標準画像調子見本とモニタ調整について

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あつとしいさし
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1 ひょうじゅんがぞうちょうしみほん 1. 標準画像調子見本の特徴標準画像調子見本とモニタ調整について標準画像調子見本とモニタ調整についてこの標準画像調子見本は弊社アスカネットの印刷の状態をご確認頂く目的で製作されたものですこの標準画像調子見本を用いることで以下のことが行えます国内第 5 版 2015 年 9 月株式会社アスカネット 1-1. モニタ調整時の参照資料として現在販売されているコンピュータ用のディスプレイ ( 以下モニタと呼びます ) はその工場出荷時の調整状態がハードコピープリント ( 銀塩プリントインクジェットプリント商業印刷を含む ) とモニタ表示画面を相対的に見比べて比較するようには設定されていませんこのためアスカブックを制作するときにそのプリント結果をシミュレーション表示できるようにモニタ調整を行う必要がありますモニタ調整のことをモニタキャリブレーションと呼びますモニタキャリブレーションは主として以下のような項目についてモニタの表示状態を精密に調整しますモニタの最も明るい白い表示 ( 白色点と呼びます ) の色かぶり ( カラーバランス ) の調整白色点の明るさの調整中間調の明るさと画像全体のコントラスト ( 通称ガンマ値 ) の調整図 -1 標準画像調子見本またモニタキャリブレーションと同時にモニタを設置している場所の照明光も重要ですからプリントを照射する環境光の最適化も合わせて行いますモニタキャリブレーションの具体的な方法については ASUKABOOK のホームページ / アシスト / カラーマネージメントについて / モニタ調整と色評価の解説 ( に掲載されているムービーで解説していますのでご参照ください ( 全 7 章上映時間 20 分 ) アスカネットではお客様が入稿された画像データが持っている色や階調の情報をできるだけそのまま印刷することを心がけています入稿された画像データに対して明るさやコントラストグレーバランスカラーバランスなどを補正したりあるいはシャープネスを強調するような変更を加えていませんこのことは逆に言えばお客様のデータを正しくキャリブレーションしたモニタに表示させると標準画像調子見本の印刷物とモニタに表示された画像データとが一致して見えるようになるということですこのようにモニタキャリブレーションを行うとモニタに表示される結果と印刷結果の近似性が保障されるため写真の編集が極めて楽になります ( 標準画像調子見本を用いたモニタ調整のチェックポイントについては後記します ) 1

2 1-2. 表面加工処理の違いの比較標準画像調子見本の印刷物により ASUKABOOK で提供している表面加工処理をご確認頂けますニス印刷後に紙面全体に透明な塗料を塗布し印刷表面を保護したものです表面は半光沢となりキャリブレートされたモニタの見えに最も近い状態になりますグロスラミネート印刷後に紙面全体に光沢ラミネートを施したものです表面は非常に滑らかな面質となりニス加工が施されたものと比べると中間調より暗い部分がより暗くなったように見えます ( 濃度が上がります ) よってキャリブレートされたモニタの表示結果より印刷結果の方が若干コントラストが高く感じますマットラミネート印刷後に紙面全体に無光沢ラミネートを施したものです表面は梨地のようになりニス加工が施されたものと比べると中間調より暗い部分がより明るくなったように見えます ( 濃度が下がります ) よってキャリブレートされたモニタの表示結果より印刷結果の方が若干コントラストが低く感じます以上のように印刷表面加工の違いにより写真のコントラストが異なって見えますこの表面性状に応じたコントラストの違いはモニタでは表現することが不可能なため標準画像調子見本はニスグロスラミネートマットラミネートの 3 種類を 1 組としてご提供していますモニタ表示はニスの印刷物と近似していることをご確認いただくとともに表面加工の違いによる印象の違いについてはこの見本をお手にとってご確認いただきそれぞれの違いを把握しておいてください 2. モニタキャリブレーションのポイント 2-1. モニタの白色点についてモニタが表示する最も明るく白い部分を白色点と言います白色点の調整ではご利用になるプリント用紙の何も印刷されていない部分 ( 紙白 : カミシロといいます ) とモニタに表示される白色点を一致させるのが理想です弊社で提供している標準画像調子見本の印刷物は裏面を印刷をせずに表面加工のみを施してありますので紙白としてお使い頂けますなお表面加工処理の違いにより紙白にも若干の違いがあることも併せてご確認くださいモニタ白色点の色合いは色温度で表現します他の色の数値表現方法とは異なり白色点が白色の照明光源であるという前提で色温度という数値で表現します色温度は規準となる黒色物体を加熱して燃焼させると燃焼温度が低いときは赤く温度が上昇するにともないオレンジ色黄色ニュートラルな白色淡い青強い青と色合いが変化することからそのときの色合いを燃焼温度の数値で表現します単位は K( ケルビン ) ですモニタ白色点と紙白の関係白色点は 5000K ± 500K の範囲に調整することをお薦めします現在生産されている液晶モニタは製造メーカーの基準として多くの場合は色温度 6500K 付近に調整して出荷されていますしかしコマーシャルプレスプリント分野で決められている国際規格では基準となるプリントを観察するための照明光源は 5000K と定められています印刷物の白紙がニュートラルな白である場合 5000K の照明 2

3 光で照明された白紙の色温度もおおかた 5000K になります紙白はモニターの白色点に対応しますからコンピュータ用モニタの工場出荷調整値 (= 6500K) では白色点が 1000K から 1500K も高いことになりかなり青白い白が表示されていることになりますこの状態でモニタ上に表示された画像はその白い部分はもとより肌色やその他すべての部分も青方向へ偏って見えます肌色が青方向へ偏るということは肌色から黄色味が抜けてしまうことになりますこのようにモニタの白色点が適切でないことは写真の色合いすべてに影響を及ぼしますモニタの白色点が紙白より高くなっている場合はあたかもデジタルカメラでの写真撮影の時にホワイトバランス設定を低く設定してしまったかのように青っぽい画像が表示されます写真や DTP 編集の多くが紙に刷られることを前提に制作されます紙媒体を最終成果物とする制作工程ではモニタ白色点を紙白に一致または近似させるべきであると言えますしかし紙の色は紙の素材や表面コーティングなどにより多様であり微妙に異なりますこのためあらゆる種類の紙白を一つの色温度で代表させることは不可能です実用的には 5000K の色評価蛍光灯で観察することを前提にすればモニタ白色点は 5000K 付近であれば実用上大きな問題とはなりませんよってモニタ白色点は 5000K ± 500K の範囲に調整することをお薦めします Web サイトに掲載される写真や DVD コンテンツ用の写真の場合はこれを視聴する多くのユーザーが購入したままのモニタを使用している ( モニタ白色点が 6500K 付近である ) ことを前提にしますから上記の限りではありません 2-2. 色評価用蛍光灯について紙媒体への照明は色評価用蛍光灯を使うを使ってくださいなぜなら K の光で写真や印刷物を観察することは国際的な規格です 2 印刷物や印画紙などを適切に観察する場合一般の蛍光灯では緑色領域の成分が強く赤色領域の成分が極端に低いためグレーチャートの部分が緑色に傾いて見えてしまいます色評価用蛍光灯は赤色領域緑色領域青色領域の成分がほぼ同等のバランスであるためグレーチャートの部分を無彩色として観察することができます 3 色評価蛍光灯の光の色成分は実は液晶モニタに内蔵されているバックライトが発する光の成分と非常に良く似ていますこのことからも液晶モニタに表示される画像の色を評価する対象として色評価蛍光灯を使うことは理にかなっています色評価用蛍光灯は日本では JIS( 日本工業規格 ) で N-EDL という型番になります三菱電機松下電気東芝電気で作られています大きな電気店でも通常在庫は無いようですインターネット上で営業している電球蛍光灯専門店などで取り寄せるとよいでしょう 20W のもので 1 本約 800 円程度です 3

4 きど 2-3. モニタの輝度について標準画像調子見本とモニタ調整についてモニタの輝度 (Luminance = ルミナンス ) は cd/ m2 ( カンデラ / 平米 ) に調整することをお薦めしますまたモニタの輝度は印刷物の白紙部分の輝度と同じであるべきですモニタ輝度の重要性モニタの表示画像と印刷物を並べて見比べながら比較したときに例えば印刷物の絵柄の白い部分がグレーに見えたり肌白の肌が褐色に見えることがありますこれはモニタの明るさと印刷物の明るさが異なっていることから生じます人間の目には色差より明るさの差の方が敏感に感じる特性があります我々はよく色が違うという言い方をしますがその中には明るさが違うという要素も含まれているのです高輝度モニタに注意モニタの輝度が高いと印刷物上の写真とはコントラストや色合いが合わなくなるので注意してください最近のコンピュータ用モニタは (LCD LED など ) 工場出荷の段階で 250cd/ m2を超えるような高輝度に調整されているものが増えていますこれは DVD の映画やインターネット上の動画を視聴したりゲームを楽しむには見やすいのですが最終的に印刷物にするためのスチール写真を編集する場合には不向きですまぶモニタの輝度が高いとモニタ白色点の色温度に関係なく眩しく感じますそれに対して比較する印刷物への照明が不足しているとこの両者の明るさの違いによって印刷物の方が暗く見える色がくすんで見えるモニタ表示画像は高コントラストに印刷物は低コントラストに見えるなどの違いが起こりますこの原因はハイライト部分の明るさの違いによりますこのことからモニタの輝度 (= モニタ白色点 ) を cd/ m2に調整した上で印刷物の輝度 (= 紙白の明るさ ) を紙への照明光を調整してできるだけモニタの輝度 (= モニタ白色点 ) に合わせることがモニタキャリブレーションのコツといえます参考 -1 印刷物の輝度についてモニタの輝度 (Luminance) を 120cd/ m2 に設定したとしますこのモニタの白色点を入射式露出計で測定すると EV 値では約 9.5EV になります一方印刷物の白紙表面がこの輝度と同程度の明るさになるように照明をあてるには標準的な反射板に取り付けた 20W の色評価蛍光灯であれば印刷物から約 60 センチの距離で照射しなければなりません部屋の照明として天井に蛍光灯を設置していることが多いと思いますが天井から印刷物への距離があるために印刷物表面での照度はかなり減少してしまい天井の照明光だけは印刷物面へ十分な照度が得られないことがありますモニタ表示と印刷物の相対比較観察用には 20W の色評価用蛍光灯をアーム付き照明器具に装着しデスクの側に取り付けるようにすることをお薦めします参考 -2 明るさの単位について発光体の明るさは輝度といい cd/ m2で表しますまたある光が物体に当たっている状態において物体表面の明るさは照度といい Lux( ルックス ) で表しますフォトグラファーなら入射式露出計と反射式露出計の違いをご存じの方は多いはずですが発光体の輝度は入射式露出計の測光値に印刷物などの反射原稿の照度は反射式露出計の測光値に相当します詳しくは ASUKABOOK のホームページ / アシスト / カラーマネードメントについて ( color_management.html) のページに掲載されているムービーの Chapter3 モニタの輝度を決めるの中で解説していますのでご参照ください 4

5 2-4. モニタガンマについてハイエストライトハイライト明るいグレー ( またはカラー ) 中間のグレー( またはカラー ) 暗いグレー( またはカラー ) シャドウダーケストシャドウという明暗変化においてハイライトとシャドウの明るさ( 輝度 ) はモニタのハードウエア特性印刷物ではインキや紙自身が持っている物理特性によって決まりますしかしこのようなグレーのトーンは明るさの度合いを比較的自由に操作することができます例えば同じ内容の写真においてハイライトとシャドウの明るさは同じでもミッドトーングレー ( またはカラー ) を全体に明るめにするとハイキーカジュアル爽快な印象と見えます逆にミッドトーングレー ( またはカラー ) を全体に暗めにするとローキームーディ重厚な印象に見えますこのようにハイライトとシャドウの明るさに対するミッドトーングレー ( またはカラー ) の明るさ特性のことをガンマ ( あるいはガンマトーンガンマカーブ ) と呼びます同様にモニタ表示においてもガンマ特性のことをモニタガンマと呼びますモニタキャリブレーションでは白色点の色温度調整白色点の輝度調整に加えてモニタガンマを正しく調整することが非常に重要な要素になりますなおキャリブレーションの際は目標とするモニタガンマ値 ( ターゲットモニタガンマ値 ) を 2.2 としてくださいかつてはガンマ= 1.8 がターゲットモニタガンマとされましたがこれはカラーマッチング技術が未成熟でモニタ自体を印刷物のコントラスト特性に強制的に近づける必要があったからです現在では販売されているモニタのほとんどがガンマ 2.2 で設計製造されていますこのためモニタガンマカーブのわずかな狂いを正し設計値に近づけておけば印刷物とモニタ表示のマッチングはモニタ自体ではなくコンピュータの OS 側が担当してくれますこのため 2.2 以外の値に設定することはお薦めしません 2-5.C シーエムエス MS ツール利用の薦め CMS ツールとはモニタのキャリブレーションのときに活用する測色器と測定結果からモニタ表示を補正したりその特性を ICC プロファイルに書き出してコンピュータ OS に登録する機能を備えたアプリケーションソフトウェアがセットになった製品のことですモニタの白色点の色温度輝度モニタガンマを正確に調整する場合は CMS ツールを使わなければなりませんモニタガンマ以外の調整アイテム ( 白色点の色温度と輝度 ) は慣れてくると目で観察しながらでも何とか実行できますがモニタガンマの調整は目視ではたいへんに難しいものですモニタガンマはメーカーでの出荷時に調整されているはずですが安価なモニタなどでは実際には不正確で狂っているものも見受けられます CMS ツールの商品名としては Xrite 社のカラーモンキーや Eye-one Datacolor 社の Spyder などの製品が販売されていますまた一部の高級モニタにはそのモニタ専用 CMS ツールのオプションが販売されていたりモニタ本体に測定機が内蔵 ( ビルトイン ) されています CMS ツールを使用するメリットは下記の通りです目視では不正確モニタの色温度調整輝度調整においてあらかじめ定めた目標の数値に調整するという作業を目視で行うのは不正確です白色点の色温度や輝度を目視で言い当てることは専門家でもたいへん困難であると言ってよいでしょう特にガンマカーブの補正に関しては黒から白までを数段階で調整する必要がありますこのような調整は CMS ツールを使わないと不可能ですただし一度測定機を使って調整した後 ( 数値目標に近づけるだけではなく ) 目標とする印刷物の白紙面の色温度や輝度とモニタのそれを相対比較しながら近似させる微調整作業においては目視観察 + 手動調整を行った方がよい結果を生む場合もあります 5

6 モニタプロファイルの作成モニタキャリブレーション後のモニタ特性情報はコンピュータの OS 側に設定しておく必要がありますこの情報をモニタの ICC プロファイルと呼びます CMS ツールは測定結果からモニタプロファイルを作成しコンピュータの OS に組み込むまでを自動的に行ってくれます常に同じ結果を CMS ツールを使うといつ誰がやっても調整結果が同じになります人間の目は観察する周辺の視覚的環境によって日によって時間によって体調によって見え方が異なります好き嫌いなどの感情も入ります目視でモニタ調整を行った場合毎回結果が異なるのはこのためですまた撮影者デザイナーラボ印刷会社などが連携して仕事を行う場合にはモニタの設定環境をできるだけ同じにしておく必要がありますこのような場合にも CMS ツールでモニタ調整を行っておくことが重要です 2-6. 標準画像調子見本を用いたモニタの最終的な微調整の方法基本的なモニタキャリブレーションまず ASUKABOOK のホームページ / アシスト / カラーマネージメントについて / モニタ調整と色評価の解説 ( に掲載されているムービーに従ってモニタキャリブレーションを行ってくださいその後以下に示すような手順でさらに微調整を加えることでモニタ表示画像と当社印刷結果をできるだけ近似させましょう白紙の用意とその照明の設置アスカネットの標準画像調子見本の印刷物の中から表面加工がニスのものを選び裏返しにしてモニタの隣に置いてくださいこの裏面が紙白になりますこの際ムービーでも解説しているように必ず色評価蛍光灯を用いてこの紙白もしくは印刷物を照明してくださいまたこの作業のときは印刷物を照明する光がモニタ表面に差し込まないようにモニタと印刷物設置台のあいだには黒い厚紙などで臨時のパーテーションを設けてくださいモニタに白色点を表示させる Adobe Photoshop を起動しメニューのファイル / 新規作成をクリックして図 -2 のように A4 用紙程度の白色のファイルをモニタ画面一杯になるように表示させますこの白色のファイルは表示されている色が R,G,B=255 であれば寸法解像度は任意でかまいませんモニタ輝度の調整モニタの輝度は cd/ m2 ( カンデラ ) の範囲に設定することをお薦めします調整の方法は ASUKABOOK のホームページ内モニタ調整と色評価のコーナーに掲載されているムービーの Chapter3 モニタ輝度を決めるに従ってください 6

7 紙白とモニタ白色点のカラーバランス ( 色温度 ) の比較観察 ( 図 -2) モニタから少し離れて ( 通常に作業している距離の 3 倍以上 ) 両者を観察してください図 -2 のように白の色合いと明るさが同程度に見えれば OK ですそうでない場合は次のように判定しモニタの微調整を行います色評価蛍光灯で照射した標準画像調子見本の裏面 Adobe Photoshop で開いた白いデータ図 -2 標準画像調子見本 ( ニス ) の裏面と白色点の比較モニタの方が青い場合の調整方法 ( 図 -3) もしモニタの方が青い場合もしくは印刷物の方が黄色い場合は印刷物の照明環境よりもモニタ白色点の方が色温度が高いことになりますこの場合にはモニタの色温度を少し下げてください例えば CMS ツールを使ってモニタ白色点を 5000K に設定したとしますこの状態でモニタの方が多少青く見える場合は白色点を 100K 下げて (4900K にして ) キャリブレーションをやり直しますその後再度印刷物と比較しますこれでもまだ青い場合はさらに色温度を 100K 下げてキャリブレーションをやり直します図 -3 モニタ白色点の方が青く見える例モニタの方が黄色い場合の調整方法 ( 図 -4) もしモニタの方が黄色い場合もしくは印刷物の方が青い場合は印刷物の環境よりもモニタ白色点の方が色温度が低いことになりますこの場合にはモニタの色温度を 100K 上げてキャリブレーションをやり直します図 -4 モニタ白色点の方が黄色く見える例 7

8 このようにして用紙の紙白とモニタ白色点を比較し白色点設定を 100K づつ変更させながらその都度白の色合いを比較してください ( 図 -5) 色評価蛍光灯を使用していれば 4500K から 5500K の間で紙白とモニタ白色点がほぼ一致するところがあるはずです図 -5 モニタ白色点の色温度調整方法注意事項モニタが古い機種で工場出荷状態から大きく変化している場合やあまり高級ではないモニタなどでは小刻みに数値を変更してキャリブレーションをやり直すよりも大きめに設定値を変えてキャリブレーションして偏色の傾向を一旦逆の色方向に変化させその後に元の設定値との中間に設定し直して再度キャリブレーションを行う方が早くよい結果を導くことができる場合があります例えば青すぎる場合色温度設定を 400K ほど低くキャリブレーションすると今度は黄色っぽく偏色しますから次は 200K ほど高めに再キャリブレーションしその結果がまだ黄色っぽいならさらに 100K ほど高めにあるいは結果が青っぽいなら 100K ほど低めに三度目のキャリブレーションを行います印刷物の照明が色評価蛍光灯以外の場合は上記の解説の通りにはなりません例えば通常の蛍光灯を使用した場合にはモニタより印刷物の方がより緑色 ( もしくは黄色 ) が強く見えますこの状態でモニタ白色点を見かけ上で合わせることができたとしてもモニタが発する光のスペクトルと印刷物を照明している光のスペクトルが同じではないため一致しない色の範囲ができてしまいますたとえば色評価用蛍光灯以外の照明光では白やグレーは一致しており青空色も一致しているにもかかわらず肌色は非常にマゼンタが強いあるいは青空色は OK だが緑色は鮮やかさが過剰だなどの見え方となる場合がりますもし色評価用蛍光灯で照明しても両者が一致しない場合はモニタ周辺の環境を見直してください部屋の壁や天井の色カーテンの色外光が差し込む窓の位置などによって室内の色環境がモニタや印刷物に影響し色合いが異なって見えることがあります例えば部屋の壁紙がアイボリーの場合は部屋全体が多少黄色になりますこの部屋に慣れているとこの影響に気が付かないものですが上記のようにモニタと印刷物とを比較するなどの場合には無視できない影響が生じていることがありますまたモニタの背後やすぐ隣に窓があって外光が入る場合には時間天候季節などの変化による色温度変化や光量の変化によりモニタ印刷物の両者に対して写真の色合いやコントラストの変化が生じてしまいますこのような場合にはカーテンレールを二重にして通常お使いのカーテンの他に遮光カーテンを備えるなどの工夫が必要となりますこのように対象物の周辺からの光を環境光といいます環境光は我々が思っている以上に影響がありますので充分に注意を払ってください印刷物と画像の比較紙白とモニタ白色点がほぼ一致したら標準画像調子見本の印刷面とこの画像データを Adobe Photoshop で開いたものとを比較してください ( 図 -6) 紙白がほぼ合っていれば写真画像はかなり一致して見えるはずです参考標準画像調子見本の画像データは ASUKABOOK のホームページ内アシスト / ダウンロード ( assist/color_management.html#5) の中から標準画像調子見本画像データ (JPG 形式 820KB) をダウンロードしてください色評価蛍光灯で照射した標準画像調子見本の印刷面 Adobe Photoshop で開いた画像データ図 -6 標準画像調子見本の印刷物 ( ニス ) とデータの比較 8

9 空と海と緑カラーボール情報欄 2-7. 標準画像調子見本によるモニタ表示のチェックポイント標準画像調子見本とモニタ調整について標準画像調子見本を使ったモニタ表示のチェックポイントについてご説明します標準画像調子見本は AdobeRGB の色域で制作されています A4 版縦にレイアウトしましたので 22 インチワイドタイプ以上のモニタであれば画像データを開いて印刷物とほぼ同寸で表示でき比較しやすいと思います標準画像調子見本は図 -7 のようにいくつかのパートに別れていますグレーチャートモニタのダイナミックレンジコントラストガンマカーブグレーバランスが確認できますポートレートグレーチャートポートレート肌色の確認ハイライト部の階調などが確認できます空と海と緑カラーボールこの 2 枚の写真の色合いはあえて印刷色域外 ( 印刷できる色域を超えている ) の彩度に調整してあるため印刷できない彩度を確認できますパステルチャート上段は明度が高い彩度が低い色下段は明度が低く彩度が高い色で構成されていますお使いのモニタの色域によっては正確に表示できない場合もあると思いますまた色評価用蛍光灯以外の照明ではある色パッチは一致していても他の色パッチは不一致ということが発生しますパステルチャート図 -7 標準画像調子見本の構成モニタの輝度とコントラストの確認標準画像調子見本のグレーチャートを使ってモニタ表示の輝度とコントラストが適切であるかどうかを確認できます図 -8 は適切な見え方ですこのグレーチャートのステップは 10 段階に別れておりステップ 9 は RGB 値が 0 ステップ 0 は RGB 値が 255 になっていますこの 10 段階ステップの隣り合うステップの明るさの差が同じような差で変化して見えれば OK ですこれは CMS ツールによってガンマカーブが適切にキャリブレーションされていれば達成されているはずですこのステップチャートを観察するときだけは図 -9 のように印刷物のステップ部分とモニタ表示上の同じ部分をつけ合わせて比較するのとよいでしょう図 -8 適切なグレーチャートの見え方図 -9 モニタと印刷物におけるグレーチャートの比較方法 9

10 ポートレートこのポートレート部分を使って写真のハイライト部分や中間調の色合いを確認できますハイライト部分の確認この写真のコサージュの部分は典型的なハイライト領域ですが中でも最も明るい部分は RGB 値を 250 程度に調整し白飛びしない様にしてありますこのコサージュのディテールが正確に見えていますか? もしモニタの輝度が高すぎたりモニタガンマが狂っていることにより中間調が明るすぎる場合はこのポートレートも図 11 の様にコサージュのディテールが見えなくなってしまいます肌色の色合いの確認モニタの白色点と紙白のカラーバランス ( 色温度 ) が合っていない場合はこの肌色も一致しません例えばモニタ白色点の色温度が高い場合はモニタ表示画像は全体に青みがかった色に偏色し結果としてこの肌色の黄色成分が弱く肌色が濁ったように ( あるいは貧血になった人のように ) 見えます ( 図 -12) その他のチェックポイントについては別紙の標準画像調子見本の見方使い方に解説しました併せてご参照ください図 -10: 適切な見え方空と海と緑カラーボール図 -11: モニタ輝度が高すぎる場合の見え方コサージュのハイライト部が飛んでしまうこれらの写真は 2 枚で構成されていますこれらの写真はそれぞれ赤緑青の彩度が印刷可能領域を超えていますこのためモニタでの見え ( 図 -13) と印刷物での見え ( 図 -14) が異なりますモニタは彩度の高い赤緑青の三色の発光色を混合してすべての色を作り出しますこのため高い彩度 ( 広い色域 ) を再現できますこれに対して印刷物はシアンマゼンタイエローブラックのインキをそれぞれ点としてある一定のパターンで配置しその状態を反射光として観察することで各種の色を作り出しますよって印刷の色域はモニタの色域よりも狭くモニタよりも彩度が低くなりますつまりこの情景写真を印刷すると図 -14 のようになりますこの違いを確認して頂くのがこの情景写真の目的ですその他のチェックポイントは別紙の標準画像調子見本の見方使い方をご参照ください図 -12: モニタ白色点の色温度が高い場合の見え方肌色の黄味が弱く見える印刷シミュレーション Adobe Photoshop を使うと RGB モードにて写真の処理を行いながら印刷 (CMYK) での見え方を確認することができますまた色域外警告を適用すると図 -15 のように印刷可能領域外の部分がグレーに変化するので判りやすいと思います印刷シミュレーションの方法については別紙印刷シミュレーションプロファイルの設定をご参照ください 10

11 ご注意本書 ( 標準画像調子見本とモニタ調整について ) をプリントアウトすると図 -13 は図 -14 と同じになってしまいます本書を PDF のまま Adobe Reader で開いてモニタ上で観察比較してください図 -13 情景 / モニタでの見え方図 -14 情景 / 印刷での見え方図 -15 Adobe Photoshop にて色域外警告を適用した時の表示グレーの部分が色域外であることを示しているプロファイルは ask_ fvo_a を使用パステルチャートパステルチャート部分は上段と下段に分かれています上段は明度が高く彩度が低い色で構成されており印刷領域に入っています下段は明度が低く彩度が高い色で構成されており印刷領域ぎりぎりもしくは印刷領域外になりますこのパステルチャートも別紙の印刷シミュレーションプロファイルの設定を行うと下段に見えの変化が生じることが確認できますなお印刷物の観察用照明光が色評価用蛍光灯以外の特に安価な蛍光灯の場合特定の色パッチだけが異常に高彩度に見え他の色パッチはやや低彩度に見えるという現象が起きます注意お使いのモニタが srgb 対応の場合は下段部分が正確に見えないと思いますこの色を正確に表示させたい場合は AdobeRGB 対応モニタを使用してください図 -16 パステルチャート / モニタでの見え方図 -17 パステルチャート / 印刷での見え方 11

12 2-8. 照明スタンドのご紹介標準画像調子見本とモニタ調整について現在家庭用の蛍光灯はサークル管タイプが普及していますところが 2-2. でご紹介した色評価用蛍光灯は直管タイプのものしか製造されていませんまた事務所の天井に設置されている照明機器で直管タイプの物は長いものが多くこれは 40W タイプですしかし液晶モニタのすぐ横に置いて紙媒体の照明に使う場合は 20W タイプが適切ですなおかつて普及していた 20W 直管蛍光灯のデスクスタンドはほとんど製造終了となっていますそこで現在入手できる 20W 蛍光灯スタンドをご紹介します製造 ; 山田照明株式会社型番 ;Z-208 定価 ;14,000 円 ( 税抜き ) 20W 直管蛍光灯用ライトシェード ( 傘 ) の部分の可動範囲が大きいのが特長です詳細は山田照明 Z ライト ( ゼットライト ) の Web ページをご参照ください企画制作 : 株式会社アスカネット監修 : インフォーツ株式会社笠井享本件のお問い合わせにつきましては下記にお願いいたします東京都港区南青山南青山 M-SQUARE 5 階株式会社アスカネットフォトパブリッシング事業部プロフェッショナル営業グループフリーダイヤルサポート電話受付時間 10:00 ~ 18:00 月曜日 - 金曜日 ( 祝祭日夏期休暇年末年始は除きます ) ショールーム営業時間 10:00 ~ 17:00 月曜日 - 金曜日 ( 祝祭日夏期休暇年末年始は除きますホームページ info@asukabook.jp 12

1-2. 表面加工処理の違いの比較標準画像調子見本の印刷物により ASUKABOOK で提供している表面加工処理をご確認頂けますニス印刷後に紙面全体に透明な塗料を塗布し印刷表面を

1-2. 表面加工処理の違いの比較標準画像調子見本の印刷物により ASUKABOOK で提供している表面加工処理をご確認頂けますニス印刷後に紙面全体に透明な塗料を塗布し印刷表面をひょうじゅんがぞうちょうしみほん 1. 標準画像調子見本の特徴標準画像調子見本とモニタ調整について標準画像調子見本とモニタ調整についてこの標準画像調子見本は弊社アスカネットの印刷の状態をご確認頂く目的で製作されたものですこの標準画像調子見本を用いることで

標準画像調子見本 と モニタ調整 について

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