不足する看護職員の潜在化傾向

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ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

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第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

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看護職員の潜在化と労働条件 : 看護師不足解消に向けての論点提案宮﨑悟中田喜文 The Trend of Non-Working Nurses and Working Conditions Satoru Miyazaki / Yoshifumi Nakata ITEC Policy Brief Series 08-08 May 2008

看護職員の潜在化と労働条件 : 看護師不足解消に向けての論点提案 同志社大学技術 企業 国際競争力研究センター Policy Brief 宮﨑悟同志社大学技術 企業 国際競争力研究センター (ITEC) 特別研究員 PD 602-8580 京都府京都市上京区今出川通烏丸東入 Tel:075-251-3779 Fax:075-251-3139 E-mail:satoru.miyazaki@gmail.com 中田喜文同志社大学ビジネス研究科教授同志社大学技術 企業 国際競争力研究センターセンター長 602-8580 京都市上京区今出川通烏丸東入 Tel: 075-251-3837 Fax: 075-251-3139 ynakata@mail.doshisha.ac.jp

看護職員の潜在化と労働条件 : 看護師不足解消に向けての論点提案 近年 さかんに看護職員不足が指摘されている これに対し 近隣アジア諸国と経済連携協定 (EPA) を締結し パートナー国からの看護師を受け入れる政策が打ち出された このような国内専門職労働市場の新たな開放政策に触発され 看護職 ( 看護師 保健師 助産師 ) 免許を持ちながらも就労していない 潜在看護職員 の再活用が注目されている 2005 年に厚生労働省は 第六次看護職員需給見通しに関する検討会 において 2002 年末時点の潜在看護職員数を大まかに推計しており 全体で約 55 万人 ( 潜在率 31.11%) という結果を出している 我々は 厚生労働省の推計ではなされなかった男女別 免許種類別 年齢層別の潜在看護職員数を推計することで より詳細な潜在化の実態把握を試みた その結果 表 1 で示したように 2006 年末時点の潜在看護職員数は 約 65 万人 ( 潜在率 34.48%) であり 厚生労働省推計よりも看護師の潜在化が進んでいることが確認された 看護師 ( 保健師 助産師含む 以下同じ ) と ( 看護師免許も保有する者除く 以下同じ ) の潜在率を比較すると 看護師で 27.97% で 45.86% となっており 賃金面などの待遇が良いと思われる看護師の潜在率が相対的に低いことも確認できた さらに 2004 年末から 2006 年末の 2 か年間における潜在者数と潜在率の推移を見たところ 全体では潜在者数は上昇 潜在率は低下していた しかし 同期間の潜在率変化を 女性の看護師 の別に見ると 看護師の潜在率は上昇する反面 の潜在率は下がるという対照的な結果となっていた 表 1 推計された潜在看護職員数 看護職員合計 看護師 男女計 女性 男女計 女性 男女計 女性 2006 年末 潜在者数 652551 632757 336828 330392 315723 302365 ( 筆者推計 ) 潜在率 34.48% 34.93% 27.97% 28.49% 45.86% 46.38% 2004 年末 潜在者数 646563 628058 314271 308724 332292 319334 ( 筆者推計 ) 潜在率 35.13% 35.53% 27.85% 28.30% 46.65% 47.19% 2002 年末潜在者数 549783 ( 看護職員全体の大まかな推計のみ ) ( 厚労省推計 ) 潜在率 31.11% ( 注 ) 厚労省と筆者による推計方法は基本的には同じであるが 詳細な部分での差異が あるため単純に比較することはできない 看護師 には保健師 助産師含む 看護師の両免許保持者は 看護師 に含まれ に含まれない 看護職就労者は女性が多く 出産や育児のために一時期仕事から離れ その 後 仕事に復帰することも多いと推測される そこで 女性一般の就労率と女 3

性看護職の就労率を年齢階層別に比較した その結果を図示したものが図 1 で ある i この図を見る限り 女性看護職も一般女性とほとんど同じような女性の ライフサイクルを反映した就労パターンであることが分かる 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 20 歳未満 20~24 歳 図 1 女性の年齢層別就業率 (2006 年 ) 一般女性就業率は 労働力調査 ( 総務省統計局 ) による 25~29 歳 30~34 歳 35~39 歳 40~44 歳 45~49 歳 50~54 歳 55~59 歳 60~64 歳 看護職員就業率 一般女性就業率 また 看護師との就労パターンを比較すると 図 2 のようになる 看護師の就労率がよりもどの年齢層においても高く 看護師は 30 歳代から 50 歳代にかけて 70% 前後と安定的に推移しているのに対し は一般的な女性と同様に M 字型となっており 若干就労パターンが異なる 図 2 看護師の年齢別就業率 (2006 年 ) 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 20 歳未満 20~24 歳 25~29 歳 30~34 歳 35~39 歳 40~44 歳 45~49 歳 50~54 歳 55~59 歳 60~64 歳 看護師 しかし この図 2 の動きには推計に用いたデータの特質から 対象となる看 4

護職の各世代が持つ 就労パターンに関する特徴の効果 ( コーホート効果 ) が含まれている このため コーホート効果を取り除いた 純粋に年齢の差異が就労率与える効果だけを見ることで 看護職員の就労パターンを確認できる 結果は図 3 に示した 看護師 ともに 出産や育児が多くなると考えられる 30 歳代前半前後で一度就労率が下がり その後出産や育児が落ち着いたころに就労率が再び上昇するという女性一般のライフサイクルと合った就労パターンと極めて類似していることが確認できる 100% 90% 80% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 図 3 年齢層別看護職員就労率の年齢効果 (2006 年 ) ( 注 ) 宮﨑 中田 (2008) での潜在率の年齢効果を 1 から引いたもの 20~24 歳 25~29 歳 30~34 歳 35~39 歳 40~44 歳 45~49 歳 50~54 歳 55~59 歳 60~64 歳 看護師 では ここまでに示した 2004 年から 2006 年にかけての潜在率の変化が 賃金や労働時間などの労働条件の変化とどのように関係しているのだろうか 表 2 に 女性看護職の労働条件をしめした の労働条件は 労働時間 所定内時間当り賃金で見た賃金ベースともに改善している 他方 看護師では労働時間が増加しているのに賃金ベースがそれほど上昇していない 5

看護師 表 2 看護師 の賃金 労働時間環境の変化 ( 女性のみ ) 平均年齢 平均勤続年数 月当り所定内労働時間 年間総時間当り年間収入労働時間賃金 所定内時間当り賃金 労働者数 ( 参考 ) 看護職員潜在率 歳 年 時間 時間 千円 円 円 十人 2004 35.8 6.7 160 2016 4627.5 2295.4 1738.8 40317 28.30% 2006 36.2 7.1 162 2040 4608.6 2259.1 1743.8 37561 28.49% 2004 42.7 9.6 162 2028 4046.4 1995.3 1540.7 23428 47.19% 2006 43.4 10.3 162 2016 4002.4 1985.3 1561.1 18896 46.38% ( 出典 ) 賃金構造基本統計調査 (2004~2007 年 ) ( 注 ) 年間総労働時間は 所定内労働時間 と 超過実労働時間 を月間労働時間とみなして計算した 年間収入の算出は月収に相当する きまって支給する現金給与額 の12 倍に 賞与部分に相当する 年間賞与および特別給与額 を加えた額である 賞与部分は調査対象が前年 1 年間での給与額となるため 1 年後のデータによって計算している 看護には精神的負荷のみならず 肉体的にも極めて厳しい労働であるという特性がある 賃金面の条件改善はもちろんだが 労働時間面での条件改善がより潜在率に対して大きな効果を持つと考えられる この労働条件の変化は 看護師の潜在率が上昇し の潜在率が改善したことと整合的である 以上より 看護職不足に対する政策立案において留意すべき事項は 次の 2 点になる (1) 専門的な教育を受け 知識 技能を持ちながらも就労していない潜在看護職員は約 65 万人もの多数 国内に存在する これは 看護職免許保持者の 3 分の 1 に対応し この潜在者が再び就労する環境を整えることで 現在の看護職員不足は解消可能である (2) 潜在化対策としては 賃金以外の労働時間などの就労条件の改善に配慮すべきである 看護職員の大多数が女性であることから 女性のライフサイクルを考慮した 出産 育児などで一度仕事から離れた人が再就労しやすい環境づくりに今後取り組むべきである 例えば 既にその効果が証明されている 潜在期のブランクを埋めるための技能講習の受講しやすさを高めたり 短時間の就労を可能としたりするなどの 今までの政策にとらわれない柔軟な対応を試みる必要がある 6

参考文献 中田喜文 宮﨑悟 (2007) 日本における潜在看護師数の推定と年齢 コーホート効果への分解 同志社大学技術 企業 国際競争力研究センター (ITEC) ワーキングペーパー 07-01. 中田喜文 宮﨑悟 (2008) 日本における潜在看護師数の推定とその世代 年齢分布の特徴 社会保険旬報 No.2343,pp.29-37. 宮﨑悟 中田喜文 (2008) 看護職員の潜在化動向とその要因 同志社大学技術 企業 国際競争力研究センター (ITEC) ワーキングペーパー 08-08. Yoshifumi Nakata and Satoru Miyazaki (2008) Non-Working Nurses in Japan: Estimated Size and its Age-cohort Characteristics Journal of Clinical Nursing, forthcoming. i 看護職員の就労率は 1 から潜在率を引いたものである その意味では看護職就労率 と言うべきものである 7