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中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

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社会保険等未加入に対する取組 平成 29 年度を目途に 企業単位では加入義務のある建設業許可業者の加入率 100% となるよう社会保険等未加入企業に対する加入指導を強化します 実施項目経営事項審査の厳格化 平成 24 年 7 月より実施 建設業担当部局による立入検査 実施内容 経営事項審査において

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基本問題小委員会における提言 ( 平成 26 年 1 月 ) 社会保険等未加入対策関係 1. これまでの中央建設業審議会 社会資本整備審議会基本問題小委員会における提言 1 行政 元請企業による加入指導 法定福利費確保に向けた取組等の総合的な対策を推進すべき 2 平成 29 年度を目途に 事業者単位

p10 建設産業における社会保険加入の徹底について(提言)

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

建設業における社会保険未加入問題への行政の取り組み

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懸念事項

平成23年度第1回人材確保・育成部会

2 低入札対策の拡充

PowerPoint プレゼンテーション

社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

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A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

ア事業担当課長 ( 岐阜市上下水道事業部契約規程 ( 昭和 41 年水道部管理規程第 3 号 ) 第 4 条に規定する部長 ) は 工事請負契約約款第 7 条の2 第 2 項の規定に基づき 受注者に対して 期限を定め 当該下請契約を締結した具体的な理由を載した書面を求めるものとする ( 様式 1)

これまで建設業界では 厳しい状況の中で企業経営を成り立たせるため 従来からの直庸など雇用関係が不明確な労働慣行 重層化した下請構造の中で 技能労働者の非社員化 非常勤化 月給制から日給月給制への転換などを進めてきました その結果 本来固定費であるはずの労務費が変動費化し 賃金が低下するとともに 法令

ただし 受注者が下請業者と直接契約を締結 ( 以下 一次下請契約 という ) した請負代金の総額が3,000 万円 ( 建築一式工事の場合は4,500 万円 ) 以上の場合は 次のとおり取り扱うものとする ア主管部長 ( 岐阜市契約規則 ( 昭和 39 年規則第 7 号 ) 第 4 条に規定する部長

Microsoft Word - 修正2_建設業における社会保険未加入対策について

国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

社会保険加入促進計画 平成 24 年 4 月 19 日 社団法人日本建設業連合会 1. 基本的な方針社会保険等の加入促進の実効性を確保するためには 行政 元請企業 下請企業等が一体となって推進していくことが必要である 日建連は 元請企業としての責務を果たすべく 団体が取り組むべき対策 正会員 ( 以

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

スライド 1

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Microsoft Word - QandA-tyougai

Microsoft PowerPoint 記者発表資料別添(セット)

1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

社会保険等の未加入対策 ( 建設業 ) に関する FAQ 平成 31 年度以後 Q1 発注者として 社会保険等の未加入対策に取り組んでいるのはなぜか A1 社会保険等に加入し 法定福利費を適正に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすること等を通じて 技能労働者の処遇の向上を図り 建設業の持続的な発

Q4 建設業の許可を有しない下請負人 ( 下請業者 ) も対象になるのか A4 本対策は 建設業許可を有する者のうち 社会保険等の加入義務を履行していない者を取組みの対象としています 建設業の許可を有しない者との一次下請契約の締結を禁止していません ( 交通誘導員等の警備業のみを行う者も対象外 )

1 医療保険 年金保険についての確認書類 弊社が施工する建設現場に入場する協力業者および作業員の方には 作業所長の指示により 見積書提出時 新規入場時 安全書類提出時に 医療保険 年金保険の加入状況を確認する書 類 ( 下記 A~E いずれか一点 ) を提出または呈示していただきます A. 直近の保

工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

2011年9月30日

(2) 法定福利費の基本的な算出方法 法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料率

9. システムの利用規約 Q&A Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 44

1 これまでの社会保険加入状況 2 社会保険の加入及び賃金の状況等に 関する調査結果 3 入札契約適正化法に基づく実施状況 調査結果 4 建設業許可業者の加入率 ( 推計値 ) 1

なお 受注者から指定した期日までに保険加入を確認できる書類が提出されない場合は 埼玉県流域下水道事業建設工事標準請負契約約款第 7 条の3 第 1 項の規定に違反することとなる旨を併せて通知します 3 発注者が 理由書 ( 一次 ) によっても当該特別の事情を有すると認めないと判断した場合は 受注者

他方で 下請企業を中心に保険未加入企業が存在している状況を改善していくためには 元請企業において下請企業の保険加入を指導する役割を担うことが求められる これについては 従来から 建設産業における生産システム合理化指針 ( 平成 3 年 2 月 5 日建設省経構発第 2 号 ) において 元請企業が下

様式 3 社会保険等一括管理届 ( 一括適用 継続事業一括 ) 11 ページ 本社や支社等ごとに適用されている適用事業所について 本社で人事 給与等が集中的に管理されており 事業主が同一である等 一定の基準を満たすときは 本社において支社等を含めた一つの適用事業所とされる場合があります ( 健康保険

社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン改訂案 現行第 1 趣旨建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険 という ) について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未加入企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというときの公的保障が確保さ

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3. 保険加入義務のあるのある営業所 ( 適用事業所 ) について社会保険法人の事業所 ( 営業所 ) 及び個人経営で常時 5 人以上の労働者を使用する事業所 ( 営業所 ) が適用事業所に該当します 雇用保険については 労働者を 1 人でも雇用する事業所 ( 営業所 ) が適用事業所に該当します

スライド 1

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建設業における社会保険未加入対策 ( 今までの主な取組 ) 中央建設業審議会 建設産業における社会保険加入の徹底について ( 提言 ) ( 平成 24 年 3 月 ) 関係者を挙げて社会保険未加入問題への対策を進めることで 技能労働者の処遇の向上 建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保 法定福利費

建設工事従事者の安全及び健康の確保に 関する三重県計画 平成 31 年 4 月 三重県

プレゼンテーションタイトル

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懸念事項

下請契約からの社会保険等未加入建設業者の排除等に係る Q&A Q1 社会保険等とはなんですか A1: 雇用保険 健康保険 厚生年金保険の 3 保険のことをいいます Q2 社会保険等に未加入 というのはどういう場合か A2: 社会保険等に未加入 とは 社会保険等の適用を受ける事業所でありながら 各保険

状況を目指すべきである とされており 本ガイドラインは この目標を達成するため 建設業における社会保険の加入について 元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割 と責任を明確にしたものであり 建設企業の取組の指針となるべきものである 第 2 元請企業の役割と責任 (1) 総論元請企業は 請け負った工

動の徹底に関する決議 を行い 会員企業に適正価格での受注の徹底を要請したとこ ろである 今後の取り組み事項その 1 日建連は主な民間発注者団体に対し 法定福利費を適正に考慮した金額により見積及び契約締結を行うよう要請を行う予定であり 要請次第 会員企業に当該要請を踏まえた対応の周知を行う (2) 見

財営第   号

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社会保険等未加入業者との下請契約 (1 次 ) 禁止にかかる事務手続フロー 施工体制台帳により加入状況を確認 工事監督員 添付された加入を証明する書類にて確認します 未加入 加入 適用除外 契約担当に報告するとともに, 受注者に対し, 書面にて当該下請契約を締結した具体的な理由を記載した書面を提出す

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合は 当該出向社員と当該出向先の会社との間に直接的かつ恒常的な雇用関係があるものとして取り扱うこととする ただし 当該出向先の会社が当該出向社員を主任技術者又は監理技術者として置く建設工事について 当該企業集団を構成する親会社若しくはその連結子会社又は当該親会社の非連結子会社 ( 会社計算規則第 2

利用目的と共同利用

1. 休日 適正工期の確保について 働き方改革関連法がいよいよ今年 4 月に施行します そんな中で建設業界でも 大手ゼネコンで組織する日本建設業連合会 ( 日建連 ) が 2019 年度末までに 4 週 6 閉所以上を実現することを中間目標とし 2021 年度末までにすべての事業所で週休二日 ( 土

業界で躍進する 工事現場 の 要 登録基幹 技能者 登録基幹技能者制度推進協議会 一財 建設業振興基金

別記様式 2 地方整備局長 知事 支社支社長 印 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第 11 条 社会保険等未加入 業者 の通知について 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 11 条に基づき 弊社の発注工事において社会保険等未加入業者の存在が

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一般社団法人日本電設工業協会社会保険加入促進計画 1. はじめに 平成 24 年 9 月 28 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険 という ) 等の法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというときの公的保障が確保され

4 受注者による社会保険等の加入状況の確認 (1) 確認方法 1 下請負契約の締結前に, 相手方の社会保険等への加入状況を, 保険料の領収済通知書等により確認してください ( 適用除外の場合, 除外事由を相手方から資料等で確認してください ) 2 下請負契約の締結後, 施工体制台帳等を作成し, 工事

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該当するか否かについて判断し その結果を式第 3により記録しなければならない 3 社会保険等未加入建設業者と下請契約を締結することについて 提出期限内に理由書の提出がなかった場合は 工事担当課長は 式第 4により以下の額について制裁金を請求する旨を受注者に通知するものとする P=C 0.1 P: 制

参加申込書は 中部地方整備局のホームページからダウンロードできます 事前参加申込期限 : 岐阜県建設業社会保険加入推進地域会議 :10 月 19 日 ( 金 )17 時 静岡県建設業社会保険加入推

Ⅰ 概要について 一次下請契約者を社会保険等加入業者に限定します 平成 29 年 4 月 1 日以降に契約締結した工事において 受注者は 原則として社会保険等未加入業者を下請契約 ( 受注者が直接契約締結するものに限る 以下 一次下請契約 という ) の相手方としないこととします 追加 建設工事契約

元請企業から下請企業への指導 25. 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン とは P10 平成 27 年 4 月 1 日から適用する 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン の具体的な改訂内 26. 容は P 元請企業に求められる保険未加入者の排除措置はどのようなものか P11


適正化法に係る書類 ( 様式目次 ) 下記書類は( 甲 ) 第 23 号に添付の上提出のこと 名 称 様 式 備 考 頁 請負工事において 元 施工体制台帳 請が下請契約を締結し工事適正化推進要領様式第 1 号た場合に提出する 110 再下請負通知書工事適正化推進要領様式第 2 号 112 施工体系

( 別紙 ) 施工体制台帳に係る書類の提出に関する実施要領 1 目的公共の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 平成 12 年法律第 127 号 ) 及び建設業法 ( 昭和 24 年法律第 100 号 ) に基づく適正な施工体制の確保等を図るため 発注者から直接建設を請け負った建設業者は 施工

監督職員用 社会保険等未加入対応マニュアル 1 目的これまで県土整備部においては 県営建設工事入札参加資格審査における社会保険等未加入業者の排除や 建設業許可申請時等における加入指導等の社会保険等加入促進に向けた取組を行ってきたところであるが 国の直轄工事においては 平成 29 年度からすべての下請

特別の事情 が認められる場合( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しない

Microsoft Word - 未加入Q&A集.doc

所において施工する場合 2 施工にあたり相互に調整を要する工事で かつ 工事現場の相互の間隔が 10km 程度の近接した場所において同一の建設業者が施工する場合 ( 別添 建設工事における現場代理人の常駐義務の緩和に係る取扱いについて に示す 参考 第 2 第 1 項第 3 号に定める該当工事 参照

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

特別の事情 が認められる場合 ( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しな

イドライン が策定されたところです こうした中 平成 30 年 6 月 29 日に第 196 回通常国会で成立した 働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律 ( 以下 働き方改革関連法 という ) に基づく改正後の労働基準法において 建設業については 平成 31 年 4 月の法施行から5

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3. 対象者 : 各県内に拠点を置く建設企業 又は 各県内での施工実績を有する建設企業 法人 個人は問いません 建設業関係団体への加盟 非加盟も問いません 4. 参加申込 : 建設企業等の方について ( 建設企業等 ) 本会議への参加は 原則として事前申込みが必要となります 当日 に余裕がある場合は

働き方改革推進の基本方針 平成 29 年 9 月 22 日 一般社団法人日本建設業連合会 政府は 平成 29 年 3 月 28 日に 働き方改革実行計画 を策定した 本計画では 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善 賃金引上げと労働生産性向上 罰則付き時間外労働の上限規制の導入など長時間労働の是

(2) 法定福利費の算出方法 1 法定福利費 = 労務費総額 社会保険料率法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料を乗じて

資料3 国土交通省における取組み等<再修正>

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険加入の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未加入企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年

第三者による品質証明制度について 参考資料 Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

内部統制ガイドラインについて 資料

公共事業労務費調査 ( 企業別 労働者別 )1 公共事業労務費調査 ( 平成 27 年 10 月調査 ) における社会保険加入状況調査結果をみると 企業別の加入率は 雇用保険では 98% [ 対前年度比 +1.4% ] 健康保険では 97% [ 対前年度比 +2.4% ] 厚生年金保険では 96%

充実等について指導 助言その他の援助を行うことが期待される とりわけ社会保険については 関係者を挙げて未加入問題への対策を進め 社会保険加入を徹底することにより 技能労働者の雇用環境の改善や不良不適格業者の排除に取り組むことが求められており 元請企業においても下請企業に対する指導等の取組を講じる必要

福井県建設リサイクルガイドライン 第 1. 目的資源の有効な利用の確保および建設副産物の適正な処理を図るためには 建設資材の開発 製造から土木構造物や建築物等の設計 建設資材の選択 分別解体等を含む建設工事の施工 建設廃棄物の廃棄等に至る各段階において 建設副産物の排出の抑制 建設資材の再使用および

参加申込書は 中部地方整備局のホームページからダウンロードできます 事前参加申込期限 : 岐阜県建設業社会保険加入推進地域会議 :10 月 19 日 ( 金 )17 時 静岡県建設業社会保険加入推

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

平成 29 年度の目標達成に向けた今後の取組方針 平成 28 年 5 月 23 日第 6 回社会保険未加入対策推進協議会資料 1. 社会保険加入に向けた対策の強化 2. 法定福利費の確保 元請企業による加入指導の強化 社会保険加入について元請企業の下請企業に対する指導責任の強化を検討 公共工事におけ

Transcription:

国土交通省では 平成 22 年 12 月に馬淵国土交通大臣 ( 当時 ) の指示を受け 学識経験者から構成される建設産業戦略会議を設置し 12 回に渡る会議開催の後 平成 23 年 6 月 23 日に 建設産業の再生と発展のための方策 2011 を公表したところである この中では 建設産業の現状に関する定量的分析を行った上で 近年の建設投資の減少局面において発生してきた建設産業の諸問題への対策を検討しており 対策として大きく7つの項目が掲げられている ( 図 1) 技能労働者の雇用環境の改善という課題に関しては 保険未加入企業の排除という対策が提言されているところである また 平成 22 年 9 月からは 建設技能労働者の人材確保のあり方に係る検討会 を開催し 建設産業の持続的な発展を図るため 将来を担う中核的な建設技能労働者を確保し 次世代への技能承継を図っていくための方策について検討を行い 平成 23 年 7 月に取りまとめを行ったところである 本稿では これらの会議の提言で指摘されたいくつかの事項のうち 社会保険未加入問題への対策について解説することとしたい 図 1 建設産業の再生と発展のための方策 2011 ( 概要 ) 社会保険の未加入企業については 政府として 以前から 雇用政策又は社会政策上 法令上の義務の履行を求めてきたところである しかしながら 建設産業の社会保険の加入率については 公共事業の元請企業の加入状況 ( 経営事項審査 ) を見ると 雇用保険の未加入企業は 6% 健康保険及び厚生年金保険の未加入企業は 10% となっている ( 図 2) 建築コスト研究 No.77 2012.4 13

特集 建設労働者に関する保険 また 雇用者数に占める被保険者数の割合を見ると 雇用保険で61% 厚生年金で62% と推計され 製造業 ( 雇用保険 93% 厚生年金 87%) と比較して 低い加入割合にある ( 図 3) 平成 22 年度の公共事業労務費調査によれば 建設工事の中で社会保険の加入率等が最も高いと考えられる土木系の公共工事の現場従事者の社会保険の加入率を見ても 下請次数が下がるにつれ低下し 二次下請で53% 同工事の三次下請以下で 49% 等となっている また 地域別の差も大きく 地方部が比較的高い加入率であるものの 東京都で32% 大阪府で48% など 大都市部の加入率の低さが際立っている ( 図 4 及び図 5) このような社会保険の未加入は 雇用政策上又は社会政策上の問題を惹起するだけではなく 次の課題をもたらしている 1 法定福利費を適正に負担をする企業と そうでない企業が同じ土俵で価格競争することにより 法定福利費負担をしない後者がコスト面で競争上有利な地位を得ることになる そして 後者は適正価格よりも不当に低い下請価格でダンピング受注し 前者を駆逐していくことになり 不適正な競争環境 適正な企業の駆逐といった 建設産業政策上も看過できない状況を生じさせてきている 2 建設産業においては 就業者の高齢化 若年入職者の減少等により 次世代への技能承継を図ることが大きな課題となっている中 社会保険の未加入は 技能労働者の処遇を低下させ 若年入職者減少の一因ともなっている このような状況の中 建設産業の持続的発展に必要な人材の確保を図り 企業間の健全な競争関係を再構築する観点から 建設産業政策上も保険未加入問題への対策を実施することが必要となっている 図 2 経営事項審査 ( 平成 22 年度総合評定値登録業者 ) の保険加入状況 図 3 雇用者数に占める被保険者数の割合 図 4 元請 下請次数別 建設産業において 社会保険の未加入対策を進めるに当たっては 未加入の要因を分析すること 図 5 都道府県別 14 建築コスト研究 No.77 2012.4

建設労働者に関する保険 特集 が必要であり その要因に応じた対策を実施していく必要がある このため 保険未加入の要因について 業界団体及び建設企業からヒアリングを実施したところ 概ね次の要因が挙げられたところである ( 図 6 ) 元請企業においては従業員の社会保険未加入の状況はそれほど生じていないが 制度上 下請企業の保険加入状況を確認 指導することが求められていないこと等から 下請企業の保険未加入状態が改善していない 下請企業は保険料の事業主負担の重さや技能労働者の手取り志向等から 保険に加入していない状況 建設産業行政においても 保険加入状況を網羅的にチェックする仕組みとなっておらず 社会保険担当部局との連携も行われていない 社会保険への加入が法定の義務であるにも関わらず 経営上の理由を主な要因として適正な事業主負担を行っていない企業が存在している状況にある また 労働者本人にとっても保険加入のメリットが十分に認識されていないことや 保険未加入状態を建設業担当部局や元請企業からチェックされる機会がないことも 事業主の保険加入への意識をますます低いものとさせている このような保険未加入の要因を解消していくためには 建設産業全体としての枠組みの整備と関係者が一体となった取組が求められる 行政においては 建設企業に対する制度的なチェックと 建設業担当部局 保険担当部局間が連携した取組を実施するほか 元請企業の指導により 下請企業を中心とした保険未加入の状況を改善していく必要がある また 各主体に向けた啓発 キャンペーンにより 社会保険制度の内容 メリット等を周知し 保険未加入事業主や従業員の意識を改善していく必要がある あわせて 社会保険に加入するための保険料負担や事務負担については 法定福利費が下請企業に流れる仕組みを構築する必要がある ( 図 7) 現在 建設産業戦略会議 及び 建設技能労働者の人材確保のあり方に係る検討会 の取りまとめを受け 社会保険未加入対策の具体化に向けた検討を進めている 中央建設業審議会及び社会資本整備審議会の基本問題小委員会の検討に合わせ 業界団体 労働者団体等が参加する実務的検討会 ( 社会保険未加入対策の具体化に関する検討会 ) を平成 23 年 10 月から開催し 平成 24 年 2 月 23 日に 建設業におけ 図 6 保険未加入の要因 ( 主体別にみた要因 ) 建築コスト研究 No.77 2012.4 15

特集 建設労働者に関する保険 る社会保険未加入問題への対策について を取り まとめたところである 図8 社会保険未加入対策を着実に推進するために 以下 本検討会で取りまとめられた社会保険未 加入対策の具体的な内容を紹介する 図7 図8 建築コスト研究 No.77 2012.4 は 行政 元請 下請が一体となって継続的に取 組を実施することが必要となることから 母体と 1 行政 元請 下請一体となった保険加入の 16 推進 なる推進体制として 関係者で構成する 保険未 各要因に対応した対策の実施 社会保険未加入問題への対策の概要

建設労働者に関する保険 特集 加入対策推進協議会 を設立する 本協議会に構成員として参加する各建設業団体は 傘下の建設企業の保険加入状況を把握するとともに 社会保険加入促進計画 を策定し それぞれの立場から主体的な取組を計画的に進め 協議会において 各団体の取組を共有し 継続的にフォローを行うほか 周知啓発の取組方針等を議論する また 行政 ( 建設業担当 社会保険担当 ) 関係団体 元請各社 協力会 保険者など 建設業に関わる様々な主体から パンフレット ポスターの作成 配布やキャンペーンの実施などの多様な手段による周知 啓発を行い 建設企業 技能労働者などの社会保険加入についての理解を深め 保険加入に向けた機運を醸成する 目標年度に向けて継続的に周知 啓発を行うこととし 啓発資料の作成に当たっては 元請企業 下請企業 建設労働者といった対象者に応じて 当事者の意見を聞きつつ ポイントを絞った広報を行う (2) 行政による制度的チェック 指導建設業担当部局の取組としては 建設業の許可 更新に際し 許可更新の申請時に提出すべき添付書類に保険加入書類を追加する予定である これにより 建設業担当部局において保険加入状況を確認し 未加入企業に対する加入指導を行い 許可の有効期間である5 年間を経過することで 全ての建設業許可業者の企業単位での保険加入状況を確認 指導することができる また 立入検査時に保険加入状況を確認し 未加入企業に対する指導 監督処分を実施する 公共工事参加者については 現在 経営事項審査において 雇用保険 健康保険及び厚生年金保険の加入状況を審査しているところであるが 審査項目 ( 健康保険及び厚生年金保険 ) の区分と保険未加入の場合の減点幅の拡大を検討する これにより 毎年の審査における取組が強化され 公共工事従業者の保険加入率の向上が期待される なお これらの取組を進めるに当たっては 建 設業担当部局のみならず 社会保険担当部局 ( 厚生労働省 ) による加入徹底の取組との連携が不可欠であり 社会保険担当部局における未加入対策と相まって 強力に対策を実施することとしている (3) 建設企業の取組元請企業においては 保険加入の取組を下請企業及び現場作業員に浸透させるため 工事現場において周知啓発を行うとともに 協力会等を通じて下請企業の保険加入状況の把握に努め 加入を勧奨するなどの役割が求められる このため 施工体制台帳 再下請通知書 作業員名簿に保険加入状況を記載することとし 現場における保険加入状況を 見える化 することとしている また 下請企業においては 現場就労者について 雇用関係か請負関係かを明確に区別した上で 雇用関係にある社員についての保険加入を徹底することが求められる また 請負関係にある者については 再下請通知書を活用して保険加入状況をチェックすることや 元請企業からの下請指導が全ての下請企業に伝わるよう協力することが必要である (4) 法定福利費の確保受注競争が激化する中で 利益確保のために 法定福利費を適正に負担しない企業が存在していることから 保険加入を促進するとともに 労働者の外注化を抑止するためには 法定福利費を確保し 下請企業に適切に流れることが必要となる このため 法定福利費については 発注者が負担する工事価格に含まれる経費であることを周知徹底するとともに 個別の請負契約の当事者間において見積時から適正に考慮するよう徹底することとし 民間発注者への要請 周知や公共発注者におけるダンピング対策 元請企業への指導を行う また 専門工事業団体において 法定福利費内訳明示のための標準見積書を作成するなど 専門工事業界における見積時の法定福利費の明示などを推進する 建築コスト研究 No.77 2012.4 17

特集 建設労働者に関する保険 あわせて 重層下請構造の是正に向け 建設企業における自主的な取組を促進するとともに 主任技術者の配置 一括下請負の禁止 偽装請負の禁止など 請負 雇用に関するルールの徹底を行う (5) その他の取組技能労働者にICカード ( 建設共通パス ) を配布し 建設現場において日々の入場 退場時刻を読み取りデータベースに蓄積する 就労履歴管理システム の構築が進められているところであり 平成 23 年 12 月には ( 一社 ) 就労履歴登録機構が発足している 就労履歴データベースに蓄積されている情報は 建設企業 技能労働者本人が閲覧 活用することができ 企業にとっては労務管理の効率化等が図られるとともに 技能労働者本人にとっても 技能の適正評価の実現などのメリットが期待されるところである 保険加入状況の効率的なチェックのためにも有効なツールと考えられることから システムの実現に向け 関係者が協力して検討を行い具体化を図る また 社会保険の適用を促進するため 法定福利費の取扱 建設業者団体による保険加入確認の枠組み 重層下請構造 一人親方の就労状況の実 態把握等についても 調査 検討を進める 以上に述べた社会保険未加入対策について 今後 省令 告示改正などの制度改正を行い 周知 啓発の後 早ければ平成 24 年夏から施行していくことを予定している その後 当初は周知啓発を重点的に実施し 加入指導重点期間 保険加入者優先期間といった段階を経て 5 年を目途に 企業単位では加入義務のある許可業者について加入率 100% 労働者単位では製造業相当の加入状況を目指すこととしている ( 図 9) 中間時点では それまでの実施状況を検証 評価し 対策の必要な見直しを行った上で 計画的に推進する これにより 建設業における技能労働者の処遇の向上と産業の持続的な発展に必要な人材の確保を図るとともに 法定福利費を適正に負担する企業による公平で健全な競争環境の構築を実現したいと考えている 図 9 対策の進め方 18 建築コスト研究 No.77 2012.4