本日の構成 平成 27 年度我が国経済社会の情報化 サービス化に係る基盤整備 ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査 についてのご紹介 Blockchain に関する私見 Blockchainを巡る動向調査後の動きについて Bitcoinへの幻想とBlockchainに対する過

Similar documents
Microsoft PowerPoint - 02-ブロックチェーン報告書概要.pptx

blockchain_CryptoSeminar

本日の議論 第一回で提示した論点の概要 論点 1 自律分散協調戦略のアーキテクチャー論点 2 我が国企業 産業にとっての戦略への落とし込み論点 3 先を見据えた技術戦略論点 4ブロックチェーンの利活用論点 5オープンなデータ流通構造に向けた環境整備論点 6 分散化時代のセキュリティ 人材育成論点 7

本 日 の 議 論 第 一 回 で 提 示 した 論 点 の 概 要 論 点 1 自 律 分 散 協 調 戦 略 のアーキテクチャー 論 点 2 我 が 国 企 業 産 業 にとっての 戦 略 への 落 とし 込 み 論 点 3 先 を 見 据 えた 技 術 戦 略 論 点 4ブロックチェーンの 利

ロ ブロックチェーンブロックチェーンは 取引記録に関し 取引データの認証システムと取引データの改ざんが困難な形で記憶され 利用者に通知すると同時に 世界中に点在するパソコンにデータを複製して置き システムに参加する全員が監視し合うシステムであることから 中央の管理者が不要となり また巨大なデータ管理

発行者 なし リスク 価値変動リスク需給バランスや相場状況の変化により 急激に変動する可能性があるほか 価値がゼロになる可能性がある サイバー攻撃のリスク国内の大手交換所がハッキングの攻撃を受けて 不正にビットコインを盗み取られた事例がある 香港の取引所で大量のビットコインが不正に出金された事例があ

取扱い仮想通貨の概要 仮想通貨の名称 Bitcoin 仮想通貨の単位 BTC 売買市場の有無 国内外の取引所で扱われている 記録されている財産的価値 ブロックチェーン 発行方法 発行者は存在せず マイニング作業に成功したマイナー( マイニング作業をする人 ) に報酬として新規発

証券ポストトレードへのブロックチェーン技術検証と今後の課題

発行者 その他の事項 リスク 価値変動リスク需給バランスや相場状況の変化により 急激に変動する可能性があるほか 価値がゼロになる可能性がある サイバー攻撃のリスク国内の大手交換所がハッキングの攻撃を受けて 不正にビットコインを盗み取られた事例がある 香港の取引所て 大量のビットコインが不正に出金され

目次 スマートプロパティとは? NTT サービスエボリューション研究所のスマートプロパティ型コンテンツ管理への取り組み 2

講演者 プロフィール カレンシーポート株式会社 代表取締役 CEO 杉井靖典 有識者委員等 経済産業省 ブロックチェーン検討会 委員 システム評価軸整備検討委員会 委員 特許庁 特許出願技術動向調査 委員 日本銀行 決済システムフォーラム プレゼンター FinTechフォーラム プレゼンター 全国銀

ブロックチェーン技術入門 サンプルページ この本の定価 判型などは, 以下の URL からご覧いただけます. このサンプルページの内容は, 初版 1 刷発行当時のものです.

今 回 の 位 置 づけ 過 去 3 回 (+ 臨 時 1 回 )にわたり ブロックチェーン 応 用 事 例 トピックを 整 理 2014 年 10 月 2014 年 7 月 ~9 月 の 動 きを 整 理 wp-content/uplo

スマートプロパティの概要とコンテンツ管理への適用 2016 年 5 月 18 日 NTT サービスエボリューション研究所 大橋盛徳 Copyright 2016 NTT corp. All Rights Reserved.

本日のコンテンツ 当社のブロックチェーンに関する取組 ブロックチェーンの今後の展望 miyabi ソリューション活用による提言 2

<4D F736F F F696E74202D F82ED82A982DD82B889EF5F D E B839382D682CC975582A25F8CF68A4A94C52E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

ビットシャワー概要資料

スライド 1

みずほレポート06水谷氏_三校.indd

界初のDAG ベースのスマートコントラクトプラットフォームです プラットフォームは 既存の DAG ベースのプロトコルの改良版を使用することによって 従来のブロック台帳ベースのストレージインフラストラクチャとは区別されます FANTOM プラットフォームは コンセンサスを維持するためにLachesi

tokyo_t7.pdf

PowerPoint プレゼンテーション

contents 背景 peer 2 peer 経済活動 B to C 経済のpeer 2 peer 化 シェアエコノミーによるpeer 2 peer 経済 B to B 経済のpeer 2 peer 金融サービスのpeer 2 peer 化 プラットフォームに要求される機能 プラットフォームの提案

<4D F736F F D D D E B839395F18D908F912E646F6378>

ビットコインとは ビットコインは仮想通貨 1 円やドルは 国家単位で運営されている通貨ビットコインは世界中で利用できる次世代の通貨を目指したもの 2オンラインゲームや特定のWebサイトでのみ使える仮想通貨は多いビットコインは 円やドルと同じく 広範な経済活動での利用を目指したもの 3 電子マネーは

スライド 1

TaoTao 株式会社 2019 年 3 月 4 日 取り扱い仮想通貨概要書 仮想通貨の名称ビットコイン取引所内取扱最小単位 ( 現物 )0.001BTC ( レバレッジ )0.01BTC 仮想通貨ティカーコード BTC, XBT 取引所内最小刻み幅 1 円当該仮想通貨の 総発行数量 17,569,

自己紹介 国際大学 GLOCOM 研究部長 / 主幹研究員 / 准教授 GLOCOM ブロックチェーン経済研究ラボ代表 (2016.3~) 経済産業省 ブロックチェーン技術を活用したシステムの評価軸整備検討委員会 委員長 総務省情報通信審議会情報通信政策部会 IoT 政策委員会基

<4D F736F F F696E74202D E291AB8E9197BF A F82CC8A A390698DF42E707074>

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

フィンテックは資本市場と経済構造をどう変えるか 3 2 種類の意味での変化 新しいタイプのビジネスの出現 比較的短期的な革新 近年のフィンテックベンチャーの出現 より本質的な構造変化の可能性 より中長期的な革新 スマートコントラクト 仮想通貨 電子通貨 4 2 種類の意味での変化 ブロックチェーン技

【日証協】マイナンバー利活用推進小委員会提出資料

2 研究開発項目 高信頼リモート管理技術の研究開発 (1) リモート管理プロトコルポータル リモート管理マネージャプロトコル仕様書の作成 およびエージェント向けリモート管理マネージャ API 仕様書の作成を行った (2) リモート管理マネージャ技術リモート管理マネージャ通信基盤基本設計書の作成とリモ

自己紹介 日本銀行に長年勤務 ( 調査統計局 金融研究所 国際局 金融機構局など ). この間 BIS( 国際決済銀行 ) にも勤務 2006 年より現職 著書 ( テキスト系 ) 金融読本 ( 第 29 版 ) 入門企業金融論 著書 ( 決済分野 ) 決済システムのすべて ( 第 3 版 ) 証券

取組みの背景 これまでの流れ 平成 27 年 6 月 日本再興戦略 改訂 2015 の閣議決定 ( 訪日外国人からの 日本の Wi-Fi サービスは使い難い との声を受け ) 戦略市場創造プラン における新たに講ずべき具体的施策として 事業者の垣根を越えた認証手続きの簡素化 が盛り込まれる 平成 2

<4D F736F F F696E74202D F C F E816A C835B83938E9197BF976C8EAE28382E323890E096BE89EF E B93C782DD8EE682E890EA97705D>

個人情報保護法の3年ごと見直しに向けて

<4D F736F F F696E74202D C5817A E C8E8D D E B A2E >

総合行政ネットワーク-9.indd

BBc-1-introduction-and-showcase a

2017 年 7 月 31 日 ビットコイン分裂と 盛行する ICO の最新動向 京都大学公共政策大学院教授岩下直行

仮想通貨の基礎知識 基礎用語 取引所 口座 ( ウォレット ) トランザクション 承認 (confirm) ビットコイン アルトコイン ブロックチェーン ハードフォーク / ソフトフォーク マイニング ( クラウドマイニング )/ マイナー カウンターパーティーリスク ICO ホワイトペーパー

Double Chain_brochure-JP_1

第16回税制調査会 別添資料1(税務手続の電子化に向けた具体的取組(国税))

第5回 国際的動向を踏まえたオープンサイエンスの推進に関する検討会 資料1-1

データ流通 活用に関する取組状況等 ο 官民データ活用推進基本法 ( 平成 28 年 12 月公布 施行 ) や データ流通環境整備検討会 AI IoT 時代におけるデータ活用 WG 中間とりまとめ ( 平成 29 年 3 月 ) 等を受け 総務省 / 経済産業省の 情報銀行の認定に係る指針 Ver

2019 年 7 月 9 日 株式会社 bitflyer Blockchain 株式会社イード Tokyo Otaku Mode Inc. オタクコイン協会 世界中のファンがアニメニュース記事を翻訳するブロックチェーンプラットフォームの実証実験を開始 ~bitflyer Blockchain イード

ISO 企業識別コード (BIC) に関する国際規格 年 6 月 30 日 ISO/TC68 国内委員会事務局 ISO/TC 68 国内委員会事務局 1

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

2 目次 1. 実証事業の全体概要 1.1 Androidスマートフォンへの利用者証明機能ダウンロード ( 仕組み ) 1.2 iosスマートフォンへの利用者証明機能ダウンロード ( 仕組み ) 1.3 システム検証と安全性対策検討 2. 利用者証明機能ダウンロードに関するシステム検証 2.1 An

TABLE OF CONTENTS 今 回 は 2015 年 12 月 ~2016 年 3 月 の 動 きを 中 心 に 整 理 1. 金 融 機 関 の 動 き 2. 金 融 系 スタートアップの 動 き 3. サプライチェーン 分 野 4. IoT 分 野 5. ライフスタイル 分 野 6. シ

資料概要 分散型仮想通貨の構造 ウォレットの種類と保管 ブロックチェーン エコノミー 仮想通貨の位置づけ 1

ブロックチェーン適用が向いている業務エリア 複数の事業者間で情報を共有するニーズがあるか? ブロックチェーンは共有台帳 複数の事業者間で情報を共有することで 耐改ざん性を提供可能となる 共有された情報が 改ざんされていない ( 信頼できる ) ことを第三者に証明することに価値はあるか? ブロックチェ

改正犯罪収益移転防止法_パンフ.indd

参考 本資料における用語等の定義 用語 意味 内容等 モバイル NFC サービス MNO ( 移動体通信事業者 モバイル事業者 ) SP ( サービス提供事業者 ) SIM カード ( サブカードの発行先として活用想定 ) UI アプリ アプレット (Applet) MNO-TSM SP-TSM ア

PowerPoint Presentation

PowerPoint プレゼンテーション

<4D F736F F F696E74202D E718E848F9194A05F96AF8AD497988A F896988E48F4390B32E707074>

ビットコイン・ブロックチェーンの資金貸借市場への応用可能性

PowerPoint Presentation

<4D F736F F D FC8E448FEE95F1837C815B835E838B C8F92E88B608F912E646F63>

JIPs_038_nyuko_6

Cyva ~サイバ~

また 営業秘密の取扱いについても 社内の規程を整備することが秘密情報の流出時に法的保護を受ける上で重要であることから 今回の職務発明規程の整備に併せて 同期間 IN PITでは 営業秘密管理規程を含む企業の秘密情報管理体制の構築に関する情報提供や周知活動も積極的に行っていきます ( 本発表資料のお問

情報ビジネス NO10 1. 旅行業界の e ビジネス 旅行業界の e ビジネス 2012 年 12 月 11 日 後保範 目的 : 一般的な e ビジネスを学んできた 一つの業界 ( 旅行 ) を詳しく見てみる 旅行業界の e ビジネスの全体像を示す 業界の中での戦略 連携を体系的に学ぶ 旅行業界

2019/3/17 IPSJ 第 81 回全国大会 7G 年 3 月 16 日 暗号仮想通貨における匿名化技術の現状と展望 ( 株 )IT 企画才所敏明 辻井

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

三井住友銀行について 顧客基盤の活用 ( 2017 統合報告書 より ) 事業化するサービスをスケールさせることが可能な 国内金融機関トップの顧客基盤 店舗を保有しています 国内ビジネス 拠点数 506 本支店三井住友銀行 124 店舗 SMBC 日興証券 ATM 台数 ( 提携 ATM 含む )

スキル領域 職種 : ソフトウェアデベロップメント スキル領域と SWD 経済産業省, 独立行政法人情報処理推進機構

当社サービスに関するご説明 お客様は 当社サービスのご利用に際し 当社サービスについて下記の内容を十分に理 解し これらに異議なく承諾した上で お客様のご判断と責任においてお取引を行うもの とします (1) 当社が取り扱う仮想通貨が 本邦通貨又は外国通貨ではないこと (1) 当社が取り扱う仮想通貨は

ブロックチェーンで変わる 情報・産業・組織

スライド 1

1 仮想通貨の売却問保有する仮想通貨を売却 ( 日本円に換金 ) した際の所得の計算方法を教えてください ( 例 )3 月 9 日 2,000,000 円 ( 支払手数料を含む ) で4ビットコインを購入した 5 月 20 日 0.2 ビットコイン ( 支払手数料を含む ) を 110,000 円で

記 質問 1 仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者が保有する仮想通貨の会計処理に関する提案に同意しますか 同意しない場合は その理由をご記載ください 回答 1 同意致しかねます 理由については 回答 4 にまとめさせて頂きました 回答 4 をご参照いただきますようお願いいたします 質問 2 仮想通貨交

平成 29 年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備 ( 我が国のデータ産業を巡る事業環境等に関する調査研究 ) 報告書概要版 平成 30 年 3 月 経済産業省 ( 委託先 : みずほ情報総研株式会社 )

<4D F736F F F696E74202D DC58F4994C5816A82732B825195D78BAD89EF95F18D908F9182CC8A E >

ISO 9001:2015 改定セミナー (JIS Q 9001:2015 準拠 ) 第 4.2 版 株式会社 TBC ソリューションズ プログラム 年版改定の概要 年版の6 大重点ポイントと対策 年版と2008 年版の相違 年版への移行の実務

JIPs_010_nyuko

日本機械学会 生産システム部門研究発表講演会 2015 資料

分散台帳技術におけるインテグリティとプライバシー保護に関する考察

1) 3 層構造による進捗管理の仕組みを理解しているか 持続可能な開発に向けた意欲目標としての 17 のゴール より具体的な行動目標としての 169 のターゲット 達成度を計測する評価するインディケーターに基づく進捗管理 2) 目標の設定と管理 優先的に取り組む目標( マテリアリティ ) の設定のプ

構成 1 第 1 章 IoT 時代の新たな地域資源 1. IoT 時代の新たな地域資源とその可能性 2. 新たな地域資源の活用に向けた基本的視点 第 2 章地域におけるオープンデータ ビッグデータ利活用の推進 1. 地域におけるオープンデータ利活用の現状と課題 2. 地域におけるビッグデータ利活用の

Lorem ipsum dolor sit amet, consectetur adipiscing elit.

PYT & Associates Attorney at law

PowerPoint プレゼンテーション

黎明期にあるデータ流通ビジネス

Oracle Business Rules

1 1. データ 駆 動 型 社 会 の 到 来 2. 第 4 次 産 業 革 命 への 対 応 3. 先 進 的 IoT 産 業 モデルの 創 出 4. 自 律 分 散 協 調 型 のIoT 戦 略 - 自 律 分 散 協 調 を 巡 る 現 状 と 課 題 - 分 散 化 の 進 展 - 基 本

2008 年 ナカモトサトシ によるビットコインについての論文公表 2009 年 ナカモトサトシ によるプログラム実装とビットコインの運用開始 世界で最初のビットコインの所有者は ナカモトサトシ 2010 年 <2 月 > 米ドルとビットコインを交換する ザ ビットコインマーケット 取引所の開設

マッシュアップ時代の情報セキュリティの考え方とガイドラインの活用

情報漏洩対策ソリューション ESS REC のご説明

目次 1. 中小企業共通 EDI 標準の策定背景とコンセプト 1. 中小企業共通 EDI 標準策定の背景 2. 中小企業共通 EDI 標準の利用イメージ 3. 中小企業共通 EDI 標準によるデータ連携の仕組み 2. 中小企業共通 EDI 標準の構成文書とポイント 1. 中小企業共通 EDI 標準の

スライド 1

る影響を受ける可能性があります そのため お客様が保有する仮想通貨の価値やお客様の仮想通貨取引の価値が急激に変動 下落する可能性があります また 仮想通貨の価値が購入対価を下回るおそれがあること ゼロとなる可能性があることも重ねてご認識ください 詳しくは 当社ウェブサイトに掲載する 仮想通貨取引にお

イ -3 ( 法令等へ抵触するおそれが高い分野の法令遵守 ) サービスの態様に応じて 抵触のおそれが高い法令 ( 業法 税法 著作権法等 ) を特に明示して遵守させること イ -4 ( 公序良俗違反行為の禁止 ) 公序良俗に反する行為を禁止すること イ利用規約等 利用規約 / 契約書 イ -5 (

市町村における住民自治や住民参加、協働に関する取組状況調査

平成22 年 11月 15日

日本版スクーク ( イスラム債 ) に係る税制措置 Q&A 金融庁

ブロックチェーンで達成するSociety5.0:ブロックチェーンで構築するデータマーケットプレイスの活用事例を例に

目 次 1 林地台帳の公表 情報提供 1-1 公表 情報提供の範囲 1-2 公表の方法 1-3 情報提供の方法 2 林地台帳の修正 更新 2-1 修正申出の方法 2-2 情報の修正 更新手順 3 林地台帳管理システム 3-1 管理システムの機能 3-2 林地台帳情報と森林資源情報の連携 4. 運用マ

Transcription:

資料 3 Blockchain に関する最近の動向 2016 年 6 月 3 日 楠正憲 1

本日の構成 平成 27 年度我が国経済社会の情報化 サービス化に係る基盤整備 ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査 についてのご紹介 Blockchain に関する私見 Blockchainを巡る動向調査後の動きについて Bitcoinへの幻想とBlockchainに対する過剰な期待 Blockchainが情報システムにもたらし得る影響 2

ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査 の趣旨 背景 ビットコイン等の価値記録の取引に使用されているブロックチェーン技術は その構造上 従来の集中管理型のシステムに比べ 1 改ざんが極めて困難 であり 2 実質ゼロ ダウンタイム なシステムを 3 安価 に構築可能という特性を持つともいわれ IoTを含む非常に幅広い分野への応用が期待されており フィンテックの次 の注目技術である 我が国企業は個別に技術検証が始まった段階であり あらゆる産業分野における次世代プラットフォームとなる可能性をもつ当該技術において 主導権を海外企業等に握られる恐れがある 目的 l l l 数あるブロックチェーン技術の詳細とその優位性 課題を比較分析する 当該技術が活用されるべき有望分野を把握する 当該技術が社会経済に与えるインパクトを把握する l 今後の当該技術を用いた産業促進に向けた政策の指針を得る 3

ブロックチェーンとは ビットコイン等の価値記録の取引を第三者機関不在で実現している 4

ブロックチェーン技術とは ビットコインを実現させるために生まれた技術であり いくつかの暗号技術がベース P2P ネットワークを利用してブロックチェーンデータを共有し 中央管理者を必要とせずにシステムを維持することを実現 ブロック タイムスタンプ 前のブロックのハッシュ値前のブロックのハッシュ値前のブロックのハッシュ値 ナンストランザクション情報トランザクション情報 ブロックチェーン概念図 ブロック タイムスタンプ ナンストランザクション情報トランザクション情報 ブロック タイムスタンプ ナンストランザクション情報トランザクション情報 トランザクション情報の集合等を含んだブロックがチェーン状に連なっているもの ネットワーク上の複数ノードが 新しいブロックを相互に承認し チェーンに足していく データ 1234567890 ハッシュ値 ( 暗号技術 ) ハッシュ関数 ハッシュ関数 一定桁数の値 e807f1fc トランザクション情報 ビットコインでは アドレス A からアドレス B へ 5BTC 移動等の取引情報 入力する値の差がわずかでも 結果が全く異なる 1234567891 ハッシュ関数 0f7e44a92 5

ブロックチェーン技術のもたらす社会 経済活動の基盤となる取引相手の信頼性の担保の手段として これまで様々な制度や仕組みを構築してきた ブロックチェーン技術は これらの仕組みを代替し 従来の社会システムを大きく変容させる画期的な発明 ( 参考 ) 信頼性担保の仕組みの例 格付け 会計監査 : 会社の弁済能力や会計の適切性の外部機関による評価 公証人 : 第三者による適法性の担保 登記 : 権利保有者の透明性の担保 商法 : 会社が取引に参加するために必要な信頼を担保するためのルール 中央銀行 : 通貨の発行主体であり 通貨の信用の担保機関 具体的には 参加者同士が対等の関係で相互に協力 監視することで これまで社会システムを維持するために多大なコストを払って構築してきた中央集権的な第三者機関 ( 中央機関 ) を不要とするもの ( 参考 ) 第三者機関のコスト 冗長的な情報システム 運営 メンテナンス費用 組織を維持するための経営と従業員 制度 ルールなど 基本的には 利用者はこれらのコストを利用料の中で負担 匿名性を維持したまま 信頼可能な社会システムが構築できる様は 以下の特徴を相互補完 隣人も知らないような匿名性が高い環境なので気兼ねなく過ごせるが 危険も多い都市部 顔見知りが多く匿名で過ごすことはできないが 安心 信頼して過ごせる地方共同体 6

( 参考 ) ブロックチェーン技術がもたらす将来イメージ 中央集権型から分散型に移行することで 様々な機関が不要になる 現在 将来 中央集権型 ポイント発行者 ( 電子マネー ) エスクロー機関 ( 電子商取引 ) 登記簿管理者 ( 土地登記 ) 仲介者 ( シェアリング ) 中央銀行 ( 通貨 ) 分散型 IBM 社資料をもとに経済産業省で加工 7

ビットコインからみるブロックチェーン技術の特徴と課題 ビットコインだけでなく 様々な分野に適用可能な特徴と課題がある ビットコインの構成技術 ビットコインのブロックチェーンの機能 ビットコインで実現されたこと 課題 ハッシュ 電子署名 Proof of Work (PoW) P2P アプリケーションの実行 データの連続性の保証 各ノードによるブロックチェーンデータの共同保有 P2P ネットワークによるデータ通信 スクリプトによりアプリケーションを実行可能 真正性の保証された取引が可能 ( 二重支払の防止 ) データのトレーサビリティが可能で 透明性の高い取引が可能 ( 改ざんが困難 ) サーバコスト ( 構築 / 運用 ) の低廉化 安定したシステムの構築 運用が可能 ( ゼロ ダウンシステム ) 中央管理者が不在でも 悪意を持つユーザがいてもエコシステムが安定維持される 1. 新ブロック生成に時間がかかるブロックチェーンの種類によるが データ処理の確定に数秒 ~10 分程度かかるので 即時性が必要なアプリケーションには不向き 2. 単位時間あたりのトランザクション件数が限られている規定されているブロックに格納できるデータ量の上限と 新ブロック生成にかかる時間との関係から算出する 1 秒間に処理できるトランザクション件数が VISA 等の既存決済システムと比べて劣っている 3. 実ビジネスでの運用手法等が確立されていない実ビジネスへの適用例が少ないこともあり ブロックチェーンに関わる各性能要件や仕様が明確ではなく いわゆる SLA(Service Level Agreement) が整備されていない 8

ブロックチェーン技術の発展トレンド 3 つの軸 ( 注 ) で ブロックチェーン技術の改変 発展が進んでいる 価値情報 ( 数値 ) の移転の記録 1 ブロックチェーンの用途を拡張 財やサービスの権利の所在と移転の記録 取引や手続きの登録 2 ブロックの生成時間を短縮 PoW コンセンサスアルゴリズムの改善 ビットコイン Abra Openbazzar Everledger Ascribe BitHealth Filament Nxt Voxelnauts Orb Ripple altcoin Litecoin Monacoin Peercoin Stellar Counterparty Swarm Getgems Storj NEM mijin Omni Colored Coins Swarm Colu Votososial Bitshares 独自のトークンを発行可能 Sidechain Liquid Ethereum Augur Filament Eris Everledger 異なるチェーン間での価値交換が可能 自由なブロックチェーンシステム構築が可能 3 参加者を制限 パブリック ( 参加は自由 ) コンソーシアム / プライベート ( 承認が必要 ) ビットコインのブロックチェーンを利用した拡張 ( 注 )3 軸の説明 1 記録内容を数値に限らず 権利や契約条件等にも拡大 2フ ロック生成時間の短縮のための承認アルゴリズム等の改善 3フ ロック生成時間短縮やシステム堅牢性の負担軽減のため参加者を限定 9

ブロックチェーン技術活用のユースケース ビットコイン発祥のブロックチェーン技術を改良しながら 金融以外の分野にもユースケースが広がっており ビットコイン 2.0 と呼ばれている 金融系 決済 (SETL FactoryBanking) 為替 送金 貯蓄等 (Ripple Stellar) 証券取引 (Overstock Symbiont BitShares Mirror Hedgy) bitcoin 取引 (itbit Coinffeine) ソーシャルバンキング (ROSCA) 移民向け送金 (Toast) 新興国向け送金 (Bitpesa) イスラム向け送金 / シャリア遵法 (Abra Blossoms) ポイント / リワード ギフトカード交換 (GyftBlock) アーティスト向けリワード (PopChest) プリペイドカード (BuyAnyCoin) リワードトークン (Ribbit Rewards) 資金調達 アーティストエクイティ取引 (PeerTracks) クラウドファンディング (Swarm) コミュニケーション SNS (Synereo Reveal) メッセンジャー 取引 (Getgems Sendchat) 資産管理 bitcoin による資産管理 (Uphold( 旧 Bitreserve) 土地登記等の公証 (Factom) ストレージ データの保管 (Stroj BigchainDB) 認証 デジタル ID (ShoCard OneName) アート作品所有権 / 真贋証明 (Ascribe/VeriSart) 薬品の真贋証明 (Block Verify) シェアリング ライドシェアリング (La ZooZ) 商流管理 サプライチェーン (Skuchain) トラッキング管理 (Provenance) マーケットプレイス (OpenBazaar) 金保管 (Bitgold) ダイヤモンドの所有権 (Everledger) デジタルアセット管理 移転 (Colu) コンテンツ ストリーミング (Streamium) ゲーム (Spells of Genesis Voxelnauts) 将来予測 未来予測 市場予測 (Augur) 公共 市政予算の可視化 (Mayors Chain) 投票 (Neutral Voting Bloc) バーチャル国家 / 宇宙開発 (BitNation/Spacechain) ベーシックインカム (GroupCurrency) 医療 医療情報 (BitHealth) IoT IoT (Adept Filament) マイニング電球 (BitFury) マイニングチップ (21 Inc,) 10

ブロックチェーン技術に関する海外事例 海外では大企業や行政も巻き込み様々な分野での実証が展開されつつある NASDAQ ADEPT IBM 社 Samsung 社 膨大な機器を管理し 制御する IoT 時代に対応するため 洗濯機が自律的に洗剤を補充する契約を締結 履行する分散的なシステムを実証 FACTOM 社 Chain 社他 ブロックチェーン技術を活用した未公開株式取引システム Nasdaq Linq を発表 土地の登記謄本の記録管理の実現 中国における スマートシティ計画 にも参画 エストニア行政 Bitnation 社 国民の医療データの記録管理に改ざんが難しいブロックチェーン技術を活用すべく利用試験開始 Everledger 社 ダイヤモンドの所有権や権利移転履歴の証明に元帳として シリアル番号 4C( カラット数等 ) 等のデータをブロックチェーン上に記録 すでに 100 万近くのダイヤモンドの記録が載っている 各社 HP 等より引用 11

ブロックチェーン技術に関する国内事例 大企業の利活用の動きは鈍いが サービス提供を行うベンチャー企業の動きは徐々に活発化 アプリケーション事例 ゼロビルバンク社 顧客の行動をポイント化し 価値として交換可能化するサービス提供を目指している プラットフォーム事例 Orb 社 ビットコインのブロックチェーン技術を改良し 高速処理を実現 ユースケース例として 地域通貨や電子チケット発行等 人材育成事例 ブロックチェーンハブ社 ブロックチェーン技術に関するオープンな情報プラットフォーム構築を目指し ビジネスへの応用促進を目的として設立 各社 HP 等より引用 12

ブロックチェーン技術の展開が有望な事例とその市場規模 幅広い分野へ影響を与える可能性がある 出典: 平成27年度 我が国経済社会の情報化 サービス化に係る基盤整備 ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査 2016年4月 13

ブロックチェーン技術が社会経済に与えるインパクト 市場だけでなく 産業構造へ影響を与える可能性がある 価値の流通 ポイント化プラットフォームのインフラ化 ポイントが 発行体以外との取引にも利用されるようになる その結果 ポイントが転々流通することで通貨に近い利用が可能となるとともに ポイント発行額以上の経済波及効果が生じる さらにポイントサービスが預金 貸出に類する機能を獲得することで 信用創造の機能を獲得し 日銀による景気対策 ( 金融政策 ) 以外にも民間企業による仕掛けができる可能性 ボックス内は将来起こり得る産業構造へのインパクト例 権利証明行為の非中央集権化の実現 土地の登記や特許など 国管理のシステムをオープンな分散システムで代用可能になり 届出管理等の地方自治体業務減少といった 政府の業務負担減少が可能 本人証明としての印鑑文化や 各種契約時 ( スマホ 銀行口座開設等 ) の際の本人確認のための書類提出等のプロセスが変化 代替される可能性がある オープン 高効率 高信頼なサプライチェーンの実現 小売店 ( 川下 ) 卸 ( 川中 ) 製造 ( 川上 ) で分断されている在庫情報や 川下に集中していた商流情報が共有されることで サプライチェーン全体が活性化 / 効率化するとともに 川上の交渉力の強化につながる 流通のアンバンドル化 電化製品等は IoT の進展や製品保証とも連携することで 最終消費者への販売後のプロダクトライフサイクルをトラッキング可能となり 売切りではないビジネスへ転換することが容易になる 遊休資産ゼロ 高効率シェアリングの実現 遊休資産の稼働率のほか 入場券 客室 レンタカー レンタルビデオ等の利用権限管理に劇的な効率化がもたらされる 究極的には C2C 取引が 現在のシェアリングエコノミーのプラットフォーム事業者を介在せずに行われる環境が構築される 生産者 / サービス提供者 と 消費者 の境界がなくなることで プロシューマ というあり方が一般化する プロセス 取引の全自動化 効率化の実現 各企業におけるバックオフィス業務 ( 契約や取引の執行 支払 決済 稟議などの意思決定フロー等 ) の大半を置きかえることが可能 IoT とスマートコントラクトによるマイクロペイメントを組み合わせることで 受益者負担をより正確に反映した公共サービス等のコスト負担の仕組みが構築可能 ( 例えば ゴミの量や道路の利用量に応じた課金による税徴収等 ) 14

政策に求められること 民間における社会実装を促進するため 実証事業の支援や 政府自らも実証していくことで広くブロックチェーン技術の有用性を周知する 112 ページのようなブロックチェーンを活用した新ビジネスの検証のための民間実証の促進と 成果及び課題の集積を行い 広く公開していくことで市場の発展を促すこと 例 : 地域限定ポイント 電子チケットサービス等の実証や そうした実証を通じた SLA(Service Level Agreement) の策定等 2 暗号分野など既存の技術的蓄積を生かしつつ これまで不十分だったブロックチェーンの数理的 情報理論面からの検証を後押しすること 例 : 大学等での研究拠点 研究者間のネットワーク等 3 行政分野におけるブロックチェーン技術の導入を進めることで 行政の効率化 高度化を推進しつつ 率先垂範すること 例 : 文書管理 特許 土地登記 投票 徴税 婚姻 出産届等 4 ブロックチェーンの社会実装を円滑に行うため 必要に応じて規制等を見直すこと 例 : 消費税法 ( 仮想通貨やポイントへの課税 ) 資金決済法 ( 国際送金 ) 電子署名法 ( 法的証拠能力の明確化 ) 等 15

補足 : Blockchain を巡る動向調査後の動きについて オーストラリアがISOにBlockchain 国際標準化のためのTC 設立を提案 (4/14) Goldman Sucksが現物取引で年間約 60 億ドル削減可能と試算 (5/24) 仮想通貨を規制する資金決済法 犯罪収益移転防止法改正が成立 (5/25) 暗号ファンドThe DAOが1 億 3232 万ドル相当の資金調達に成功 (5/28) 16

私見 : Bitcoin と Blockchain に対する過剰な期待について 現時点で大規模運用されている Blockchain である Bitcoin は 採掘は中国に集中しており スケーラビリティーは限定的で データの整合性しか保証されない Blockchain も分散システムのひとつとして CAP 定理からは逃れられない https://twitter.com/lopp/status/673398201307664384 17

個別システム私見 : Blockchain が情報システムにもたらし得る影響について 個別の業務を電算化した個別システム 独自スキーマから 共通のデータ 暗号化方式 プロトコル等を共有することで組織を超えた疎結合システムを実現できる データ保全のための境界セキュリティーに対する考え方について見直しが進む オープンシステムで異システム間の通信そのものは容易になったが データ構造やアクセス制御は縦割りで設計されてきたため 相互接続を実現するには仕様レベルでの複雑な擦り合わせと接続テストが必須となり BCP を実現するには個別システムで冗長性を確保する必要がある データ層の設計 運用を共有することで異システム間の相互連携と BCP を容易に サービス サービス データポータビリティの実現 運用ポリシー 接続試験 アプリ アプリ 共通プロトコル API アプリデータアプリデー共通 Restful API タアプリデータ境界を突破された途端に全てデータを抜かれてしまう従来型の境界セキュリティーから 最初から全てのデータにアクセスできる前提でオブジェクト単位の署名 匿名加工を行う Blockchain の発想に 共通署名 暗号化方式共通 P2Pプロトコル共通データ構造 Blockchain 18