はじめに 宅地建物取引業は さまざまな個人情報を取り扱う職種であり 宅地建物取引業法第 45 条には業者の 秘密を守る義務 が明記されています 平成 17 年 4 月に 個人情報の保護に関する法律 いわゆる個人情報保護法が完全施行され 個人情報を保護するための法整備がなされました また今般 同法改正

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第 4 条 ( 取得に関する規律 ) 本会が個人情報を取得するときには その利用目的を具体的に特定して明示し 適法かつ適正な方法で行うものとする ただし 人の生命 身体又は財産の保護のために緊急に必要がある場合には 利用目的を具体的に特定して明示することなく 個人情報を取得できるものとする 2 本会

個人情報の保護に関する規程(案)

個人情報保護規程

個人情報保護規程 株式会社守破離 代表取締役佐藤治郎 目次 第 1 章総則 ( 第 1 条 - 第 3 条 ) 第 2 章個人情報の利用目的の特定等 ( 第 4 条 - 第 6 条 ) 第 3 章個人情報の取得の制限等 ( 第 7 条 - 第 8 条 ) 第 4 章個人データの安全管理 ( 第 9

14個人情報の取扱いに関する規程

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Ⅰ はじめに 1 ガイドラインを策定する目的 大阪市は 政令指定都市の中でも街頭犯罪が多い都市となっており 安全で安心して暮らせるまちづくりのための対策が必要となっています その中で 防犯カメラは 24 時間撮影が可能であることから 犯罪の抑止効果があるとともに 犯罪発生時には容疑者の特定にも役立つ

privacypolicy

個人情報の取り扱いに関する規程

社会福祉法人春栄会個人情報保護規程 ( 目的 ) 第 1 条社会福祉法人春栄会 ( 以下 本会 という ) は 基本理念のもと 個人情報の適正な取り扱いに関して 個人情報の保護に関する法律 及びその他の関連法令等を遵守し 個人情報保護に努める ( 利用目的の特定 ) 第 2 条本会が個人情報を取り扱

ください 5 画像の保存 取扱い防犯カメラの画像が外部に漏れることのないよう 一定のルールに基づき慎重な管理を行ってください (1) 取扱担当者の指定防犯カメラの設置者は 必要と認める場合は 防犯カメラ モニター 録画装置等の操作を行う取扱担当者を指定してください この場合 管理責任者及び取扱担当者

1 資料 1 パーソナルデータの利活用に関する制度改正に係る法律案の骨子 ( 案 ) TM 2014 年 12 月 19 日 内閣官房 IT 総合戦略室 パーソナルデータ関連制度担当室

個人情報保護規程例 本文

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

個人情報保護規定

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資料2-1 「個人情報の保護に関する法律」説明資料

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1 はじめに 本市では 平成 17 年に 鹿児島市安心安全まちづくり条例 を定め 地域の安全は地域で守る を基本理念に 市と市民 事業者等が連携 協働し 安心して安全に暮らせるまちづくりを進めてきました これまでに防犯パトロール隊や青色防犯パトロール車による防犯活動をはじめ 安心安全ネットワーク会議

1 ガイドライン策定の目的防犯カメラについては テレビや新聞で報道されているように 犯罪の解決や犯罪の抑止につながることなど その効果は社会的に認められており さまざまな施設に防犯カメラが設置されております しかし その効果が認知される一方で 防犯カメラにより個人のプライバシーなどの人権が侵害される

個人情報保護宣言

社会福祉法人○○会 個人情報保護規程

個人情報管理規程

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

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学校法人金沢工業大学個人情報の保護に関する規則

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個人情報保護方針

日商協規程集

自治会における 個人情報取扱いの手引き 霧島市市民環境部市民活動推進課

個人情報の取り扱いについて TaoTao 株式会社 ( 以下 当社 という ) は お客様が安心して当社のサービスをご利用いただけるよう 個人情報保護方針に基づき お客様の個人情報 個人番号 特定個人情報 ( 以下 ここではすべてを総称し 個人情報 といいます ) のお取扱いに細心の注意を払っており

1 策定の目的 この手引書は 茅ヶ崎市地域防犯カメラ ( 以下 地域防犯カメラ という ) の設置及び運用について配慮すべき事項を定めることにより 地域防犯カメラの有用性とプライバシー保護等との調和を図り 地域防犯カメラを適切かつ効果的に活用し 茅ヶ崎市の安心して安全に暮らせるまちづくりを推進するこ

財団法人日本体育協会個人情報保護規程

プライバシーポリシー ( 個人情報保護に関する基本方針 ) 株式会社ビットポイントジャパン ( 以下 当社 といいます ) は 個人情報の保護とその適正な管理が重要であることを認識し 個人情報の保護に関する法律 ( 以下 個人情報保護法 といいます ) 関連法令 ガイドラインその他の規範を遵守すると

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個人情報保護法と 行政機関個人情報保護法の 改正点概要

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個人情報によって識別される特定の個人をいう ( 基本理念 ) 第 3 条個人情報は 個人の人格尊重の理念の下に慎重に取り扱われるべきものであることにかんがみ その適正な取扱いを図るものとする 第 2 章個人情報 ( 利用目的の特定 ) 第 4 条個人情報を取り扱うに当たっては 定款の定める業務を遂行

特定個人情報の取扱いの対応について

自治会における個人情報保護 名簿などにより会員の状況等を把握しておくことは 自治会でのコミュニケーションのため大切なことですが プライバシー保護の意識の高まりにより個人情報の提供を拒む方もいらっしゃるようです ここでは名簿の作成や利用など 個人情報の取り扱いについて記載しています 個人情報保護法と自

第 1 章総則 ( 目的 ) 第 1 条本規程は 株式会社スマートバリュー ( 以下 当社 という ) が個人情報保護方針に基づく個人情報の取扱いの基本事項を定めたもので 個人情報の保護と適正な利用を図ることを目的とする ( 定義 ) 第 2 条本規程における用語の定義は 次の各号に定めるところによ

PTA実態調査

( 内部規程 ) 第 5 条当社は 番号法 個人情報保護法 これらの法律に関する政省令及びこれらの法令に関して所管官庁が策定するガイドライン等を遵守し 特定個人情報等を適正に取り扱うため この規程を定める 2 当社は 特定個人情報等の取扱いにかかる事務フロー及び各種安全管理措置等を明確にするため 特

目次 1. はじめに 1 (1) 基本方針策定の目的 1 (2) これまでの取組みと今後の取組み 1 (3) 街頭防犯カメラ と 施設監視カメラ 2 2. 設置に係る基本方針 3 (1) 設置場所 3 (2) 撮影範囲 4 (3) 設置していることの表示 4 (4) 設置地域の周知 4 (5) 地域


第 1 ガイドライン策定の目的及び対象 1 ガイドライン策定の目的美濃加茂市では犯罪のない安全で安心できる住みよい地域社会を実現するため 平成 21 年 10 月に 美濃加茂市防犯活動推進条例 を施行するとともに 同条例に基づく防犯計画を策定し 市民 事業者及び市が一体となって 犯罪のないまちづくり

制定 : 平成 24 年 5 月 30 日平成 23 年度第 4 回理事会決議施行 : 平成 24 年 6 月 1 日 個人情報管理規程 ( 定款第 65 条第 2 項 ) 制定平成 24 年 5 月 30 日 ( 目的 ) 第 1 条この規程は 定款第 66 条第 2 項の規定に基づき 公益社団法

東レ福祉会規程・規則要領集

はじめてのマイナンバーガイドライン(事業者編)

拍, 血圧等 ) を, ユーザー本人または当社の提携先からと提携先などとの間でなされたユーザーの個人情報を含む取引記録や, 決済に関する情報を当社の提携先 ( 情報提供元, 広告主, 広告配信先などを含みます 以下, 提携先 といいます ) などから収集することがあります 4. 当社は, ユーザーが

防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン

個人情報保護方針の例

資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

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事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

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劇場演出空間技術協会 個人情報保護規程

Ⅱ. 防犯カメラの設置及び運用に当たっての留意事項 1 設置の目的防犯カメラの設置者は 犯罪 又は事故を防止するなどの目的を明確にし その目的を逸脱した運用を行わないようにしてください 2 撮影の範囲と設置場所防犯カメラで撮影された映像は その取扱いによっては 撮影された個人のプライバシーを侵害する

個人データの安全管理に係る基本方針

【別紙】リーフレット①

第 2 章 個人情報の取得 ( 個人情報の取得の原則 ) 第 4 条個人情報の取得は コンソーシアムが行う事業の範囲内で 利用目的を明確に定め その目的の達成のために必要な範囲においてのみ行う 2 個人情報の取得は 適法かつ公正な方法により行う ( 特定の個人情報の取得の禁止 ) 第 5 条本条各号

自治会では どのように 取り扱ったらいいの ですか? 自治会における情報の取り扱い 個人情報保護法では 持っている情報を適正に扱うことを規定しています 自治会が会員の氏名や住所 電話番号などの個人情報を持つことは 活動する上で不可欠です これからは 自治会においても大切な情報を守るため 正しい管理に

(3) 障害を理由とする差別障害を理由とする不当な差別的取扱いを行うこと又は合理的配慮の提供をしないことをいいます (4) 障害を理由とする不当な差別的取扱い客観的にやむを得ないと認められる特別な事情なく 障害又は障害に関連する事由により障害者を区別し 排除し 又は制限すること 障害者に障害者でない

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とはありません 5. 個人情報の利用目的 (1) 当社は お客様よりご提供いただいた個人情報を次の目的のために利用いたします 第二種金融商品取引業および当該業務に関連 付随する業務を行うため 金融商品 ( ファンド ) 第二種金融商品取引業に関する情報を提供するため 取引時確認を行うため お客様との

本人に対して自身の個人情報が取得されていることを認識させるために 防犯カメラを設置し 撮影した顔画像やそこから得られた顔認証データを防犯目的で利用する際に講じることが望ましい措置の内容を明確化するため 更新しました ( 個人情報 ) Q 防犯目的のために 万引き 窃盗等の犯罪行為や迷惑行

第 4 条センターは 個人情報保護方針 ( プライバシーポリシー ) を定め これを実施する 2 センターは 個人情報保護方針を 文書等で従業者に周知徹底させるとともに センターのホームページ上に公表する ( 規程の改定 ) 第 5 条センターは 個人情報保護法の運用 監督官庁のガイドライン等の変更

発信者情報開示関係WGガイドライン

雇用管理分野における個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項 第 1 趣旨 この留意事項は 雇用管理分野における労働安全衛生法 ( 昭和 47 年法律第 57 号 以下 安衛法 という ) 等に基づき実施した健康診断の結果等の健康情報の取扱いについて 個人情報の保護に関する法律についての

Ⅰ バイタルリンク 利用申込書 ( 様式 1-1)( 様式 ) の手続 バイタルリンク を利用する者 ( 以下 システム利用者 という ) は 小松島市医師会長宛に あらかじ め次の手順による手続きが必要になります 新規登録手続の手順 1 <システム利用者 ( 医療 介護事業者 )>

第 4 条公共の場所に向けて防犯カメラを設置しようとするもので次に掲げるものは, 規則で定めるところにより, 防犯カメラの設置及び運用に関する基準 ( 以下 設置運用基準 という ) を定めなければならない (1) 市 (2) 地方自治法 ( 昭和 22 年法律第 67 号 ) 第 260 条の2

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取扱いに特に配慮を要するものとして政令第 2 条で定める記述等が含まれる個人情報をいう (4) 個人情報データベース等 とは 個人情報を含む情報の集合物であって 次のいずれかに該当するもの ( 利用方法からみて個人の権利利益を害するおそれが少ないものとして政令第 3 条第 1 項で定めるものを除く

本サイトにおける個人情報の利用目的は以下のとおりです 当社は 本人の同意なく目的の範囲を超えて利用しません (1) 本サイト会員登録者の個人認証及び会員向け各種サービスの提供 (2) インターネットまたは電話を通じて提供する 宿予約サービス 及びそれに付帯関連する業務の遂行 (3) 上記 (2) に

外部通報処理要領(ホームページ登載分)

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財団法人吊古屋都市整備公社理事長代理順位規程

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報主体の権利利益及びプライバシーの侵害の防止に関し 必要な措置を講じるよう勤める 2 本センターの職員等は 業務上知り得た個人情報を漏えいし または不当な目的に使用してはならない 第 2 章 管理体制及び責任 ( 管理体制 ) 第 6 条本センターは 個人情報の適切な管理を効果的に実施するため 役割

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社長必見≪ここがポイント≫マイナンバーガイドライン(事業者編)

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プライバシーポリシー EU 版 /GDPR 対応 株式会社オールアバウトライフワークス ( 以下 当社 といいます ) は 個人情報保護の重要性を認識し 個人情報保護に関する方針 規定及び運用体制を含む個人情報保護に関するマネジメントシステムを確立 運用し 適切な取扱いと継続的な改善に努めることを目

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 23 国民年金関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 甲府市は 国民年金関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかね

(5) 個人データ 個人データ とは 個人情報データベース等を構成する個人情報をいう (6) 保有個人データ 保有個人データ とは 当会館が 開示 内容の訂正 追加又は削除 利用の停止 削除及び第三者への提供の停止を行うことのできる権限を有する個人データであって その存否が明らかになることにより公益

長は 特措法第 39 条第 1 項に規定する地域福利増進事業等を実施しようとする区域内の土地の土地所有者等の探索に必要な限度で その保有する同項に規定する土地所有者等関連情報を その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができることとなります ( 特措法第 39 条第

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れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

議題 1. 個人情報保護委員会とは 2. 個人情報保護法の改正について 1

市有地売却【公示:申込手引一式】

平成 30 年度新潟県自殺対策強化月間テレビ自殺予防 CM 放送業務委託契約書 ( 案 ) 新潟県 ( 以下 甲 という ) と ( 以下 乙 という ) とは 平成 30 年度新潟県自殺対 策強化月間テレビ自殺予防 CM 放送業務について 次の条項により委託契約を締結する ( 目的 ) 第 1 条

Transcription:

宅地建物取引業者の皆さんへ 宅地建物取引業者の社会的責務 個人情報の保護と人権の尊重について 香川県土木部住宅課

はじめに 宅地建物取引業は さまざまな個人情報を取り扱う職種であり 宅地建物取引業法第 45 条には業者の 秘密を守る義務 が明記されています 平成 17 年 4 月に 個人情報の保護に関する法律 いわゆる個人情報保護法が完全施行され 個人情報を保護するための法整備がなされました また今般 同法改正法が平成 29 年 5 月 30 日に全面施行されたことに伴い 保有する個人情報の件数にかかわりなく 個人情報を取り扱うすべての事業者に同法が適用されることとなりました 皆さんは 宅地建物取引業を営むうえで 顧客や地域の方々など多くの方々と関わっていますが 宅地建物取引業は これらの方々からの信頼や理解を得られて初めて 事業として成り立つものです 人権問題に対する理解もそのうちの一つであり 宅地建物取引業者として 業務の適正な運営と取引の公正の確保という社会的責務を果たしていくためにも 人権問題について十分に理解することが求められています

Ⅰ. 個人情報の取扱いについての注意事項 宅地建物取引業は 日常的に多くの個人情報を取り扱っており その取扱いには 十分な配慮が必要です このような中 改正個人情報保護法の全面施行に伴い 各主務大臣が有している監督権限が 個人情報保護委員会 へ一元化されるとともに 個人情報の取扱いについて詳しく解説した資料として 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン が定められました ここでは 個人情報取扱事業者が守るべき 4 つの基本ルールが規定されています (1) 個人情報の取得 利用に関するルール 利用目的を特定して その範囲内で利用する ( 利用目的を変更 追加する場合には 本人の同意が必要 ) 利用目的を通知又は公表する (2) 個人情報の保管に関するルール 漏えいが生じないよう 安全に管理する 従業者 委託先にも安全管理を徹底する ( 持ち運ぶ場合も要注意 ) (3) 個人情報の提供に関するルール 第三者に提供する場合は あらかじめ本人から同意を得る 第三者に提供した場合 第三者から提供を受けた場合は 一定事項を記録する (4) 本人からの開示請求等に関するルール 本人から開示等の請求があった場合はこれに対応する 苦情等に適切 迅速に対応する * 個人情報とは 生存する個人に関する情報であって 氏名や生年月日等により特定の個人を識別することができるものをいいます 個人情報には 他の情報と容易に照合することができ それにより特定の個人を識別することができることとなるものも含みます

Ⅱ. 秘密を守る義務 宅地建物取引業者は 媒介などの依頼をする顧客から 取引動機 家族構成や資産の状態など 取引関係者の財産上 取引上又は身分上の秘密を知り得る機会の多い職業です もし 業者がそれらの秘密に属する事がらを他に漏らすことがあれば 誰もが安心して業者に真実を告げることができなくなります そこで 取引関係者の秘密と宅地建物取引業者の業務に対する社会的な信頼を保持するために 宅地建物取引業法第 45 条において 秘密を守る義務を明記しています これは宅地建物取引業を営まなくなった後も同様です また 同法第 75 条の 3 においては 宅地建物取引士及び従業者についても同様の義務が定められています ( 参考 ) 宅地建物取引業法 第 45 条 ( 秘密を守る義務 ) 宅地建物取引業者は 正当な理由がある場合でなければ その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない 宅地建物取引業を営まなくなった後であっても また同様とする 第 75 条の 3( 宅地建物取引業者の使用人等の秘密を守る義務 ) 宅地建物取引業者の使用人その他の従業者は 正当な理由がある場合でなければ 宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない 宅地建物取引業者の使用人その他の従業者でなくなった後であっても また同様とする

Ⅲ. 人権問題に対する理解と配慮 宅地建物取引業者は 憲法で保障された 居住 移転の自由 に係わる重要な業務に従事しており 業務の執行に関しては常に 基本的人権の尊重 を十分に理解 認識していなければなりません 予断と偏見に基づく問い合わせなどに対しては 人権を尊重する視点に立って 毅然とした対応を行う必要がありますし 顧客や家主に対しては 様々な人権問題についての正しい理解と認識を持っていただけるよう 日頃から十分な説明に努めなければなりません ( 参考 1) 憲法第 22 条第 1 項何人も 公共の福祉に反しない限り 居住 移転及び職業選択の自由を有する ( 参考 2) 宅地建物取引業法の解釈 運用の考え方について ( 国土交通省通知 ) < その他の留意すべき事項 > 1 宅地建物取引業者の社会的責務に関する意識の向上について宅地建物取引業務に係る人権問題の最近の状況を見ると 一部において同和地区に関する問い合わせ 差別意識を助長するような広告 賃貸住宅の媒介業務に係る不当な入居差別等の事象が発生している 宅地建物取引業は 住生活の向上等に寄与するという重要な社会的責務を担っており また 人権問題の早期解決は国民的課題であるので 基本的人権の尊重 特にあらゆる差別の解消に関する教育 啓発が重要であることにかんがみ 同和地区 在日外国人 障害者 高齢者等をめぐる人権問題に対する意識の向上を図るため 宅地建物取引士等の従事者に対する講習等を通じて人権に関する教育 啓発活動のより一層の推進を図るとともに 宅地建物取引業者に対する周知徹底及び指導を行う必要がある

(1) 土地 建物の売買や賃貸に際しての注意事項 売買や賃貸をする物件が同和地区であるかどうかを調査する行為は 差別や人権侵害につながる恐れのある行為です また 貸主や借主など取引関係者からの問い合わせに対して 同和地区であるかないかを答えたりする行為なども 答える側が差別を意識して行う発言であり 差別行為につながる恐れのあるものです 宅地建物取引業者の社会的責務の一環として このような質問者に対しては このような行為が差別行為につながる恐れがあることを説明し 理解していただくようお願いします 同和問題とは 私たちは 誰であろうと生まれてくるときに 家や親 場所を選ぶことはできません 同和問題とは 同和地区 被差別部落などと呼ばれる特定の地域出身であることや そこに住んでいることを理由に 結婚を反対されたり 就職や日常生活の上で様々な差別を受けているという重大な社会問題です 同和問題は 決して一部の人たちだけの問題ではなく 人間が人間として尊重され 誰もが平等で明るく幸せに生活できる社会の実現のために 私たち一人ひとりが取り組むべき問題なのです 宅地建物取引業法では 第 47 条において重要な事実の不告知を禁止していますが 顧客からの 同和地区に関する問い合わせ に対しては 宅地建物取引業者が回答しなくても 同法第 47 条に抵触しません

(2) 賃貸住宅の申込みに際しての注意事項 賃貸住宅の入居に際して 申込者が 障害者 高齢者 外国人 ひとり親家庭であるなどといった 契約の履行に直接関係のないことを事由として入居を拒否するという行為は 差別を助長する行為であり 重大な人権侵害となります このような入居差別は 家主だけの問題ではありません 宅地建物取引業者が行う仲介業務の中にも もしかするとこのようなものがあるかもしれません 今一度 人権に配慮した仲介業務を心掛けるようにしましょう では具体的に 人権に配慮した仲介業務とはどのようなものでしょうか 人権に配慮した賃貸住宅の仲介業務 < 入居申込書の本籍欄の廃止 > 今だに 入居申込書に本籍を記入するよう求めてはいませんか 本籍の記入を求めることは 部落差別につながったり 本籍のない在日外国人に対する差別を助長したりすることにもなります このような差別につながる恐れのある本籍の記述は なくしましょう < 家主への啓発 > 家主から信頼を得て営業している宅地建物取引業者だからこそ 入居差別をなくすために 障害者 高齢者 外国人 ひとり親家庭であることなどを理由に入居を拒否しないよう 家主に対して理解を求めてください

おわりに 経済 社会の情報化の進展などに伴い 個人のプライバシーの保護や情報セキュリティの確保は 事業者に対する社会的要請となっています 個人情報の適正な取扱いを徹底し 個人の権利利益の侵害の未然防止に努めてください また 障害者 高齢者 外国人 ひとり親家庭などであるということだけを理由に入居を拒否することは 居住 移転の自由という基本的人権を侵害するものです そして 皆さんは業務を行う中で 予断と偏見に基づいた問い合わせを受けることがあるかもしれません その際には 人権を尊重する視点から 毅然とした対応をとっていただくようお願いします さらに 家主などの取引関係者に対しても 人権に配慮するよう積極的に働きかけてください