環境・設備からみたLCCM住宅へのアプローチ

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真空ガラス スペーシア のご紹介 一般に使用されている一枚ガラスの約 4 倍の断熱効果を発揮!! お部屋全体を快適にします オフィスやパブリックスペースの環境は 冷房や暖房に常に取付専用グレチャン気を配らなければなりません 高断熱 Low-Eガラスしかし一方で経営者の方々にとっては節電対策も重要な項

見直し後11 基準相当1.64GJ/ m2年hh11 基準相当見直しH11 基準と見直し後の省エネ基準の比較について 住宅 建築物判断基準小委員会及び省エネルギー判断基準等小委員会平成 24 年 8 月 31 日第 2 回合同会議資料 1-1 より抜粋 設備機器の性能向上により 15~25% 程度省

住宅部分の外壁 窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準 ( 平成 28 年国土交通省告示第 266 号 ) における 同等以上の評価となるもの の確認方法について 住宅部分の外壁 窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準 (

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平成 21 年度資源エネルギー関連概算要求について 21 年度概算要求の考え方 1. 資源 エネルギー政策の重要性の加速度的高まり 2. 歳出 歳入一体改革の推進 予算の効率化と重点化の徹底 エネルギー安全保障の強化 資源の安定供給確保 低炭素社会の実現 Cool Earth -1-

A 計算に使用したモデル ( 平面図 立面図 面積表 ) 自立循環型住宅設計ガイドライン設定モデル住宅 ( 一般モデル ) 木造 2 階建延床面積 m2 1~3 地域 4~7 地域 寒冷地モデル 温暖地モデル 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m] 部位 面積 [ m2 ] 長さ [m

性能基準 計算ルート 性能基準 計算ルート の評価フロー項目 床 壁 天井等は断熱材以外にも色々な材料で構成されていますので 各材料の熱伝導率と厚さで熱抵抗値を求 め それを合算して各部位のを逆算します 計算で求める方法が3種 あらかじめ示された構成の数値で求 める方法が2種あります 面積を拾う 詳

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環境持続住宅設計指針 SEAD21 NPO 環境持続住宅研究会

LED 照明の種類 LED 照明は主に器具と光源が一体化したシーリングライトなどの LED 照明器具 と白熱電球や蛍光灯の光源部分を LED に置き替えた LED ランプ に分類されます ( 図 2-1) 省エネ性と環境性が重視され 公共建築物で使用された LED 照明器具の採用機種数は 2010

1. 目的 実施計画 高度なエネルギーマネジメント技術により 需要家側のエネルギーリソースを統合的に制御することで バーチャルパワープラントの構築を図る < 高度なエネルギーマネジメント技術 > 蓄熱槽を活用した DR 複数建物 DR 多彩なエネルギーリソースのアグリゲーション < 便益 > 系統安

NHK環境報告書2008

自然熱エネルギー 未利用エネルギーを活用し 環境配慮に貢献する 配管システムのご提案 クリーンな エネルギーを 有効利用 で 様々なシーン ギー 利 用 自 然 熱 エネ ル 未利用熱回収タンクユニット ホット Reco FRP製貯湯槽 ホットレージ 熱交換槽 貯湯槽 架橋ポリエチレン管 温泉引湯

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LCCM 住宅の概要 Life Cycle Carbon Minus 住宅研究部住宅情報システム研究官桑沢保夫 1

研究の背景 2008 年のCO2 排出量 : 住宅や業務用建築 1990 年比で30~40% の増加 政府 : 2020 年に温室効果ガスを 1990 年比で 25% 削減 新成長戦略 ( 平成 22 年 6 月 18 日閣議決定 ) の長期目標国土交通省 : 省エネ基準への適合義務づけの必要性 その検討開始 新築の住宅 建築物の 100% 省エネ化を目指す 建築研究所 : 先導的なモデルとなりうる LCCM 住宅 の研究開発に着手 ( 自立循環型住宅の研究などで培ってきた知見を活用 ) 2

パリ協定における日本の約束 1. 温室効果ガス排出量の削減 (1) エネルギー起源二酸化炭素 我が国の温室効果ガス排出量の 9 割を占めるエネルギー起源二酸化炭素の排出量については 2013 年度比 25.0%(2005 年度比 24.0%) の水準 ( 約 9 億 2,700 万 t-co 2 ) であり 各部門における 2030 年度の排出量の目安は 表 1 のとおりである 表 1 エネルギー起源二酸化炭素の各部門の排出量の目安 2030 年度の各部門の排出量の目安 2013 年度実績 削減率 エネルギー起源 CO 2 927 1,235 25% 産業部門 401 429 6.5% 業務その他部門 168 279 40% 家庭部門 122 201 39% 運輸部門 163 225 28% エネルギー転換部門 73 101 28% [ 単位 : 百万 t-co 2 ] 3

LCCM 住宅 (1) コンセプト 省エネ技術の導入により運用時の CO 2 発生量を大幅に削減 返済分 : 建設時に発生した CO 2 を 運用時の余剰エネルギーにより返済 照明他 調理 年間の CO 2 発生量 給湯冷房暖房 太陽光発電による創エネルギー 省エネ前省エネ後太陽光発電 一般住宅 LCCM 住宅 4

建設改修1改修2LCCM 住宅 (1) コンセプト ライフサイクルにわたる CO 2 収支のイメージ + CO 2 収支 [t-co 2 ] - 従来の住宅 LCCM 住宅 Life Cycle Carbon Minus 年数 5

LCCM 住宅 (2) イニシャル CO 2 の削減 CO 2 発生量の少ない材料の選択 使用量の削減 6

LCCM 住宅 (3) ランニング CO 2 の削減 エネルギー効率の向上 躯体の断熱 気密性強化 高効率機器の導入 暖冷房負荷の削減 再生可能エネルギーの活用 住まい方の工夫 建築的手法設備的手法 7

LCCM 住宅 (3) ランニング CO 2 の削減 a. 暖冷房暖冷房にかかる CO 2 排出量の低減 暖冷房負荷の低減断熱 気密性能 ( 気候条件やライフスタイルに対応 ) 通風などによる排熱性能 ( 中間期 夏期 ) 庇などによる遮熱性能 ( 中間期 夏期 ) 日射熱の活用 ( 冬期 ) 効率的な暖冷房機器の選択高効率ヒートポンプ ( 負荷に対応した能力の選択 ) LCCM 住宅では超低負荷 8

LCCM 住宅 (3) ランニング CO 2 の削減 b. 給湯 熱源機 エコキュート 燃料電池 太陽熱温水器 配管 気候条件 地域のエネルギー供給体制による有利 不利を勘案する 配管の短縮 小口径化 端末 ( 水栓 浴槽 ) 節水型シャワー 水栓 高断熱浴槽 浴室 熱源機 配管 端末 9

LCCM 住宅 (3) ランニング CO 2 の削減 b. 給湯 熱源機 エコキュート 燃料電池 太陽熱温水器気候条件 地域のエネルギー供給体制による有利 不利を勘案する 太陽熱集熱器対応型エコキュート 燃料電池 熱源機 10

節湯型機器 手元止水機能 小流量吐水 高断熱浴槽 浴室 配管方式 経路の短縮 小口径化が有効 節湯型機器の例高断熱浴槽 浴室の例 11

LCCM 住宅 (3) ランニング CO 2 の削減 c. 照明 発光効率 ( 運用時エネルギー消費量 : 建設当時 ) 白熱電球 >> LED 電球 電球形蛍光ランプ 1 時間当りに換算した CO 2 排出量 ( ライフタイムトータル ) 白熱電球 >> 電球形蛍光ランプ > LED 電球 12

LCCM 住宅デモンストレーション棟 13

LCCM 住宅デモンストレーション棟 建築概要 延床面積 :143m2(2 階建て ) 工法 : 木造在来工法 基礎 : 布基礎 高炉セメント 軸組 : 国産材 断熱 : 次世代省エネ基準 (H11)Ⅱ 地域相当 開口部 : 木製気密サッシ+ 一部樹脂サッシ 木製日射遮蔽ルーバー 断熱スクリーン ガラス : 真空ガラス 屋根 : 金属板葺き 外壁 : サイディング 金属パネル 木羽目板 床 : 無垢板フローリング 14

LCCM 住宅デモンストレーション棟 設備概要 太陽光発電パネル : 約 8kw ヒートポンプ式エアコン (2.2kw 2+2.8kw 1) 太陽熱集熱器対応エコキュート 家庭用燃料電池 LED 照明 ( 多灯分散 ) コンロ (IH+ ガス ) HEMS(Home Energy Management System) 15

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 通風に活用する換気塔 太陽熱温水パネル 6m 2 太陽光発電パネル約 8kW 風 光を取込む袖壁 太陽熱を取り入れる大開口 ヴォリュームを抑えた基礎 16

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 17

LCCM 住宅デモンストレーション棟設置された 2 種類の給湯器 同時使用なし 実験に応じて切り替え 18

LCCM 住宅デモンストレーション棟換気エネルギー削減手法 通風経路の確保 ( 外部風による自然換気 ) 換気塔による温度差換気 図 CFD を用いた換気塔の検討 19

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 衣替えする住宅 冬モード ( 集熱時 ) 夏モード 20

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 夏モード ( 冷房時 ) 21

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 冬モード ( 集熱時 ) 22

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 冬モード ( 暖房時 ) 23

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 冬モード ( 暖房時 ) 24

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 通風モード時 25

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 通常時 通風モード時 26

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 換気塔 ( 玄関上部 ) 27

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 28

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 29

LCCM 住宅デモンストレーション棟の概要 30

LCCM 住宅デモンストレーション棟における測定 建設時 CO 2 の調査 重量計 建築廃材の計量の様子 31

LCCM 住宅デモンストレーション棟における測定 ランニング CO 2 の調査 決められたスケジュールによる生活行為と 温熱環境 エネルギー消費量の計測 32

LCCM 住宅デモンストレーション棟における測定 ランニング CO 2 の調査結果の例 エネルギー供給側収支 (CO2 換算 ) 消費エネルギー 太陽光発電 kg-co2 20 15 10 5 0-5 -10-15 -20-25 -30 12.9 2.6-13.4-13.6-15.5-17.6-19.4 3 月 1 日 3 月 2 日 3 月 3 日 3 月 4 日 3 月 5 日 3 月 6 日 3 月 7 日 33

LCCM 住宅デモンストレーション棟における測定 年間排出 CO 2 の計算結果の例 太陽光発電 エネルギー消費量 -2968.2-8000 -7000-6000 -5000-4000 -3000-2000 -1000 0 1000 2000 3000 4000 kg-co2/ 年 ( 太陽熱対応エコキュート使用時 ) 34

LCCM 住宅デモンストレーション棟における測定 LCCO 2 の予測結果 600t 30 年でCO 500t 2 マイナスを 400t 達成 300t 200t 100t 排出量合計 ( エネファームの場合 ) 排出量合計 ( エコキュートの場合 ) 太陽光発電イニシャル分 0t 30 年 40 年 50 年 60 年 70 年 80 年 90 年 調査結果に基づく LCCO 2 の予測 35

まとめ LCCM 住宅デモンストレーション棟 ( つくば ) イニシャル CO 2 と運用時エネルギー消費量の測定結果から : Life Cycle Carbon Minus を確認した LCCM 住宅評価ツールの作成日本の様々な気候やライフスタイルに対応 普及促進を目指す LCCM 住宅の認定に活用 36

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