災害対応無人化システム研究開発プロジェクト 通信技術の開発 2013 年 7 月 2 日
Contents 1. 章開発背景 2. 章開発概要 3. 章開発の課題と具体策 4. 章システム構成の高信頼化 5. 章原子力発電所での現場適用 6. 章施工 メンテナンスのための構造設計 7. 章ネットワーク バッテリー監視 8. 章まとめ 2
1. 通信技術の開発 開発背景 1. 本研究開発で想定する災害現場 p 自然災害 化学プラントで有害物質発生等をともなう災害など p 災害現場へ直接作業員による調査 復旧作業を行うことで 二次災害を引き起こす危惧がある状況 2. 課題 p 作業員の代わりに調査 復旧作業を行う遠隔操作ロボットが必要 p 災害現場でロボットを遠隔操作するための通信設備の準備が必要 3
2. 通信技術の開発 開発概要 無人による高信頼な通信インフラの整備 ロボットによる中継局 (AP) の設置 電源 通信ケーブルの敷設 コネクタ接続 故障時の中継局 (AP) 交換対応 2 つの周波数帯 (4.9GHz 5.2GHz) による多重化 バッテリーによる電源断時の通信確保 自由度の高い構成 ( 有線 / 無線の組合せ ) 電波が届かない場所への同軸漏えい通信の応用を検討 操作室でのネットワーク管理 ( 通信異常診断 IP 管理他 ) 通信手段の多様化による高信頼通信システム ( 周波数バックアップ 有線 無線バックアップ ) 現場 BATT 中継局 4 中継局の局部的拡大 ロボット用通信 BOX 周波数帯の相互バックアップ 5.2GHz ( 汎用 ) 有線断時の無線バックアップ 4.9GHz ( 申請要 ) 操作室 通信 2 アンテナ伸縮機構 電源 2 系統通信の複合ケーブル接続 電源断時バッテリー駆動 BATT BATT BATT 中継局 3 中継局 2 中継局 1 分電盤 電源 1 ロボット操作用 管理用 PC 通信管理 異常診断他 4
3. 開発の課題 < 目的 > < 課題 着眼点 > < 具体策 > 長期 安定的な ロボット操作環境のシステム化 高信頼無線通信 システムの構築 システム構成の高信頼化 1 通信回線の多重化によるバックアップ 2 複数周波数帯による相互バックアップ 過酷環境での通信インフラ整備技術の開発 無線電波環境の 構築 原子力発電所での中継局最適配置の検討 1 原子炉建屋内での無線環境の把握 2 機器敷設イメージ ロボットによる 施工 メンテナンス性のための構造 構造設計の工夫 1 施工 搭載のための工夫 2 施工ロボット組合せ試験 5
4-1. システム構成の高信頼化 目標通信インフラを構成する機器のシングル故障で通信不可とならないシステムの構築 1. 通信回線多重化によるバックアップ方式 通常時 : 有線通信による安定した 100Mbps 通信 異常時 : 無線通信による中継局間バックアップ ( 分岐局 ) 中継局 4 ロボット 1 4.9AP 4.9ST 制御 PC カメラ カメラ RT 4.9ST 5.2ST 5.2AP 5.2ST 中継局 3 中継局 2 4.9GHz 帯 中継局 1 現場 遠隔操作室 ロボット2 制御 PC RT カメラ RT カメラ 4.9AP 4.9ST 4.9AP 4.9ST 4.9AP 4.9ST 4.9ST 5.2ST 5.2AP 5.2ST 5.2AP 5.2ST 5.2AP 5.2ST RT RT 管理用 PC 操作用 PC 平常時ブロッキングポート 5.2GHz 帯 有線 / 無線のハイブリッド式多重化方式 6
4-2. システム構成の高信頼化 2. 複数周波数帯による相互バックアップシステム < 方式 1> 通常時 :4.9GHz( 制御 ) 5.2GHz( 映像 ) を分散し 帯域を有効に活用した通信 通常時 異常時 :( 例 :5.2GHz 異常時 )4.9GHzに( 制御 + 映像 ) を混在して通信 移動体ロボット 通信インフラ部 操作側 制御 映像 経路 選択 (RT) 4.9GHz 5.2GHz ( 制御 ) ( 映像 ) 経路 選択 (RT) 制御 映像 シングル系 シングル系 ( 使い分け ) シングル系 異常時 制御 映像 経路 選択 (RT) 4.9GHz 5.2GHz ( 制御 ) ( 制御 + 映像 ) 経路 選択 (RT) 制御 映像 シングル系 シングル系 ( 統合 ) シングル系 < 方式 2> 通常時 :( 制御 + 映像 ) を 4.9GHz 5.2GHz の両方で同じデータで通信 異常時 : 正常な側で ( 制御 + 映像 ) を継続して通信 様々なロボットに対応可能なシステム構成 7
4-3. シングル故障時のシステム挙動 有線切断時の無線へのバックアップ < 通常時 > ロボット コントローラ カメラ ST1 ST2 中継局 AP1 AP2 ST1 ST2 中継局 AP1 AP2 操作卓 PC モニタ バッテリーバッテリー分電盤 < 有線断時 > ロボット コントローラ カメラ ST1 ST2 中継局 AP1 ST1 AP2 ST2 中継局 AP1 AP2 操作卓 PC モニタ バッテリーバッテリー分電盤 8
4-4. シングル故障時のシステム挙動 通信機器異常時の周波数切替 < 通常時 > ロボット コントローラ カメラ ST1 ST2 中継局 AP1 AP2 ST1 ST2 中継局 AP1 AP2 操作卓 PC モニタ バッテリーバッテリー分電盤 < 機器単品故障時 > ロボット コントローラ カメラ ST1 ST2 中継局 AP1 ST1 AP2 ST2 中継局 AP1 AP2 操作卓 PC モニタ バッテリーバッテリー分電盤 9
4-5. システム構成 (2013/2/20 デモ時 ) TSUBAKI ( 移動ロボット研究所 ) 水陸移動装置 ( 東芝 ) MARS-C ( 三菱重工業 ) 制御 PC ロボット搭載 ST1 ST2 1 2 1 ST1 ST2 ST1 中継局 AP1 ST1 1 2 AP2 ST2 中継局 AP1 1 2 AP2 00-1 00-2 移動ロボット研究所 操作卓 東芝操作卓 NET 管理 PC 三菱重工業操作卓 カメラ カメラ 2 ST2 ( 敬称略 ) 10
5-1. 原子力発電所での中継局最適配置の検討 実証試験項目 結果 試験 1 妨害波 ( ノイズ ) 存在確認 無線 LAN 帯域 (2.4~5.2GHz) にはノイズなし 試験 2 EPD( 電子式個人線量計 ) 及び放射線モニタリング値への影響確認 問題なし 試験 3 無線通信試験 ( 原子炉建屋内の無線通信品質の確認と電波到達距離測定 ) 8 5 7 4 2 5 6 試験 4 無線波形測定 4 1 3 6 8 パターン 1 広い場所 2 通路 3 狭い通路 4 回り込み部 5 ラビリンス部 6 部屋の出入口 7 障害物 8 階段 電波到達距離 (-60dBm) 25m マルチパスフェージングによる波形の歪みは検出されなかった 狭い通路から広い区間になる場所では性能低下 (25m) 2 と同じ 距離が短い場合は回り込みにて通信可能 (13m) 距離が短い場合は回り込みにて通信可能 (4m) 入口設置で部屋内の通信可能 (7m) 見通しが無い場所でも距離が短い場合は通信可能 (12m) 見通し確保で 2 階まで通信可能 11
5-2. 機器敷設イメージ 原子炉建屋中継局配置イメージ 遠隔操作室 電源操作卓 メディアコンバータ (MC) LAN 光通信 MC 分電盤 (AC200V) 中継局 6 台でロボットの活動が予定されているエリアがカバー可能 電源 / 通信複合ケーブル 12
6-1.構造設計の目標 現場環境 作業員立入不可の過酷環境 構造設計の目標 ロボットによる施工 メンテナンス性 必要最低限の機能だけで施工が出来ること ロボット作業性を考慮した構造設計を行う <ロボットが行う施工フロー> 運搬 設置 ケーブル 敷設 コネクタ 挿抜 <必要最低限の機能> ①水平 ハンド部の単純なつかみ機能 ②鉛直 リフターによる昇降機能 13 アンテナ位 置の調整 電源投入
6-2. 中継局 (AP) の設計 1. ロボットによる施工のための工夫 本体電源 ON/OFF のための簡易プッシュ式 SW 設置 ( オルタネート式 照光式 ) 内蔵機器 ( 無線機 ) の状態を LED 確認可能 アンテナ性能確保のため指し棒式でアンテナ伸長可能 遠隔操作用にワンタッチプッシュ プル式コネクタ (LEMO 社製 ) の採用 ガイドリングにガタを持たせる構造で 遠隔操作の誤差及び斜め挿抜時の傾きを吸収 電源 通信ケーブルの一体化 ( 複合ケーブル ) により コネクタ箇所をミニマム化 中継局とバッテリー BOX の一体化 アンテナ伸縮機構 バッテリー BOX 中継局 電源 / 通信 複合ケーブル 電源 SW ガイドリング 14
6-3. ロボット搭載 BOX ハ ッテリー BOX の設計 2. ロボット搭載のための工夫 形状は各種ロボットへの搭載性を考慮 縦置きパターン : 設置面積最小化 / 薄型平面パターン : 設置高さ最小化 ネットワーク構成により1 台 /2 台のパターンを計画 ロボット上への配置を容易にするための1BOX 構成 平置型 2 台 縦置型 1 台 3. 充電 / 放電バッテリー回路 バッテリーは簡易着脱式(IDX 社製 ) を採用 停電後の復電時 中継局(AP) 設置の全バッテリーが一気に充電しないよう 電流値の抑制 / 充電順序をコントロール可能なソフトウェアを開発 全バッテリーの状態をネットワーク経由で監視可能なソフトウェアを開発 15
6-4. 施工ロボット組合せ試験 1 運搬 2 設置 3 ケーブル敷設 4 コネクタ挿抜 5 アンテナ伸縮 6 電源投入 中継局の設置無人化を実現 16
7. ネットワーク バッテリー監視 メッセージ ( アラーム ) 出力 コマンド設定 小型高踏破性 移動装置 重量物 荷揚台車 狭隘部遠隔 作業台車 無線中継局 (AP) 操作 PC 監視 PC バッテリー監視 ネットワーク監視 1. ネットワーク監視 No. 機能 監視対象 内容 1-1 ネットワーク装置生死監視 ( ロホ ット内 / 操作卓側 ) 無線機器 ( ロホ ット内 / 中継局内 ) ネットワーク装置が正常に動作しているか監視する ( 中継局内 / 遠隔操作室内 ) 1-2 伝送品質監視 各装置間の伝送路 伝送品質を監視し閾値を超えた場合 アラーム表示する 1-3 ロホ ット接続 AP 表示 中継局 ロホ ットが加入しているAPを表示する 1-4 電波強度表示 無線伝送路 ロホ ットが受信している電波の強度 (RSSI) を表示する 1-5 通信経路監視 ( 伝送路情報 ) 冗長化している伝送路のうち 現在使用している通信経路を表示する 2. バッテリー監視 No. 監視対象 内容 2-1 バッテリー状態 充電中 放電中 エラー 2-2 バッテリー残量 バッテリー残量を表示 ( 例 :90%) 2-3 バッテリー電圧 バッテリー出力電圧を表示 ( 例 :14V) 2-4 アラーム出力 上記条件によりアラーム出力 通信システムの 遠隔モニタリング可能 17
8. まとめ 無人による高信頼な通信インフラの整備を実現 1. 高信頼無線通信システムの構築 通信回線の多重化による無線バックアップ方式の採用 複数周波数帯による相互バックアップ方式の構築 2. 原子力発電所での中継局配置計画の見通し 原子炉建屋内の無線電波環境の把握 機器敷設イメージ 3. ロボットによる施工 メンテナンスの実現 過酷環境 ロボットの作業性を考慮した構造設計 ロボットへの搭載のための工夫 施工ロボット組合せ試験 4. 通信システムの遠隔モニタリング ネットワーク バッテリー監視システムの構築 18
END 災害対応無人化システム研究開発プロジェクト 通信技術の開発 19