第1章

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まなこやぎ
5 years ago
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1 第三章民泊ガイドラインについて本章では, 他都道府県で策定されている民泊 GL の収集を行った調査の概要と結果を先ず説明する. 次に, 収集した民泊 GL を項目ごとに分析した結果と, 分析結果を参考に作成した, 滋賀県の民泊 GL の原案について述べる. 3-1 各都道府県の民泊ガイドラインの収集本研究では, 各都道府県における民泊 GL の策定状況を調査し, 民泊 GL の収集をおこなった. 調査の概要を表 3-1 に示す. 調査期間文献調査電話ヒアリング調査表 3-1 民泊 GL に関する調査内容 2010 年 7 月 ~2010 年 9 月 < 参考資料 > 中尾誠二 : 規制緩和型農林漁家民宿に関する一考察, 日本農業経済学会論文集 (2009) ヒアリング対象都道府県自治体の担当課質問項目民泊 GL の有無表 3-1 に示すように, 調査期間は 2010 年 7 月から 9 月である. 文献調査としては前述の中尾の論文を収集した. 同文献から, 岩手, 宮城, 秋田, 新潟, 島根, 高知, 鹿児島, 山形, 山梨, 鳥取, 山口, 徳島の全国 12 県で民泊 GL が策定されていることがわかった. 次に中尾の調査時点である 2009 年から新しく民泊 GL が策定されているか否かを確認するため, 先の 12 県以外の 35 都道府県の自治体の担当課に対して電話によるヒアリングを行い, 民泊 GL の有無を尋ねた. その結果, 新たに民泊 GL が策定されている県はなく, 現在, 策定されている民泊 GL は中尾が挙げた 12 県のもののみであることが確認できた. 同 12 県のうち, 岩手, 宮城, 秋田, 新潟, 島根, 高知, 鹿児島の 7 県に関しては, 民泊 GL がインターネット上に公開されていたのでそれをダウンロードすることによって入手した. インターネットで入手できなかった山形, 山梨, 鳥取, 山口, 徳島へは県庁担当課等への電話によって直接請求し, ワードファイルまたは PDF ファイルの形で入手した. 収集した民泊 GL の概要を表 3-2 に示す. なお全 GL は Appendix 1 に記載する. 17

2 県鳥取新潟宮城秋田島根岩手高知山形徳島山口鹿児島山梨表 3-2 既存の民泊 GL の概要文書名と概要農山漁村滞在型余暇活動を促進する事業で実施される農家等への宿泊に係る旅館業法および食品衛生法上の取扱について (2003 年 4 月 8 日, 鳥取県生活環境部長 ) 民泊で生活体験の場を提供する取組みを継続する場合は簡易宿所営業の許可が必要だが, 体験料のみ受け取る場合は許可不要. 食事についても体験者と受入者が共同で調理を行う場合に限り飲食店営業許可は不要. 学校の教育活動に伴う農村ホームステイ受入に係る衛生管理等取扱要綱 (2003 年 11 月 1 日, 新潟県 ) 営利を目的とせず, 生徒学生等の滞在を農山漁村の家庭に受け入れ, 学校の教育活動の一環として行われるものであって, 受入家庭では作業食事団らん等の機会を提供することが条件. 体験学習に伴う農林漁家への民泊の実施方針について (2003 年 11 月, 宮城県農林水産部改正 2007 年 9 月 21 日 ) 学校長が教育上必要と認め, 農林漁業および農山漁村生活の体験学習に伴い児童生徒その引率者が農林漁家へ宿泊するもので, 食事は生徒等が自ら調理または農家等と共同で調理する. 教育旅行に係る農林漁家での民泊の実施方針 (2005 年 2 月 1 日, 秋田県農林水産部改正 2008 年 4 月 1 日 ) 学校長が教育上必要と認め, 児童生徒その引率者が農林漁家に宿泊し, 農林漁業および農山漁村生活を体験するもので, 農家等は宿泊料を受けずに宿泊させるものとする. 食事は生徒等が自ら調理または農家等と共同で調理し, 一緒に食べる. 農山漁村民泊の法整理 (2005 年 3 月 1 日, 島根県地域振興部長と健康福祉部長の連名通知 ) 宿泊の対価を徴収しないことを条件に, 簡易宿所営業許可を取得しないことを選択できる. 調理体験指導の役務を規定し利用者と共同で調理を行う行為についての飲食店営業許可は不要. 農林漁家への民泊に係る取扱指針 (2005 年 3 月 31 日, 岩手県農林水産部 ) 営利を目的とせず宿泊料を受けずに人を宿泊させる農林漁家で, 市町村等が受入農林漁家の決定に関与すること, 農山漁村体験, 調理, 団らん等の機会を提供することが条件. 農山漁村生活体験ホームステイに係るガイドライン (2006 年 2 月 14 日, 高知県農林水産部 ) 営利を目的とせず宿泊料を受けずに人を宿泊させる農林漁家で, 農山漁村生活体験調理団らん等の機会を提供すること, 宿泊料を受けていない明確な根拠があること, 地域内に法遵守が周知されていることが条件. 山形県における学校教育に係る農村民泊受入に関する指針 (2007 年 3 月 30 日, 山形県商工労働観光部観光振興課 ) 学校教育法に規定する学校専修学校各種学校における教育の一環として行われる旅行に際し, 営利を目的とせず宿泊料を受けないで, 農山漁村に所在する家庭に宿泊させて農山漁村生活体験を提供するもの. 農家等での体験学習民泊の取扱方針 (2007 年 4 月 27 日, 徳島県 ) 学校長が教育上必要と認め, 児童生徒学生その引率者が農家等で滞在し, 家人の指導のもと農山漁村生活を体験するもので, 宿泊料を受けずに滞在させるものに限る. 食事は家人の指導を受けながら生徒等が自ら調理または家人と共同で調理し, 家人と一緒に食べる. 農山漁村生活体験ホームステイ実施要領 (2008 年 6 月 4 日, 山口県地域振興部中山間地域づくり推進室 ) 学校長が教育上必要と認める農林漁業および農山漁村の体験等について宿泊料を受けずに滞在させるものに限る. 鹿児島県における農山漁村生活体験学習に係る取扱指針 (2009 年 3 月 9 日, 鹿児島県 ) 生徒等が学校授業の一環として行う修学旅行や子ども農山漁村交流プロジェクト等における体験学習について, 当指針に沿って受入れる場合は旅館業法や食品衛生法の営業許可を要しない. 農林家における農山村生活体験等の提供に伴う民泊の取り扱い指針 (2009 年 3 月 27 日, 山梨県 ) 民泊を受け入れる農林家が農林業の体験指導農山村生活の知識付与 / 地域案内等を行う. 食事は調理体験の一環として民泊者自らが調理したものか農林家と共同で調理したものだけを提供する. 18

3 3-2 既存の民泊ガイドラインの分析この節では, 収集した民泊 GL の内容を 1) 旅館業法に関連する指針,2) 食品衛生法に関連する指針,3) 民泊実施の受入窓口となる地域協議会等について,4) 対象範囲について ( 教育旅行と大人も含めた民泊希望者 ) の項目ごとに分析する旅館業法に関連する指針各民泊 GL から旅館業法に関連する記述を抽出してまとめた. その結果を表 3-3 に示す. 表 3-3 民泊 GL の旅館業法に関連する記述県旅館業法に関連する記述民泊で生活体験の場を提供する取組みを継続する場合は簡易宿所営業の許可が鳥取必要だが, 体験料のみ受け取る場合は許可不要. 営利を目的とせず, 生徒学生等の滞在を農山漁村の家庭に受け入れ, 学校の教育新潟活動の一環として行われるもの. 生徒等の体験に対する指導をした場合は, その内容に応じた対価を受け取ること宮城ができるものとし, その金額は体験指導に係るもののみとする. 学校長が教育上必要と認め, 児童生徒その引率者が農林漁家に宿泊し, 農林秋田漁業および農山漁村生活を体験するもので, 農家等は宿泊料を受けずに宿泊させるものとする. 宿泊の対価を徴収しないことを条件に, 簡易宿所営業許可を取得しないことを選島根択できる. 岩手営利を目的とせず宿泊料を受けずに人を宿泊させる. 営利を目的とせず宿泊料を受けずに人を宿泊させる農林漁家で, 宿泊料を受けて高知いない明確な根拠があること, 地域内に法遵守が周知されていることが条件. 学校教育法に規定する学校専修学校各種学校における教育の一環として行わ山形れる旅行に際し, 営利を目的とせず宿泊料を受けないで, 農山漁村生活体験を提供するもの. 学校長が教育上必要と認め, 児童生徒学生その引率者が農家等で滞在し, 徳島家人の指導のもと農山漁村生活を体験するもので, 宿泊料を受けずに滞在させるものに限る. 学校長が教育上必要と認める農林漁業および農山漁村の体験等について宿泊料山口を受けずに滞在させるものに限る. 生徒等が学校授業の一環として行う修学旅行や子ども農山漁村交流プロジェク鹿児島ト等における体験学習について, 当指針に沿って受入れる場合は旅館業法や食品衛生法の営業許可を要しない. 民泊を受け入れる農林家が農林業の体験指導農山村生活の知識付与 / 地域案内山梨等を行う. 表 3-3 に示すように, いずれの GL も旅館業法に関連する指針に関しては宿泊の対価を徴収しないこと, あるいは宿泊料を受け取らないことを条件とするという様に, 19

4 同様の内容を定めていた. このことから, 民泊受入の際の対価に関しては全国的に同じような理解がなされていると考えられる. したがって, 滋賀県の民泊 GL の原案の旅館業法に関連する記述はこれらと同様のものとするべきであると考える食品衛生法に関連する指針次に, 各民泊 GL から食品衛生法に関連する記述を抽出してまとめた. その結果を表 3-4 に示す. 表 3-4 民泊 GL の食品衛生法に関連する記述県食品衛生法に関連する記述食事についても体験者と受入者が共同で調理を行う場合に限り飲食店営業許可鳥取は不要. 営利を目的とせず, 生徒学生等の滞在を農山漁村の家庭に受け入れ, 学校の教育新潟活動の一環として行われるものであって, 受入家庭では作業食事団らん等の機会を提供することが条件. 宮城食事は生徒等が自ら調理または農家等と共同で調理する. 秋田食事は生徒等が自ら調理または農家等と共同で調理し, 一緒に食べる. 調理体験指導の役務を規定し利用者と共同で調理を行う行為についての飲食店島根営業許可は不要. 営利を目的とせず宿泊料を受けずに人を宿泊させる農林漁家で, 市町村等が受入岩手農林漁家の決定に関与すること, 農山漁村体験, 調理, 団らん等の機会を提供することが条件. 営利を目的とせず宿泊料を受けずに人を宿泊させる農林漁家で, 農山漁村生活体高知験調理団らん等の機会を提供すること, 地域内に法遵守が周知されていることが条件. 学校教育法に規定する学校専修学校各種学校における教育の一環として行わ山形れる旅行に際し, 農山漁村に所在する家庭に宿泊させて農山漁村生活体験を提供するもの. 食事は家人の指導を受けながら生徒等が自ら調理または家人と共同で調理し, 家徳島人と一緒に食べる. 学校長が教育上必要と認める農林漁業および農山漁村の体験等について宿泊料山口を受けずに滞在させるものに限る. 生徒等が学校授業の一環として行う修学旅行や子ども農山漁村交流プロジェク鹿児島ト等における体験学習について, 当指針に沿って受入れる場合は旅館業法や食品衛生法の営業許可を要しない. 食事は調理体験の一環として民泊者自らが調理したものか農林家と共同で調理山梨したものだけを提供する. 表 3-4 に示すように, いずれの GL も食品衛生法に関連する指針に関しては体験者と受入者が共同で調理を行うことを条件としており, また食事は生徒等が自ら調理または農家等と共同で調理し, 一緒に食べる等の, ほぼ同様の内容を定めていた. このこと 20

5 から, 民泊受入の際の食事提供に関しては全国的に同じような理解がなされていると考えられる. したがって, 滋賀県の民泊 GL の原案の食品衛生法に関連する記述はこれらと同様のものとするべきであると考える民泊実施の受入窓口となる地域協議会について各民泊 GL から民泊実施の受入窓口となる地域協議会に関連する記述を抽出してまとめた. その結果を表 3-5 に示す. 県鳥取新潟宮城秋田表 3-5 民泊 GL の地域協議会に関連する記述地域協議会に関連する記述受入主体たる地方公共団体等が, 受入家庭を監督下に置く仕組みとなっていること. 地方公共団体等が受入の主体となって, 学校のために受入家庭が提供する施設, 生活体験等を手配するものであって, 受入を行う家庭が主体となり得るものではないこと. 受入れする市町村等は, 農家等民泊を円滑に実施するための組織を設置し, 民泊は全て当該組織からの協力依頼によるもののみとし, 農家等が自ら実施するものはこれに含まないものとする. 市町村等が受入のための地域協議会等を設置し, 農林漁家民泊を実施する農林漁家は事前に地域協議会等に加入すること. 島根岩手高知山形徳島しまね田舎ツーリズム推進協議会の中の宿泊調理部会に加入し, その会則等を遵守する. 市町村等が受入農林漁家の決定に関与すること, 農山漁村体験, 調理, 団らん等の機会を提供することが条件. 市町村等においては, 受入農林漁家等を構成員とする組織を設置することが望ましい. 受入主体は, 市町村等が設置又は加入する組織とし, 協議会が受入主体とならない個別農家の受入は, 本指針の対象としない. 市町村等が受入のための地域協議会等を設置し, 農林漁家民泊を実施する農林漁家は事前に地域協議会等に加入すること. 山口市町村が関与して定めた地域振興又は農林漁業振興に関する方針計画等に沿って体験学習を提供すること. 鹿児島市町村等を通じ体験学習を提供し, 体験を希望する者の受入れを行う. 山梨民泊を受け入れる農林家が農林業の体験指導農山村生活の知識付与 / 地域案内等を行う. 表 3-5 に示すように, いずれの GL も民泊実施の受入窓口となる地域協議会に関連する指針に関しては民泊の実施には市町村等が受入窓口となる必要があり, 農家等が単独で 21

6 自ら実施することは原則として認めない等のほぼ同様の内容を定めていた. これは, 農家等が単独で受け入れることを認めると, 無許可で宿泊客をとる民泊が増えてしまう恐れがあるためだと考えられる. また, 全ての GL が, 地域協議会の機能の中に, 安全と衛生の確保のための研修会 ( 講習と呼んでいるものもある ) の開催を義務付けており, 民泊を受け入れている農林漁家に対しても, 同研修会への参加を義務付けていた. したがって, 滋賀県の民泊 GL の原案の地域協議会に関連する記述はこれらと同様のものとするべきであると考える受入対象の範囲について各民泊 GL から民泊の受入対象の範囲に関連する記述を抽出し, 受入対象によって GL を 2 つに分類した. その結果を表 3-6 に示す. 表 3-6 民泊 GL にみられる受入対象の県別タイプ分け教育旅行限定 ( 児童生徒等に限定 ) 民泊希望者 ( 大人も含む ) 宮城県岩手県秋田県山梨県山形県鳥取県新潟県島根県山口県高知県徳島県鹿児島県表 3-6 に示すように, 受入対象という点では, 児童生徒等の教育旅行だけに限定するタイプ ( 宮城秋田山形新潟山口徳島鹿児島 ) と, 大人も含めた民泊希望者にまで対象範囲を広げているタイプ ( 岩手山梨鳥取島根高知 ) の 2 つに分類できることがわかった. 受入対象が教育旅行に限定するタイプと大人も含めた民泊希望者とするタイプの 2 つに分かれる理由としては, 昔から家に他人を泊める習慣や歴史が存在していた地域 ( 高知県のお遍路さん等 ) では, 対象をそのまま民泊希望者としており, これに対して教育旅行に限定している県では, 民泊希望者にまで対象を広げてしまうと民宿との境界があいまいになってしまい, 農家民宿の普及に繋がらないと考えたためではないかと言われている 2). 22

7 3-2-5 その他の考察上記以外の項目に関しては, 記述内容がそれぞれの県によって異なっていた. その中で, 取扱指針内で使用する語句に関する定義については岩手, 高知, 鹿児島の記述が細かく, 理解しやすかった. また, 地域協議会の機能に関しては, 宮城, 秋田のものが内容が詳しく, かつ具体的であった. また, ここまでの分析で, 既存の民泊 GL はいずれも農家民宿については言及していないことがわかった. 農家民宿については旅館業法や食品衛生法等の明確な法律が存在しているので, 民泊 GL において言及がないことは当然なのかもしれない. 一方で, 民泊 GL を策定すれば, 民泊の横行を許すことになり, 本来の目的である農家民宿の増加には繋がらないとの意見もある 3). しかしながら, それはこれまでの民泊 GL の中に農家民宿に関する記述が無かったためであるとも考えられる. 民泊から農家民宿への移行を奨励するような内容を民泊 GL に明記すれば, 無秩序に民泊が横行することもなく, 同時に, 農家民宿の増加も期待できると考える. 3-3 滋賀県の民泊ガイドラインの原案これまでの分析を踏まえて, 民泊 GL の原案を作成した. 原案の冒頭部分を図 3-1 に示す. なお, 全文は Appendix 2 に記載する. 23

8 1 策定の趣旨農林漁家への民泊に係る取扱指針 ( 原案 ) 近年, 地域活性化や学校教育での取り組みの一環の中で, 農林漁業体験, 農林漁家への宿泊を希望する事例が増えてきている. 滋賀県における都市と農山漁村の交流を, 発展的, 継続的に進めていくためには, 営業許可を取得して行う農林漁業体験民宿等を核とした滞在型のグリーンツーリズムの受入体制を整備していくことが重要であるが, 営利を目的とせず, 宿泊料を受け取らない短期的な民泊であっても, 安全性及び受入れの質の確保, 並びに法の遵守の観点から一定の目安を設けて実施することが強く望まれてきている. 本指針は, こうした状況を踏まえ, 市町村等を通じ, 農林漁家が民泊を受入れ, 農山漁村における生活体験等の提供を行う場合における受入側の取扱を明確化し, 民泊を希望する者の安全確保, 農林漁家の受入れの質の向上を図ることを目的とするものである. ただし, 本県において民泊は, 全て農林漁家民宿の普及の前段階であると認識する. 本指針は, あくまでも民泊の取扱について明記しているだけであり, 法の遵守のために農林漁家民宿が普及することを念頭に置くべきである. 図 3-1 滋賀県の民泊 GL( 原案 ) の冒頭部分図 3-1 内の下線部に示すように, 滋賀県の民泊 GL( 原案 ) では, 民泊はあくまでも, 農家民宿を普及させるための前段階であることを明記している. 滋賀県の民泊 GL の旅館業法や食品衛生法等に関する指針については他県の民泊 GL の記述内容で問題がないことから, それらとほぼ同様の内容とした. 民泊実施の受入窓口となる地域協議会に関する記述も他の民泊 GL と同様のものにしたが, 受入対象の範囲はあまり狭めずに, 大人も含む民泊希望者ということにした. これは, 農家民宿との境界があいまいになってしまう場合には教育旅行だけに限定する必要があるが, 本原案では定義によって農家民宿と民泊を明確に区別しているため, 教育旅行に限定する必要はないと考えたためである. また, 図 3-2 内に示すように滋賀県の民泊 GL を適用するための条件の中で, 他の民泊 GL と同じように, 民泊を受け入れている農林漁家に, 地域協議会が開催する安全と衛生の確保のための研修会への参加を義務付けた. また, 他の民泊 GL では見られない, 本原案の新たな試みとして, 図 3-2 内の下線部に示すように, 受け入れ窓口となる市町村等が設置する地域協議会に対して, 安全と衛生の確保のための研修会を開催する際に, 受入農林漁家への農家民宿開業についての情報提供を行うことを義務付けた. 24

9 3 農林漁家への民泊に係る取扱指針を適用するための条件本取扱指針は, 下記の条件を満たした場合に限り, 旅館業法食品衛生法等の適用を受けないものとして限定的に認められたものである. (1) 2 定義に定める体験学習または農林漁家への民泊であること. (2) 市町村等が受入のための地域協議会等を設置していること. (3) 農林漁家民泊を実施する農林漁家は事前に地域協議会等に加入すること. (4) 宿泊に係る費用を受け取らないこと. (5) 民泊を受け入れようとする農林漁家は地域協議会等が行う安全と衛生の確保のための研修会を受講していること. (6) 上記研修会では, 必ず民泊受け入れ農林漁家に対して, 民泊と農林漁家民宿に関連する法律と問題点に関する情報提供の時間を設けていること. (7) 生徒等の食事は, 生徒等が自ら調理するもの, 又は農林漁家と共同で調理し一緒に食べるものとし, 食事の提供はしないこと. 図 3-2 滋賀県の民泊 GL を適用するための条件 ( 原案 ) 25

10 < 参考文献 > 1) 中尾誠二 : 規制緩和型農林漁家民宿に関する一考察, 日本農業経済学会論文集, pp (2009) 2) 滋賀県庁農政水産部農政振興課 : 既存の民泊 GL において受入対象が 2 タイプに分かれているのは何故か, , 私信 3) 中尾誠二 : 農山漁村民泊と規制緩和型農林漁家民宿にみる小規模グリーンツーリズム政策の研究, 東京農工大学大学院 (2010) 26

資料2旅館業法整理（案）

資料2旅館業法整理（案）資料 2 旅館業法について厚生労働省 1. 旅館業法の適用判断について旅館業法の適用にあたっては次の 4 項目を踏まえ判断している旅館業法の営業許可が必要な場合 1 宿泊料を徴収 2 社会性の有無 3 継続反復性の有無 4 生活の本拠か否か宿泊料名称にかかわらず休憩料寝具賃貸料寝具等のクリーニング代光熱水道費室内清掃費など時間単位で利用させる場合を含む社会性があると判断される例