数値地形測量測量士補試験重要事項地形測量 数値地形測量とデータ形式 1 (Ver1.0) 数値地形測量とデータ形式 1 < 試験合格へのポイント > 数値地形測量はその作業方法により公共測量作業規程において 次の 4 種類に分類される 過去問題では 各種類の内容が個別に出題 データ形式にからむ出題 数値地形測量全般に関する問題 と大きく 3 つのパターンについて出題された 数値地形測量は 従来の平板を用いた地形測量に変わる技術であり 今後も出題は続くと考えられる このため しっかりと理解しておく必要がある ( : 最重要事項 : 重要事項 : 知っておくと良い ) 公共測量作業規程による数値地形測量の分類と概要 数値地形測量とは 地上の地物や地形の変化点をディジタルデータ ( コンピュータで扱えるデータ形式 : 数値地形データ ) により測定及び取得し 数値地形図を作製する作業を言う 公共測量作業規程によると 数値地形測量の作業方法は次の 4 種類に区分される T S 地形測量 ディジタルマッピング 既成図数値化 数値地形図修正 各作業方法の概要 <TS 地形測量 > TS を用いて 現地で直接取得した地形 地物等のデータ ( 数値データ ) を元に CAD ソフトを用いて図形処理を行い 数値地形図を作成する作業である 数値データは ディジタルマッピングデータファイル (DM データファイル ) 仕様と呼ばれる一定の仕様に従って保存される < ディジタルマッピング > 空中写真等による図化の工程段階で ディジタルデータを取得し 現地補測や補備測量により得られたデータを付加して編集し 数値地形図を作成する作業である
< 既成図数値化 ( マップディジタイズ )> 既成図 ( 国土基本図 都市計画図 大縮尺地形図 ) をディジタイザやスキャナ等の計測機器を用いて数値データを取得し ディスプレイ上で編集 修正を行って DM データファイルを作成する方法である この作業は マップディジタイズ (MD) とも呼ばれ 取得された数値データは その取得方法により ベクタデータとラスタデータに分類される < 数値地形図修正 > 既に数値化された地図について その経年変化分を測量や各種データ等により 加除訂正して数値地形図を修正する作業を言う 数値地形図は 常に修正 ( 変化部分のみを改める ) 又は改測 ( 新たに作成しなおす ) を行い 常に最新のデータとしておくことが望ましい 公共測量作業規程による数値地形測量の作業工程 数値地形測量の 4 つの作業方法について その作業工程をまとめると次のようになる TS 地形測量 ディジタルマッピング作業計画基準点の設置細部測量数値編集DMデータファイルの作成地形図原図作成成果等の整理作業計画の立案基準点の設置対空標識の設置空中写真撮影空中三角測量数値図化数値(地図データ)編集地形図原図作成DMデータファイル作成空中写真測量と同様の作業工程 DM での作業工程
果等の整理デ集修正数値図化修正数値編集現地形図修正原図作成DMデータファイルの更新業地計調察1画査測量士補試験重要事項地形測量 数値地形測量とデータ形式 1 (Ver1.0) 既成図数値化作業計画計測用基図作測成計ィジタイザ計測スキャ1編ナ計測作作成成Mデータファイ1Dルの 数値地形図修正 予 数値地形測量のデータ形式 数値地形測量によって得られる数値地形データ ( 又は数値地形情報 ) の形式は次のように分類される ベクタデータ ラスタデータ メッシュデータ 画像データ メッシュの細かいものを画像データ 大きいものをメッシュデータと記す場合があるが そのサイズが異なるだけで データ形式自体の違いはない 成果等の整理数値地形データ また 数値地形測量の作業方法による取得データの形式は次の通りである TS 地形測量 : ベクタデータ ディジタルマッピング : ベクタデータ 既成図数値化 ( マップディジタイズ ): ラスタデータ ( 取得後 ラスタ ベクタ変換される ) 数値地形図修正 : 一般的にはベクタデータ 以下に ベクタデータとラスタデータの特徴について記す
スキャナ測量士補試験重要事項地形測量 数値地形測量とデータ形式 1 (Ver1.0) < ベクタデータ > いわゆる CAD データのことで 図形の形状を 点 線 面 に分け それぞれを座標と長さ 方向 ( ベクトル ) の組合せで表現する方法 座標位置で表される点の情報や線の情報を表すのに適している 直接取得では TS や GPS を用いた細部測量によって行われ 既成図からのデータ取得ではディジタイザが用いられる ディジタイザによる取得とは 大きな平板に既成図を貼付け ペンやカーソルにより既成図をトレースすることにより 座標値を読取り数値化するものである カーソル モニタ 平板 カーソル ( 又はタブレット ) 上部に円形のターゲットを持ち この中心が既成図をなぞるように動かす その結果は モニタに表示される < ラスタデータ > いわゆる画像データのことで 図形を細かいメッシュ ( 四角形 : 一般的には正方形 ) の集合体で表現する方法 メッシュ型のデータとしては 数値標高モデル (DEM) が良く用いられ その他にも対象物の平面上における分布 ( 土地利用や人口密度など ) の表現に適している 空中写真や既成図からのデータ取得 ( マップデジタイズ :MD) では スキャナが用いられ ドラムや板に既成図を貼付け センサーが稼動することにより 図の色を読取りデータ位置を確定させる センサー センサーが 矢印方向に移動してデータを読取る の方式がある ディジタイザ図は フラットヘッド型を表したものであるが この他に ドラム型 ロールフィード型など P3 図形データ < ベクタデータとラスタデータのイメージ > P1 P2 ベクタデータ ベクトル ( 方向と座標値 ) で データを表現する ラスタデータ メッシュに分割し 塗りつぶして データを表現する
< ベクタデータとラスタデータの比較 > 地図表現にはどのデータ形式が適しているのかを考えると 地図の特性 を考えて 次のようにまとめることができる データ形式ベクターデータラスターデータ 地図表現 正確に表現できる 地図縮尺を大きくしても 形状は崩れない メッシュ内部の情報は不明である 縮尺を大きくすると 地図表現が粗くなる 地図の特性 : 地図に使用されているデータは 座標を持った点 ( 学校等の建物 ) と 線 ( 道路や鉄道等の線状構造物 ) と 面 ( 土地や湖沼など線で囲まれた物 ) にその全てが分類される < ラスタ ベクタ変換 > 既成図を数値化する場合 コストパフォーマンスに優れた スキャナによる数値化が多く用いられている スキャナによる数値化は 得られたデータがラスタデータのため ラスタベクタ変換を用いてベクタデータに変換される ラスタ ベクタ変換には 次の 2 通りの方法があるが 一般的には 2 の自動的にベクタデータとする方法が用いられる 1 スキャナにより得られたラスタデータをディスプレイ上に表示し 対話的にベクタデータへと変換する方法 2 スキャナにより得られたラスタデータを細線化や芯線化の方法により 自動的にベクタデータに変換する方法 以下に ラスタ ベクタ変換に用いられる代表的な手法である 細線化 と 芯線化 について記す < 細線化 > ラスタデータの領域を 中央に向かって 1 画素ずつ詰めていく事により 最後に 1 画素の 線 として ベクタデータに変換する方法
< 芯線化 > 黒の領域と白の領域の境界線をベクトル化し 両端に輪郭線ベクトルをつくる この輪郭線ベクトルの中心位置を求め 中央のベクトル ( 芯線ベクトル ) を求める方法 データ形式の詳細は 地図編集の項目へ
過去問題にチャレンジ! その 1( H14-4-D : 士補出題 ) 次の文は 数値地形測量により作成される数値地形データについて述べたものである ア ~ オの中に入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか 次の中から選べ 数値地形のデータは 水平位置の転移や間断等の処理を行わず, データの連続性の確保と測定した 座標の保持を重視した ア と 水平位置の転移や間断等の処理が行われている イ に分類 される また データの形式によりベクタ形式とラスタ形式の 2 種類に分類することができる ベクタ形式のデータは トータルステーションを用いた地形測量やディジタルマッピングにより 取得する方法のほか 平板測量により測定描画された地形図や既成図から ウ を用いて直接取 得する方法がある 一方 ラスタ形式のデータは 既成図から エ を用いて数値データを取得し 取得した数値 データをオにより ベクタ形式のデータにすることも可能である アイウエオ 1. 真位置データ作図データディジタイザスキャナディジタル化 2. 真位置データ作図データスキャナディジタイザラスタ ベクタ変換 3. 作図データ真位置データスキャナディジタイザディジタル化 4. 作図データ真位置データディジタイザスキャナディジタル化 5. 真位置データ作図データディジタイザスキャナラスタ ベクタ変換
< 解答 > 以下に 問題各文について解説する 数値地形図のデータは 水平位置の転位や間断等の処理を行わず データの連続性の確保と測定 した座標の保持を重視したアと 水平位置の転位や間断等の処理が行われているイに分類 される また データの形式によりベクタ形式とラスタ形式の 2 種類に分類することができる 従来からある地図は 制限されたスペースでの見やすさを優先させるため 位置をずらして描く 転位 や 重複する部分を描かない 間断 全体的な表現を簡略化する デフォルメ 等の作業が行われており 地図に描かれた地形や地物等の位置情報は 必ずしも正確とは言いがたい部分が存在していた しかし 数値地形図は従来からの地図のように 表現的な制約が無いため 最も正確な位置データを表すことができる このように正確な位置データを 真位置データ 従来の地図のように転位や間断などデフォルメされたデータを 作図データ と呼ぶ 数値地形図は その特性を生かして 真位置データを 標準データ形式としている よって ア イに入る語句は 真位置データ 作図データとなる ベクタ形式のデータは トータルステーションを用いた地形測量やディジタルマッピングにより取得する方法のほか 平板測量により測定描画された地形図や既成図からウを用いて直接取得する方法がある 一方 ラスタ形式のデータは 既成図からエを用いて数値データを取得し 取得したデータ をオによりベクタ形式のデータにすることも可能である 数値地形図図形データは 次のようにベクタ形式のデータとラスタ形式のデータに分けられる これらの形式は その特徴によって使い分けられる また 既成図から数値地形図への変更 ( 数値化 ) には ディジタイザまたは スキャナが用いられ それぞれベクタ形式とラスタ形式のデータが取得できる さらに 一度スキャナにより既成図データをラスタ形式にし そのデータをベクタ形式にする ラスタ ベクタ変換方法もある よって ウ エ オに入る語句は ディジタイザ スキャナ ラスタ ベクタ変換 となる 正しい語句の組合せは 5 である 解答 5
過去問題にチャレンジ! その 2( H17-4-B : 士補出題 ) 次の文は 数値地形測量に関する 4 種類の作業方法について述べたものである ア ~ エ に入る語句の組合せとして最も適切なものはどれか 次の中から選べ a. トータルステーションなどを用いてアにより数値データを取得し 数値編集を行って数値地形図を作成する方法で TS 地形測量と呼ばれる b. 空中写真を用い イ段階から数値データを取得し 数値編集を行って数値地形図を作成する方法で ウと呼ばれる c. 既に作成されている地形図をエ 数値地形図を作成する方法で既成図数値化と呼ばれる d. 上記 a ~ c により作成された数値地形図を修正する方法で 数値地形図修正と呼ばれる ア イ ウ エ 1. 図面計測 図化 ディジタルマッピング ディジタイザなどで数値化し 2. 図面計測 現地調査 ラスタ ベクタ変換 数値標高モデルと重ね合わせ 3. 現地観測 現地調査 ディジタルマッピング 数値標高モデルと重ね合わせ 4. 現地観測 図化 ラスタ ベクタ変換 数値標高モデルと重ね合わせ 5. 現地観測 図化 ディジタルマッピング ディジタイザなどで数値化し
< 解答 > 問題文は公共測量作業規程にある 数値地形測量の文がほぼそのままに出題されており 選択肢の中から 語句を選んで文を完成させると次のようになる a. トータルステーションなどを用いて 現地観測 により数値データを取得し 数値編集を行 って数値地形図を作成する方法で TS 地形測量と呼ばれる b. 空中写真を用い 図化 段階から数値データを取得し 数値編集を行って数値地形図を 作成する方法で ディジタルマッピング と呼ばれる c. 既に作成されている地形図を ディジタイザなどで数値化し 数値地形図を作成する方法 で既成図数値化と呼ばれる d. 上記 a ~ c により作成された数値地形図を修正する方法で 数値地形図修正と呼ばれる 上記より 一番適当な組み合わせは 5 である 解答 :5
過去問題にチャレンジ! その 3( H14-4-D : 士補出題 ) 次の文は 数値地形測量により作成される数値地形データについて述べたものである ア ~ オの中に入る語句の組合せとして最も適当なものはどれか 次の中から選べ 数値地形のデータは 水平位置の転移や間断等の処理を行わず, データの連続性の確保と測定した 座標の保持を重視した ア と 水平位置の転移や間断等の処理が行われている イ に分類 される また データの形式によりベクタ形式とラスタ形式の 2 種類に分類することができる ベクタ形式のデータは トータルステーションを用いた地形測量やディジタルマッピングにより 取得する方法のほか 平板測量により測定描画された地形図や既成図から ウ を用いて直接取 得する方法がある 一方 ラスタ形式のデータは 既成図から エ を用いて数値データを取得し 取得した数値 データをオにより ベクタ形式のデータにすることも可能である アイウエオ 1. 真位置データ 作図データ ディジタイザ スキャナ ディジタル化 2. 真位置データ 作図データ スキャナ ディジタイザ ラスタ ベクタ変換 3. 作図データ 真位置データ スキャナ ディジタイザ ディジタル化 4. 作図データ 真位置データ ディジタイザ スキャナ ディジタル化 5. 真位置データ 作図データ ディジタイザ スキャナ ラスタ ベクタ変換
< 解答 > 従来からある地図は 制限されたスペースでの見やすさを優先させるため 位置をずらして描く 転位 や 重複する部分を描かない 間断 全体的な表現を簡略化する デフォルメ 等の作業が行われており 地図に描かれた地形や地物等の位置情報は 必ずしも正確とは言いがたい部分が存在していた しかし 数値地形図は従来からの地図のように 表現的な制約が無いため 最も正確な位置データを表すことができる このように正確な位置データを 真位置データ 従来の地図のように転位や間断などデフォルメされたデータを 作図データ と呼ぶ 数値地形図は その特性を生かして 真位置データを 標準データ形式としている よって ア イに入る語句は 真位置データ 作図データとなる 数値地形図図形データは 次のようにベクタ形式のデータとラスタ形式のデータに分けられる これらの形式は その特徴によって使い分けられる また 既成図から数値地形図への変更 ( 数値化 ) には ディジタイザまたは スキャナが用いられ それぞれベクタ形式とラスタ形式のデータが取得できる さらに 一度スキャナにより既成図データをラスタ形式にし モニタに表示させながら自動トレースすることによって 既成図データをベクタ形式にする ラスタ ベクタ変換方法もある よって ウ エ オに入る語句は ディジタイザ スキャナ ラスタ ベクタ変換 となる 正しい語句の組合せは 5 である 解答 5