響灘火力発電所建設事業 事後調査計画書 平成 28 年 9 月 株式会社響灘火力発電所
まえがき だき弊社は 北九州市響灘埋立地に計画しているバイオマス混焼 石炭焚火力発電所の建設 事業について 平成 28 年 4 月に 響灘火力発電所 ( 仮称 ) 建設事業環境影響評価書 ( 株 式会社響灘火力発電所 平成 28 年 3 月 )( 以下 評価書 という ) の縦覧手続きを終了 し 平成 28 年 10 月 1 日より工事に着手する予定である 事業にあたっては 評価書 に記載した環境保全対策等を適切に実施するとともに 事後調査を行って環境影響評価をフォローアップすることとしている 本計画書は 工事中及び供用時の事後調査の実施内容についてまとめたものである 平成 28 年 9 月 株式会社響灘火力発電所
目 次 第 1 章事業者の名称 代表者の氏名及び主たる事務所の所在地... 1 第 2 章対象事業の名称 目的及び内容... 2 2.1 対象事業の名称... 2 2.2 対象事業の目的... 2 2.2.1 安定電源の確保... 2 2.2.2 地域の活性化... 2 2.3 対象事業の内容... 3 2.3.1 事業の種類... 3 2.3.2 事業の規模... 3 2.3.3 事業実施区域... 3 2.4 事業計画の概要... 7 2.4.1 発電所の設備等の概要... 7 2.4.2 発電用燃料の種類... 12 2.4.3 ばい煙に関する事項... 13 2.4.4 粉じんに関する事項... 15 2.4.5 用水 排水に関する事項... 16 2.4.6 資材等の運搬に関する事項... 21 2.4.7 主要な建設機械及び設備機械... 24 2.4.8 廃棄物等に関する事項... 26 2.4.9 温室効果ガスに関する事項... 27 2.5 工事に関する事項... 28 2.5.1 工事工程... 28 2.5.2 工事中の排水に関する事項... 29 2.6 事業計画に反映した環境保全対策... 30 2.6.1 工事中... 30 2.6.2 存在及び供用時... 31 第 3 章事後調査計画の内容... 34 3.1 事後調査項目の選定... 34 3.2 事後調査手法の選定... 36 第 4 章事後調査結果の検討方法... 38 4.1 検討方法... 38 4.2 事後調査の結果により環境影響の程度が著しいことが明らかになった場合の対応の方針... 39 第 5 章事後調査実施体制... 39 5.1 事後調査の担当部署 責任及び連絡先... 39 5.2 事後調査の実施に関する受託者の名称 代表者の氏名及び事務所の所在地... 39 第 6 章事後調査報告書の提出時期... 39
資料編 冷却塔で使用する薬剤の安全データシート
第 1 章事業者の名称 代表者の氏名及び主たる事務所の所在地 事業者の名称 : 株式会社響灘火力発電所 代表者の氏名 : 代表取締役塚田裕行 主たる事務所の所在地 : 北九州市戸畑区中原新町 2 番 1 号 - 1 -
第 2 章対象事業の名称 目的及び内容 2.1 対象事業の名称 響灘火力発電所建設事業 2.2 対象事業の目的 2.2.1 安定電源の確保 我が国のエネルギー政策のグランドデザインは 慎重に描く必要性がある一方で 国内 の電力需給は今後数年間 厳しい状況が継続する見通しであり 一日も早い新規電源の開 発が求められている 加えて 東日本大震災以降 原子力発電所の稼働率の低下により ベース電源の確保の重要性も高まっている 当社は 日本の産業全般やエネルギー政策 制度に深くかかわってきたみずほフィナン シャルグループを母体に設立されて以来 エネルギー制度改革や規制緩和の流れの中で 中立な立場 で 社会インフラであるエネルギー業界 の 健全な発展に貢献する と いう理念のもと エネルギーインフラファンド を創設し リスクキャピタル の供給 機能を果たし 社会的な意義の高い分野を対象とした投資活動を通じて 成長分野と期待 されるエネルギー業界の発展に貢献してきた このような中 北九州市では市民生活及び地域産業活動を支える観点から 安定 安価 なエネルギー供給の推進を目指している 本事業は これらの背景を踏まえ 響灘埋立地の石炭火力発電に適した立地特性を最大 限に生かした新規電源開発を通じて 北九州市地域エネルギー拠点化推進事業 の構築 の一翼を担うべく 北九州市の産業 市民への安定的かつ安価な電力供給 北九州市域内 での雇用創出を目指すものである また 地球温暖化対策の観点から 木質ペレットを活用したバイオマス混焼によって CO2 排出量を削減するとともに 北九州市及び響灘工業団地を含む市内企業との協業によ る輸送エネルギーの削減 資源の有効活用等を通じて 地球環境及び地域環境の保全に貢 献する事業を展開する計画である 上記のような志のもと 株式会社 IDI インフラストラクチャーズが運営する IDI イン フラストラクチャーズ 2 号投資事業有限責任組合を事業主体として 株式会社響灘火力 だき発電所を設立し バイオマス混焼 石炭焚火力発電事業を進めるものである 2.2.2 地域の活性化本事業を推進運営するに当たって 発電所の従業員として北九州地区で 20 名程度の雇用を計画している また 関連企業も含めると 30 名 ~40 名の新規雇用が想定されることから 当地域の活性化 雇用の創設に寄与できると考えている 本事業は このクラスの世界最高水準である石炭専焼時における発電効率 (40% 程度 発電端 HHV) の発電設備を採用し 燃料は環境に配慮し熱量ベースで最大 30% のバイオ - 2 -
マスと石炭が混焼できる発電設備を採用する 石炭は 地元企業である日本コークス工業 殿から豪州炭 インドネシア炭等を安定供給してもらうことで計画している また バイ オマスは 北米産または東南アジア産の木質ペレットを輸入する予定である 2.3 対象事業の内容 2.3.1 事業の種類本事業は 北九州市環境影響評価条例施行規則 ( 平成 11 年 6 月 10 日北九州市規則第 33 号 ) 第 2 条別表第 1 に掲げられた次の種類に該当する 事業用電気工作物であって発電用のものの設置の事業 1) 工場又は事業場の建設事業 2) 2.3.2 事業の規模 発電出力:112,000kW 排ガス量:450,000m 3 N/h( 湿り ) 排水量 :3,300m 3 / 日 2.3.3 事業実施区域事業実施区域は 響灘埋立地の工業専用地域にある国有地 ( 約 52,800m 2 ) である また 工事中には 南側の国有地 ( 約 30,000m 2 ) を借用して 資材置場 現場事務所 駐車場等に使用する 所在地 : 北九州市若松区響町一丁目 94 番 4( 図 -1~ 図 -3 参照 ) 敷地面積 : 約 52,800m 2 1) 出力が 75,000kW 以上である火力発電所 2) 排出ガス量が 40,000m 3 N/h 以上である工場等の設置の事業 - 3 -
図 -1 事業実施区域の位置 - 4 -
図 -2 事業実施区域の位置及び周囲の概況 - 5 -
図 -3 事業実施区域の位置及び周囲の概況 ( 拡大 ) - 6 -
2.4 事業計画の概要 2.4.1 発電所の設備等の概要 (1) 設備等の概要発電所の設備等の概要は 表 -1 に示すとおりである 本発電所は ボイラー タービン 発電機 排ガス処理設備等で構成される 発電用燃料は 石炭とバイオマス ( 木質ペレット ) であり バイオマス混焼率は熱量ベースで最大 30% を目標とする 表 -1 発電所の設備等の概要 項目及び設備名内容 発電所の原動力の種類汽力 ( 微粉炭方式 ) 発電所の出力 操業時間 112,000kW 24 時間 / 日 ボイラー設備型式再熱式循環ボイラー 発電用燃料石炭及びバイオマス ( 木質ペレット ) 点火用燃料 バイオマス混焼率は 最大で熱量ベース 30%( 重量ベースで約 37%) を目標とする A 重油 蒸気発生量 355t/h( 他事業所に供給する蒸気量 10t/h を含む ) 湿り排ガス量 450,000m 3 N/h タービン設備型式再熱式復水タービン 出力 冷却方式 112,000kW 空気冷却方式 発電機設備型式三相交流同期発電機 容量 125,000kVA 排ガス処理設備脱硫装置湿式石灰石膏法 脱硝装置 集塵装置 乾式アンモニア接触還元法 電気集塵機 - 7 -
(2) 設備配置計画本事業における土地利用計画は表 -2 に 設備の配置計画は図 -4 に示すとおりであり ボイラー タービン 発電機 煙突等の主要設備は敷地の北側に配置する 施設の敷地面積は 52,800m 2 ( 横 236m 縦 223m) である 燃料となる石炭とバイオマスは 敷地の南側に設ける屋内貯炭場とバイオマスサイロにそれぞれ貯蔵し 密閉式コンベアでボイラーに供給する また 工場立地法に規定されている緑地面積の確保に際し 東側と北側の道路沿いに緑地帯を設け 外部からの景観に配慮する 表 -2 土地利用計画 区分 面積 (m 2 ) 割合 (%) 発電設備用地 20,681 39.17 付帯設備用地 15,480 29.32 道路用地 10,369 19.64 緑地 6,270 11.87 合計 52,800 100.00-8 -
図 -4 設備配置計画 ( 上 : 平面図 下 : 立面図 ) - 9 -
(3) 発電工程の概要 1 燃料受入供給設備石炭は 屋内貯炭場に設けた石炭投入口にホイールローダーで投入し 石炭バンカの貯蔵量が規定量 ( 約 8 時間分貯炭できる ) となるまで 密閉式コンベアにより石炭バンカに移送される 石炭バンカの貯蔵量が規定量に達している場合には 輸送された石炭は屋内貯炭場内に積み上げる バイオマスは トラックで移送したものを一旦バイオマスサイロに受入 バイオマスバンカ内の貯蔵量に応じて 専用の密閉式コンベアでバイオマスバンカに移送する 各バンカに貯蔵している各燃料は 出力に応じてボイラーに供給する また バンカの燃料レベルが下がれば順次燃料を補充する 2 ボイラー燃料を燃焼させることで供給した水を加熱し 蒸気を発生させる装置である 発生した蒸気は ボイラーに設置した過熱器や再熱器でさらに過熱し 所定の蒸気条件にして タービンに供給する 3 タービン 発電機ボイラーで発生した蒸気はタービンに送られ その蒸気でタービンを回転させることで蒸気のエネルギーをタービンの回転エネルギーに変換する タービンの回転エネルギーは 連結している発電機を駆動して電気エネルギーに変換される タービンには 高圧タービンと低圧タービンがあり 高圧タービンを駆動して出てきた蒸気を ボイラーの再熱器に送り加熱した後に低圧タービンに送り 低圧タービンを駆動する これより タービンの効率向上を図る また タービンを通過した蒸気の一部は 近隣事業所に供給する計画である これにより さらにエネルギー効率を上げることができる 4 冷却設備復水器の冷却には 冷却塔方式を採用する 冷却塔方式は 海水冷却方式に比べて使用水量が大幅に少ない 復水器を冷却する水は 循環ポンプにより復水器と冷却塔を循環しており 通常外部には出てこない 復水器を冷却した後冷却塔に戻ってきた水は 冷却塔の中で大気中に熱を放散し 所定の温度まで冷却する 5 排ガス処理設備排ガス処理設備には大気汚染防止法の規制基準を遵守するよう 脱硫装置 脱硝装置 集塵装置 を備え 排出ガスについては硫黄酸化物 窒素酸化物 ばいじんの連続監視を行う 脱硫装置 : 湿式の脱硫装置を採用する 煙突入口部に設置する石灰石スラリーを使った石灰石膏法の脱硫装置で硫黄酸化物を除去する 脱硝装置 : 触媒によるアンモニア脱硝装置を採用する 集塵装置 : 電気集塵式の集塵装置を採用する 放電極からのコロナ放電でばいじんに - 10 -
静電気を帯電させ 集塵板でばいじんを捕集し 槌打装置でばいじんを集 塵板から下に落とし 除去する 6 その他 ( 灰貯蔵について ) 発電所内では 一時的にフライアッシュを溜めるフライアッシュ貯槽は設けるものの 原則として燃焼灰の長期貯蔵は行わず 受入先に随時搬出する予定である 電気集塵機で捕集したフライアッシュは 一旦フライアッシュ貯槽に移送し 壁材 セメント原材料等として再利用するため 専用のジェットパック車または灰を調湿した後にダンプトラックで 原則として毎日受入先に搬出する ボトムアッシュは 塊になってボイラー底部に落ちてきた後 水槽を潜らせて取り出し ダンプトラックで搬出する 7 排水処理設備構内で発生する排水は 浮遊物分離処理 中和処理 凝縮沈殿処理 ろ過処理等を実施し 水質汚濁防止法等の規制基準に適合した水質 ( 表 -6) とした後 北九州市所有の既設雨水排水溝に放流する COD T-N T-P ph については 放流前に常時監視装置で適合状況を監視する 図 -5 発電工程の概要 - 11 -
2.4.2 発電用燃料の種類発電用燃料は 石炭とバイオマスであり バイオマスの混焼率は熱量ベースで最大 30% ( 重量ベースでは約 37%) を目標にしている バイオマスは 供給の安定化を図るため 安定供給が見込まれる北米または東南アジア産を計画している また バイオマスが一時的に調達困難になった場合に備え 石炭専焼でも運転できる設備としており 継続的に安定した操業が行える 発電用燃料の年間消費量は表 -3 に示すとおりであり 石炭を主体とし バイオマスは最大 30% 混焼する 図 -6 石炭 ( 左 ) とバイオマス ( 右 ) 表 -3 発電用燃料の種類と年間消費量 燃料の種類 年間消費量 石炭 バイオマス ( 木質ペレット ) 21~36 万 t 3~15 万 t 備考 )1. バイオマス ( 木質ペレット ) の混焼率は 熱量ベースで最大 30% を目 標とする 備考 )2. バイオマスを最大混焼率で 1 年間継続操業した場合における年間石炭消費量は 約 25 万 t となる - 12 -
2.4.3 ばい煙に関する事項ばい煙に関する諸元は表 -4 に 設置する排ガス処理装置の特徴及び概念図は図 -7 に示すとおりである 排ガス処理装置を設置することで 施設から排出される燃焼ガスの硫黄酸化物 窒素酸化物及びばいじんの濃度または量は 大気汚染防止法に基づく基準の 1/5 程度まで低減する また 石炭専焼時やバイオマス混焼率が変化した場合においても 排ガス処理設備等の性能を調整することにより 排出濃度と量は表 -4 に示す計画値以下とする 硫黄酸化物 窒素酸化物 ばいじんについては 常時監視を行う 表 -4 ばい煙に関する諸元 項目単位計画値備考 煙突形状排出ガス量煙突口ガス硫黄酸化物窒素酸化物ばいじん 頂部内径 m 3.2 地上高 m 80 湿り m 3 N/h 450,000 乾き m 3 N/h 395,000 ガス温度 50 排出速度 m/s 18.4 酸素濃度 % 5.6 排出濃度 (O 2:6% 基準 ) ppm 19 脱硫装置 ( 湿式石灰石膏法 ) 排出量 m 3 N/h 7.7 を設置 排出濃度 (O 2:6% 基準 ) ppm 40 排煙脱硝装置 ( 乾式アンモ 排出量 m 3 N/h 16.2 ニア接触還元法 ) を設置 排出濃度 (O 2:6% 基準 ) mg/m 3 N 10 集塵装置 ( 電気集塵機 ) を設置排出量 kg/h 4.1-13 -
脱硫装置 脱硫効率 99% 反応剤石灰石 ( 炭酸カルシウム ) 副生品 利点 留意点 石膏 石灰石及び石膏の取扱いが容易 石灰石 ( 消石灰 ) の調達先及び副生品としての石膏の販路を確保する必要がある 石灰石や石膏を貯蔵等するための敷地が必要となる 湿式石灰石膏法 脱硝装置脱硝効率反応剤触媒利点留意点 90% 以上 アンモニア 酸化チタン等 装置の構成が単純であり 大量の排煙処理に適している 脱硝効率を上げるために アンモニアの投入量を増加する場合には リークアンモニアによる悪臭対策に留意する必要がある 本施設では 自動検知器で NO X を測定し 過剰なアンモニアの発生を防ぐ 乾式アンモニア接触還元法 集塵装置除去効率粒度圧力損失利点留意点 90~99.9% 20~0.05μm 0.1~0.05kPa メンテナンスが比較的容易 集塵効率は ばいじんの電気抵抗率の影響を受けるため 燃料種や排ガスの温度域によって変化する 電気集塵機 資料 ) 小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドライン ( 環境省 平成 26 年 10 月 ) より一部加筆 図 -7 排ガス処理装置の特徴及び概念図 - 14 -
2.4.4 粉じんに関する事項粉じんの主な発生源としては 燃料の石炭 バイオマス及び図 -8 に示す燃焼灰が考えられる 石炭燃料をトラックで運搬する場合には 粉じんが飛散しないように 荷台カバーの展張 屋内貯炭場での荷降ろし 散水等を行う 場内において石炭及びバイオマス燃料の運搬に使用するベルトコンベアは密閉式とし 燃料サイロに直結させ 粉じんが飛散しない構造とする 燃焼灰のうち 電気集塵機で捕集したフライアッシュ ( 乾灰 ) はフライアッシュ貯槽に一時貯蔵した後に ジェットパック車で場外へ搬出する ボトムアッシュは 炉底部に落ちた後水槽を潜らせて取り出すため 粉じんが発生することはない 水槽から掻きだしたボトムアッシュは ダンプトラックで搬出する 図 -8 燃焼灰 ( 左 : ボトムアッシュ 右 : フライアッシュ ) 図 -9 ジェットパック車 - 15 -
2.4.5 用水 排水に関する事項 本事業における用水及び排水の流れは 図 -10 に示すとおりである 図 -10 用水及び排水の流れ - 16 -
(1) 用水用水の供給先及び使用量は 表 -5 に示すとおりである 本事業で使用する用水は 工業用水 (9,600m 3 / 日 ) 及び上水 (10m 3 / 日 ) である 工業用水は 受水量の 9 割以上を冷却塔に供給し 補給水として使用する 上水は 生活用水として使用する 表 -5 用水の供給先及び使用量 種類 供給先 使用量 (m 3 / 日 ) 冷却塔 8,458 工業用水 発電設備 湿式脱硫装置 600 純水装置 342 9,600 その他 200 上水 生活用水 10 合計 ( 工業用水 + 上水 ) 9,610-17 -
(2) 排水排水の諸元は表 -6 に 系統別排水量は表 -7 に示す 排水は 凝集沈殿処理 砂ろ過処理 活性炭処理 中和処理を経て 排水監視槽に送られる 排水監視槽では COD T-N T-P ph の適合状況を監視し 一般排水として図 -11 に示す洞海湾に放流する計画である 放流水の計画値は表 -6 に示す値を設定する 排水温度は 工業用水温度 ( 年平均 17 ) 及び気温に連動し 夏は 35 程度 冬は 27 程度となる 排水位置は図 -11 に示すとおりであり 新設する排水管から既設の雨水排水溝を経由して 洞海湾に放流する 表 -6 排水の諸元 項目 単位 通常 諸元 最大 排水量 m 3 / 日 3,000 3,300 排水温度 27~35 COD mg/l 7 8 T-N mg/l 5 8 T-P mg/l 0.7 0.8 ph - 6~8 6~9 SS mg/l 8 15 ほう素 mg/l 40 60 ふっ素 mg/l 2 3 ノルマルヘキサン抽出物質 mg/l 1.6 1.8 フェノール類含有量 mg/l 0.8 0.9 表 -7 系統別排水量 排水系統排水量 (m 3 / 日 ) プラント雑排水 120 冷却塔ブロー 2,783 脱硫排水 60 発電設備 ボイラーブロー水 275 雑ドレン 2 純水再生排水 30 前処理排水 30 合計 3,300-18 -
図 -11 排水位置 - 19 -
(3) 冷却塔の管理に関する事項本施設では 復水器で温められた冷却水を冷やすため 蒸発及び空気との熱交換により水温を低下させる冷却塔を設置する 排水処理前の冷却塔ブロー水の計画水質は以下のとおりであり 排水処理設備で処理する ( 図 -10 16 頁 ) < 冷却塔ブロー水の計画水質 > COD:25mg/L 未満 T-N: 8mg/L 未満 T-P: 1mg/L 未満冷却塔の運転 管理方法は 表 -8 に示すとおりである 冷却水に添加する防食 防スケール剤は類似施設で使用実績のある有機硫黄系銅用防食剤 マレイン酸 アクリル酸を主成分とする無リン系の薬剤 ( 栗田工業 ( 株 ) 製ポリクリン P-300: 注入濃度約 60mg/L 管理濃度 60~80mg/L) を想定している 防スライム剤としては次亜塩素酸ナトリウムを主成分とする薬剤 ( 栗田工業 ( 株 ) 製ポリクリン A-412: 注入濃度約 30mg/L 残留塩素管理濃度 0.1~0.5mg/L) の使用を想定している これらの薬剤の安全データシート (SDS) は資料編に示すとおりであり 想定される使用量において安全性を確認している 表 -8 冷却塔の運転 管理方法 補給水量 項目 運転 管理方法 水槽の水位が一定となるよう 補給水量を自動調整する ブロー 水量 薬品添加 電気伝導度による管理 水質分析による管理 冷却水の電気伝導度をモニタリングし 予め定めた管理基準内に収まるようにする 管理基準は補給水の水質より設定する 冷却水の水質を定期的に分析し ブロー水量の調整を行う 通常は薬品濃度 ( 防食 防スケール剤 防スライム剤 ) で管理する 必要に応じて その他の項目 (ph 濁度 酸素消費量 硬度 シリカ イオン類 COD) も分析し 水質異常等の場合には 薬品添加量 ブロー水量等を調節する 水質悪化に起因する設備の不具合を避けるため 以下の薬品を添加する 薬品類は補給水量またはブロー水量に対して一定比率となるよう自動または手動で過剰な添加とならないよう調整し 連続的に注入する 1 防食 防スケール剤 2 防スライム剤 また レジオネラ菌等については 次亜塩素酸ナトリウム等を用い 定期的に滅菌処理を行う 資料 ) 小規模火力発電に係る環境保全対策ガイドライン ( 環境省 平成 26 年 10 月 ) より一部加筆 図 -12 復水器及び冷却塔の概念図 - 20 -