年度 ~ 平成 17 年度 (1994 年度 ) ~ (005 年度 ) 項目別社会保障財源の推移 平成 6 年度 (1994) 平成 7 年度 (1995) 平成 8 年度 (1996) 平成 9 年度 (1997) 平成 10 年度 (1998) 合 計 79,570,738 85,16,801 87,1,303 90,137,953 89,6,40 I 社会保険料
控訴人は, 控訴人にも上記の退職改定をした上で平成 22 年 3 月分の特別老齢厚生年金を支給すべきであったと主張したが, 被控訴人は, 退職改定の要件として, 被保険者資格を喪失した日から起算して1か月を経過した時点で受給権者であることが必要であるところ, 控訴人は, 同年 月 日に65 歳に達し
平成 25 年 7 月 4 日判決言渡平成 25 年 ( 行コ ) 第 71 号不作為の違法確認請求控 訴事件 主 文 1 本件控訴を棄却する 2 控訴費用は控訴人の負担とする 事実及び理由第 1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す 2 厚生労働大臣が平成 22 年 4 月 15 日付けで控訴人に対してした被保険者期間を411 月, 年金額を179 万 4500 円とする老齢厚生年金支給処分を取り消す
他の所得による制限と雇用保険受給による年金の停止 公務員として再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額停止となり 特別 ( 本来 ) 支給の老齢厚生年金の一部または全部に制限がかかることがあります なお 民間に再就職し厚生年金に加入された場合は 経過的職域加算額は全額支給されますが
年金や医療保険は 安心して退職後の生活を送るために欠かせないものです このコーナーでは 退職後の年金や医療保険制度についてお知らせします 職域部分は 経過的職域加算額として支給されます! 平成 27 年 10 月 1 日から被用者年金一元化法が施行され 公務員も厚生年金保険制度の被保険者となり 施行日以降に年金受給権が発生する方の年金は全て厚生年金の名称で支給されています また 一元化に伴い共済年金の
別紙2
介護保険制度の改正事項に関する考え方 別紙 2 1 一定以上の所得のある利用者の自己負担の引上げ なぜ 一定以上の所得のある方の利用者負担を 2 割とするのか 保険料の上昇を可能な限り抑えつつ 現役世代の過度な負担を避けるとともに 高齢者世代内で負担の公平化を図っていくためには 65 歳以上の被保険者のうち 一定以上の所得のある方に 2 割の利用者負担をしていただくことが必要 介護保険制度の創設以来
ご契約のしおり・約款 指定代理請求特約
ご契約のしおり 約款 特約条項 指定代理請求特約 (2018 年 4 月 2 日制定 ) この特約は 給付金等の受取人である被保険者が給付金等を請求できない所定の事情がある場合等に あらかじめ指定された指定代理請求人が被保険者に代わって請求を行うことを可能とすることを主な内容とするものです 第 1 条 < 特約の締結 > 1 この特約は 保険契約者と会社との間で主たる保険契約
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年金と手当 障害基礎年金 年金加入中や20 歳前に起きた病気やケガによって一定の障がいの状態になったときに受けられます 年金額 ( 平成 30 年度 ) 障害基礎年金 1 級 年額 974,125 円 障害基礎年金 2 級 年額 779,300 円 受給資格のある方 ( 次の1~3すべてのまたは4の要件に該当する方です ) 1 病気やケガの初診日において国民年金の被保険者であること または 国民年金の被保険者であった60
現状では法制度を工夫しても 違憲の疑いが強い
資料 9 ブロッキング法制化は 違憲の疑いが強いこと 弁護士森亮二 1 現状では法制度を工夫しても 違憲の疑いが強い 前回 ( 第 7 回 ) の提出資料 ( 資料 7) と席上での説明は 中間まとめの修正版では無視されました 完全に無視でした 3 違憲審査基準のあてはめ 1 違憲審査基準は以下のとおり アクセス制限 ( ブロッキング ) が合憲といえるのは 1 具体的 実質的な立法事実に裏付けられ
5 仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) の内容 (1) 目的 市の債権管理に関する事務処理について必要な事項を定めることにより その管理の適正化を図ることを目的とします 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理について整理し 債権管理に必要 な事項を定めることにより その適正化を図ることを目的
仙台市債権管理条例 ( 中間案 ) について 1 条例制定の趣旨 債権 とは 仙台市が保有する金銭の給付を目的とする権利のことで 市税や国民健康保険料 使用料 手数料 返還金 貸付金など様々なものを含みます そして 債権が発生してから消滅するまでの一連の事務処理を 債権管理 といい 具体的には 納付通知書の送付や台帳への記録 収納状況の管理 滞納になった場合の督促や催告 滞納処分 強制執行 徴収の緩和措置等の手続きを指します
斎藤昭雄93‐110/93‐110
EU (situation financière) (résultats) (patrimoine) EU (faire une photo du patrimoine de l entreprise) EU (avoirs) (droits) (dettes) (obligations) (engagements) (moyens propres) Cf. Wilfried Niessen & Joséphine
ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に
子育て費用の時間を通じた変化 日本のパネルデータを用いた等価尺度の計測 名古屋大学大学院経済学研究科 ( 研究科長 : 野口晃弘 ) の荒渡良 ( あらわたりりょう ) 准教授は名城大学都市情報学部の宮本由紀 ( みやもとゆき ) 准教授との共同により,1993 年以降の日本において,2 歳以下の子供の子育て費用が大幅に増加していることを実証的に明らかにしました 研究グループは 1993 年において
監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書
監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書 監査に関する品質管理基準の設定について 平成 17 年 10 月 28 日企業会計審議会 一経緯 当審議会は 平成 17 年 1 月の総会において 監査の品質管理の具体化 厳格化に関する審議を開始することを決定し 平成 17 年 3 月から監査部会において審議を進めてきた これは 監査法人の審査体制や内部管理体制等の監査の品質管理に関連する非違事例が発生したことに対応し
社会福祉法人○○会 個人情報保護規程
社会福祉法人恩心会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条本規程は 個人の尊厳を最大限に尊重するという基本理念のもと 社会福祉法人恩心会 ( 以下 本会 という ) が保有する個人情報の適正な取り扱いに関して必要な事項を定めることにより 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守することを目的とする ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱うに当たっては その利用目的をできる限り特定する
8. 内部監査部門を設置し 当社グループのコンプライアンスの状況 業務の適正性に関する内部監査を実施する 内部監査部門はその結果を 適宜 監査等委員会及び代表取締役社長に報告するものとする 9. 当社グループの財務報告の適正性の確保に向けた内部統制体制を整備 構築する 10. 取締役及び執行役員は
内部統制システム構築の基本方針 サントリー食品インターナショナル株式会社 ( 以下 当社 という ) は 下記のとおり 内部統制システム構築の基本方針を策定する Ⅰ. 当社の取締役 執行役員及び使用人並びに当社子会社の取締役 執行役員その他これ らの者に相当する者 ( 以下 取締役等 という ) 及び使用人の職務の執行が法令及び定款 に適合することを確保するための体制 1. 当社及び当社子会社 (
< 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) < 方向性 > 1 独任制から合議制への転換基本ポート
第 32 回社会保障審議会年金部会平成 27 年 12 月 25 日 資料 GPIF ガバナンス強化のイメージ ( 案 ) 厚生労働省年金局 平成 27 年 12 月 25 日 < 目的 > 専ら被保険者の利益 にはそぐわない目的で運用が行われるとの懸念を払拭し 運用に対する国民の信頼を高める 運用の多様化 高度化が進む中で 適切にリスクを管理しつつ 機動的な対応を可能に GPIF ガバナンス強化のイメージ
介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を
資料 3-1 介護予防 日常生活支援総合事業の実施について 1 介護予防 日常生活支援総合事業の概要団塊の世代が75 歳以上となる2025 年に向けて 単身高齢者世帯や高齢者夫婦のみ世帯 認知症高齢者の増加が予想される中で 介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で暮らし続けることができるようにするため 介護だけではなく 医療や予防 生活支援 住まいを包括的に提供する地域包括ケアシステムの構築が求められております
( 続紙 1 ) 京都大学博士 ( 経済学 ) 氏名衣笠陽子 論文題目 医療経営と医療管理会計 ( 論文内容の要旨 ) 本論文は 医療機関経営における管理会計システムの役割について 制度的環境の変化の影響と組織構造上の特徴の両面から考察している 医療領域における管理会計の既存研究の多くが 活動基準原
Title 医療経営と医療管理会計 : 医療の質を高める医療管理会計の構築を目指して ( Abstract_ 要旨 ) Author(s) 衣笠, 陽子 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date 2011-03-23 URL http://hdl.handle.net/2433/142157 Right Type Thesis or Dissertation
障害厚生年金 厚生年金に加入している間に初診日 ( 障害のもととなった病気やけがで初めて医者にかかった日 ) がある病気やけがによって 65 歳になるまでの間に 厚生年金保険法で定める障害の状態になったときに 受給要件を満たしていれば支給される年金です なお 障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害
6 年金 手当 障害基礎年金 国民年金に加入している間に初診日 ( 障害のもととなった病気やけがで初めて医者にかかった日 ) がある病気やけがによって 65 歳になるまでの間に国民年金法で定める障害の状態になったときに 受給要件を満たしていれば支給される年金です 初診日が 20 歳以前にある方は 20 歳になったときに申請ができます 受給要件次の 1~3 の条件のすべてに該当する方が受給できます 1
第14章 国民年金
第 17 章 国民年金 国民年金は すべての国民を対象として 老齢 障害 死亡について年金を 支給し 健全な国民生活の維持 向上に寄与することを目的としています - 151 - 国民年金のしくみ 1 被保険者 国民年金に必ず加入しなければならない人は 日本国内に住所がある 20 歳以 上 60 歳未満の人たちです 被保険者は次の 3 種類となります ⑴ 第 1 号被保険者 日本国内に住所のある 20
