共同研究せいかほう

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1 2018 年 10 月 23 日第 2 回 (12:30-14:00) 海底資源の成因 石油システム メタンハイドレートの成因 海底鉱物資源の成因 2

2 海底資源の成因 有用物質がいかに生成したか 生成した有用物質がいかに移動し 集積したか 海底資源の成因がわかれば 存在場所 形態がわかる 探査手法 生産手法を考える上で大きな手がかりとなる 石油 天然ガスの成因 : 石油システム メタンハイドレートの成因 海底鉱物資源の成因 3

3 石油システム (petroleum system) 油ガス田を形成するために必要な地質要素とプロセス 地質要素 根源岩 貯留岩 トラップ シール プロセス 生成 移動 集積 石油システムの地質要素と油ガス田形成プロセス ( 4

4 生成 根源岩 (source rock) 石油炭化水素を生成する能力を持つ有機物に富む堆積岩 暗灰色泥岩および頁岩 炭酸塩岩 有機物の中でもケロジェンを多量に含むもの ケロジェン : 炭素 水素 窒素 硫黄などから成る高分子化合物 生物の死骸に十分な温度 圧力がかかることで形成される 熟成の過程で炭化水素 ( 油ガス ) を生成する 熱分解起源 5

5 生成 その他の起源 微生物起源 地下微生物が有機物を分解する過程で生成例 : 南関東ガス田 非生物起源 ( 無機起源 ) 地球の始原物質から放出されたとする説 有機物 無機物 熱分解起源微生物起源 非生物起源 日本 カナダ アメリカ合衆国 ヨーロッパ ロシアなどで生産している油 ガス田から採取した 1,699 のガス試料の δ13c1 ヒストグラム (Jenden et al., 1993 JOGMEC 石油 天然ガスレビュー Vol.39 No.6) 6

6 原油の分類 比重による分類 硫黄分等の含有量による分類 スイート原油 サワー原油 分類 比重 (API) Light 31.1< Medium 22.3 ~ 31.1 Heavy < 22.3 Extra Heavy < 10.0 炭化水素成分による分類 パラフィン基原油 ナフテン基原油 混合基原油 特殊原油 WTI (West Texas Intermediate) アメリカ合衆国南部のテキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される軽質スイート原油 (API は約 39.6) WTI 先物取引として有名 ニューヨーク原油先物 NY 原油先物 とも 7

7 移動 集積 貯留岩 (reservoir rock) 多孔質で浸透性のある岩石 孔隙 ( こうげき ) を油ガスが満たす 砂岩 炭酸塩岩など 孔隙 (pore): 岩石中の隙間孔隙率 (porosity): 貯留岩に占める孔隙の体積割合砂岩 :~30% 炭酸塩岩 :~40% 砂岩 ( 左 ) と炭酸塩岩 ( 右 ) ( 8

8 浸透率 (permeability) 岩石内における流体の流れやすさ ( 浸透性 ) を表す指標 ダルシーの式 (Darcy s law) で定義 Q = A kk μ ΔPP LL ΔP Q: 流量 (m 3 /s) A: 断面積 (m 2 ) k: 浸透率 (m 2 ) μ: 粘性 (Pa s) ΔP: 圧力差 (Pa) L: 長さ (m) Q μ A L Q μ 詳しくは 12 月 18 日第 3 日 海底資源生産 にて 9

9 集積 トラップ シール 油ガスが集積する地質構造 ( トラップ ) と集積した油ガスが散逸するのを防ぐ地層 ( シール ) が一体となって貯留層を形成 構造トラップ背斜および断層による封塞形態を有する背斜 : 褶曲 ( しゅうきょく ) している地層の波上部の山にあたる部分断層 : 地盤に生じた断裂によって その両側の地層間に起こった相対的な変異およびその現象 層位トラップ岩相の側方変化または不連続により形成 シール泥質岩や蒸発岩 ( 岩塩等 ) トラップの種類 ( ( 10

10 石油システムのまとめ 有機物起源 ( 熱分解起源 微生物起源 ) の場合 経済産業省資源エネルギー庁 11

11 シェールガス オイル 頁岩 ( シェール ) と呼ばれる浸透性の極めて低い堆積物に存在するガス オイル 有機物に富む頁岩 = 根源岩から直接生産 天然ガスによるエネルギー大転換 - ガス黄金時代の幕開け?- 栗原正典 Al Granberg & ProPublica 12

12 メタンハイドレートの成因 石油 天然ガスと同様に炭化水素の生成 移動 集積からなる メタンハイドレートシステム が必要 低温 高圧条件で安定 メタンハイドレートの安定条件 (MH21, 13

13 地下へ行くほど 温度は上がる 圧力も上がる 永久凍土域のメタンハイドレート 永久凍土での安定条件 (MH21) 14

14 海面下に行くほど 温度は下がる ( 海底面下では上がる ) 圧力は上がる 海洋のメタンハイドレート 海洋での安定条件 (MH21) 15

15 メタンの起源 微生物起源のケースが多い ( 石油 天然ガスの多くは熱分解起源 ) 東部南海トラフ Krishna-Godavari Basin ( インド東方沖 ) (Kida, et al. Marine and Petroleum Geology 66 (2015): ) (Kida, et al. Marine and Petroleum Geology in press (2018)) 16

16 メタンの生成 海底下微生物群集 石炭層の熟成プロセスや天然ガスの形成プロセスに関与 海底下約 2km の石炭層のコアサンプルから 下降流懸垂型スポンジリアクターを用いて培養された世界最深部の海底下微生物群集の走査型電子顕微鏡写真 ( ( 17

17 海底熱水鉱床の成因 熱水 ( ) の作用により元素の分別 移動 濃集が起こってできる鉱床で 数千年 ~ 数万年の時間スケールで形成 分別 ( 金属元素の供給 ) 地殻物質 ( 岩石 ) から溶脱するという考え マグマから供給されるという考え 移動熱水に溶解されて移動 濃集熱水が海底面で海水と接する際の温度変化 ph 変化 硫化水素等との化学変化で沈殿集積過程については不明点も多い 熱水循環系の模式的モデル 海底熱水鉱床の成り立ち - 調査手法の確立に向けて - ( 18

18 リフト帯 ( 正断層による地殻運動に伴い海底面が沈降 陥没した場所 ) の海底火山やカルデラ火山などに伴って形成 チムニーやマウンド 活動を停止したり 火山活動で崩壊したり あるいは堆積物で埋没 堆積物が厚く堆積している場所では地層中に海底熱水鉱床が形成 海底熱水鉱床の存在形態 海洋鉱物資源の探査に関する技術開発のあり方について ( 中間とりまとめ ) 平成 21 年 6 月 12 日 海洋開発分科会 19

19 マンガンノジュール コバルトリッチクラストの成因 海水からの沈殿作用により数百万年を超える時間スケールで成長 サメの歯に沈着したマンガンノジュール ( ( 左 ) ( 右 ) zu htm 海底熱水鉱床の成り立ち - 調査手法の確立に向けて - ( 20

20 まとめ 石油 天然ガスが資源として形成されるためには 根源岩で炭化水素が生成し トラップ シールで隔離された貯留岩まで移動 集積する 石油システムが必要である メタンハイドレートも石油 天然ガスとほぼ同様の過程で形成していると考えられるが 微生物起源のメタンからなる場合が多くみられる 海底鉱物資源の成因は解明されつつあるが不明な点も多く 成因 分布域の研究 調査が進められている 21

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