のような事象でさえ わずか数分前の警告によって生命を救えることもある リスクの発生を定期的に再検討することが重要である たとえば 気候変動やその他の変化の結果として極端な気象現象 ( 暴風雨 熱波 野火など ) の発生頻度や激しさが高まる可能性があり 新たな地球物理学的データやその他のデータによって

Similar documents
4

Rodrigo Domingues UNDP Borja Santos Porras/UNDP Ecuador UNDP Kazakhstan 2

間を検討する 締約国が提出した 貢献 は 公的な登録簿に記録される 締約国は 貢献 ( による排出 吸収量 ) を計算する また 計算においては 環境の保全 透明性 正確性 完全性 比較可能性及び整合性を促進し 並びに二重計上の回避を確保する 締約国は 各国の異なる事情に照らしたそれぞれ共通に有して

<4D F736F F D B4C8ED294AD955C8E9197BF E894A8AFA8B7982D191E495978AFA82C982A882AF82E996688DD091D490A882CC8BAD89BB82C982C282A282C4816A48502E646F63>

~ 二次的な被害を防止する ~ 第 6 節 1 図 御嶽山における降灰後の土石流に関するシミュレーション計算結果 平成 26 年 9 月の御嶽山噴火後 土砂災害防止法に基づく緊急調査が国土交通省により実施され 降灰後の土石流に関するシミュレーション結果が公表された これにより関係市町村は

どのような便益があり得るか? より重要な ( ハイリスクの ) プロセス及びそれらのアウトプットに焦点が当たる 相互に依存するプロセスについての理解 定義及び統合が改善される プロセス及びマネジメントシステム全体の計画策定 実施 確認及び改善の体系的なマネジメント 資源の有効利用及び説明責任の強化

資料1:地球温暖化対策基本法案(環境大臣案の概要)

目次 はじめに P3 1 災害 緊急の範囲 P3 2 時間と場所を考慮した対応の必要性 P3 3 時間ごとの対応 P4 4 場所ごとの対応 P5 5 デジタルサイネージの提供コンテンツ P6 6 緊急時を意識したデジタルサイネージシステム P6 7 情報の切替 復帰の条件 P7 8 緊急運用体制 P

(\212T \227v.xls)

Microsoft Word - JPN_2007DB_chapter3_ doc

id5-通信局.indd

<4D F736F F D C68EE390AB955D89BF82CC8E77906A816988C4816A2E646F6378>

reference3

年報経営ディスクロージャー研究 2016 年 3 月第 15 号 30,000 25,000 20,000 被害者数 ( 人 ) 15,000 10,000 5,000 0 死者 不明者の合計 行方不明

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

火山防災対策会議の充実と火山活動が活発化した際の協議会の枠組み等の活用について(報告)【参考資料】

資料6 (気象庁提出資料)

社会的責任に関する円卓会議の役割と協働プロジェクト 1. 役割 本円卓会議の役割は 安全 安心で持続可能な経済社会を実現するために 多様な担い手が様々な課題を 協働の力 で解決するための協働戦略を策定し その実現に向けて行動することにあります この役割を果たすために 現在 以下の担い手の代表等が参加

The Consultative Group of GFDRR

先行的評価の対象とするユースケース 整理中. 災害対応に関するユースケース. 健康に関するユースケース. 移動に関するユースケース. 教育に関するユースケース. 小売 物流に関するユースケース 6. 製造 ( 提供した製品の保守を含む ) に関するユースケース 7. 農業に関するユースケース 8.

資料 4 ドイツ フィンランドにおける国土強靱化の取り組み ドイツ フィンランド出張報告期間 : 平成 27 年 10 月 28 日 ~11 月 5 日

布 ) の提供を開始するとともに 国民に対し分かりやすい説明を行い普及に努めること 図った 複数地震の同時発生時においても緊急地震速報の精度を維持するための手法を導入するとともに 緊急地震速報の迅速化を進める 特に 日本海溝沿いで発生する地震については 緊急地震速報 ( 予報 ) の第 1 報を発表

1 BCM BCM BCM BCM BCM BCMS

内部統制ガイドラインについて 資料

<4D F736F F D20967B95B681698DC58F498D D8E968C888DD A2E646F63>

なぜ社会的責任が重要なのか

Microsoft Word - ★(ワードセット版)CONNEX基本指針

奈良県ライフライン 情報共有発信マニュアル 第 3.3 版 平成 24 年 7 月 奈良県ライフライン防災対策連絡会

これまでの G7 コミットメント及び持続可能な開発のための世界的な枠組み を定める 2030 アジェンダに沿って行動する必要性を認識しつつ, 我々 G7 首 脳は, 以下にコミットする 強靱な沿岸及び沿岸部コミュニティ 1. より良い適応計画, 緊急事態への備え及び回復の支援 我々は, 政策ギャップ

<4D F736F F D208BD98B7D92B28DB88EC08E7B95F18D908F915F96788CA42E646F63>

TCS_AI_STUDY_PART201_PRINT_170426_fhj

リスクテンプレート仕様書

<4D F736F F D2091E E8FDB C588ECE926E816A2E646F63>

料 情報の提供に関する記録 を作成する方法 ( 作成する時期 記録の媒体 作成する研究者等の氏名 別に作成する書類による代用の有無等 ) 及び保管する方法 ( 場所 第 12 の1⑴の解説 5に規定する提供元の機関における義務 8 個人情報等の取扱い ( 匿名化する場合にはその方法等を含む ) 9

平成16年度 台風災害調査報告書(WEB).indd

[ 指針 ] 1. 組織体および組織体集団におけるガバナンス プロセスの改善に向けた評価組織体の機関設計については 株式会社にあっては株主総会の専決事項であり 業務運営組織の決定は 取締役会等の専決事項である また 組織体集団をどのように形成するかも親会社の取締役会等の専決事項である したがって こ

AAプロセスアフローチについて_ テクノファーnews


高等学校「保健」補助教材「災害の発生と安全・健康~3.11を忘れない~」 第3章

Microsoft Word - 20_2

アマミノクロウサギ保護増殖事業計画 平成 27 年 4 月 21 日 文部科学省 農林水産省 環境省

1 検査の背景 我が国の防災の基本法として災害対策基本法 ( 昭和 36 年法律第 223 号 ) が制定されている 同法によれば 内閣府に中央防災会議を置くとされ 同会議は 災害予防 災害応急対策及び災害復旧の基本となる防災基本計画の作成 その実施の推進 防災に関する重要事項の審議をそれぞれ行うな

周南市版地域ケア会議 運用マニュアル 1 地域ケア会議の定義 地域ケア会議は 地域包括支援センターまたは市町村が主催し 設置 運営する 行政職員をはじめ 地域の関係者から構成される会議体 と定義されています 地域ケア会議の構成員は 会議の目的に応じ 行政職員 センター職員 介護支援専門員 介護サービ

<4D F736F F D D9197A791E58A C8FAC924D8FA489C891E58A77838A E837D836C B4B92F65F E332E398E7B8D73816A>

04ニーズ手引きブック.indb

<4D F736F F F696E74202D208ED089EF959F8E F958B5A8F70985F315F91E630338D E328C8E313393FA8D E >

スライド 1

Microsoft PowerPoint - 参考資料 各種情報掲載HPの情報共有

第 1 章実施計画の適用について 1. 実施計画の位置づけ (1) この 南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画 に基づく宮崎県実施計画 ( 以下 実施計画 という ) は 南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法 ( 平成 14 年法律第 92 号 以下 特措法 と

平成 27 年度第 1 回状況説明 ( 要望 ) 活動 平成 27 年 8 月 3 日 ( 月曜日 ) 1 国土交通省 財務省 総務省 内閣府への状況説明 ( 要望 ) 活動について国土交通省へは 岡﨑高知市長と清水大洲市長を先頭に 国土交通省幹部及び関係部局へ状況説明 ( 要望 ) 書の手渡しと要

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

フレイルのみかた

<8B4C8ED294AD955C E31302E E82B782D782E892F18CBE816A2E786C7378>

Oracle Business Intelligence Suite

安全防災特別シンポ「原子力発電所の新規制基準と背景」r1

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料

Microsoft Word - RM最前線 doc

スライド 1

ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

02 Murayama Hospital News

Microsoft PowerPoint 越山先生資料 (1).ppt

「社会的課題・SDGsに関する意識調査」~さらなる浸透に向けて、企業に求められるものとは~「社会的課題・SDGsに関する意識調査」~さらなる浸透に向けて、企業に求められるものとは~_損保ジャパン日本興亜

Microsoft Word - 5_‚æ3ŁÒ.doc

受付番号 Panasonic NPO/NGO サポートファンド for SDGs [ 国内助成 ] 2019 年募集 新規助成応募企画書 ( 様式 1) パナソニック株式会社御中 応募要項に記載の 個人情報の取り扱い に同意の上 応募します 応募日 :2019 年月日 (1) 応募団体

1. のれんを資産として認識し その後の期間にわたり償却するという要求事項を設けるべきであることに同意するか 同意する場合 次のどの理由で償却を支持するのか (a) 取得日時点で存在しているのれんは 時の経過に応じて消費され 自己創設のれんに置き換わる したがって のれんは 企業を取得するコストの一

スライド 1

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

津波警報等の留意事項津波警報等の利用にあたっては 以下の点に留意する必要があります 沿岸に近い海域で大きな地震が発生した場合 津波警報等の発表が津波の襲来に間に合わない場合があります 沿岸部で大きな揺れを感じた場合は 津波警報等の発表を待たず 直ちに避難行動を起こす必要があります 津波警報等は 最新

BSL4の稼働合意について

責任ある農業投資 - 原則の策定に向けた背景と概要 年 7 月 外務省

スライド 1

<4D F736F F D E342E B8E738DD08A5191CE8DF4967B959490DD E D6A2E646F63>

標準業務手順 目次

震災一周年を控えた生活者の意識を電通が調査

一防災 減災等に資する国土強靱化基本法案目次第一章総則 第一条 第七条 第二章基本方針等 第八条 第九条 第三章国土強靱化基本計画等 第十条 第十四条 第四章国土強靱化推進本部 第十五条 第二十五条 第五章雑則 第二十六条 第二十八条 附則第一章総則 目的 第一条この法律は 国民生活及び国民経済に甚

土砂災害防止法よくある質問と回答 土砂災害防止法 ( 正式名称 : 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関 する法律 ) について よくいただく質問をまとめたものです Ⅰ. 土砂災害防止法について Q1. 土砂災害は年間どれくらい発生しているのですか? A. 全国では 年間約 1,00

U2. 北朝鮮のミサイルについて Q3. 北朝鮮によるミサイル発射の現状はどうなっているのか 北朝鮮は 過去に例を見ない頻度でミサイルを発射しており 平成 28 年 8 月以降 ミサイルが日本の排他的経済水域 (EEZ) 内に落下する事例も起こっています Q4. ミサイルは 発射から何分位で日本に飛

H28秋_24地方税財源

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

2008年6月XX日

ANNUAL REPORT

( 参考様式 1) ( 新 ) 事業計画書 1 事業名 : 2 補助事業者名 : 3 事業実施主体名 : Ⅰ 事業計画 1 事業計画期間 : 年 月 ~ 年 月 記載要領 事業計画期間とは 補助事業の開始から事業計画で掲げる目標を達成するまでに要する期間とし その期限は事業実施年 度の翌年度から 3

平成 29 年 4 月 12 日サイバーセキュリティタスクフォース IoT セキュリティ対策に関する提言 あらゆるものがインターネット等のネットワークに接続される IoT/AI 時代が到来し それらに対するサイバーセキュリティの確保は 安心安全な国民生活や 社会経済活動確保の観点から極めて重要な課題

確認テスト本冊_地理34-55.indd

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

大塚製薬(株)佐賀工場

Microsoft Word - funding-carbon-capture-storage-developing-countries-japanese

浸水深 自宅の状況による避難基準 河川沿いの家屋平屋建て 2 階建て以上 浸水深 3m 以上 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 浸水深 50 cm ~3m 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難上階に垂直避難 浸水深 50 cm未満 緊急避難場所, 近隣の安全な建物へ水平避難 自宅に待

ISO9001:2015内部監査チェックリスト

第8章 災害復旧計画

Microsoft PowerPoint - 【一般用】2011年ASTDジャパンリーダーシップ開

人口減少が潜在成長率に与える影響

諸外国の火山防災体制

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

Microsoft PowerPoint - 【資料9-2】春日伸予委員提出資料

Slide 1

Microsoft PowerPoint - 08economics4_2.ppt

Microsoft Word - Conference Documentation IGES-adelphi workshops FINAL JAP_STS

問題意識 民生部門 ( 業務部門と家庭部門 ) の温室効果ガス排出量削減が喫緊の課題 民生部門対策が進まなければ 他部門の対策強化や 海外からの排出クレジット取得に頼らざるを得ない 民生部門対策において IT の重要性が増大 ( 利用拡大に伴う排出量増加と省エネポテンシャル ) IT を有効に活用し

Transcription:

自然災害および技術的災害に対するレジリエンス ( 回復力 ) の構築 概要と背景災害は社会に甚大な社会的 経済的損害をもたらす 災害発生の機会を減らし レジリエンス強化のための新たな戦略を採用することにより そうした損害を減少させることができる 最近の災害での経験から得られた教訓も有益であるが レジリエンス構築の指針としては 系統的かつ科学的なリスク監視と危険の順位づけに基づいたものの方がより効果的であろう このような根拠に基づいて構築された戦略は 原因にかかわらず広範な災害に共通するものであるため そうした戦略の実施は重要な投資となりうる 各国政府は 国家計画にも開発援助計画にもレジリエンス戦略を組み入れることが急務である 災害自然災害には 地震 地滑り ハリケーン 洪水 台風 火山噴火 感染症の世界的流行などが含まれる 技術的災害には ダムや堤防 エネルギー系統 情報ネットワークといった社会的に重要なインフラの偶発的なもしくは人為的な故障や崩壊が含まれる 連鎖的効果によって災害が複合化することも多い ( 東日本大震災での地震 津波 原子炉事故など ) 本声明では これらすべてのケースについて 災害 という語を用いる 災害の中には徐々に発生するものもあるが ( 干ばつ 感染症流行 地盤沈下など ) ここでは短期間で発生する災害に焦点を絞る ほとんどの災害は いつ発生するかを正確に予測することは不可能である しかし 科学 的研究と モニタリングや監視を入念に行うことにより災害要因とその発生についての理 解を深めることができ 有益な早期警戒を提供できることも多い 地震とそれに伴う津波 1

のような事象でさえ わずか数分前の警告によって生命を救えることもある リスクの発生を定期的に再検討することが重要である たとえば 気候変動やその他の変化の結果として極端な気象現象 ( 暴風雨 熱波 野火など ) の発生頻度や激しさが高まる可能性があり 新たな地球物理学的データやその他のデータによって それまで認識されていなかった災害要因が明らかになるかもしれない 災害による損害災害による損失や被害は増加傾向にある 全世界での自然災害による年間損失額が初めて 2005 年 2008 年 2011 年に 2000 億ドルを超えた 一方 死亡者数に関するデータでは明確な傾向は見られないものの 先進国の方が死亡者数ははるかに低く レジリエンス対策の有用性が示唆されている 災害による損害が増大している要因の一部として 脆弱な場所での人口やインフラの継続的な増加 インフラの老朽化や機能低下 警報システムや保護システムに関して必要とされている制度的取り決めや投資の遅れなどが挙げられる 将来の海面上昇や気候変動によって災害のリスクや影響が高まるおそれもある 海辺のマングローブなど 災害の緩衝となる自然のシステムが弱っているケースも多い 社会は エネルギー 食糧 医療 情報 運輸 金融を供給する相互作用的なインフラへの依存度をますます高めてきている その中のいずれか 1 つに障害が起こると 他のサービスにまで影響が及びうる 多くの場合 災害への対処は個々の国の能力を超えており 複数の国が影響を受ける可能性がある 災害に対するレジリエンス レジリエンスとは システムおよびその構成部分が重大なショックによる影響を適時かつ 2

効率的に予測し 吸収し 対応し あるいはそこから回復することが可能であること と定義することができる レジリエンスの能力は 社会のあらゆるレベルや部門の制度の中で構築されるべきである 多くの場合 レジリエンスが強化されると 比較的頻度の高い緊急事態によって直接的に引き起こされる死傷者数や経済的損失の減少に役立つと同時に 将来の災害に対するレジリエンスが構築されるという 複数の利益がある レジリエンスの構築には次のような要素がある 災害リスクの系統的な評価と監視 根本原因についての理解を深めるための継続的研究 警報システムの改善 そうしたリスクに対する国民ならびにあらゆるレベルの政府機関の認識 備え 対応 回復における計画および協力の責任がコミュニティ ( 民間部門および市民組織を含む ) に受け入れられるようにするための文化やインセンティブの構築 土地利用やその他の土地区画 建築法規など ( 災害 ) 軽減策や予防策の長期的な計画 投資 施行 先進的な計画と迅速な対応 ならびにリスク要因の評価に関する研究における国際協力 レジリエンス構築の構成要素国際社会 特に災害リスク軽減を目指す国際会議 (GPDRR) および 2005 年に 168 カ国により採択された兵庫行動枠組 2005-2015 において 重要な取り組みが進められている ICSU(the International Council for Sciences ( 国際科学会議 )) は 2010 年に 10 年間にわたる災害リスク統合研究計画 (IRDR) を立ち上げた 国連国際防災戦略 (ISDR) では 現在 2015 年以後の枠組みについて協議を進めている こうした活動によって広範囲にわたる有益な結果や提言がもたらされており 持続的に注視し 実施していくべきである 3

系統的なアプローチの採用と多面的なソリューション ( 解決策 ) の特定が レジリエンス 構築の重要な要素である 我々は 下記の 5 つの局面に特に注目すべきであると提唱し 各国政府に対し 国内および国際的な科学界にこうした活動を行うよう求める 1. 継続的なリスク監視と日常的な評価のためのキャパシティービルディング ( 能力開発 ) 想定外の災害に対する備えをするのは困難である 個々の地域 国家 そして国際社会が 自らの直面する災害リスクを日常的に特定して評価するための戦略を構築し 被害の発生を抑制しなければならない この点では 継続的な監視がきわめて重要である 2. 公衆衛生システムの改善 発端となる事象が公衆衛生にかかわるものでなかったとしても 大規模な社会的混乱が生じると短い期間で伝染病などいくつもの危険につながりうる 災害を回避するためにも 災害が発生した場合の対応のためにも 公衆衛生システムを強化し 維持しておかなければならない 災害が人々の健康 特に脆弱な人々の健康にもたらす影響への対応能力を 強固な公衆衛生システムを構築する上での不可欠な部分 ( なおかつ付加的な誘因 ) とすべきである また 作物や家畜の健康についても 食糧安全保障や経済への影響が大きいため 同様の考えが当てはまる 政府は 地域レベル 国家レベル 国際レベルでの公衆衛生の備えが適切であるかを定期的に評価すべきである 3. 高度な情報技術 (IT) の適用 情報技術 ( 地理空間技術も含む ) は 差し迫った 災害を監視し 特定し 警告するためにも 被害や死傷者の場所 種類 程度を評価し 4

て救助の派遣 調整 配分を行うためにも重要である 国家は 緊急対応専用の IT システムについて 複合的役割を果たす共有システムと比較してどのような潜在的な利点があるか 評価を行うべきである いずれにしても そうしたシステムを効果的に活用するためには すべての重要な関係者がかかわり 国民の参画や教育のための積極的なプログラムを備えた系統的な実施 ( 緊急対応のゲーミング ) が重要である 4. 脆弱性を最小限にするための計画と技術 そして基準の実施 建築物 道路 電力系統 水道 その他のインフラの基準を改善し 脆弱性を低下させるための区画整理をすることにより 災害からの損失を大幅に減少させることができる 住民および近代的インフラの保護を計画することに加え 失われると取り戻すことのできない文化遺産や自然遺産についても保護しなければならない 革新的な設計 技術 材料に関する継続的な研究と利用可能な技術や材料に関する情報の普及が必須である これらを効果的にするためには そうした施策が実施されていることを政府が確認しなければならない 5. 開発援助プログラムへのレジリエンス能力の統合 開発援助プログラムは 被援助国が地方レベルでも国家レベルでもレジリエンスの能力を構築するための支援をすることを可能とする これが効果的であるためには もっとも必要とされているところに援助が届き 将来の脆弱性が減少するようにしなければならない 脆弱な人々や地域にとって特に重要なのが 公的教育 市民参加 過去の災害からの教訓の活用 伝達能力である 危機的状況にあっても 開発援助では被災国の組織や個人を参加させ 現地の経験や能力を構築すべきである われわれの科学アカデミーは 世界中の 100 を超える科学 技術 医学分野の組織と協力 5

して 災害原因について理解を深め よりレジリエンスのある社会にする方法を見いだし そうした情報を広く普及させ 必要とされる数々の方策の実施を助けるプロセスを継続し ていくよう邁進する 6