欧州でのバイオプラスチック バイオポリマーへの取組 ( その 2) 先月に引き続き 2010 年 9 月 22~23 日にベルギー ブリュッセル市内で開催されたBioplastics & Biopolymers の講演について報告する 内容としては 生分解性包装容器等の利用状況を報告するものであり 主催は Informa UK Ltd 社である 2. 将来の市場発展を目指すバイオ系材料 ( プラスチック ) の利用状況 Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 ( ドイツ ) 2.1 FKuR 社の概要 FKuR 社は 1992 年に調査研究所として設立され 2003 年にバイオプラスチック部門が分離独立して FKuR Kunststoff 社が創業された また 2009 年 9 月には アメリカ テキサス州の Cedar Park 市に支社を開設している 研究開発については フラウンホーファー UMSICHT 研究所 ( ドイツ オーバーハウゼン市 ) との協力関係がある 同社が扱うブランドは 以下に示す通りである -Bio-Flex : 押出成形または射出成形に対して PLA( ポリ乳酸 ) をブレンド -Biograde : 射出成型用にセルロースをブレンド -Fibrolon : 射出成型用に WPC( 木材プラスチック複合材 ) を使用 2.2 拡大するバイオプラスチックの利用可能性 (1) バイオプラスチック原料バイオプラスチック原料は 大別すると下記 2 種類に分けることができる また各バイオプラスチック原料の特性について その長所と短所を表 2-1 に示す 現存するバイオプラスチック原料は良好な性能を満たしているものの 特殊用途においては 十分な性能を満足できないものも存在することは事実である 1 生分解性プラスチック原料生分解性プラスチック原料として 再生可能資源もしくは化石系炭素資源どちらも含まれることになる 再生可能資源として PLA( ポリ乳酸 ) PHA( ポリヒドロキシアルカン酸 ) デンプン セルロースアセテートなどが挙げられる これに対して石油系材料として PBAT( 芳香性変性脂肪族ポリエステル ) PBS( ポリブチレンサクシネート ) などが挙げられる 2バイオ系原料バイオ系原料としては再生可能炭素資源のみが対象であるが 必ずしも生分解性である必要はない 再生可能資源として 上記と同じく PLA( ポリ乳酸 ) PHA( ポリヒドロキシアルカン酸 ) デンプン セルロースアセテートなどが挙げられる また生物系原料として バイオ系ポリエチレン バイオ系ポリアミド バイオ系ポリウレタンなどが挙げられる 58
表 2-1 代表的なバイオプラスチック原料の長所と短所 長所 短所 PLA( ポリ乳酸 ) 高い透明性高い剛性 100% 再生可能高い融点を持つ有用性の高さ 耐衝撃性の弱さ ( その際の音もうるさい ) 製造方法の選択肢が狭い軟化温度が低い ( 耐熱性が悪い ) 水分移送率が高い 安価である PHA ( ポリヒドロキシアルカン酸 ) 高い透明性高い剛性 100% 再生可能高い融点を持つ 製造方法の選択肢が狭い水分移送率が高い熱安定性に乏しい高価である 有用性の高さ PBAT PBS ( 石油系材料 ) 高い融点を持つ柔軟性有用性製造工程の安定性加工助剤の利用が可能 柔軟性と高い引張強度製造方法の選択肢が狭い高価である原油から作られる Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 (2)Bio-Flex Bio-Flex とは PLA( ポリ乳酸 ) と天然繊維や再生可能資源系添加剤を組み合わせた他のバイオプラスチック原料を結合して作られた材料である Bio-Flex の等級によるが LDPE( 低密度ポリエチレン ) HDPE( 高密度ポリエチレン ) PS( ポリスチレン ) に匹敵する機械的特性を持つことがその特徴として挙げられる 他にも フィルム厚さは 8~180µm が可能で 天然資源比率は最大で 90% であることが特徴として挙げられる ここで乳酸が重合してポリ乳酸となる過程と PHA( ポリヒドロキシアルカン酸 ) の写真を合わせて図 2-1 に また各種プラスチックの機械的特性を図 2-2 に それぞれ示す 触媒 + 熱 乳酸 Di- 乳酸ポリ乳酸 (PLA) Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社図 2-1 乳酸が重合してポリ乳酸となる過程と PHA の写真 59
700 伸長度 (%) 600 500 400 300 デンプンとブレンドした場合 PE-LD( 低密度ポリエチレン ) PE-HD( 高密度ポリエチレン ) PP ( ポリプロピレン ) PLA( ポリ乳酸 ) 200 100 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 弾性率 (MPa) Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 図 2-2 各プラスチックの機械的特性 (3) 冷凍品用包装冷凍品の包装に利用される材料 Bio-Flex F2110 は その柔軟性が最大の特長であるが 他にも高い伸張性 0 以下でも頑丈であること 表面の光沢も美しく仕上がることもその長所として挙げることができる (4) エアクッション ( 緩衝材 ) 柔軟性と強度に特徴を持つ Bio-Flex F1130 は 緩衝材付封筒やエアクッションフィルムなどに利用されている 従来型エアクッションやポリエチレン製緩衝用梱包材と比べて 圧縮強度はほぼ同等である また標準の設備で製造可能であることもその長所である 冷凍品用包装とエアクッションの実例を 図 2-3 に写真で示す Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社図 2-3 バイオ系プラスチックの実用例 ( 冷凍品用包装 緩衝材 ) 60
(5) 多層バリアフィルムバイオ系材料を含むバリアフィルム用材料として使用されるものとして PLA( ポリ乳酸 ) PVOH( ポリビニルアルコール ) Bio-Flex A4100CL の多層構成物がその例として挙げられる PVOH はガス密封性と強度に PLA は耐水性にそれぞれ長所を有している PLA と PVOH は結合しないため 要求される層結合のための特殊な設計が施されている 以下にこの多層バリアフィルムの特徴を示す 良好な密封性能を持つ 再生可能資源の利用比率が高い 高い透明性を持つ EN13432( 欧州バイオプラスチック規格 ) の認証を受けている 通気性を持つフィルムである コンポスト化可能であると同時に 保存期間の延長が可能である (6) 酸素透過率各バイオポリマーの酸素透過率を図 2-4 に示す 2,500 2,400 PVOH(HWS): ポリビニルアルコール ( 高温水への溶解性 ) 酸素透過率 (cm 3 20μm/[m 2 day bar]) 2,000 1,500 1,000 500 PVOH(CWS): ポリビニルアルコール ( 低温水への溶解性 ) EVAP: 異種材料による多層フィルム APET: 非晶性ポリエチレンテレフタレート 550 0.3 2.2 19 29.95 102 108 0 Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社図 2-4 バイオ系プラスチック材料の酸素透過率の例 (7) Biograde Biograde とは 射出成形用にセルロースアセテート (CA) をブレンドした材料であるが 特長として 等級にもよるが天然資源の高い比率こと セルロースは持続可能な欧州の森林から得られるものであること 生分解性材料として認証済み (EN 13432 ASTM D6400) であることなどが挙げられる 61
情報報告 ウィーン ヴィカット軟化温度 (8)熱的特性 次に Biograde の熱的特性を 標準のポリスチレンと比較する形で図 2-5 に示す シャルピー衝撃値 靭性 kj/mm2 出典 Bioplastics & Biopolymers 2010 講演資料 Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 図 2-5 Biograde の熱的特性 (9)使い捨ての外食用容器類 Biograde は熱耐性を持つ材料として利用されているが その他の特長を以下に示す ポリスチレンに匹敵する機械的特性を持つ ヴィカット軟化温度 熱変形温度 は 117 と 高い熱耐性を持つ 従来型の射出成形機の使用が可能である ABS 樹脂用の機械類が問題なく使用できる ただし改良すると さらに良い効果が得られる場合が多い (10)筆記用具や事務用品 FKuR 社製の筆記用具が その耐久性に対して 2008 年 12 月に 2008 年バイオ材料大賞 を 受賞している 他のペン製造企業も 多様な色のボールペン製造に Bio-Flex F6510 を使用し ている (11)電子部品への利用例 電子部品への Biograde の利用例として 富士通のキーボードは Biograde C7500CL 製であ る この材料は高い熱変形温度を持つこと ポリスチレンに匹敵する機械的特性を持つことな どの特長を有し 電子部品消費財の特有の要求の大半を満たすことが可能である さらに 従 来型射出成形機の利用も可能である 以上のようなバイオ系プラスチック材料を利用した製品の例を 図 2-6 に示す 62
Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社図 2-6 バイオ系プラスチック材料の利用実例 ( 外食用容器 筆記用具 キーボード ) (12) まとめ現存するバイオプラスチック原料は 機械的および製造上の要求事項を満足できない場合が今も存在しているのが現状である したがって バイオプラスチック原料の複合が さらなる適用を拡大するための重要事項となっている FKuR 社は幅広いフィルムやシートに対して射出成形品を提供しており 多層構造品などそれぞれの用途に合わせた材料開発によって 従来型プラスチックに匹敵する性能を持つ革新的材料を提供してきた 63
2.3 バイオプラスチックの持続可能性 (1) 今日の FKuR 社のバイオポリマー市場 FKuR 社のバイオポリマー市場の状況を図 2-7 に示す 自動車用部品衛生用品 多層フィルム 袋類 ガス射出成形品 特注品 再生可能資源分野の急速な成長が 主要なセールスポイントとなっている 今日では寿命の短い製品で占められており 製品の生分解性が主要なセールスポイントとなっている Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社図 2-7 FKuR 社のバイオポリマー市場の状況 (2) バイオ原料の天然資源の比率 FKuR 社のバイオ材料 Bio-Flex と Biograde の天然資源含有比率を表 2-2 に示す 表 2-2 Bio-Flex と Biograde の天然資源含有比率 材料名 Bio-Flex F1130 Bio-Flex F2110 Bio-Flex A4100CL Bio-Flex F6510 天然資源比率 (%) >30 >35 >85 >70 材料名 Biograde C7500CL Biograde C9550 Biograde C9555 天然資源比率 (%) 50 70 >60 Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 (3) 将来の持続可能性 1990 年から 2010 年の世界全体のバイオプラスチック生産量の推移を図 2-8 に示す 傾向として 需要の伸びによって生産容量も合わせて増加していることが特徴である 64
情報報告 ウィーン 年間生産量 トン 年 再生可能系原材料 石油化学系原材料 出典 Bioplastics & Biopolymers 2010 講演資料 Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 図 2-8 世界全体のバイオプラスチック生産量の推移 (4)製品への適用に関する欧州の傾向 欧州では 包装や技術的利用に対する重要性が高まっている その傾向を以下に示す バイオプラスチックの機能性が重要視されている 開発努力として 例えば密封特性を改善できるよりよい性質を持つ多層バイオプラスチッ クが注目を集めている その例として 化粧品や低温冷凍用包装が挙げられる PLA ポリ乳酸 や PLA ブレンド材料の硬質発泡透明トレイが ポリスチレン製トレイや PET 包装から置き換えられている最中である トヨタやメルセデス ベンツのような自動車企業は すでにバイオポリマー材料で構成さ れる部品を使用している トヨタ社はラウム用 小型乗用車の車種 のスペアタイヤカバーやフロアマットに ポリ 乳酸とケナフ繊維の複合材料を製造し始めている トヨタ社は 2015 年までに自動車用バイオプラスチックの利用比率を 20 にまで引き上げ る計画である 富士通は再生可能原料から作られるキーボードを導入している 再生可能原材料または持続可能原材料の方が 生分解性またはコンポスト性材料よりも バイオ系材料開発推進の主流となっているのが現状である 65
2.4 環境への貢献 (1) 環境への貢献 FKuR 社の目的は 持続可能なプラスチックを開発し製造することである 個別の目標としては 化石系資源の利用削減 ( 原油 天然ガスなど ) CO2 排出の削減 ( 大気汚染の削減 ) 廃棄物としての代替ルートを提供 ( 土壌や水質汚染の減少 ) などが挙げられる FKuR 社は PLA( ポリ乳酸 ) PHA( ポリヒドロキシアルカン酸 ) セルロースアセテートなどの生分解性および再生可能バイオポリマー原料に基づく 真のバイオプラスチック革命を促進していく戦略を持っている ここで 再生可能炭素資源の CO2 クローズドループを図 2-9 に示しておく Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社図 2-9 再生可能資源の CO2 クローズドループ概念 (2) 真の再生可能プラスチックとは? では真の再生可能プラスチックとは何か? その解答を以下に示す 1 化石燃料利用の削減に貢献する材料 PLA PHA セルロースアセテート等の再生可能資源を含むもの 2CO2 排出削減に貢献する材料 PLA PHA セルロースアセテート等の 100% 天然資源を含むもの 3 通常の利用または貯蔵条件下で 生分解しない材料 4 代替の廃棄物ルートを提供する材料生分解性 100% 有害残渣ほとんどなしでのコンポスト化可能なもの ( ただし 土壌中に微生物が存在する環境下のみ ) 5 従来型ポリマー類の廃棄物流れの中で検知可能な材料 6 認証された第三者機関によって 生分解性およびコンポスト性が保証された材料 DIN Certco や ASTM の認証 苗木マークなどが必要である! 66
2.5 バイオプラスチックは代替材料となり得るか? (1) 代替材料としての可能性バイオプラスチックの将来の利用拡大には 食品包装に利用される密封フィルムをベースとした複合ポリオレフィンの代替も含まれる 特にガスおよび水分の密封に関する性能を要求される技術は さらに進化される必要がある いったん有用となれば 著しい売上を持つファーストフード企業 ( ペプシ マクドナルド KFC など ) の使い捨て容器分野での大きな需要が発生することは確実である またバイオプラスチックの成功は コンポスト化可能なだけでなく 耐久性を持つバイオ系プラスチックに依存するところが大きい その例として 電子や自動車の分野におけるバイオ系かつ耐久性のある製品の需要が高まっている 耐久性バイオプラスチックは 2011 年までにバイオプラスチックの全体の 40% を占めると予測されているが 現状では 12% に過ぎない (2) 市場需要 : 現状と将来の傾向 Freedonia の予測によれば 世界全体のバイオプラスチックの需要は 2013 年には 90 万トンに達すると予測されている また European Bioplastics は 世界全体のバイオプラスチック生産量は 2011 年に 150 万トンに達し バイオ系プラスチックの生産容量は 2013 年までに 230 万トンに達するとの予測を発表している また地域別では 西ヨーロッパでの市場は 2013 年までに年間 30.8% の伸びを見せると予測されている これに対して アジア太平洋地域では 39.1% 北米地域では 27.2% 世界平均で 35.1% の伸びを見せると予測されている その中でも特に日本で強力な需要が見込まれているが これは石油系プラスチックの代替品が注目されているためである その一方で 南米 東欧のような地域では 2008 年ベースでごくわずかの需要増しか見込めない 欧州市場は現在 商業規模で生産を開始される材料が続々と登場する興味深い時期にあると言える 供給よりも需要が多い中で 現存する企業が成長するのと同時に 今後参入する企業にも参加の余地は多大にある またさらなる規制が予想される中で 現存する企業にも今後参入する企業にも 今以上の機会が与えられていると言える状況である (3) 将来の課題以下に将来の課題を示す コンポスト化可能の使い捨て製品から 耐久性部品への適用への拡大 石油系原料から再生可能原料への移行 コンポストおよびリサイクル関連インフラの開発 再生可能資源からの新しいモノマーの開発 ( 参考資料 ) Bioplastics & Biopolymers 講演資料 Graham Whitchurch 氏 FKuR Kunststoff 社 67
3. バイオ系包装材料の消費者への普及と製品終了についての考え方 Gaelle Janssens 氏 PRO Europe( ベルギー ) 3.1 PRO Europe(Packaging Recovery Organization Europe: 欧州包装再生機構 ) の概要 (1)PRO Europe の概要 PRO Europe は 33 の包装リサイクルシステムを包括する組織であるが 充填剤や包装材料の生産企業 輸入企業 小売業社によって設立され運営されている また政府や廃棄物処理企業から独立した組織であり 産業界による包装系廃棄物の分別収集 選別 再生 リサイクルへの融資や 製造者責任規則の履行を業務としている (2) PRO Europe の 2008~2010 年の活動内容 2010 年時点で 33 ヶ国がそれぞれの国の法令遵守計画を有しており そのうちの 26 ヶ国がグリーン ドットマークを採用している その状況を図 3-1 に示す 現在約 17 万企業が PRO Europe メンバーシステムに参加し またライセンシーも取得している また 3 億 6,000 万人以上の市民が PRO Europe メンバーシステムによって融資される分別収集システムを利用している 2008 年には PRO Europe メンバーシステムによって 包装材料の約 3,200 万トンが再生され CO2 換算 2,500 万トン以上の温室効果ガス排出が削減され さらに 300 万トン以上のプラスチック包装材料がリサイクルされた実績がある Gaelle Janssens 氏 PRO Europe 図 3-1 PRO Europe に参加する 33 ヶ国とグリーン ドットマークを採用する 26 ヶ国 68
3.2 バイオ包装 (Biopackaging) の定義 (1) バイオ包装の定義とは? バイオ包装とは何か? 実際には曖昧なコンセプトである バイオ包装 の最も自然な定義とは 環境に優しい 包装である これは 消費者の 33% がそのように回答している (2) バイオプラスチック (Bioplastic) では バイオプラスチック はどうか? バイオ系材料 家庭でのコンポスト化可能 産業プロセスでのコンポスト化可能 生分解性 酸素分解性などの性質を持つものが いずれもバイオプラスチックとして認識されている (3) バイオ系包装 (Biobased packaging) さらに バイオ系包装 とは何か? 消費者にとっては コンポスト化可能包装よりも バイオ系包装の方が関心が高いのが現状のようである すなわち コンポスト化が可能かどうかは 石油系材料が例えば約 80% 含まれていても コンポスト可能な材料も存在しているのである 現在では こうした要求を規制するための CEN 基準 ( 欧州標準化委員会基準 ) は存在しないが ベルギーでは図 3-2 に示すような認証マークが出回っている Gaelle Janssens 氏 PRO Europe 図 3-2 ベルギーで使われている認証マーク (4) コンポスト化可能包装 (Compostable packaging) 次に コンポスト化可能包装 はどうか? 家庭でのコンポスト化 あるいは産業プロセスでのコンポスト化が可能ということになるが 化石燃料材料から作られた包装材料でも 再生可能材料からのもの あるいはその混合材料 いずれもコンポスト化可能な包装材料は存在している こうした材料は CEN 13432 基準を満たす必要がある ただしこの CEN 13432 は産業プロセスによるコンポスト化のみに関する基準である ベルギーでは CE 13432 の代わりとして コンポスト化可能材料に対して以下の基準を設定している - 家庭でコンポスト可能な材料も対象とする - 廃棄物になることを避けるため 包装材料に対して 生分解性 の記載を禁止する (5) 生分解性 (Biodegradable) では 生分解性 についてはどうか? 生分解性 という単語はしばしば誤解され 廃棄物問題の原因にもなっているものである 消費者の 21% が もし自分が生分解性包装材料を自然の中に廃棄すれば その材料は人の手を借りることなく消えてなくなるだろう と考えている ロゴの意味についての混乱も生じている 消費者の 73% が ベルギーのロゴ Ok Compost ( 図 3-3 参照 ) が 自宅の庭へのコンポスト化が可能な包装材料であると考えている これでは誤った周知のリスクが存在していることになる 69
Gaelle Janssens 氏 PRO Europe 図 3-3 ベルギーで使われている 2 種類の コンポスト化可能 マーク (6) その他のバイオプラスチック他のタイプの バイオプラスチック として 分解性または酸素分解性のものがあり 以下の特徴を持っている - 添加剤を含む 化石燃料系 ( ポリエチレン ) プラスチック - 紫外線や酸素の影響によって分解されるもの -CEN 13432 基準を満たすものではない産業界が主張するこれらの材料の長所として - 廃棄物の削減 ( ただし誤った議論がなされていることも多い ) - 埋立廃棄物量の削減 ( ただし廃棄物が紫外線や酸素と接触する機会は非常に少ないのが事実である ) 企業が行う環境保護アピールには 注意しなくてはならないのが現実である (7) バイオ包装の定義まとめ最後にバイオ包装の定義について 4 種類を総括する 1バイオ系 (Biobased) -すべてがコンポスト可能な訳ではない - 化石系資源を何 % か含むこともある - 基準は特に存在せず 製品終了との関連もない 2 家庭でのコンポスト化可能 (Home compostable) - 化石系資源または再生可能資源いずれからも作られる - 欧州では共通の習慣がない -CEN 基準は存在しない ( 認証制度はある ) - 現存するロゴに混乱が見られる ( 図 3-3 がその例 ) 3 産業プロセスでのコンポスト化可能 (Industrial compostable) - 化石系資源または再生可能資源いずれからも作られる -CEN 基準や認証制度は存在しない - 製品終了処理として エネルギー回収の方が コンポスト化よりも環境に優しい - 包装材料の有機物回収やコンポスト化施設の整備は 非常に少ない -コンポスト化については いくつかの用例( 農業用フィルム 外食用包装など ) に関心が持たれている 現存するインフラに最適な選択肢がなければ 消費者に普及することはないだろう 4 酸素分解性 (Oxodegradable) - 添加剤を含むポリエチレンから作られる - 紫外線や光によって分解される ( 生分解性ではない ) - 廃棄物発生となってしまう 70
- 海洋生態系や人体へ危害を及ぼすリスクがある - 埋立地では分解されない - 企業による環境保護宣伝に注意が必要である 3.3 バイオプラスチックの産業上の製品終了 (1) バイオプラスチックの産業上の製品終了の定義とは? バイオプラスチックの産業上の製品終了の考え方として 図 3-4 に示す 3 つのシナリオが考えられる シナリオ 1 包装材料の分別収集 シナリオ 2 残余廃棄物 シナリオ 3 有機系廃棄物 軽量包装材料選別施設 コンポスト化の可否による選別 焼却 埋立 焼却 コンポスト化の可否による選別 埋立 嫌気性消化コンポスト 材料リサイクル 嫌気性消化コンポスト Gaelle Janssens 氏 PRO Europe 図 3-4 バイオプラスチックの産業上の製品終了の概念 (2) バイオプラスチック廃棄物の取扱 ( 各シナリオ別 ) バイオプラスチックが図 3-4 のシナリオ 1 に示すように 軽量包装物として選択的に回収される場合 その取扱の特徴を以下に示す 1リサイクルされるバイオプラスチックは - 持続可能なリサイクル施設と リサイクル製品の販売流通が必要である - 十分な量と質が必要とされる -PLA( ポリ乳酸 ) に対する手選別はできない -ブレンド品に対する材料検知はできない - 現存するリサイクル工程での汚染リスクは非常に高い 2 嫌気性消化あるいはコンポスト化は -コンポストは エネルギー回収を伴う嫌気性消化や焼却と比べて 安定性に乏しい - 産業用の嫌気性消化やコンポスト化の新しい施設が必要である - 軽量包装材料選別施設は 非常に高価である 3 焼却 -エネルギー回収を伴う焼却は コンポスト化よりも安定的である 4 埋立 -できれば採用したくない選択肢である 71
次に図 3-4 のシナリオ 2 に示すように バイオプラスチックが残余廃棄物として回収される場合 その取扱の特徴を以下に示す 1 焼却 -エネルギー回収を伴う焼却は コンポスト化よりも安定的である 2 埋立 -できれば採用したくない選択肢である 3 残余廃棄物の選別の場合 - 分別収集の項目を参照 さらに図 3-4 のシナリオ 3 に示すように バイオプラスチックが有機系廃棄物として回収される場合 その取扱の特徴を以下に示す -コンポストは エネルギー回収を伴う焼却と比べて 安定性に乏しい - 現存する嫌気性消化施設の数は非常に少ない - 欧州では包装材料収集システムがほとんど存在していない - 分別が不十分であることにより コンポストの質 ( 市場での価値 ) に問題が発生する - 処理インフラの採用が必要である ( 当然 そのためのコストが必要である ) 3.4 まとめ産業利用されるコンポスト化可能包装材料に対して論理的かつ経済的視点で見た場合 環境に対するバイオプラスチックの製品終了として推奨される形は 焼却となるのが現状である リサイクルやガス化施設の開発が その状況をさらに改善するであろう 家庭でのコンポスト化可能包装材料に対しては その製品終了処理は原則として意識の高い消費者には受け入れてもらえるが 欧州の生活習慣ではないことは留意すべきである また 認証ロゴの誤解があることも忘れてはならない バイオ系包装は 消費者への普及を進めて問題ないと考えている したがって 認証ロゴも積極的に利用されるべきである ( 参考資料 ) Bioplastics & Biopolymers 講演資料 Gaelle Janssens 氏 PRO Europe 72