NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2015 戦略的省エネルギー技術革新プログラム実用化開発 < 明るさ感指標を利用した光環境制御技術の開発 > ( 株 ) 大林組 共同研究先 : 東京工業大学 委託先 :( 株 ) ビジュアル テクノロジー研究所 研究開発期間 :2012 年 1 月 ~2016 年 3 月
1. 研究開発の背景 目的 目標 1.1. 背景 2 <ZEB に向けて > 照明消費電力は建物の 20% 程度を占める 環境配慮 ZEB 化のため照明消費電力の一層の削減が必須 < 市場と技術動向 > LED 照明など調光 調色可能な制御デバイスの製品化が加速 震災以降 節電のため低照度が定着 照明をスマートに使うための新しい光環境評価 省エネ制御技術が必要
1. 研究開発の背景 目的 目標 1.2. 従来の課題 目的 目標 3 全般照明 + 照度センサー制御 従来技術 タスク アンビエント照明 開発技術 明るさ感指標を利用したタスク アンビエント照明 窓 人工照明のエネルギー消費量 (750lx) (300lx) 昼光利用による効果 机上面に必要な照度を室内全体に与える手法 余分な明かりが出ているため 省エネの余地が大きい 80 ( 全般照明の消費電力量を 100 とした場合 ) アンビエント照明を下げ 机上面に必要な照度をタスクライトで補う手法 暗い雰囲気にならない配慮が必要 人の感じる明るさを基にすることで 快適な光環境と省エネルギー性を両立できる新しい計画手法 さらに昼光を効果的に利用 60 40
2. 研究開発体制 研究開発内容 2.1. 研究開発体制 4 研究開発責任者 株式会社大林組 輝度測定システムの開発 光環境評価システムの開発 調光システムの実証試験装置の構築と検証 改善 明るさ感を利用した照明計画ガイドの作成 共同研究 国立大学法人東京工業大学 光環境制御ロジックの開発 調光システムの実証試験装置の構築と検証 改善 明るさ感を利用した照明計画ガイドの作成 委託 株式会社ヒ シ ュアル テクノロシ ー研究所 光環境制御プログラムの開発 調光システムの実証試験装置の構築と検証 改善 明るさ感を利用した照明計画ガイドの作成
2. 研究開発体制 研究開発内容 5 2.2. 研究開発内容 (1) 開発技術の背景 (1) 明るさ感と照度これまで光環境の設計 評価には 照度 ( ある面に当たる光の量 ) が用いられてきた 室内の明るさ感は 輝度 ( 壁面などから目に入る光の量 ) に左右される 大林組シミュレーション結果 明るさ感 < 明るさ感を利用した省エネ計画方法の確立が必要 照明器具の中央配置 (5 灯 : 床面照度 420lx) 照明器具の分散配置 (4 灯 : 床面照度 290lx) 印象と照度の比較 (2) 提案技術 人の感じる明るさ感を数値化し その数値を基に照明やブラインド等を適切に制御 快適な光環境と省エネルギー化を実現
2. 研究開発体制 研究開発内容 2.2. 研究開発内容 6 (2) 開発システムの概要 ( 照度と輝度 ) 照 度 輝 度 モノに当たる光の量 目に入る光の量
2. 研究開発体制 研究開発内容 2.2. 研究開発内容 7 (2) 開発システムの概要 ( 明るさ感 ) 明るさ感は 目の順応や輝度対比といった人の視覚特性を加味した 実際に感じる明るさを評価できる指標 本提案では 東京工業大学中村准教授開発の NB 値 ( 明るさ尺度値 ) を利用 1 から 13 段階で明るさ感を評価できる 昼光を含めて明るさ感を評価できる唯一の手法 中心部の色 ( 輝度 ) は同じだが 周囲の影響で見え方は違う ( 左の方が明るく見える ) 明るさ感指標は 見え方の違いを数値化することが可能 ( 左中心部の明るさ感の数値が高い ) 輝度 明るさ感による評価 ( 明るさ画像に変換 ) (7.5NB) (6NB) 明るさ画像 13 非常に明るい 11 明るい 9 やや明るい 7 どちらでもない 5 やや暗い 3 暗い 1 非常に暗い [NB]
2. 研究開発体制 研究開発内容 2.2. 研究開発内容 8 (2) 開発システムの概要 ( システム概念 ) 輝度測定システムブラインド面や壁面の輝度を測定 輝度カメラ ( 屋内 ) アンビエント照明 輝度カメラ ( 屋外 ) 光環境評価システム輝度値を基に明るさ感指標に変換照明 ブラインドの制御量を算出 タスクライト 照明制御 ブラインド制御装置照明の調光量やブラインドの開閉信号を送出 輝度測定システム 輝度画像 光環境評価システム 制御量 照明制御装置 ブラインド制御装置 制御信号 ブラインド 制御の概念図 制御システム構成図
2. 研究開発体制 研究開発内容 2.2. 研究開発内容 ( ブライン制御 ) 9
(2) 開発システムの概要 ( 統合システムフロー図 ) 10 ブラインド制御 遮光判定 屋外輝度画像 [ 簡易測定 ] の読み込み 窓面明るさ判定 屋外輝度画像 [ 通常測定 ] の読み込み 直射光 反射光の検出 輝度画像に仮想ブラインドの重ね合わせ 直射光ありスラット角 = 保護角 反射光ありスラット角 = 遮蔽角 直射光 反射光なしスラット角 = 水平 明るさ画像に変換 まぶしさ判定 即時割込み制御 スラット角決定 動作指令 アンビエント照明制御 屋内輝度画像の読み込み 人工照明が与える輝度を取り除き自然光のみによる明るさ画像を作成 目標の明るさ画像を作成 逆変換 修正輝度画像を作成 目標輝度を得るための調光率を算出 調光率送信
2. 研究開発体制 研究開発内容 2.2. 研究開発内容 ( 制御イメージ ) 晴天 曇天 太陽光高度が高い時間帯は 羽を内倒しすることによって 直射日光を遮りながら天井面に反射することができ 室内の明るさ感を向上し照明 ( 調光率 ) を下げることができる 省エネ 快適 内倒し ( 逆方向 ) 外倒し ( 順方向 ) どんよりとした曇りや雨天日は 羽を水平にして できる限り自然光を取り込む 11 太陽光高度が低い時間帯は 羽を外倒し 確実に直射日光を遮り まぶしさや不要な熱負荷の侵入を防ぐ 快適 薄日のあるような明るい曇天日や 隣棟の反射光が急に射してきた際に ブラインドを即時に制御する 快適 水平 即時遮蔽 夜間 夜間は 羽を内倒しで閉じる ( 逆全閉 ) ことによって 室内照明の明かりを有効利用することができ 照明 ( 調光率 ) を下げることができる 夜間 電動ブラインドのひもをリセットするために 午前 2 時に強制制御を行う 省エネ 逆全閉 順全閉
3. 成果 実績 展望等 3.1. 成果 ( システム図 ) 12 輝度測定システム タスクライト管理システム 輝度測定用カメラ ( 計 3 台 ) 電動ブラインド 照明制御 ブラインド制御 TU 盤 個別操作スイッチ (2 箇所 ) アンビエント照明器具 HUB1 U/R HUB2 調光制御装置 制御停止 SW ( 照明 ) 手動調光 SW 100/70/50/30% ゲートウェイ 2.4GHz 無線通信 タスクライト本体 (20 台分 )
3. 成果 実績 展望等 13 3.1. 成果 ( 平面図 ) G1 北西面 G2 G3 G13 G3 南西面 G2 G2 G4 G6 G9 G12 G1 G1 G3 G5 G8 G11 G14 G7 G10 G15 カメラ ダウンライト 照明調光単位 グリッド照明 (LED) ブラインド制御グループ 操作スイッチ ブラインド / 照明
3. 成果 実績 展望等 3.1. 成果 ( 導入写真 ) 14 執務室 ( ブラインド開 ) 執務室 ( ブラインド閉 ) 執務室 ( 夜間 )
3. 成果 実績 展望等 3.1. 成果 ( 省エネルギー性評価 ) 15 4 月 27 日 ( 晴れ ) 4~6 月平日昼間 (9:00~17:00) 60% 省エネ 44% 省エネ 時刻別照明消費電力量 3 ヶ月間の平日昼間照明消費電力量 照明消費電力密度 2.95Wh/ m2 ( 平日 9:00~17:00 平均 )
3. 成果 実績 展望等 3.1. 成果 ( ブラインド制御評価 ) スラット角度 [ ] 全天照度 [klx] 13:20 14:00 14:30 15:20 40 20 0-20 -40 南西面 : 遮光状況遮光判定 -60 南西面 : スラット角 -80 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:0 100 80 00 60 00 40 00 00 20 屋上全天照度 2015/3/12 晴天日 0 12:30 13:00 13:30 14:00 14:30 15:00 15:30 16:00 16:30 17:00 17:30 18:00 直射光あり なし 10 6 10 5 10 4 10 3 10 2 反射光あり 16 [cd/m 2 ] 照度計写真
3. 成果 実績 展望等 3.2. 実績等 日付 学会名 発表テーマ 2013.4.17 国際照明委員会フランス大会 DEVELOPMENT OF AUTOMATIC LIGHTING CONTROL SYSTEM USING BRIGHTNESS IMAGE 2013.8.31 建築学会大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システムに関する研究 2013.9.4 電気設備学会全国大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システム 2013.9.7 照明学会全国大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システム 2014.6.19 プレスリリース 明るさ感指標を利用した光環境制御システムを開発 17 2014.6.20 日経産業新聞 日刊工業新聞 建設工業新聞 建設通信新聞 建設産業新聞 明るさ尺度値でオフィス省エネ - 大林組が光環境制御システム他 2014.6.24 電気新聞 明るさ感 を基に光環境を制御 2014.8.11 週刊ビル経営 光環境制御システムを産学協同で開発 2014.9.5 新エネルギー新報 大林組 明るさ感指標を利用した光環境制御システム開発 2015.1 建築設備と配管工事 明るさ感指標を利用した光環境制御システム 2014.8.29 電気設備学会全国大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システム 2014.9.4 照明学会全国大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システム 2014.9.14 建築学会大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システムに関する研究 2015.6.3 プレスリリース 明るさ感指標を利用した光環境制御システムにブラインド制御機能を追加 2015.6.4 日刊工業新聞 建設工業新聞 建設通信新聞 建設産業新聞 電気新聞 都内ビルに光環境制御システム導入低照度で室内明るく他 2015.6.25 日経アーキテクチュア 輝度による照明制御で電力 6 割カット 2015.6.29 国際照明委員会イギリス大会 LIGHT ENVIRONMENT CONTROL SYSTEM USING PERCEPTION OF BRIGHTNESS 2015.7.23 日刊工業新聞 人の感じる明るさ で省エネ 2015.8.27 照明学会全国大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システム 2015..9.2 電気設備学会全国大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システム 2015.9.5 建築学会大会 明るさ感を向上させた省エネルギー照明システムに関する研究 2015.9 建築技術 光環境制御システムにブラインド制御機能を追加
3. 成果 実績 展望等 3.3. 今後の展望 18 明るさ感 は照明設計基準の新たな指標となり 認知 利用され始めました 今後 この開発技術を広く普及させるため 自社施設をはじめ 支社 支店を多数持つ企業への展開など 新規需要と併せてストックマーケットに対しても強力に導入推進を図ります そして 光環境制御の先行技術として ZEB 社会実現にむけて貢献できるように取り組みます
3. 成果 実績 展望等 3.4. 原油換算省エネ効果 19 省エネルギー効果 ( 想定 ) (1)2020 年 = 累計 48,800 kl (2)2030 年 = 累計 146,574 kl 2020 年 2030 年 国内 国外 国内 国外 指標 A( 効果量 ) 8.28 l/ m2 年 - 8.28 l/ m2 年 - 指標 B( 導入量 ) 5,900,730 m2-17,702,190 m2 - 省エネルギー効果 (kl/ 年 ) 48,800-146,574 - タスクライト調光制御採用によって 2.6% 効果量アップ
ご清聴ありがとうございました 20