会長メッセージ「『日本学術会議第23期3年目(平成28年10月~平成29年9月)の活動に関する評価』における指摘事項に対する考え方について」

Similar documents
社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E >

PowerPoint プレゼンテーション

資料4-4 新しい時代の教育や地方創生の実現に向けた学校と地域の連携・協働の在り方と今後の推進方策について 審議のまとめ(参考資料)

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

3 4

2018 年度事業計画書 Ⅰ 基本方針 1. 健康関連分野を取り巻く環境と直近の動向 健康医療分野が政府の日本再興戦略の重点分野に位置づけられ 健康 医療戦略が策定されるなど 予防や健康管理 生活支援サービスの充実 医療 介護技術の進化などにより 成長分野としてマーケットは大きく拡大することが期待さ

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

二さらに現代社会においては 音楽堂等は 人々の共感と参加を得ることにより 新しい広場 として 地域コミュニティの創造と再生を通じて 地域の発展を支える機能も期待されている また 音楽堂等は 国際化が進む中では 国際文化交流の円滑化を図り 国際社会の発展に寄与する 世界への窓 にもなることが望まれる

PowerPoint プレゼンテーション

資料 3 時代の要請を受けた 消費者保護の課題について 平成 31 年 4 月 経済産業省商務 サービスグループ 商取引監督課

施策吊

学生確保の見通し及び申請者としての取組状況

寄附文化の醸成に係る施策の実施状況 ( 平成 26 年度に講じた施策 ) 別紙 1 < 法律 制度改正 > 総務省 ふるさと納税の制度拡充 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 学校法人等への個人寄附に係る税額控除の要件の緩和 ( 平成 27 年 4 月 1 日施行 ) 特例控除の上限の引上げ

PowerPoint プレゼンテーション

5. 資料 ( 答申 ) の入手方法 (1) 札幌市中学校英語教育研究会ホームページに掲載 (2) 会員に簡易メールに添付して配布 平成 23 年 11 月 28 日 ( 月 ) 全会員に送信 6. スケジュール 平成 23

< F2D91DE E8BE08B8B D8790CF97A78BE082CC>

加賀市農業委員会農地等の利用の最適化の推進に関する指針 平成 30 年 1 月 26 日制定 加賀市農業委員会 第 1 指針の目的 農業委員会等に関する法律 ( 昭和 26 年法律第 88 号 以下 法 という ) の一部改正法が平成 28 年 4 月 1 日に施行され 農業委員会においては 農地等

賛同企業が提供するフィールドのイメージ 資料 年 11 月 20 日 大阪ガス株式会社 ハグミュージアム ( 外観 内観 ) 株式会社タブチ 本社工場 ( 外観 内観 ) 日立造船株式会社 先端情報技術センター ( 外観 内観 ) 以上

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

挨拶 本協会会長 稲野和利

(3) その他 全日制高校進学率の向上を図るため 更に公私で全体として進学率が向上するよう工夫する そのための基本的な考え方として 定員協議における公私の役割 を次のとおり確認する 公立 の役割: 生徒一人ひとりの希望と適性に応じて 多様な選択ができるよう 幅広い進路先としての役割を担い 県民ニーズ

日本学術会議会則

下の図は 平成 25 年 8 月 28 日の社会保障審議会介護保険部会資料であるが 平成 27 年度以降 在宅医療連携拠点事業は 介護保険法の中での恒久的な制度として位置づけられる計画である 在宅医療 介護の連携推進についてのイメージでは 介護の中心的機関である地域包括支援センターと医療サイドから医

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

教育支援資料 ~ 障害のある子供の就学手続と早期からの一貫した支援の充実 ~ 平成 25 年 10 月 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

2020 年に向けた社会全体の ICT 化推進に関する懇談会 の開催について 1 平成 26 年より 総務大臣の懇談会として 2020 年に向けた社会全体の ICT 化推進に関する懇談会 を開催 アクションプランに基づき 2020 年以降のレガシーを視野に入れつつ ICT 化に向けた施策を進めてきた

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

預金を確保しつつ 資金調達手段も確保する 収益性を示す指標として 営業利益率を採用し 営業利益率の目安となる数値を公表する 株主の皆様への還元については 持続的な成長による配当可能利益の増加により株主還元を増大することを基本とする 具体的な株主還元方針は 持続的な成長と企業価値向上を実現するための投

( 別紙 1) 事業計画書 1. 申請者の概要 1 伝統的工芸品の品目名例 : 織 焼 ( 複数の場合は全て記載 ) 2 都 道 府 県 上記品目の指定地域 3 申 請 者 名例 : 組合 株式会社 4 代表者の役職 氏名 5 担当者の役職 氏名 6 住 所 7 電 話 番 号 8 ファックス番号

ANNUAL REPORT

経営理念 宇宙と空を活かし 安全で豊かな社会を実現します 私たちは 先導的な技術開発を行い 幅広い英知と共に生み出した成果を 人類社会に展開します 宇宙航空研究開発を通して社会への新たな価値提供のために JAXAは 2003年10月の発足以来 宇宙航空分野の基礎研究から開発 利用に至るまで一貫して行

資料3

Microsoft Word 自主行動計画.docx

今年度も本部 支部との連携を強化し 高等学校を中心とした講師派遣を行い 自立した消費者の育成 支援を図ります また 設立当初より取り組んできた学校における消費者教育用テキストの作成及び講座で会得したスキルを活かし 児童 生徒 学生のみならず 教師や保護者等に対する消費者啓発も行っていく予定です (2

Microsoft PowerPoint _tech_siryo4.pptx

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

平成 30 年度救急業務のあり方に関する検討会報告書の概要 消防庁救急企画室 はじめに 消防庁救急企画室では 高齢化を背景として救急需要が増大する中 救急車の適正利用の推進や救急業務の円滑な実施と質の向上等 救急業務を安定的かつ持続的に提供し救命率の向上を図ることを目的に 平成 30 年度救急業務の

第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

女性が働きやすい制度等への見直しについて


持続可能な自治会活動に向けた男女共同参画の推進について(概要)


資料 目 次 事業方針 実施計画 みんなで福祉の風土を広げよう 住民 関係機関 団体のネットワークで身近な福祉活動を進めよう 一人ひとりの安全で安心な暮らしを守ろう Ⅳ 推進基盤の強化 主な年間行事等

火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

る 連合会は 管理運用の方針の策定及び変更等退職等年金給付調整積立金の管理及び運用に係る専門的事項を検討する場合には 資金運用委員会の専門的知見を活用する 3 退職等年金給付調整積立金の管理及び運用におけるリスク管理連合会は 連合会を除く管理運用機関 ( 組合 市町村連合会及び連合会をいう 以下同じ

人間科学部専攻科目 スポーツ行政学 の一部において オリンピックに関する講義を行った 我が国の体育 スポーツ行政の仕組みとスポーツ振興施策について スポーツ基本法 や スポーツ基本計画 等をもとに理解を深めるとともに 国民のスポーツ実施状況やスポーツ施設の現状等についてスポーツ行政の在り方について理

5. 政治経済学部 ( 政治行政学科 経済経営学科 ) (1) 学部学科の特色政治経済学部は 政治 経済の各分野を広く俯瞰し 各分野における豊かな専門的知識 理論に裏打ちされた実学的 実践的視点を育成する ことを教育の目標としており 政治 経済の各分野を広く見渡す視点 そして 実践につながる知識理論

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

三鷹市指定管理者制度導入の基本方針(仮称)検討試案

TSRマネジメントレポート2014表紙

「標準的な研修プログラム《

地方消費者行政強化作戦 への対応どこに住んでいても質の高い相談 救済を受けられる地域体制を整備し 消費者の安全 安心を確保するため 平成 29 年度までに 地方消費者行政強化作戦 の完全達成を目指す < 政策目標 1> 相談体制の空白地域の解消 全ての市町村に消費生活相談窓口が設置されており 目標を

PowerPoint プレゼンテーション

PowerPoint プレゼンテーション


「北朝鮮による日本人拉致問題に関する特別世論調査」の概要

(Microsoft Word - Weekly\223\307\216\322\203A\203\223\203P\201[\203g\222\262\215\270\214\213\211\312\203\214\203|\201[\203g_No.1_Ver.3.0.doc)

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

P00041

フィッシング対策協議会(じ)

規制 制度改革に関する閣議決定事項に係るフォローアップ調査の結果 ( 抜粋 ) 規制 制度改革に係る追加方針 ( 抜粋 ) 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 番号 規制 制度改革に係る追加方針 ( 平成 23 年 7 月 22 日閣議決定 ) における決定内容 規制 制度改革事項 規制 制度

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

<835A E E A B83678F578C768C8B89CA E786C7378>

1

の理解と参加を促進し, 開発協力を支える社会的基盤をより一層広げ, 強化するために, NGO/ 市民社会 (CSO) との連携が推進されるべきことが謳われたところである 以上の経緯と背景の下に NGO と ODA の連携に関する中期計画 ~ 協働のための 5 年間の方向性 ~ が策定されることとなっ

制度見直しに関する主な方向性については 次の通り考えるものとする 1. ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し 個人情報及びプライバシーの保護に配慮したパーソナルデータの利用 流通を促進するため 個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータに関し 個人情報及びプラ

H18-7月号

基本的な考え方 羽田空港の機能強化は 首都圏だけでなく日本全体にとって不可欠であり 機能強化の必要性やその実現方策等について 関係自治体の協力も得ながら できる限り多くの方々に知って頂くように努める 基本的な考え方 1 羽田空港の機能強化の必要性やその実現方策等について できる限り多くの方々に知って

本日のテーマ

資料2 紙類の判断の基準等の設定に係る検討経緯について

2


11

「諸外国の大学教授職の資格制度に関する実態調査」1

「オリンピック・レガシーに関する意識調査」(第2回)結果概要

Microsoft Word - 02_福利厚生会260910

沖縄でのバス自動運転実証実験の実施について

審査の品質管理において取り組むべき事項 ( 平成 27 年度 ) 平成 27 年 4 月 28 日 特許庁 特許 Ⅰ. 質の高い審査を実現するための方針 手続 体制の整備 審査の質を向上させるためには 審査体制の充実が欠かせません そこで 審査の効率性を考慮しつつ 主要国と遜色のない審査実施体制の確

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

CSR(企業の社会的責任)に関するアンケート調査結果《概要版》

スライド 1

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

PowerPoint プレゼンテーション

国家公務員の大幅な削減(常勤約3 7千人 非常勤約6 9千人)社会保険庁の抜本改革について 社会保険庁の問題点 国民の視点に 立っていない サービス 予算執行 の無駄 非効率な 業務運営 保険料徴収 の不徹底 内部統制 ( ガバナンス ) の不足 個人情報の不適 切な取り扱い 業務改革緊急対応プログ

第14回税制調査会 総務省説明資料(・地方税務手続の電子化等2・個人住民税2)

<4D F736F F F696E74202D C5817A8E9197BF332D8B9F8B8B91A B8CDD8AB B83685D>

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

スライド 1

01-02_入稿_0415

九州大学学術情報リポジトリ Kyushu University Institutional Repository 九州大学百年史第 7 巻 : 部局史編 Ⅳ 九州大学百年史編集委員会 出版情報 : 九州大学百年史. 7, 2017

地域生活サポートセンターいこな

平成 29 年度ジャパンリンクセンター運営実績 平成 30 年 3 月 31 日 ジャパンリンクセンター運営委員会 1) 1. 委員会 分科会 メンバーミーティングの主宰 招集 事務 (1) ジャパンリンクセンター運営委員会ジャパンリンクセンター運営委員会を四半期に 1 回 合計 4 回開催した ま

バイオ燃料

Transcription:

会員 連携会員の皆様への会長メッセージ 日本学術会議第 23 期 3 年目 ( 平成 28 年 10 月 ~ 平成 29 年 9 月 ) の活動に関する評価 における指摘事項に対する考え方について 平成 30 年 6 月 19 日 会長山極壽一 本年 4 月に開催された日本学術会議第 176 回総会では 外部評価有識者の尾池和夫座長から 日本学術会議第 23 期 3 年目 ( 平成 28 年 10 月 ~ 平成 29 年 9 月 ) における日本学術会議の活動状況に関する評価 ( 以下 外部評価 という ) について 御報告いただきました 外部評価は 尾池座長を始めとする6 名の外部評価有識者の皆様に 日本学術会議の活動状況について評価していただき その内容をまとめたものです 外部評価では 日本学術会議の活動をより一層積極的かつ効果的なものにしていくため 活動面 組織面について 重要な御指摘をいただきました 御指摘のあった点について 私の考えと 第 24 期の活動に向けた決意をお伝えします 1. 国際学術団体への貢献 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 国際学術団体に対しては 現在 分担金の支払いとして行っている経済的貢献も重要だが 人的な貢献をもっと進めるべきではないか また 今後の国際的活動に当たっては SDGs が一つの重要なキーワードになると考えられるので 引き続き SDGs を念頭に置きつつ活動してほしい 指摘事項についての考え方 国際学術団体への人的な貢献は 世界における学術の進歩への寄与はもとより 国際社会における日本のプレゼンス向上という観点からも重要です 実際には 国際学術団体の要職に就いている会員や連携会員も複数おられるものの あまりそのことを日本学術会議として社会に対してアピールできていません 国際学術団体への貢献をアピールすることは 日本学術会議の世界的意義について国民の皆様にお示しすることになると思いますので 今後は積極的にアピールをしていきたいと思います また 現在 SDGs に関連して世界が大きく変容しつつあります これまで ICSU( 国際科学会議 ) は SDGs の実現にも貢献するフューチャー アースの取組において中心的役割を担ってきましたが 今年中に ISSC( 国際社会科学評議会 ) と合併することが予定されています この合併後の新組織である ISC( 国際学術会議 ) は 社会科学まで含めた科学者の世界的な団体となります 日本学術会議は 昭和 24 年の設立時から人文社会科学を含めたすべての研究分野を網羅しており この ICSU と ISSC との合併は いわば世界が日本の基

準に合わせることとなります この ISC において 幅広い分野の英知を結集して社会に対し提言してきたこれまでの日本学術会議の経験を活かし また フューチャー アースや 日本が事務局機能を担っているアジア学術会議などの枠組みも活用しつつ 世界における日本学術会議のプレゼンスを向上させたいと考えております 2. 地域 分野 世代を超えた取組 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 国際的取組だけでなく 今後は国内においても 地域 分野 世代を超えた活動が必要になると思われる スーパーコンピュータの発達につれて活用が進んでいるビッグデータの利活用の在り方について 研究の方向性や統計学の人材育成を含めた今後の展望を示すことや あらゆる分野が関わる取組 ( 例えば ジオパークや文化遺産等も含めた大地の仕組みを学ぶ取組 ) に対する支援などを行ってはどうか 指摘事項についての考え方 社会や国民生活のあらゆる場面に科学が浸透し また 人類が地球規模の課題に直面する中で これからは地域や分野 世代を超えた科学者コミュニティの活動がますます重要になってきます これまでも 分野を超えた科学者コミュニティの意見を集約して適切な提言等を発出するため 日本学術会議は 社会的に特に重要な課題について課題別委員会を設置し 審議を行ってきました 第 24 期においても 取り組むべき分野横断的かつ社会的に重要な課題を精査し 順次 審議を行うための委員会等の設置を進めているところです 他方 このような地域 分野 世代を超えた活動については 第 24 期からの新たな取組も進めています 1つは 地方学術会議の開催です 日本学術会議では 地方における学術振興を促進することで日本全体における学術の発展を図るため 平成 30 年度から地方学術会議を開催することにしました 現在は具体的な企画案を精査しているところですが 是非 各地域が抱える分野横断的な課題をとりあげ 若手からシニアまですべての世代の科学者の知識を結集して議論したいと考えています もう1つは 科学者委員会の活性化です 第 24 期では 軍事的安全保障研究やゲノム編集技術を始めとした 現代を生きる科学者としての在り方に関わる分野横断的な課題を科学者委員会で積極的に取り上げ 議論したいと考えています これらの取組を通じ 地域 分野 世代を超えた活動に積極的に取り組んでまいります 3. 未来への投資 としての学術の多様性や長期的効果 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 一見 無駄 だと思われていることが 未来への投資 となっている場合もある そこで 多様な研究の効用や 研究成果を長期的に評価する必要性について 日本学術会議で理論的 実証的に分析して提言してはどうか

指摘事項についての考え方 将来の日本における学術の発展のためには 短期的に成果がわかる研究だけではなく 長期的観点から見て初めてその価値がわかる研究も非常に重要であることは 言を俟たないと思います しかし そのような真の価値がわかるまでに時間がかかる研究は 残念ながら現在の評価尺度ではなかなか高く評価されにくい状況にあります 第 24 期では このような研究評価に関する問題に対応するため 科学者委員会の下に学術体制分科会を設置しました 現在 総合科学技術 イノベーション会議を始め 政府においては大学改革を巡る様々な議論が行われていますが 日本学術会議はこの研究評価に関する問題について 我が国の科学者コミュニティの代表として しっかりと意見を述べていきたいと思います 4. 活動の評価方法 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 日本学術会議の活動については 数量的側面だけでなく 内容 質まで踏み込んで把握し 評価することが必要である これからの活動に当たっては 日本学術会議の活動としてふさわしいかどうか 内容面からもさらに検討していただきたい また 数量的な側面については 増えた ( 増やした ) ということも重要だが 減った ( 減らした ) ということも適正な活動を行うために重要である 例えば 日本学術会議協力学術研究団体について言えば 一旦承認された団体のフォローアップが出来ているか 機能しなくなった団体の承認を取り消しているか といった精査を行う仕組みが必要ではないか 指摘事項についての考え方 日本学術会議は我が国の科学者の内外に対する代表機関であり そのような代表機関として名実ともにふさわしい活動をする必要があります 第 24 期では すべての分野における第一線の研究者が集結する日本学術会議として対応することがふさわしい課題 すなわち 社会的に重要度が高い課題や 科学者コミュニティの知見が社会から強く求められている課題を継続的に精査しており 順次 審議のための委員会等を設置しているところです さらに 科学と社会委員会の下にはメディア懇談分科会や政府 産業界連携分科会を設置しており これらの場を利用した関係者との意見交換を通じて 日本学術会議が求められている役割等についても議論しているところです また 数量的な側面についても 適宜活動の見直しを行っております 例えば 日本学術会議協力学術研究団体に関しては 毎年すべての協力学術研究団体に対して実態調査を実施し 協力学術研究団体としてふさわしい実態を維持しているかどうかの確認をしております これからも 日本学術会議が社会から求められている役割を意識しつつ 我が国の科学者の代表機関としてふさわしい活動を心掛けてまいります

5. 提言等のフォローアップ 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 日本学術会議が広報に力を入れて取り組んでいることを評価したい 一方で 提言等を発出した際の国民への浸透具合の確認や 各方面からの反応の分析等 フォローアップについてはまだ改善の余地があるのではないか 指摘事項についての考え方 日本学術会議の提言は 委員会等が実現を望む意見等を発表するものであり 声明は 日本学術会議がその目的を遂行するために特に必要と考えられる事項について意見等を発表するものです これら提言や声明は ただ単に発出すれば終わりというものではなく 読んでほしい相手にきちんとその内容が理解されてこそ意味があるものです 日本学術会議では 提言や声明を発出した委員会等は 当該提言等の社会的インパクト等をとりまとめたインパクト レポートを作成して幹事会に報告することとされており 報告されたインパクト レポートは 日本学術会議のウェブサイトにおいて公表されています 第 24 期では 過去の提言等が社会や政府に与えたインパクトを検証することこそが 今後の効果的な提言等の発出に向けた取組の第一段階であると考え 過去の提言等のフォローアップを重要な課題の一つとして捉えています そのため 第 23 期の重要テーマについては 第 24 期に改めてフォローアップを実施することにしました まずは 軍事的安全保障研究に関する声明 について 今年の2 月にアンケート調査を実施し その集計結果を4 月に公表したところです 今後も よりよい提言等のフォローアップについて 積極的に検討してまいります 6. 地方での活動 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 日本学術会議の PR という面を意識して情報発信を行ってはどうか 例えば スマートフォンやSNSの普及を念頭に置いたホームページのリニューアルや 活動の際のロゴ表示を工夫するなどの方法が考えられる 指摘事項についての考え方 日本学術会議は 科学に関する重要事項を審議して提言等を発出し 地区会議等の取組を通じて科学者間の連携を促進し さらには日本の学術界を代表して国際学術団体に参画するなど 日本の学術界にとって意義のある活動をこれまで行ってきました 反面 これらの取組については 必ずしも国民に浸透しているとは言えない状況にあります この状況を打破すべく 第 24 期では情報発信に力を入れています まずはパンフレットを一新し メッセージ性を持った よりわかりやすい内容にしました また 英語版のパンフレットは 広報委員会の下に設置した国際発信推進分科会において検討し 国際発信としてふさわしい内容にしました ウェブサイトもさらにわかりやすい構成とするべく 広報委員会の下のホームページ編集分科会において 鋭意検討を進めています さらに

提言や声明の国際発信を速やかに行うべく 外国語への翻訳にも力を入れていこうと考えています また 今後は 日本学術会議とメディアとの連携をより強化してまいります 科学と社会委員会の下にメディア懇談分科会を設置しており 日本学術会議からのより効果的な情報発信について 定期的にマスコミ関係者と意見交換を行っています さらに 第 24 期からは定例記者会見を開催し 私を始めとする日本学術会議の役員が マスコミに対して直接情報発信しております 日本学術会議の認知度 特に地方における日本学術会議の認知度を上げることは 日本学術会議がその活動に関する国民への説明責任を果たす上で重要なことです 日本学術会議は 平成 30 年度から地方学術会議を開催いたします この地方学術会議の機を活用し 日本学術会議の活動を地域の皆様に知っていただきたいと考えています 上記の活動を通じ 日本学術会議の情報発信力を飛躍的に高めることで 国民の皆様に日本学術会議をより理解していただけるよう努めてまいります 7. 提言等発出のタイミング 指摘事項( 外部評価から抜粋 ) 日本学術会議は 第 23 期 3 年目に 安全保障研究に関する声明やゲノム編集に関する提言など 社会的反響が非常に大きい重要な提言等を発出した 一方で 大学教育の分野別質保証など 他の重要なテーマに関する提言等も多く発出したが それらの重要な提言が社会的反響の大きい提言等の陰に隠れてしまい あまり目立たなかったのではないか 指摘事項についての考え方 上でも述べたとおり 提言等は 読んでほしい相手にきちんとその内容が理解されてこそ意味があるものです その観点からすると 重要な提言等が読んでほしい相手にきちんと伝わっていないのではないかという御指摘は 非常に重いものであると捉えています 第 24 期は 関係者との対話の推進を活動方針として掲げています 科学と社会委員会の下に設置した政府 産業界連携分科会を活用して 政府や産業界の関係者に提言をきちんと理解していただけるように努めたいと思います また 同じく科学と社会委員会の下に設置したメディア懇談分科会を活用して メディアを通じた情報発信を強化し 国民の方々にきちんと提言等が届くような環境を整備してまいります 第 24 期は 活動を開始してまだ半年ですが この間 様々なテーマに関する委員会等が設置されています 会員 連携会員の皆様には ぜひ日本学術会議の活動に積極的に参画いただき 日本学術会議の発展 ひいては日本の学術の発展に力を尽くしていただきたいと考えています 私も 外部評価でいただいた有識者の御意見を踏まえ 科学者コミュニティ内 あるいは科学者コミュニティ外の関係者との対話を促進させることによって 日本学術会議の更なる発展に貢献する所存です