< 速報 >2014FIFA ワールドカップテレビ視聴動向 過去最大の時差 日本戦はどう見られた? この度 ワールドカップブラジル大会のテレビ視聴率が出揃いましたので その中から今大会のテレビ視聴動向について 日本戦を中心に速報します writer テレビ調査局テレビ調査部井原由香子 6 月 12 日から約 1ヵ月間 ブラジルで開催された 2014FIFA ワールドカップですが 日本は決勝トーナメント進出への期待が高かっただけに 予選リーグ敗退という結果に落胆の色を隠せない人が多かったと思います 今大会は 開幕直前まで治安や会場設備などインフラ面での不安が取り沙汰されました しかし いざ始まってみると 国の威信をかけて繰り広げられる 熱い闘いに世界中から注目が集まる大会となりました 自国開催での優勝が悲願だったサッカー王国ブラジルが 不運にもエースのネイマール 主将シウバを欠いた準決勝でドイツに 1-7 と歴史的大敗を喫すというドラマもありました そして見た人全てを熱くさせたであろう決勝戦は 早朝の放送だったにもかかわらず 26.7%( ) を記録 ドイツが延長戦の末アルゼンチンを下して優勝し 世界中が熱狂した宴は幕を閉じました 図表 1 ワールドカップの大会と総放送分数 ( 関東地区 ) FIFA ワールドカップ 2014 ブラジル '14. 6 月 12 日 ( 木 )~ 7 月 14 日 ( 月 ) 2010 南アフリカ '10. 6 月 11 日 ( 金 )~ 7 月 12 日 ( 月 ) 2006 ドイツ '06. 6 月 9 日 ( 金 )~ 7 月 10 日 ( 月 ) 日本と開催国との時差 12 ~ 13 時間 7 時間 7 時間 放送局夜間の番組夜間以外の番組全番組 上段 : 下段 : 総放送分数 6. 6.4% 6.4% 726 分 5100 分 5826 分 5.3% 6.2% 6. 1754 分 7203 分 8957 分 13.1% 7.6% 9.9% 2044 分 2713 分 4757 分 13.3% 7. 10.9% 4134 分 2947 分 7081 分 12.3% 7.6% 9. 1866 分 2616 分 4482 分 13.6% 9.2% 11.3% 2540 分 2825 分 5365 分 夜間の番組 :19:00 ~ 22:59 の間に放送が開始された番組 --- 総合 + E テレ --- 民放 5 局計大会平均は ビデオリサーチの番組小分類 その他のサッカー に分類され 原則として番組タイトルに ワールドカップ W 杯 FIFA を含む番組を対象とし 番組開幕戦放送日から決勝戦放送日までの期間で算出します ( その後に放送された総集編などは除き 期間中のハイライト番組は含みます ) 2 Video Research Digest 2014. 8
は前 2 大会より低め 総放送分数は増加傾向 今大会は 日本との時差が 12 ~ 13 時間と初出場 を果たしたフランス大会以降 最も時差が大きく 決 してテレビ視聴に適した環境とはいえませんでした 生中継は 深夜から早朝にかけて放送される試合が 多く 特に日本戦は初戦のコートジボワール戦を除き 早朝の放送となりました このような状況の下 今大会はテレビでどのよう に見られたのでしょうか 関東地区のデータを見ていきましょう 図表 1 試合中継にハイライト等関連番組を含めた全番 組は (6.4%) (6.) ともにドイツ 南ア大会に比べ低くなっています 時差 予選リーグでの日本の戦績など 大会によって状況が異なるため単純な比較はできませんが 起床在宅率の高い夜間 (19:00 ~22:59 に放送開始 ) の放送量が南ア大会の 4 割に留まっていることも要因のひとつではないでしょうか ただし それ以外の放送量は南ア大会に比べて 2 倍強となっており ワールドカップ関連番組の総放送分数は が約 97 時間 ( 5,826 分 ) 地上波約 150 時間 ( 8,957 分 ) と過去 2 大会に比べともに増加しています これについては日本代表への注目の高まりとともに 日本におけるワールドカップの存在感が増していることも影響しているのだと思います 図表 2 ワールドカップ日本戦の ( 関東地区 ) 2014 年ブラジル大会 ( 時差 :12-13 時間 ) (%) 日本 コートジボワール 1-2 総合 6 月 15 日 ( 日 ) 9:45 74 42.6 10:59 64 46.6 日本 ギリシャ 0-0 日本テレビ 6 月 20 日 ( 金 ) 155 33.6 日本 コロンビア 1-4 テレビ朝日 6 月 24 日 ( 火 ) 28:40 20 10.8 6 月 25 日 ( 水 ) 5:00 140 37.4 < 参考 > 28:40 160 34.0 2010 年南アフリカ大会 ( 時差 :7 時間 ) (%) 日本 カメルーン 1-0 総合 6 月 14 日 ( 月 ) 22:50 61 44.9 23:54 61 45.5 日本 オランダ 0-1 テレビ朝日 6 月 19 日 ( 土 ) 20:10 150 43.0 日本 デンマーク 3-1 日本テレビ 日本 パラグアイ 0-0 PK 3-5 6 月 24 日 ( 木 ) 2 120 30.5 6 月 25 日 ( 金 ) 5:00 40 40.9 TBS 6 月 29 日 ( 火 ) < 参考 > 2 160 33.1 22:40 150 57.3 25:10 50 53.5 2006 年ドイツ大会 ( 時差 :7 時間 ) (%) 日本 オーストラリア 1-3 総合 6 月 12 日 ( 月 ) 21:50 155 49.0 日本 クロアチア 0-0 テレビ朝日 6 月 18 日 ( 日 ) 21:35 175 52.7 日本 ブラジル 1-4 総合 6 月 22 日 ( 木 ) 27:30 90 22.8 6 月 23 日 ( 金 ) 5:00 60 37.2 < 参考 > 27:30 150 28.5 < 参考 > 視聴率調査では 早朝 5:00 から翌朝 5:00 までを 1 日とし 0:00 ~ 5:00 までの番組は前日分として扱うため早朝 5:00 をまたぐ番組は分けて集計されます 参考値として 早朝 5:00 をまたいだ平均視聴率を掲載しております 3
盛り上がりは 視聴環境 戦況次に 日本戦がそれぞれどのように視聴されたのかを見てみましょう 6 月 15 日 ( 日 ) に放送された初戦のコートジボワール戦は 早い段階で本田の力強いゴールにより先制したものの コートジボワールのスター選手ドログバの投入後 勢いに乗った相手側から立て続けに 2 点を奪われ 逆転負けを喫しました 期待に反する結果となった初戦ですが 世帯平均視聴率は 42.6% 46.6% と を越え 本大会で最も高い視聴率を示してします 図表 2 毎分視聴率をみると 典型的なサッカー中継の形で推移しており 試合全体を通して常に 前後を保っています これは 日曜の午前中というテレビを視聴しやすい時間帯だったことも影響していると思われます 図表 3 6 月 20 日 ( 金 ) の 2 戦目 ギリシャ戦は 0-0 の 引き分けで 攻めながらもゴールを決め切れない歯痒い展開となりました は初戦より低い 33.6% 毎分視聴率は の 7 時台は を上回る辺りで推移しますが の 8 時台では徐々に視聴率が低下していきます サッカー中継の動きとしては特異といえますが これは平日の朝 出勤 通学前の忙しい時間帯の放送だということが大きく影響したことがわかります それでも試合終了の 9 時前時点で 前後を維持しており ギリギリまで試合の行方を確認したいという視聴者心理を垣間見ることが出来ます 図表 4 そして今大会最後の日本戦となった 6 月 25 日 ( 水 ) のコロンビア戦は 37.4%( キックオフの 5:00 ~140 分間 ) 一縷の望みをかけて臨んだ日本でしたが 1-4 で大敗 2 大会連続の予選リーグ突破の夢は叶いませんでした 毎分視聴率の推移を見ると キックオフが 5 時と早く 最初から視聴できなかった人が多かったのか試合開始時点では 1 程 図表 3 日本 コートジボワール毎分視聴率の推移 ( 関東地区 ) 図表 4 日本 ギリシャ毎分視聴率の推移 ( 関東地区 ) 5 3 1 1 09:35 09:40 09:45 図表 5 日本 コロンビア毎分視聴率の推移 ( 関東地区 ) 5 3 1 1 4:40 4:45 4:50 4 Video Research Digest 2014. 8 < 総合 2014 年 6 月 15 日 ( 日 ) 9:45-12:03> 16 分日本 1 点目 (( 本田 ) 09:50 09:55 10:00 10:05 10:10 10:15 10:20 10:25 19 分コートジボワール 1 点目 ( ボニ ) 21 分コートジボワール 2 点目 ( ジェルビーニョ ) 10:30 10:35 10:40 10:45 10:50 10:55 11:00 11:05 11:10 11:15 11:20 11:25 11:30 <EX 2014 年 6 月 24 日 ( 火 ) 28:40-2014 年 6 月 25 日 ( 水 ) 7:20> 17 分コロンビア 1 点目 ( クアドラド ) 46 分ロスタイム日本 1 点目 ( 岡崎 ) 4:55 5:00 5:05 5:10 5:15 5:20 5:25 5:30 5:35 5:40 5:45 5:50 10 分コロンビア 2 点目 ( マルティネス ) 37 分コロンビア 3 点目 ( マルティネス ) 44 分コロンビア 4 点目 ( ロドリゲス ) 5:55 6:00 6:05 6:10 6:15 6:20 6:25 6:30 6:35 11:35 11:40 11:45 11:50 11:55 12:00 12:05 12:10 5 3 1 1 <NTV 2014 年 6 月 20 日 ( 金 ) -9:15> 7:20 7:25 7:30 7:35 7:40 7:45 7:50 7:55 8:00 8:05 8:10 8:15 8:20 8:25 8:30 8:35 8:40 8:45 8:50 8:55 9:00 9:05 9:10
度でした しかし 時間の経過とともに見始める世帯が増えていき 終盤には約 まで上っています ギリシャ戦に比べて 在宅率が高い時間帯だったことに加え 最後の望みがかかった試合に関心が集まった結果と言えそうです 図表 5 これら日本戦の視聴率は 大会平均視聴率同様 過去 2 大会のそれと比較すると低い印象です 要因としては 大きな時差等の視聴環境の違いに加え 決勝トーナメント進出の可能性 更には期待の度合いが影響したように思われます 2010 年南ア大会は 1 2 戦目の放送開始が 22 時台 20 時台と比較的視聴しやすい時間で 平均視聴率がともに 前後でした 3 戦目は深夜 3 時からの放送にもかかわらず 決勝トーナメント進出をかけた大一番だったため平均視聴率が を超えました 日本代表がはじめて決勝トーナメントに挑んだパラグアイ戦は放送開始が 22 時台と好条件が重なり は関東地区の歴代 12 位 (57.3%) を記録しています 2006 年ドイツ大会は 1 2 戦目の放送開始が 21 時台とテレビ視聴しやすい環境にあったため 2 戦とも 前後でした 特に この大会で一番高い視聴率となった 2 戦目のクロアチア戦は日曜日のゴールデンタイムに放送されました しかし 予選リーグ敗退が決まった 3 戦目のブラジル戦は深夜 ~ 明方に放送され 1 2 戦目ほどは 視聴率が伸びませんでした それでも 9 割以上の世帯がワールドカップ関連番組を視聴 ブラジル大会の予選リーグ期間中 どれだけ多くの世帯がワールドカップの中継 ハイライト番組を視聴したのか見てみると 開幕戦の放送があった 6 月 12 日 ( 木 ) 時点では 2 割程度だったのが 日本戦初戦放送日の 6 月 15 日 ( 日 ) 時点で 8 割弱 日本の最終戦のコロンビア戦放送の 6 月 25 日 ( 水 ) 時点では 9 割以上の世帯が視聴しています 図表 6 良好とは言えない視聴環境や厳しい戦績という条件の下でも ほとんどの世帯がワールドカップ関連番組を視聴したことが分かります 図表 6 ブラジル大会開幕戦 (6/12) から予選リーグ ( 日本 コロンビア戦 (6/25)) までの世帯リーチ推移 ( 関東地区 ) (%) 100 累積リーチ前回からの増加分 78.9 81.5 82.7 84.2 85.2 88.5 88.8 89.1 90.0 91.3 92.2 75 56.2 50 48.2 25 22.1 0 6/12 6/13 6/14 6/15 6/16 6/17 6/18 6/19 6/20 6/21 6/22 6/23 6/24 6/25 注 ) ブラジル大会開幕戦放送日 ~ 予選リーグ日本戦最終日 (2014 年 6 月 12 日 ( 木 )~6 月 25 日 ( 水 ) の 14 日間 ) の有効サンプルより算出 ( 世帯全体 :589s) それぞれ放送分数の 1/3 以上みた世帯を視聴したと判定 5
また 平日の朝に放送されたギリシャ戦 コロンビア戦放送日の朝帯 HUT( 総世帯視聴率 ) を見てみると 前年同時期と比べ中継時間帯の HUT が高く押し上げられています 平日の朝とはいえ 普段この時間帯にテレビを見ない世帯もテレビをつけていたことが分かります 図表 7 このように 前 2 大会ほどは視聴率が伸びなかったブラジル大会ですが 今回もワールドカップが人々の関心を集めたことには違いないようです ちょうど 1 年前 ブラジルでコンフェデレーションズ杯が開催され 日本代表がブラジル イタリア メキシコといった強豪国と対戦しました 今大会のギリシャ戦と同じ時間帯に放送開始 ( ~) されたイタリア戦の視聴率は 12.6% でしたので やはりワールドカップのコンテンツパワーは特別ですね 終わりに次の 2018 年大会は初めてロシアで開催されます 時差は 試合会場によって異なりますが 5 時間前後です ブラジル大会と比べて時差の問題が軽減され 日本でのテレビ視聴環境は良くなるのではないでしょうか 日本代表が本大会へ出場し 日本国内が盛り上がることを期待しています 各国の一流選手たちが国の威信と自身の夢をかけて闘う様は サッカーファンならずとも熱くさせられる素晴らしいエンターテインメントです 日本代表にとっては 厳しい再スタートとなるのかもしれませんが ロシアまでの道程を見守ることを含め 4 年後の大会を楽しみに待ちたいと思います 図表 7 日本戦における早朝時の HUT ( 関東地区 ) 2014FIFA ワールドカップ 日本 ギリシャ (NTV 2014 年 06 月 20 日 ( 金 ) 0-09:15) 2014FIFA ワールドカップ 日本 コロンビア (EX 2014 年 06 月 25 日 ( 水 ) 05:00-07:20) 7 2014 年 6 月 20 日 ( 金 )(VS ギリシャ ) 2014 年 6 月 25 日 ( 水 )(VS コロンビア ) 6 前年同時期 (2013 年 6 月平日平均 ) 1 6 Video Research Digest 2014. 8 5:00 5:05 5:10 5:15 5:20 5:25 5:30 5:35 5:40 5:45 5:50 5:55 6:00 6:05 6:10 6:15 6:20 6:25 6:30 6:35 7:20 7:25 7:30 7:35 7:40 7:45 7:50 7:55 8:00 8:05 8:10 8:15 8:20 8:25 8:30 8:35 8:40 8:45 8:50 8:55