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花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 1 外郎売いろりの台詞せりふ拙者せ し 親方おやか申もす お立ち合あいの内ちに御存知ごぞんじのお方かもござりまし が お江戸えどを発 二十里上方にじ りかみが 相州そし 小田原おだわら 一色町い しきまちをお過すぎなされ 青物町あおものち を登のぼりへお出いででなさるれば 欄干橋らんかんばし虎屋らや藤右衛門えもん 只今だいま剃髪いつ致いし 円斎えんさい名乗なのりまする 元朝がんち より大晦日おおつごもりまで 御手おに入いれまする此この薬くすり 昔むかし ちんの国くにの唐人じん 外郎いろい人ひ わが朝ち へ来きり 帝みかどへ参内さんだいの折おりから 此この薬くすりを深ふかく籠こめ置おき 用もちゆる時き一粒いちり ずつ 冠かぶりの隙間すきまより取り出いだす 依よ 其その名なを帝みかどより 透頂香ちんこ賜まわる 即すなわち文字もじに 頂いだき 透すく 香におい書かき ちんこ申もす 只今だいま此この薬くすり 殊この外ほか世上せじ に弘ひろまり 方々ほぼに似看板にせかんばんを出いだし イヤ小田原おだわらの 灰俵いだわらの さん俵だわらの 炭俵すみだわらの 色々いろいろに申もせども 平仮名ひらがなを以も いろ致いし 親方おやか円斎えんさいばかり 若もししやお立合ちあいの内ちに 熱海あみか塔の沢さわへ湯治じにお出いでなさるるか 又ま伊勢御参宮いせごさんぐの折おりから 必かならず門違かどちがいなされまするな お登のぼりりならば右みぎの方か このページの原典 花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 巻之一 初編二烏亭焉馬著 松高斎春亭画天保 12 年 1841 年刊 ( 国立国会図書館所蔵 )

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 2 お下くだりなれば左側ひだりがわ 八方 ぽが八棟やつむね 表おもが三みつ棟むね玉堂造ぎ くどづくり 破風ふに菊きくに桐きりの薹の御紋ごもんを御赦免ごし めんあ 系図けいず正だしき薬くすりで御座ござる イヤ最前さいぜんより家名かめいの自慢じまんばかり申もしも 御存知ごぞんじない方かに 正身し じんの胡椒こし の丸呑まるのみ 白川夜船しらかわよふね さらば一粒いちり 食べべかけ その気味合きみあいをお目めに懸かけけまし 先まず此この薬くすりを かよに一粒いちり 舌しの上えへ乗のせまし 腹内ふくないへ納おさめまする イヤどもいえぬ 胃肝いかん肺肝いかんが健すこやかに成な 薫風くんぷ咽のんどより来きり 口中こち 微涼びり を生し ずるが如ごし 魚お 鳥り 木きの子こ 麺類めんるいの食くい合あわせ 其その外ほか 万病まんび 速効そ こあるこ神かみの如ごし 扨さ 此この薬くすり 第一だいいちの奇妙きみ に 舌しの廻まわるこが銭独楽ぜにごまが裸足だしで逃にげる ひ 舌しが廻まわり出だす 矢やも楯も堪まらぬじ そり そり そり そり そり 廻まわ 来きわ 廻まわ 来くるわ アワヤ咽のど サタラナ舌しに カ牙げサ歯音しおん ハマの二ふつ唇くちびるの軽重き じ 開口かいご爽さわやかに あかさな まやらわ おこその ほもよろを 一い ぺぎへぎに へぎほし じかみ 盆ぼん豆まめ 盆米ぼんごめ 盆ぼん牛蒡ごぼ 摘蓼つみで 摘豆つみまめ 摘山椒つみざんし 書写山し し ざんの社僧正し そじ 小米こごめの生なま噛がみ 小米こごめの生なま噛がみ こん小米こごめのこ生なま噛がみ 繻子し す緋繻子ひじ す 繻子し す繻珍し ちん 親おやも嘉兵衛かへえ 子こも嘉兵衛かへえ 親おや嘉兵衛かへえ子こ嘉兵衛かへえ 子こ嘉兵衛かへえ親おや嘉兵衛かへえ 古栗ふるぐりの木きの古切口ふるきりくち 雨合羽あまが ぱが番合羽ばんが ぱか 貴様きさまの脚絆き んも皮かわ脚絆ぎ ん 我われ等らが脚絆き んも皮かわ脚絆ぎ ん 尻皮し かわ袴ばかまのし 綻ぽころびを 三針みり針長りながにち 縫ぬ 縫ぬち ぶん出だせ 河原撫子かわらなでしこ野石竹のぜきちく 野良のら如来に らい野良のら如来に らい 三み野良のら如来に らいに六む野良のら如来に らい 一寸い すんのお小仏こぼけにお蹴躓けつまずき るな 細溝ほそみぞに泥鰌どじ に ろり 京き の生なま鱈だら 奈良なら 生なま学まな鰹がつお ち 四し五貫目ごかんめ お茶ち 立ち 茶ち 立だち ち 立ち 茶ち 立だち 青竹あおだけ茶ち 筅せんでお茶ち ち 立ち 来くるわ来くるわ何なにが来くる 高野こやの山やまのおこけら小僧こぞ 狸ぬき百疋ひ ぴき 箸百膳しひ くぜん 天目百杯んもくひ ぱい 棒八百本ぼ ぴ ぽん 武具ぶぐ馬具ばぐ 武具ぶぐ馬具ばぐ 三み武具ぶぐ馬具ばぐ 合あわせ武具ぶぐ馬具ばぐ六む武具ぶぐ馬具ばぐ 菊きく栗くり 菊きく栗くり 三み菊きく栗くり 合あわせ菊きく栗くり六む菊きく栗くり 麦むぎごみ 麦むぎごみ 三み麦むぎごみ 合あわせ麦むぎごみ六む麦むぎごみ あの長押なげしの長薙刀ながなぎな 誰が長薙刀ながなぎなぞ 向むこの胡麻殻ごまがら荏えの胡麻殻ごまがらか真ま胡麻殻ごまがらか あれこそ

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 3 本ほんの真ま胡麻殻ごまがら がらぴいがらぴい風車かざぐるま おき がれ小法師こぼし おき がれ小法師こぼし 昨夜ゆんべもこぼし 又まこぼし あぷぽぽ あぷぽぽ ちりから ちりから つ ぽ ぽぽ 干蛸ひだこ落おちら煮に食くを 煮にも焼やいも食くわれぬ物もの 五徳ごく 鉄弓 き 金熊かなくま童子どじに 石いし熊くま 石持いしもち 虎ら熊くま 虎鱚らぎす 中なかにも東寺じの羅生門らし もんに 茨いばら木き童子どじが で栗ぐり五合ごんご 掴つかんでおむし る かの頼光らいこの膝元ひざも去さらず 鮒ふな 金柑きんかん 椎茸しいけ 定さだめ後段ごだんな 蕎麦切そばきり 素麺そめん 饂飩どんか 愚鈍ぐどんな こ新発知しんぼち 小棚こだなのこ下しに 小桶こおけにこ味噌みそがこ有あるぞ こ杓子じ くしこ持も こ掬すくこ寄よこせ お 合点がんだ 心得こころえんぼの 川崎かわさき 神奈川かながわ 程 谷ほどがや 戸塚つか走し 行ゆけば 灸やいを擦すりりむく 三里さんりばかりか 藤沢ふじさわ 平塚ひらつか 大磯おおいそがしや 小磯こいその宿し くを七ななつ起おきし 早天そんそそ 相州小田原そし おだわら透頂香ちんこ 隠かくれござらぬ 貴賤群衆きせんぐんじ の花なのお江戸えどの花ないろ あれ あの花なを見み お心こころをお和やわらぎ い 産子ぶこ 這子ほこに至いるまで 此このいろの御評判ごひ ばん 御存知ごぞんじない申もされまいまいつぶり 角つの出だせ 棒ぼ出だせ ぼぼ眉まゆに 臼す 杵きね 擂鉢すりばち ばちばち ぐ らぐ らぐ ら がらがらがら 羽目めを外ずし今日こんにち御出おいでの何いずれも様さまに 上あげねば成ならぬ 売らねば成ならぬ 息いきせい引ひ ぱり 東方世界ほせかいの薬くすりの元締もじめ 薬師やくし如来に らいも上覧し らんあれ ホホ敬やま いろいら し りませぬか

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 4 一ペ ジ本文六行目で 用ゆる時 表記し部分 用ゆる時々 する資料も見られます 花江都歌舞妓 以下 で使われいる文字 で 踊り字の 々 同の字点 が使われいるよにも見えますが これ 変体仮名で に使われる文字の一つの の形でないか思われます で 何々 の場合 ま伊勢 など 八 の文字が多用されいますが この君今 のよに 盤 の字を崩し に似字も使われおり ま 一文字の繰り返しに 々 同の字点 でなく 人々これを のよに 〻 二の字点 が多いよにも見受けられるめ ここで 用ゆる時 一ペ ジ本文六行目の 冠 の読み かんむり する資料が見られますが ここで かぶり 冠 かがふり かがほり こぶり かむり かぶり などもされ で かふりのすきま 振り仮名が かふり いるこから ここで かぶり かむり する資料も見られます 一ペ ジ本文七行目の 透頂香 で 頂透香 表記されいますが 正しい表記の 透頂香 頂透香 著者烏亭いさんの誤記でないか思われます 説明の部分 透レ頂香 書く 返り点での読み方捉え 頂いだき 透すく 香におい のままが 烏亭さんの誤記思われる書き方からすれば 透すく 頂いだき 香におい も考えられます 二ペ ジ三行目で 薹の御紋ごもんを御赦免ごし めんあ し部分 御赦免あり する資料も見られますが で い 有 に振り仮名が振られいません 従 有 を あり 取るか あ 取るかの違いか思われますが 全九巻からなる で 有あり 振り仮名を振 部分一か所のみで 有あ し部分 富三郎いろいろ有あ 御高免ごこめん有あ など少なくも四か所ありまし その四か所の中でも 御赦免ごし めん有 に近い表現し 御高免ごこめん有あ があるこどから ここで 御赦免ごし めんあ しものです なお 外郎売 の初演からおよそ百年後に書かれ 十返舎一九の 続膝栗毛 に登場する いろり の口上で あり います 参考 - このペ ジでの表記についの解釈など -

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 5 二ペ ジ十行目で サタラナ舌しに し部分 舌ぜつ する資料も見られますが で振り仮名が振られいません これ 五音ごいん 言われる発声を表すもので 前後に 咽のど 牙げ 歯し 唇くちびる 出来ます での 五音 の読み方音訓が混在しいるめ 舌 し ぜつ のどちらも考えられますが ここで に出来るだけ近い年代の文献を引くこし 明治十六年 1883 年刊の 市川団十郞お家狂言 により 舌し なお サタラナ など 片仮名し部分 で平仮名ですが分かりやすくするめに表記を変えまし 二ペ ジ十二行目の 軽重 の読み けいち する資料が見られ 現代でそのよに読むのが一般的ですが き じ や けいじ も読まれ で くちびるのきやじ 振り仮名が振られいるこから ここで き じ 二ペ ジ十三行目で 一 ぺぎへぎにへぎほしじかみ し部分 一つへぎへぎにへぎほし などする資料も見られますが での表記 で 変体仮名で ぺ し使われる などの字に近い文字が見られるめ ここで 一 ぺぎ で 数を数える場合 一 二 など ツ の字が使われ ここも 一つ 捉えるこも出来ますが 続く字が ぺ いるめ 一 ぺぎ しものです で他に 一 い い ぱい なども見られます ちなみに 者 い字を崩し 読む変体仮名で へぎ の次ぎに来る 尓 い字を崩し に 読む変体仮名です ジ二行目から三行目にかけの 菊栗 麦ごみ のくだり で 菊栗菊栗三菊栗合せ麦ごみ六麦ごみ い 菊栗の 六 麦ごみの 三 が欠落し形 いるめ 菊栗菊栗六菊栗 や 麦ごみ麦ごみ三麦ごみ などを加え形を整えまし ジ七行目で ちりからちりからつ ぽ し部分 す ぽ する資料も見られますが で い い字 徒 い字を崩し つ 読む変体仮名であるめ ここで つ ぽ ちなみに 多 い字を崩し 読む変体仮名で 保 い字を崩し ほ 読む変体仮名です

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 6 ジ九行目で 干蛸ひだこ し部分 一丁蛸い ち だこ する資料も見られますが で います これを 一丁 読めないこもありませんが 欄干橋虎屋藤右衛門らんかんばしらやえもん の下りに出くる 欄干らんかん の 干 の字が 書かれい 同じ表記であるこから ここで 干蛸ひだこ 平成二十一年 2009 年の 国立劇場十一月歌舞伎公演での台本で タ ポタ ポ干蛸落ちら煮食を い 十二代目團十郎 タ ポタ ポい ひだこおちらにくを 演じまし ジ十三行目で んぼ し部分 で ん んぽ しいます これ 田圃 のこ思われ ここで 現代の一般的な読み方の んぼ 本 の字を崩し ほ 読む変体仮名に半濁点を付け文字です ジ目 後ろから六行目の お心をお和らぎ し部分 おやわらぎや おやわらぎやい などする資料も見られますが での表記 で 也 い字を崩し や 読む変体仮名 川 州 い字を崩し つ 読む変体仮名です 従 ここで お和やわらぎ 表記しまし 発音し お和やわらぎ あ が近いか思われます この音 続く 産子 這子 にも掛かる おぎ あ い赤ん坊の泣き声も捉えるこも出来るか思います 平成二十一年十一月公演での十二代目團十郎 お心をお和らぎやアい 演じまし 産子這子 の 這子 で旧仮名で ふこ しいるめ ほこ 這子人形ほこにんぎ い言葉があります 知識 ジ目 後ろから五行目の 産子ぶこ這子ほこに至いるまで のくだりを 平成二十一年十一月公演での團十郎 産子ぶこ這子こに玉子まごまで 三つの言葉を 子 で韻を踏み演じまし これ 昭和五十五年 1980 年歌舞伎座初演の野口達二台本によるものです

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 7 資料一 花江都歌舞妓 なのえどかぶきねんだいき 巻之一烏亭焉馬 ( いえんば ) 著天保十二年 1841 年刊 国立国会図書館所蔵 享保三年 1718 年に関する記述享保三戊年正月二日より森田座 若緑勢曾我 わかみどりいきおいそが 團十郎いろ売のせりふ 自作に弁舌瀧のごし 大評判大入り これを始めし 代々 家の芸る

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 8 資料二 若緑勢曾我 ( わかみどりいきおいそが ) いろ売りのせりふ 1 / 3 * このページの 本文七行目の 頂透香 ( ちんこ ) 透頂香 の誤記でないか思われるめ 文字起こしで 透頂香

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 9 資料二 若緑勢曾我 ( わかみどりいきおいそが ) いろ売りのせりふ 2 / 3 * このページの 後ろから十行目の 菊栗 むぎごみ の下り 菊栗の 六 麦ごみの 三 が欠落しいるのでないか思われるめ 文字起こしで 菊栗菊栗六菊栗 麦ごみ麦ごみ三麦ごみ などを加え形を整えまし * このページの 後ろから九行目の 長長刀 ( なかなき ) 長長刀 ( ながなぎな ) でないか思われるめ 文字起こしで ながなぎな

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 10 資料二 若緑勢曾我 ( わかみどりいきおいそが ) いろ売りのせりふ 3 / 3

花江都歌舞妓 ( なのえどかぶきねんだいき ) 文化 8 年 1811 年刊 / 天保 12 年 1841 年再版より * 花江都歌舞妓 を基に 新字新仮名遣いし 適宜 原典にない漢字や振り仮名を補っり句読点を入れりしいます みんなの知識ちょっ便利帳 http://www.benricho.org 11 資料三 東海道名所圖會 寛政 9 年 1797 年 ( 国立国会図書館所蔵 ) 豊国画 歌舞伎十八番外郎 虎屋東吉九世市川団十郎 嘉永 5 年 1852 年 ( 国立国会図書館所蔵 ) 名取春仙画 似顔畫集 - 創作版畫 [2] 第十五 外郎賣市川三升大正 14 年 - 昭和 2 年 1925-1927 年 ( 国立国会図書館所蔵 ) 外郎売 いろり 享保三年 1718 年正月二日から 二代目市川團十郎によ 江戸 森田座で上演され 若緑勢曾我 わかみどりいきおいそが の中の台詞 團十郎の自作で 弁舌瀧のごし 大評判で大入り であ され これ以降 成田屋の家の代々の芸り 歌舞伎十八番 かぶきじ ちばん の演目の一つ 歌舞伎十八番 成田屋の家の芸の集大成で 七代目團十郎が 市川流 の 歌舞妓狂言組十八番 の制定を公表しの 天保三年 1832 年三月の市村座