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設計基準の制定等年次 表 -1 設計基準 パイプライン における腐食 ( 防食 ) に関する記載内容の変遷 自然腐食 記載頁ミクロセル腐食マクロセル腐食コンクリート一般土壌特殊土壌酸素濃淡バクテリア / 土壌異種金属腐食腐食 ( 通気差 ) (C/S) 電鉄の迷走電流 昭和 48 年 3 月 pp.115~116 昭和 52 年 10 月 pp.93~94 昭和 63 年 3 月 pp.131~132 平成 10 年 3 月 pp.336~346 平成 21 年 3 月 pp.410~420 腐食 電食 干渉 当初制定から 25 年を経た平成 10 年 3 月の改定により, 前掲した埋設管における腐食の分類が示され, 自然腐食 ミクロセル腐食 マクロセル腐食 といった概念が加わり, 腐食 ( 防食 ) に関する項目は一気に 10 頁に増加している 現行の平成 21 年 3 月改定の設計基準も, ほぼこの内容が踏襲されている 2. 外面腐食と調査事例地中埋設される管水路の外面は, 通常, 土壌と接している 土壌は, イオンを含む化学物質といえ, 電解質である 加えて, 土壌は不均一系の代表格であり, これに起因して土中の各所でマクロスケールやミクロスケールの環境差を生じる これにより腐食電池が形成され, その中に在る金属に対して腐食環境になる 2-1 マクロセル腐食が疑われた事例 (1) 鋼製直管の腐食と漏水写真 1 は 外面腐食により漏水を生じた事例である 当該箇所は, 造成から 20 年余りを経過した斜面部に敷設される鋼製直管 (φ250mm) である 腐食は, 法尻のスラストブロック ( 無筋 ) から下流約 3m の鋼製管の範囲で発生しており, 上流側のダクタイル鋳鉄管 (DCIP) に腐食は見られなかった また, 下流約 20m に位置する法肩部のスラストブロック接続部付近に腐食は見られなかった ( 図 -2) 漏水箇所は, 静水圧で 0.7MPa の内水圧がかかる位置で, 毎秒 1 リットル程の漏水があった 貫通孔 写真 -1 漏水を生じた貫通孔 GH 地下水位の変動幅 貫通孔 ( 漏水箇所 ) flow DCIPφ250mm L 20m L 3m STWφ250mm スラストブロック STWφ250mm 図 -2 鋼製直管の腐食位置概念図 当該箇所は, 外面の防食対策として施工当初にアスファルトビニロンクロスによる被覆が施されていた 写真 -1 は, スラストブロックから 2.85m 下流の斜面部に生じた貫通孔であり, これより法尻スラストブロック側では, 外観上, 被覆に損傷などが見られない部分を剥がしたところ, 次頁の写真 -2 のような孔食が確認された

80mm) に貫通孔を生じていた ( 写真 -5) 立上げ鋼管は, 全周に塗装の劣化が見られ, 赤錆の付着も見られた ( 写真 -6) とくに, 溶接部では, 錆がこぶ状に生じていた ( 写真 -7) [ 孔食 ] 写真 -2 被覆下の腐食状況 (2) ダクタイル鋳鉄管の腐食写真 -3 は, 貫通 ( 漏水 ) には至らないものの, 鉄筋コンクリート製 (RC) の弁室から 1mほど下流のダクタイル鋳鉄管 ( 短管 ) に生じた孔食の事例である 腐食深さは 5mm ほどである ( 塗装含む ) 貫通孔 写真 -5 立上げ鋼管の貫通孔 写真 -3 ダクタイル鋳鉄管 ( 短管 ) の孔食 写真 -6 塗装劣化と赤錆 写真 -4 は, これとは別の箇所で RC 弁室に接続するダクタイル鋳鉄管のソケット継手に見られた孔食である 腐食の深さは 5mm ほどである 写真 -7 溶接部の腐食 ( こぶ状 ) 写真 -4 ソケット継手部の腐食なお, 上記の 2 箇所は, いずれも造成から 25 年を経過していた (3) 空気弁工鋼管の腐食と漏水写真 -5~ 写真 -7 は, 造成から 20 年余りを経過した空気弁工の腐食事例である 本管からの立上げ部に用いられた鋼管 (φ (4) 継手のボルト ナットの腐食次頁に示す写真 -8 は, 前掲した写真 -3 に隣接する継輪とフランジの継手部のボルト ナットに生じた腐食である 本施設は, 造成から 20~25 年を経過していた ボルト ナットの材質は, 鋼製あるいはダクタイル鋳鉄製である ボルト ナットにこのような腐食を生じる理由としては, 加工による電位の低下 塗膜のムラ 施工時の塗装の傷みなどに起因したマクロセル腐食が言われる 1)

継手部のボルト ナットに写真のような腐食が生じると, ボルトの締め付けに緩みを生じて漏水に至る可能性がある 1~5のうち,3,4は一つの調査項目にもとづき土壌の腐食性を評価する方法である 5も同様に, 主として C/S マクロセル腐食の可能性を評価する 一方,1および2は, 複数の調査項目から土壌腐食性やマクロセル腐食などの腐食形態を総合的に評価する方法である 評価方法は,DIN( ドイツ規格協会 ) および ANSI( アメリカ規格協会 ) の基準を適用する この場合の具体的な調査項目は, 表 -3 に示す内容であり,3~5の調査項目を含めた総合的な評価となる 写真 -8 継手部のボルト ナットの減肉 DIN ANSI 2-2 外面腐食の要因調査管水路の腐食要因調査について, 現行の設計基準に表 -2 のとおり記載される この中で, 自然腐食に係る調査項目は, 主として赤枠の1~5が該当し, 前掲した外面腐食について, 腐食要因特定のため, 当該調査を行った 表 -2 腐食要因の調査項目 表 -3 DIN および ANSI の調査項目 調査項目 該当する調査項目 粘土含有率 ( 粒度 ) 含水率 土壌 ph アルカリ度 酸度 硫化物 塩類 硫酸塩 土壌抵抗率 管対地電位 酸化還元電位 地下水の有無 社団法人農業農村工学会 : 土地改良事業計画設計基準及び運用 解説設計 パイプライン, 平成 21 年 3 月,p.417

(1) 土質調査土壌の腐食性を評価するため, 配管の腐食部と健全部に接する土壌を採取し, 前頁表 -3 に示す調査項目の分析を行った 写真 -9 は, 土壌サンプリングの様子であり, 配管と接している土壌を 15cm 15cm 15cm 角に切り取ってポリエチレン袋に入れて持ち帰り, 室内試験に供した 2) サンプリング土壌の腐食性評価の代表的な指標として, 土壌 ph 値が挙げられる 土壌 ph 値は,pH4 程度以下の場合に腐食性が高く, これより酸管路性が強くなるにし RC 弁室たがって腐食は激写真 -9 土壌サンプリングしくなっていく ( 表 -4) 表 -4 土壌の腐食性と土壌 ph の関係 写真 -10(a) は, 外観調査のための試掘に併せて地下水位観測孔を設置し, 自記式水圧計 ( ロガー式 ) による長期観測を行った状況である 事例に示した腐食箇所は, いずれも地下水位の変動域にあった 一方, 水の腐食性評価の代表的な指標として ph 値や溶存酸素量が挙げられる 写真 -10(b) は, 地下水の腐食性評価に用いるためのサンプリングの状況である 溶存酸素の測定にあたり, 運搬中の濃度変化を防止するため, 薬液による固定を行っている 水圧計観測孔 (b) 地下水の採水 (a) 地下水位観測 ( 溶存酸素測定用 ) 写真 -10 地下水調査の様子 ph 値と溶存酸素量については, 鉄の腐食との関係が示される ph 値は, 水温により区分されるが, いずれも ph4 より酸性が強くなるにしたがって腐食は激しくなっていく ( 図 -3) 一方, 溶存酸素量は,10~15ml/L の間で最大の腐食速度を示す ( 図 -4) 日本ダクタイル鋳鉄管協会 : 埋設管路の腐食原因とその防食について (JDPA T 11), 平成 22 年 3 月,p.17 事例に示した腐食箇所の土壌 ph 値は, いずれも ph5~7 の範囲にあり, 腐食性 ~ 非腐食性の範囲であった (2) 地下水調査地下水は, 土壌の腐食性 ( 湿潤状態 ), マクロセル腐食 ( 通気差 ) に係る土中の酸素濃度差への影響, および水の腐食性の面から, その存在状態の把握が重要である 日本ダクタイル鋳鉄管協会 : 埋設管路の腐食原因とその防食について (JDPA T 11), 平成 22 年 3 月,p.17 図 -3 水の ph 値と腐食速度の関係

土壌抵抗率は, 表 -5 に示すように腐食性との関係が示される 腐食性の程度の境界値は研究者によってやや異なるものの, 概ね 1,000Ω cm より低い場合に腐食性が激しいと分類される 事例に示した腐食箇所の土壌抵抗率は, いずれも 3,000~5,000Ω cm を示し, 腐食性は 中 程度であった 日本ダクタイル鋳鉄協会 : 埋設管路の腐食原因とその防食について (JDPA T 11), 平成 22 年 3 月,p.16 表 -5 土壌の腐食性と土壌抵抗率との関係 図 -4 水の溶存酸素量と腐食速度の関係事例に示した腐食箇所の地下水は, いずれも溶存酸素量が 6~7mL/L で腐食速度はやや高めであるものの,pH 値は ph6~7 の中性を示し腐食性は強くない範囲にあった (3) 土壌抵抗率調査土壌中の鉄鋼系管路の腐食は, 電気化学反応によって進行する その大きさは, 管材に生じる電位差と, 電気回路の一部を形成する土壌の抵抗率に影響される すなわち, 管材に電位差を生じても, 土壌抵抗率が大きい場合は腐食電流が小さくなり, 腐食が生じにくくなる このように, 土壌抵抗率は埋設管の腐食に係る重要な指標である 土壌抵抗率の測定方法には, 現地計測の 4 極法 土壌杖法 およびサンプリング試料を用いる 土壌箱法 がある 写真 -11 は, 地上部からの 4 極法および試掘時の土壌杖法の状況である 日本ダクタイル鋳鉄管協会 : 埋設管路の腐食原因とその防食について (JDPA T 11), 平成 22 年 3 月,p.17 (4) 管体地電位調査管対地電位調査の目的は, 土壌の腐食性の判定, C/S マクロセル腐食の可能性の判定, 迷走電流の流入出の判別および電気防食効果の確認である 写真 -12 は, 管路の腐食状況確認のための試掘 ( 外観調査 ) に併せて, 主として土壌の腐食性と C/S マクロセル腐食の可能性の判定を目的に, 管対地電位調査を行った状況である 土壌杖 飽和硫酸銅照合電極 高感度電圧記録計 4 極法 交流抵抗器 写真 -12 管対地電位調査の様子 土壌杖法 写真 -11 土壌抵抗率調査の様子 管対地電位の計測にもとづく土壌の腐食性の評価の指標として, 次頁の表 -6 がある

表 -6 土壌の腐食性と管対地電位との関係 2.17 表土壌の腐食性と鋼材の対地電位 (Applegate) 腐 食 性 の 程 度 鋼の対地電位 (-V 飽和硫酸銅 ) 最小値 激 し い >0.55 や や 激 し い 0.45~0.55 中 0.30~0.45 小 0.15~0.30 き わ め て 小 <0.15 電気学会 : 新版電食 土壌腐食ハンドブック昭和 61 年 10 月 15 日,p.33 また,C/S マクロセル腐食の可能性の評価の指標として, 農林水産省関東農政局: 農業水利施設ストックマネジメントマニュアル, 参考資料編, 平成 19 年 3 月 に, 管対地電位が-0.4V より貴 ( 高い ) のとき,C/S マクロセル腐食が形成されていると判断するとされる 事例に示した腐食箇所の管対地電位は, いずれも-0.4~-0.5V であり, 土壌の腐食性はやや激しい~ 中の範囲で,C/S マクロセル腐食は形成されていないと判定できる範囲であった (5) 酸化還元 (Redox) 電位調査酸化還元電位は, ある物質が酸化あるいは還元しやすい状態にあるのかを表す指標である 土壌中の鉄鋼系管路における腐食との関係では, 嫌気性腐食および前出の表 -21の評価方法に示される ANSI A21.5 において, 土壌 ph や硫化物と併せて硫酸塩還元バクテリア等による腐食性評価の指標となる 写真 -13 は, 管水路の腐食状況を目視調査するための試掘に併せて行った酸化還元電位調査の状況である レドックスメーター ORP 電極 写真 -13 酸化還元 (Redox) 電位調査の様子 酸化還元電位は, 嫌気性腐食との関係が表 -7 のとおり示されている 表 -7 酸化還元電位 (Eh) と嫌気性腐食との関係 4.8 表 E h と嫌気性腐食の程度 E h 範囲 mv 嫌気性腐食の程度 <100 激 烈 100~200 中 程 度 200~400 軽 微 >400 無 腐 食 電気学会 : 新版電食 土壌腐食ハンドブック昭和 61 年 10 月 15 日,p.197 先の事例に示した腐食箇所の酸化還元電位は, いずれも 200~400mV であり, 嫌気性腐食の程度は中 ~ 軽微の範囲であった 2-3 外面腐食の評価前項に記した各々の計測にもとづく評価は, いずれの事例も土壌および地下水の腐食性は高くない結果となった 土壌抵抗率 管対地電位および酸化還元電位による評価でも腐食性は中 ~ 低となり, 腐食要因の特定には至らなかった 本事例では, 前項の各種調査を併せて, 総合的に腐食形態の評価を行う DIN( ドイツ規格協会 ) および ANSI( アメリカ規格協会 ) の基準による評価を行った これらの基準は, 各種調査から得られた値に評点を与え, その評点を腐食形態による特徴を踏まえて累計し, 土壌の腐食性やマクロセル腐食等の腐食形態を判定するものである DIN は, 土壌の腐食性およびマクロセル腐食 ( 通気差マクロセル腐食,C/S マクロセル腐食, 異種金属接触腐食 ) の可能性について評価し,ANSI は, 土壌の腐食性として, 微生物 ( 硫酸塩還元バクテリア ) の影響などを考慮したミクロセル腐食の可能性を評価する 腐食事例の各箇所について,DIN による評価を次頁の図 -5 に示す なお, 関係する調査項目については, 前掲の表 -3 を参照されたい

異種金属接触腐食 C/S マクロセル腐食の確率 通気差マクロセルカソードの判定 土壌試料の腐食性極強 中 少 なし (2) と (4) の線は重複している 図 -5 DIN による評価事例 通気差腐食の確率 通気差マクロセルアノードの判定 (1) 鋼製直管 (2) ダクタイル鋳鉄管 (3) 空気弁工鋼管 (4) 継手ボルト ナット 事例の (1) 鋼製直管 における腐食要因は, C/S マクロセル腐食および通気差マクロセル腐食の可能性が 極強 と判定された これは, コンクリート ( スラストブロック ) との接続や腐食箇所付近の地下水位変動の状況など, 主として構造 環境条件が影響した結果と推察される 事例の (2) ダクタイル鋳鉄管と (4) 継手ボルト ナットは隣接する箇所であり, 腐食要因は土壌の腐食性,C/S マクロセル腐食および通気差マクロセル腐食の可能性が 極強 と判定された これは, コンクリート (RC 弁室 ) との接続や腐食箇所付近の地下水位変動の状況など, 主として構造 環境条件が影響した結果と推察される 事例の (3) 空気弁工鋼管 における腐食要因は, 通気差マクロセル腐食の可能性が 極強 と判定された これは, コンクリート接続はなく, 鉛直方向に配管される構造条件が影響した結果と推察される 一方,ANSI による評価は, 評点が 10 点を超える場合に腐食性と評価されるが, いずれの事例も評点は 2~4 点となり, 土壌の腐食性は弱く, ミクロセル腐食の可能性は低いと判断した なお, 各基準における調査項目別の評点方法や腐食形態別の評点の累計方法等の詳細については, 日本水道鋼管協会: マクロセル腐食防食指針 WSP045-2008 などを参照されたい 3. 内面腐食と調査事例 3-1 ミクロセル腐食が疑われた事例写真 -14 は, 管水路途中の調圧スタンドに接続する水輸送用塗覆装鋼管 (φ1500mm 以下 塗覆装鋼管 という ) の内面に生じた腐食であり, 造成から 25 年余りを経過した時点の現地調査で確認した 当該施設は, 水田かんがい用であり, かんがい期は河川より取水して通水される 非かんがい期は通水停止により落水されるが, この際, 当該パイプラインの上流に接続する函渠からドレーン排水が流入するため非満流の流水を生じていた 腐食は, 底部から側部に集中し, 上部にはほとんど見られず こぶ状に隆起していた 写真 -14 鋼製管の側面の腐食 3-2 内面腐食の要因調査管内面の腐食要因として, 第 1 に通水する水の腐食性を考え, 前述した 溶存酸素濃度 および ph 値 等の影響を調査したところ, 河川水および非かんがい期の管内流水 ( 函渠のドレーン排水 ) のいずれについても腐食性は少ない評価となった 本事例では, 非かんがい期に好気性となる管内面の環境条件や, こぶ状に盛上った腐食の形状などに着目し, 腐食要因として 微生物 の影響を考え, 腐食生成物の成分分析および微生物判定の簡易調査を加えた

(1) 腐食生成物の成分分析腐食生成物は, 発生要因によってその成分に特徴が見られる さびの成分分析の方法の一つに 蛍光 X 線分析 がある この方法は, さびに含まれる元素の同定とその定量が可能である 図 -6 は, 現地より採取した腐食生成物と, 元の塗覆装鋼管 (JIS G 3443 規格 ) との化学成分の比較である JIS 規格によれば, 塗覆装鋼管の化学成分は, 鉄 (Fe) のほか, リン (P), 硫黄 (S) および炭素 (C) である 圧力配管用炭素鋼鋼管とは異なり, ケイ素 (Si) とマンガン (Mn) を含まない 一般に, さびの成分は水和酸化物が主体であり, これには大気由来の二酸化炭素や二酸化硫黄なども含まれるため, さびの進行によって Fe の減少と O,C,S の増加が予想され, 同図にもその傾向が現れている 一方, 塗覆装鋼管の成分に元々含まれていない Mn や Si も同定された からドレーン排水 ( 地下水 ) の流入があることから, 錆の成長に関与する好気性細菌として, 鉄バクテリアの関与が考えられた 調査方法は, 微生物腐食の実験 解析法の簡便法とされる 寒天培地平板法 3) である 市販の寒天培地 ( ぺたんチェック : 栄研器材社 ) を用いて, 現地でさび部 ( 被検体 ) に寒天培地を付着 ( 写真 -15(a)) させた後,36 で 48 時間の恒温培養を行い, コロニーの発生状況を確認した この際, 比較のため, 健全部を被検体 ( 塗装下の金属面 ) とした試験を併せて行った ( 写真 -15(b)) さび部では明らかなコロニー形成が確認できた ( 写真 -15(c)) 一方 健全部はコロニーの形成はほとんど確認できなかった ( 写真 -19(d)) S 0.5% Fe 100% O 50% 規格試料 -1 試料 -2 試料 -3 試料 -4 資料 -5 (a) (b) 0.05% P 30% C (c) (d) 0.5% 20% Mn Si 図 -6 塗覆装鋼管の規格値とさびの成分比較 (2) 微生物調査金属の腐食に係る代表的なバクテリアとして, 好気性の鉄バクテリアと嫌気性の硫酸塩還元バクテリアが挙げられる 写真 -15 は, 現地より採取した試料による微生物培養試験の状況である 本管水路は, 好気性の環境にあること, および上流に接続する函渠区間 写真 -15 管内撮影状況 ( 鋼管 ) 3-3 内面腐食の評価微生物の培養試験から, 管内面の腐食部における微生物の存在, および健全部との相違が確認された これは, 腐食生成物の成分分析による Mn の同定を併せると, 鉄バクテリアによる水中のマンガンイオンの酸化 集積の働き 3) の可能性を示唆する ただし, 今回行った培養試験は, 微生物の存在の有無を確認するための簡便手法であり, 当該試験のみから細菌の種類を特定できるものではない

内面腐食の要因は, 上記の結果に, 水の腐食性が低いことや, こぶ状の隆起が未だ小さい箇所で塗膜に傷痕のようなものが見られることなどを勘案して, 塗装の損傷に起因し, 腐食の進行に微生物が関与するミクロセル腐食 ( バクテリア腐食 ) の可能性が高いと判定した 4. まとめ鉄鋼系管路の内外面は, 水および土壌の物理 化学性や電気的特性などを調べると, 多様な腐食環境に晒されていることが理解される 腐食は, これらの条件が単独ではなく, 影響の強弱はあるものの, 複合して発生してい場合が多いと考えられる 管路における腐食は, 進行により漏水に至るケースもあり, 施設の重要度などを勘案のうえ適切な対策を必要とする この際, 対策の有効性を確実とするには, 腐食要因の把握が重要となる 本報に載せた調査事例等を踏まえ, 鉄鋼系管路の腐食要因の特定にあたっての留意事項として, 下記を挙げる 鉄鋼系管路の腐食は, 土壌 水の条件および構造 材質条件などが複合して発生しており, その要因特定には, 各条件にもとづく総合的な評価 (DIN ANSI 等 ) が有効である 腐食の遠因として, 設計 施工年代や塗覆装の損傷に係る施工条件, さらに, 通水の状況など施設の使用される条件の把握が重要となる 腐食生成物が採取可能な場合は, その成分を調べることにより腐食要因の推定に有効となる 状況を知る術は, 現在未確立といえます 線構造物である管路の全線を開削して直接確認することは, 立地環境や経済的な側面から現実的ではなく, 今後, 非開削で地上部などから行う電気的調査等の間接的な調査により, 埋設管路の損傷や腐食の状態を精度良く評価可能とする技術の確立が求められます それには, 多くの調査 研究の成果を蓄積 集積し, その結果を体系的に整理 分析していくことが重要と考えます 本報告が, このような試みの一助となれば幸いに思います 今回は, 図らずも, 本報文集において弊社の調査実績について発表の機会を頂き, 誠にありがとうございました また, 末筆ながら, 今回の発表に係る調査の機会を与えて下さいました関係機関および関係各位に対し厚く御礼申し上げます 参考文献 1) 日本ダクタイル鋳鉄管協会 : 埋設管路の腐食原因とその防食について (JDPA T 11), 平成 22 年 3 月,pp.33~34 2) 日本水道鋼管協会 : マクロセル腐食防食指針 (WSP 045-2008), 平成 20 年 3 月 14 日改正 3) 防食腐食協会 : エンジニアのための微生物腐食入門, 平成 16 年 2 月 25 日 おわりに現在, パイプラインのコンクリート構造物周りにおけるC/Sマクロセル腐食など, 点構造物の腐食評価については, 多くの調査 研究の成果により体系的な技術が確立されつつあるようです 一方, パイプラインは線構造物であり, その全体の腐食