技術内容説明書 技術の名称塗装作業に熟練が不要な高耐久性路面用遮熱塗料 カラーファルトクールネオ ( 水性 2 液型ウレタン樹脂系 ) 申請者大同塗料株式会社 ( 大阪市淀川区三津屋北 2 丁目 14 番 18 号 ) 連絡先 ほりべ営業堀辺 ひろかつ大功 TEL: 06-6308-6281 FAX: 06-6308-3512 E-mail: horibe01@daido-toryo.co.jp 1 技術 製品について 技術 製品の概要 カラーファルトクールネオは 塗装作業が比較的簡単で臭気が弱く 耐摩耗性 防汚性に優れたアスファルト路面用の遮熱塗料です 高い耐久性を謳う路面用遮熱塗料は 臭気が強く塗装作業に高い熟練を要するものが多いため 工場敷地や駐車場など一般的な土地で使用されることは多くありません 塗装作業に熟練が不要で臭気が弱いカラーファルトクールネオは このような場合にも遮熱塗装を行っていただける選択肢を提供します 路面の表面温度を低減し アスファルトの蓄熱を抑制します 耐候性に優れ 変色や退色しにくく長期にわたり景観を維持します タイヤ跡などの汚れが付きにくく 美観と遮熱効果が長期間持続します この製品の主な塗装対象は 次のとおりです 工場構内や駐車場など 車両が頻繁に通行するアスファルト路面 遊歩道や自転車道 公園 レジャー施設など カラフルな仕上がりを希望される路面 原理一般塗料で使用される着色用顔料にはカーボンや有機系顔料がありますが それらは熱を吸収しやすく 遮熱効果が得られません カラーファルトクールネオは熱の吸収が少ない無機顔料を中心に採用しています また 顔料の耐候性は種類により異なり 日光により早期に退色する顔料もあります そのような耐候性の劣る顔料を使用しますと グレーがグリーンになるように 元の色相から大きく変色することがあります 遮熱性に優れる顔料の中から 高い耐候性を有する顔料を選択することで 変色がない耐候性に優れた塗膜を形成します アスファルト路面用の塗装材は 一般的に速硬化タイプのアクリル樹脂 あるいは水性アクリル樹脂 が使用されています 速硬化タイプのアクリル樹脂は 耐摩耗性に優れ耐久性がある反面 臭気が強いという欠点があります また 水性アクリル樹脂は塗膜が軟らかく 耐摩耗性が劣り車両が頻繁に通行する舗装面では耐久性が劣ります カラーファルトクールネオは耐候性と耐摩耗性に優れた水性 2 液型ウレタン樹脂 を使用することで アクリル樹脂やエポキシ樹脂それぞれの欠点を軽減し 耐久性が向上し さらに汚れが付着しにくく 遮熱性能と美観を長期間維持します
: 塗装材に使用される樹脂とその特長 樹脂系統 長所 短所 速硬化タイプアクリル樹脂 水性アクリル樹脂 水性 2 液型ウレタン樹脂 硬化が早い膜が厚く摩耗しにくい低臭 耐候性に優れる汚れが付着しにくい 臭気が強い作業に熟練が必要塗膜が弱い高温で軟化しやすい エポキシ樹脂に比べ塗膜が軟らかい 特徴 長所 優れた遮熱性能により 炎天下でのアスファルト路面の軟化を抑制し 舗装の傷みを軽減します 遮熱性に加え 耐候性 耐摩耗性など耐久性に優れています 車輌が通行してもタイヤによる汚れが付着しにくく 美観と遮熱性が長期間持続します 水性タイプで臭気が少なく 住宅街などでも塗装可能です 2 環境性能に関する事項 環境保全 改善効果 1. 遮熱性 (1) 日射反射率日射反射率と明度 (L* 値 ) を大阪府立産業技術総合研究所で 島津製作所製分光光度計 UV3150 で 弊社が測定した結果は表 1のとおりです カラーファルトクールネオ 表 1 日射反射率測定結果 日射反射率 (%) 明度全波長域近紫外および近赤外域 (L* 値 ) 2 3 可視光域 灰色 59.9 52.0 32.4 78.0 白 95.5 87.5 85.4 90.5 A 社品遮熱塗料灰色 60.0 43.2 29.4 62.2 灰色 60.0 45.6 29.9 66.5 B 社品遮熱塗料白 96.0 83.7 83.2 84.3 C 社品遮熱塗料白 95.5 86.7 85.1 87.1 : 全波長域の波長範囲は 300nm~2500nm です 2: 近紫外および可視光域の波長範囲は 360nm~780nm です 3: 近赤外域の波長範囲は 780nm~2500nm です JISなどに路面用塗料の遮熱性能基準はありませんが カラーファルトクールネオの日射 4 反射率をJIS K 5675( 屋根用高日射反射率塗料 ) の基準で評価した場合 規定品質を満たしており また 他社品と同等あるいは効果が高い結果を得ました 4:JIS K 5675( 屋根用高日射反射率塗料 ) の規定品質 明度 L* 値が 40.0<L*<80.0 では 近赤外波長域日射反射率 L* 値 明度 L* 値が L* 80.0 では 近赤外波長域日射反射率 80.0
(2) 路面温度上昇低減効果確認試験滋賀県の弊社工場構内のアスファルト路面に塗装し 塗装 1 週間後の快晴日に非接触型温度計 (Thermo-Hunter PT3-LF オプテックス ( 株 ) 製 ) を用いて表面温度の経時変化を測定しました 比較対象塗料として A 社の遮熱塗料グレーも同様に塗装し 測定を行いました 結果を表 2 に示します 表 2 路面温度測定結果 ( 自社測定 ) 時刻 10 時 12 時 14 時 気温 湿度 36 55% 37 53% 35 55% 未塗装アスファルト路面 55 63 65 カラーファルトクールネオグレー N-6 塗装面 41 (-14 ) 5 48 (-15 ) 5 51 (-14 ) 5 A 社遮熱塗料グレー N-6 塗装面 42 (-13 ) 5 50 (-13 ) 5 53 (-12 ) 5 5:( ) 内は未塗装アスファルト路面との温度差 塗装日 : 平成 19 年 7 月 5 日 測定日 : 平成 19 年 7 月 12 日 測定結果より カラーファルトクールネオグレー N-6 塗装面の表面温度は 未塗装アスファルト路面と比較して 12 時の時点で最高 15 の温度低減効果があることが確認できました また 他社同等品に比べ 同等以上の効果が得られることも確認できました 2. 耐摩耗性 JIS K 5600-5-9 耐摩耗性 ( 摩耗輪法 ) に準拠し 摩耗輪 CS-17 を使用し 荷重 4.9N 回転数 100 回転で摩耗試験を行い A 社遮熱塗料との耐摩耗性を比較しました結果を表 3に示します ( 社内試験 ) 表 3 耐摩耗性試験結果カラーファルトクールネオ A 社遮熱塗料摩耗減量 (mg) 2.9 18.5 カラーファルトクールネオは摩耗による塗膜の減少量が少なく 車両等が通行しても塗膜の擦り減りが少なく 遮熱効果を長く維持できます 塗膜が摩耗すると路面が露出し 表面温度は高くなります
3. 促進耐候性弊社で JIS K 5600-7-7 促進耐候性および促進耐光性 ( キセノンランプ法 ) に基づき 促進耐候性試験 (2000 時間照射 色はグレー N-6) を行い 色の変色を比較しました グレー N-6 は一般的に 4 種類の顔料を混合して色を出しますが 遮熱性能だけを考慮して顔料を選択し それぞれの顔料の耐候性が異なった場合 左図上段のように 経年で色相が大きく変化することがあります 促進耐候性 2000 時間経過後の色差 6 =12.11 カラーファルトクールネオは遮熱性能だけでなく 使用する顔料の耐候性も考慮した設計のため 経年での色相がほとんど変化しません 試験前 2000 時間試験後 促進耐候性 2000 時間経過後の色差 6 =0.74 6: 色差は元の色との差を数値で表したもので 大きいほど色の変化が大きいことを意味します 4. 耐汚染性 (1) 実車走行による汚染性確認試験 平滑仕上げで比較 頻繁にフォークリフトが通行する弊社工場内の床面にカラーファルトクールネオと従来の遮熱塗料である同じ色の水性 1 液アクリル樹脂系遮熱塗料を塗装し 1 ヶ月間使用後にタイヤ痕汚れのつき方を比較しました 水性アクリル樹脂系塗料では車輌が発進 停止する際に 床面との摩擦により黒いタイヤ痕が付着します 水性 2 液型ウレタン樹脂系塗料であるカラーファルトクールネオは 緻密で強靭な塗膜を形成し傷やタイヤ痕が付きにくいため 遮熱性を損ないません カラーファルトクールネオ 水性アクリル樹脂系塗料 (2) 試験機による汚染性確認試験 防滑仕上げで比較 一定間隔を自動で往復し 試験材料を塗面に擦りつけるラビングテスター 7 ( 大平理化工業 ( 株 ) 製 ) にゴムタイヤ片を取り付け 2kg の荷重をかけて 200 回往復させた時の汚れを比較しました
7: ラビングテスター塗膜等の硬化度 傷つき具合や汚れ具合を人力によらず 個人差なく一定の評価を出すことを目的に使用される試験機です ヘッド部分と試料部分の 2 箇所を色々な材料に交換することで 様々な耐汚染性試験 耐擦り傷性試験 こすり試験等が可能です 水性アクリル樹脂系塗料 カラーファルトクールネオ ラビングテスター 従来のアクリル樹脂系塗料ではゴムタイヤ片による黒い汚れの筋ができますが カラーファルトクールネオは ほとんど汚れが付きません 以上より カラーファルトクールネオは 耐汚染性に優れ 長期にわたり美観と遮熱性を維持します 副次的な環境影響 塗装作業後に 空き缶 ローラーやハケ等の塗装器具等が廃棄物として排出されることが考えられます この塗料は 鉛やクロム等の有害物質を含まないため 自然乾燥後は普通の産業廃棄物として処理できます 水性塗料ですが 塗装作業後 ごくわずかな有機溶剤が大気中に排出されます ただし 溶剤の溶解度が比較的低いため 人の健康に与える影響は比較的小さいと考えられます 塗装面は 太陽光をよく反射するため 角度によっては眩しく感じられる場合があります 塗装後路面が滑りやすくなる場合があります その場合は硅砂を混合して塗装することにより 防滑性が付与できます
3 経済性 初期経費と運転 維持管理費 設計単価 ( 材料費と施工費を含む ):3,500 円 / m2 (2013 年 11 月現在 ) 使用色 : 標準色 6 色 ( 淡彩色の調色可 ) 塗装面 : アスファルト路面 コンクリート モルタル面 塗膜厚 : 約 0.5 mm 3 回塗り ( プライマー 1 回を含む ) 規模 :300 m2以上施工時 車輌の通行状況によりますが 5~7 年で塗り替えを推奨します 従来技術との経済性比較製品名カラーファルトクールネオ A 社遮熱塗料 B 社遮熱塗料 C 社遮熱塗料 設計単価 3,500 円 / m2 3,600 円 / m2 3,300 円 / m2 3,800 円 / m2 4 その他 技術 製品に対する法規制及び関係法令 労働安全衛生法 GHSに基づく表示 ( 化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS) に基づく化学品の危険有害性情報の伝達 ) 硬化剤としてPRTR 法対象物質ヘキサメチレンジイソシアネートを1% 含有しています 品質管理体制等 ISO9001( 滋賀工場 ) 販売実績 販売実績年度売上高販売数量 (kg) 平成 23 年度 521 万円 1,800