#1413 2014 年 5 月 25 日 今週の話題マイクロソフトストア 米国の拙宅の近くにある大型モールにアップル社の直営店であるアップルストアが出店したのは 7 8 年前のことだったと思います 2 年ほど前に そのアップルストアの数件先にマイクロソフト社 (MS) の直営店であるマイクロソフトストアがオープンしました スペースはアップルストアの 1.5 倍ほどはあるでしょうか ディスプレイは一見スマートです しかしながら 客の入りは今ひとつで それほど多くもない店員はだいたい暇そうにしています アップルストアがいつも多くの客であふれていて かなりの人数の店員が対応に追われているのに比べると対照的です ふたつの直営店を比べてみると IT 業界におけるふたつのジャイアンツ企業の動きが反映されていて なかなか興味深いものがあります アップルストアは 北米を中心に三百数十店を展開しており 日本では銀座 渋谷 心斎橋といった繁華街の目につく所にあります 販売している主要商品は 創業時からの PC の他に ipod ipad iphone の 3 つだけで あとは関連するアクセサリー類が若干あるだけです しかし これらの 4 つの商品は有機的に関連し合っており カスタマーはそのひとつを購入すると 他の 3 つの製品も欲しくなってしまうという仕組みになっています それを繋いでいるのが 広い意味でのソフトウェアで OS を含めて主要部分は常にハードウェアとソフトウェアがセットになっており 基本的に自社開発製品です アップルストアでは その全てを販売しているわけですが 年間十兆円以上 利益 1 兆円以上を稼ぎ出す上で重要な役割を担っているわけです 単に商品の宣伝販売をするだけではなく カスタマーのトレーニング クレームの受付や修理 カスタマーの相談へのアドバイスなどを組織的に行っています さらにこれらの活動を通じて得られたカスタマー情報をまとめて 次期商品開発の源泉にしているのです そのために アップルストアでは 専門知識に精通したスタッフをそろえています そのために必要な時間と費用は膨大なものと考えられますが 逆に考えれば アップル社がいかにアップルストアの運営を重要視しているかがわかります 一方マイクロソフトストアは 世界中に約 80 店舗展開しているとのことですが その目的は今ひとつはっきりしません MS は元々 PC の OS ソフトのメーカーで その Windows はアップル社以外のほとんどの PC メーカーの製品に組み込まれています 逆に MS 社自身の PC ハード製品は無いわけです したがって MS ストアに展示してあるのは 大部分は WindowsOS が組み込まれた他社のノートブック PC です 最近リリースした数少ないハードウェア製品である変則タブレット PC( 取り外しが可能なキーボードが付いている ) であるサーフェイ - 1 -
スは もちろんそれなりのスペースをとって展示してありますが いかんせん客が寄り付きません Android や ios に遅れをとった MS 社が 成長が望めるタブレット PC 市場になんとか参入しようという意気込みが感じられますが その結果は市場シェアが示す通りです MS 社のゲーム事業の主力製品である X Box もかなりのスペースをとって展示されていますが たまに子供が遊んでいる程度です コア商品である Windows との関連はほとんど感じられません 店員に聞いて見ると MS ストアでもカストマーのトレーニングやクレーム対応を行っているそうですが 何分にも自社製品でない部分が多いので歯切れが悪いようです 何か MS ストアの悪口ばかり並べたようになってしまいましたが タブレット PC とスマートフォンで出遅れた MS 社が アップル社の躍進にヒントを得て M S ストアを出したことはあきらかです しかしながら 外観は似ていても 内容は全く違っているといってよいでしょう 図らずも そのパフォーマンスが 効果のほどを示しています PCOS のガリバーであった MS 社が 次の世代の I T 世界で生き残るためには それなりのしっかりした戦略が必要でしょう MS ストアの展開や 携帯電話メーカー大手のノキア社の買収などを見ていると どうも小手先のアイデアばかりのようで その将来に不安を感じてしまいます DKN リサーチ 沼倉研史 ( マネージング ディレクター ) ニュースレターのバックナンバーは次の URL で見る事ができます http://www.dknresearchllc.com/dknrarchive/newsletter/archive.html 今週のヘッドライン 2014 年 5 月 25 日 1. Lucintel( 米国の市場調査会社 )5/9 2019 年における世界のコネクタ市場は 657 億ドルに成長すると予測 2. Electronic Times Internet( 韓国のメディア )5/13 韓国の大手基板メーカーは ミドル & ロークラスの携帯機器用 AP のサブストレート市場を目指す 主に海外のデバイスメーカーがターゲット 3. Samsung Display( 韓国のディスプレイメーカー大手 )5/14 OLED パネルの技術開発と量産体制を整えるために 2014 年中に 50 億米ドルを投資する計画 4. DIGITIMES( 台湾の業界メディア )5/15 台湾の携帯電話端末 ODM メーカーはウェアラブル端末デバイスの生産体制が整う しかし実際の受注はまだ無い模様 5. ZVEI( ドイツの業界団体 )5/15-2 -
2014 年における世界のプリント基板市場は 4% の成長を見込む ドイツでは自動車用 産業用が牽引 6.E Ink( 台湾のディスプレイメーカー )5/16 第 1 四半期は 6 億 300 万台湾ドルの赤字 旧正月休暇による受注減がひびく 7. IHS( 米国の市場調査会社 )5/15 3 月における UHD テレビ用 LCD パネルの出荷は 110 万ユニットで 前月から 3 倍増 8.ABI Research( 米国の市場調査会社 )5/16 第 1 四半期における世界のタブレット PC の出荷は 4100 万台 Apple, Samsung2 社で 71% の市場シェア 9. DIGITIMES( 台湾の業界メディア )5/19 中国のプリント基板メーカー 銅張積層板メーカーの設備投資意欲が旺盛で 台湾の製造装置メーカーは繁忙に 10.IBM( 米国のエレクトロニクス最大手 )5/19 エレクトロニクス用に画期的な汎用ポリマーを開発 高強度 軽量 廉価 しかもリサイクルが可能 11.Chin-Poon( 台湾の基板メーカー大手 )5/20 今後 4 年間で 32 億台湾ドルを投資して 自動車用プリント基板生産能力を大幅増強 世界シェア 10% 12.SPIL( 台湾のパッケージメーカー大手 )5/20 旺盛な需要に対応するために 15 億台湾ドルを投資して 中国の蘇州に Flip Chip CSP の工場を建設へ 13.IDTechEx( 英国の市場調査会社 )5/20 用途の拡大により 世界のグラフェン市場の規模は 2014 年の 2 千万ドルから 2024 年には 3.9 億ドルに成長すると予測 14.Bloomberg News( 米国の経済メディア )5/20 1 月に始まった南アフリカでの労働者のストライキにより プラチナとパラジウムの需給ギャップが広がる 15.Microsoft( 米国の PC ソフトメーカー最大手 )5/20 新しいタブレット PC Surface Pro を発表 従来品に比べて大型画面で軽量 Apple 社のマックブックエアに対抗 - 3 -
16.Hutchinson Technology( 米国のフレキメーカー大手 )5/20 全社的な合理化の一環として 7 月末までに 100 名の要員を削減 130 万ドルのコストダウン 17.DIGITIMES( 台湾の業界メディア )5/21 台湾の大手基板メーカーでは スマートフォン向けの出荷が好調で 高密度基板の生産能力は満杯状態 18.Apex International( 台湾の基板メーカー )5/21 タイに建設中だったプリント基板工場が生産を開始 第 1 ステップとしての生産能力は 70 万平方フィート 19.iNEMI( 米国の業界団体 )5/22 レアアースについての白書を発表 20.Digitimes Research( 台湾の市場調査会社 )5/22 ノートブック PC メーカートップ 5 社の 4 月の出荷は 前月比で 24% 減少 前年同月比で 3% の減少 21.Digitimes Research( 台湾の市場調査会社 )5/23 2014 年における世界のサーバー出荷に占める台湾メーカーのシェアは 9 0% で 4500 億台湾ドル 前年比 8.8% の成長 22.DIGITIMES( 台湾の業界メディア )5/23 スマートフォン向けの受注が好調で 台湾の大手基板メーカーの高密度多層基板の生産ラインは 6 月までフル操業状態 23.HP( 米国の PC メーカー大手 )5/22 パーソナルコンピュータ事業の長期的低迷に対応するために 今後 1 年間でさらに 16000 人の削減を計画 ( 注 ) このヘッドライン ニュース レターは速報性を重視するために 若干の誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます ご了承下さい DKN リサーチ栄泰産業株式会社 最近の DKN リサーチの論文 出版物 - 4 -
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