太陽地球系科学分野におけるデータへの DOI 付与の現状と将来について能勢正仁 1 村山泰啓 2 木下武也 3 小山幸伸 4 西岡未知 5 石井守 5 國武学 2 今井弘二 2 家森俊彦 1 渡辺堯 6 1 京都大学理学研究科地磁気世界資料センター 2 情報通信研究機構統合ビッグデータ研究セン

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あいりひろき
5 years ago
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1 太陽地球系科学分野におけるデータへの DOI 付与の現状と将来について能勢正仁 1 村山泰啓 2 木下武也 3 小山幸伸 4 西岡未知 5 石井守 5 國武学 2 今井弘二 2 家森俊彦 1 渡辺堯 6 1 京都大学理学研究科地磁気世界資料センター 2 情報通信研究機構統合ビッグデータ研究センター 3 海洋研究開発機構 4 大分工業高校専門学校 5 情報通信研究機構電離層宇宙天気資料センター 6 情報通信研究機構世界資料システム国際プログラムオフィス 2016/09/28 第 3 回オープンサイエンスデータ推進ワークショップ 1

2 学術論文への DOI 識別子の付与 2

3 DOI (Digital Object Identifier) 識別子をオブジェクトが存在する URL に変換するサービス doi: /2012sw 変換された URL ページでは論文のアブストラクトや PDF ファイルなどを取得できる International DOI Foundation (IDF, 国際 DOI 財団 ) が運営しているで入力 DOI doi: / 2012SW URI としての DOI URL com/doi/ /2012s W000785/abstract /2012SW

DOI の働きと仕組み (1) (5) デジタルオブジェクト (1) http://doi.org/10.

1029/2012SW000785/abstract (3) http://onlinelibrary.wiley.com/doi/ 10.

4 DOI の働きと仕組み (1) (5) デジタルオブジェクト (1) DOI システム (4) /2012SW000785/abstract (3) /2012SW000785/abstract サーバー A onlinelibrary.wiley.com DOI-URL 対応の登録 (2) 変換テーブル DOI name /2012SW URL onlinelibrary.wiley.com/doi/ /2012SW000785/abstract 4

5 DOI の働きと仕組み (2) (5) デジタルオブジェクト (1) DOI システム (4) /2012SW000785/abstract (3) /2012SW000785/abstract サーバー A onlinelibrary.wiley.com DOI-URL 対応の登録 (2) 変換テーブル DOI name /2012SW URL onlinelibrary.wiley.com/doi/ /2012SW000785/abstract newpublisher.com/doi/ /2012SW000785/abstract サーバー B newpublisher.com 5

DOI システムのデータベースへの展開 DOI システムはもともと出版社により開始された DOI は 1990

その後データに対して DOI を付与すること (DOI minting) の重要性が議論されはじめすでに実際に付与

Science Data and Information System, PANGAEA, NOAA/NGDC Coin

6 DOI システムのデータベースへの展開 DOI システムはもともと出版社により開始された DOI は 1990 年代後半から出版物に付与されはじめ現在では 5000 以上の団体 ( 出版社データセンター映画作成会社 ) が参加しているその後データに対して DOI を付与すること (DOI minting) の重要性が議論されはじめすでに実際に付与公開が行われている地球科学分野においては以下のようなデータセンターがデータへの DOI 付与を行っている NASA/Earth Science Data and Information System, PANGAEA, NOAA/NGDC Coin Minting die coin DOI Minting DOI data Courtesy: Royal Australian Mint ( 6

7 科学データに DOI を付与するメリットデータユーザーにとってのメリット論文に使われているデータやそのメタデータへのアクセスが簡単になる論文の結論を再検討しやすくなる ( 研究活動のトレーサビリティの向上 ) これまでに存在を知らなかった有用なデータセットを発見しやすくなる DOI 7

8 科学データに DOI を付与するメリットデータ提供者やデータセンターにとってのメリット DOI に対応する URL ページ ( ランディングページ ) にデータに関連した情報を表示しておけるユーザーからの問い合わせに対するコストが減少する従来の論文出版数と同様にデータをどのくらい公開したのかのデータ出版数が客観的に評価できる従来の論文被引用数と同様に公開したデータがどれくらい利用されたかのデータ被引用数が客観的に評価できるデータ出版数やデータ被引用数に応じた報奨表彰などにつながる DOI DOI 8

9 日本におけるオープンサイエンスに対する政策 2015 年 3 月に内閣府総合科学技術イノベーション会議 (CSTI) による報告書我が国におけるオープンサイエンス推進のあり方についてが公開された包括的な政策の方向性基本方針が示されている 2016 年 1 月に閣議決定された第 5 期科学技術基本計画 ( 年度 ) へ反映 9

10 報告書のうちデータ引用に関わる記述オープン研究データに関する 5 原則 (8-9 ページ ) 1. 容易に探せること 2. 容易にアクセスできること研究データの引用として DOI(Digital Object Identifier) のような世界標準仕様に沿ったデータの同定と所在地 (Landing Page) を特定する用意が必要である 3. 容易に理解できること 4. 容易に管理できること 5. 人材の確保数多くのデータセットやプロトコルに精通した専門人材が必要となるまた研究データ管理に関して研究コミュニティの文化を変えなければならないオープンサイエンス推進の基本的考え方 (15-16 ページ ) 公的研究資金を用いた研究を実施する機関の責務保存すべき研究成果及び研究資源の全てに永続性のあるデジタル識別子 (Persistent Object Identifier) を付与し管理する仕組みを確立する必要があるオープンサイエンスを推進する際の留意点 (20 ページ ) 研究者及び科学コミュニティに対するインセンティブこれまでデータを作成し他の研究者に提供利用できるようにする活動は論文投稿に比して十分に評価されてこなかった分野も多いこのため政策誘導として研究者及び科学コミュニティに対するインセンティブを高めオープン化に対する努力を評価することが重要である 10

太陽地球系科学分野のデータセンターにおけるデータへの DOI 付与データベースに DOI を付与する重要性

付与について 2013 年 8 月より話し合いを行ってきた統合データシステム研究開発室 /

Aurora ( 国立極地研究所 ) World Data Center for Geomagnetism (

Weather ( 情報通信研究機構 ) World Data Center for Space

Aurora) マグネトグラムデータ (WDC for Geomagnetism) イオノグラムデータ

11 太陽地球系科学分野のデータセンターにおけるデータへの DOI 付与データベースに DOI を付与する重要性メリットを踏まえ太陽地球系科学分野でデータセンターとして活動してきた関係機関で科学データへの DOI 付与について 2013 年 8 月より話し合いを行ってきた統合データシステム研究開発室 / 統合ビッグデータ研究センター ( 情報通信研究機構 ) World Data Center for Aurora ( 国立極地研究所 ) World Data Center for Geomagnetism ( 京都大学 ) World Data Center for Ionosphere and Space Weather ( 情報通信研究機構 ) World Data Center for Space Science Satellites ( 航空宇宙開発研究機構 ) オーロラ全天カメラデータ (WDC for Aurora) マグネトグラムデータ (WDC for Geomagnetism) イオノグラムデータ (WDC for Ionosphere and Space Weather) 人工衛星粒子データ (WDC for Space Science Satellite) 11

Registration Agency を通しての DOI 付与 DOI の登録は IDF から認定を受けた Registry Agency (RA) に対して申請する

2014 年 10 月より 1 年間の期限付きで行った研究データへの DOI 登録実験プロジェクトに参加 DOI prefix は JaLC が割り当てる DOI

17593/14515-74000 各データセンターは DOI-URL 対応情報を含めたメタデータの作成と登録管理を行う JaLC とのデータのやり取りは

12 Registration Agency を通しての DOI 付与 DOI の登録は IDF から認定を受けた Registry Agency (RA) に対して申請する Japan Link Center (JaLC) は日本における唯一の RA であり国内の学術コンテンツ ( 書誌情報科学データ ) を扱っている JaLC が 2014 年 10 月より 1 年間の期限付きで行った研究データへの DOI 登録実験プロジェクトに参加 DOI prefix は JaLC が割り当てる DOI suffix は各データセンターが与える doi: / 各データセンターは DOI-URL 対応情報を含めたメタデータの作成と登録管理を行う JaLC とのデータのやり取りは独自開発の共通登録サーバーを介する共通登録サーバー Assignment of DOI prefix Registration of DOI-URL mapping DOI suffix & metadata 太陽地球系科学分野のデータセンター RA は現在 10 機関各々の得意分野がある 12

データ DOI とデータ引用の実例 DOI 登録を 2015 年 6 月 19 日に行いデータ DOI を生成した doi:10.

mean) observed with MF radar at Poker Flat, Alaska この DOI は Acknowledgments

Kawamura (2015), Tidal modulations of mesospheric gravity wave kinetic energy observed

13 データ DOI とデータ引用の実例 DOI 登録を 2015 年 6 月 19 日に行いデータ DOI を生成した doi: /55838dbd6c0ad データのコンテンツは Mesospheric wind velocity data (30min. mean) observed with MF radar at Poker Flat, Alaska この DOI は Acknowledgments にデータを利用したことを明記する形で学術論文に記述されており広い意味でのデータ引用の実例にもなっている Kinoshita, T., Y. Murayama, and S. Kawamura (2015), Tidal modulations of mesospheric gravity wave kinetic energy observed with MF radar at Poker Flat Research Range, Alaska, J. Geophys. Res., 120, doi: /2014jd データDOIに対応するランディングページデータを引用している論文その中のデータ引用部分 13

14 太陽地球系科学分野におけるデータ DOI 付与の現状 Name of Database Profiles of neutral atmosphere winds 30min average with MF radar at Poker Flat, Alaska DOI Date of Minting /55838dbd6c0ad 2015/06/19 Dst Index / /12/30 Ionogram at Kokubunji, Japan /567ce8e9d3a /04/01 Manually scaled parameters of Ionogram at Kokugunji, Japan /567ced454d15b 2016/04/04 Automatically scaled parameters of Ionogram at Kokugunji, Japan /567ced0bbccf9 2016/04/04 Ionogram at Wakkanai, Japan /5704b a 2016/04/06 Manually scaled parameters of Ionogram at Wakkanai, Japan / f8b11d 2016/04/06 Automatically scaled parameters of Ionogram at Wakkanai, Japan /5704b5444c /04/06 Ionogram at Yamagawa, Japan /5704b78099ac0 2016/04/06 Manually scaled parameters of Ionogram at Yamagawa, Japan /5704b7b16d /04/06 Automatically scaled parameters of Ionogram at Yamagawa, Japan /5704b79d253fd 2016/04/06 Ionogram at Okinawa, Japan /5704b8b1d8dbc 2016/04/06 Manually scaled parameters of Ionogram at Okinawa, Japan /5704b8e3a7ffa 2016/04/06 Automatically scaled parameters of Ionogram at Okinawa, Japan /5704b8ce63d3b 2016/04/06 Wp index / /08/10 14

15 DOI 付与の粒度 (1) 太陽地球系科学分野におけるデータは時系列データであることが多く観測を継続している場合は新たなデータが時々刻々と追加されていく DOI 付与の粒度としては 1 種類のデータセットについてはデータが追加されても 1 つの DOI を付与することにした実例 1: Dst 指数 ( 地磁気の擾乱度合いを表す指数 ) Dst 指数は 1957 年から現在まで連続して算出されている最新の値はリアルタイムで自動的に算出されているその後データの品質チェックなどを経て以下のように更新されていく realtime value( リアルタイム値 ) provisional value( 暫定値 ) final value( 確定値 ) Dst 指数全体に対して doi: / を付与する Dst 指数のデータファイル Final values Provisional values Realtime values 2016 年 9 月時点 Jan Feb Mar Nov Dec Jan Feb Nov Dec Jan Feb Aug Sep doi: /

16 DOI 付与の粒度 (2) 実例 2: イオノグラム (MHz 帯電波の電離層での反射透過を図示したもの ) イオノグラムは 1950 年代から現在に至るまで国分寺稚内山川沖縄でデータ取得が継続されている各観測所毎に一連のイオノグラムデータに対して一つの DOI を付与するイオノグラム (15 分間隔データ ) 2016 年 9 月時点国分寺 doi: /567ce8e9d3a52 Dec. 14,1950 Present 稚内 doi: /5704b a Jul. 14, 1951 Present 山川 doi: /5704b78099ac0 Sep. 11, 1951 Present 沖縄 doi: /5704b8b1d8dbc Jul. 1, 1957 Present 16

17 利点欠点 1 種類の観測データセット =1DOI の利点と欠点データユーザーにとってデータ引用が容易新しい観測データの追加やデータの更新があっても DOI は変わらないので管理が容易データ被引用数を検索する際に一つの DOI に対して調べるだけでよい研究再現性 (reproducibility) の保証が困難研究再現性目的データ被引用数に応じた適切な報奨表彰などデータ引用 17

18 太陽地球系科学分野における今後データへの DOI 付与の今後データ DOI の登録を継続していく地磁気データ電離層データその他国際会議でのセッション 2017 年 8 月 2017 Joint IAPSO( 海洋 )-IAMAS( 気象大気 )-IAGA( 超高層 ) Assembly Session title: The referencing of geophysical data products: The role of DOIs DOI 付与が一般的になるか? 公的研究費で得られた科学データは公開するという原則へ? RDM? 米国 NIH, NSF など第 5 期科学技術基本計画公的資金による研究成果についてはその利活用を可能な限り拡大するオープン化は進むが DOI が付与されるかどうかは分からない研究データを所持する研究者へのインセンティブが必要一般的な研究者にとっては手間が増えるとしか見えないデータマネジメントシステムの導入図書館員との連携が有用ある程度中短期的に期待される評価報酬が有効データ引用が一般的になるか? 出版社学術雑誌編集者との協同が必要 18

19 まとめ太陽地球系科学分野でデータセンターとして活動してきた関係機関で 2013 年夏から科学データへの DOI 付与について活動を継続している統合データシステム研究開発室 / 統合ビッグデータ研究センター ( 情報通信研究機構 ) World Data Center for Aurora ( 国立極地研究所 ) World Data Center for Geomagnetism ( 京都大学 ) World Data Center for Ionosphere and Space Weather ( 情報通信研究機構 ) World Data Center for Space Science Satellites ( 航空宇宙開発研究機構 ) 2014 年 10 月より Japan Link Center を Registration Agency として研究データへの DOI 付与を行っている共通登録サーバーを独自開発した各データセンターから DOI を登録する手順を確立した 2015 年 6 月 19 日に初めてのデータ DOI を生成した広い意味でのデータ引用も実現した 2016 年 9 月時点で 15 個のデータセットに DOI を付与できたデータ引用の容易さを優先して 1 種類の観測データセット =1DOI の方針データ DOI の登録を継続していく地磁気データ電離層データその他研究者へのインセンティブを考える必要がある 19

第 2 回 SPARC Japan セミナー 2016 2016 年 10 月 26 日 ( 水 ) 研究データオープン化推進に向けて : インセンティブとデータマネジメント開催趣旨研究者及び科学コミュニティに対しては研究データのオープン化を進めることにより新たな知見や価値が生み出せるというインセンティブに加え

20 第 2 回 SPARC Japan セミナー年 10 月 26 日 ( 水 ) 研究データオープン化推進に向けて : インセンティブとデータマネジメント開催趣旨研究者及び科学コミュニティに対しては研究データのオープン化を進めることにより新たな知見や価値が生み出せるというインセンティブに加えオープン化の成果に見合った処遇を与えるといったインセンティブを高めることも重要であると考えられる研究データマネジメントに関してはデータの長期保存管理公開において図書館機関リポジトリデータセンターが果たす基盤的な役割は大きくこうした機関の構成員と研究者との協同をワークフローに組み込むことはこうした問題を解決する可能性を秘めている以上を背景として本セミナーでは自然科学分野で実際に行われている図書館と研究グループ連携の取り組みや機関リポジトリの現状などの話題提供を通して日本における研究データサイエンスデータのオープン化を図書館員研究者の協同という観点から今後どのように推進していくことができるかを考えてみたい 20

磁気嵐時のリングカレント及びプラズマシートにおけるイオン組成

磁気嵐時のリングカレント及びプラズマシートにおけるイオン組成データベースへの DOI 付与 : データ引用の普及を目指して京都大学大学院理学研究科地磁気世界資料解析センター (World Data Center for Geomagnetism, Kyoto Univ.) 能勢正仁小山幸伸家森俊彦 2013/03/25 第 3 回 WDS シンポジウム 1 学術論文への DOI 識別子の付与 2 DOI (Digital Object Identifier)