スライド 1

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1 関西学院大学図書館運営課角田貴彦

2 今日の流れ 1. 雑誌とは 2. 雑誌 ( 冊子 ) 業務 3. 電子ジャーナルとは 4. 電子ジャーナル業務 5. 今後の課題など

3 1. 雑誌とは 1 ある一定の方向性を持つ複数の記事を掲載している逐次刊行物 逐次刊行物完結を予定せず 同一タイトルのもとに継続して刊行される資料 雑誌 新聞 年報 年鑑 紀要 会報 モノグラフ シリーズ 電子ジャーナル [ 図書館情報学用語辞典第 4 版 ] 大学図書館の仕事では 学術雑誌 (journal) を指すことが多い そのほか学会誌 紀要 専門誌 総合誌など 年鑑 年報 統計書 白書 は雑誌扱い? 各大学図書館によって様々

4 1. 雑誌とは 2 提供形態 冊子体 電子媒体 購読形態 ( 入手方法 ) 購入 寄贈 国内 国外 和雑誌 洋雑誌

5 2. 雑誌 ( 冊子 ) 業務 1. 選定 2. 発注 契約 支払 寄贈依頼 3. チェックイン 納品管理 ( 欠号 未着 ) 4. 製本 5. 装備 配架 6. 目録

6 2-1. 選定 選定方法 ( 各図書館によって違う ) < 例 > 必要なタイトルを全学から募集し 選定会議で購入を決定する 部局が自由に選定する 不必要なタイトルの購読を中止して その価格内で新しいタイトルを購読する 不必要なタイトルの購読を中止して 購入額の圧縮する 等々

7 2-2. 発注 契約 支払 1 和雑誌書店に発注するもの : 学術誌 総合誌 専門誌など原則 書店が扱えるものは書店に発注してしまう 納品時の都度払いが多い 年間購読契約で先払いの場合もある 学協会誌は学会 協会に直接発注しないと手に入らない場合がある 会費として一括先払い 発行元の事務局が毎年持ち回りでかわり 連絡が取りにくいなど煩雑な点がある 年間購読契約は年度 4 月 -3 月 or1 月 -12 月

8 2-2. 発注 契約 支払 2 洋雑誌代理店 ( 国内 海外 ) 扱い 出版社や分野 予算等で代理店を固める 代理店 総代理店もの 手数料や採用するレートで購入価格に差が出るので 見積合わせや入札で発注先を決める ( 価格だけでは決められない部分もある ) 契約は 1 月 -12 月 (Jan-Dec) 前年の 10 月末までに発注 発注後のキャンセル 途中解約は不可 一括前払い 毎年当たり前のように値上がりする ( 数 %~ 十数 %!)

9 2-2. 寄贈 寄贈雑誌 ( ほとんどが和雑誌 ) 紀要 ニュースレター等 来るもの全てを受け入れるわけにはいかない 受け入れない場合はお断りの連絡が必要 抜けがないように管理も重要 機関リポジトリの積極的な利用電子版で無料公開されているものはそれで見る 整理費 書庫スペースの節約

10 2-3. チェックイン 納品管理 1 チェックイン納品されたタイトルの巻号 発行年月日 受入日 価格などを記録すること 代理店扱いの場合配送便 チェックインデータの活用 定期的にまとめて納品される チェックインデータが提供され 図書館システムで一括処理が可能 上記以外の書店や直送のものは 1 件ずつ処理が必要 乱丁 落丁 汚損などのチェックも行う

11 2-3. チェックイン 納品管理 2 納品管理欠号 未着 定期的に確認して 代理店や書店にクレームを入れる 出版社や代理店によって クレームが可能な期間が決められている場合がある 長期の発行遅延や未着 廃刊などの場合は 戻入 ( れいにゅう ) や他の支払いとの相殺を受ける必要がある

12 2-4. 製本 製本の目的は 資産登録 ( カレント状態では資産化されていない = 未登録 ) 長期保存 紛失を防ぐ 作業 対象誌 巻号を抜き取る バインド 製本データ作成 業者に製本依頼 受入 装備 配架 一時的に利用できなくなるので 夏 春の長期休暇中に行う

13 2-5. 装備 配架 装備資料 ID 蔵書印 タトルテープ 付録の処理など ( 配架場所によって装備が異なることも ) 配架和洋別 主題別 アルファベット順 50 音順など

14 2-6. 目録 書誌 ~ 雑誌の特性 完結を予定せず継続して刊行 ~ 初号主義 ( または所蔵しているうちのもっとも古いもの ) 誌名変遷 ( タイトルチェンジ ) 発行元の変更 休刊 廃刊など 状態を反映して変化する 所蔵情報 ( ローカル ) チェックインデータ 所蔵巻号 所蔵年 欠号情報 OPAC NACSIS-CAT へローカル所蔵情報を反映させる 総合目録データベース (NII 国立情報学研究所 ) 書誌情報の共有 目録業務の負担軽減 目録所在情報 ILL 資料の共有 コーディングマニュアル に従ってデータ登録

15 3. 電子ジャーナルとは 1 従来は印刷物として出版されていた雑誌 とりわけ学術雑誌と同等の内容を 電子メディアを用いて出版したもの [ 図書館情報学用語辞典第 4 版 ] 学術コンテンツの中心的存在

16 3. 電子ジャーナルとは 2 冊子体との比較 利用者にとっての違い 図書館員にとっての違い 提供方法と認証方法 HTML や PDF の形式で提供 PC だけではなくモバイル端末での利用にも対応 ( ダウンロードしてオフライン利用も可 ) IP アドレスによる認証が主流 サイトライセンス

17 3. 電子ジャーナルとは 3 普及状況 2008 年刊行中のタイトルのうち科学 技術 医学分野 96.1% 人文科学 社会科学分野 86.5% が電子ジャーナルで提供 ALPSP(Association of Learned and Professional Society Publisher) による約 400 社を対象にした調査の結果 英文誌はほぼすべてが電子化で ( も ) 提供されている 冊子体を発行しないタイトル 電子ジャーナルにのみ掲載されている記事 論文 査読済みの論文を発行前に電子ジャーナルで早期公開 冊子体だけで必要な情報を入手するのは難しい時代に

18 4. 電子ジャーナル業務 1. 価格設定と販売単位 2. 利用可能な範囲 3. 選定 ~ 契約 ~ 提供の流れ 4. 契約情報の管理 5. 電子ジャーナルの提供 6.JUSTICE

19 4-1. 価格設定と販売単位 1 冊子体は 1 冊 = 円だれが買っても一緒だが 電子ジャーナルは複雑な価格体系を採用 誰が買うか どう買うかによって価格が違う 1 部 (=1 契約 ) すれば 学内の誰でも読める 出版社の取り分が減る

20 4-1. 価格設定と販売単位 2 価格の設定方法 購入者別個人購読と機関購読 形態別冊子体 (Print) 電子ジャーナル (Electric/Online) 冊子 + 電子ジャーナル (P+E/P+O) 同時アクセス数近年は無制限が主流に サイト数大学では地理的に離れたキャンパスがある場合は 複数のサイトがあるということで価格がかわる場合がある サイトのカウント方法は出版社毎に違う

21 4-1. 価格設定と販売単位 3 価格の設定方法 ( つづき ) FTE(Full-Time Equivalent) 専従構成員換算数 ( 教員 大学院生 学部学生 ) 算出方法や基準は出版社のよって異なる Tier 大学を Tier によってランク分けする方法 Tier の算定根拠は FTE や大学の規模 ( 学部数や学部構成 単科大学か総合大学かなど ) サイト数 前年のダウンロード数など出版社によって様々

22 4-1. 価格設定と販売単位 4 販売単位 タイトル単位 セット ( コンビネーション ) パッケージその出版社の全タイトルもしくは分野ごとのかたまりで販売 ひとつずつ買うより割安なことが多い 現在の主流 論文単位 (Pay per view) 論文単位で購入 基本的には購入する個人の費用負担になるが 前払いトランザクション などの方式で 機関が費用を負担する場合もある

23 4-1. 価格設定と販売単位 5 パッケージ契約 ( ビッグディール契約 ) その出版社が刊行しているタイトルの全て もしくは大部分を利用できる契約形態 価格の算出方法契約開始前にその出版社に支払っていた冊子体と電子ジャーナルの総額 (= 購読実績 ) 金額をもとに算出されることが多い (Springer Taylor & Francis など ) 上記の購読金額に加え 非購読誌へのアクセス料金を支払うことによって閲覧可能になる場合もある (Elsevier Wiley など ) 問題点 > 購読規模維持 ( タイトル選択 予算使用の自由度が低下 ) > 毎年の恒常的な値上がり

24 4-2. 利用可能な範囲 1 カレントとバックファイル ( アーカイブ ) 電子ジャーナルは購読する年のコンテンツに加えて 過去のコンテンツにもアクセスできることが多い アクセスできるのはどの範囲 ( 年月 ) か 上記のうち永続的にアクセスできるのはどの範囲かを把握しておく必要がある アクセスできるのはどの範囲か

25 4-2. 利用可能な範囲 2 永続的なアクセスが保証されているのはどの範囲か カレント契約購読誌 : 見られる範囲 = 実際に購読している部分 + 契約していない範囲だが カレント契約に付随して利用できる部分 のうち後者は保証されないことが多い 非購読誌 : 上記 両方とも保証されないことが多い 出版社によって異なるので確認が必要 バックファイル契約購入型 : 買い切り型 一度払えば以後支払い不要 ( 低額なメンテナンスフィーが必要な場合がある ) 永続的な利用が可能契約型 : 毎年のアクセス件に対して料金を支払う方式 契約をやめれば見られない

26 4-2. 利用可能な範囲 3 アグリゲータ複数出版社の電子ジャーナルを主題 分野別のパッケージにまとめて提供を行うサービスのこと 出版社のパッケージに比べて比較的安価 エンバーゴがある 契約終了後のアクセス権がない

27 4-3. 選定 ~ 契約 ~ 提供の流れ 1 1. 購入雑誌の選定 プロセスは各大学によって大きく異なる ( 組織 予算制度等による ) 電子ジャーナルはタイトル単位ではなく パッケージ単位の契約になることが多い 高額なため 学内全体の調整や承認が必要 毎年 5~10% の値上げがあるので 安定的かつ継続的な予算措置が必要 2. 代理店の選定 見積合わせや入札などの方法で価格を比較して代理店を決定する タイトル毎 出版社毎のグループで価格を比較する 一部電子ジャーナルパッケージには出版社と直接契約することが指定されているものがある

28 4-3. 選定 ~ 契約 ~ 提供の流れ 2 3. 購読予約 ( 発注 ) 10~12 月頃が発注期限であるものが多い 早期発注割引や 発注大学数が多いと割引になるものもある 廃刊や出版社移動などの連絡が多い時期でもある 4. 契約 大学と出版社の間でライセンス アグリーメントを取り交わす 大学と代理店の間で契約書を交わす 5. 支払 電子ジャーナルは 100% 前払いが一般的 外国送金が必要な場合もある

29 4-3. 選定 ~ 契約 ~ 提供の流れ 3 6. 検収 アクセスチェックが冊子のチェックインのかわり 特にタイトル単位で購入するタイトルの場合 アクティベートと呼ばれる開通作業を出版社 HP で行う必要がある場合がある 期日までにアクセスできない場合や PDF の不具合等あれば速やかに代理店や出版社に連絡する ERMS やリンクリストのメンテナンスを行う 新規パッケージ導入の場合は契約通り ( タイトル 範囲等 ) にアクセスできるか慎重なチェックが必要 継続パッケージでも移管誌や廃刊 ローリング等チェックが必要

30 4-4. 契約情報の管理 管理方法 紙 表計算ソフト 図書館システム 電子情報資源管理システム (ERMS Electronic Resources Management System) 契約情報の項目契約の相手方 契約期間 契約金額 支払関係情報 予算情報 ライセンスタイトル情報 管理者 ID とパスワード 購読者番号など 利用条件

31 4-5. 電子ジャーナルの提供 AtoZ リスト ( リンクリスト ) EBSCO A-to-Z(EBSCO) 360Core(Serials Solutions) など OPAC への所蔵登録 リンクリゾルバ SFX(ExLibris) 360Link(Serials Solutions) など ディスカバリーサービス EDS(EBSCO) Summon(Serials Solutions) World Cat Local(OCLC) など

32 4-6.JUSTICE

33 5. 課題と今後 冊子との住み分けは? 永続的な保存体制は? 複雑な購入モデル 新たなモデルの登場? 価格高騰が続く お金はもつのか? などなど 参考資料 電子資料契約実務必携 大学図書館コンソーシアム連合 (JUSTICE) ホームページで会員館向けに全文公開 情報の科学と技術 Vol.59,No.6(2009) 特集 : 外国語雑誌再考 CiNii で全文公開