おらず 園芸作物の生産量の増加につれ 収穫期の値崩れや農産物の廃棄 低い保存 加工技術 資金へのアクセス等の課題に直面しており 収入が期待通りに伸びていない また 農家への技術支援を担う中央や地方の行政機関の職員および普及員数は少なく 十分に機能していない状況にあり 小規模農家の根本的な課題解決には

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欠であり 運輸交通分野を中心に膨大なインフラ投資が必要になると見込まれる これらのインフラ整備にあたっては 案件ごとにマスタープランから工事まで段階を踏んで検討 建設が進められるが 対象地の地形などを確認 把握するため 検討段階に応じた精度の地図が必要となる 現在 同国では基本的な測地基準点網が整備

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ログラムの審査に産業界からも参画を得ることで 大学がエンジニア予備軍である学部学生に対し社会のニーズに即した教育を実践できるよう 促進する役割を果たしている かかる状況の下 エンジニアの量的拡大が質を伴う形で実現されるよう インドネシア政府は我が国に対し LAM-PS としての インドネシアエンジニ

(CANACINTRA) 等と連携を図りつつ設置する案を有しており 国家中小企業コンサルタント養成 認定制度を具現化するためにいかにして事業を進めていくかが課題となっている (2) 相手国政府国家政策上の位置づけカルデロン大統領は 近代的かつ競争力のある経済の強化及び雇用の創出 を 治安 貧困撲滅

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護ディプロマ課程を 3 年制看護ディプロマ課程に変更したのに加え ディプロマ課程看護師の現任研修により学士が取得できる 2 年制ポスト ベーシック課程とは別に大学教育として看護学士課程制度 (4 年制 ) を導入することを定めた 学術的に高度な 4 年制看護学士課程の卒業生は輩出されたばかりであるが

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2008年6月XX日

援 GHGインベントリ策定にかかる技術移転等 気候変動対策を推し進めるための包括的な支援を実施した 同プロジェクトの成果として 国家気候変動緩和行動計画 (RAN-GRK) に基づき州気候変動緩和行動計画 (RAD-GRK) の策定が進められるとともに 国家気候変動適応行動計画 (RAN-API)

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無償資金協力 案件概要書 2017 年 8 月 29 日 1. 基本情報 (1) 国名 : カンボジア王国 (2) プロジェクトサイト / 対象地域名 : シハヌークビル特別市 プノンペン (3) 案件名 : 港湾近代化のための電子情報処理システム整備計画 (The Project for Port

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令 (2006 年 5 号 ) では 2025 年までの国家エネルギー政策の数値目標を設定し エネルギー供給量に対する新 再生可能エネルギーの目標値を 17%( うち地熱エネルギーは 5 %) に定めた また 2010 年の Vision 25/25 において 新 再生可能エネルギーの目標値を 25

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責任ある農業投資 - 原則の策定に向けた背景と概要 年 7 月 外務省

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と衝突して沈没し 147 人が死亡 2014 年 8 月にはパドマ川で約 250 人を乗せたフェリーが荒天のため転覆し 110 人が死亡等の大事故が発生している また 同国は 雨季には大型サイクロンが度々ベンガル湾から来襲し 沿岸部で遭難事故が多発するなど 地理的に自然災害の影響を受けやすい地域であ

(2) 当該国における地震防災分野の開発政策と本事業の位置づけネパール政府は 2009 年に災害リスク国家管理戦略を制定し 対象災害の一つとして地震を上げている 地震防災分野は 2009 年に設置された National Platform for Disaster Risk Reduction にお

08 年 月 日 バングラデシュ 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 サモア ジェンダー分析 平和構築 国家地理空間情報整備支援プロジェクト詳細計画策定調査 ( 地理情報標準策定計画 / GIS 計画 ) 09 年 月中旬 ~ 現地派遣渡航留意 09/0/9 ~ 09/0/08 09 年 月下旬

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02 IT 導入のメリットと手順 第 1 章で見てきたように IT 技術は進展していますが ノウハウのある人材の不足やコスト負担など IT 導入に向けたハードルは依然として高く IT 導入はなかなか進んでいないようです 2016 年版中小企業白書では IT 投資の効果を分析していますので 第 2 章

区間を頻度の低い通勤線が非電化路線として運行しているのみであり 十分な公共交通手段が確保されていないため 同エリアと周辺に住む住民はバスや自動車等により通勤しているが 道路の混雑により 通勤に大きな支障が出ている 加えて 南北鉄道事業南線 ( 通勤線 ) ( 以下 本事業 という ) の対象区間には

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手法 という ) を検討するものとする この場合において 唯一の手法を選択することが困難であるときは 複数の手法を選択できるものとする なお 本規程の対象とする PPP/PFI 手法は次に掲げるものとする イ民間事業者が公共施設等の運営等を担う手法ロ民間事業者が公共施設等の設計 建設又は製造及び運営

により 都市の魅力や付加価値の向上を図り もって持続可能なグローバル都 市形成に寄与することを目的とする活動を 総合的 戦略的に展開すること とする (2) シティマネジメントの目標とする姿中野駅周辺や西武新宿線沿線のまちづくりという将来に向けた大規模プロジェクトの推進 並びに産業振興 都市観光 地

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社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

を余儀なくされている発表されている このような状況下 当国 NGO カサ アリアンサは 1988 年の設立以来 メキシコ市において路上生活を営む子供の保護 心身のケア 家族との再会支援 社会的自立に向けた教育支援に取り組んできた JICA は 2000 年 12 月から 3 年間 カサ アリアンサを

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平成18年度標準調査票

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)


Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

5 この施策に係る事務事業 ( 重要度 貢献度順 ) 番号 事務事業名 魅力個店づくり整備促進事業 歳出決算額 ( 千円 ) 施策への関連性 目的に対する指標 年度目標値 年度実績値 推移 区内の既存個店や出店希望 22 者が行う 魅力的な店舗づ 809 くりを支援することで 魅 力個店の集積を図る

渚泊推進対策 平成 29 年 3 月に閣議決定された 観光立国推進基本計画 において 農山漁村滞在型旅行をビジネスとして実施できる体制を持った地域を平成 32 年度までに 500 地域創出することにより 農泊 の推進による農山漁村の所得向上を実現する と位置づけられたところ 農泊 を持続的なビジネス

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新JICAにおける事前評価(技協・無償)について

ローカルコスト負担 65,633 千円その他 相手国側 : カウンターパート配置 44 名土地 施設提供プロジェクト予算 ( 人件費含む ) 3,220,000 千ドン ( ) その他 2. 評価調査団の概要 調査者 ( 担当分野 : 氏名職位 ) 1. 総括 : 星野和久国際協力機

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おける成果としては まず組織運営 ( 交番活動 ) 面としてシフト制による 24 時間勤務 受け持ち区域 体制がつくられ 住民の要望を聞くとともに防犯上のアドバイスなどをする 巡回連絡 が行われるようになり そうした現場レベルでの市民警察活動の拠点として BKPM( 警察 市民パートナーシップ セン

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介護保険制度改正の全体図 2 総合事業のあり方の検討における基本的な考え方本市における総合事業のあり方を検討するに当たりましては 現在 予防給付として介護保険サービスを受けている対象者の状況や 本市におけるボランティア NPO 等の社会資源の状況などを踏まえるとともに 以下の事項に留意しながら検討を

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国 アメリカ ロシアに次いで世界第 4 位の電力消費国となっている (2014 年 ) 国内の電力供給に関しては 1,114,408GWh の需要に対して供給量は 1,090,851GWh と 2.1% の不足 供給能力もピーク時 153,366MW の需要に対して 148,463MW と 3.2%

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スライド 1

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

目次 1. 変化した日韓の位置づけ 年代に拡大した対日貿易赤字 日韓経済関係の新たな動き 拡大均衡に向けて EPA FTA TPP EPA TPP 2 RIM 212 Vol.12 No.44

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公示番号 : 国名 : タンザニア担当部署 : 農村開発部農業 農村開発第二グループ第五チーム案件名 : コメ振興支援計画プロジェクト終了時評価調査 ( 評価分析 ) 有償勘定技術支援 1. 担当業務 格付等 (1) 担当業務 : 評価分析 (2) 格付 :3 号 ~4 号 (3) 業務

Transcription:

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おらず 園芸作物の生産量の増加につれ 収穫期の値崩れや農産物の廃棄 低い保存 加工技術 資金へのアクセス等の課題に直面しており 収入が期待通りに伸びていない また 農家への技術支援を担う中央や地方の行政機関の職員および普及員数は少なく 十分に機能していない状況にあり 小規模農家の根本的な課題解決には至っていない このため 小規模農家の市場ニーズ対応能力と組織力の強化 市場動向を踏まえた栽培時期の調整 生産から流通に至るステークホルダー間の連携強化 普及員の能力強化等の対策が必要となっている (2) 当該国における農業セクターの開発政策と本事業の位置づけセネガルでは 国家計画である セネガル新興計画 (PSE: Plan Sénégal Emergent)( 2014 年 ~2018 年 ) の基本方針 経済と成長の構造改革 において 農業の改革は経済構造改革の先駆的な役割を担うもの として農業分野の重要性が示されており 園芸作物の生産 輸出強化や コメ等穀類の生産量増収による貿易収支赤字の是正が具体的な戦略として挙げられている PSE の下 農業 農村施設省は セネガル農業推進加速プログラム (PRACAS) (2014 年 ~2017 年 ) を作成し 国内生産の優位性及び雇用創出と収入向上への貢献からコメ ラッカセイ 園芸作物を特定作物として選定し 生産性を向上する方針としている 本事業は 小規模園芸農家および農民組織としての市場対応力を強化し 農家の収入向上を図ることで 上記政策の推進に貢献するものである (3) 農業セクターに対する我が国及び JICA の援助方針と実績我が国の対セネガル国別援助方針 (2014 年 4 月改定 ) において 農業 農村開発セクターは 重点分野の 持続的経済成長の後押し の中で 第一次産業の振興 の柱として位置づけられる さらに 協力プログラムである 農村経済向上支援プログラム の中で 総合的な視点に立った地域開発により 生産基盤の持続性確保 農村住民の収入向上 収入源の多様化 経済活動の活性化 環境劣化の抑制を図り 農村経済全体の向上と気候変動リスクに対するレジリエンス強化を目指すとされている また 2013 年 6 月に開催された第 5 回アフリカ開発会議 (TICAD V) においても 農業 食糧 栄養安全保障分野の中で 自給自足から儲かる農業への転換 (SHEP アプローチ 7 ) のアフリカ広域展開を打ち出しており 現在 JICA は SHEP 推進を担うアフリカ各国の行政官育成のための本邦および第三国研修等の取り組みを行っている セネガルからも 本事業の実施機関となる農業省園芸局および普及機関の職員 5 名が既に研修に参加し 先方政府が予算を確保して SHEP アプローチを取り入れたパイロット活動を主体的に進めている セネガルの農業セクターについては これまで稲作分野を中心とした支援を実施してきたが 同国の園芸分野のニーズと開発政策の方針 更に我が国の方針を踏まえ 小規模園芸農家の収入向上を目指した本事業を実施する (4) 他の援助機関の対応園芸分野に対する協力は 世界銀行 アメリカ イタリアによるインフラ支援に加え 7 Smallholder Horticulture Empowerment and Promotion の略 ビジネスとしての農業の実践により小規模農家の収入向上を目指しながら 農家の やる気 を引き出して自助努力によるさらなる成長を促進するアプローチ 日本とケニアの技術協力によって生まれた 2

カナダはニャイ地区を中心としたプログラムを支援している 主要な協力プログラムは以下のとおり なお カナダ支援プログラムとは地域的な重複があるものの 技術支援を行う本事業とは活動の重複はない ニャイ地区整備と経済開発プログラム (PADEN): カナダ協力庁支援 2011 年から 2016 年にかけてのニャイ地区生産者の組織化および収入改善を目的とした事業 ( マイクロクレジット型支援 ) 農産物市場開発プログラム (PDMAS): 世界銀行支援 小規模家族農業の国内外市場へのアクセス改善を通じた農業セクター近代化と貧困削減への貢献 ( インフラ支援 ) 農業投資国家プログラム支援プログラム (PAPSEN): イタリア支援 ( インフラ支援 ) ミレニアムチャレンジアカウント (MCA): 米国支援 インフラへの投資 持続的なアグロビジネス開発プロジェクト (PDIDAS): 世界銀行支援 2016 年中に開始 セネガル北部の家族農業を牽引するアグロビジネスの促進 農業バリューチェーン支援プロジェクト (PAFA):IFAD 支援 小規模穀物生産農家を対象に 民間との契約促進等を通した収入向上支援 農業研究のための国家基金 (FNRAA): 世界銀行支援の西アフリカ農業生産性プログラム (WAAPP) の枠組みで設置されたバスケットファンド 既に確立した技術普及を実施するプロジェクトを支援 3. 事業概要 (1) 事業目的 ( 協力プログラムにおける位置づけを含む ) 本事業は セネガルのニャイ地区において 小規模園芸農家の市場対応力を向上させる市場志向型農業アプローチを実践することにより 対象園芸農家の収益向上を図り もってニャイ地区全体の小規模農家の収益増に寄与するものである (2) プロジェクトサイト / 対象地域名ニャイ地区 (3) 本事業の受益者 ( ターゲットグループ ): 直接受益者 : ニャイ地区の 72 対象農家グル プ ( 約 2160 世帯 ) 8 ビジネスリンケージ強化フォーラム対象のニャイ地区 48 農家グループ ( 約 192 世帯 ) 9 農業 農村施設省園芸局職員 ( 約 10 名 ) 農村農業指導国家機構 (ANCAR) ニャイ支局技官 (3 名 ) および普及員 (19 名 ) 8 本事業で直接研修を受ける対象として毎年新規に 6 グループ (1,2 年目は 4 グループ ) を選定予定 1 回目の農家研修を実施した普及員は翌年から独自に研修を実施し プロジェクトから技術サポートや教材支援等を行う これら対象グループもプロジェクト関係者によりモニタリングが行われ 指標のベース人数に含まれるため直接受益者として試算 1 つの農家グループには大小様々な規模の農家メンバー約 50 名が属しているが 研修参加者は小規模のみを選定し平均 30 世帯とする 9 ビジネスリンケージ強化フォーラムの対象農家グループを毎年 12 グループとし (1 年目と 2 年目のみ試験的に 6 グループを選定 ) 各グループから代表 4 名がフォーラムに参加予定 フォーラム参加者を直接受益者とし 参加グループのメンバー ( 各グループ 50 名として試算 ) を間接受益者として試算 3

農業 農村施設省州局 県局職員間接受益者 : ビジネスリンケージ強化フォーラム対象のニャイ地区 48 農家グループ ( 約 2400 世帯 ) 最終受益者 : ニャイ地区の約 300 農家グループ ( 約 9,000 世帯 ) 10 (4) 事業スケジュール ( 協力期間 ): 2017 年 3 月 ~2022 年 2 月を予定 ( 計 60 カ月 ) (5) 総事業費 ( 日本側 ): 6.3 億円 (6) 相手国側実施機関 : 責任機関 : 農業 農村施設省調整局 : 農業 農村施設省園芸局実施機関 : 園芸局との協力に基づき農村農業指導国家機構 (ANCAR) *ANCAR は 44% をセネガル政府が出資する外郭団体で 農業 農村施設省の監督下に置かれている コミューンレベルに普及員が配置されており 本事業の現場レベルのカウンターパートとなる (7) 投入 ( インプット ) 1) 日本側 1 専門家派遣 ( 約 115M/M): チーフアドバイザー 市場志向型農業 普及 研修 園芸栽培他 2 研修員受入 ( 本邦 第三国 ):SHEP アプローチ他 3 機材供与 : プロジェクト活動に必要な資機材の供与 ( 車輛 事務機器等 ) 4 その他プロジェクトに必要な現地活動費 2) セネガル側 1 カウンターパート人員の配置園芸局 : 案件活動進捗監督 合同調整委員会 (JCC) メンバーへの技術 財務報告書の提出 知見 経験の蓄積と普及 他国との経験共有 ANCAR と協力して現場活動に参加 園芸局長 ( プロジェクトダイレクター ) フォーカルポイント (1 名 ) その他関係職員 ANCAR 本局 :ANCAR が実施する現場活動の知見 経験の蓄積と普及 フォーカルポイント (1 名 ) ANCAR ニャイ支局 : 現場活動実施責任局 ANCAR ニャイ支局長 ( プロジェクトマネージャー ) 10 ニャイ地区には のべ 654 グループの存在が確認されているが 重複カウントがある他 約半数は実質的にグループとして活動を実施していないため 約半数の 300 グループを想定 また各グループには小規模農家のカテゴリに含まれない農家も属すため 各グループ 30 世帯で試算 4

ANCAR ニャイ支局技官 ANCAR ニャイ支局普及員 (19 名 ) 対象州の農業省局 2 プロジェクト用執務室の提供 ( 園芸局および ANCAR ニャイ支局 ) 3 利用可能なデータ 情報 地図 4 ローカルコスト負担 ( 人件費や地方出張旅費 光熱費等 ) (8) 環境社会配慮 貧困削減 社会開発 1) 環境に対する影響 / 用地取得 住民移転 1 カテゴリ分類 (A,B,C を記載 ) C 2 カテゴリ分類の根拠 : 本事業では施設整備は計画されておらず 付加される環境影響は見込まれない 国際協力機構環境社会配慮ガイドライン (2010 年 4 月公布 ) 上 環境への望ましくない影響は最小限であると判断される 2) ジェンダー平等推進 平和構築 貧困削減ニャイ地区の実働農家組合員の多くは男性であるが 家族労働の世帯が大半を占め 栽培や販売において女性の役割が大変大きいことから 本事業では 対象農家グループにおける男女の関係性の実情を十分把握するとともに 各活動においてジェンダーを考慮することが重要である その際 対象地域のジェンダー規範 ( 家庭内の役割 営農上の意思決定権 研修への夫婦共同参加の可能性など ) に十分配慮し ジェンダー平等推進のための取り組み方を工夫していくことが求められる 3) その他特になし (9) 関連する援助活動 1) 我が国の援助活動 2.(3) のとおり SHEP アプローチ広域化の枠組みで実施している研修に 本事業の実施機関となる農業省園芸局および普及機関の職員 5 名が研修に参加し SHEP アプローチを取り入れたパイロット活動を主体的に進めており 先方政府が活動予算を確保するなどオーナーシップも高い 本事業は 先方政府が実施したパイロット活動の成果と蓄積された経験を十分に生かし ニャイ地区における効果的アプローチの確立を目指す 現行の開発計画調査型技術協力 環境と経済が調和した村落開発推進計画 ( エコビレッジ推進計画 ) (2012 年 ~2016 年 ) では パイロット活動としてニャイ地区農業振興を実施しており 生産者組合を通したクレジットの供与により同地区の野菜生産者組織に対してソーラーポンプ 点滴灌漑設備を導入支援している 本事業でも 当該野菜生産者組織との密な連携が想定されており 受益者選定やネットワークの活用についての教訓を活用予定である また 技プロ 天水稲作持続性生産支援プロジェクト (2013 年 ~2018 年 ) では 本事業の実施協力機関である ANCAR の普及員と協力して普及体制を構築することを目指しており ANCAR との連携や普及方法について同プロジェクトの経験を活用する 5

2) 他ドナー等の援助活動農業セクターの他ドナーによる協力の内 本事業との連携の可能性のある支援は カナダ協力庁支援の ニャイ地区整備と経済開発プログラム (PADEN) ( 2011 年 ~2016 年 ) である ニャイ地区生産者の組織化を支援すると同時に グループによる経済活動に対し プロポーザル方式で資金供与を行っている 生産者の収入改善を目的としている点で本事業との整合性があり 他方技術面での能力向上を目指す本事業との大幅な重複はないと考えられるが 資金支援と技術支援を融合させることで収入向上の点で相乗効果を出すべく 関係者間で緊密なコーディネーションが必要である 4. 協力の枠組み (1) 協力概要 1) 上位目標 : ニャイ地区において 園芸による収益が向上した小規模園芸農家が増加する 指標 ニャイ地区の xx% の小規模園芸農家において 園芸による収益が増加する ( 指標数値はベースライン調査実施後に設定予定 ) 2) プロジェクト目標 : 市場志向型農業アプローチ (SHEP アプローチ ) の実践を通して ニャイ地区対象農家の園芸農業による収益が向上する 指標 ニャイ地区の対象農家において 園芸農業による収益が xx% 向上する 3) 成果成果 1: パイロット活動を通じて ニャイ地区の現状に適した市場志向型農業アプローチが構築される 成果 2: 市場志向型農業アプローチの普及に携わる人材の能力が強化される 成果 3: 対象地区の農家により 市場志向型農業アプローチに基づいた生産 販売活動が実践される 成果 4: ニャイ地区の農民組織のネットワーキング能力が強化される 5. 前提条件 外部条件 (1) 前提条件なし (2) 外部条件 ( リスクコントロール ) 旱魃 洪水 病害虫蔓延等の大規模な自然災害が発生しない 農産物の市場価格が大幅に下落しない 責任機関 実施機関の体制に大幅な変更がない 6. 評価結果 6

本事業は セネガル国の開発政策 開発ニーズ 日本の援助政策と十分に合致しており また計画の適切性が認められることから 実施の意義は高い 7. 過去の類似案件の教訓と本事業への活用 (1) 類似案件の評価結果 セネガル川流域灌漑稲作生産性向上プロジェクト (2009 年 ~2014 年 ) の終了時評価では バリューチェーンの生産から流通に関わる公的部門や民間部門が抱える広範囲な問題解決に取り組んだことが バリューチェーン強化に有効であったと評価された 具体的には生産 加工 流通改善に向けた官 民 農の能力強化が重要であり 構造調整以降 政府機関の役割が縮小する中で 民間セクターの活用や農家の一層の参加を含めた効率的な参加型普及のあり方の検討が教訓として得られた (2) 本事業への教訓本事業において 現場普及や農家研修を実質的に担う実施協力機関 ANCAR が 農業 農村施設省の外郭組織であり 普及活動についてはドナー プロジェクトの委託を受けて散発的に実施している現状にあることから 一時的な活動効果に留まらないよう 農民組織や農家と一体になって積極的にプロジェクトに参加する場を作る等 効率的 効果的な能力強化および継続的な実施 普及体制の検討が求められる なお SHEP アプローチの広域展開で得られた原則である SHEP の 4 つのステップ 11 を順に踏むことを意識し 農家が自律的に活動に参加するよう留意する また カウンターパートをはじめセネガル側関係者の自律性にも留意し プロジェクトの初期段階で 本事業の目指す方向性 基本方針 各活動の位置づけと各機関の役割を共有するなど 意欲的な参加を促す環境作りが求められる 8. 今後の評価計画 (1) 今後の評価に用いる主な指標 4.(1) のとおり (2) 今後の評価計画事業開始 3 カ月 : ベースライン調査事業終了 3 年度 : 事後評価 以上 11 4 つのステップとは 1 対象農家の選定と目的の共有 2 農家の気づきの機会創出 農家による計画策定支援 4 技 術 < 解決策 > の提供 7