目次 第 1 章調査概要 事業名 事業目的 実施内容 実施体制 事業実施期間 成果物... 3 第 2 章市場動向 対象国 都市 地域等の特定 現地ニーズに

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1 経済産業省殿 平成 25 年度エネルギー需給緩和型インフラ システム普及等促進事業 ( グローバル市場におけるスマートコミュニティ等の事業可能性調査 : インドネシア バリ州のホテルを対象とした EMS 事業 ) 報告書 2014 年 3 月

2 目次 第 1 章調査概要 事業名 事業目的 実施内容 実施体制 事業実施期間 成果物... 3 第 2 章市場動向 対象国 都市 地域等の特定 現地ニーズに基づく対象インフラ システムの特定 現在の市場規模 将来の市場規模 ( 成長可能性 ) インフラ システムに求められる特記事項 ( 地域特性等 ) 第 3 章事業環境 インドネシア政府 自治体等の政策動向 ( 支援策 制約等 ) 競合 あるいは協業するグローバル / 企業等の動向 第 4 章事業計画 事業内容 インフラ システム設計 事業スケジュール ヶ年程度の事業計画 年後の目指すべき姿 ビジョン 国内外企業によるコンソーシアム形成及び役割分担 相手国政府 企業とのネットワーク及び協力関係の構築状況 リスク分析 資金調達計画 政策支援の活用見込み 第 5 章エネルギー効率化 ( 二酸化炭素削減含む ) 分析 エネルギー見える化システム導入による省エネ提案に基づくエネルギー 効率化 DR がもたらすエネルギー効率化及び CO2 削減効果 第 6 章事業環境分析 インドネシアの EMS 普及の状況 第 7 章技術戦略 第 8 章事業展開上の課題抽出及び対応策 第 9 章国内への経済波及効果 参考資料... 95

3 本文中の挿入図表 表 バリ州のホテル表 バリ州のホテル名 (5 つ星 4 つ星 3 つ星 ) 表 バリ州における電力需給状況表 バリ州における今後の電力供給計画表 仕様表 建物概要表 EMS を導入可能なヌサドゥア地区のホテル名と室数表 EMS を導入可能なバリ州のホテル名と室数表 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル名と室数表 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なバリ州のホテル名と室数表 インドネシアの一次エネルギー構成目標 (2025 年 ) 表 年における経済部門における削減目標表 電球型蛍光灯の省エネルギーカテゴリ (Lumen/Watt) 表 冷蔵庫のラベリングのドラフト案表 エアコンのラベリングのドラフト案表 エネルギー鉱物資源省における省エネルギー推進政策表 機能仕様表 事業スケジュール表 MEMR による電力料金値上げ計画 (2014 年 2 月時点 ) 表 インドネシアの電力料金体系 2013 年 2014 年表 ESCO 事業の契約形態表 インドネシア政府系金融機関表 インドネシアにおける自動車リース提供ファイナンス会社上位 10 社表 Melia Bali Villas & Spa Resort における省エネ及び CO2 削減効果表 各社の EMS 製品の機能比較とインドネシアへの進出時期図 調査の実施体制図 インドネシア バリ州の位置図 インドネシア バリ州図 バリ州の県 市別ホテル数図 EMS の構成図 システム構成例図 EnneVision( エネビジョン ) のイメージ図 Melia Bali Villas & Spa Resort の敷地概要図 用途別消費電力比率図 年間消費エネルギー (2012 年 : 電気 ガス 上水 ) 図 観光客数の推移図 EMS を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数図 EMS を導入可能なバリ州のホテル数図 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数図 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数図 Melia Bali Villas & Spa Resort における使用電力量管理状況図 PLN バリのスマートメータの設置状況図 インドネシアにおける省エネルギーに関連する主要な法律 政令 省令の体系図 エネルギービジョン 25/25 における省エネルギーによる削減目標図 大統領令 No13/2011 の流れ図 電球型蛍光灯のラベルデザイン図 エネルギー鉱物資源省の体制図

4 図 モニタリングシステム図 DR 事業の概要図 ビジネス体制のイメージ図図 エネルギーモニタリングサービス Remoni 図 産業用マルチコントローラ (MC-310B-DC355) 図 産業用マルチコントローラの各部の名称と機能図 通信コネクタ (RS-422/RS-485 用 ) 図 外部拡張コネクタ ( アナログ入力 デジタル入出力用 ) 図 通信付電力マルチ変換器 (TWPM) CT センサ図 通信付電力マルチ変換器 (TWPM) の外形図 / 端子配列図図 通信付電力マルチ変換器 (TWPM) の外形図 / 端子配列図図 モバイルルータ (DWR-112) USB 外付け 3G アダプタ (DWM-156) 図 受電トランス No.1 NO.2 No.3 及び RO への設置状況図 チラーへの設置状況図 ホテル全体における日別電力使用量図 ホテル全体における曜日別電力使用量図 ホテル全体で 1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 A) と少ない日 ( 日群 B) 図 チラー設備の日別電力使用量図 チラー設備の曜日別電力使用量 (1/1 を日曜日データに含めた場合 ) 図 チラー設備の 1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 C) と少ない日 ( 日群 D) 図 RO 設備の日別電力量図 RO 設備の曜日別電力使用量 (1/1 を日曜日データに含めた場合 ) 図 RO 設備の1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 E) と少ない日 ( 日群 F) 図 その他設備の日別電力量図 その他設備の曜日別電力使用量 (1/1 を日曜日データに含めた場合 ) 図 その他設備の1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 G) と少ない日 ( 日群 H) 図 省エネ提案計画の目標図 既存システムと更改システムとのイメージ比較図 既存の熱源機械室等周囲状況図 チラー更改による年間 CO2 削減量の試算図 事業計画図 事業実施体制 ( 案 ) 図 気候変動緩和活動におけるインドネシア財務省の役割図 エネルギー効率向上ファンド (EERF) のスキーム図図 インドネシア貸出金利の推移図 省エネ設備にかかる経常コストのイメージ図 NEXI による貿易保険図 インドネシアにおける自動車リース提供ファイナンス会社上位 10 社図 インドネシア貸出金利の推移図 省エネ設備にかかる経常コストのイメージ図 NEXI による貿易保険図 JCM のスキーム図図 JCM と CDM のプロジェクトサイクルの比較図 JCM のロードマップ図 インドネシアにおける発電源別発電量図 デマンドレスポンス (DR) 図 DR による CO2 削減効果図 ホテルにおける戦略的エネルギー管理プログラムの目的図 各 EMS のスクリーンショット例

5 略語集 略語 ADR ASHRAE ASP 名称自動需要応答 (Automated Demand Response) 米国暖房冷凍空調学会アプリケーションサービスプロバイダー BAPPENAS 国家開発計画庁 BEA BHA BRESL BSP BTDC CE DEC DEN DJEBTKE DNPI DR EECDP EEMIS EERF EMS ESCO FOC GM GNCI ICA ICED IICTF IIF IIGF JAMALI JCM KADIN LPEI MEMR ビルエンジニア協会バリホテル協会アジア 6 か国 ( バングラデシュ 中国 インドネシア パキスタン タイ ベトナム ) ビジネス シナジー プロポーザルバリ島観光開発局チーフエンジニア省エネルギー局 (Directorate of Energy Conservation) 国家エネルギー協議会新エネルギー 省エネルギー総局 ( Directorate General of New Renewable Energy and Energy Conservation) インドネシア国家気候変動委員会デマンドレスポンス (Demand Response) クリーン開発のための省エネプログラム (Energy Efficiency for Clean Development Program) Energy Efficiency Management Information System エネルギー効率向上ファンド エネルギーマネジメントシステム Energy Service Company ファシリティーズオペレーションセンタージェネラル マネジャーグリーンビルディングカウンシル インドネシア国際銅協会インドネシアクリーン エネルギー 開発インドネシア気候変動トラストファンドインドネシアインフラストラクチャーファイナンスインドネシアインフラストラクチャーギャランティファンドジャワ マドゥラ バリ二国間クレジット制度 インドネシア商工会議所インドネシア輸出銀行エネルギー鉱物資源省

6 略語 MICE MPES O&M PHRI PIP PLN REEEP RO SNI SNMP TEEIP TWPM USAID WWF 名称 ミーティング ( 研修 ) インセンティブ( 企業報奨旅行 ) コンベンション ( 各種大会 ) エキジビジョン( 展示会 ) Minimum Energy Performance Standard 運用 保守インドネシアホテル協会インドネシア投資庁 (Pusat Investasi Pemerintah) 国営電力会社スイス政府の再生可能エネルギーやエネルギー効率に関するパートナーシップ プログラム逆浸透 (Reverse Osmosis) インドネシア国家規格ネットワーク監視 ネットワーク管理を行うためのプロトコル (Simple Network Management Protocol) 環境省エネ投資プログラム (Tourism Energy Efficiency Investment Program) 通信付電力マルチ変換器米国国際開発庁世界自然保護基金 (Worldwide Fund for Nature)

7 調査概要

8 第 1 章調査概要 1.1 事業名平成 25 年度エネルギー需給緩和型インフラ システム普及等促進事業 ( グローバル市場におけるスマートコミュニティ等の事業可能性調査 : インドネシア バリ州のホテルを対象とした EMS 事業 ) 1.2 事業目的新興国をはじめとした世界のインフラ需要の増加に伴い インフラ施設で消費されるエネルギーが急増する昨今 我が国内外の経済的社会的環境に応じた安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築を図ることが必要である そのためには 新興国等に対しエネルギー利用を高度化及び合理化するインフラ設備の導入を促進することで 我が国へのエネルギー安定供給を確保し 又 我が国が製造する機器や設備 技術等を導入することで 我が国エネルギー関連産業の基盤強化を図ることが重要である 更に 第 4 回経協インフラ戦略会議にて決定された インフラシステム輸出戦略 に記載のとおり 我が国の成長戦略 国際展開戦略の一環として 日本の 強みのある技術 ノウハウ を最大限に活かして 世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込むことにより 我が国の力強い経済成長につなげることも重要である インフラシステム輸出戦略において スマートグリッドをはじめ 再生可能エネルギー 都市交通 水処理 リサイクル IT など 日本の強みである環境技術を複合的 分野横断的に組み合わせた新しい街づくりのコンセプトである スマートコミュニティ は 今後大きな成長が見込まれる重点分野の 1 つに位置づけられている スマートコミュニティの海外展開においては 我が国企業による 機器 の輸出のみならず インフラの設計 建設 運営 管理を含む システム としての受注や 現地での 事業投資 の拡大など 我が国企業の多様なビジネスを展開させていくことが重要である 特に事業投資においては 初期投資の規模が膨大であり かつ長期にわたり投資を回収するというリスクをとる必要があるとともに 現地政府の政策による影響も大きいことから 官民一体となった取り組みを推進しなければ国際競争を勝ち抜くことができない このような背景を踏まえ 本委託事業は 官民連携によりスマートコミュニティ等の海外展開を強力に推進することで 我が国のエネルギー安定供給を確保し 我が国エネルギー関連産業の基盤強化を図るとともに 海外の成長力を我が国の成長に取り込み 新興国を中心とする諸外国の経済成長や安全な社会の基盤となるインフラ構築の支援を目的とした 1.3 実施内容新興国を中心とするグローバル市場を対象に スマートコミュニティ等の海外展開を推進するための事業可能性調査を実施する インドネシア バリ州のホテルを対象として 日本企業を中心とするコンソーシアムがスマートコミュニティ等に関する事業を展開するに際し必要となる (1) 市場分析書 及び (2) 事業計画書 を作成した 市場分析書及び事業計画書の項目は 以下のとおりである (1) 市場分析書 1 市場動向 2 事業環境 (2) 事業計画書 1 事業計画 2 エネルギー効率化 ( 二酸化炭素削減含む ) 分析 1

9 3 事業環境分析 ( 競合他社の動向及びそれと比較した場合の競争優位性 ) 4 技術戦略 5 事業展開上の課題抽出及び対応方策 6 国内への経済波及効果 1.4 実施体制本調査は 経済産業省より委託を受けた株式会社三菱総合研究所 ( 以下 三菱総合研究所 という ) によって実施される 省エネ等に係る技術的検討等については株式会社 NTT ファシリティーズ ( 以下 NTT ファシリティーズ という ) に 資金面等の検討については三菱 UFJ モルガン スタンレー証券株式会社 ( 以下 三菱 UF J モルガン スタンレー証券 という ) に 現地調査支援については PT. PAMULA CIPTA MAHAKARYA にそれぞれ三菱総合研究所から外注し 各社の有する専門的知見を活用した 図 に 本調査の実施体制を示す 2

10 経済産業省 委託 バリ州政府 エネルギー鉱物資源省等 NTT ファシリティーズ 三菱 UFJ モルガン スタンレー証券 外注 三菱総合研究所 外注 協力 調整 現地協力機関 EMI( 国営エネルギー管理会社 ) 調整 PT. PAMULA CIPTA MAHAKARYA BTDC ( 注 ) ( 注 )PT. Bali Tourism Development Corporation( バリ島観光開発局 ) 図 調査の実施体制 1.5 事業実施期間委託契約締結日から平成 26 年 3 月 31 日まで 1.6 成果物調査報告書 (CD-ROM 等 ) 2 式 3

11 Ⅰ. 市場分析書

12 第 2 章市場動向 2.1 対象国 都市 地域等の特定インドネシア国バリ州のホテルを本事業の対象とする ( 図 図 参照 ) バリ州 図 インドネシア バリ州の位置 図 インドネシア バリ州 表 に示すとおり バリ州は 9 つの県 市から構成されている バリ州の主要産業は観光であり 海外 インドネシア国内からの観光需要に合わせて 続々とホテルが建設されている (2011 年で 3 つ星から 5 つ星のホテルで 20,275 室 平均稼働率 66.9%) 現在 バリ州全体では 3 つ星以上のホテルが 127 軒存在する 4 つ星 5 つ星に絞れば 88 軒である また これらの観光を支えるのは MICE 産業 1 であり 大型の国際コンベンションセンター等がヌサ ドゥア地区に集中する 一方 上記を背景として バリ州の電力や上水の需給は逼迫しており 電力や上水の需要量が極めて大きいホテルにおける省エネルギー化や節水 雨水の飲料水化等が喫緊の課題である バリ州のホテル数の概要を図 表 表 に示す 1 M ミーティンク ( 研修 ) I インセンティフ ( 企業報奨旅行 ) C コンヘ ンション ( 各種大会 ) E エキシ ヒ シ ョン ( 展示会 ) の 略 4

13 表 バリ州のホテル 県 市 ホテルグレード 計 5 つ星 4 つ星 3 つ星 2 つ星 1 つ星 1.Kota Denpasar Denpasar Sanur Badung Kuta,Tj.Benoa,Sae anga,jimbaran Nusa Dua Bangli Buleleng Gianyar Jembrana Klungkung Karangasem Tabanan 計 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成図 バリ州の県 市別ホテル数 5

14 表 バリ州のホテル名 (5 つ星 4 つ星 3 つ星 ) 県 市 区名 ホテル名 星 室数 KOTA DENPASAR Inna Bali 3 76 DENPASAR The Graha Cakra Bali Hotel 3 37 SANUR Bali Hyatt Inna Grand Bali Beach Inna Sindhu Beach 3 61 Mercure Resort Sanur Puri Santnan Sanur Beach Sanur Paradise Hotel & Suites Segara Village Tanjungsari 3 26 BADUNG KUTA Tj. BENOA SAWANGAN JIMBARAN Adhi Dharma Alam Kulkul Boulique Resort 4 80 Alila Villas Uluwatu 5 61 Aston Bali Beach Resort & Spa Banyantree Resort 5 NA Bintang Bali Bali Dynasty Bali Garden Royal Seminyak Bali Bali Intan Cottages Bali International Bali Mandira Padma Resort Bali Bali Rani Bali Tropic Resort & Spa Bounty Coort Yard 3 26 Discovery Kartika Plaza Four Season Resort Bali at Jimbaran Bay Four Season Resort Private Estate 5 27 Goodway Grand Bali Sani Suites Grand Istana Rama Grand Mirage Hard Rock Hotel Bali Harris Resort Kuta Holiday Inn Resort Inna Kuta Beach Intan Bali Sekar Nusa 4 57 J. Boutique Hotel 3 88 Jimbaran Puri Bali 4 64 Kayu Manis Jimbaran Private Estate 4 19 & Spa Keraton Jimbaran Resort Kind Villa Bintang Resort & Spa 3 54 Club Bali Mirage

15 Kumala Pantai 3 93 Kuta Beach Club Kuta Paradiso Kuta Sea View 3 82 Legian Beach Legian Paradiso Melia Benoa Mercure Kuta Nikko Bali Novotel Benoa Bali Pantai Dewata Wara Pelangi Bali 4 89 Princess Benoa Beach Resort 3 54 Ramada Resort Camakila Bali The Seminyak Beach 4 90 Risata Bali Resort & Spa Santika Beach Hotel Resort Cama Kila 4 64 Sari Segara Resort The Wangsa 3 40 The Breezes Bali The Jayakarta Hotel & Residence The Legian Bali 5 78 The Oberoi Bali 5 75 The Patra Bali Resort & Villas Ayana Resort & Spa Bali The Villas Bali Hotel & Spa White Rose The Beverly Bali 3 37 NUSA DUA Amanusa 5 35 Ayodya Resort Bali Bulgari Hotel & Resort Bali 5 62 Club Mediterranee Conrad Bali Resort & Spa Grand Hyatt Bali Inna Putri Bali Kayu Manis Nusa Dua Private Villas 4 27 & Spa Melia Bali Villas & Spa Resort Nusa Dua Beach Hotel & Spa Novotel Nusa Dua Bali Peninsula Beach Resort 4 82 Ramada Resort Benoa The Laguna Resort & Spa Grand Bali Nusa Dua 4 63 The Bale 4 NA The Westin Resort Nusa Dua The St. Regis Bali Resort BULELENG Alam Anda Beach 3 40 Hotel Adi Rama Beach Resort 3 NA Lovina Beach Resort 3 NA 7

16 Matahari 5 32 Melka Exceisior Hotel 3 61 Menjangan Junggle 3 17 Mimpi Resort Menjangan 4 54 Sunuri Villas & Spa Resort 3 82 Jepun Bali 3 38 GIANYAR Amandari 5 30 Como Shambala Estate 3 30 Alila Ubud 4 63 Four Season Resort Bali 5 60 Hotel Uma Ubud 4 29 Kayu Manis Private & Spa 4 23 Kupu-Kupu Barong 3 29 Maya Ubud Kamandalu 5 54 Puri Wulandari 3 34 The Viceroy Villa 4 15 The Payogan 4 40 The Mansion 5 43 Kra Chaai 4 6 KLUNGKUNG Coconouts Beach Hotel 3 24 Nusa Lembongan Resort 3 12 KARANGASEM Amankila 5 33 Candi Beach Cottages 4 64 Rama Candi Dasa 4 69 Siddhartha Dive Resort & Spa 3 NA Alila 3 55 TABANAN Pan Pasific Bali Resort Saranam Eco Resort 3 35 Hotel Enjungan Sari 3 30 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 表 バリ州のホテル名 (2 つ星 1 つ星 ) 県 市 区名 ホテル名 星 室数 KOTA SANUR Alit s Beach Bungalows DENPASAR Besakih Beach Resort 2 79 Diwangkara Beach 2 38 Gazebo Cottages 2 75 Griya Santrian 2 98 La Tavema 2 36 Peneeds View 2 55 Puri Dalem 2 42 Abian Srama 1 53 Bali Pavilions Villas 1 23 Sativa Sanur Cottages 1 50 Tamu Kami 1 20 BADUNG KUTA Tj. BENOA SAWANGAN JIMBARAN Aneka Beach Hotel 2 59 Bali Legian Resort Balisani Padma 2 60 Camplung Mas 2 70 Dyana Villas

17 Lavender Luxury 2 47 Puri Bali 2 41 Puri Raja 2 72 Ramayana 2 54 Villa Rumah Manis 2 40 Villa The Dusun Un s 1 32 Vilaseri NUSA DUA Bali Desa Suites 2 28 Sonni Puteri Galeria 2 30 KARANGASEM Taman Air 2 14 Lotus Bungalow 1 20 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 2.2 現地ニーズに基づく対象インフラ システムの特定 (1) 現地ニーズ 1 バリ州の電力消費量国営電力会社 (PLN) バリによると セクター別の電力消費量は ホテルが 50% ホテル以外が 50% と ホテルの電力消費量が極めて多い また バリ州における電力消費量の上昇率は年間 10% であり ピーク時 (18 時 ~22 時 ) の上昇率は 9% である ホテルの電力消費量の上昇率は 12% とホテル以外の電力消費量の上昇率 6~7% に比して 2 倍近くに達する 2 バリ州の電力供給状況バリ州における電力需給の状況を表 に示す 供給容量 790MW のうち バリ島内でのディーゼル発電が 570MW ジャワ島から海底ケーブル経由で 200MW が供給されている ディーゼル発電 570MW のうち 439MW は軽油を使用している ガスディーゼル発電が 131MW あるが バリ島へガスが供給されていないため 現在は C 重油 MFO(Marine Fuel Oil) を使用して発電している 再生可能エネルギーのうち 風力発電 ( ヌサプニダ島 ) はほとんどが壊れており稼動していない 太陽光発電は 2MW であり バンリ県で 1MW カランアッサム県で 1MW が それぞれ稼動している PLN は太陽光発電の電力を 25 セント /kwh で購入している なお 地熱発電の計画があり 住民への説明を終了したが 県議会が反対している状況である 供給容量が 790MW ピーク時 (18 時 ~22 時 ) の需要が 721MW であり ほとんど余裕がない状況である 表 バリ州における電力需給状況 区分発電方式等発電容量等 (MW) 供給 バリ島内での発電 ディーゼル発電 570 風力 ( ほとんどが壊れ不稼動 ) 20 太陽光 (2MW) ジャワ島からの供 海底ケーブル 200 給 合計 790 需要 ピーク時 (18 時 ~22 時 ) 721 出所 )PLN バリへのヒアリングに基づき調査団作成 今後の電力供給計画を表 に示す 2014 年 7 月頃には ジャワ島から海底ケーブルで 200MW(100MW 2) が供給される予定である 既にジャワ島から 200MW が供給されており ジャワ島から供給は合計 400MW となる 9

18 また シンガラジャ地区に石炭火力発電を建設中 ( 中国企業の IPP) であり 2014 年末に 135MW が 2015 年には 270MW(135MW 2) が稼動予定である これらの石炭火力発電が完成すると 石炭火力発電は合計 405MW となる 石炭火力発電の稼働後は バリ島内のディーゼル発電を徐々に減らし 最終的にはディーゼル発電をゼロにし ディーゼル発電はバックアップ用となる さらに 2017 年には ジャワ島から地上ケーブルで 1,800MW が供給される予定である これらを合計すると 2017 年までに新たに 2,405MW が供給されることになり 需給の逼迫感は緩和される 表 バリ州における今後の電力供給計画発電方式等発電容量等 (MW) 稼動予定時期ジャワ島からの供給海底ケーブル (100MW 2) 年 7 月頃地上ケーブル (350mタワ 1, 年ー ) バリ島内での発電 ( シンガラジャ地区 ) *:135MW 2 出所 )PLN バリへのヒアリングに基づき調査団作成 石炭火力発電 (IPP) 年末 270* 2015 年 合計 2,405 3 バリ州における省エネの必要性バリ州は インドネシアの経済的最重要地区のひとつであるため バリ州のエネルギー政策の殆どをインドネシア中央政府が策定し 実施している エネルギー鉱物資源省 (MEMR) バリ州エネルギー鉱物資源局や PLN バリは バリ州の電力需給が逼迫しているため 電力使用量が多いホテルを対象とした省エネの必要性を強調している また 近年 PLN が電力料金の補助金を減額することで電力料金の値上げが続いている 2013 年には電力料金が 18% 値上げされ 契約電力が 200kVA 以上 ( カテゴリー B3) のホテルの電力料金は オフピーク時 (22 時 ~ 翌日 18 時 ) が Rp.1,020/kWh ピーク時 (18 時 ~22 時 ) はオフピーク時の 1.5 倍の料金となっている 2014 年にはさらなる値上げが予定されており ホテル業に対しては 38.9% の値上げが適用される見込みである ホテルにとって 省エネを進めることが重要となっている 4 PLN バリの省エネへの関心度 PLN バリは バリ州におけるホテルの急増による電力消費量の増加に伴う電力不足を懸念しており 特に大型ホテルにおける省エネの推進に非常に高い関心を持っている また 電力消費量の 見える化 にも関心が高く PLN バリのオフィスビルへの設置について相談を受けた ホテルが消費している電力も補助金によって低く抑えられており 電力消費量を削減することにより補助金を削減でき 政府の負担を軽減できることになる ちなみに PLN バリは 200kVA 以上の大口顧客を 350 社保有している (2) 対象インフラ システムの特定本調査において対象とするシステムは バリ州のホテル等に適合する エネルギーマネジメントシステム (EMS) 及び省エネ設備 ( チラー ピークシフトのための蓄熱タンク ( 温水 冷水 ) 太陽熱利用パネル等 ) とする 本調査においては 対象となるシステムについての現地への導入可否の検討のため 併せて現地調査を実施した 1 導入対象システム EMS は モニタリングシステム ( 見える化システム ) とデマンドレスポンス (DR) システムから構成される ( 図 参照 ) 10

19 エネルギーマネジメントシステム (EMS) モニタリングシステム デマンドレスポンスシステム エネルギーモニタリングサービス Remoni Ex) 計測ユニット建物全体 WhM 弊社モニタリング ASP サービス Remoni により構築 約 420 ビルに導入済み本社 A 支店 B 支店 + Ex) 建物詳細 インターネット WEB 上で簡単に閲覧 空調負荷 動力負荷 電灯負荷 A 発電所 B 発電所 24h 365days *ASP:Application Service Provider インターネットを通じて顧客にビジネス用アプリケーションをレンタルするサービス 図 EMS の構成 a. 見える化 等のエネルギー消費量のモニタリングシステムモニタリングシステムは 電力使用量を 見える化 する機器 装置 Remoni( リモニ ) を導入する 仕様を表 に システム構成例を図 に示す 表 仕様 計量間隔 5 分 計量値の確認間隔 30 分ごと 計量値の確認箇所 遠隔 現地ともに可 計量データの保持期間 4 年 + 当年 ( 注 )GMU:General Monitoring Unit 図 システム構成例 本システムの特徴は 以下の 2 点である ( 図 参照 ) アプリケーションサービスプロバイダー (ASP) 方式の採用により 設備に関する導入者の負担を軽減 ブラウザ用ツールバーや Android アプリを活用することで 施設管理者だけではなく 利用者全員が一体となった節電施策が可能 11

20 b. デマンドレスポンス NTT ファシリティーズ (NTT-F) が 我が国で平成 23 年 7 月に開始したマンション入居者向けデマンドレスポンスサービス EnneVision( エネビジョン ) は 同社が電力サービスを提供している一括受電マンションの入居者に対して 節電及び省エネを支援するサービスである ( 図 参照 ) 商用サービスとして日本初となる電力の供給サイドと需要サイドが一体となったデマンドレスポンスに関するサービスであり 平成 24 年度の 省エネ大賞 及び 地球環境大賞 ( 経済産業大臣賞 ) を受賞した これらの知見を基盤として インドネシア バリ州向けにカスタマイズする 図 EnneVision( エネビジョン ) のイメージ c. 省エネ設備ホテルに導入する省エネ設備の例を以下に示す ジャワ バリ系統の電力の日負荷曲線によると 電力のピークは 17 時 ~22 時にかけて存在し 日中の電力需要はピークの 3/4 程度であり 電力のピークに合わせて炊事や入浴等の温水利用需要が増え ホテルの冷房需要も増加することが想定される そのため 次の 3 つのシステムを組み合わせたエネルギーの効率化が大きな省エネルギー効果をもたらすと考える ( 図 参照 ) 2 現地調査結果今回の調査業務において バリ島内のヌサ ドゥア地区にある 5 つ星ホテル Melia Bali Villas & Spa Resort に対して 現地のウォークスルー調査 建物維持管理者に対するヒアリング等を実施し 省エネ診断を実施した 省エネ改修の提案としては下記に示す項目について 改修内容 効果試算等をまとめた チラーの更改 ピークシフトのための蓄熱タンクの追加 再生可能エネルギー導入としての太陽熱利用パネルの追加さらに 上記ホテルに対して 見える化システム導入を実施し 電気エネルギーの消費実態を把握した a. 建物概要およびエネルギー基礎データ Melia Bali Villas & Spa Resort の建物概要を表 に 敷地概要を図 に示す 当該建物は 1985 年に竣工しており 2011 年に改装 ( 主に内装 ) がなされている建物で ヌサ ドゥア地区内では中堅規模のホテルと推察される 12

21 客室は 4 階建の建物 Ⅰ~Ⅳ に分かれており 雁行配置となっている 熱源等機械室は建物コンプレックスの南西に位置し 受電トランス 配電盤 冷熱源 温熱源 非常用発電機が設置されている 敷地の北東面は海に面しており 近傍にプールやヴィラが点在している エネル ギー情報 表 建物概要 会社名 Melia Bali Villas & Spa Resort 住所 Kawasan Wisata BTDC Lot 1 Nusa Dua 規模 20, m2 竣工年 1985 年 (2011 年改装 ) 契約形態 Industri 電力 電力需要 2,180kVA 年間消費量 923.4MWh 消費内訳 空調関連 :65% 照明等:20% 動力等:15% LPG 年間消費量 65,141 kg 水年間消費量 136,708m 3 設備情報 空調 給湯 冷熱源 空調機 温熱源 給排水貯水槽 1,100m 3 圧縮式チラー 600RT(100RT 6 台 ) 年間冷房 AHU FCU 客室の一部に SplitAC 電気ヒーター ( 温熱源の一部にチラー排熱回収あり )+ 給湯タンク 図 Melia Bali Villas & Spa Resort の敷地概要 13

22 熱源機械部分は 100RT のチラーが 6 台 冷水ポンプ 冷却水ポンプ 給湯タンクが設置されている 機械室内は狭隘であるため 改修の際には十分な改修計画が必要である 客室空調は基本的にファンコイルユニット (FCU) を用い 付加空調としてスプリット型エアコンが設置されている客室もある ホテルキーシステムにより 不在時は空調が弱運転になるように設定されている 給湯配管はループ配管となっており 即時給湯が可能な状態となっている 用途別消費電力比率を図 に示す ヒアリングによると 空調系で 65% 照明コンセント系で 20% モータ電力 ( エレベーター ポンプ等 ) で 15% ということであった このことからも建物全体に占める空調の消費割合が大きいことから 空調に焦点を当てた省エネシステムが建物の省エネのためには有効であることがわかる 図 用途別消費電力比率 年間消費エネルギーを月毎 用途毎にグラフ化したものを 図 に示す 電力消費量に関して 理由は定かではないが 1,4,5 月が他の月に比べて若干多く 10 月が極端に少ない LPG 消費量は 1 月が極端に多く 4,9,10,12 月が少ない これは ニューイヤーイベントによる影響が大きいと考えられる 水消費量は 5~9 月にかけて若干多かったが 10 月以降は減少傾向にある 14

23 図 年間消費エネルギー (2012 年 : 電気 ガス 上水 ) b. ウォークスルー調査結果ウォークスルー調査結果を下記に示す チラーは設置後 26 年間未改修 チラー改修がエネルギー効率向上 ( 電気料金削減 ) につながるのであれば 改修を検討 15

24 ESCO スキームに興味を持っている 省エネ診断を実施済みであり 診断レポートを保有 写真 客室写真 スプリット型エアコン ( 客室 ) 写真 内装 ( 空調吹出し口あり ) 写真 スイッチパネル ( 空調と照明 ) 全 380 室のうち 220 室のハイクラスルームには スプリット型エアコンを設置 スプリット型エアコンはルームキーシステムと連動し ON/OFF ルーム空調の FCU は ルームキーシステムの OFF 時には低風量運転となるよう設定 16

25 写真 スプリット型エアコン ( 室外機 ) 写真 機械室 写真 給湯タンク 写真 水冷チラー (100RT) 写真 冷水ポンプ チラーは 100RT 6 台構成 チラーの排熱を給湯タンクの保温用として利用 17

26 写真 非常用発電機 写真 受電トランス 写真 受電トランス盤 1 写真 受電トランス盤 2 写真 受電トランス盤 3 写真 受電トランス盤他 18

27 写真 進相コンデンサ盤 写真 自動切替盤 写真 用途別積算電力量計 予備発電機や受電関係の盤類の状態は良好 各受電トランス盤 電力量計はマルチメーター設置 積算電力計は ポンプ チラー レセプション キッチン ランドリーの系統に設置 写真 ホテルレセプション 写真 ホテル客室コリドー c. 調査結果総括当該ホテルは竣工以来 チラーを更改されておらず 経年による劣化が著しい状況にある チラーは全 6 台が設置されており チラー 1 台につき 2 台のコンプレッサーが搭載されているため 最大でコンプレッサー 12 台分の冷却能力がある チラー 2 台は コンプレッサーが 1 台ずつ故障していることから コンプレッサー 10 台分 ( チラー 5 台分 ) の冷却能 19

28 力しかない状況であり 竣工時の冷凍能力も発揮できない状態にある また チラーの運用に関しても 24 時間運転であり メンテナンス時以外は連続運転という過酷な状況で運用されており チラーの更改は必須であると考えられる また チラーからの排熱は回収再利用されており 従前から省エネに対する意識は高い ホテルという用途上とインドネシアという気候上から 年間を通じて空調用冷水 および給湯の需要が存在するため チラーの排熱回収は有効な省エネ手段である 2.3 現在の市場規模バリ州において 上記のシステムは現在普及していない ただし 表 に示すとおり 127 軒の 3 つ星以上のホテルが存在しており 本システム導入に係るポテンシャルは高いと考える 2013 年に入り インドネシア政府による電力料金への補助金が低減した結果 四半期ごとに電力料金が上昇しており コスト削減のためホテル経営者の省エネルギーへの関心が高い また 外資系ホテルは 高級リゾート地として観光客を呼び込むため定期的に施設の改修を行っており 効率の悪いボイラやチラー 空調機等の熱源供給設備を省エネ効果の高い技術に一新できるチャンスでもある 2.4 将来の市場規模 ( 成長可能性 ) バリ州の電力需給状況バリ州のホテルの多くは国際水準に近い建設物であるが エネルギー管理の未成熟さから エネルギーの浪費が指摘されている 他方 現在のバリ州の供給電力キャパシティーは 790MW であり ピーク時 (18 時 ~22 時 ) の需要量はその 92% にあたる 721MW に達するほど電力供給が逼迫している さらに 観光客の増加 ( 図 参照 ) に伴うホテルの建設数が急激に増えていることから 2015 年までに必要となる供給電力は 1,095MW となる見込みである このため ジャワ島からの電力供給用海底ケーブルの設置が急がれる等 供給量増加の対策に追われる一方で 電気料金の値上げともに ホテル等商業施設の省エネルギー化が喫緊の課題となっている 外国からのバリ島入国人数国内からのバリ島入国人数 図 観光客数の推移 20

29 2.4.2 バリ州のホテルの EMS 省エネに関するニーズ現在 インドネシアの建物部門は同国の最終エネルギー消費量の 20% を占め 今後もビル建設ラッシュによりその増加が見込まれる 同国のホテル業界の成長も目覚しく 訪問客数は年に 10% の割合で伸びている 2 近年 ホテル業界は燃料及び電力コストの削減に努めていることから EMS が急速に重要度を増している これは PLN が電力料金の補助金を減額することで電力料金の値上げが続いていることに起因する 2013 年には電力料金が 18% 値上げされ 契約電力が 200kVA 以上 ( カテゴリー B3) のホテルの電力料金は オフピーク時 (22 時 ~ 翌日 18 時 ) が Rp.1,020/kWh ピーク時 (18 時 ~22 時 ) はオフピーク時の 1.5 倍の料金となっている 2014 年にはさらなる値上げが予定されており ホテル業に対しては 38.9% の値上げが適用される見込みである Melia Benoa Bali のチーフエンジニアとの面談において 省エネ効果を得るためには 客室が広いホテルを対象とすべきとの回答を得た 空調でチラーを使用するのは大規模ホテルのみである 他方 やや小規模なホテルでは 費用対効果の観点から スプリットダクト型空調システムへの転換が見られる バリ州における将来の EMS 省エネ市場規模バリ州において 星による格付けがされたホテル数の合計は 156 軒に達する 内訳は 5 つ星が 43 軒 4 つ星が 45 軒 3 つ星が 39 軒 2 つ星が 22 軒 1 つ星が 7 軒である これらのほとんどは バドゥン県 ( クタ ベノア サワンガン ジンバラン ヌサ ドゥア ) 及びデンパサール ( サヌル ) に所在する ヌサ ドゥア地区には 星による格付けがされたホテルが 20 軒あり 5 つ星が 12 軒 4 つ星が 6 軒 2 つ星が 2 軒である ここでは ヌサ ドゥア地区 及びバリ州におけるホテルの EMS 省エネ設備導入に係る市場規模を推計した より小規模なブティック ホテルを対象にすると同時に ジャワ島地域 ( ジャカルタ バンドゥン ジョグジャカルタ等 ) への拡大も可能と考える 2 Central Statistics Agency, Bali Province 21

30 (1) EMS を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数 EMS を導入するためには ある一定規模の室数が必要であると考えられる Melia Benoa のチーフエンジニアへのヒアリング結果に基づき 1 ホテル当たり 100 室以上のホテルを EMS を導入可能なホテルとして想定した 図 にヌサドゥア地区の 100 室以上を保有するホテルの数を示した 100 室以上を保有するホテルは 5 つ星が 10 4 つ星が 2 で 合計 12 である 表 にホテル名と室数を示す 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成図 EMS を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数 表 EMS を導入可能なヌサドゥア地区のホテル名と室数 ホテル名 星 室数 県 市名 BADUNG NUSA DUA Ayodya Resort Bali Grand Hyatt Bali Inna Putri Bali Melia Bali Villas & Spa Resort Nusa Dua Beach Hotel & Spa Novotel Nusa Dua Bali Ramada Resort Benoa The Laguna Resort & Spa The Westin Resort Nusa Dua The St. Regis Bali Resort Club Mediterranee Conrad Bali Resort & Spa 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 22

31 (2) EMS を導入可能なバリ州のホテル数図 にバリ州の 100 室以上を保有するホテルの数を示した 100 室以上を保有するホテルは 5 つ星が 30 4 つ星が 24 3 つ星が 11 2 つ星が 3 1 つ星が 1 で 合計 69 である 表 にホテル名と室数を示す 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成図 EMS を導入可能なバリ州のホテル数 表 EMS を導入可能なバリ州のホテル名と室数 県 市名 ホテル名 星 室数 KOTA SANUR Bali Hyatt DENPASAR Inna Grand Bali Beach Sanur Beach Mercure Resort Sanur Puri Santnan Sanur Paradise Hotel & Suites Segara Village Alit s Beach Bungalows Vilaseri BADUNG KUTA Tj. BENOA SAWANGAN JIMBARAN Aston Bali Beach Resort & Spa Bintang Bali Royal Seminyak Bali Bali International Padma Resort Bali Discovery Kartika Plaza Four Season Resort Bali at Jimbaran Bay Grand Mirage Holiday Inn Resort Kuta Paradiso

32 Melia Benoa Nikko Bali Novotel Benoa Bali The Patra Bali Resort & Villas Ayana Resort & Spa Bali Bali Dynasty Bali Garden Bali Tropic Resort & Spa Grand Istana Rama Hard Rock Hotel Bali Harris Resort Kuta Inna Kuta Beach Intan Bali Keraton Jimbaran Resort Legian Beach Mercure Kuta Pantai Dewata Wara Ramada Resort Camakila Bali Risata Bali Resort & Spa Santika Beach The Breezes Bali The Jayakarta Hotel & Residence The Villas Bali Hotel & Spa Adhi Dharma Bali Intan Cottages Bali Mandira Bali Rani Bounty Goodway Grand Bali Sani Suites Kuta Beach Club Legian Paradiso Sari Segara Resort White Rose Bali Legian Resoer Villa The Dusun NUSA DUA Ayodya Resort Bali Grand Hyatt Bali Inna Putri Bali Melia Bali Villas & Spa Nusa Dua Beach Hotel & Spa Novotel Nusa Dua Bali Ramada Resort Benoa The Laguna Resort & Spa The Westin Resort Nusa Dua The St. Regis Bali Resort Club Mediterranee Conrad Bali Resort & Spa GIANYAR Maya Ubud TABANAN Pan Pasific Bali Resort 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 24

33 (3) 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数チラー等の省エネ設備 (EMS を除く ) を導入するためには ある一定規模の室数が必要であると考えられる Melia Benoa のチーフエンジニアへのヒアリング結果に基づき 1 ホテル当たり 200 室以上のホテルを チラー等の省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なホテルとして想定した 図 にヌサドゥア地区の 200 室以上を保有するホテルの数を示した 200 室以上を保有するホテルは 5 つ星が 7 4 つ星が 2 で 合計 9 である 表 にホテル名と室数を示す 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成図 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数 表 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル名と室数 県名 ホテル名 星 室数 BADUNG NUSA DUA Ayodya Resort Bali Grand Hyatt Bali Inna Putri Bali Melia Bali Villas & Spa Resort Nusa Dua Beach Hotel & Spa The Laguna Resort & Spa The Westin Resort Nusa Dua Club Mediterranee Conrad Bali Resort & Spa 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 (4) 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なバリ州のホテル数図 にバリ州の 200 室以上を保有するホテルの数を示した 200 室以上を保有するホテルは 5 つ星が 20 4 つ星が 8 で 合計 28 である 表 にホテル名と室数を示す 25

34 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成図 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なヌサドゥア地区のホテル数 表 省エネ設備 (EMS を除く ) を導入可能なバリ州のホテル名と室数 県 市名 ホテル名 星 室数 KOTA SANUR Bali Hyatt DENPASAR Inna Grand Bali Beach Sanur Beach Sanur Paradise Hotel & Suites BADUNG KUTA Tj. BENOA SAWANGAN JIMBARAN Bintang Bali Bali International Padma Resort Bali Discovery Kartika Plaza Grand Mirage Kuta Paradiso Nikko Bali The Patra Bali Resort & Villas Ayana Resort & Spa Bali Bali Dynasty Hard Rock Hotel Bali Intan Bali Legian Beach The Jayakarta Hotel & Residence NUSA DUA Ayodya Resort Bali Grand Hyatt Bali Inna Putri Bali Melia Bali Villas & Spa Nusa Dua Beach Hotel & Spa

35 The Laguna Resort & Spa The Westin Resort Nusa Dua Club Mediterranee Conrad Bali Resort & Spa TABANAN Pan Pasific Bali Resort 出所 )DINAS PARIWISATA PROVINSI BALI, BALI GOVERNMENT TURISM OFFICE, 2012 から調査団作成 2.5 インフラ システムに求められる特記事項 ( 地域特性等 ) 本調査において 見える化システムを設置した Melia Bali Villas & Spa Resort においては 毎朝 設備担当者が電力量計の数字を読み 日々の使用電力量をホワイトボードに記載して 使用電力量を管理していた また 前月分までの使用電力量については エクセルで管理しており 印刷した紙資料をホワイトボードの横に張り 使用電力量を把握していた 毎日 毎月の使用電力量は把握しているものの 時間帯別のエネルギー使用量は把握されていないため どの時間帯に無駄が発生しているのかは把握できていない状況であった 時間帯別のエネルギー使用量の把握により 電気料金の高い時間帯 (18 時 ~22 時 ) に どの設備を効率的に運用するかなどを検討可能となる 今後も引き続き 電力料金が高騰することが公表されており 今後 見える化システムの需要は高まると考えられる 図 Melia Bali Villas & Spa Resort における使用電力量管理状況 また PLN バリにおいては スマートメータを導入している PLN バリが入居しているコンプレックスは 複数のビルにて構成されている 単一ビルの受電計測が一般的だが 複合施設では敷地内に複数のスマートメータが点在している しかしながら PLN バリが自分で設置したにもかかわらず 各スマートメータの計測対象が管理されておらず どのスマートメータでどの建物を計測しているのかを割り出すことも困難な状況である 今後は 設備更改とともに 図面などの保管などのソフト面での改善も必要となる 図 PLN バリのスマートメータの設置状況 27

36 これまで省エネ意識の低い同国において 見える化システムは導入が進んでいない 省エネルギーへの関心が急激に高まったのは電力料金が上昇し始めた 2013 年以降であり 同システムの必要性や 有効性を評価する環境が確立されていないことが 省エネ技術の普及の妨げとなる したがって 省エネ技術の導入を加速させるためには見える化システムの試行導入による効果検証及び啓蒙と それを補助するための資金制度の確立が必要である また 既存設備に関しては できるだけ延命させながら使い続けるという企業が多く 機器更改に係る投資のインセンティブがないことも課題である 28

37 第 3 章事業環境 3.1 インドネシア政府 自治体等の政策動向 ( 支援策 制約等 ) (1) 法律インドネシアにおける省エネルギー政策は 法律 政令 省令の 3 区分によって規定されている 主要な政策についてその体系図を示すと以下の通りである 法律とそれにより派生する省令 規則 関連規制 エネルギー法 No30/2007 国家エネルギー政策に関する大統領令 No.05/2006 省エネルギーに関する政令 No.70 /2009 温室効果ガス削減に関する国家行動計画に関する大統領令 No.06/2011 原油燃料使用に関するエネルギー鉱物資源省令 No01/2013 電力使用削減に関するエネルギー鉱物資源省令 No13/2012 エネルギー管理に関するエネルギー鉱物資源省令 No14/2012 電球型蛍光灯における省エネ ラベリリング添付文書に関するエネルギー鉱物資源省規則 No06/2011 エネルギー管理士の能力基準に関するエネルギー鉱物資源省規則 No13/2010 No14/2010 省エネルギー 省水資源に関する大統領令 No.13/2011 省水資源に関するエネルギー鉱物資源省規則 No.15/2012 エネルギー管理士の能力基準に関する労働移住省規則 No.321No.323/MEM/Ⅻ/2011 エネルギー監査士の能力基準に関する労働移住省規則 No.614/MEM/Ⅸ/2011 出所 )Energy Efficiency and Conservation Policy in Indonesia (Ministry of Energy and Mineral Resources) 3 より三菱総合研究所作成図 インドネシアにおける省エネルギーに関連する主要な法律 政令 省令の体系 1 エネルギー法エネルギー法により国家エネルギー協議会 (DEN) が新たに設立され 国家エネルギー政策立案を担当している DEN では 国家エネルギー全体マスタープランが作成され 省エネルギーマスタープランの基礎としている また エネルギー法により 省エネルギーの詳細について政令にて詳細を明確化することとして 政令 No.70 /2009 が定められている a. エネルギービジョン 25/25 インドネシアのエネルギー及び省エネルギーの目標としては 2010 年 11 月に採択されたエネルギービジョン 25/25 がある 2025 年における一次エネルギー供給構成の中で新エ 3 Maritje_Hutapea.pdf 29

38 ネルギー割合を 25% 石炭の割合を 32% 天然ガスの割合を 20% 原油の割合を 23% とする目標としている BAU ケースと比べて エネルギービジョン 25/25 においては 15.6% を省エネルギーによって削減することとしている そのために エネルギー弾性率を 1 未満 GDP 当たりのエネルギー消費量を毎年 1% 減らすこととしている なお このエネルギービジョンの数値は随時更新されている エネルギー種類 表 インドネシアの一次エネルギー構成目標 (2025 年 ) 通常の利用を想定したケース 国家エネルギー政策大統領令 No5. of 2006 エネルギービジョン 25/25 原油 41.7% 20% 23% 天然ガス 20.6% 30% 20% 石炭 34.6% 33% 32% 新エネルギー 3.1% 17% 25% 省エネルギー -15.6% (BAU 比 ) 出所 )Energy Efficiency and Conservation Policy in Indonesia (Ministry of Energy and Mineral Resources) 出所 )Energy Efficiency and Conservation Policy in Indonesia (Ministry of Energy and Mineral Resources) より 三菱総合研究所作成図 エネルギービジョン 25/25 における省エネルギーによる削減目標 b. 省エネルギーマスタープラン (RIKEN) 省エネルギーマスタープランは 5 年間有効であり 毎年必要に応じて改定される 2011 年時のドラフトによれば 2025 年時点の削減ポテンシャル 目標値は以下の通りである 30

39 表 年における経済部門における削減目標 削減ポテンシャル 部門内における割合 2025 年のエネルギー削減目標 国全体のエネルギー消費における割合 エネルギー消費に占める割合 2025 年の削減量に占める割合 産業部門 10-30% 17% 41% 6.9% 商業部門 10-30% 15% 5% 0.7% 運輸部門 15-35% 20% 37% 7.4% 住宅部門 15-30% 15% 13% 2.0% その他 15-30% - 4% 0.0% 全体 100% 17.0% 出所 )Draft National Renewable Energy Master Plan RIKEN (Directorate of Energy Conservation) 4 2 省エネルギーに関する政令 No.70/ 年 11 月 26 日に 8 章 31 条から構成される省エネルギーに関する政令が発布されており その中で以下の項目が明記されている 中央政府 地方政府 民間部門の責任と役割 上流から下流まで ( エネルギー生産者 転換事業者 消費者 ) の省エネルギーの実 施 (9~14 条 ) 6,000 石油換算トン以上のエネルギーを使用する者への省エネルギー計画の作成 お よびそれに基づくエネルギー管理 エネルギー管理士の設置とエネルギー監査の実 施 省エネ基準とラベリング (16 条 ) エネルギー使用者と省エネルギー機器製造者に対するインセンティブおよびディス インセンティブの提供 (17 条 20 条 22 条 ) 指導と監督 3 省エネルギー 省水資源に関する大統領令電力使用量 20% 水使用量 10% ガソリン使用量 10% の削減を達成するための大統領令で 関係閣僚からなる国家委員会 ( ナショナル チーム ) が構成される このナショナルチームにおいて 省エネルギー 省水資源のための政策 戦略 プログラムが形成される また この大統領令により実行体制が整備され 政府予算の割り当て トレーニング モニタリング 省エネルギー 水資源技術の利用といった施策が展開される 4 Maritje_Hutapea.pdf 31

40 省エネルギー 省水資源に関する大統領令 No13/ 内閣を構成する大臣 2. 最高裁判所長官 3. インドネシア国軍司令官 4. インドネシア警察長官 5. 省クラスでない行政機関の長 6. 国営企業の取締役 7. 州知事 8. 郡 市長 実施 省エネルギー 省水資源に関する政策 目標 20% の電力使用量削減 ( 大統領令発行前の6か月間平均電力使用量に対して ) 10% のガソリン使用量削減 ( すべての行政機関 州営企業 県営企業で補助が支出されているガソリンの使用量を制限 ) 10% の水使用量削減 ( 大統領令発行前の6か月間平均水使用量に対して ) に対して ) 出所 )Peer Review on Energy Efficiency in Indonesia (APEC) 5 より三菱総合研究所作成図 大統領令 No13/2011 の流れ (2) 制度 1 エネルギー管理制度 a. 年間 6,000 石油換算トン以上のエネルギー消費を伴う者への義務年間 6,000 石油換算トン以上を消費するエネルギー使用者については 以下のエネルギー管理を行うことが求められている エネルギー管理者の任命 省エネルギー計画の策定 定期的なエネルギー監査の実施 エネルギー監査の結果に基づく提案の実施 年間の省エネルギー活動の報告 ( 大臣 州知事 県知事 市長に対して )

41 具体的には 産業部門のエネルギー管理の基準が省令 No13/2010 に定められ 建設部門については 省令 No14/2010 に定められている b. インセンティブの付与ある一定期間に省エネルギー目標 ( 成功基準 ) を達成した場合には インセンティブが付与される 6 年間 6,000 石油換算トン以上を消費するエネルギー使用者の場合は 以下のインセンティブが与えられる 省エネルギー製品への優遇税制 省エネルギー製品への地方税の減免 免除 省エネルギー製品を輸入する場合の特別関税 省エネルギー投資への低金利融資 政府によるパートナーシップ支援によるエネルギー監査 国内省エネルギー設備生産者の場合には 以下のインセンティブが付与される 省エネルギー設備の生産に使われる部品 スペア部品 原材料への優遇税制 省エネルギー設備の生産に使われる部品 スペア部品 原材料への地方税の減免 免除 省エネルギー設備の生産に使われる部品 スペア部品 原材料への特別関税 省エネルギー設備生産への低金利融資 c. ディスインセンティブの付与省エネルギー計画を達成しなかった事業者に対しては 以下のディスインセンティブが与えられることとなっている 書面による警告 メディアでの公表 罰金 エネルギー供給の削減 2 省エネルギービル基準インドネシアの省エネビル基準制度では 新エネルギー 省エネルギー総局 (DJEBTKE: Directorate General of New Renewable Energy and Energy Conservation) により インドネシア国家規格 (SNI) が策定されている 現在 以下の 4 項目について SNI が制定されている ビルにおける建物外皮の省エネ :SNI ビルにおける空調換気システムの省エネ :SNI ビルにおける照明システムの省エネ :SNI ビルのエネルギー監査手続 :SNI これらの基準に従う省エネビルの建設を促進するために Energy Efficient Building Program が実施されており その一環として Energy Efficiency and Conservation Clearing House Indonesia (EECCHI) のオフィスの省エネルギー化の取組が行われている 3 ラベリング制度インドネシアにおいては 個々の製品の省エネ性能に応じた 4 つ星までの評価システム 年時点では 環境省が細則を準備中とのことである 33

42 がある 2011 年には 電球形蛍光灯のラベリングが開始されており 2012 年に向けて 冷蔵庫とエアコンに対する試験手続きおよび規格が準備されている ラベリングの対象となるのは 以下の 10 品目である 電球型蛍光灯 (2013 年 5 月に義務化の予定 ) 冷蔵庫 (2013 年中に基準が示される予定 ) ルームエアコン (2013 年中に基準が示される予定 ) TV 安定抵抗器 扇風機 炊飯器 モーター 洗濯機 電気アイロン a. 電球蛍光灯電球型蛍光灯の基準は SNI で定められており その内容は以下の通りである 表 電球型蛍光灯の省エネルギーカテゴリ (Lumen/Watt) 各星のカテゴリの基準 ( 単位 :Lumen/Watt) 電力 (Watt) 1 星 2 星 3 星 4 星 5~9 45~49 49~52 52~55 55 以上 10~15 46~51 51~54 54~57 57 以上 16~25 47~53 53~56 56~59 59 以上 26 以上 48~55 55~58 58~61 61 以上 出所 ) 省エネ意識と購買行動( インドネシア ベトナム ) に関する調査調査報告書 (JETRO) 7 なお 電球型蛍光灯の省エネラベルのデザインは 2003 年から現在まで以下の図のものが使用されている このラベルには 1 ワット毎の光の強さの情報が表示される他 登録ナンバー 製品モデル 星数が明記される 出所 )Energy Efficiency and Conservation Policy in Indonesia (Ministry of Energy and Mineral Resources) 図 電球型蛍光灯のラベルデザイン

43 b. 冷蔵庫冷蔵庫のラベルのドラフト案については 冷凍庫の有無によって以下の案が示されている 表 冷蔵庫のラベリングのドラフト案 ( 単位 )m 3 冷凍庫なし 冷凍庫あり 1 星 =< Vabj 1.15 =< Vabj 星 =< 1 星 0.77 =< 1 星 星 =< 2 星 0.77 =< 2 星 星 =< 3 星 0.77 =< 3 星 0.77 注 )Vabj: 冷蔵庫の中の調整ボリューム 出所 )FRAMEWORK of ENERGY EFFICIENCY LABELING PROGRAM PART2:TECHNICAL PROVISION for REFRIGERATOR (DRAFT) rev.3rd (Technical Meeting for EE Labeling Program in Indonesia) c. エアコンエアコンのラベルのドラフト案においては インバータ付とインバータ付でないものについて 以下の基準案が示されている 表 エアコンのラベリングのドラフト案 インバータあり インバータなし 1 星 2.64=<weighted COP< =<COP< 星 2.92=<weighted COP< =<COP< 星 3.34=<weighted COP< =<COP< 星 3.76=<weighted COP 3.05=<COP 注 )COP: Coefficient of Performance( 負荷 100%) Weighted COP=0.4 COP( 負荷 100%)+0.6 COP( 負荷 50%) 出所 )FRAMEWORK of ENERGY EFFICIENCY LABELING PROGRAM PART2:TECHNICAL PROVISION for AC(Air Conditioner) (DRAFT) rev.3rd (Technical Meeting for EE Labeling Program in Indonesia) (3) 政府機関 自治体の役割 1MEMR エネルギー鉱物資源省において エネルギー法を実施するための組織として 2010 年に新エネルギー 省エネルギー総局が設置されている その下部組織として 省エネルギー局 (Directorate of Energy Conservation) が位置づけられている エネルギー鉱物資源省で行われている政策メニューの概要を表 に示す 表 エネルギー鉱物資源省における省エネルギー推進政策 No 政策メニュー内容 1 政策と規制作り 省エネルギー政令 No70/2009 のフォローと規制作り ( エネルギー鉱物資源省令 No6/2011 No13 14/2012 No01/2013) 産業部門 商業部門 家庭部門 運輸部門での省エネルギー政策作り 2 インセンティブとディスインセンティブ 省エネルギー部品の輸入関税に対するインセンティブ 具体的なインセンティブ作り リボルビングファンドの活用による省エネルギー推進のための財政支援スキームの評価 インセンティブ ディスインセンティブの対象となる省エネルギー機器の基準の評価 3 一般の意識形成 紙媒体 電子媒体 パンフレットを活用したセミナー ワークショップ 一般広告の実施 国全体を対象とした省エネルギーの取組の表彰の実施 35

44 No 政策メニュー内容 ビルに対する省エネルギーガイドラインの整備 4 教育とトレーニ 省エネルギーに関するトレーニングの実施ング 海外での研修の実施 5 パートナーシッ エネルギー監査の無料化 ( ビル 工場 ) ププログラム 2003~2012 年の間に 806 ヶ所に対してエネルギー監査を実施 6 エネルギー管 エネルギー管理士 エネルギー監査士の基準作り理 エネルギー 認証機関の準備監査 エネルギー管理士の承認 (2012 年 :45 名 ) 7 基準とラベリン 消費者に対する4つ星ラベルの情報提供 普及グ 製造者への省エネルギー技術採用の働きかけ 電球型蛍光灯ラベルの省エネラベルの PR 冷蔵庫 エアコンの基準の PR MPES の普及 8 国際協力 ASEAN Energy Efficiency and Conservation サブセクターのネットワーク インドネシア-デンマークとの二国間プロジェクト インドネシア-オランダとの二国間プロジェクト インドネシア- 日本 (NEDO) との二国間プロジェクト ICA(International Copper Association) による電気モータとエアコンに対する MPES(Minimum Energy Performance Standard) の実施 BRESL: アジア 6 か国 ( バングラデシュ 中国 インドネシア パキスタン タイ ベトナム ) での 7 家電 ( エアコン 扇風機 冷蔵庫 安定抵抗器 電気モータ 電球型蛍光灯 炊飯器 ) についての基準作り UNIDO による ISO 基準採択の支援 USAID による技術支援 GIZ による道路照明置き換え戦略の支援 9 省エネ性能の優れた道路照明 道路照明の基準作り 道路照明における省エネルギー技術の推進 省エネルギー技術を応用した道路照明のガイドライン作り 出所 )Energy Efficiency and Conservation Policy in Indonesia (Ministry of Energy and Mineral Resources) 8 より三菱総合研究所作成 省エネルギー局の役割としては 1 省エネルギーに関する政策 戦略 国家プログラムの形成 2 規制に関する調整 3 省エネルギー対策の一般への周知普及 4 省エネルギーに関するガイドライン作り 5 省エネルギーに関するステークフォルダー間のフォーラムの運営 6 インセンティブの付与 7 ベンチマークの実施 8 モニタリング 9 助言等がある 8 Maritje_Hutapea.pdf 36

45 エネルギー鉱物資源大臣 大臣直属の専門家スタッフ 監理局 国家エネルギー協議会事務局 官房局長 原油 ガス総局 電力総局 石炭鉱物資源総局 新エネルギー 省エネルギー総局 地質局 研究開発局 教育局 バイオエネルギー局 地熱局 省エネルギー局 新エネルギー局 エネルギー利用プログラム担当部 省エネルギー監督部 エネルギー技術経済性評価部 クリーン 有用技術応用部 技術ガイドライン 省エネルギー協力担当部 出所 )Peer Review on Energy Efficiency in Indonesia (APEC) より三菱総合研究所作成図 エネルギー鉱物資源省の体制図 2 地方政府省エネルギーを実施するため 次の項目については州政府 郡 市町村の責任と役割が政令 No.70/2009 にて定められている 省エネルギー政策 戦略 プログラムの決定 省エネルギーに係る人材開発 省エネルギー技術利用のための総合的 包括的な対話の実施 省エネルギープログラム実施のための政策形成のための調査 準備 予算の割り当 て 省エネルギープログラム実施のための調整 インセンティブの準備 事業者 エネルギー利用者 エンドユーザに対する技術指導の提供 省エネルギープログラムの実施 省エネルギー活動の実行 省エネルギープログラムの指導 管理 3.2 競合 あるいは協業するグローバル / 企業等の動向既にいくつかの民間企業がインドネシアのホテルを対象に本プログラムと類似した EMS 推進イニシアチブを実施しており 特にバリ州での実施が最も多い これは バリ州の主要産業が観光業であり そこで開発と技術革新の先端を行くのがホテル業界であることが理由である バリホテル協会 (BHA) 理事との面談によれば 同業界の勢いは 首都ジャカルタのホテルでさえ バリ発のトレンドを後追いするほどである 以下にこれまでに同地でイニシアチブを実施した企業を記す - ハネウェル PLN バリの協力により 2013 年 11 月 28 日に最初のワークショップを現地で開催し ホテルのチーフエンジニア向けにエネルギー モニタリングシステムの情報を提供した - シュナイダーエレクトリックバリのシェラトン スマランのノボテルの各ホテルにてエネルギー モニタリングシステムの使用を開始している - シーメンス 37

46 米国国際開発庁 (USAID) 及びインドネシアクリーン エネルギー 開発 (ICED) による実証プロジェクトにおいて 同社の EMS が使用されている この他 EMS の分野では インドネシアのホテルを対象に実施されている次のようなプログラムがある - Energy Efficiency for Clean Development Program (EECDP) by USAID ICED (Indonesia Clean Energy Development) USAID の ICED によるクリーン開発のための省エネプログラム (EECDP) で USAID の主要プログラムである ホテルの省エネ効果向上の一歩として ベンチマークツールの開発を計画している 同計画は 2013 年 9 月から開始され 2014 年 8 月までの期間中に 3 つのパイロットエリア ( ジャカルタ バリ ジョグジャカルタ ) で実施される 対象ホテルは 30 軒から 80 軒である BHA もこのプログラムを支援している - WWF (Worldwide Fund for Nature) TEEIP (Tourism Energy Efficiency Investment Program) 世界自然保護基金 (WWF) による環境省エネ投資プログラム (TEEIP) であり フィジーで成功した同基金による同様のプログラムに倣い インドネシアに拡大された 今後は マレーシアや他の東南アジア諸国にも広げられる見込みである 2013 年 9 月に WWF および インドネシア観光省 商工会議所 (KADIN) 国家気候変動委員会 (DNPI) が当該プログラムに合意し署名した このプログラムのターゲットはバリのヌサ ドゥア所在のホテルであり バリ島観光開発局 (BTDC) の協力を得ている これまでに メリア バリ セントレジスの各ホテルと ヌサドゥアコンベンション センターの 3 カ所でエネルギー診断のためのウォークスルー調査が実施された 38

47 Ⅱ. 事業計画書

48 第 4 章事業計画 4.1 事業内容本事業の具体的なモデルを下記に示す バリ州のホテル オフィスビルへのモニタリングシステム ( 図 4.1-1) の販売展開 モニタリングシステムの O&M( 運用 保守 ) 業務を受託し これをコンサル 設計 調達 工事に繋げることにより バリューチェーンをつないだ統合ファシリティサービスの提供 PLN と協力し バリにおける Demand Response (DR) 事業 ( 図 4.1-2) を開始し DR 事業に加えて エネルギー供給ビジネスを展開 図 モニタリングシステム 本調査事業で導入したモニタリングシステムは ASP 方式のモニタリングシステムであり 安価にシステムを導入できることから 東南アジア等の新興国には親和性の高いシステムであると考えられる さらに 運営を日本側で実施することができるため 導入先のインフラ設備 エネルギー使用量等を把握することができることから 見える化以外のサービス提案も可能となる 図 DR 事業の概要 39

49 本 DR 事業モデルにおいても 顧客が 2 つに分かれており 一つがシステム導入者であるホテル もしくはビルオーナーであり もう一つは DR サービスを受ける PLN である 実際のビジネス体制のイメージは下図のとおりとなると考えられる 図 ビジネス体制のイメージ図 まず バリ州で事業展開し その後 ジャカルタ ( 人口でインドネシア第 1 の都市 ) スラバヤ ( 同第 2 の都市 ) バンドン ( 同第 3 の都市 ) などのインドネシア国内へ展開する さらに 東南アジア諸国へ展開する 4.2 インフラ システム設計ヌサドゥア地区にある Melia Bali Villas & Spa Resort にモニタリングシステム ( 見える化システム ) を設置し調査を実施した 合わせて モニタリング結果を踏まえた省エネ診断 省エネ化提案を実施し モニタリングシステムの有用性を示した (1) モニタリングシステム 1 モニタリングシステム概要本調査においては 需要家サイドのエネルギーの効果的利用を促すため エネルギーモニタリングシステムの導入を実施した Melia Bali Villas & Spa Resort においてはエネルギーの使用量については計測しているが 1 日の使用量を把握しているレベルであり 時間帯ごとのエネルギー使用量を把握できていない モニタリングシステムにより各時間帯 平日 休日などの電力使用量の見える化 及びデータベース化することにより それぞれの条件下における電力使用量の把握を実施した モニタリングシステムにさまざまな種類があるが 安価にシステム導入できること 日本での管理が可能であることから ASP (Application Service Provider) 方式のモニタリングシステムを採用した 本事業においては 株式会社 NTT ファシリティーズの ASP 方式のモニタリングシステ 40

50 ムである Remoni ( リモニ ) を利用した Remoni のシステム構成 及びサービス提供モデルを図 に示す 図 エネルギーモニタリングサービス Remoni Remoni の特徴は下記のとおりである 1 拠点少点数から全国複数拠点の詳細管理まで柔軟に対応可能 ASP 方式のため初期投資が抑えられ 少点数から多点計測まで対応でき 計測点の増設も容易 また インターネットの利用により クラウド上で一元管理することにより 報告書対応の計測から省エネ施策立案 運用対応の詳細計測等 エネルギー管理戦略の変化に対応可能 既存のインターネット接続環境をそのまま利用インターネット接続環境があれば新たに回線を引く必要がなく 既存回線での計測データの通信や閲覧が可能 PULL 型のデータ通信方式 SSL 暗号化通信でセキュリティを担保 幅広い用途に対応一般的なセンサの信号に対応し 幅広い用途への利用を実現 また 手入力データによる管理にも対応 電力量だけではなく 温度や湿度 CO2 濃度等もモニタリングできるので 総合的なエネルギーの分析評価等にも利用可能 デマンドレスポンスへの対応デマンドレスポンスによる接点制御 snmp(simple Network Management Protocol: 制御方式の一つ ) 等を利用した機器制御が可能 2 モニタリングシステム構成装置本システムは産業用マルチコントローラ 電力マルチ変換器により構成されている また 本システムは ASP 方式のシステムであるため 常時 インターネットに接続する必要がある 本事業は実施期間が短いことから インドネシア国内で販売されているモバイルルータを活用することにより 簡易にインターネット環境を構築した それぞれの詳細については下記のとおりである 41

51 a. 産業用マルチコントローラ株式会社コンテック製の産業用マルチコントローラ (MC-310B-DC355) の外観 仕様等を下記に示す 各部の名称と機能 図 産業用マルチコントローラ (MC-310B-DC355) 図 産業用マルチコントローラの各部の名称と機能 42

52 図 通信コネクタ (RS-422/RS-485 用 ) 図 外部拡張コネクタ ( アナログ入力 デジタル入出力用 ) 43

53 表 機能仕様 44

54 b. 電力マルチ変換器タケモトデンキ株式会社製の通信付電力マルチ変換器 (TWPM) の外観 仕様等を下記に示す 電力マルチ変換器 (TWPM) 専用クランプ CT センサ 図 通信付電力マルチ変換器 (TWPM) CT センサ 図 通信付電力マルチ変換器 (TWPM) の外形図 / 端子配列図 45

55 図 通信付電力マルチ変換器 (TWPM) の外形図 / 端子配列図 入力仕様 - 電圧定格 : AC110V( 最大電圧 AC150V) AC220V( 最大電圧 AC300V) 消費 VA : AC110V AC V 0.1VA 以下 / 相 AC220V 0.1VA 以下 / 相過電圧強度 : 定格電圧の 2 倍 (0.5 9 回 +5 秒 1 回 ) 1.2 倍 (2 時間 ) - 周波数定格 : 50/60 共用 出力仕様 - RS-485 通信出力通信規格 : RS-485 伝送距離 : 1km 以下 ( 最大 32 台 ) 伝送ケーブル : シールド付より対線 (CPEV-S0.9φ) 終端抵抗 : 100Ω 内蔵 ( 端子短絡で終端抵抗オン ) 通信速度 : bps 同期方式 : 調歩同期方式通信制御方式 : ポーリングセレクション方式 ( 半二重 ) 使用コード : ASCII データ形式 スタートビット :1 ビット データ : 7 ビット パリティビット : 偶数 ストップビット :1 ビット 46

56 - Modbus 通信出力 ( 開発中 ) 通信規格 : RS-485(Modbus) 伝送距離 : 1km 以下 ( 最大 32 台 ) 伝送ケーブル : シールド付より対線 (CPEV-S0.9φ ) 終端抵抗 : 100Ω 内蔵 ( 端子短絡で終端抵抗オン ) 通信速度 : bps 同期方式 : 調歩同期方式 通信制御方式 : ポーリングセレクション方式 ( 半二重 ) 伝送モード : RTU データ形式 スタートビット :1 ビット データ : 8 ビット パリティビット : 無 偶数 奇数 ストップビット :1, 2 ビット 設置仕様消費電力電源 AC85 ~ 264V DC85 ~ 143V 4VA 以下 使用温度範囲 : -10~ 55 使用湿度範囲 : 30~85% RH( 結露無きこと ) 寸法 : W72 H112 D50 質量 : 約 200g 性能 - 階級 固有誤差 ( デジタル表示 アナログ出力 ) 注 )CT センサの誤差は含まない 47

57 - 許容限度 注 )CT センサの誤差は含まない - 応答時間 : 4 秒 ( 最終値の ±1% 以内に納まる時間 ) - 絶縁抵抗 : 50MΩ 以上 / DC500V メガー 電気回路一括 アース端子 クランプ CT 一次側 他回路端子一括 アース端子 VT 入力端子一括 他回路端子一括 アース端子 補助電源端子一括 他回路端子一括 アース端子 通信回路端子一括 アース端子 - 耐電圧 : AC2210V 50/60Hz 5 秒 電気回路一括 アース端子 クランプ CT 一次側 他回路端子一括 アース端子 VT 入力端子一括 他回路端子一括 アース端子 補助電源端子一括 他回路端子一括 アース端子 通信回路端子一括 アース端子 - 雷インパルス : 電圧波形 1.2/50μs 全波電圧 ±5kV 電気回路一括 アース端子 VT 入力端子一括 通信回路端子一括寸法 : W72 H112 D50 質量 : 約 200g c. モバイルルータ D-Link 製のモバイルルータ (DWR-112) USB 外付け 3G アダプタ (DWM-156) の外観 仕様等を下記に示す 48

58 D-Link 製のモバイルルータ USB 外付け 3G アダプタ (DWR-112) (DWM-156) 図 モバイルルータ (DWR-112) USB 外付け 3G アダプタ (DWM-156) 技術仕様 - モバイルルータ (DWR-112) 49

59 - USB 外付け 3G アダプタ (DWM-156) 2 設置状況 Melia Bali Villas & Spa Resort における電力量の計測箇所について説明する まず ホテル全体の電力使用量を計測するため 受電トランス No.1 NO.2 No.3 を計測ポイントとした また 省エネ提案を実施することから 電力使用量が大きいと思われる設備である チラー設備 および海水淡水化のための 逆浸透設備 (Reverse Osmosis 設備 以下 RO 設備 ) も計測ポイントとした モニタリングシステムの設置状況を図 図 に示す 50

60 図 受電トランス No.1 NO.2 No.3 及び RO への設置状況 図 チラーへの設置状況 4 エネルギーモニタリングシステム導入結果エネルギーモニタリングシステムを設置することにより 各時間帯のエネルギー使用量を把握し 省エネの可能性を検討した 2013 年 12 月 9 日 ~2014 年 1 月 9 日までのモニタリング結果を以下に示す なお 以下のモニタリング結果で示す年月日 時刻は全て日本時間である 51

61 2013/12/9 2013/12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /1/1 2014/1/2 2014/1/3 2014/1/4 2014/1/5 2014/1/6 2014/1/7 2014/1/8 2014/1/9 [kwh] a. ホテル全体の電力使用量ホテル全体における日別電力使用量を図 に示す 28,000kWh 以上の日については橙色 それ以外は青色で表示している 同図より 年末年始である 2013 年 12 月 28 日 ( 土 ) ~2014 年 1 月 1 日 ( 水 ) と 1 月 5 日 ( 水 )~1 月 9 日 ( 木 ) の電力使用量が高くなっている 30,000 29,000 28,000 27,000 26,000 25,000 24,000 23,000 22,000 図 ホテル全体における日別電力使用量 次に 曜日別の電力使用量の平均を図 に示す ただし 年末年始の 12 月 30 日 ( 月 ) 12 月 31 日 ( 火 ) 1 月 1 日 ( 水 ) の 3 日間を日曜日のデータに含めている 日曜日が最大 土曜日が 2 番目に大きく 一方で月曜日が最小となっており ホテル滞在者数の増減の影響が考えられる 28,500 28,000 27,500 27,000 26,500 26,000 25,500 25,000 MON TUE WED THU FRI SAT SUN+ 図 ホテル全体における曜日別電力使用量 (12/30, 12/31, 1/1 を日曜日データに含めた場合 ) また 図 より 電力使用量の多い日と少ない日を抽出 それぞれ平均し 時間別の電力使用量の比較を行った 電力使用量が多い日としては 28,000kWh 以上である

62 2013/12/9 2013/12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /1/1 2014/1/2 2014/1/3 2014/1/4 2014/1/5 2014/1/6 2014/1/7 2014/1/8 2014/1/9 [kwh] 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 [kwh] 年 12 月 28 日 ( 土 )~2014 年 1 月 1 日 ( 水 ) 1 月 9 日 ( 木 ) の 6 日間とした これを日群 A とする 電力使用量が少ないとしては 26,000kWh 以下である 2013 年 12 月 16 日 ~ 12 月 18 日 12 月 23 日 12 月 26 日の 5 日間とした これを日群 B とする 日群 A B それぞれについて 電気使用量を 1 時間ごとに平均してグラフ化すると 図 のようになった 日群 A B ともに 9 時 ~10 時頃と 18 時頃にピークが認められることから 1 日の電力使用量が多い日も少ない日も ピークの時間帯に大きなずれはないことがわかる 日群 A 日群 B 図 ホテル全体で 1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 A) と少ない日 ( 日群 B) それぞれにおいて平均した時間帯別電力使用量 b. チラー設備の電力使用量チラー設備の日別電力使用量を図 に示す 計測日の平均をとると ホテル全体における平均の約 3 分の 1 であった 9,500kWh 以上の日については橙色 それ以外は青色で表示している 2013 年 12 月 28 日 ~12 月 30 日はデータ欠損が生じている 傾向としては 日曜日である 2013 年 12 月 15 日 12 月 22 日および年初めの 2014 年 1 月 1 日 ~1 月 7 日の使用量が多い 11,000 10,500 10,000 9,500 9,000 8,500 8,000 7,500 7,000 6,500 6,000 5,500 5,000 図 チラー設備の日別電力使用量 53

63 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 [kwh] [kwh] 次に 曜日別の電力使用量の平均を比較したものを図 に示す ただし 1 月 1 日 ( 水 ) は日曜日のデータに含めている 日曜が最大 土曜が 2 番目という点はホテル全体の電力使用量と同様である しかし 滞在者数が最も少ないであろう月曜日の電力使用量が 3 番目に多いことなど 原因をより詳細に調査してチラーの運転最適化を検討する余地があると考えられる 11,000 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 MON TUE WED THU FRI SAT SUN 図 チラー設備の曜日別電力使用量 (1/1 を日曜日データに含めた場合 ) チラーの電力使用量が多い 2013 年 12 月 15 日 ( 日 ) 12 月 22 日 ( 日 ) 2014 年 1 月 1 日 ( 水 )~1 月 7 日 ( 火 ) を日群 C とする また 使用量の少ない 2013 年 12 月 13 日 ( 金 ) 12 月 16 日 ( 月 )~20 日 ( 金 ) 12 月 24 日 ( 火 )~26 日 ( 金 ) を日群 D とする 日群 C と日群 D について チラー設備の電力使用量を 1 時間ごとに平均してグラフ化したものを図 に示す ともにピークは現れていないことから 当ホテルのチラー設備は時間帯によるピークの生じない電力負荷であることがわかる 日群 C 日群 D 図 チラー設備の 1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 C) と少ない日 ( 日群 D) それぞれにおいて平均した時時間帯別電力使用量 54

64 [kwh] 2013/12/9 2013/12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /1/1 2014/1/2 2014/1/3 2014/1/4 2014/1/5 2014/1/6 2014/1/7 2014/1/8 2014/1/9 [kwh] c. RO 設備の電力使用量 RO 設備の日別電力使用量を図 に示す 計測日の平均をとると ホテル全体における平均の約 19 分の 1 であった 1,700kWh 以上の日については橙色 それ以外は青色で表示している 1,700kWh 以上の値を取る日は 12 月 24 日 ( 火 ) と 1 月 9 日 ( 木 ) が平日であるが その他 5 日間は土日および年末年始である 逆に 1,000kWh 未満の日は 12 月 18 日 ( 水 ) 12 月 22 日 ( 日 ) 12 月 23 日 ( 月 ) 12 月 26 日 ( 木 ) であり 平日の各曜日に分散している 2,000 1,900 1,800 1,700 1,600 1,500 1,400 1,300 1,200 1,100 1, 図 RO 設備の日別電力量 次に 曜日別の電力使用量の平均を比較したものを図 に示す ただし 年末年始で値の大きい 12 月 30 日 ( 月 ) 12 月 31 日 ( 火 ) 1 月 1 日 ( 水 ) を日曜日のデータに含めている このグラフでは火曜日が最大となっており 次に土日の値が大きい サンプル数が少ないこともあり 平日と土日との使用量の大小関係に傾向を捉えることは困難である MON TUE WED THU FRI SAT SUN 図 RO 設備の曜日別電力使用量 (1/1 を日曜日データに含めた場合 ) 55

65 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 [kwh] RO 設備の電力使用量が多い 2013 年 12 月 24 日,12 月 28 日,12 月 29 日,12 月 31 日, 1 月 4 日,1 月 5 日,1 月 9 日を日群 E とし 使用量が小さい 12 月 18 日 12 月 22 日 12 月 23 日 12 月 26 日を日群 F とする 日群 E と日群 F について RO 設備の電力使用量を 1 時間ごとに平均してグラフ化したものを図 に示す 日群 E ではピークは 20 時頃に現れているのに対して 日群 F は 7 時 ~12 時と 18 時頃に現れており 日によってピークにずれが生じることがわかる 日群 E 日群 F 図 RO 設備の 1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 E) と少ない日 ( 日群 F) それぞれにおいて平均した時間帯別電力使用量 d. その他設備の電力使用量全体の電力使用量からチラー分および RO 設備分を除いた日別電力使用量を図 に示す 計測日の平均をとると ホテル全体における平均の約 2 分の 1 であった 16,500kWh 以上の日については橙色 それ以外は青色で表示している 16,500kWh 以上の日は平日および土日に分散しており 傾向を掴むことは難しい 12 月 31 日がその他の日と比較して非常に高い値となっており ホテル滞在者数が多かった以外に特異的な電気の使用がなされたものと考えられる 56

66 [kwh] 2013/12/9 2013/12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /12/ /1/1 2014/1/2 2014/1/3 2014/1/4 2014/1/6 2014/1/7 2014/1/8 2014/1/9 [kwh] 19,000 18,500 18,000 17,500 17,000 16,500 16,000 15,500 15,000 14,500 14,000 図 その他設備の日別電力量 次に 曜日別の電力使用量の平均を比較したものを図 に示す ただし 年末年始の 12 月 30 日 ( 月 ) 12 月 31 日 ( 火 ) 1 月 1 日 ( 水 ) を日曜日のデータに含めている 月曜日が小さな値を取っている以外に 特徴的な傾向は見られない MON TUE WED THU FRI SAT SUN+ 図 その他設備の曜日別電力使用量 (1/1 を日曜日データに含めた場合 ) その他設備の電力使用量が大きい 2013 年 12 月 13 日,12 月 19 日,12 月 20 日,12 月 21 日,12 月 24 日,12 月 25 日,12 月 31 日,1 月 1 日,1 月 6 日 ~9 を日群 G とし 使用量が小さい 12 月 15 日 12 月 16 日 12 月 22 日 12 月 23 日 1 月 4 日を日群 H とする 日群 G と日群 H について その他設備の電力使用量を 1 時間ごとに平均してグラフ化し 57

67 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 6:00 7:00 8:00 9:00 10:00 11:00 12:00 13:00 14:00 15:00 16:00 17:00 18:00 19:00 20:00 21:00 22:00 23:00 たものを図 に示す 日群 G H ともに 9 時 ~10 時頃と 20 時頃にピークが認められることから これら設備については 1 日の電力使用量が多い日も少ない日も ピークの時間帯に大きなずれはないことがわかる 日群 G 日群 H 図 その他設備の 1 日の電力使用量の多い日 ( 日群 G) と少ない日 ( 日群 H) それぞれにおいて平均した時間帯別電力使用量 5 エネルギーモニタリングを活用した省エネとピークカット a. インドネシアの電気料金インドネシアにおける電気料金は 18 時から 22 時の間にピーク料金が適用されており その他の時間帯の 1.5 倍の料金となっている また 2014 年 5 月 1 日より電気料金の値上げ 補助金の打ち切りなどが政府で計画されているため 需要家にとって省エネ対策およびピークカット対策は企業経営におけるコストカット施策としてさらに重要性が高まることは必至である より効果の高い対策を講じるには まずはエネルギーモニタリングにより現状の電力の使い方を 見える化 することが必要不可欠である b. 省エネ施策効果の高い省エネ施策を実施するには 適切な対象設備の選定が必要である 当ホテルのチラー設備は 全体の電力使用量の 3 分の 1 を占めるが ヒアリング調査によると設備の経年劣化が著しく本来の冷却能力を発揮できていない懸念がある したがって チラー設備の更改がホテル全体の省エネ化に大きく貢献すると考えられる 一方 RO 設備は全体の電力使用量の 16 分の 1 程度であるので 省エネ化の優先度は比較的低い 次章において エネルギーモニタリング結果に基づくチラー設備更改の提案内容についてまとめる c. ピークカット施策エネルギーモニタリングにより実際の電力使用量のピーク時間帯を発見することができ 的確な対策を講じることが可能となる 当ホテルにおいて 最大ピークは 18 時頃 2 番目のピークは 9~10 時頃に現れていることを確認した 18 時以降は電力会社のピーク料金が適用される時間帯にも含まれるため 対策の優先度が高いといえる 今回の計測により チラー設備は電力使用量でホテル全体の 3 分の 1 を占めるが 一日を通じてほぼ一定の電力負荷でありピークを生じないことがわかった また RO 設備は電力使用量でホテル全体の 16 分の 1 に過ぎない上に 日によってピークにずれのある負荷であることがわかった どちらの設備についてもホテル全体のピークとの相関は低い 一方で 今回計測対象としなかった他の設備の時間帯別電力使用量においては 9~10 58

68 時頃と 20 時の 2 つのピークが存在した 9~10 時のピークについては全体における 2 番目のピークと同時間帯であることからこれら設備のピーク抑制が 全体のピーク抑制につながると考えられる 一方で午後のピークは全体のピークと数時間のずれがあることから 直接の影響があるとは考えにくく より詳細な検討が必要となる このように ホテル全体のピークに相関の高い負荷を絞り込んでいくことにより より具体的なピークカット施策 例えばピーク時間帯の運転抑制や発電機や蓄電池設備への電源切り替えシステム導入等 について検討を進めることが可能となる (2) 省エネ提案今回の省エネ提案内容については下記のとおり 図 省エネ提案計画の目標 本プロジェクトによる省エネ提案計画の目標を図 に示す 省エネが主目標であるが スマートコミュニティ形成の可能性を探るため ピーク需要のシフト対応や コスト削減 再生可能エネルギー利用 CO2 排出量削減も計画の目標とした 既存の熱源廻りのシステムと改修後のシステムのイメージの比較を図 に示す 基本的な系統は崩さず 既存の基本的なシステムに効果的に組み込むことにより 投資コストを抑制できると考えられる 59

69 既存システムと更改システムのイメージ比較 改修前イメージ 改修後イメージ 図 既存システムと更改システムとのイメージ比較 60

70 オフピーク時の冷温水製造及び蓄熱 - オフピーク時に冷水及び温水を製造した熱をストレージタンクに蓄熱 - ピーク時においてストレージタンクに蓄えられた冷熱及び温熱を循環利用 - 夕方から夜にかけての電力ピーク需要を低減 日中の太陽熱利用による温水製造 - 当国内では十分なエネルギー源として有効活用が可能な太陽熱利用による温水製造 - 日中時に十分な日射熱が得られる場合には 既存のボイラやヒートポンプ給湯器等の加熱機器を運転させることなく 温水製造が可能 - ピーク時の電力需要の低減効果を得られ 電力消費量自体も低減できる チラーの冷却水による加温システム - 冷却塔より排熱されるチラーの冷却排熱 (30 以上の温水 ) を給湯タンクへの補給水へ熱交換器を介して熱交換させる - 加熱機器で使用するエネルギーの低減を図ることが可能 - 冷却塔による排熱量も低減され 冷却補給水量の削減と冷却塔のファン動力も削減 既存の熱源機械室等の周囲状況を図 に示す チラー ポンプ類 給湯タンクは熱源機械室に収容され 冷却塔はテニスコートを隔てたエリアに設置されている エンジニアリングオフィスの隣は建物があるが 積極的に使用されておらず 更改に際しては撤去する等が可能となっている 図 既存の熱源機械室等周囲状況 エネルギー見える化システムより得られたデータに基づき 日積算消費電力量を示したグラフ ( 図 ) をもとに年間消費電力量を推定した チラー更改による CO2 削減効果は 61

71 年間のエネルギー削減を 25% とすると 図 に示すとおりである 電力エネルギーによる CO2 排出係数を 0.7kg-CO2/kWh/year とすると 年間 CO2 削減量は 578.6t-CO2/year と推定される 図 チラー更改による年間 CO2 削減量の試算 4.3 事業スケジュールフェーズ 1( 調査 ) フェーズ 2( 実証 ) フェーズ 3( 水平展開 ) フェーズ 4( 新規事業 ) の順にビジネス展開を目指す ( 表 Ⅱ.1-1) フェーズフェーズ1 ( 調査 ) フェーズ2 ( 実証 ) フェーズ3 ( 水平展開 ) フェーズ4 ( 新規事業 ) 表 事業スケジュール事業内容ヌサドゥア地区の Melia Bali Villas & Spa Resort に見える化システムを導入し有用性を確認バリ州の 4 つ星 5 つ星ホテル等に見える化システムを導入 実証し有用性を確認しつつビジネス展開ジャカルタ スラバヤ バンドン等の主要都市のホテル オフィス等に見える化システムを導入し ビジネス展開 Building Energy Management System(BEMS) アグリゲータとして収益を上げ 新規市場を開拓 (1) フェーズ 1( 調査 ) 本調査事業においては インドネシア国内において見える化システムの有用性を理解してもらうために 株式会社 NTT ファシリティーズの見える化システム (Remoni) を導入し モニタリングを実施した 62

72 本調査事業においては 期間の制約があり 見える化システムを 1 ホテル全体 及び 電力使用量が大きいと考えられる 2 チラー ( 空調用 ) 3RO(reverse osmosis) システムのみのモニタリングとした Melia Hotel グループは インドネシア国内の 4 か所 (Bali:2 か所 Jakarta:1 か所 Yogyakarta:1 か所 ) のホテルを含め アジアエリアには複数のホテルを運営している Melia Hotel グループのアジアエリア設備管理責任者は 通常 上海にいることから 遠隔地から複数のホテル一括管理ができることを理解いただいた Melia Bali Villas & Spa Resort の担当者からは 時間帯ごとのエネルギー使用量を把握することにより 電気料金の高い時間帯の省エネ化 もしくはピークシフトのための分析が可能となることを理解して頂いた (2) フェーズ 2( 実証 ) フェーズ 2( 実証 ) では BHA PLN バリ等と連携し 複数のホテル オフィスを対象として実証事業を実施して システムの有用性を理解して頂くとともに ビジネスを展開する 本調査事業において Melia Bali Villas & Spa Resort には有用性を理解いただくことができた これに続き Melia Bali Villas & Spa Resort におけるモニタリング結果を BHA バリ州内のホテル PLN バリ等へ紹介することにより 今後の展開を検討した 興味を示していたものの 設置実績が 1 軒のみであること 設置期間が短いことから すぐに販売をすることは難しいという反応であった 一方で 前述のとおり 2013 年 9 月ごろから複数の欧米企業が政府機関と協力するなどの方法で実証事業等を活用することにより 見える化システムを導入するなどの実績づくりを進めている 今後は実証事業を通して 複数のホテル オフィスにデモンストレーション導入を実施することにより さらにシステムの有用性を理解してもらうことが望ましい 現在 日本において検討 試験導入が実施されている 日本版 ADR(Automated Demand Response: 自動需要応答 ) についても インドネシアを実証サイトとして PLN と共同で実証事業を実施することにより インドネシアへの日本版 ADR システムのインフラ輸出の足掛かりをつかむと同時に 現地のデファクトとするように働きかけることが可能となる (3) フェーズ 3( 水平展開 ) 実証事業フェーズの結果をもとに 見える化システムの水平展開を進める 同時に 見える化システムの O&M 体制を構築し サービス展開を目指す インドネシアの状況としては 4 つ星 5 つ星ホテル等は ホテルの電気料金は 引き続きが上昇することが PLN から発表されており 実証事業において見える化システムの有用性を ホテル オフィスオーナー等の顧客候補に理解していただければ 見える化システムを導入すると考えられる 併せて モニタリングシステムを活用した 省エネ診断 省エネ化提案を実施し 日本の得意とする省エネ技術型のチラーや照明等の設備更改等についての事業展開も進める (4) フェーズ 4( 新規事業 ) DR 事業展開を目指し 現状の電力料金メニューを元に PLN と協力してインドネシアでの DR プランの検討 開発を進める プラン作成については モニタリングシステムの導入開始と同時に進め 新規事業フェーズ開始前に決定をする 現在 インドネシア政府は 電気料金高騰を抑えるため多額の税金を投入していることから プランの作成については PLN だけでなく 政府機関も巻き込みながら進める必要がる DR 事業に必要となるシステムは 水平展開フェーズにおいて導入された見える化システムを活用可能である DR 事業展開後 NTT ファシリティーズは BEMS アグリゲータとしてのビジネス展開を進める 63

73 4.4 5 ヶ年程度の事業計画事業計画を図 に示す 先ずは 実証事業を実施し その後モニタリングシステムの販売 設計 施工 及びシステムの O&M によるビジネス展開を進めることとする 本調査事業に参画した株式会社 NTT ファシリティーズは インドネシア国内にジャカルタに事務所を設立している 実証事業 事業展開については NTT ファシリティーズインドネシア事務所を中心に実施する 図 事業計画 インフラ システム輸出については 国の根幹に関わるシステムであることから 1 社のみでのビジネス展開は困難であると考えられる 先述の通り 欧米企業においては 実証事業等によるデモンストレーションを活用しマーケット開拓を進めている 日本においても 官民連携体制をとり 日本版 ADR システムのインドネシアへの普及に向けて実証事業等を活用することにより 短期間でのインフラ システム導入を進める手法を検討する必要がある 本事業展開のために 日本 インドネシア両国で運用体制を整える モニタリングシステムのサーバは 24 時間 365 日体制での対応が可能な 日本国内にある NTT ファシリティーズの FOC( ファシリティーズオペレーションセンタ ) で管理をしている データ分析等のビジネス展開のためにも データを日本で管理する方針は変更しないが インドネシア事務所にバックアップ用途としてのサーバ インドネシア国内対応のためのコールセンタを設置する バリ州における 2016 年度以降の売上計画を表 に示す 2015 年度は実証事業での実施であることから 売上計画から除外する 売上計画は下記条件により算出した 1 件当たりの規模は Melia Bali Villas & Spa Resort と同等規模として算出 モニタリングシステム : バリの 4 つ星 5 つ星ホテルの 8-9 割程度に設置 モニタリングシステム使用料 +DR: 日本と同程度の料金で計算 チラー販売 : 工事費用を含む その他省エネ機器 :DR 用蓄熱タンク ( 温水 冷水 ) 太陽熱利用システム等 O&M: モニタリングシステム チラー 省エネ機器に対する保守 メンテナンス 64

74 表 バリ州における売上計画 ( 百万円 ) 年後の目指すべき姿 ビジョンモニタリングシステム販売と同時に フェーズ 3 で PLN との DR プランの検討を進めておくことにより バリ州において DR 事業展開を優先的に進めることが可能となる DR 事業のために必要となるモニタリングシステムは フェーズ 3 において導入されているため ホテル等の顧客は新たな投資は不要である 先ずは DR 事業を展開しつつ 発電事業 電力小売り事業などについての展開可能性についても検討を進める 発電事業については 電力自由化 需給ひっ迫に伴い IPP 誘致などを進めているが 電力小売り ( 第三者へ電力を供給 ) はインドネシア国の電力法として可能とされているものの 事例がない状況であることから 政府機関等へ働きかけつつ インドネシアにおける電力事業展開を進めることとしたい さらに バリ州の成功事例を基に 今後 エネルギー使用量がひっ迫すると考えられるインドネシア各都市 及び東南アジア諸国での DR 事業展開を目指す バリ州における成功事例を 1PLN をパートナとしてインドネシアの主要都市部に展開 2 モニタリングシステムを導入したバリ州のホテルを顧客ターゲットとして東南アジア各地に展開 をバリ州以外の展開エリアとする 1 インドネシア主要都市部 : ジャカルタ スラバヤ バンドン ジョグジャカルタ メダン等バリ州において実施する DR 事業を成功事例として PLN と共同でインドネシア国内への展開を目指す 主に対象はホテル オフィスビルを想定しているため 都市部 観光地を想定する 2 東南アジア諸国 : タイ マレーシア ベトナム フィリピン等 Melia Hotel グループは バリ州に Melia Bali Villas & Spa Resort(5 つ星 ) と Melia Benoa(5 つ星 ) という 2 つのホテルを保有する また ジャカルタ ジョグジャカルタにもそれぞれ 1 つホテルを有し インドネシアに計 4 つのホテルを保有する インドネシア以外の東南アジア諸国への展開については 先ず バリ州で導入した Melia Hotel グループの他のエリア ( インドネシア ( ジャカルタ ジョグジャカルタ ) マレーシア ( クアラルンプール ) ベトナム ( ハノイ ) 等 ) への展開を進める Melia Hotel グループは アジアエリアにある全ての Melia Hotel をチーフエンジニアが管理しており モニタリングシステムによりホテルの面的管理ができるなどのメリットもあることから 価値を訴求できると考えられる 4.6 国内外企業によるコンソーシアム形成及び役割分担株式会社 NTT ファシリティーズ (NTT-F) が保有するインドネシア事務所において 主体的に事業展開を進める しかし インドネシアの外資規制において 小規模な設計 コ 65

75 ンサルティングについては ネガティブリスト 投資において外資参入が認められない事業分野 および条件付きで外資参入が認められる事業分野 に該当する可能性が高いこと また 工事においては国内のエンジニアリング企業とジョイント オペレーションを組む必要があることから 現地事業会社との協業が必要となる モニタリングシステム導入においては イニシャルコスト低減のために ESCO スキームの活用もあり得ることから ESCO 会社との協業の可能性もある NTT ファシリティーズ等のコンソーシアムのインドネシア国内におけるモニタリングシステム販売展開 及び DR 事業展開のために 三菱総合研究所は NTT ファシリティーズの現地での事業化について 実施可能性についての調査および今後の事業プラン構築の支援を行う 三菱 UFJ モルガン スタンレー証券は 事業計画構築におけるホテルや地場 ESCO 関連会社の出資等の資金調達に関するアドバイスなどを行う 図 事業実施体制 ( 案 ) 4.7 相手国政府 企業とのネットワーク及び協力関係の構築状況本事業について MEMR 省エネルギー部 バリ州エネルギー鉱物資源局 PLN バリ BHA 等に説明を行い 協力依頼を行った いずれの機関も非常に関心が高く 今後 計画している実証事業について協力を頂けることとなった BHA は 主にバリ州の 5 つ星 4 つ星のホテル等が会員であり 会員ホテル数は 124(2014 年 3 月現在 ) である BHA を通じて 5 つ星 4 つ星ホテル等のジェネラル マネジャー (GM) やチーフエンジニア (CE) にアクセスすることが可能となる 具体的には BHA が GM や CE を対象としたワークショップを開催し 我々がこのワークショップにおいて様々な製品やサービスを紹介することができる BHA の会員ホテル名 ( 合計 124) を表 に示す 5 つ星ホテルが 58 4 つ星ホテルが 37 3 つ星ホテルが 14 2 つ星ホテルが 1 その他が 14 である 表 BHA の会員ホテル名 ( 合計 124) No. ホテル名 星 1 Aerowisata Sanur Beach Bali 5 2 Alila Villas Soori 5 3 Alila Villas Uluwatu 5 4 Amandari 5 5 Amankila Resort 5 66

76 6 Amanusa Resort 5 7 Anantara Seminyak Bali 5 8 AYANA Resort and Spa Bali 5 9 Ayodya Resort Bali 5 10 Banyan Tree Ungasan 5 11 Bulgari Hotels and Resorts Bali 5 12 Como Shambala Estate at Begawan Giri 5 13 Conrad Bali 5 14 Discovery Kartika Plaza Hotel 5 15 Four Seasons Resort Jimbaran 5 16 Gending Kedis Luxury Villas & Spa Estate 5 17 Grand Aston Bali Beach Resort 5 18 Grand Hyatt Bali 5 19 Grand Nikko Bali 5 20 Hard Rock Hotel Bali 5 21 Holiday Inn Resort Baruna Bali 5 22 Inna Grand Bali Beach 5 23 InterContinental Bali Resort 5 24 JIMBARAN PURI BALI 5 25 Kamandalu Resort & Spa 5 26 Karma Kandara 5 27 Kayumanis Jimbaran Private Estate & Spa 5 28 Kuta Paradiso Hotel 5 29 Le Meridien Bali Jimbaran 5 30 Maya Ubud Resort & Spa 5 31 Melia Bali Villas & Spa Resort 5 32 Novotel Bali Benoa 5 33 Novotel Nusa Dua - Bali Hotel & Residences 5 34 Nusa Dua Beach Hotel & Spa 5 35 O-CE-N Bali by Outrigger 5 36 OCEAN BLUE HOTEL BALI 5 37 Padma Resort Bali at Legian 5 38 PAN PACIFIC NIRWANA BALI RESORT 5 39 Patra Jasa Bali Resort & Villas 5 40 PULLMAN BALI LEGIAN NIRWANA 5 41 Ramada Bintang Bali Resort 5 42 Sheraton Bali Kuta Resort 5 43 Sol Beach House Benoa Bali - All Inclusive 5 44 The Bale 5 45 The Chedi Club Ubud 5 46 The Laguna, A Luxury Collection Resort & Spa 5 47 The Legian 5 48 The Oberoi, Bali 5 49 The Royal Beach Seminyak 5 50 The Samaya Bali 5 51 The Seminyak Beach Resort & Spa 5 52 The St. Regis Bali Resort 5 53 The Stones Legian Bali, Autograph Collection Hotels 5 54 The Villas at Bali National Golf Club 5 55 The Westin Resort Nusa Dua 5 56 Uma Ubud 5 67

77 57 W Bali-Seminyak Retreat & Spa 5 58 Warwick Ibah Luxury Villas & Spa 5 59 Alila Ubud 4 60 All Seasons Denpasar Bali 4 61 AMADEA RESORT & VILLAS 4 62 Amarterra Villa Bali Nusa Dua 4 63 Bali Dynasty Resort 4 64 Bali Garden Beach Resort 4 65 Bali Mandira Beach Resort & Spa 4 66 Bali Tropic Resort & Spa 4 67 Club Med 4 68 Courtyard by Marriott Bali Nusa Dua 4 69 Fontana Hotel Bali 4 70 Grand Balisani Suites 4 71 Grand Istana Rama 4 72 Harris Hotel & Residences Riverview Kuta 4 73 HARRIS Hotel Bukit Jimbaran Bali 4 74 HARRIS Resort Kuta Beach 4 75 IZE Seminyak 4 76 Keraton Jimbaran Resort & Spa 4 77 Kupu Kupu Barong Villas & Tree Spa 4 78 Legian Beach Hotel 4 79 Mantra Nusa Dua 4 80 MERCURE BALI HARVESTLAND KUTA 4 81 MERCURE BALI NUSA DUA 4 82 Mercure Kuta Beach Bali 4 83 Mercure Resort Sanur 4 84 Park Regis Kuta 4 85 Ramada Resort Camakila Bali 4 86 Ramayana Resort & Spa 4 87 Risata Bali Resort & Spa 4 88 Sanur Paradise Plaza Hotel & Suites 4 89 The Breezes Bali Resort & Spa 4 90 The Elysian 4 91 The Grand Bali - Nusa Dua 4 92 The Haven Seminyak - Bali 4 93 The Menjangan 4 94 The Villas Bali Hotel and Spa 4 95 WakaGangga 4 96 Alila Manggis 3 97 All Seasons Resort Legian Bali 3 98 Batu Karang Lembongan Resort & Day Spa 3 99 Centra Taum Seminyak Bali Hai Tide Beach Resort HARRIS Hotel & Residences Sunset Road Bali Ibis Bali Kuta Ibis Styles Bali Benoa Ibis Styles Bali Kuta Circle Kayumanis Nusa Dua Private Villa New Kuta Hotel - A Lexington Legacy Hotel Sunari Villas & Spa Resort 3 68

78 108 THE 101 LEGIAN, BALI White Rose Hotel The Dusun Hanging Gardens Ubud Hotel Tugu Bali Karma Jimbaran Mara River Safari Lodge Puri Santrian Ramada Resort Benoa Bali Sentosa Private Villas and Spa The Amala The Bali Khama The Jayakarta Bali Beach Resorts, Residence & Spa The Kuta Beach Heritage Hotel, Bali - Managed by - Accor 122 The Pavilions Bali The Royal Santrian Villa de daun - ( 出所 )BHA ホームページより調査団作成 4.8 リスク分析バリ島のみならず インドネシアはエネルギー資源が豊富なうえ 政府が燃料及び電力料金に補助金をつけることでそれらの末端小売価格を安価に抑えてきた このため 国民の省エネルギーに努力するインセンティブは低い また 成長著しいインドネシアにおいて設備投資の多くは生産拡大に費やされてきた しかし 電気料金値上げの方針が政府より打ち出されてからというもの 各企業はエネルギーに関する価格および費用には大変敏感になってきている そのため 本調査で提案するエネルギーの見える化システム及び省エネ設備への需要は増加すると考えられる 本ビジネスは エネルギーのエンドユーザーに対し NTT-F のエネルギー消費の見える化サービスである Remoni を提供することで 施設における最適なエネルギー利用のシステムを提案し EPC サービスを提供するものである 当該事業は コンサルティングサービス及び EPC サービスを基本とするため 大規模事業に比べるとリスクは低いとも考えられるが いくつかのリスクについて以下のとおり分析する (1) エネルギー価格の変動リスク燃料補助金が国家財政を圧迫していることから 現政権のユドヨノ大統領は 2008 年及び 2013 年に同補助金の削減を断行 2013 年 6 月の削減では レギュラーガソリンはそれまでより 44% 軽油は 22% 値上げされた 電力への補助金については 補助金の段階的な解消策として 2013 年は四半期ごとに 6% の値上げとなった 使用電力の容量が 900VA を超えるすべての部門に対し 18% の値上げが実施され 9 この電力料金の値上げは 同国のエネルギー鉱物資源省 (MEMR) の 電力料金に係る省令 2012 年第 30 号 により規制されている 10 ホテル 観光部門において ほとんどのホテルは 国営電力会社 (Perusahaan Listrik Negara, PLN) の電力料金体系に規定されるビジネス部門の B-2 または B-3 に分類される B-2 は容量が 6.6 から 200kVA とされ 一般的に 60 室から 80 室を擁するホテルがこれにあたる B-3 は 容量 200kVA を超えるさらに大規模なホテルで 客室数が 100 を超えるものである 2014 年 3 月現在の料金設定では 分類 B-2 及び B-3 はそれぞれ 1kWh あたり 1,352 ルピアと 1,020 ルピアに設定されている この料金の違いは 分類 B-2 が PLN の

79 設備を用いて低電圧 (380V) で供給を受けているのに対し B-3 では中電圧 (20kV) で供給を受け 需要側が購入した変圧器で電圧を落とすことに起因する ピーク時電力料金 (Waktu Beban Puncak- 略称 WBP 18 時から 22 時の間 ) には K ファクターが 1.4 から 2.0 の範囲で乗じられる 現在のところ バリのホテルには 1.5 が適用されており 11 ホテルやホテル設備の所有者にとって より省エネ効果が高い革新的技術の導入は 喫緊の課題であるといえる 2014 年にも MEMR によって電力料金の引き上げが表 に示すように計画されている この値上げが実施されれば ホテル業界の電力料金は 2014 年に 38.9% 上昇し 12 同業界にとって大きなコスト増となる 表 MEMR による電力料金値上げ計画 (2014 年 2 月時点 ) 分類基準電力料金値上げ率 B2 商業 6,600VA 超 200kVA 未満 2014 年 5 月から新しく段階的に 38.9% の値上 B3 商業 200kVA 超げの可能性あり ( 燃料費調整制度の対象 2013 年には 10 月より四半期ごとに 4.3% の値上げ政府の建物 6,600VA 超が実施されている ) 200kVA 未満 I3 工業部門で 200kVA 超 38.9% I4 工業部門で 3 万 kva まで 64.7% 出所 :Jakarta Post 2014 年 1 月 22 日 ( 電子版 ) 及び調査団調査による 電力料金の値上げが継続されることから 高効率機器を導入できるようになるまでの間 ホテル業界は エネルギーに係る運営手法や行動様式などを改善することでエネルギーを節約し電力料金を抑える以外に術はない すなわち 設備使用者全員がエネルギー及び屋内環境に意識的に注意することで設備のエネルギー使用を最適化することが同業界にとって重要となる インドネシア政府は分類 B-2 及び B-3 を含む商業部門及び大量電力消費家庭 ( 値上げ幅 38.9%) 及び産業部門 ( 同 64.7%) を値上げ計画の対象とすることを承認しているが 現在 同値上げ計画は国民議会の承認待ちであり 同議会の承認によって初めて正式なものとなる ただし 2014 年 4 月には国民議会選挙が予定されており 選挙前後の値上げ計画の行方を注意深く見極める必要がある いずれにしても 電力料金の値上げは企業にとって大きな経営負担になるため 各企業とも省エネ政策への要望が急速に強まっている したがって エネルギーの見える化のサービス及び そのデータに基づく省エネ提案を求める声はさらに高まるであろう 今回の選挙により 本案が頓挫するなど 省エネへのインセンティブはエネルギー価格によって大きく左右されるため 2014 年 4 月の選挙の結果如何によっては 省エネに対するインセンティブに影響が及ぶリスクがある 表 に 2013 年以降の商業及び産業部門におけるインドネシアの電力料金体系を示す 11 Based on Interviews with hotels and facilities managers in Bali and Jakarta

80 表 インドネシアの電力料金体系 2013 年 2014 年 Note: Category Maximum Capacity Usage Costs 1 st Q, nd Q, r Q, th Q, *x) (estimated) IDR / kva / month IDR / kwh IDR / kwh IDR / kwh IDR / kwh IDR / kwh B-1 *) 1,300 VA ,200 VA ~ 5,500 VA ,048 1,100 1,100 B-2 **) 6,600 VA ~ 200 kva B-3 ***) Above 200 kva Blok I : 0 ~ 60 hours use Blok II : above 60 hours use Blok WBP = K x Blok LWBP = kvarh = ****) Blok LWBP = *) For all categories, minimum account payment is applied ( R M ) : R M 1 = 4 0 ( h o u r s u s e ) x C o n n e c t e d p o w e r ( k VA ) x p e r k W h C o s t * * ) F o r B u s i n e s s ( B - 2 ) c a t e g o r y, m i n i m u m a c c o u n t p a y m e n t i s a p p l i e d ( R M ) : R M 2 = 4 0 ( h o u r s u s e ) x C o n n e c t e d p o w e r ( k VA ) x B l o k I p e r k W h C o s t * * ) F o r I n d u s t r y ( I - 2 a n d I - 3 ) c a t e g o r y, m i n i m u m a c c o u n t p a y m e n t i s a p p l i e d ( R M ) : R M 2 = 4 0 ( h o u r s u s e ) x C o n n e c t e d p o w e r ( k VA ) x B l o k LW B P p e r k W h C o s t * * * ) F o r B u s i n e s s ( B - 3 ) c a t e g o r y, m i n i m u m a c c o u n t p a y m e n t i s a p p l i e d ( R M ) : R M 3 = 4 0 ( h o u r s u s e ) x C o n n e c t e d p o w e r ( k VA ) x B l o k LW B P p e r k W h C o s t * * * ) F o r I n d u s t r y ( I - 4 ) c a t e g o r y, m i n i m u m a c c o u n t p a y m e n t i s a p p l i e d ( R M ) : R M 3 = 4 0 ( h o u r s u s e ) x C o n n e c t e d p o w e r ( k VA ) x p e r k W h C o s t * * * * ) E x c e s s C o s t o f t h e u s e o f r e a c t i v e p o w e r ( k VA r h ) i s a p p l i e d w h e n a v e r a g e p o w e r f a c t o r i s l e s s t h a n H o u r s u s e = k W h p e r m o n t h d i v i d e d b y c a p a c i t y o f c o n n e c t e d k VA K : f a c t o r d i f f e r e n c e b e t w e e n W B P a n d LW B P, d e p e n d i n g o n l o a d c h a r a c t e r i s t i c s o f t h e e l e c t r i c i t y s y s t e m i n t h e a r e a ( 1. 4 K 2 ), d e c i d e d b y B o a r d o f D i r e c t o r o f N a t i o n a l E l e c t r i c i t y C o m p a n y ( P L N ) W B P = Wa k t u B e b a n P u n c a k ( P e a k L o a d T i m e ) a t 1 8 : : 0 0 l o c a l t i m e LW B P = L u a r Wa k t u B e b a n P u n c a k ( O u t s i d e P e a k L o a d T i m e ) a t 2 2 : : 0 0 n e x t d a y l o c a l t i m e * x ) T h e t a r i f f s f o r i s b a s e d o n i n c r e a s e b y % f o r c a t e g o r y B - 2, B - 3 a n d I 3, a n d i n c r e a s e b y % f o r c a t e g o r y I - 4 出所 :PLN 1,035 1, ,245 1, ,013 1,310 1, ,067 1,352 1,878 I-1 *) 1,300 VA ,200 VA ,500 VA ~ 14 kva 961 1,009 1,059 1,112 1,112 I-2 **) 14 kva ~ 200 kva I-3 **) Above 200 kva I-4 ***) Above 30,000 kva Blok WBP = K x Blok LWBP = kvarh = ****) Blok WBP = K x Blok LWBP = kvarh = ****) Blok WBP = K x , ,020 1,020 1, , ,417 1,417 1, ,057 1,115 1,115 1,200 1,191 1,191 71

81 (2) サービス料金未回収リスク見える化のサービスの提供及び 取得データに基づいた省エネ施策提案に関するエンジニアリングサービスの提供契約の締結後 顧客の経営状況などによりサービス料金などの回収が困難になる可能性がある 顧客と同ビジネスの契約を締結する際に 顧客のデフォルトリスク 信用力などを審査し条件を付す 通常 融資などをする金融機関は エネルギー消費量の低い新技術や省エネ技術に関する情報と知識が不足している 特に海外からの新技術の場合 インドネシア国内の実績が少ないため ハイリスク案件と認識され 回収リスクを重要視する金融機関は融資に一層慎重となる また インドネシアでは 設備投資で使われるコーポレート ファイナンスにおける長期貸付期間は一般的に 5 年 ~7 年程度といわれており 投資回収にある程度時間がかかる省エネ案件の場合 貸出には至らない場合が多い 更に省エネ案件の場合 大規模設備の新設導入とは異なり 対象設備が小規模であったり 全体製造ラインの一部改修に留まったりするため 当該設備を担保として見ることは困難なことから 追加的担保が必要となり 結果的に取引コストが高くなってしまう このように 企業の信用力がサービス料金回収リスクを見極めるためには重要であるが 現地企業の与信リスクは判断し難いので 当初は現地優良企業および日系企業を対象とし 与信リスク審査の可能な地場金融機関と連携することにより 市場拡大を図るとともに リスクの軽減を図る (3) ESCO 事業者リスク本事業は 地場の ESCO(Energy Service Company) 事業者と連携することにより 顧客に種々の提案が可能となる 一般的に ESCO 事業にはギャランティード セイビングスとシェアド セイビングスの 2 つの契約形態がある ( 表 4.8-3) 項目 資金フロー 表 ESCO 事業の契約形態ギャランティード シェアド セイビングス契約セイビングス契約 省エネ設備の初期コスト負担者 所有者 顧客 ( 建物オーナー等 ) ESCO 事業者 ESCO サービス料の支払い 省エネ効果 ( 光熱費等の削減分 ) の中から一定額または一定割合を支払う ESCO サービス料に含まれる主要費用 検証費用 メンテナンス費用 諸経費等 ( 設備費 金利は含まれない ) 設備導入費用 金利 検証費用 メンテナンス費用 諸経費等 ESCO 契約終了後の 省エネ効果 ( 光熱費等の削減分 ) は全て顧客に帰属する 利益配分 72

82 顧客のキャッシュフロー その他の特徴 出所 : ESCO 推進協議会の情報 13 基に調査団作成 EP により確実な省エネ効果を達成 検証により省エネ効果の把握が可能 顧客が初期投資額 金利負担するため シェアド セイビングスに比べ ESCO 事業者のリスクが低い 初期投資額や金利負担を顧客が負担しない代わりにサービス料を原資に ESCO 事業者が負担 顧客は省エネ設備のオフバランス化が図れる インドネシアでは地場企業の信用リスクが高いため ESCO 事業者はギャランティード セイビングス契約で行ない 省エネ量を保証する ギャランティード セイビングス契約の場合は サービス料金未回収リスクのみであり シェアド セイビングス契約に比べてリスクは低い しかし 現地の状況に鑑みると ESCO 事業者はペナルティを払うことを事前に契約で同意しているため 保証分が達成できない場合 ペナルティを支払うリスクがある このリスクは 顧客との最初の契約の中で 損失補填の際のエネルギー価格に合意し固定することにより軽減できる (4) PLN リスクエネルギー価格への補助金の暫減分は エンドユーザーに転嫁され 見える化 システムの導入及び省エネ設備の導入もエンドユーザーの資金負担であるので PLN の事業に負担はかからない しかし DR システムの導入に関しては PLN との連携なしでは実施できず PLN において導入メリット ( 停電回避など ) が共有されなければ 協力が得られないというリスクがある したがって インドネシアのエネルギー保障政策の一環として DR に対する理解を得られるよう 中央政府および PLN に対して 政策提言 事業提言などをしていく必要がある 4.9 資金調達計画バリ州のホテルを対象とした EMS の普及には i) 見える化 のサービスの提供 及び ii) 取得データに基づいた省エネ施策提案に関するエンジニアリングサービスの提供ビジネスの普及が不可欠である 省エネのコンサルティングおよび EPC 契約ビジネスを提供される顧客側の資金調達メニューを充実させることが 当該ビジネスの普及につながる インドネシア政府のエネルギー効率向上などに関する補助金の利用マルチ機関及びバイラテラルの支援により インドネシアではエネルギー効率向上に関する様々な補助金プログラムが存在する これらの補助金の利用を顧客に推奨し アレンジをすることにより 省エネ設備投資を促す (1) 予算措置 エネルギー鉱物省への予算増加 地方自治体への補助金

83 海外からの直接的 間接的支援の活用及び地方政府への橋渡し ( 特に気候変動に係わる補助プログラム等 ; 詳細は (2) を参照 ) (2) インドネシア政府の気候変動緩和活動の補助プログラムエネルギー効率向上に関係する資金として BAPPENAS( 国家開発計画庁 ) の管轄下にインドネシア気候変動トラストファンド (IICTF) がある 2009 年のファンド設立 (11.2 百万ドル ) 以来 低炭素経済社会への移行を目的として 英国 オーストラリア スウェーデンなどから資金提供を受けている 鉄鋼と紙 パルプ産業の省エネガイドラインの策定や Energy Efficiency Management Information System (EEMIS) の開発などをエネルギー効率向上プロジェクトとして実施しているが これらは個別具体的な案件ではない また インドネシアの気候変動緩和政策に基づいて インドネシア財務省の財務政策庁が ファイナンスの面からその活動を支援している 図 にその役割の体系を示す 出所 : インドネシア財務省 図 気候変動緩和活動におけるインドネシア財務省の役割 税制面及び資金面のインセンティブとしては 次のようなものがある 1 税優遇措置 再生可能エネルギー及びエネルギー効率向上事業等の大規模事業に対するタックスホリデー (5~10 年間の法人所得税控除 ) タックスホリデー期間後 追加的インセンティブとして 2 年間において法人税が 50% 減税 6 年間で総投資金額の 30% まで課税対象から軽減 ( 各年総投資金額の 5% まで可能 ) 減価償却期間の短縮 ( 建物以外の固定資産は 2 年 ~10 年 ) 74

84 FDI に対する特別措置 ( 非居住者に対して支払われる配当に関する法人税を 10% に軽減 ) 1 資金調達支援 地熱発電及びエネルギー効率向上事業へのリボルビングファンドの設定 ( エネルギー効率向上事業へのリボルビングファンドについては 2-1 の財務省のエネルギー効率向上ファシリティを参照 ) 財務省が所管する政府機関による資金調達 助言支援 ( 表 参照 ) ビジネスレベルで省エネを促進するため インドネシア輸出金融機関 (LPEI) は 補助金の提供をアジア開発銀行 (20 億ドル ) 及び KfW(100 億ドル ) から受け エネルギー効率向上設備機器導入のための低金利のファンドを設立した また PIP は 街灯への LED 導入などのエネルギー効率向上投資に対し 地方自治体に 200 億ドルを交付している 機関名 Sarana Multi Infrastruktur (SMI) インドネシアインフラストラクチャーファイナンス (IIF) インドネシアインフラストラクチャーギャランティファンド (IIGF) Pusat Investasi Pemerintah (PIP) 表 インドネシア政府系金融機関概要 インドネシア財務省の 100% 子会社で 同国のインフラプロジェクト向けに融資等を実施 SMI 国際金融公社 アジア開発銀行及びドイツ投資開発公社の共同出資により設立された政府系金融会社で インフラ整備開発に関するファイナンス供与や財務アドバイザリー業務を行う インフラボンド ( ルピア建 ) を発行 三井住友銀行から出資を受けている インドネシアの政府保証機関であり 官民連携事業に対し政府保証を供与 契約不履行 金銭債務の不履行に対して発動 競争入札案件が対象 インドネシア投資庁 官民連携事業への投融資を行い 投融資のためのリボルビングファンド 地熱ファンド 不動産ファンド等を保有する 出所 : インドネシア財務省 (3) 財務省のエネルギー効率向上ファシリティ (Energy Efficiency Revolving Facility, EERF) インドネシア政府が 同国の省エネ促進のために 先例となるタイの省エネリボルビングファンドに倣って設定するファンドである 1 設立目的同国の GHG 削減国家行動計画の省エネ部門の活動支援を目的とし あらゆるエネルギー消費者に対して エネルギー効率向上のための技術使用 エネルギー補助金の削減 政府の省エネ活動を支援する金融セクターの取り込みを促す 2 スキーム 技術委員会は 事業の実施及びその定期的な評価を行うと共に PIP や銀行からの報告を精査する 委員会の技術支援チームは エネルギーマネージャーとして エネルギーパフォーマンスを評価できる事業を行い エネルギー管理レポートを作成 エネルギー効率の向上目標達成のための計画を策定する 図 に EERF のスキームを示す 75

85 出所 : インドネシア財務省図 エネルギー効率向上ファンド (EERF) のスキーム図 地場金融機関 ( リースを含む ) との連携インドネシアでは 法人向けオートリースや消費者向けオートローンなどの車両向け販売金融が隆盛であり 新車販売の約 7 割にファイナンスが付けられている 14 金融市場が未成熟な発展途上国においては 不良債権化時に債権回収を確実に行うため 一般的には転売価値を有する物件に対するファイナンスが優先されている したがって 転売が期待できる自動車 建設機械 フォークリフト等の特殊自動車のリースが非常に多い 一方 インドネシアにおいて 銀行ではない リースや消費者金融を提供するファイナンス会社 (Finance Company) の資産規模は 現地ファイナンス会社協会 (Asosiasi Perusahaan Pembiayaan Indonesia) の資料及び 2013 年 10 月のヒアリングから 2012 年 10 末時点で約 300 兆ルピア ( 約 2.7 兆円 ) であることが分かった この内 187 兆ルピア ( 約 1.7 兆円 ) が消費者金融であり その過半を四輪車や二輪車向けオートローンが占めるとされる 四輪車向けのファイナンスを提供している資産規模上位 10 社の概要を表 に示す 15 これらの中には 車両だけでなく 建設機械や機械設備のリース ( 法人向け ) を並行して展開している会社もある 以上のことから 同国の上位のファイナンス会社と連携することによる 省エネ設備のファイナンスリースが考えられる 14 JETRO 記事を参照 15 これらとは別に二輪車向け消費者金融を専業とするファイナンス会社が多数存在する ( 資本系列としては地場系及び 日系メーカー 日系商社系など ) 76

86 図 インドネシアにおける自動車リース提供ファイナンス会社上位 10 社 ( 自動車リースを提供しているファイナンス会社上位 10 社 ) 会社名資本系列総与信残高 ( 円換算額 ) Astra Sedaya Finance 地場自動車メーカー 23.2 兆ルピア ( 約 2,320 億円 ) Dipo Srar Finance 日系商社 16.7 兆ルピア ( 約 1,670 億円 ) Oto Multiartha 日系商社 11.6 兆ルピア ( 約 1,160 億円 ) Toyota Astra Financial Services 日系自動車メーカー 11.0 兆ルピア ( 約 1,100 億円 ) Surya Artha Nusantara Finance 地場自動車メーカー / 日系商社 6.1 兆ルピア ( 約 610 億円 ) BFI Finance Indonesia 地場 5.9 兆ルピア ( 約 590 億円 ) Mitsui Leasing Capital Indonesia 日系リース会社 5.8 兆ルピア ( 約 580 億円 ) BCA Finance 地場銀行 4.6 兆ルピア ( 約 460 億円 ) Orix Indonesia Finance 日系リース会社 4.3 兆ルピア ( 約 430 億円 ) Indomobil Finance Indonesia 地場自動車メーカー 4.3 兆ルピア ( 約 430 億円 ) 出所 :infobank 他 各社 HP より調査団作成 インドネシアで機械リースが一般的でないのは 高金利が原因である 同国では自国通貨ルピアの貸付金利が 10% 超の高水準にあり その金利負担は企業 消費者にとって非常に大きい ( 例 : 金利 15% 返済期間 3 年で借りる場合 金利費用は借入額の約 25% となり 総返済額 = 借入額の 1.25 倍である ) このような金利環境では 省エネ設備を導入する場合 投資回収 3 年以内で キャッシュで調達可能な技術を採用することになる しかしながら 見える化 することにより省エネ設備の導入を決めたが 技術の選択に関して予算に限りがあるような場合に 金利に対して補助の提供が可能であれば 価格は多少高くともリースを利用することで エネルギーコスト削減のメリットがより多い技術を採用することができる 上記大手会社を含めインドネシアには 200 社近いファイナンス会社があるとされる 省エネコンサルティングサービスの一環として これらのリースを含め 地場金融機関と連携し 顧客に対して資金調達計画を検討する 前述のとおり 地場金融機関は 省エネ設備及び省エネによるコストメリットなどを理解する能力が不足しており 生産量増額のための設備導入の融資に応じても 省エネ設備への融資には消極的となる 融資の審査基準はハードルが高いため 投資回収年が長いと省エネ効果でメリットがあるとしても 資金調達が困難な場合がある また 初期投資を抑え 需要側の顧客に EMS の導入を促すために リースの手法を適用すれば リースによる導入機器はバランスシートに計上する必要がないため 固定比率を悪化させない また 実際の使用期間をリース期間とすれば 物件価額の全額をその間に損金処理できるメリットがある このように 地場銀行や地場のリース会社と連携し 見える化 省エネ効果などの意義を啓蒙し 資金調達計画を構築する エネルギーサービス会社との連携省エネ機器の普及のための一般的な手法として ESCO がある ESCO は インドネシアにおいて普及した言葉ではあるが これまで多くのエネルギー診断が行われているとはいえ その診断結果に基づいて 省エネ設備などの導入が実際に進捗しているというわけではない ESCO は省エネ診断や効果検証を通じて省エネ効果を可視化すると共に パフォーマンス保証の提供などによりキャッシュフローの予見可能性が高まり 建物オーナーの設備投資への決断を容易にするものであるが インドネシアでパフォーマンス保証などが普及しないのはなぜであろうか 77

87 前述のとおり 同国では電気料金が補助金によって低く抑えられていると同時に その経済成長は目覚しく 設備投資の多くは生産拡大に振向けられてきた しかし 電気料金値上げの方針が政府より打ち出されて以降 省エネの必要性は増している このため 設備投資を生産拡大に当てたい企業にとって 省エネ設備導入の初期費用の抑制が重要となることから 今後 ESCO を通したファイナンスへの需要増が期待される 製造業者は 短い投資回収期間 (3~4 年 ) で 回収した資金は次の運転資金に当てる 一方 インフレ上昇率が高く 市場や為替なども不安定な環境下では 同国の金融機関にとって 地場企業への長期貸付などは現実的ではないため シェアド セイビングスによる ESCO ファイナンス スキームは一般的ではない インドネシア ESCO 協会によると 同国の ESCO ビジネスは そのほとんどがエネルギー診断を実施するのみであるが 一部には小規模ながら 優良企業向けにギャランティード セイビングスを提供している しかし その件数は非常に少ない このことから 省エネ機器の普及促進を図るファイナンス スキームとして期待されるにもかかわらず ESCO 事業者の調達コストが ESCO の本格的な普及を阻むファイナンス面でのハードルとなっている インドネシアの高金利と 業歴が浅いがために ESCO 事業者自身の調達金利がさらに高くなってしまう という二点である シェアド セイビングスの場合 初期コストを用意するのは ESCO 事業者であり 建物オーナーに代わって資金を調達する必要がある ESCO 事業者に十分な自己資金がない場合は 銀行借入等により調達しなければならない したがって ESCO 事業者の調達金利は 顧客へのサービス料にそのまま転嫁される このため 貸出金利が常に 10% 超の高水準となっているインドネシアでは ESCO 事業者のサービス料は高くならざるを得ない 新興国では一般的に 3~5 年以内に回収可能か否かが投資判断の基準とされるが 同国のような金利水準では 結果的に ESCO 会社にとって事業が成立しづらい環境であるといえる 図 に インドネシアの 2003 年以降の貸出金利の推移を示す Jan Jan Jan Jan Jan Jan Jan Jan Jan Jan Jan Jan 出所 :Bloomberg( 原データは IMF) 図 インドネシア貸出金利の推移 16 インドネシアをはじめとする多くの新興国では ESCO 事業に対する認知度や信認が高くないことから ESCO 事業者は実績を上げる機会に恵まれず 企業体力 信用力も十分でないために銀行からの融資を受けにくく 調達金利も高く設定されてしまう 16 ベトナム 4 大国営商業銀行の平均短期貸出金利 78

88 経常的に省エネ設備にかかるコストの内訳を見ると 顧客企業が自己資金で設備投資する場合とシェアド セイビングスの場合のいずれにおいても 保守 メンテナンス費と金利が占める割合が高い 仮に保守 メンテナンス費に大差がないとすれば 調達コストの差が顧客のコスト負担額の差となる よって ESCO の事業提案の成否は いかに有利なファイナンスを提供できるかにかかっている 金利 保守 メンテ費 金利 ESCO 利益 * 保守 メンテ費 ESCO 事業者の利益が上乗せされる分 ESCO は割高になるが ESCO 利益はパフォーマンス保証料と捉えられるため 顧客企業はその分のメリットを享受できている いずれにせよ 有利な金利を ESCO 事業者が提供できることが顧客への訴求に重要 顧客企業の自己資金による設備投資 ESCO の場合 *ESCO 利益は シェアド セイビングスの場合は エネルギーコストの削減が大きければ大きいほど ESCO 会社 にメリットがあるが ギャランティード セイビングスの場合 利益は省エネ効果によるエネルギーコストの削減額と同 額 もしくは下回るため 顧客企業が受けるメリットは大きい 出所 : 調査団作成 図 省エネ設備にかかる経常コストのイメージ 保険本事業の対象機器は モニタリング機器である Remoni 及びそれらの附属機器である これらは日本にて製造され NTT-F のインドネシア事務所へ輸出され 同現地事務所から個々のユーザーへ提供される そのため 保険は 通常の物流に伴う損害保険等 ( 輸送及び保管 遅延損害保険等 ) が適用される 本事業の二次効果として 省エネ機器が日本より輸出される場合は 輸出機器の規模や顧客によっては輸送に伴う損害保険以外に 非常危険や信用危険等を補填する貿易保険が必要となる可能性がある インドネシア等の途上国への貿易保険として ( 独 ) 日本貿易保険 (NEXI) による貿易保険が一般的に適用される ( 図 を参照 ) 79

89 出所 :( 独 ) 日本貿易保険のサイト図 NEXI による貿易保険 4.10 政策支援の活用見込み日本とインドネシアは 2013 年 8 月 26 日 二国間クレジット制度 (Joint Crediting Mechanism:JCM) に係る署名を行い JCM 事業を推進することで合意している 今後の JCM に係る制度設計結果にもよるが MRV 等を整備すれば JCM 制度を活用した事業展開が可能である 現在 インドネシアは JCM 事務局 (JCM Secretariat) を設立し 組織的な環境整備を進めている JCM のスキーム図を図 に示す 80

90 出所 ) 二国間クレジット制度 (Joint Crediting Mechanism (JCM)) の最新動向 平成 26 年 1 月 図 JCM のスキーム図 合同委員会 (JC) および各国政府の役割を表 に示す なお 日本とインドネシアは 第 1 回合同委員会を開催済みである 表 合同委員会 (JC) および各国政府の役割構成 役割概要合同委員会の構成両国政府の代表者により構成合同委員会の役割 JCM の実施に必要なルールとガイドライン等を策定 提案された方法論を承認もしくは却下し 同時に JCM 方法論の策定も行う 第三者機関(TPEs) を指定する 第三者機関により妥当性確認が実施された JCM プロジェクトの登録について決定各国政府の役割 登録簿を設置し 運用する 合同委員会からのクレジット発行通知に基づき 各国政府は通知された量のクレジットを登録簿に発行する 出所 ) 二国間クレジット制度 (Joint Crediting Mechanism (JCM)) の最新動向 平成 26 年 1 月 JCM と CDM のプロジェクトサイクルの比較を図 に JCM のロードマップを図 に示す JCM における合同委員会は CDM における CDM 理事会に相当する また JCM における第三者機関 (TPEs) は CDM における指定運営機関 (DOEs) 理事会に相当する 81

91 出所 ) 二国間クレジット制度 (Joint Crediting Mechanism (JCM)) の最新動向 平成 26 年 1 月 図 JCM と CDM のプロジェクトサイクルの比較 82

92 出所 ) 二国間クレジット制度 (Joint Crediting Mechanism (JCM)) の最新動向 平成 26 年 1 月 図 JCM のロードマップ 83

93 第 5 章エネルギー効率化 ( 二酸化炭素削減含む ) 分析省エネ効果は 高効率な機器の導入 既存の機器の効率改善 再生可能エネルギーや回収した排熱の再利用等によりもたらされる 本調査で導入を検討したエネルギー見える化システムを活用すれば 非効率な機器や運用を特定することができ それらの改善がエネルギー効率化 ひいてはエネルギーコストの抑制に発展する ホテルにおけるエネルギー効率化は ホテルの規模 建物のレイアウト 築年数 省エネ手法等により条件が異なるため 対応方法は千差万別であるが 本調査では 1 エネルギー見える化システム導入による省エネ提案に基づくエネルギー効率化と 2DR がもたらすエネルギー効率化 の 2 つの観点から精査した 5.1 エネルギー見える化システム導入による省エネ提案に基づくエネルギー効率化ホテル施設において 省エネメリットが高く コストパフォーマンスを見込める設備 機器は 主に以下のとおりである 熱源設備 ( 空調 給湯 ) コンセント 動力を必要とする設備 ( エレベーター エスカレーターを含む ) 照明 本調査では 対象ホテルである Melia Bali Villas & Spa Resort にて 効率改善が大幅に見込める調査箇所をウォークスルー調査にて把握し 省エネ診断を実施した また エネルギー見える化システムにより電力消費量を 1 ヶ月間計測した結果と省エネ診断結果を併せて精査し エネルギー効率化及び CO2 削減量ポテンシャルを検討した エネルギー見える化システムの設置箇所は 事前のヒアリング及びホテル側との調整の結果 建物全体のほか 最も消費需要が高いとされるチラー及び淡水化装置 (RO) の 3 点に計測ポイントをしぼった 給湯については チラーから回収された排熱と電気ヒーターで対応しており 事前のヒアリングにて電気ヒーターの電力消費量がチラーや淡水化装置と比較すると小さいことから 本調査の計測ポイントから除外した 計測結果から 以下の点が確認されている チラーは 保守等で停止する以外は継続運転を行っており 電力消費量全体の約 1/4 を占めている ピーク時電力料金が発生する 18 時 ~22 時は ホテルにおける電力消費量のピーク時間に該当している ベース電力消費量に対する最大値と最低値の差は小さい (400kW~500kW) 上記エネルギー見える化システムの調査によって 空調が施設全体の約 65% 程度の電気量を消費していることが確認された 電力消費量及び二酸化炭素 (CO2) 削減量は 更改後に導入する機器の効率等により異なる 本調査では 日本製のモジュール型空冷チラーを検討した チラーの更改により 25% の省エネ効果が期待でき 年間約 600 トンの CO2 削減効果を見込むことが可能となる 以下に試算結果をまとめる 84

94 表 Melia Bali Villas & Spa Resort における省エネ及び CO2 削減効果 項目現状提案削減量備考 チラーによる年間電力消費量 / 削減量 (kwh/ 年 ) 3,306,535 2,479, ,634 1 ヶ月間の計測値を基に試算 系統電源 (JAMALI 系統 ) の排出係数 (tco2/mwh) インドネシア政府公表数値 試算方向 = = = CO2 排出量 / 削減量 (tco2/ 年 ) 2,413 1, バリ州は 500kV の送電網からなるジャワ マドゥラ バリ (JAMALI) 相互連結系統 (JAMALI 系統 ) から電力が供給されている JAMALI 系統は インドネシア全体の発電量の約 8 割を占め 主要燃料源は安価な石炭である 17 ため 排出係数が高い また インドネシア政府が 2006 年より電源開発政策の一環として実施した 第 1 次クラッシュプログラム によって 石炭火力発電所建設が進められた結果 JAMALI 系統では 今後も継続して高い排出係数が見込まれている 図 に 同国政府が公表している 2030 年までの発電源別発電量の見通しを示す インドネシア政府の気候変動政策において 省エネ事業による CO2 排出量削減効果が重要な役割を持つことが理解できる 出所 :BPPT (2013) 図 インドネシアにおける発電源別発電量 本調査では 電力消費量が大きいチラー及び RO のみ計測を行ったが 給湯や厨房 照

95 明等 見える化システム導入により更なる状況分析を行うことで より大きな省エネ効果を促す提案が可能であると考える 2013 年 11 月から 2014 年 2 月の間に実施した関係者 (PLN バリ ホテル協会 WWF 5 つ星ホテル等 ) へのヒアリングの結果 エネルギー消費量の詳細な見える化により 省エネへの意識を高め 省エネ化を促進する可能性が高いことが確認された なお Melia Bali Villas & Spa Resort のケースでは チラーだけで 25% の省エネ効果を得ることが可能であるが 他調査で実施したインドネシアでの省エネ診断の経験を踏まえると 20% 以上の省エネ効果が期待できると考える 5.2 DR がもたらすエネルギー効率化及び CO2 削減効果 DR とは ピーク時以外は電力料金価格を抑えるなどの時間帯による電力料金設定やインセンティブの支払いなどに電力の需要家が反応して 電力の使用を抑制すべく従来の電力使用パターンを変化させることである 主に電気料金ベースとインセンティブベースの 2 つの手法があり いずれかを用いてデマンドサイドマネジメントを行う 図 に DR の仕組みを示す 出所 : 経済産業省 18 図 デマンドレスポンス (DR) 電気料金ベースでは ピークカットが主要目的のため 電力消費量自体は DR 導入前後で変化はないが ピーク時の高い電力料金を回避することは需要家に経済的メリットをもたらす したがって DR を用いてエネルギー効率化を図るには インセンティブベースの方策を用いて 電力消費量の削減を絶対値ベースで実施する方法を検討する必要がある 現在 インドネシアのピーク時料金は通常料金の 1.5 倍であるため 電力料金上昇傾向にある同国において DR を用いて電力消費時間帯のピークシフトを促すといった 電気料金ベースのサービスを提供することは 需要家にとって経済的にも魅力的な効果が望める 一方 インセンティブベースの DR を実施できる環境を整えるには 長期的取組みが必要であるが ホテル施設は宿泊者の快適さを第一に追求するため 設備効率の改善を実施する以外にエネルギー需要の低減を図ることは容易でない しかし 恵まれた気候を利用して 太陽光等の再生可能エネルギーで発電 集熱した電力 熱を蓄電 蓄熱することができれば ピークシフトだけでなく 系統電源からの電力消費量や化石燃料消費量を低減することも可能であり より多くの CO2 排出量削減が期待できる

96 通常料金時間 (22 時 ~18 時 ) ピーク料金時間 (18 時 ~22 時 ) 日中は蓄熱 蓄電 ピーク時以外は系統からの電力を消費 ピーク時は 系統から購入する電力量を削減 CO2 の削減 図 DR による CO2 削減効果 87

97 第 6 章事業環境分析 6.1 インドネシアの EMS 普及の状況インドネシアにおけるエネルギー マネージメントシステム (EMS) 市場はまだ初期の段階にある しかし 燃料 電力料金の補助金が徐々に削減され末端価格が値上がりを続ける中 今後は同システムのような製品への関心が高まることが期待される EMS の歴史が浅いインドネシアであるが EMS を利用したエネルギー管理について インドネシアのホテル業界及び観光業界向けに先進国や国際機関が以下のようなプログラムを実施している (1) エネルギー管理プログラム 1 ホテルにおける戦略的エネルギー管理プログラム資金提供 : 米国国際開発庁 (USAID) 技術支援 : インドネシア クリーンエネルギー開発 (ICED) 及びクリーン開発のための省エネプログラム (EECDP) 19 インドネシアのホテルのエネルギー消費量及び GHG 排出量の削減を目標とし ホテルのエネルギーベンチマーク ツールの開発及び省エネ効率向上のためのパイロットプログラムを実施している 同国のエネルギー鉱物資源省 (MEMR) が主導し 観光省 公共事業省 インドネシアホテル協会 (PHRI 20 ) グリーンビルディングカウンシル インドネシア (GNCI 21 ) ビルエンジニア協会 (BEA 22 ) 米国暖房冷凍空調学会 (ASHRAE 23 ) 及びコンサルタント会社の Horwath HTL 24 から支援を受けている 出所 :Hotel Strategic Energy Management, presentation dated November 13, USAID 25 図 ホテルにおける戦略的エネルギー管理プログラムの目的 ng_nc_lc_usaid_draft_v3.pdf 88

98 同プログラムは地元観光局やホテル協会 エンジニア協会 大学などの支援を得て 2013 年 9 月から開始され 2014 年 8 月までの期間中に 3 つのパイロットエリア ( ジャカルタ バリ ジョグジャカルタ ) で実施される ホテルのベンチマーク開発を目的とし 対象となるホテルは 30 軒から 80 軒である 2 省エネ投資プログラム (TEEIP) 実施機関 : 世界自然保護基金 (Worldwide Fund for Nature WWF) 資金提供 : スイス政府の再生可能エネルギーやエネルギー効率に関するパートナーシップ プログラム (REEEP) 及び WWF インドネシア共同提供支援 : インドネシア観光省 国家発展改革委員会気候変動委員会 (DNPI) インドネシア商工会議所 (KADIN) TEEIP の枠組みは インドネシア観光業界に合わせて設計され 省エネ及びカーボンオフセットプログラムも含んでいる 26 その目的はマレーシアや他の東南アジア諸国の市場にも応用可能なモデルプロジェクトを創出することである TEEIP は南太平洋のフィジーで成功した同基金による類似のプログラムをインドネシアで再現するものである 2013 年 9 月 26 日に WWF 及び インドネシア観光省 KADIN DNPI が当該プログラムの合意書に署名した 環境に対して低炭素で持続可能な観光を 省エネと再生可能エネルギーの適用と共に開発 実施するためのプログラムである 同プログラムは バリ州観光開発局 (BTDC 27 ) も協力し バリのヌサドゥア地区のホテルを対象に エネルギー診断の促進を計画しており 対象となるのは同地区のホテルである エネルギー診断は 運営に省エネの概念を取り入れたホテルの投資スキームの基盤となる これまでに Melia Bali Villas & Spa Resort St. Regis 各ホテルと ヌサドゥア コンベンションセンターの 3 ヵ所でエネルギー診断のためのウォークスルー調査が実施された (2) 技術面における競合他社の EMS との比較技術的な製品仕様において Remoni は他社製品と類似した機能を備えている 表 に各社の EMS の機能をまとめた 表 各社の EMS 製品の機能比較とインドネシアへの進出時期 NTT- ファシリティイーズ ハネウェル シュナイダーエレクトリック シーメンス EMS 技術名 普及の現状 アクセシビリティ Remoni 参入準備中 ウェブ利用の ASP Honeywell Energy Manager PLN とのタイアップによる販促を検討中 ウェブによるレポート Powerlogic Energy Profiler Online (EPO) 28 従来の販売方法にて数軒のホテルに納入 ウェブによるレポート Energy Monitoring and Controlling (EMC) USAID 主催省エネプログラムで実証中 ウェブ利用の ASP 言語日本語英語英語英語 データ表示方法 グラフィック及び表形式 グラフィック グラフィック及び表形式 グラフィック

99 自動レポート Yes Yes Yes Yes 遠隔モニタリング Yes Yes Yes Yes インドネシアへの企業としての進出度合い 2014 年にジャカルタに 事務所開設 1974 年 既に 4 つの工場を現地に所有 1855 年 上記の表より いずれの技術もアクセシビリティやエネルギーデータの表示方法において類似の機能を持っていることが分かる また どの EMS 製品のプログラムも エネルギー消費その他のデータを 安全な環境下で 顧客や実際のユーザーのニーズに合わせて柔軟に対応しながら可視化することを狙うものである (3) インドネシアにおける各社の事業基盤 NTT ファシリティーズは 2009 年以来 日本におけるエネルギーモニタリングサービスの主要プレーヤーであり 多くの顧客に対し日本の改正省エネ法に準拠しつつ エネルギー消費量の見える化を提供してきた 現在は同製品を海外へ導入することをめざしており 2014 年 2 月に開設したジャカルタ事務所を基盤にバリ州だけでなく インドネシアの他の地域でも製品展開を考えている 一方 競合他社 3 社のインドネシアでの歴史は長い ハネウェルは 1974 年に販売オフィスを 1992 年に駐在員事務所を開設し 様々なセクターへ技術的ソリューションを提供している 現在は 同国の航空 石油 ガス 化学 石油化学と共に ビルオートメーション分野で実績がある シュナイダーエレクトリックもインドネシアに定着しており 現在は工場を 4 カ所同国に所有している シーメンスが初めてインドネシアに進出したのは 1855 年と古く 最初の現地オフィスは 1909 年に開設されている エネルギー 医療 工業 インフラなど 幅広い分野に対応している (4) インドネシアにおける他社 EMS 製品との競合分析 NTT ファシリティーズの Remoni ハネウェルのエネルギーマネージャー シュナイダーエレクトリックの EPO シーメンスの EMC は 技術的には仕様や機能などにおいて総体的に似通ったものであるといえる いずれのソリューションも 顧客がビルのエネルギー消費状況をモニターし その結果を基に設備の省エネ対策を決断 実行することで便益を得るのが目的である NTT ファシリティーズの Remoni は ASP 方式を採用することにより 複数の場所で包括的なエネルギー消費情報を取得し可視化 ( 見える化 ) する機能を持ち 収集したデータを エネルギー管理 環境対策 設備の遠隔モニタリングなどへ適用することが可能である また 自動レポートシステムも搭載されており シーメンス製品と比べ遜色はない 海外への進出を目指し Remoni を現地事情にさらに適合したものとするために 同製品のグレードアップを継続することが今後のインドネシア市場開拓の上で鍵となる 本調査を通し 短期的に対応が可能と思われる改良点として 技術的側面及び情報のディスプレイにおける工夫がまず重要であろう 以下に技術面での改良が望まれる点を挙げる 世界のユーザーが自国語で情報確認ができるよう ディスプレイの多言語化によるインターフェイスを可能にする エネルギー消費量の見える化において 現地時間での確認を可能とする Remoni の製品としての強みは ASP 方式を採用していることであるといえる ホテル業界は ブランド名を持つグループ会社がホテル管理を行うケースが多く 遠隔管理や指導を行うには ASP 方式は魅力的である Remoni と最も類似しているシーメンスの EMS 90

100 は ウェブ利用の ASP を備えており 大規模なホテルグループから 1 軒のみのホテルまで幅広い対応が可能であり この点では Remoni との相違点は少ない しかしながら データディスプレイにおいては Remoni はグラフィックに加えて表形式の表示が可能であり これをユーザーが即座に利用 加工して希望する情報を即座に取得できるという強みを持つ 表示言語については 他社はすべて英語のみであるため 現地語及び現地時間の表示も可能となれば 顧客が製品を選定する際 有利となる 表示対応の改良を進めれば Remoni は他社製品に対して充分な優位性を持つことができ 現地カスタマーサービスの充実などを併せて推進することで Remoni のインドネシアでの展開は十分望めるものと考える 図 に 各社製品のスクリーンショットを示す NTT ファシリティーズの Remoni ハネウェルの Energy Manager シュナイダーエレクトリックのエネルギー プロファイラー オンライン (EPO) 図 各 EMS のスクリーンショット例 シーメンスのエネルギーモニタリング コントロール (EMC) ツール 91

101 第 7 章技術戦略 日本国内におけるデマンドレスポンスの取り組みは東京電力株式会社のビジネス シナジー プロポーザル (BSP) から始まった 東京電力がピーク需要対策のひとつとして事業者からビジネスプランを募集した結果 5 件が採択された いずれも採択事業者の知見を活かし複数のお客さまによる取り組みを採択事業者がとりまとめて効果を最大化するなど 当社全体のピーク需要抑制に寄与するものであった バリにおいても 電力会社発信のピーク対策案募集等を通じて ビジネスアライアンスの形態による制度検討を進めることが選択肢として考えられる 電力会社に対してピークカットの効果を定量的に示すためには 需要家のエネルギー使用量をモニタリングし ピークカットのポテンシャルを分析する必要がある 実証的な取り組みの中で ビル ホテル マンション 工場 商業施設など様々な需要家についてエネルギーのモニタリングと結果分析を行い ピークカットのポテンシャルを見積もることで バリ全域のピークカットのポテンシャルを示し 電力会社にとってのメリットを最大化するような提案を行い 制度設計を主導する 同時に 各需要家に対してもピークカットによるコスト削減を定量的に示すとともに メリット最大化のための設備導入 設備制御機構の導入など電力会社が設計する料金制度やデマンドレスポンスの協力金制度を適用した際に エネルギーコストを最小化する提案を行い 制度の積極的な活用を推奨する また ピーク需要抑制のポテンシャルを電力会社が把握できるようにする必要がある 92

102 第 8 章事業展開上の課題抽出及び対応策 8.1 現地の関連制度契約電力が 200kVA 以上 ( カテゴリー B3) のホテルの電力料金は オフピーク時 (22 時 ~ 翌日 18 時 ) が Rp.1,020/kWh ピーク時はオフピーク時の 1.5 倍の料金となっているが これらは補助金を反映した料金となっている 今後 補助金を削減する方向にあるが 2014 年 7 月の大統領選挙の結果次第では 補助金制度が維持される可能性がある これらの補助金があった場合でも事業展開ができるよう ビジネスモデルを構築する必要がある また インドネシアの外資規制において 小規模な設計 コンサルティングについては ネガティブリスト 投資において外資参入が認められない事業分野 および条件付きで外資参入が認められる事業分野 に該当する可能性が高いこと また 工事においてはインドネシア国内の建設企業とジョイント オペレーションを組む必要があることから 現地事業会社との協業が必要となる 8.2 技術制約現状において 技術的な制約は特にないものの PLN と DR プランの検討を進めていく中で インドネシア特有の技術制約を考慮する必要がある 8.3 資金面での課題等及びそれに応じた対応方策等資金調達の方策で述べたとおり 設備投資を生産拡大に回したい企業にとって 省エネ設備導入の初期費用を抑えることが課題である 地場銀行の融資のハードルの高さを考慮すると ファイナンスを提供する ESCO 事業者の勃興が必要であり ESCO を通したファイナンスへの需要が増えることが期待される しかし 製造業者は 投資回収期間を短くし (3~4 年 ) その回収できた投資分を次の運転資金にまわす 一方 インフレーションの上昇率も高く 為替 市場なども不安定な同国の金融機関にとって 地場企業への長期貸付などは現実的ではなく シェアド セイビングス契約をかろうじて提供するのみである これでは 省エネ機器の普及促進を図るファイナンス スキームとして期待される ESCO 事業者の調達コストが ESCO の本格的な普及へのファイナンス面でのハードルとなる さらに インドネシアの高金利と 業歴の浅い ESCO 事業者自身の調達金利がさらに高くなり 調達を困難にする 高金利 ESCO 事業者の調達力不足の障害を緩和し ESCO モデルを普及し軌道に乗せるには 有利なファイナンス条件をサポートし 実案件の実績を積上げることが重要と考えられる 地場のリース会社や金融機関と連携し ESCO 会社とタイアップをして 見える化 などの付加価値をアピールした提案を顧客に行なう さらに ESCO 事業者の ESCO 料金の対価として当該サービスを提供することにより サービス料金の未回収リスクを減じる このような資金調達アイデアを顧客に提案することが 見える化システムのビジネス普及につながる 93

103 第 9 章国内への経済波及効果本事業は エネルギー見える化システムを骨格としたサービス事業である 第 3 章の事業計画に示すとおり 本事業は バリ州での実績を梃子に インドネシアの主要都市にあるホテル及びオフィスビル さらには商業施設等への水平展開が可能であり 事業拡大に伴って 日本国内への経済的波及効果も拡大する 国内への経済的利益に最も寄与すると考えられるのは 見える化システムの導入によるインドネシアの非効率設備の更改をきっかけに 我が国の優れた省エネ機器の販売促進も見込める点である したがって 見える化システム単体でみると販売 サービスから生じる利益は小さいが 現地需要が日本の省エネ機器メーカーの新規市場開拓につながるようになれば その利益は莫大なものとなる 例えば バリ州に現存する 88 軒の 4 つ星 5 つ星ホテル全てに それぞれ Remoni を 1 システムずつ導入したと仮定する Remoni は現在日本で生産され その販売価格は 200 万円であることから Remoni の販売 ( 設置費用は含まない ) だけで 17,600 万円の収益が期待できる 普及が全体の 1/4 までであったとしても 4,400 万円の収入となる そのほか Remoni の利用料として 1 システム年間約 15 万円の収入が見込めるため 88 軒全てが利用すれば 1 年間に 1,320 万円 全体の 1/4 に普及したとしても 毎年 396 万円の追加収入が想定できる Melia Bali Villas & Spa Resort のケースでは チラーの更改が必要であり 日本製を導入すると最低でも 3,000 万円の収入が見込める これを 88 軒の 1/4 である 22 軒に導入したとすれば 6 億 6 千万円の収益に繋がる さらに本事業では 見える化システム提供サービスを足がかりとして 将来的には DR システムの導入による統合ファシリティサービス業の展開を検討している ピークカットを中心とした電力料金ベースの省エネ事業促進のみならず 再生可能エネルギーをエネルギー源とした蓄電池もしくは蓄熱層を用いてエネルギー消費量の低減を図るために コンサルティングサービスや設備更改のエンジニアリングサービス ( 設計 設置 運用 保守等 ) を総合的に提供する案を模索中である 日本の省エネ設備機器のハード面 ( スマートメータや省エネ機器の一部 ) 及びソフト面 (BEMS 等 ) は いずれも日本国内で開発され組立てられていることから この総合サービスが実現すれば 日本国内における経済波及効果は更に増大すると見込まれる 94

104 参考資料

105 第 10 参考資料章参考資料 95

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