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3. 基本的な計測法極限法では,2.0g (4.31) のフィラメントから順次弱いフィラメントに変えて刺激を加えてゆき ( 下降系列 ), 最初に認識できなくなったところを下限閾値とする その後, 上昇系列に転じ, 刺激を認識できるところ ( 上限閾値 ) まで加えてゆく 下降系列において最小加重


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Title ボーングラフトはゴールドスタンダード : 簡単に行える骨移植の実際 山本, 信治 ; 浜瀬, 真紀 ; 古谷, 義隆 ; 山内, Author(s) 賀, 賢一郎 ; 片倉, 朗 ; 矢島, 安朝 ; 内山, 健志 ; 髙野, 伸夫 ; 柴原, 孝彦 Journal 歯科学報, 106(1): 5-12 智博 ; 須 URL http://hdl.handle.net/10130/145 Right Posted at the Institutional Resources for Unique Colle Available from http://ir.tdc.ac.jp/

歯科学報 Vol 1 6 No 1 2 6 7 図3 が なかでも上顎結節 下顎枝 オトガイ部が代表 は先端にドリルが付いており粉砕しながら 同時に 的採取部である 口腔外に比べて 手術部位が口腔 サクションも付いておりフィルターにたまる仕組み 内のみで済むため 手術を小規模に抑えられ 患者 である 図3e 歯根を損傷しないように注意して サイドの負担が軽減できる また 骨採取部位の侵 操作を行なう 回転速度は当科ではインプランター 襲 瘢痕が少なくて済む利点を持つ 一方 欠点と を用いて毎分3 回転と低速で行なっている 3か し て は 採 取 量 が 制 限 さ れ る こ と が 挙 げ ら れ 月後の移植部のX線写真において 明瞭な骨梁の形 る2 4 5 成が認められる 図3f その後 紹介開業歯科医 1 オトガイ部からの骨移植 症例1 図3 図4 院において 補綴処置が行われた 患者は2 9歳の女性 下顎右側第一大臼歯の歯根嚢 オトガイ部は口腔内採骨部として 比較的多くの 胞で骨欠損部に対する移植例である 図3a 骨移 骨量が採取でき またアプローチ 縫合が容易であ 植はまず 下顎正中の歯肉頬移行部の5mm 下方に ることから 局所麻酔下での手術として広く応用さ 縦切開を加え粘膜骨膜を剥離し 図3b オステオ れている また 口腔前庭に切開を行うため 歯肉! ハーベスター を用いて粉砕骨を採取し 欠損部へ 退縮や歯槽骨の吸収が防げるなどの利点がある し! かし オトガイ神経を損傷する可能性 術中にかな 移植した 図3c 3d オステオハーベスター りの出血を引き起こすリスクもつきまとうことも 知っておく必要がある2 図4 図4 利 点 オトガイ部からの移植骨採取 2 下顎枝部からの骨移植 症例2 図5 図6 患者は3 代の女性 上顎右側中切歯のインプラン 欠 点 口腔内としては最も多く採 オトガイ神経麻痺の残存 取可能 アプローチ 縫合が容易 出血 腫脹 浮腫 が多い 歯肉退縮 歯槽骨の吸収が 創部の裂開 瘢痕が生じや 妨げる すい ト周囲炎に対する症例である 初診時の口腔内なら びにX線写真において骨吸収が認められ その結 果 歯肉の退縮が進んでいる 図5a 5b 骨膜 剥離したところ 炎症による骨吸収がありインプラ 7

8 山本 他 顎骨欠損や顎堤萎縮に対する骨移植の実際 図5 ント体の露出が認められ 著明な動揺も認められた 採取は原則として行わず ボーンミル!を用いて皮 図5c 本症例に対してはインプラント体および 質骨のみを採取し粉砕した 図5e 欠損部へ移植 周囲腐骨の除去と その欠損に対する骨補填を計画 は粉砕した皮質骨を用い チタン補強線付きゴア し 採骨は下顎枝部からとした まず外斜線を確認 テックス膜を用い移植骨の固定をはかり 図5f 縫 し 第2大臼歯の遠心頬側隅角から外斜線に沿って 合した 遠心方向に切開を加えた フィッシャーバーやラウ 下顎枝部は海綿骨がわずかしか採取できず 採取 ンドバーを用いて採取範囲を決定し その領域の皮 可能な皮質骨の厚みが4mm 以下で 移植材として 質骨をフィッシャーバーで連続させた 図5d 骨 の骨形態 採取量ともに制約が多い しかし オト ノミにより頬側の骨壁を外し 下顎管の露出がない ガイ部とは異なり 術後の不快感が少なく 麻痺な のを確認しながら移植骨の採取を行なった この どの障害の可能性は低い そこで 人工材料などを 際 下歯槽神経の損傷を回避するため 鋭匙による 混和することで量的な問題を解決できるなら 応用 性は確実に上がり 最も有用な自家骨移植材になる 図6 利 点 下顎枝部からの移植骨採取 欠 点 術後の疼痛 不快感が少な 採取量が比較的少ない い 術後の麻痺が少ない 厚みが4mm 以下なため 形態に制約が多い 創部の裂開 瘢痕形成がほ 海綿骨がわずかしか採取で とんど無い きない 可能性がある2 図6 3 上顎結節部からの骨移植 図7 上顎結節部は口腔内採取部としては採取量が限ら れるが 智歯が無ければ採取しやすい部位で 術後 の不快感も少なく障害が生じにくいため 局所麻酔 下での手術としてよく使用されている しかし 解 剖学的に大口蓋孔や翼突静脈叢が近接しているた 8

歯科学報 Vol 1 6 No 1 2 6 図7 図8 9 9

1 山本 他 顎骨欠損や顎堤萎縮に対する骨移植の実際 図9 図1 め 知識とテクニックの両面を身に付けてから採取 部として選択すべき必要がある 6 口腔外からの骨移植 図8 多くの量の骨移植を必要とする症例は 口腔外か ら採取を行なわざるを得ない 腸骨に代表されるよ 10

歯科学報 Vol 1 6 No 1 2 6 1 1 図1 1 うに 口腔外からの移植は大量に採取可能なことが オンレーグラフトは歯槽堤の絶対的高径を高めるも 最大の利点で 入院が必要なことが一般的である のである 一方 サイナスインレーグラフトは 骨 1 腸骨からの骨移植 症例3 図8 増量術の中で最も頻繁に用いられている手技の一つ 患者は5 4歳の女性 右側下顎体部の含歯性嚢胞 で上顎臼歯部で骨の増量が必要な時の第一選択とな で 智歯抜歯を含めた嚢胞の摘出を行い その顎骨 る それぞれ症例を提示する 欠損に対する移植例である 図8a 本症例に対し 1 オンレーグラフト 症例4 図1 ては腸骨のブロックならびにPCBMを採取し 図 患者は2 歳の男性 交通外傷で上顎前歯を失い 8b 8c 8d 欠損部へ移植した 図8e 極めて菲薄な歯槽堤となってしまい 骨欠損にオン 腸骨から採取するとなると 否定的な患者もみうけ レーグラフトを適応した症例である 図1 a 骨膜 られるが 術後1週間後には歩行可能となり 1 日 を剥離すると 唇舌的な厚みが極めて薄く ナイフ 後には退院も可能である エッジ状を呈していた 図1 b 唇側に腸骨ブロッ クによるベニアグラフトを行い その周囲に PCBM 7 自家骨による萎縮骨への骨増量 図9 を填塞した 図1 c 1 d 萎縮骨への骨増量のための骨移植にはオンレーグ 2 サイナスインレーグラフト 症例5 図1 1 ラフトとインレーグラフトがある オンレーグラフ 次にサイナスリフトを適応した症例を示す 上顎 トには 水平的オンレーグラフトと垂直的オンレー 洞に側方からアクセスする時の切開線はあらかじめ 2 グラフトの2種類が用いられる 水平的オンレー X線上で想定した上顎洞から最低でも5mm 以上外 グラフトは頬側に板状骨を移植するもので 垂直的 側に設定し 切開部と上顎洞の開窓部が重複しない 11