(2) 法定福利費の基本的な算出方法 法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料率

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(2) 法定福利費の算出方法 1 法定福利費 = 労務費総額 社会保険料率法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料を乗じて

株式会社殿 住所 株式会社 見積金額 L ( 消費税込 ) ( 内訳 ) 項目数量歩掛単価金額 工事材料費 A 労務費 B 経費 ( を除く ) D=A+B +C 事業主負担額対象金額金額雇用保険料 B 1.050% p E B p 消費税等合計 御見積書 ( 例 ) 料率 健康保険料 ( 1 )

株式会社殿 住所 株式会社 見積金額 L ( 消費税込 ) ( 内訳 ) 項目数量歩掛単価金額 工事材料費 A 労務費 B 経費 ( を除く ) D=A+B +C 事業主負担額対象金額金額雇用保険料 B 1.050% p E B p 消費税等合計 御見積書 ( 例 ) 料率 健康保険料 ( 1 )

工事費構成内訳書の提出について ~ 法定福利費の明示が必要になります ~ 平成 29 年 12 月 6 日 中日本高速道路株式会社

れている者 個人事業所で5 人以上の作業員が記載された作業員名簿において 健康保険欄に 国民健康保険 と記載され 又は ( 及び ) 年金保険欄に 国民年金 と記載されている作業員がある場合には 作業員名簿を作成した下請企業に対し 作業員を適切な保険に加入させるよう指導すること なお 法人や 5 人

法定福利費の明示について 1 社会保険等未加入対策 建設業者の社会保険等未加入対策として 社会保険等への加入を一層推進していくためには 必要な法定福利費が契約段階でも確保されていることが重要です 建設工事における元請 下請間では 各専門工事業団体が法定福利費を内訳明示した 標準見積書 を作成しており

1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

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1 標準見積書とは 1-1 目的は 法定福利費 の原資確保 社会保険未加入の対策を進めるためには法定福利費の原資確保が重要である しかし従来は見積時から法定福利費が明確になっておらず その扱いが分かりにくい状況となっていた 今後は工事費総額ではなく その中に含まれる法定福利費を明示して必要な原資を確

建設業における社会保険未加入対策の概要 参考 1 背景 ( 建設業における課題 ) 社会保険未加入企業が多く存在し いざというときの公的保障が確保されず 若年入職者減少の一因となっている 適正に保険に加入し 法定福利費を負担している事業者が競争上不利になる 中央建設業審議会提言 ( 平成 24 年

資料6 標準見積書の活用グラフ道塗連全体

PowerPoint プレゼンテーション

社会保険等加入及び法定福利費を内訳明示した見積書に関する実態調査について 1. 調査の目的 これまでに実施してきた各施策に関する各建設企業における取組状況および施策の現場への浸透状況等を総合的に把握し 社会保険等未加入対策の目標達成を見据えた加入徹底方策を検討することを目的とする 2. 調査の概要

働き方改革 魅力ある建設業の構築に向けて 特集 域によっても大きな差があり, 北陸地方や北海道 など一部の地方では平成 28 年 10 月調査の加入率が 80% を超えているのに対し, 大都市部のある関東 地方 (55%) や近畿地方 (60%) は低い加入率に 留まっている ( ) 建設マネジメン

A4 経営事項審査の受審状況により確認方法が異なります なお 適用除外は 労働者の就業形態等によって適用除外とならない場合もあることから 元請負人は 年金事務所等に適用除外となる要件を確認した上で判断してください 経営事項審査を受審している場合 有効期間にある経営規模等評価結果通知書総合評定値通知書

Q&A 集 Q1 社会保険等とは何か A1 社会保険等とは 健康保険 ( 協会けんぽ 健康保険組合等 ) 厚生年金保険 及び雇用保険をいいます Q2 国民健康保険組合に加入しているが 社会保険等未加入建設業者となるのか A2 法人や常時 5 人以上の従業員を使用する国民健康保険組合に加入している建設

動の徹底に関する決議 を行い 会員企業に適正価格での受注の徹底を要請したとこ ろである 今後の取り組み事項その 1 日建連は主な民間発注者団体に対し 法定福利費を適正に考慮した金額により見積及び契約締結を行うよう要請を行う予定であり 要請次第 会員企業に当該要請を踏まえた対応の周知を行う (2) 見

スライド 1

標準見積書に計上する 法定福利費 の算出は次の2つの方法とし 手順は以下の通り 1 施工見積の取付費総額から労務費を算出し それに法定福利費の保険料率を乗じる 2 これまでの施工実績をもとに施工従事者に支払った正味労務費から各商品の単位当りの法定福利費をあらかじめ算出した上で 法定福利費を簡便に算出

建設業における社会保険未加入対策 ( 今までの主な取組 ) 中央建設業審議会 建設産業における社会保険加入の徹底について ( 提言 ) ( 平成 24 年 3 月 ) 関係者を挙げて社会保険未加入問題への対策を進めることで 技能労働者の処遇の向上 建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保 法定福利費

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2 低入札対策の拡充

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2. 工事請負契約標準見積書の活用は 建設業における技能労働者の処遇改善に対する取り組みである 建設業 非建設業の区分でみるように 建設業種区分に含まれない場合は 売買契約での取引で行うことになる 2.1. 改正建設業法に基づく行動指針 (1) 家具を受注する場合家具製作費 + 施工工事費となる 2

Microsoft Word - QandA-tyougai

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

法定福利費を別枠計上する 標準見積書 の作成手順について 目次 1. はじめに 1 2. 基本的な考え方 1 (1) 見積条件 1 (2) 積算構成項目 1 (3) 個人事業主及び一人親方の場合 1 (4) 保険適用について 2 3. 法定福利費の算出方法 2 (1) 見積書に明示する法定福利費事業

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

一般社団法人送電線建設技術研究会関西支部社会保険等の加入促進計画 1. はじめに 平成 27 年 4 月 24 日制定 建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険等 という ) の 1 法定福利費を適正に負担しない企業が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというと

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国土入企第 5 4 号 平成 31 年 2 月 22 日 建設業団体の長殿 国土交通省土地 建設産業局長 技能労働者への適切な賃金水準の確保について 技能労働者の確保 育成のためには 適切な賃金水準の確保等による処遇改善が極めて重要です 国土交通省においては これまでの 6 度にわたる公共工事設計労

1 医療保険 年金保険についての確認書類 弊社が施工する建設現場に入場する協力業者および作業員の方には 作業所長の指示により 見積書提出時 新規入場時 安全書類提出時に 医療保険 年金保険の加入状況を確認する書 類 ( 下記 A~E いずれか一点 ) を提出または呈示していただきます A. 直近の保

基本問題小委員会における提言 ( 平成 26 年 1 月 ) 社会保険等未加入対策関係 1. これまでの中央建設業審議会 社会資本整備審議会基本問題小委員会における提言 1 行政 元請企業による加入指導 法定福利費確保に向けた取組等の総合的な対策を推進すべき 2 平成 29 年度を目途に 事業者単位

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2

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1 これまでの社会保険加入状況 2 社会保険の加入及び賃金の状況等に 関する調査結果 3 入札契約適正化法に基づく実施状況 調査結果 4 建設業許可業者の加入率 ( 推計値 ) 1

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下請契約からの社会保険等未加入建設業者の排除等に係る Q&A Q1 社会保険等とはなんですか A1: 雇用保険 健康保険 厚生年金保険の 3 保険のことをいいます Q2 社会保険等に未加入 というのはどういう場合か A2: 社会保険等に未加入 とは 社会保険等の適用を受ける事業所でありながら 各保険

Microsoft Word - 01社会保険等加入対策に係る事務処理要領

34(30) 等級の 報酬月額 欄は 厚生年金保険の場合 605,000 円以上 と読み替えて下さい 4. 平成 27 年度における協会けんぽの任意継続被保険者の標準報酬月額の上限は 280,000 円です 5. 健康保険組合に加入する方の健康保険料額については 加入する健康保険組合へお問い合わせ下

懸念事項

- 1 - 下請企業 ( 専門工事業者元請企業の方へ ) の方へ 1 2 社会保険への加入を徹底しましょう! 社会保険への加入は 法令上の義務です 建設業では 若い人材がどんどん減っています 建設業 = 社会保険にすら入っていない業界 と思われ 若い人材が集まりません! 労働者の高齢化 若年入職者の

p10 建設産業における社会保険加入の徹底について(提言)

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様式 3 社会保険等一括管理届 ( 一括適用 継続事業一括 ) 11 ページ 本社や支社等ごとに適用されている適用事業所について 本社で人事 給与等が集中的に管理されており 事業主が同一である等 一定の基準を満たすときは 本社において支社等を含めた一つの適用事業所とされる場合があります ( 健康保険

社会保険等の未加入対策 ( 建設業 ) に関する FAQ 平成 31 年度以後 Q1 発注者として 社会保険等の未加入対策に取り組んでいるのはなぜか A1 社会保険等に加入し 法定福利費を適正に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすること等を通じて 技能労働者の処遇の向上を図り 建設業の持続的な発

社会保険等未加入に対する取組 平成 29 年度を目途に 企業単位では加入義務のある建設業許可業者の加入率 100% となるよう社会保険等未加入企業に対する加入指導を強化します 実施項目経営事項審査の厳格化 平成 24 年 7 月より実施 建設業担当部局による立入検査 実施内容 経営事項審査において

なお 受注者から指定した期日までに保険加入を確認できる書類が提出されない場合は 埼玉県流域下水道事業建設工事標準請負契約約款第 7 条の3 第 1 項の規定に違反することとなる旨を併せて通知します 3 発注者が 理由書 ( 一次 ) によっても当該特別の事情を有すると認めないと判断した場合は 受注者

1. 休日 適正工期の確保について 働き方改革関連法がいよいよ今年 4 月に施行します そんな中で建設業界でも 大手ゼネコンで組織する日本建設業連合会 ( 日建連 ) が 2019 年度末までに 4 週 6 閉所以上を実現することを中間目標とし 2021 年度末までにすべての事業所で週休二日 ( 土

Ⅰ 概要について 一次下請契約者を社会保険等加入業者に限定します 平成 29 年 4 月 1 日以降に契約締結した工事において 受注者は 原則として社会保険等未加入業者を下請契約 ( 受注者が直接契約締結するものに限る 以下 一次下請契約 という ) の相手方としないこととします 追加 建設工事契約

財営第   号

Q4 建設業の許可を有しない下請負人 ( 下請業者 ) も対象になるのか A4 本対策は 建設業許可を有する者のうち 社会保険等の加入義務を履行していない者を取組みの対象としています 建設業の許可を有しない者との一次下請契約の締結を禁止していません ( 交通誘導員等の警備業のみを行う者も対象外 )

貴社についてご記入下さい 貴社の概要について 会社名会社の形態 ( は一つ ) 1 法 2 個 本社所在地 [ ] 都道府県 建設業許可 ( は一つ ) 複数の許可をお持ちの場合 年間完成工事高が一番多いものを一つ回答して下さい 主な許可業種 ( はいくつでも ) 従業者数 ( は一つ ) 期間の定

建設業における社会保険未加入問題への行政の取り組み

スライド 1

元請企業から下請企業への指導 25. 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン とは P10 平成 27 年 4 月 1 日から適用する 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン の具体的な改訂内 26. 容は P 元請企業に求められる保険未加入者の排除措置はどのようなものか P11

ア事業担当課長 ( 岐阜市上下水道事業部契約規程 ( 昭和 41 年水道部管理規程第 3 号 ) 第 4 条に規定する部長 ) は 工事請負契約約款第 7 条の2 第 2 項の規定に基づき 受注者に対して 期限を定め 当該下請契約を締結した具体的な理由を載した書面を求めるものとする ( 様式 1)

スライド 1

社会保険等未加入業者との下請契約 (1 次 ) 禁止にかかる事務手続フロー 施工体制台帳により加入状況を確認 工事監督員 添付された加入を証明する書類にて確認します 未加入 加入 適用除外 契約担当に報告するとともに, 受注者に対し, 書面にて当該下請契約を締結した具体的な理由を記載した書面を提出す

ただし 受注者が下請業者と直接契約を締結 ( 以下 一次下請契約 という ) した請負代金の総額が3,000 万円 ( 建築一式工事の場合は4,500 万円 ) 以上の場合は 次のとおり取り扱うものとする ア主管部長 ( 岐阜市契約規則 ( 昭和 39 年規則第 7 号 ) 第 4 条に規定する部長

2.5% % 1 88,000 ~ 93,000 13, , ,000 93,000 ~ 101,000 15, , , ,000 ~ 107,000 16, , ,00

該当するか否かについて判断し その結果を式第 3により記録しなければならない 3 社会保険等未加入建設業者と下請契約を締結することについて 提出期限内に理由書の提出がなかった場合は 工事担当課長は 式第 4により以下の額について制裁金を請求する旨を受注者に通知するものとする P=C 0.1 P: 制

社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン改訂案 現行第 1 趣旨建設産業においては 健康保険 厚生年金保険及び雇用保険 ( 以下 社会保険 という ) について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未加入企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など いざというときの公的保障が確保さ

Microsoft Word - 修正2_建設業における社会保険未加入対策について

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なお 事業所の形態によって企業単位及び労働者単位で加入すべき保険の種類が異なる このため 事業所形態に応じて社会保険料の事業主負担分の内訳明示額の対象が以下のようになるので 留意されたい 1 法人事業所 労災保険全ての警備員に係る労災保険料 雇用保険常用警備員の雇用保険料事業主負担額 健康保険料健康

特別の事情 が認められる場合( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しない

状況を目指すべきである とされており 本ガイドラインは この目標を達成するため 建設業における社会保険の加入について 元請企業及び下請企業がそれぞれ負うべき役割 と責任を明確にしたものであり 建設企業の取組の指針となるべきものである 第 2 元請企業の役割と責任 (1) 総論元請企業は 請け負った工

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議第  号

これまで建設業界では 厳しい状況の中で企業経営を成り立たせるため 従来からの直庸など雇用関係が不明確な労働慣行 重層化した下請構造の中で 技能労働者の非社員化 非常勤化 月給制から日給月給制への転換などを進めてきました その結果 本来固定費であるはずの労務費が変動費化し 賃金が低下するとともに 法令

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他方で 下請企業を中心に保険未加入企業が存在している状況を改善していくためには 元請企業において下請企業の保険加入を指導する役割を担うことが求められる これについては 従来から 建設産業における生産システム合理化指針 ( 平成 3 年 2 月 5 日建設省経構発第 2 号 ) において 元請企業が下

Microsoft PowerPoint - 02 別添 パンフレット (3)

資料3 国土交通省における取組み等<再修正>

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☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

Ⅱ 取組み強化のためのアンケート調査等の実施 (1) 建設技能労働者の賃金水準の実態調査国土交通省から依頼を受けて都道府県建設業協会 ( 被災 3 県及びその周辺の7 県を除く ) に対し調査を四半期ごとに実施 (2) 適切な賃金水準の確保等の取組み状況のアンケート調査国は 平成 25 年度公共工事

平成23年度第1回人材確保・育成部会

特別の事情 が認められる場合 ( 2) 特殊な技術 機器又は設備等 ( 以下 特殊技術等 という ) を必要とする工事で 特殊技術等を有する者と下請契約を締結しなければ契約の目的を達することができないことや その下請業者でなければ目的を達することが困難となることが明らかな場合 特別の事情 に該当しな

別記様式 2 地方整備局長 知事 支社支社長 印 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第 11 条 社会保険等未加入 業者 の通知について 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 ( 以下 法 という ) 第 11 条に基づき 弊社の発注工事において社会保険等未加入業者の存在が

所において施工する場合 2 施工にあたり相互に調整を要する工事で かつ 工事現場の相互の間隔が 10km 程度の近接した場所において同一の建設業者が施工する場合 ( 別添 建設工事における現場代理人の常駐義務の緩和に係る取扱いについて に示す 参考 第 2 第 1 項第 3 号に定める該当工事 参照

2019-touren1-1

老高発 0713 第 1 号 平成 30 年 7 月 13 日 各都道府県介護保険主管部 ( 局 ) 長殿 厚生労働省老健局高齢者支援課長 ( 公印省略 ) 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について の一部改正について 今般 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について (

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4 受注者による社会保険等の加入状況の確認 (1) 確認方法 1 下請負契約の締結前に, 相手方の社会保険等への加入状況を, 保険料の領収済通知書等により確認してください ( 適用除外の場合, 除外事由を相手方から資料等で確認してください ) 2 下請負契約の締結後, 施工体制台帳等を作成し, 工事

【別紙】リーフレット①

(案)

山形県県土整備部資材単価及び歩掛等決定要領

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2011年9月30日

2 出勤簿 賃金個人台帳 は各人の賃金月額から 健康保険 年金保険 雇用保険についての法定福利費や 国保 国民年金に対する事業主の任意による上乗せ負担分を算出し 事業主負担分と本人負担分を経理した上で 実際の支給額を算出できるようにしました また 出勤簿と一体とし 簡易に法定帳簿の備付ができるように

建設工事従事者の安全及び健康の確保に 関する三重県計画 平成 31 年 4 月 三重県

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厚生年金 健康保険の強制適用となる者の推計 粗い推計 民間給与実態統計調査 ( 平成 22 年 ) 国税庁 5,479 万人 ( 年間平均 ) 厚生年金 健康保険の強制被保険者の可能性が高い者の総数は 5,479 万人 - 約 681 万人 - 約 120 万人 = 約 4,678 万人 従業員五人

適正化法に係る書類 ( 様式目次 ) 下記書類は( 甲 ) 第 23 号に添付の上提出のこと 名 称 様 式 備 考 頁 請負工事において 元 施工体制台帳 請が下請契約を締結し工事適正化推進要領様式第 1 号た場合に提出する 110 再下請負通知書工事適正化推進要領様式第 2 号 112 施工体系

一人親方等(第2種)特別加入団体の年度更新手続等について 

Microsoft PowerPoint 記者発表資料別添(セット)

Transcription:

法定福利費を内訳明示した見積書の作成手順 1. 法定福利費を内訳明示した見積書とは建設産業では 公平で健全な競争環境を構築するとともに 就労環境の改善による建設業の持続的発展に必要な人材の確保を図るため 関係者を挙げて社会保険等未加入対策に取り組んでいます 社会保険等未加入対策を進めていく中では法定福利費の確保が重要ですが これまでの取引慣行では トン単価や平米単価による見積が一般的で 法定福利費がどのように取り扱われているのかが分かりにくい状況でした 法定福利費を内訳明示した見積書 ( 標準見積書 ) とは 下請企業が元請企業 ( 直近上位の注文者 ) に対して提出している見積書を従来の総額によるものではなく その中に含まれる法定福利費を内訳として明示したもので これを活用することにより 社会保険等の加入に必要な金額をしっかりと確保できるようにしていこうとするためのものです 2. 内訳明示する法定福利費の算出方法 (1) 内訳明示する法定福利費の範囲法定福利費 ( 社会保険料 ) といった場合 健康保険料 ( 介護保険料含む ) 厚生年金保険料 ( 児童手当拠出金含む ) 雇用保険料 労災保険料がありますが 見積書で内訳明示する法定福利費は 原則として健康保険料 ( 介護保険料含む ) 厚生年金保険料( 児童手当拠出金含む ) 雇用保険料のうち 現場労働者( 技能労働者 ) の事業主 ( 会社 ) 負担分です 標準見積書にて内訳明示の対象となる保険料等について 健康保険 厚生年金保険 雇用保険 労災保険 健康保険料介護保険料厚生年金保険料児童手当拠出金 雇用保険料 労災保険料 事業主負担分〇〇〇〇〇 本人負担分 - - 事業主が全額負担 ( 本人負担分なし ) 内訳明示する法定福利費の範囲は 事業主負担分を基本としていますが 各社が個別に表中の の部分を内訳明示しても構いません その場合 法定福利費として内訳明示している範囲を明記する必要があります ( 例えば 法定福利費は 保険料の本人負担分も含んでおります など ) 1

(2) 法定福利費の基本的な算出方法 法定福利費 = 労務費総額 法定保険料率 法定福利費は 通常 年間の賃金総額に各保険の保険料率を乗じて計算します しかし 各工事の見積りでは 労働者の年間賃金を把握することは不可能です そのため 見積額に計上した 労務費 を賃金とみなして それに各保険の保険料率を乗じて算出する方法が一般的です (3) その他の算出方法 法定福利費 = 工事費 工事費当たりの平均的な法定福利費の割合 法定福利費 = 工事数量 数量当たりの平均的な法定福利費 法定福利費の算出方法としては 自社の施工実績に基づくデータ等を用いて工事費に含まれる平均的な法定福利費の割合や工事の数量当たりの平均的な法定福利費をあらかじめ算出した上で 個別工事ごとの法定福利費を簡便に算出することも考えられます この方法は その性質上 ある程度定型化した 工事費の増減又は数量の増減が労務費と比例している工事について使用することが適当です (4) 適用する保険料率の考え方 保険料率の種類保険料率の入手先備考 健康保険料率 ( 介護保険料率 ) 協会けんぽのウェブサイト等 ( 個別に健康保険組合に加入している場合は 別途組合に問合せ ) ( 協会けんぽに加入の場合 ) 都道府県単位の保険料率 加入率 (40~64 歳の被保険者割合 ) を加味する 厚生年金保険料率 ( 児童手当拠出金 ) 日本年金機構のウェブサイト等 ( 厚生年金基金に加入している場合は 別途基金に問合せ ) - 雇用保険料率 厚生労働省のウェブサイト等 建設の事業 の料率を用いる 健康保険の保険料率健康保険及び介護保険の保険料率は 各社で加入している協会けんぽ ( 全国健康保険協会 ) や健康保険組合の保険料率を用います ( 協会けんぽの健康保険の保険料率は 都道府県単位で定められています ) 2

また 協会けんぽの介護保険の保険料率は 全国一律となっていますが 介護保険の対象者は 基本的に 40 歳から 64 歳までの方のみですので 保険料率算定に当たっては これを考慮する必要があります しかし 介護保険の対象となる 40 歳以上の現場労働者の割合を工事ごとに把握することは困難です そのため 協会けんぽでの対象者 対象外の者の状況 ( 被保険者全体に占める 40~64 歳の割合 ) を勘案して設定する方法等が考えられます ( 参考 ) 介護保険料の算定に使用する保険料率の考え方 = 協会けんぽの介護保険料率 1/2( 事業主負担 ) 加入率 (40~64 歳の被保険者割合 *) * 協会けんぽウェブサイトの被保険者数及び被扶養者の年齢構成割合より 厚生年金保険 ( 児童手当拠出金含む ) の保険料率厚生年金保険の保険料率は 日本年金機構のウェブサイト等に記載されている保険料額表を参照することにより入手できます ( 厚生年金基金に加入している場合には 当該厚生年金基金から保険料率を入手する必要があります ) また 児童手当拠出金の料率は 日本年金機構のウェブサイト等に記載されているものを用いてください 雇用保険の保険料率雇用保険料率は 事業の種類ごとに事業主負担分 労働者負担分の保険料率が定められていますので その中の 建設の事業 の保険料を参考にしてください 保険料率は 厚生労働省のウェブサイトから入手することが可能です (5) 健康保険 厚生年金保険の適用除外者であるものの取扱い常時使用する労働者が5 人未満の個人事業所 ( 支所 ) や一人親方などは 健康保険 厚生年金保険に加入する義務のない いわゆる 適用除外 となります そのため 各保険の事業主負担は発生しません したがって 適用除外となっている現場作業員の法定福利費については 内訳明示する法定福利費から除外する必要があります 実際には見積段階で適用除外となる作業員の方を把握することは 実務上 難しいと思いますので 見積段階では 全ての現場作業員の方の加入を前提として健康保険 厚生年金保険に加入するための費用を内訳明示の対象としてください その後 元請企業 ( 直近上位の注文者 ) と協議を行い 最終的な金額を決定していきます 3

(6) 法定福利費を内訳明示した見積書の作成例 御見積書 ( 例 ) 株式会社殿 住所 株式会社 見積金額 L ( 消費税込 ) 事業主負担分の法定福利費は別に計上するので 経費から除いておく ( 内訳 ) 項目 数量歩掛単価金額 工事材料費 A 労務費 経費 ( 法定福利費を除く ) 小計 事業主負担分以外の法定福利費を含める場合は その旨明記し 工事の労務費から当該金額を控除しておく B C D=A+B+C 法定福利費 法定福利費事業主負担額対象金額料率金額 雇用保険料 B p E B p 健康保険料 B q F B q 介護保険料 B r G B r 厚生年金保険料 ( 児童手当拠出金含む ) 介護保険の加入率を加味した保険料率を設定する B H B s 合計 B t I B t I 事業主負担分の法定福利費を明示する s 小計 J=D+I 消費税等 法定福利費も消費税の対象になる K=J 8% 合計 L=J+K 4

標準見積書作成手順 基本的な法定福利費算出方法の場合 = 労務費総額 法定保険料率 算出手順例 1. 労務費総額 (B) を各個社 業界の実情に合わせた方法で算出 2. 算出した労務費総額 (B) に対して 法定で定められた保険料率を乗じて各保険の概算保険料を算出 (E,F,G,H) 介護保険料については 事業主負担相当の保険料率 ( 保険料率の 2 分の 1) に 被保険者となる 40 歳以上 64 歳以下の割合 (52.9% 協会けんぽ H25 年度の場合 ) を乗じた比率とする 協会けんぽの場合 介護保険料率の算式 = 1.58% 1/2 52.9% = 0.418% (r) 3. 各保険の概算保険料を合計し 内訳明示する概算保険料総額を算出 (I= E+F+G+H または B t) 4. 小計額 (J) を算出 5. 消費税 (K) を算出 6. 合計 (L) を算出し 見積金額として計上 3. 法定福利費を内訳明示した見積書に関するよくある質問 Q. 法定福利費を内訳明示した見積書を作成する場合 所属する専門工事業団体等の作成した見積書に沿って 法定福利費を算出しなければならないのでしょうか? A. 内訳明示する法定福利費の額は 本来 各建設業者が個別工事ごとに自社の施工実績等に基づいて算定するものですので 必ずしも所属する専門工事業団体等の作成した見積書に沿って 法定福利費を算出する必要はありません 各専門工事業団体が作成した標準見積書は 各団体に所属する建設業者等が法定福利費の算定を行おうとする際の参考にしていただくためのものです Q. 法定福利費を内訳明示した見積書を作成する場合 所属する専門工事業団体等の作成した見積書の様式を使用しなければならないのでしょうか? A. 法定福利費を内訳明示した見積書の活用は 必要な法定福利費を確保することを目的としていますので 法定福利費の内訳が明示されていれば 自社または注文者から指定された様式でも構いません 各専門工事業団体が作成した標準見積書は 各団体に所属する建設業者等が作成する際の参考にしていただくためのものです 5

Q. 法定福利費も消費税の対象となるのでしょうか? A. 対象となります Q. 法定福利費を内訳明示した見積書の作成は 法律上の義務なのでしょうか? A. 社会保険等への加入を徹底していくためには 主に技能労働者等を雇用している下請企業が必要な法定福利費を確保していくことが重要です そのため 見積りに当たっては従来の総額単価だけではなく その中に含まれる法定福利費を内訳として明示することにより 必要な金額を確保していく必要があります そこで 各専門工事業団体で業種の特性等に応じて 法定福利費を内訳明示した見積書が作成できるよう標準見積書を作成し これを活用するなどして法定福利費が内訳明示された見積書を提出する運動を 業界を挙げて推進しているところです この取組については 見積書を提出する際に法定福利費を内訳明示することを直接的に義務づけた法律等の規定はありませんが 下請負人の見積書に法定福利費相当額が明示され又は含まれているにもかかわらず 元請負人がこれを尊重せず 法定福利費相当額を一方的に削減したり 労務費そのものや請負金額を構成する他の費用 ( 材料費 労務費 その他経費など ) で減額調整を行うなど 実質的に法定福利費相当額を賄うことができない金額で建設工事の請負契約を締結し その結果 通常必要と認められる原価 に満たない金額となる場合には 当該元請下請間の取引依存度等によっては 建設業法第 19 条の3の不当に低い請負代金の禁止に違反するおそれがあります また 社会保険の加入促進に向けて重要な取組であることから 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン においては 法定福利費の適正な確保のために 専門工事業団体等が作成した標準見積書の活用等による法定福利費相当額を内訳明示した見積書を下請企業から元請企業に提出する取組が行われているところであり これを提出する環境づくりが必要であることなど 元請企業及び下請企業が具体的に取り組むべき事項を定め 更なる普及 定着に向けた環境整備を行っております Q. 下請企業に工事を発注する場合は 下請企業の法定福利費も含めて見積書を作成するのでしょうか A. 下請企業に工事を発注する予定がある場合には 下請企業の法定福利費を含めて注文者に対する見積書を作成してください ただ 注文者に見積書を依頼された段階では 下請企業に工事を発注するか決まっていないことが多くあります また 見積書では 注文を受けた工事についてどのような工種をいくらの材料 機器を使って ( 材料費 ) ど 6

れくらいの工賃 ( 手間 労務費 ) で施工するか計算しており 外注費 ( 下請代金 ) そのものが項目として計上されているわけではありません したがって 自社が作成する見積書そのものに含まれる 工賃 を基本に法定福利費を算出すれば 下請代金に含まれる法定福利費も含まれているものと考えられます Q. 下請企業の加入している保険が自社の加入しているものとは違っている場合 適用する保険料率はどの保険のものにすればいいのでしょうか? A. 下請企業に工事を発注する予定がある場合には 下請企業の法定福利費を含めて注文者に対する見積書を作成する必要がありますが 自社及び下請企業が加入する保険が必ずしも同じであるとは限りません この際 内訳明示する法定福利費を算出するために使用する保険料率は それぞれの保険に加入する加入者数が把握できる場合は加入者数に応じて各保険料を算出し 把握できない場合は 加入している人が多いと考えられる主な保険の保険料率を一律に適用するといったことが考えられます 要は 法定福利費を支払う側である注文者が納得のできる合理的な内容であれば問題ありません Q. 見積金額には元々 法定福利費が適正に含まれており 必要な保険にもきちんと加入しているのだが それでも法定福利費を内訳明示した見積書を作成する必要があるのでしょうか A. 法定福利費を内訳明示した見積書は これを作成しなかったからといって 特に罰則等があるわけではありません しかし 社会保険等への加入を促進するためには加入に必要な法定福利費をしっかりと確保していく必要があります 国土交通省では 平成 27 年 4 月 1 日付けで改訂された 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン の内容として 元請負人は ( 中略 ) 下請負人が自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り 元請負人に提示できるよう 見積条件の提示の際 適正な法定福利費を内訳明示した見積書を提出するよう明示しなければならない こと あるいは 下請企業は自ら負担しなければならない法定福利費を適正に見積り 標準見積書の活用等により法定福利費相当額を内訳明示した見積書を注文者に提出し 雇用する建設労働者が社会保険に加入するために必要な法定福利費を確保する ことを明記する等 法定福利費を内訳明示した見積書の活用を推進しています こうした観点から 法定福利費を内訳明示した見積書を主体的に作成していただくことが求められます 7